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【第43話】残虐の大君―捕らわれた獲物 43.鞭の味

43.鞭の味


「ロロメルよ。女の躾方を教えてやろう。」


メルセはレールに跨り自由を奪われたエリルを前にするロロベルに声をかける。その手には乗馬用の鞭を持っ。ゆっくりとエリル近づくメルセ。その笑みは悪魔を宿すかのように薄気味悪い。


「はっ。メルセ様から直伝の躾方を学べるなど、滅多になきこと。ありがたき幸せでございます。」


ロロベルは心からこの上官を尊敬しているせいか、言葉の端々に上官に対する畏敬の念が滲み出ている。エリルはその言葉を聞きながら、自分が躾けられていくことに恐怖を覚える。


―― 「躾ける」って何をするの? まさこの状況で・・・。


視界はアイマスクで完全に遮られ、真っ暗だ。それに加えて、猿轡の内側についたペニスのディルドが口の中に一杯に広がり、呼吸も苦しい。両手は背後に回され、アームバインダーで厳しく拘束されている。そして、女性のシンボルである美し胸は、乳房枷によって突き出され、それに革の十字ベルトが食い込み4等分に分割されるかのようにめり込んでいた。


―― む、胸が痺れる・・・。このベルトのせいで痛みが・・・


豊満なバストにかけられた十字のベルトは胸に激しい痛みを与えていた。


「どーだ。その胸の戒めは? 気持ちがいいだろう?」


ロロベルは乳房枷の嵌められた感想を意地悪にもエリルに聞いてくる。猿轡をされたエリルは必死で頭を左右に振り、「NO」の意志を示す。


「ほっほっほっ。それもじきに感覚が痺れて、病みつきになるほどの快感を味わえるぞ。まあ、今日のところは、着衣で許してやるが、明日から素肌に着用を義務付ける。」


メルセは国境警備隊の総隊長らしく、まるで罪人でも扱うかのように、エリルに拘束具の着用を命じてくる。エリルは国外からの渡来人であるにもかかわらず、無実の罪で屈辱的な仕打ちを受けてたのだ。加えて、身に着けた拘束具の乳房枷を明日からは素肌に身に着けなければならないという。明日以降もエリルは解放されることはない。絶望に似た虚しさがエリルの心に込み上げてくる。


―― いつまで、こんな辱めを受けなければならないのだろう・・・。


エリルは下半に広がる心地よ両胸を厳しく戒める十字のベルトの食い込みに伴う痛みを堪える。しかし、股間に食い込む鉄のレールは程よい力加減で、エリルの敏感な部分を刺激している。


その刺激に身体は否応なく反応し、両脚はブルブルと震え、それがかえって股間に刺激を生ずるという悪循環を繰り返していた。


「はああああ・・・」


股間が前後に擦れるごとに、膣口とクリトリスに鋼鉄の固さが心地よい刺激となって加わっている。それは女性として逝くには遠く及ばないものの、肉体に軽く気持ちのよいなんともいえない甘い刺激を与えてきた。まるで微温的なぬるま湯に浸かったような、女性ならばこの心地よさをずっと楽しんでいたいと感じるほどだ。


「んんんん・・・・」


どうしても腰を前後に動かし股間を擦りつけてしまうエリル。


―― くっ・・・どうしても腰が動いてしまう。なんとか、この腰の動きを止めないと・・・。


エリルは理性で動物的に動くこのはしたない腰の動きと止めようと必死になる。それもそうだろう。この汚らわしい軍人の前で自慰行為ともとれるような真似をしはじめているのだから、この屈辱感は言葉に言い表せないほど惨めだった。しかし、傍(はた)から見れば、まるで腰砕けになったように前かがみに腰を折り、足の膝を「く」の字に曲げ、股間を擦りつけているようにも見える。スパッツに包まれた白い足の太腿はブルブルとまるで痙攣でもするかのように震えている。見る者が見れば、股間の敏感な性器に刺激を受け、力がぬけ始めているのが明白だった。


「どれ、少しは従順になるように躾けるか。まずは、肉体に苦痛を与えてやろう。」


メルセは、秘部に刺激を受け立つのが背一杯のエリルの左ヒップを目掛けて、乗馬用の鞭を思い切り振り降ろす。


ビシ―


鋭い痛みがエリルの丸く美しいヒップを打つ。その刺激はまるで電撃をくらったかのようにヒップから全身を駆け巡り、脳天まで伝わる。その思いがけない一撃で前のめりのなったエリルの全身は背筋を伸ばし、直立の姿勢になる。


