◇
~翌朝~
時刻は九時過ぎ。
正司を含めた六人の男達は、寝室の隣にあるガラス張りのシャワー室の床に置かれていた。
「お願いがあるの」
と、起床した美奈子の手に持たれて。
「おばさんのお願いって……これから何をさせるつもりなんだ」
大理石なのだろうか? 高級そうな石の床の上に俺達を放置したまま、おばさんは丸裸で洗面台の鏡の前で何やら自分の顔を入念にチェックをしていた。
あら? 気になっていた目元のシワが無くなってるわ♪ と喜んだ声を上げ、豊満なお尻をフリフリ振って。
「多分シャワーを浴びるつもりだとは思うが、じゃあこの皿は何だ?」
おばさんから目を離して正面を見る。
そこには、病院でよく見る長方形の形をしたステンレス製の皿が置かれていた。
無言で皿を置いておばさんは洗面台の前に行ってしまったため、理由が分からない。
「汚れた俺達を洗うために置いてくれた皿だったらいいんだが……。 体はおばさんの匂いですごいし」
おばさんのオナニーによって、全身は愛液で汚れたままの状態であった。
すっかり渇いて粘つきは無くなっているが、だけど身体についた悪臭は残ったまま。
何もしなくても鼻の奥に香ってくる。 おばさんの淫臭がこれでもかと。
「分かってるけど、やっぱ夢じゃなかったんだよな」
これが夢だったらどれだけ良かった事か。
だけど、体から香ってくる淫臭で、昨日の事は現実だったのだと実感させられる。
自分はおばさんに、オナニーの玩具として使われたんだと。
「はは……本当に俺はもう、葉山のおばさんから同じ人間として一生見られる事はないんだよな。 ずっと女性の玩具として生きて行かないといけないんだ……」
「残念だが、そうだね。 いくら知ってる人だったとしても、もう今までの関係は忘れなさい。 昨日話していた通り、自分達は人間様に使われるだけの物……奴隷にすぎないのだから」
ぼんやりとおばさんを見ながら呟いた言葉に、隣にいた男が話しかけてきた。
「……柴さん、分かってる……もう分かってる」
「そうか、分かってるいるならいい」
俺に声をかけたこの人の名は、『柴 奉一」(しば ほういち)さん。 おばさんからはポンチちゃんと呼ばれている人だ。
この人にはおばさんが眠っている時に話す機会があって、様々な事を教えてもらった。
ここは小さくした男を玩具にして使い、女性がマッサージ……オナニーを堪能するためのお店だと。
死にたくなければ――尽くし、オナニーの役に立つ物になり、女性のお気に入りの玩具になれるよう目指しなさいと口をすっぱく。
でなければ、どんな風に処分され殺されていくのかも。
柴さんが語る数々の処分方法は本当に驚かされた。
食べられたり、美容液にされたりといった話を聞いて。
信じられない事だが小さくなった俺達の身体は特殊らしく、再生力? といったものが身に付き、それが女性にとって美容効果を与える物になってるらしい。
なんだそれ? とは思ったが、でも実際に柴さんが言っていた再生力というのを経験したから、本当の事なんだろう。
マンコに擦りつけられ手足が折れていた身体は、今では骨もくっつき正常であるからだ。
「もう、人間じゃないんだ。 本当にそうなんだ……俺は」
実感する。
身体が小さく、折れた骨もすぐに治ってしまうなんて、普通の人間だったらありえない事なんだから。
ああ、考えると何処までも気落ちしてしまう。
だから気分を変えようと、柴さんに向けて気になっていた話題を出す。
これ以上、自分は人間では無くなってしまったのだと考えたくなくて。
「所で柴さん、おばさんがここに皿を置いた理由は分かります? まあ、俺達の体を洗うために置いたとは思うんですが」
「体を洗う? ――ああ、違う違う。 これはお客様がお出しになられた物を、自分達に食べさせるために置かれたんだよ。 たまにいらっしゃられるんだ。 私達の惨めな姿を見て、悦に浸って愉しまれるお客様が」
「えっ⁉ お出しになられた……? 食べさせる?」
とぼけて聞き返すが、俺には柴さんが言っている事が何となく理解できてしまった。
何をするために、こうしておばさんが皿を置いたのかを。
「そう、……あ、お客様がこちらに戻ってこられた。 いいかい? 君は始めてだから最初は臭くて嫌悪するかもしれないが、味は悪くないから最初の一口だけは我慢をして食べてみるんだ。 自分達は普通じゃなく、味覚も変化していて美味しく感じるはずだからね。 それでも無理そうなら目を瞑って口にいれれば大丈夫」
「ちょっ! 柴さん、食べるってそんな、嘘だろ――」
石で出来た床をペタペタ踏んで、こちらに向かって歩いてくるおばさん。
それを見て、柴さんは話を途中で切り上げて口を噤んでしまった。
一瞬。 本当に一瞬だ。
ここから洗面台までは、走って息を切らせるほどの遠い距離だったというのに、一歩……二歩……三歩、たったそれだけの歩みだけで、足はすぐ目の前に降り落ちてきた。
とてつもない爆音を上げて。
「おまたせ、ほったらかしにしてごめんなさいね。 さっそくで申し訳ないんだけど、私のお願いを聞いてもらってもいいかしら?」
前屈みに見下ろし、俺達に喋りかけるおばさん。
重力に従って、大きな胸はぶにゅっと垂れ落ちている。
「はい、もちろんです! 自分達に出来る事ならなんなりと申しつけ下さい」
