XXX4Fans
広域はんい from fanbox
広域はんい

fanbox


⑦縮小奴隷日記外伝 ~ペッティー~

 

 ~ それから時が経ち、卯月に飼われて六日目の最終日 ~


 ペット用の籠に入れられた僕は、ご主人様にどういう訳かエロステへと連れられ、宿泊部屋のベッドの上に寝転がされていた。

 いつもよりも遅い時間に帰宅したご主人様に、帰って早々――。


「ぶ……ぶぅ……」


 僕の貸出期間は後一日残っているのに、何故エロステへと連れてこられたのだろうかと困惑する。

 そんな僕を上から見下ろすご主人様は、どこか様子がおかしかった。

 普段、僕に笑顔を向けてくれてるのに今日はそれがないため。


 だから僕は物凄く不安になった。

 もしかして僕は……ご主人様に飽きられてしまったのではないかと。


「ぶ……ぶうぅ……」


 言葉を話して喋りかける事が出来ないので、僕は鳴いてご主人様を窺う。

 どうしたの? と首をかしげて伝わるように。


「あ、黙ちゃったままでいてごめんね? 急にエロステに連れてこられたから戸惑ってるんだね。 でも何でもないから大丈夫だよ。 ただ、お店の人に無理言って貸してもらった玩具を、使おうかどうか迷っていただけだから」


 さっきまでの表情は嘘のように、いつもと同じ笑顔を向けて何でもないと答えるご主人様。

 どうやら飽きられていた訳じゃないのだと、僕はホッと胸を撫でおろしたのだけど、


(……玩具? 迷っていた?)


 ただ、彼女が話す続きの言葉が妙に気になった。


「うん、そうね! 元々使うつもりで高いお金も払ったもの。 だったら、 “玩具になった彼” を使わないと損よね」

 

 ご主人様はうんうんと、自分に言い聞かせるみたいにしきりに頷いている。

 僕は彼女が言ってる意味が分からなく、困惑しているだけ。

 だけど、すぐに知る事になる。

 ご主人様が僕の股間の傍に置いた、“物” を見て。


「――ブブッ‼」

(な、何だこれッ⁉)


 置かれたそれは、妙に人間にそっくりな人形だった。

 いや人形なんかではない、紛れもなくこれは人間の男だ。

 お店で……僕以上に小さくされた。


「ふふ、今日はこれを使ってしよっか♪」

(これを……使う?)


 ご主人様が使うと言った意味。 それはこの人を快楽の道具にするという事だろう。

 そう、ご主人様は自慰行為に使うと言ってるんだ。

 この……小さくされた人間を。

 現にもう、ご主人様はすぐに始める気なようで裸になってしまっている。


 ……でも、この人を使ってするという事は、別にご主人様にとっておかしな事ではないんだ。

 ご主人様だけじゃない、他の女性の人であっても。

 だって、小さくされた者をそういった行為に使うのは、この店では常識だから。


 そんな小さな男は、僕の股間の傍でしきりに首を振って辺りを見回していた。


 可哀想に……自分の現状を把握していないのだろう。

 自分が何処にいて、そしてこれから何に使われるのかを……。


「ねえポン吉、この小人を良く見てみて? きっとビックリするよ」

「ブゥ?」


 ビックリするとは何だろうか? 僕は寝ている姿勢から首だけを上げて、置かれた人をまじまじと見つめる。


「――ブブゥッ⁉」

(――えっ⁉)