自分でも思いがけない行為だった。たった一撃の鞭を受けただけで、背筋がピンと張り、両脚の震えも収まるほどの強い刺激だったのだ。


「ほら、背筋を伸ばしバストを突き出すのだ!」


そう言い終わるや否や、再び左ヒップに電撃のような強い衝撃を受ける。


ビシ―


鞭はエリルの左ヒップに軽くめり込んだかのように見える。


「んんんん・・・・おおおおお・・・・」


その衝撃にエリルは声を上げるが、口に詰め込まれペニス状の猿轡が発声を抑え、くぐもった声しか出ない。エリルは2度の鞭を受け、3度目もあると予想し、身体をよじろおうとするが、首輪に付けられた鎖と股間に食い込む鉄のレールによって動きは封じ込められていた。つまり、鞭は無防備なエリルの肉体のどこでも襲ってくるのだ。


痛みに麻痺してメルセの命令を忘れるエリルに、再び鞭が撃たれる。


ビシ―


「んんんん・・・・・おおおおおお・・・」


拘束された肉体は鞭から逃れることができず。まるで無防備になっている。その左ヒップに再び鞭が振り降ろされた。


「この牝は学習能力がないのか。背筋を伸ばして胸を突き出せと言っておろうが!」


メルセはキツイ口調でエリルの左ヒップのみを鞭で打つ。エリルは左ヒップに刺激を受け、身体はのけぞるほどの痛みで腰を折り、前のめりのなるが、そこに再び左ヒップに鞭が見舞う。


「く・・・んんんん・・・・むむむむむ・・・」


声にならない声を上げながら、耳に入るメルセの声。


「背筋を伸ばせ・・・胸を突き出すのだ・・・」


エリルがバランスを崩すとすぐさま股間からやや強い刺激が伝わってくる。まるで下半身を麻痺させるかのような刺激。それに飲み込まれるそうになりながらも、両脚の力を入れてなんとか踏ん張る。


その瞬間、再び鋭い痛みが左ヒップを襲い、脳天を突き抜けるほどの痛みが襲う。そして後からヒリヒリするような痛みがジワジワ伝わってくる。膝から力が抜け、しゃがみ込みそうになるが、それは鉄のレールを股間に食い込ませるだけだった。


強い刺激が股間を襲うとともに、両脚から力を奪っていく。


こんな責めを受ければ、下半身に力が入らないのも当然だろう。昔、女性のオナニーで机の角に股間を擦るつけるというものがあった。股間が刺激されてその行為を途中でやめるのは至難の技だという。


それと同様、それ以上の刺激をエリルは受け続けている。


―― この鞭から逃れるには・・・背筋を伸ばすしかない・・・


エリルは左ヒップを鞭打たれながら、それから逃れる方法を思案した。しかし、それはこの男達の命令に従うことを意味する。しかし、激しく左ヒップばかりを打つ鞭の連打に、エリルは冷静に考える余裕すらなくなっていた。


エリルは残された体力を使ってなんとか背筋を伸ばし、バスト前に突き出す姿勢をとる。後ろ手にアームバインダー拘束され、猿轡を装着され、股間に鉄のレールが食い込む甘栗色のロングヘアーの少女の姿はなんとも美しく、男を魅了するに十分過ぎるほどだ。


「いい身体をしているではないか。存分に楽しませてもらうぞ。」


メルセは繁々と目の前の拘束された美少女を厭らしい目つきで眺める。バストが乳房枷の十字の革ベルトによって4分割され痛々しいが、美形バストを黒革の十字ベルトが押しつぶし、4分割され歪めらてたバストは奴隷の証のようにも見える。その被虐感は男性にとおて、この上ない満足感を与えるのだった。


「さあ、そのままの姿勢で歩くのだ!」


メルセは再びエリルの左ヒップを鞭で打つ。


ビシ―


鞭がヒップを打つ音がこの大広間に響き渡る。


「んんんん・・・」


エリルは仕方なく、足を進めて歩きはじめる。が、すぐに股間にあの甘く痺れさせるような刺激が襲ってくる。



「んぐ・・・」


その刺激に下半身が負け、足が「く」の字に曲がり、股間をさらに強い刺激が襲う。


「んんんん・・・・」


少しでも足を進めればレールの上を股間が擦りつけていく。女の敏感な部分にレールが食い込み、摩擦が生じ快楽が生じてくる。エリルは足を上げて前に進もうとするが、その動作により敏感な部分にレールが食い込み、擦りつける動きをしてしまう。まさに、自分から快楽を生じる刺激を求めるようなものだった。


