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広域はんい from fanbox
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①縮小奴隷日記 14話 前編 私の奴隷


「はい、じゃあ最近物騒だから気を付けて帰るんだよ」


 担任であるキノちゃん先生のホームルームが終わり、教室内がガヤガヤと一気に騒がしくなる。

 長い授業からの解放感からか、クラスメイトの皆が思い思いにお喋りして。


 そんな毎日と見慣れた教室内の光景を私は眺めていた。

 最も賑やかだったクラスメイトの “彼ら” がいない事が、日常となった教室を。


「白鳥さん、どうしたの?」

「ん……へっ⁉ な、何? 川畑さん」

「いや、何って……ずっとぼんやりしてたから」


 気付くと、隣の席の『川畑 友莉佳』(かわばた ゆりか)さんが、心配そうな表情で私を見ていた。

 ただ “どうでも良い事” を考えていただけなのに……。


「ほら、最近ぼんやりしてる事が多いからずっと気になってたんだよ。 何か悩みとかあるのかなーて。 話せる事なら相談してもいいからね? まあ、私じゃ力になれるか分からないけどさ……」


 どうやら川畑さんは、普段の私を見て心配をしてくれていたようだ。

 確かに川畑さんのいう通り、私は最近までずっと悩みを持っていた。

 それは、どうしたら私だけの従順な奴隷を作れるのかと考えていたから。

 以前読んだ小説、【女主人と小さな奴隷】という二人の関係のような。


 彼女と一匹の犬(少年)の関係は、本当に羨ましかった。

 主人だけを想い――尽くすという一途な感情を向けられるのは。

 現実にも小説に似た関係になっているお二人を見ているので、尚更に羨ましい。


 茉由さんと神谷君(ペロ)、そして柏木さんと葉山君(ポチ)の関係を。


 だから私は、どうすれば作れるのかと考えていた。

 どうすれば一途に、私に愛情を向けてくれる “物” が手に入るのかと。

 

