◇
~ 夜 ~
来ている衣服を脱いでいくご主人様。
僕はご主人様の足下で、裸になろうとしている彼女の姿を一言も発する事なく見ていた。
ゴクリと生唾を飲み込み、夢中になって。
パサッ
そんな僕の傍に、純白である二つのお椀の形をした物がふわりと落ちてきた。
先ほどまでご主人様が身に着けていたばかりのブラジャーが。
次には、目の前にあるご主人様の左の片足が緩やかに持ち上がっていく。
それからスルスルという音と共に、こちらも純白である布がご主人様の右の足下に伝って落ちてきた。
人間に穿かれ、これでもかと引き伸ばされていたパンツが、小さく縮こまった状態で。
(こ、こんなに小さいのを穿いてたんだ……)
僕は誘われるようにご主人様の足下から、上へ……上へと顔を上げていく。
脚の脛から膝、太ももから逆三角形を作った股間、そして身体の上半身へと。
「……どうかな? ポン吉」
僕の視線に気付いたご主人様は目を逸らし、恥ずかしいのか顔は赤面している。
でも、大事な部分は隠そうともしなかった。 言葉の通り、彼女が望んで僕の前に曝け出しているため。
この後、ご主人様は僕にこの身体をご奉仕をさせるのだから。
「ブブウゥ……」
ゆえに隠さないからこそ見える、ご主人様の陰毛地帯。
黒々と艶輝いた陰毛が股間部を覆うように生い茂っているが、されど汚く見える訳ではなく、寧ろ手入れをしているせいか、股間を飾るアクセサリーのように見えて美しい。
そんな陰毛が茂った股間から、上半身に目を向けていく。
そこには女性を象徴した、二つの膨んだ胸がある。
以前、僕を飼っていた奥様よりも張りがあり、されど柔らかそうなおっぱいが。
「ハァ……見みられてる……ポン吉に私の裸を……」
ご主人様が喋り、身じろぐたびにおっぱいが揺蕩う。
かようなおっぱいの揺れに、中心部にある色濃く変色した乳首も揺さぶれている。
まるで踊っているみたく。
(うわぁ……)
ご主人様に見惚れてしまう。
ペッティーとなってたくさんの人の裸を見てきたけど、僕には一番魅力的に見えていたから。
ぼんやりと呆けてしまうほど。
(馬鹿だよ……あいつは)
頭の中に浮かんだ憎らしいあいつの顔。
考えた通り、本当に馬鹿だと思う。 こんな綺麗な人と別れてしまっただなんて。
多分だけど、ご主人様――花園卯月さんの心の中にはまだあいつがいるはずだ。
昨日の夜、あいつの写真を見ていた花園さんの表情は、とても寂しそうにしていたから。
かと言って、僕にはあいつの代わりにはなれない。
彼女に心から頼られるような存在には。
そう……人間同士が寄り添い合える恋人関係とは違い、そんな人間のペットとして生きる選択をした僕には、今後もそういった関係になれやしないんだ。
だけど、そんな僕だけども――傷ついた心を癒す事ができる。
僕と居る間はあいつを忘れさせる事が。
人間に飼われるペッティー(ペット)であるからこそ。
(ああ、そうか。 これって直接的じゃないけど、間接的にあいつに対しての復讐にもなるのかな……)
ふと、邪な考えが過った。
花園さんの心からあいつを消し去り、完全に忘れさせる事が出来たらどれほど痛快なのかと。
――寝取る。
(そうだ、あいつから花園さんを僕が寝取るんだ)
これは文字通りの意味。
身体の関係から、花園さんの意識を僕だけに向けていく。
普通だったらそんな事は不可能だ。
でも、ペッティーとなった今の僕にはそれが出来る。
お客様の身体のために、散々とテクニックを磨き続けさせられてきたのだから。
実際、結婚した相手である夫よりも気持ちいいからと、僕としかそういう行為をしたくないと言ってた婦人の方もいた。
また、僕の事ばかり考えてると言って、愛でるためだけにお店に来てくれたりするご婦人の方も何人か……。
だから出来るはずだ。 花園さんの意識を、あいつにではなく僕だけに向けさせる事が。
「あ、ポン吉ったらもう一つのしっぽもこんなに大きくしちゃって」
「ブ、ブウゥッ!」
かような邪な考えをしている僕の両脇を掴んで、軽く持ち上げてしまうご主人様。
そしてすぐに僕をベッドの上に乗せるのだった。
「淡いピンク色をしてて綺麗、ポン吉のしっぽ❤」
ご主人様がしっぽと言うのは、僕の性器である――俗にいうペニスの事。
かようなペニスを自分で隠す事も出来ないため、間近でマジマジと見られている。
それもこれも、ご主人様によって仰向けに押し倒されているからだ。
真上に覆い被さり、左手だけで僕の両手を押さえつけ、万歳をする形で。
「すっごくプリプリしてそう」
さも、蟹の身のように例えられた僕のペニスに向けて、ご主人様は吐息を吹きかける。