―― ダメ! これでは自分から刺激を求めて動くようなものじゃない。


エリルは2~3歩歩くと、前のめりになり、足を「く」の字にまげて、股間からの疼きに耐える。ジンジンと痺れるような心地よい刺激が膣口から広がっていく。もう、膣からは淫液が染み出しはじめていた。16歳の少女が股間にレールを食い込ませ、自分で刺激しながら淫液を染み出させてレールを跨ぎ歩く。その下半身を襲う快楽に翻弄される姿は、この男達にとってこの上ない悦びであった。


「まったく、なっとらんではないか!」


レールを跨ぎ途中で立ち止まっているエリルを見るや、メルセは不満そうに呟き、片手に持った鞭を力強く、左ヒップ目掛けて打つ。


ビシー


鞭を打つ音が鳴り響くとともに、エリルの全身がのけ反り、背筋がピンと真っすぐに伸びる。余りの痛みにエリルの顔は天井を仰いだほどだ。


「んんんん・・・」


もう何発鞭をくらったのだろう。エリルのヒップの左側はキリキリとした痛みととも、熱さも感じ始めていた。それはヒリヒリした熱を帯びた痛みで、そのなかに表現しようもない快感が伴っている。それはエリルがはじめて経験するような不思議な感覚だった。

―― そ、そんな・・・。鞭で撃たれた部分がムズムズしてきている。


エリルは自分の肉体の反応に戸惑う。確かに、鞭の痛みがあった筈なのに、徐々に無zムズとした感覚が生じてきているのだ。


エリルはその不思議な感覚に気付くと、ハッと我に帰る。無理とはわかっていても両腕に力を入れ、このアームバインダーの拘束から逃れられないか試す。が、手首はおろか、二の腕、肘まで、腕全体をしっかりと包み込む黒革のアームバインダーは全くビクともしない。それ以上に、上半身に装着された乳房枷の十字のベルトはエリルの美形のバストにめり込み、悶絶するような痛みを与え続けていた。その痛みと、下半身へのレールによる快楽責めで、エリルは快楽と痛みの間で悶絶を繰り返していた。


―― まるで、む、胸が切り刻まれるようだわ・・・。


猿轡をされているせいか、呼吸が段々と苦しくなる。恐らく、鞭打ちや快楽責め、乳房責め、歩行で呼吸が荒くなってきたのだろう。口を大きく開いて深呼吸がしたい。が、口にはペニス状のディルドが挿入され、呼吸も制限されている。視界が奪われているため、この軍人達の動きが全く読めない。視界があれば、鞭を打つ動きも予想できる。だが、視界を奪われたエリルは予想もなく、いきなり鞭が襲うのだ。


「さあ、足を上げて歩くんだ!」


ビシ―


再びエリルの左ヒップを鞭が襲う。


「うぐ・・・・」


エリルは全身に力を入れて、右脚を前に進める。それはあたかも、そっと足を上げて慎重に歩く仕草だった。


「なにをしておるんだ。右脚をもっと高くあげよ!」


メルセは再びエリルの左ヒップを打つ。電撃が左ヒップを襲い、激しい痛みが広がる。エリルは先ほどとは違う左脚を少し高く上げて足を前に進める。股間に鉄のレールが食い込み、自然と腰が折れるように曲がり、少し前かがみになる。どうしても、この股間責めの刺激に負けてしまうのだ。


「姿勢を崩すな! 背筋を伸ばせ!胸は突き出す姿勢だ。何度言えばいいのだ!」


再び、エリルの左ヒップを鞭が打ち込まれた。拘束されたエリルはその鞭打ちに抵抗すらできずに、ただ、打たれるままだ。あまりの惨めさに泣きたくなるのを抑える。


「まったく、歩行もろくにできないのか。いちから教え込まないといかんな。脚はお前の膝が鳩尾につくまで上げるんだ。ゆっくりとな。」


メルセはエリルに歩行の仕方を教えた。それは歩行というにはあまりにも、おかしな歩き方だった。歩行時に膝を鳩尾の部分まで上げるというものだ。それも背筋を伸ばして。そんな歩き方をすれば、返って歩行に時間がかかることになる。足を大きく上げるため、身体の動きも同時に大きくなり、股間をレールに必要以上に擦りつけることになる。