 ……まあ、そんな事をあのお店の特別を知らない川畑さんには、当然相談なんて出来ませんけど。

 それにもう、悩んではいませんので。


「いえ、本当に大した事じゃないので大丈夫ですよ。 心配をしてくれてありがとうございます」

「いや、お礼なんていいよ、友達じゃん」

「……うぅっ」


 川畑さんの友達という響きが胸に刺さる。

 エロステの内情を話せない事が、何だか川畑さんを騙し、裏切っているようで。


 そんな私が罪悪感に苛まれている時、まるで助け船かのように柏木さんと茉由さん、並木さんと桜さんの鞄を持った四人が、こちらの席に私達を呼びに来てくれた。


「しおりん、ユリユリ、期末で部活がないんだし皆で一緒に帰ろ」

「あーいいよ! 帰ろっか」

「友莉佳と一緒に帰るのいつぶり? すっごい久々なんだけど」

「ほんとだよね! ユリちゃんと帰るの」


 先ほど話していた会話が無かったかのように、新しい会話で騒がしくなる。

 川畑さんはにこやかに楽しそうだ。

 おかげで、私の方も楽になっていく。

 言いようのない罪悪感が薄らいでいって。


「いやー期末テストほんとだるい。 何でこの世にテストなんてあるの? ……つらい」

「わかるわー! 赤点とか取ると補修とかいう地獄が待ってるし。 どれだけあたしらを勉強漬けさせたいんだって」


 げんなりとした表情で呟く柏木さんに、桜さんが勢いよく返事する。


「そんなに辛いの? 習った事を復習してたら赤点までは取らないと思うけど」


 天上院さんの言葉に私はウンウンと頷く。

 だけど頷いているのは自分だけで、他は皆視線を逸らしていた。


「はぁ~茉由……私達はしてないから絶賛困ってるんだよ……。 そんなのしてるのは茉由としおりんぐらいだって」


 まるで分かっていないと、オーバーにやれやれといったジェスチャーをする柏木さん。

 それに同意するように、今度は私以外全員が頷いた。


「どうして私が間違ってるみたいな雰囲気になってるんだろ……。 ねえ詩織ちゃん、私何か変な事を言ってた?」

「変な事なんて言ってないですよ茉由さん。 私達とは違って、日々をしてこなかったからこういった辛い思いを味わっているだけですから」

「ちょっとしおりん辛辣すぎぃ! そんな見捨てたみたいに言わずにあたしらを助けてよぉ!」

「あ、ちょ! やめっ、やめてください!」


 肩を掴んでガクガクと揺らす桜さん。

 あまりに勢いよく揺らすものだから、脳が揺れて気持悪くなる。


「わかっ、分かりましたからっ! 揺らすのを止めてください」

「マジ? じゃああたしらに勉強教えてくれる?」


 私の言葉を聞き、桜さんはパッと掴んでいた手を放す。


「べ、別に勉強を教えるぐらい構わないのですけど……」

「やったっ! 天上院さんもおけ?」

「私もいいよ。 教えるのは試験の復習にもなるから」

「ならこの後皆で集まって勉強会でもしようよ」

「おーいいね!」

「勉強会かー。 うーん私も参加しようかな」

「うん、ユリちゃんも一緒にしよっ」


 並木さんの勉強会の提案に、桜さんと川畑さんが同意する。

 きっと勉強を教えるといった手前、当然私も頭数に入れられているのだろう。

 ですがあいにくと今日は都合が悪い。 だから私はすかさず断りを入れる。


「ごめんなさい、今日はこの後予定が入ってて、どうしても勉強会に行けないんです」

「私と茉由も今日は無理……。 ね? 茉由」

「うん……ごめんね?」

「えーマジ? せっかくやる気があがったのに……」


 話していた通り、このあと私達には用事がある。

 エロステに行くという共通の用事が。

 まあ、マッサージを目的にしている私と違って、お二人は単にお店で働いている神谷君と葉山君を迎えにいくだけみたいですけど。


「残念だけど、予定が入ってるならしょうがないよね。 じゃあ勉強会は別の日にしよっか」

「だねー、まあ帰りながら集まれる日を決めようか」



 わいわいと勉強会の日取りを決めながら教室から出ていく女子高校生達。

 いつにする? と、それぞれの予定を合わしながら。


 そんな中、詩織の頭の中は勉強会とは関係のない事でいっぱいであった。

 玩具として完成された――同級生だった “彼” との再会の事で。


「……うふふっ」


 一人、薄く頬を染めて色気のある笑みを浮かべている詩織。


 彼は当然知らない。

 同級生の女子が、自分を目的に来店しようとしているなんて。


 女性らしく成長した胸やお尻を自慢気に揺らし、歩みを進める詩織。

 ああ、彼との再会までもうすぐだ。 二人の距離は着実に近づいていっている……。

 彼女が一歩一歩、歩くたびに……。


 ………………

 …………

 ……



 場は移り代わり、【エステサロン・エロスティック】。

 女性限定の飲食をする店内にて、青年は主婦やOLがランチを食べている姿を唖然として見ていた。

 閉じ込められたグラスの中から、自分とはかけ離れた巨人の人間達が住む外側の世界を。


「ええ、そうなの。 夫は出張続きだから私は最近のんびりとできて」

「あら、うらやましい」


 そんな青年を気にする事なく、美味しそうにテーブル席でケーキやコーヒー等を嗜んでいる人間の女性達。

 全く以て見向きもされていない青年。 いや、時折視線は向けられてはいるが、意識をされていないのである。

 それはもはや女性達からすれば、青年はそこに在って当たり前のインテリアと化しているためか……。

 

 何故ならここは、青年みたいな小さな存在を、美容と淫欲を発散するために消費する場所であるからだ。

 それは家畜のように、残酷にも生きたままの命を奪ったりして……。


「ふふ、それでね?」

《ヒグウゥゥゥッッ!》


 ほら、実際に主婦は友人とお喋りしながら、一人の男の命を今――まさに奪おうとしている。

 ケーキの上にフルーツとして載せられていた男の脇腹を、無遠慮にフォークで突き刺して。


 目の前でガパリと開かれた口の中は、今しがた食べているケーキの残骸や粘ついた唾液でいっぱいだ。


「あ~んっ」

《ぃや……いやだあぁぁッ!》


 そんな中へ、男はゆっくりと運ばれていくのであった。

 二度と生きては帰れない、裕福層である主婦の口の中へと――『岩田 正司』という青年の見ている前で。



 ブチッ! バキッ!

