前の話 https://daigo-chokopan.fanbox.cc/posts/9875882 お題箱 https://odaibako.net/u/chokopan ============================ ここは璃月にあるとある富豪の家、貿易などで莫大な財産を手にしたこの家の主の男は、その有り余るお金で色々な芸術品を集めるのが好きだった。 世界各国の芸術品や美術品を買いあさり、自分の家にコレクションルームをいくつも作る程だった。 絵画が大量に置かれた絵画専用のコレクションルーム、彫刻や各国で出土した歴史的なものが置かれているコレクションルーム、宝石や綺麗な衣装が置かれたコレクションルーム。これらのコレクションルームに飾られる物は、どれもが素晴らしい物ばかりだった。 その宝石や綺麗な衣装が置かれたコレクションルームの中心には、他のコレクションとは一線を画す『モノ』が置かれていた。それは、透明なガラスに全身を覆われた、かつて天才と呼ばれたフォンテーヌのファッションデザイナー、千織だった。 千織は沢山の衣装が置かれているそのコレクションルームの中央の台座に、ポーズをとったまま立たされていた。千織の足や関節は全て透明なガラスに覆われていて、一切の身動きが許されない状況だった。 もちろん顔まで透明なガラスに覆われていて、顎まで包まれている為、喋る事は一切できない。全身を包んでいるガラスに唯一、穴が開いているのは両鼻の部分だけだった。 服は一切着せられておらず、千織の全身を包むガラスに千織の体が密着し、肌が見えていた。全裸のまま透明なガラスに閉じ込められ、恥部を全て曝け出し見られるという、本来ならば死にたいとすら思えるほどの屈辱的な状況だった。 人ではない、完全な『モノ』として男のコレクションとして扱われていた。 富豪の男は、その台座の上でポーズをとらされている千織を見ながらソファーに座りワインを嗜んでいた。その『モノ』は今日、富豪の男の家に届いたばかり、男は新しく自分の家に届いたコレクションを眺めながら優越感に浸っていた。 男はソファーに座りながらガラス越しに男を見て、怒りに体を震わせている千織に話しかけた。 「君の服が好きでね、いくつも買わせてもらったよ。」 千織が置かれているその部屋には千織が過去に作ってきた衣装がいくつも飾られていた。 「~っ!んぐぅっ!」 千織は怒りながら何かを叫ぼうとするが、口に触れているガラスが少し白く曇るだけだった。 「そんな君が、オークションに出されると友人から聞いて、いてもたってもいられなくなってね。これまで人間をコレクションに加えたいと思ったことはなかったんだけど、今もなお芸術的な衣装を生み出し続ける天才の君をコレクションに加えられると想像したら我慢ができなくなってしまってね。いろいろなコネと莫大な金をかけて、特別オークションに無理やり参加させてもらったよ。」 「~っ!」 千織は怒りに震えながらも、富豪の男に何も言う事ができない。 「本当はね、何度もオークションに参加して、何度も商品を購入していないと特別オークションには参加できないらしいんだが、生憎私は君以外の商品には興味がわかなくてね。友人に口利きしてもらい、沢山のお金を払ってわざわざ参加させてもらったんだ。オークションで君を手に入れた時は本当に嬉しかったよ。」 「……っ!」 「他の参加者が君を購入していたら君を性奴隷のように扱うのかもしれないけど、私は自分が集めたコレクションの美しさを保ちづつけたい性格なんだ。」 男は立ち上がり、ガラス越しに千織の肌をなでながら語った。 「だからこうして全身を包むガラスに閉じ込めることで、君をコレクションとして保存できるようにしたんだ。永遠に美しさを保ったまま、芸術品として生きてくれ」 千織は男の言っている事が理解できなかった。ただ、男から感じる狂気に恐怖した。 「でも、まさかここまで美しいとはね……。ガラス越しでも美しさがわかるよ。」 「……っ!」 千織は怒りと恐怖が混じった目で男を睨む。涙がガラスの内側を伝い、口の周りの曇りの範囲がどんどん広がっていく。書いた汗がガラスと肌の隙間を伝っていく。しかし、そのガラスに遮られた視線では、男の加虐心を煽るだけだった。 「そんな目で見ないでくれよ、興奮してしまうじゃないか」 「……っ!」 千織は男に抗議したかったが、身動きも、口を開くことさえ許されない。肌にぴったりと張り付いたガラスの冷たさと、そのガラスの内側を伝っていく自分の汗と涙が、千織に無力感を与えてくる。 男のコレクションとして、人間ではなくただの『モノ』になってしまった千織は、何もできなかった。 「まぁ、これからは一生君をコレクションとして大切に保管させてもらうよ。じゃあ、また今度様子を見に来るから」 男はそういうとコレクションルームから出て行った。扉が閉じられ、部屋の明かりが消える。真っ暗な世界に取り残された千織。何も見えない真っ暗な部屋の中で、ガラスに包まれた千織は身動きをとる事すら許されず、次男が部屋にやってくるのを待ち続けるのだった。