そんな歩き方をすればまともには歩けない。


「メルセ様、そのような歩き方ではこの円形の鉄のレールを歩くのに、大変な時間がかかってしまいます。」


ロロベルはメルセの意図が読めずに、鉄のレールを周回させるのに時間がかかることを告げる。その言葉を聞くと、メルセはやれやれと言ったような表情をロロベルに向ける。


―― こいつは何もわかっていないのだ。


「ロロベル、いいか。今、我々はこの女の精神を崩壊させようとしているのだ。つまり、調教だ。調教で最初に大事なのは、誰が主人かということだ。この女は強い精神力を持っている。その女の精神を徐々に衰弱させていくのだ。最初は、主人を教え込む。そして、主人に逆らえば、どうなるのか。鞭の味を教え躾けていくのだ。歩行は命令だ。その命令に従わなければ、問答無用の鞭打ちが待っているのだ。この女は命令に従う以外に選択肢はない。それを肉体を通じて理解させるのがこの調教の目的なのだ。」


メルセは理路整然と今行っている調教を説明しはじめる。それはなるほどと思えるような内容だ。それは当然、エリルの耳ににも入っていた。


―― じょ、冗談じゃないわよ。何が調教よ!私は馬や家畜じゃない。


心の中では著しく反発するエリルだったが、視界を奪われ、口を塞がれ、後手に拘束され、乳房枷を装着されていては、全く抵抗どころではなかった。その中で少しでも、メルセの命令に逆らえば、厳しい鞭打ちが待っているのだ。エリルは渋々でも命令に従わざる得なかった。それは激しい屈辱を意味した。


「さあ、足を大きく上げて歩け! さもなくば、お前のここにも鞭をお見舞いしてやろうか?」


メルセは歩行を命じるとともに、エリルの下半身のフロントに食い込む鉄のレール部分に鞭の切端を当て、ツンツンと突く。


エリルの恥ずかしいデルタ部分に鞭の先端があたり、一瞬エリルの肉体がビクンと動き反応する。


「随分と感度がよさそうじゃないか。お前の肉体は男を悦ばすためにあるようだな。」


16歳の少女が聞けば身もよだつほどの内容をさらりというメルセ。まさに徐々に辱めを与えて、絶望の淵に落そうとしている。エリルはそんな絶望下にあっても望みは捨ててなかった。


―― ユリエさん達がきっと助けにきてくれるわ。


その頃、ユリエとテルへはこの公船事務所の建物の周囲をぐるりと回って、どこかに侵入できる場所がないか、確認をしていた。しかし、この煉瓦づくりの公船事務所の裏に回ったユリエ達は、その国境警備隊の事務所の建物を見て、ギョッとした。


公船事務所は煉瓦造りのチャペルのようなお洒落な建物だった。その1階はホールのように広く、奥に乗船手続きをするカウンターがあった。このチャペルの裏側には、国境警備隊が常駐しており、ビブロスの公船に乗り入りする乗客の監視にあたっている。国境警備隊とはいっても、この街はオプシディア帝国の首都に近く、他国と国境を交える地域はない。唯一、ビブロスと結ぶ公船の定期便だけがこのカンバラヤの街に発着し、異国からの乗客が入出国するのだ。その警備を司っているのが国境警備隊なのである。つまり、国境警備隊とはいってもその職務内容は税関の域をでないのだ。


そのため、このカンバヤラの街の国境警備隊には本格的な戦闘部隊は駐留しておらず、隊員もいわゆるデキの悪い輩が集まっていたのである。


さて、ユリエ達がチャペル風の公船事務所の建物の裏手に回り、ギョッとした理由とは。裏手には別の建物があったのだが・・・。それは国境警備隊の庁舎が刑務所のように高い壁で囲まれていたのだ。公船事務所と高い壁の間には煉瓦造りの渡り廊下で繋がっている。恐らくこの渡り廊下の中を通れば、公船事務所と国境警備隊の庁舎は一つの建物と錯覚するだろう。その証拠に渡り廊下には窓がなく、渡り廊下を歩く人間は別の部屋に移動していると錯覚してしまうのだ。