「フゥ~っ❤」
「う”ぅぅ」
ご主人様の生温かな吐息が、僕のペニスの回りを優しくくすぐりながら纏わりつく。
吐息というたったそれだけの刺激なのに、でもそれが気持ちよく……僕のは無様にも反応を示してしまう。
「こんなにビクンビクン跳ねちゃって♪ ん、あれ? 先っぽからお汁も垂れちゃってきてる。 私、まだ触ってもいないのにね」
見ると、先端から丸い透明な雫がぷっくらと湧き出ていた。
射精を我慢して分泌される――カウパー腺液(せんえき)というものが。
そんな湧き出た雫は形を変えて落ちてゆく。
静かに伝い、肉棒を濡らして。
「わぁ、我慢していたおかげですごい熟してる」
かようなペニスの様子を眺めながら、唇の回りを舌で舐るご主人様。
その表情はとてもいやらしく、妖艶。
だからか、またペニスは元気よく跳ねだした。
「わわっ! まだ跳ねるの? うふふ、すっごい元気。 待ってて、すぐ楽にさせてあげるから。 ここまで我慢させてしまったもんね、味わって食べてあげる」
そう言ってご主人様は、ペニスの根本まで垂れ落ちた雫を舌で舐り取り、上へ上へと動かしていく。
浮き出た血管に舌を這わせて昇り、カリ首の裏腹を舌先でなぞって。
あまりに気持ち良くて、先端の鈴口から再度プクッと顔を現す雫。
まるで新たな生命が息吹くかのように湧き出てきた。
だけど、
「んちゅぅっ❤」
「ブッ⁉ うぅぅ…………」
せっかく息吹いた生命は、いつのまにか天辺まで昇っていたご主人様の唇によって、吸い取られてしまったのだった。
鈴口にキスをする形で唇をくっつけられ、逃さぬように。
「んふっ♪」
ペニスからチュパっと唇が離れた後には、雫の代わりにご主人様の唾液がたっぷりとついている。
キラキラと輝きみせて。
「ブゥ……ゥゥ……」
「……んぅ♪ ちょびっとだけなのに濃い味、すっごく美味しい。 もっと欲しいな……」
ペニスのカリ首の全てが温かな物に包まれた。
ご主人様が口で僕のをパックリと咥えてしまったからだ。
「うゥ……」
ヌメヌメとした舌でペニスが舐られる。
舌の表面、裏、左右でコロコロ舐り転がし嬲って。
「ブウゥ――ウゥッ……」
気持ち良い……気持ちよすぎる。 射精感が急速に昇り詰めるほどに。
ゆえに僕は我慢が出来なくなり、思わず逃れるために身体を動かそうとするのだけど、でも……ご主人様は両手で力強く僕の身体を押さえつけてしまっていて動けやしなかった。
ピクリとも、まったくといっていいほど。
そんな状態の僕の耳に、ご主人様の薄笑い声が聞こえてきたのだった。
「んふふっ」
見るとペニスをパックリと口に咥えたまま、ご主人様は楽し気に微笑んでいた。
僕の顔を見つめ、眺めて。
「――ッぷはぁ! もう、駄目でしょう? 動いたりなんてしちゃ。 ゆっくりポン吉を食べさせて? はぁむ❤」
――食べさせて。
その言葉の通り、僕はご主人様に頂かれてるんだ。
美味しそうに僕のペニスを口の中で頬張り、味わわれて。
これは僕の物なのに。 僕の身体の一部の物なのに。
――さも、これはもうご主人様の物みたく……。
色々なご主人様に舐られている時に、いつもこういう気分にさせられる。
人間に食べられる――料理にされた気分に。
押さえつけられて身動きが出来ないため、完全に今の僕はまな板の上の鯉状態だ。
何も出来やしない。 ただモグモグと口の中で舐られ続けているだけ。
本当に僕自身が食べられている訳じゃないけど、もしかしたら生きたまま人間に踊り食いされるあの白魚も、また涼子様達に夜ご飯の肉にされて食べられたあの人も、僕と同じ思いを抱いていたのかな。
――直接人間に食欲という欲求をぶつけられ、食べられてしまうという恐ろしい思いと、それとは正反対の、彼女の一部になれるという嬉しく感じる思いを。
(ああ……駄目だ……)
そんな事を考えていたら、得体の知れぬ……何とも言えない高揚感が湧き出てきた。
これは言葉になんて出来ない。 でも考えれば考えるほど、僕の股間の奥を変に疼かせる。
「ウゥゥ……ゥゥ…………」
「……ん? んふふ♪」
ご主人様は僕の異変を感じ取ったのか、舐め方に変化を付けてきた。
その変化はどことなく、溶けてきた棒アイスを零さないよう、むしゃぶって舐めとる行為に似ている。
「ブぅ……ぁぁぁ……」
これは僕にとって大きな変化だった。
柔らかい舌で優しく舐られていたのが、唇が吸い付いたりして激しさを増したのだから。
――ゆえに、肉棒の内部から熱を持った物が昇りつめてきた。
奥深くから、先端である鈴口を目指して。
そしてとうとう、
「ウ”ウ”ぅぅッ!」
――ドプウゥゥッ!