「うふふ♪ いいお返事。 ありがとうポンチちゃん」
皆を代表して元気よく返事をする柴さん。
媚びを売っているんだ。 処分されないよう、おばさんに気に入ってもらうため。
「して、お客様のお願いとはどういった内容なんでしょうか?」
「うん、内容はね、今から私がこのお皿の上にウンチをするから、生きている子がいないか確認してほしいの」
「生きている子の確認……ですか?」
「そうよ。 食べられても生きて外に出るんだって決意してたみたいだったから、丸呑みしてあげた子なの。 溶けてなければ私のウンチに混じって出てくると思うから」
「そ、そうですか……」
「ええ、だから私が出したウンチの中から探してあげてね。 私が言ってる子だけじゃなく、昨日の夜には結構な数の子も丸呑みしたから、誰か一人でも、もしかしたら生きているかもしれないし」
(け、結構な数って、そんな……)
柴さんから、人間の女性は俺のような小さくなった人を平気で食べてしまうと聞いていた。
聞いていた……聞いていたけど、まさか自分の良く知っているおばさんまでも、人を食べていたなんて思いもしなかった。
(食べてたんだ……。 昨日、俺の全身を舐めまわしていたあの口で――おばさんは人を既に……)
糸目を引き、微笑んで俺達を見下ろしているおばさん。
葉山の家に遊びに行った時にしていた、どこまでも優しく包み込んでくれそうな表情で。
しかし、今はそんな微笑むおばさんが怖かった。
何故なら、よく見ると笑っているその瞳の奥には色がなく、心底見下したように俺達を見ていたから。
――家畜とか、そういった類のものに向ける瞳で。
「じゃあ、するわね。 もし生きている子がいたら助けてあげて頂戴ね? いなければ、別にそれはそれでいいから」
「は、はい、分かりました!」
ポンチの元気の良い返事を聞いた後、片足を持ち上げて皿を跨いだ美奈子は腰を下ろしていく。
ゆっくりゆっくりと、勿体ぶるかのように。
………………
…………
……
「んっしょ……」
その場でしゃがんだ私。
脚を閉じ、和式便器にするみたいに。
(しちゃうんだ、私……。 この子達の前で)
自分ですると決めていたのに、今さらながら恥ずかしくなる。
でも恥ずかしさを感じれば感じるほど、私は興奮してしまっていた。
男性だった人達の前で――ましてや息子の友達の正司君の前で、今から私は絶対に見られたくない恥ずべき行為をしてしまうから。
(やだ、変態みたいだわ……私)
これは、オナニーの玩具としてこの子達を使うのとはまた別の興奮だった。
やってはいけない事。 道徳的にしちゃいけない事。 ――それは分かっているのに、しかし、自分の排泄姿を見せるんだと自覚すればするほど――言いようのない性的興奮が膨れ上がっていく。
どうしようもなく……体の内から。
「お、おばさん……」
そんな時、私の足下からなにやら小さなか細い声が聞こえた。
ふと気になって、声がした方に向けて上から眺めると、そこには口をあんぐりと開けて私の股間を見つめている彼がいた。
茫然と立ち尽くしている正司君が。
きっと、私が何をしようとしているのかを察して、驚いてそうなってしまっているのだろう。
何も言わずここに持ってきて、いきなり目の前で私が排泄しようとする姿を見せているのだから。
「うふふ……」
薄く微笑み、私は正司君に本当にしちゃうのよ? という意思を込めて、閉じていた両足を徐々に開いていく。
ガバリと、大胆にM字に開脚して。
「ぅぁぁ……」
「「お……ぉぉ……」」
完全にする体勢になった私の姿に、たくさんの畏怖をするかのような歓声が上がる。
剥き出しになった私の股間の前での、正司君や数々の男の人の声が。
ああ、たまらない。 とってもそそる。
ウンチをしようとしている私を見る事しか出来ず、ただ声を上げているしかない、情けない彼らの心情を考えると。
「ん……んんっ…………」
そんな彼らの声の中、私は悠々と息み始めた。
お腹にギュッと力を込めて、いつもしているみたく。
すると、お尻の穴からガスが吹き出したのだった。
腸内に溜まっていた下品で臭いオナラが、彼らの声に応えるように。
「ぅぁ……くぅ……」
オナラの臭いが香ったのか、苦しそうにしている正司君。
他の男の人達も、声は出さないがとても辛そうにしている。
失礼な姿に若干ムッとしてしまうが、私は構わずもう一度息む。
早く腸内に溜まった異物を出したくて。
「んっ……んんぅ……ふっ……んぅ……あら?」
だけども、いくらお腹にギュッ! ギュッ! と力を入れても、出せそうになかった。
いつもはすんなりと出てくるのに。
「おかしいわね……すぐそこに便意を感じるのに。 もしかして、自分でも気付かない内に緊張してるのかしら?」
きっとそうかもしれない。
こういう風に、元々人間だった大勢の男の人の前でするのは、始めての経験だったので。
「どうしましょう、このままやめちゃうとお腹が張って辛いし。 うーん……あっ! そうだわ!」
どうやら大勢に見られながらする事に緊張しているようだ。
――だったらと、そんな緊張を緩和させるとても良い案を思いつく。
「ねえ正司君、私のお尻の穴を舐めてもらえないかしら?」
緊張とお尻の穴、もろともをほぐしてしまえる――名案を。