煉瓦造りの高い壁を見上げるテルへ。その高さは優に10メートルを超えると思われた。建物で言えば、3~4階くらいの高さに匹敵する。


「こりゃ、驚いたぜ。公船事務所の裏はまるで刑務所だな。」


テルへは高い塀を見て圧巻されたように呟く。


「まあね。流石は帝国の国境警備隊を名乗るだけはあるわね。ただし、警戒はそれほどでもないわ。夜に忍び込むのは可能ね。」


ユリエは壁の高さを見ながら、周辺の警備体制を丹念に調べていく。


「よーし。わかった。ベルテ達を連れて夜にもう一度くるわよ。」


ユリエは国境警備隊の庁舎を囲む壁を見ただけで、なにかを悟ったようだった。


「お、おい。ちょっと待ってくれよ。」


壁を後にするユリエの後ろ姿を追いながら、慌ててユリエの後についていくテルへ。


―― 一体なにがわかったんだよ・・・・。


テルへはユリエのいつものヒラメキに困惑しながらも、考える。今までの戦いの中で、ユリエは幾度もヒラメク時があった。そして、そのヒラメキによってテルへ達は何度もピンチを救われてきたのだ。ユリエが「わかった」と言った時、なにかを感じたのだろう。


「テルへ、ベルテ達を呼んできてくれ。」


ユリエはこの場に残り、テルへをベルテの元に遣わせる。国境警備隊に捕えられたエリルを救出するには2人だけでは無理がある。「人手は多い方がいい。」。ユリエはそう考えていた。テルへは頷くと、すぐさまベルテとシャンロンが待つ街はずれまで急いで向かう。・


「しかし、この国境警備隊の庁舎はやっかいだな・・・」


ユリエは庁舎を囲む高い壁ずてに歩きながら、周囲を観察していく。まず、この壁にはそれぞれの面、つまり。東西南北の面に各門があり、出入りができるようになっていた。しかし、それは非常時に使われるようで、現在は使われていない。その証拠に、各門の金属の金具は錆つき、門の前は薄っすらと埃を被っている。


「しばらくは、動いた跡がないな・・・・」


ユリエは東西南北の各門を丹念に調べていく、もちろん、公船事務所から渡り廊下が壁面に接続している部分も同様にだ。この渡り廊下の接続面には門が据えられていた名残りが見受けられた。恐らく、この国境警備隊と公船事務所は元は2つの建物だったのだろう。それを渡り廊下で接続したのだ。


ユリエはこの壁の回りを1週ぐるりと回るが、閉じられた門以外に出入口はなさそうだ。それに、塀の高さも一定で、外から中を覗くことはできない。中がどうなっているのか、全く状況は掴めない。


―― エリル、無事でいてくれ・・・・。


ユリエは心のなかで、エリルに呼びかけた。


その頃、エリルは地下の広間でレールを跨がらされながら、足の膝を鳩尾まで上げて歩く、歩行を強いられていた。


鉄のレールは波状に凹凸を繰り返し、エリルの秘部に微妙な力で食い込んでいく。一歩足を進めれば、その進んだ分が股間を擦りつける。それが微妙な刺激となり、肉体を徐々に蝕んでいくのだ。


「んんん・・・・」


股間を襲う刺激に耐えられずに声を漏らすエリル。股間は既に膣口から滲み出る淫液によってヌメヌメしはじめていた。白革のスッパツはエリルの淫液によって十分な湿りを帯び、股間部だけ湿りで色が濃くなり、この女の肉体が反応をはじめていることが、周囲からも明らかになっていた。


―― くっ、こんな男達の前で、股間が濡れるなんて恥ずかしい・・・・。


エリルは自分の身体の反応に戸惑いながらも、胸枷からの肉体を強烈に締め上げ、乳房を蹂躙される痛みにも耐えていた。


エリルは自分の姿勢が前かがみになりつつあることに気付くと、背筋に力を入れ、胸を前に突き出す姿勢を取るように励む。そして、足の膝を鳩尾まで精一杯上に上げて、一歩、一歩とゆっくりと歩いていった。


「メルセ様、この歩き方はとても美しく見えます。特に、女が自分の性的シンボルである胸を晒すように惜しげもなく、突き出して歩く姿はなんと美しい姿なのでしょうか?」


ロロメルは、拘束されて自由のないエリルが、背筋を伸ばし足を高く上げてゆっくりと歩む姿を見て、心から美しいと感じている様子だ。それもそうだろう。両腕は後手二アームザックで1本に揃えて拘束され、胸には乳房枷。それも乳房をこれでもかと蹂躙するほどの十字ベルト付きだ。そして、首輪。その美しい少女が鉄のレールを跨ぎ、足を鳩尾まで高く上げ、背筋を伸ばし歩いているのだ。