放出してしまった。
睾丸の中に溜まっていた精液を、僕の小さな鈴口の穴から勢いよく。
「ウ”あぁ……ぁぁぁ……」
「ん? ――んぅぅッ⁉」
そんな僕の出した精液は外に出る事なく、肉棒を咥えたご主人様の口の中へと入っていっている。
いきなり出したから驚いている様子だったけど、零す事なく。
「んぅ……んふふっ♪」
全て射精し終えると、ご主人様は咥えていた肉棒を唇から離した。
そして嬉しそうな表情ですぐに咀嚼をし始める。
下品に卑猥な音を立てて。
(僕のを……食べられてる)
出したばかりの精液を、当然のように食べているご主人様。
濃かったのか、上下の歯で噛み潰して。
だけど、これはおかしなことではない。
涼子様から聞いた話し、ご主人様である彼女達からすれば、僕らペッティーの出す精液は食べ物であり――飲み物だからだ。
実際、僕らの出す精液を使っての料理があるらしい。
ソースみたく食材にかけられたものが。
また、アルコールと混ぜ合わされて、酒とされた物も……。
ご主人様――いや、あのお店に来るお客様は、これらを普通の料理として召し上がられているんだ。
僕ら小さくされた者が出す精液は、女性が食べられる物にどういう訳か変質してしまっているらしくて。
当たり前に……精液だというのに。
それもこれも、お客様からすれば僕らは人間じゃなくなったので。
牛や豚みたく、家畜としても見られているので。
だからお客様には抵抗感ってものはないのだ。
涼子様いわく、僕らの精液を搾精する行為は牛の乳を搾るのと同じらしい。
ほんとあのお店で家畜やペットとして僕らは見られ――扱われているんだ。
だからおかしくない。
ご主人様が、僕の精液を口の中で咀嚼していたとしても。
――元同級生だった花園さんも、僕の出す精液は食べ物として見ているから。
「んぅ……んっくっ」
この話しが真実であるように、咀嚼を繰り返していたご主人様の喉から、ゴクンッといった嚥下音が鳴った。
僕の体から排出した精液を、食べ物として飲み込んだ音が……。
「ふふ、ポン吉のお蜜……美味しっ❤ これって朝食の時、ジャムとして食パンに塗っても合うかな? それともサラダにかけた方が……んーどっちも美味しそう。 あ~んっ♪」
恍惚とした表情で独り言を呟いているご主人様。
そんな彼女はまた肉棒の先端を咥えてしまい、今度はチュウチュウと吸い始めるのであった。
……もの凄い吸引力で。
「――ブウゥッ⁉」
股間の中腹あたりにシコリとして感じていた精液が、急速に上へと駆け昇っていく。
ご主人様の口の中へと吸い込まれて。
まるでストローのように扱われている僕のペニス。
いや、まるでじゃない……。 本当にストローとして使われているんだ。
コップの底に残ったジュースを吸い取るが如く、ペニスの内部に残った精液を吸い取って。
「ウゥゥ……ッ」
ひと吸い、ひと吸い毎に物凄い痛みが股間に走り、身悶えてしまう。
されどご主人様は、構わずペニスをストロー代わりにして吸い上げる。
「ん~♪ うふふ、チュウゥゥッ❤」
「ブウゥゥ……」
夢中になって僕のペニスを吸っているご主人様は、とても下品であった。
そう、下品。 ――下品であるはずなのに、されどどういう訳か上品にも見えていた。
昼下がりのちょっとしたお洒落なお店のテラスで、コーヒーや紅茶を嗜んでいるみたいな……そんな。
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遅れてしまい申し訳ございません。
そして、読んでいただきありがとうございます!
間近で人間に美味しいといって自分の一部を味わわれる……。
食べられてはいないとはいえ、一切抵抗できない力関係がありますので、それはきっとものすごく怖いでしょう('ω')