 僕はこの小さくされた人が誰だかを気付き、驚きすぎて声を出してしまった。

 忘れもしない、この人は……この男は昔――僕をイジメていた『柿澤 大輝』だったからだ。


《おわぁッ! な、何だこいつはッ! ば、化け物⁉》


 柿澤の方もこちらに気付いたようだ。

 ただし、僕が誰であるかは気付いていないみたいだけど。


「うふふ、気付いたみたいだねポン吉。 どう? 久しぶりでしょう、大輝と会うの」


 ベッドに座ったご主人様は上半身を傾け、僕の下半身に顔を近づけて喋る。

 ご主人様の吐息が股間にかかるすぐの距離で。

 従って、僕の股間付近にいる柿崎は、やっと僕という存在の他にも人がいるという事に気付いたようだ。


《ヒイィィッ! こっちにも化け物が――ッ‼》


 腰を抜かしたのか尻もちをつき、天を見上げながら驚愕している柿澤。

 無理もない。 真上から見下ろされている人間の顔は、とても醜く見えているはずだから。

 これは僕でもたまに怖いと感じる時がある。 だから人間の中指ほどでしかないこいつから見れば、尚更なはずだ。


 ゆえに柿澤には本当に化け物と、そう見えていたに違いない。


「ちょ、ちょっとぉ! 元カノに向かって化け物って何よ!」

《うぐぅぁぁ……も、元カノだって……?》


 手の平で両耳を押さえて返事をしている。

 きっと柿澤には、ご主人様の声が拡声器で話されているみたく、爆音に聞こえているのだろう。


「ちょっと何? 本当に気付いてないの大輝。 私、卯月なんだけど」

《――へっ? うづき? うそ……だろ? な、何でそんなに馬鹿でかいんだよ! ありえないだろ! ゆ、夢か? これ》

「夢でもなんでもなくて現実だよ、大丈夫? ……それと、私が大きいんじゃなくて大輝がすごく小さくなってるんだよ」

《は? 俺が小さく……?》

「うん、童話の世界の小人みたいに」


 柿澤は自分が小さくなっていると聞いても未だ信じきれていないようだ。

 キョロキョロと辺りを見回しているが、多分この行為は自分の目で現状を知ろうとしているのだ。

 体験している事柄があまりにも、非――現実的すぎるから。


《家具なのか? あれは……。 た、確かに周りの色んなのがでかい……。 本当に小さくなっているのか? 俺は》


 自分が小さくなったという事を受け入れようとしている柿澤。

 まあ、受け入れるしかない。 こいつから見るありとあらゆる物は全てが巨大で、否定しようがないので。


《お、おい……お前が卯月なんだとしたら、傍にいるこの変な生き物はいったいなんだ……》


 恐る恐るといった感じで、こちらを見ている柿澤。 どうやらまだ僕の事に気付いていないみたいだ。


「ふふ、気になる? この子はね、なんとブタ男だよ。 今はポン吉って名前で、私のペットなの。 可愛いでしょう~♪」

「は、はぁっ⁉ こいつがあのブタ男だって! そ、それにペットって――」

「うんペット。 もう私と同じ人間じゃないんだよ。 大輝ほどじゃないけど、ポン吉も身体が縮んだ、小さな動物だからね」

「に、人間じゃないって……卯月……お前……」

「あ、もちろん大輝も人間じゃないよ? こんなに小さいのが人間だなんておかしいものね」

「いや人間じゃないって……だったら俺もブタ男みたく、お前のペットだっていうのかよ!」

「うふふ、何を勘違いしてるの? ペットってそんな訳ないじゃん。 大輝はね、私とペットのポン吉が気持ち良くなるための道具でしかないのに」

「ど、道具……?」

「ほんと大輝って馬鹿だよね。 私について来てエロステに侵入してなければ、こんな目に会うことはなかったのに」

「卯月について来て……? あ……そうだ……俺は…………」


 ………………

 …………

 ……


 大輝は卯月に決別の言葉を言われた日から、寄りを戻そうと躍起になっていた。

 もう一度話すために、毎日しつこく卯月の後を追って。


 『もしかして他に男ができたんじゃ?』――そんな疑念が、彼を狂気に走らせてしまう。

 ゆえにストーカー。 大輝はまさしくそうなってしまっていた。


 そして今日も卯月の後を追っていた大輝だったのだが、この日は運が悪かった。

 卯月は大学の帰りに、ポン吉と遊ぶ玩具を買いにエロステに寄ったからだ。

 会員しか入る事が許されない、犯罪者の男を犠牲に――女性が楽しむ1251ビル八階に。


「……行ったな。 よ、よし……後を追おう。 もしかしたらここで男と待ち合わせをして、浮気をしているかもしれないからな」


 卯月が上がったのを確認してから後を追うように、唯一八階に上がれる隠されたエレベーターに乗ってしまった大輝。

 そしてエレベーターのドアが開いて降りた先は、高級と言ってもいい……そんな場所であった。


「な、何だこの階層は……」


 彼は煌びやかな廊下に驚愕しながらも、一歩足を踏み入れて歩きだす。

 廊下に敷かれた真っ赤な絨毯の上を。


 道や壁紙はとても煌びやかなのに、何処か異質だと思わせられる廊下。 

 それはこの廊下には人の気配がまったくなく、静かすぎるせいなのか。

 そう思いながらも、卯月の姿を探しながら慎重に進んでいった大輝は、明らかに人が出入りしたであろう半扉になっているドアを見つけたのだった。


「開いてる……。 もしかすると、卯月はこの中に入っていったのか?」


 そう思い、大輝は音がしないよう静かにドアを開ける。


(……雑貨とかを売ってる部屋か? ここは)


 部屋の中は並べられた高級そうな机の上に、グラスや石鹸等といった生活品らしき物が置かれていた。

 また、レジカウンター前に立つ卯月や、彼女を応対しているポニーテールをした渚 涼子の姿も。

 それらを見て、大輝は心の中で雑貨売り場なのだと当たりをつけたのだが……。


(ん? グラスの中に何か入ってる……人形……だよな? でも喋ってるし動いてもいるぞ……)