男にとってこれほどの獲物を目の前で堪能できるチャンスは滅多にない。メルセはロロベルに顔を向けると、したり顔で話し始める。


「ロロベル、この歩行の美しさがわかるのか?」


メルセはソロリソロリと歩くエリルを傍目に、ロロベルに尋ねる。その目には驚くとともに、自分と同じ価値を共有した同胞に抱く親しみが込められていた。


「はっ、わかります。この女の背筋を伸ばした姿。頭の天辺からつま先までの洗練された肉体。頭はやや上を向き天井に向けられ、背筋はピンと伸ばし、豊満な乳房を惜しげもなく強調し、両手は後ろ手に拘束され、その上にアームザックで完璧に固定されております。そして、この贅肉のない引き締まったウエスト、それに美形のヒップ。ヒップから流れるように続く太腿、脹脛、つま先。そして自らの足を鳩尾まで上げるその姿勢はまるで肉体を誇示し、晒しているように見えます。」


ロロベルは今のエリルが置かれている状況を描写し、エリルが自らの肉体的な美しさを自慢するかのように見せびらかしているようだ形容したのだった。


革の目隠しで視界を奪われ、ペニス型の猿轡を装着されていエリルにとって、自ら望んで肉体を誇示しよとは思わないのは当然だ。エリルはその言葉を耳にして、激しく憤りを感じていた。


―― 何をいっているのこの人たちは! あなた達に強制されてしているのよ!


エリルはそう叫びたい一心だったが、猿轡を装着されている身では声を出すことは不可能に近かった。それにエリルが反抗の意志を示したところで、あの鞭の連打が待っているだけだ。エリルは心のなかで、敵意を抱き続けながら従順な振りをし続けることにする。


「ロロベル、それはお前も女の芸術的な美しさを感じ取ることができる優れた人間であることことを証明するものだ。」


メルセはロロベルに美を見抜く才能があることを示唆する。


「女の芸術的な美しさでありますか?」


ロロベルはメルセから言われたことがわからずに、キョトンとする。メルセが言う芸術的な女の美しさとはどういうことなのか。ロロベルは考える。この女は美しい。甘栗色のロングヘアにスレンダーであるが、豊かな胸とくびれたウエストなどボディーラインには恵まれているのだ。しかし、それはこの女を見た者が抱く感想で、ロロベル以外の者が見ても同じ印象を抱くに違いなかった。


だが、ロロベルはこの美しい少女に拘束具を装着し、自由を奪った上で歩行させる姿にも美しさを感じた。いや、拘束され、無理矢理に歩かされる惨め姿がなによりも、ゾクゾクするような得体の知れない感覚を心の奥底から感じたのだ。


「そうだ。この女には今、自由はない。こうして拘束されて、我々の命令に従うしかないのだ。恐らく、この女の意志はこうして歩行命令されることに反発しているだろう。しかし、命令を聞かなければ激しい鞭打ちが待っている。それを避けるためにこの女は意志に反して命令を受け入れているわけだ。そして、恐らく、我に屈服していることに屈辱を感じているだろう。意志に反して命令従わなければないない。それが屈辱というものだ。そして、その屈辱が大きくなるほど被虐性が高まっていくのだよ。お前は、心のどこかでこの少女の持つ被虐性を感じ取ったのだ。」


「はあ・・・・」


ロロベルは呆気に取られながら、メルセの説明を聞いていた。だが、ピンとくるところははない。上官の機嫌を損なう訳にもいかず。ロロベルは話を続けた。


「メルセ様、この女の姿勢ですが、これはなんという拷問なのでしょうか?」


ロロベルは真面目にメルセに尋ねる。メルセはやれやれという顔をして、ロロベルに再び説明をはじめる。


「お前は、なにもしらんのだな。」


そう言ってエリルの横に立つ。


「これはな。拷問ではないのだ。これは、貴族たちが楽しむスポーツとでもいうものの一種で、ポニーガールと言われる競技の為の訓練なのだ。」


ロロベルは確かにそういう遊戯があることは知っていた。なんでも貴族達が女を性奴隷にするための一種の訓練だと聞いたことがあった。実際にこういう風に調教するとは夢にも思っていなかったのだが。


「この歩行姿勢。つまり、視界と言葉を目隠しと猿轡で奪い、両手を後手にアームザックで拘束し、乳房枷で苦痛を与えながら、上半身の自由を完全に奪い、その上で、鞭を使って歩行をさせていくのが、ポニーガールの訓練なのだ。」


ロロベルは黙って真剣にその話に聞き入る。


「まあ、貴族どもは色々な手段を使って性奴隷に堕として、自分の好みに女を調教していくわけだな。一番最初に重要なのは、この姿勢だ。まずは、最初からポニーガールの姿勢を順次教えていくことになる。」


ロロベルはなるほど思った。


貴族は美しい女を人間とはみなしていなかった。偶然に産出される宝石のようなもので、そもそも女に備わる美は貴族にとって宝飾品と同じ価値にしか思えないのだ。それを所有し、美を磨き自分たちのコレクションを増やしていくのが貴族の富と財力の象徴でもあったのだ。つまり、女は人間ではなく、宝飾品。所有物の一種だった。


ロロベルはメルセの言葉を聞き、今までの考えが一瞬にして変わった。今までは、この少女を密入国者や脱獄性奴隷として見ていた。しかし、今、ロロベルはこの少女をもはや人間としては見ていなかった。


一種の自分たちの欲望を満たすための所有物として、エリルを見るようになったのだ。そして、自分の欲望を満たすために、この少女を自由に扱いたいとも思った。


「目つきが変わったぞ。ロロベル。お前は、この女を鞭1本でここまで従順に躾けた。だが、女の心は表面上だけの取り繕いだ。きっと、必死にここから脱出を考えているだろう。ロロベルよ。絶望を与えるのだ。この女から希望という希望を取り除いていくのだ。そして、所有物に貶めてみろ。」


メルセはロロベルに向かって、エリルの調教を命じてきた。ロロベルの心の中でなにかがはじけた感覚がする。


目の前にはレールを股食い込ませ、肩で息をするエリルの姿が目に入る。太腿はブルブルと震え、立っているのがやっとの感じだ。口を塞ぐ革パッドの隙間からは涎がタラタラと滴り落ちていた。時折、股間責めで限界に達するのか、膝がカクンと落ちる。その度に首輪の鎖が伸びきり、崩れ落ちるのが止まる。


「おっと、このままでは首輪が頸椎を痛めるな。」


ロロベルはそう思いながら、メルセに視線を向ける。


「まあ、今日はこの女に鞭の味を覚えさせるのが目的だ。歩行姿の美しさはまた明日からにしよう。この女を牢獄に閉じ込めておけ。脱出はできないようにA級拘束にしておくのだぞ。」


メルセはそう言い残して、満足そうに地下室を去っていった。恐らく、この少女は二度と自由の身にはなれないだろう。こうして、メルセの慰み者として、散々な目に合い、女としても人間としても尊厳を剥ぎ取られ、弄ばれ、そして闇の中に消えていくのだ。ロロベルはメルセの悪趣味に自然と付き合うはめになるのだが。それはロロベルの中の心の闇の欲望を満たすことになる。


「さあ、お前さんもご苦労だったな。これからたっぷりと可愛がってやるからな。楽しませてくれよ。」


ロロベルはエリルの耳元で不気味なことを呟く。しかし、今のエリルには鞭と足を高く上げる歩行訓練で体力は既に奪われていた。


ロロベルは天井から伸びる鎖を首輪のDリングから外し、次いでレールのつなぎ目を外して、エリルの股間からレールの食い込みを外す。


「んんん・・・・」


声を漏らすエリルに構わず、ロロベルはエリルの身体を抱きかかえ、乳房枷の十字の拘束外していく。拘束ベルトに手を掛けると、乳房が痛むのか、エリルの身体が小刻みに震えているのがわかる。これ程強く、乳房をまるで裂くように4等分しているのだから、エリルに与えるダメージは相当なものだろう。ロロベルはバックルをひとつずつ丁寧に外して、エリルの乳房を解放していく。


乳房枷の十字ベルトは外されるとエリルの豊満な形のよい乳房が再び乳房枷の穴から突き出す。


「これは、また潰して苦痛に歪む顔が見たくなるな。」


ロロベルはエリルを抱きかかえると、A級犯罪者用の牢獄に向かって歩いていった。



【第43話】残虐の大君―捕らわれた獲物 43.鞭の味

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