 目を凝らしグラスの中身を見る。

 するとグラスの中には、こちらに向けて助けを乞う、妙に人間味を帯びた人形が入っていた。


「――うわッ⁉ て、しまった」


 人の手の指の大きさでしかないただの人形。 そう、人形であるはずなのに、言動が余りに人間に似ているから驚き声を上げてしまった大輝。

 そんな驚き声に、涼子と卯月は始めて大輝の存在に気付いたのだった。


「あら……」

「えっ?」


 目を見開き大輝を見ている涼子と卯月。

 この階層に呼ばれてもいない “人間の男” がいるなんてありえないからだ。


「どうして大輝がここに……。 も、もしかして大学から私の後を付けてきたの?」

「いや……お、俺は……」

「ああ、この方が花園様が話されていたストーカーですか」

「はい、そうです……。 ここ最近ずっと困ってて……」

「お、おい……ストーカーって俺の事を言ってるのか? な、何だよそれ。 俺はただ卯月ともう一度だけ話したくて」

「もう私達は話し合ってお別れしているでしょう? それに知ってるんだよ、私を攫おうって友達と話していたのを。 ほんと怖かったんだから!」

「へ? 攫う? いや、違うって! 卯月が俺を見たらすぐ逃げるから、友達に話し合いの場を頼んでただけで……」


 変な所の会話を卯月に聞かれていたのを知って、バツが悪くなり尻すぼみになっていく言葉。

 今までの行動は、ただただ寄りを戻したくてしていた事なのに、どうしてこんなに睨まれなければならないんだと悔しくもなって。


「なるほど、卯月様の話されていた通りの方ですね」


 そんな静かになった空間に、涼子の声が響く。


「え? いきなりなんだよ、あんた……は…………」


 ここで卯月から、始めてしっかりと意識を涼子に向けた大輝。

 彼は涼子の姿を見て、言葉の途中で生唾を飲み込んだのだった。

 人よりもかけ離れた美貌をしている渚 涼子。

 そんな彼女は胸元を開き、そして身体の線が分かるスーツ姿であったから。

 ……まあ、要するに見惚れてしまっていたのだ。


「本当にどうしようもない男ですね、あなた。 ……まあ、別にあなたに見られようが、もうどうだっていいのですが」


 自分の胸元や身体に向けられる不躾な視線。

 涼子は溜息を吐きながら、大輝の元へつかつかと歩いていくのだった。 手には紅い液体の入った注射器を持って。


「えっ? ちょ、ちょっと……」


 大輝の前に立ち止まった涼子。

 目と鼻の先といってもいいのか、顔と顔を合わせる距離であるため、大輝は緊張をして慌て出す。


「大人しくしていてください、すぐに済みますので」


 頬に触れる冷たい手の感触。

 指先で優しく大輝の頬を触っている涼子の声は、まったく感情の籠っていない声。


「――いつッ! な、なにを……? あ……あれ?」


 そんな声がしたのと同時に、大輝の首筋にチクリとした痛みが走り、すぐに急激な眠気が大輝を襲うのであった。


「まったく、男子禁制なのに侵入してくるなんて……」

「ごめんなさい、私のせいで……」

「いいえ、構いません。 こうして活きの良い商品が手に入ったのですから」

「しょ……商品……。 あ、あのっ! それでしたらそれを一日だけ貸し出して貰えませんか? ポン吉と彼は昔……その色々あったから。 会わせてあげたいんです。 今も……過去の事を気にしているみたいだから」

「ああ、そういえば昔、ポン吉が面接を受けていた時にトラウマの話をしていたわね。 興味がないから大部分聞き流していたのだけど……ああ、そう……何となく彼が原因でってポン吉が言ってたのは覚えているわ」

「はい、だからお願いできませんか? 今の大輝と会えば、ポン吉のトラウマを少しでも解消する事ができるかもしれないから」

「うーん、そうね……まあ、これまでポン吉は従順なペットになって働いてくれていましたので、人間だった頃に抱いていた心のシコリを取り除けるのなら、ここで一度報いてあげるのもいいかもしれないわね」

《う……うぅぅ…………》


 凄まじい眠気で朦朧とする意識の中、かような二人の会話が大輝の耳に聞こえていた。

 何を言ってるのか、まったく理解出来ない会話が。


「分かりました。 卯月様、これをお貸し致しましょう。 ただし外に持ち出す事は許可できませんので、こちらに宿泊をして頂くことになりますが」

「はい、ありがとうございます! わぁ、嬉しいっ♪」

《あぁぅ……う、うづき……》


 暗く染まってゆく視界。

 彼が意識を完全に失う間際に聞こえた卯月の喜んだ声。

 奇しくもその声は、大輝が耳にした事のある喜び声と、まったく同じであった。


『ほら卯月、受け取って』

『え、これを私に? わぁ、ありがとう! 嬉しいっ♪』


 昔――始めて指輪をプレゼントした時の声と……。


 ………………

 …………

 ……

⑦縮小奴隷日記外伝 ~ペッティー~

Related Creators