 グチッ……グチッ……


「う……ぁぁ……食べた……。 本当に食べたんだ……あのおばさんが……人を……」


 閉じた口の中から聞こえる咀嚼音。

 それは酷く生々しく響き渡る。 俺の耳の奥にまで、さっきまで生きていた人が噛み殺されている音が。


 そう、あの人は生きていた。 絶対に動いてもいた。

 だというのにどうだ? 主婦らしき人が世間話をしながら食べてしまった。

 無慈悲に……まるで果物を頬張るが如く。


 クチャ……クチャ……クチッ……


 主婦がモゴモゴと執拗に口を動かしている。

 クチャクチャと下品に咀嚼して。

 そんな音が、室内にあるテーブル席のあちらこちらから鳴っている。

 ランチを食べにきた女性客の口の中から、男を咀嚼している音が……。


「うっうぶッ! ……っ……くっ……えぐすぎる……本当に……」

「岩田、気になるのは分かるが、あまり外の世界は見るな……」

「うん、やめといた方がいいよ……」


 俺の口から零れ出た呟きに声が返ってきた。

 眺めていた外の世界から視線を外し振り向くと、そこにはクラスメイトである『葉山 真一』と『神谷 優斗』という懐かしい二人が、悲しそうな表情をして俺を見ていた。


「いや、そうは言うが……どうしても怖くて目が向いてしまうんだ」

「それでも見ない方がいいよ。 こればかりは早く慣れて。 ……でないと――」

「ああ、分かってる、覚えているよ神谷。 さっき二人が俺に説明してくれた、ショックを受け続けていると “自分自身が何者かも分からなくなってくる” だろ?」

「うん、そうだよ」


 前日に “合格” と言われ調教が終わった俺は、今日、始めてこのカフェテリアに連れてこられていた。

 散々と女性のオナニー道具としての技巧を叩き込んだ『渚 涼子』という女性に、 “予約をしているお客様” がお越しになるのを待っている間、商品としての心構えをお友達に教えてもらいなさいと言われて。


 そこで再会したのだ。 入れられたグラスの中で、先に入っていた葉山と神谷の二人に。


 ああ、久々に仲の良い友人に会えて嬉しかった。

 嬉しすぎて、友達の前で泣いてしまうという姿を晒したりもしてしまった。

 子供のようにみっともなく、声を出して……。

 これまで辛い目に遭ってきたからこその――同じ境遇の友達がいた事の安心感で。


 恥ずかしくも、かように泣いてしまった俺を笑う訳でも馬鹿にする訳でもなく、二人は俺に会えた事を素直に喜んで慰めてくれた。

 一人で大変だったでしょう? とか、良く生きていたと言った、小さくされてから誰にも言われた事のない、労いの言葉をかけてくれたりして。


 そうして慰められ、昂った気持ちが落ち着き涙が収まった頃、このカフェテリア内にあるグラスの中に入れられた理由を二人から教わったのだ。


 今日から俺は、 “女性のための完全な商品” となったのだと。

 このお店に来店される女性のオナニーに使う、アダルトグッズという商品にされてしまったのだと。

 哀れみ含んだ同情をした顔で。


 そしてもう一つ、人間として生きていた頃や、これからの日々を記し、なるべく読み返していた方がいいと。

 そうしなければ記憶を失っていくのだと。


 これは小さくされた事によって脳が縮んで異常が起きた事なのか、それとも同じ人から道具として扱われるショック(精神的苦痛)を防衛するための、脳の働きでそうなってしまっているのか、理由は色々と考えられるらしいが。


「岩田、自分が人間だったのを忘れてしまった奴は酷いもんだぞ……」

「酷いもんって、何がだ……?」

「うん、何ていうのかな……確かに生きているのに生きていない、無機物に似た何かになるからね」

「な、なんだよそれ……」

「そんな奴らがあぁ~あぁ~呻き声を出して動くんだ……。 散々と女のオナニーに使われて体が覚えているのか、性感帯に向けていつものように。 俺達から見ればその姿は、何ともいえない気持になるぞ。 心を失ってまで動く、道具と成り果ててしまった哀れな人間の姿は……なあ? 優斗」

「そうだよね、そんな人達を使って元凶である女の人が快楽に喘いでるのを見たら、なおさらに思うよね……」

「ああ、だから心を強く持つようにして気を付けてくれ。 お前にもノートを支給されるはずだから、経験した事を日記に書き記し、自分は “何物” でもない、岩田 正司 であるという事を必ず復唱するようにして」

「……わ、わかった……絶対にそうする。 教えてくれてありがとう」


 葉山の気迫に気圧されて頷く。

 ここまで言うのだからきっと二人はこれまでに何度も経験し、見てきたのだろう。

 心を失い、道具と成り果てていく人間の姿というものを……。


「しかし、異様に詳しいな二人は……。 あの渚 涼子という怖い女にも信頼をされているようだったけど」

「……信頼か、それは俺じゃなく優斗に向けたものだろうな。 涼子さんは優斗の事をえらく気に入っているからな」 

「あはは……そうだね。 涼子お姉ちゃんは怖い所もあるけど、優しくしてくれるよ。 休憩時間の時、こっそり僕の体調とか気遣ってくれたりするし。 でもそういう真一だって、香お姉ちゃんと仲がいいじゃん」

「俺と香がか? そんなのあいつは俺の事を浣腸器具としか見てないって。 いつもあいつは便秘になったとか言って……」

「ほら、香って呼び捨てにしてるし。 そんなの許されているの真一だけだよ? 僕は絶対に呼び捨てなんて出来ないから」

「あー確かに……。 何だろうな、最初は呼び捨てにするなって怒られていたはずなんだが、なんでだ?」


 あの恐ろしい女達をあーだこーだと言ってる二人。

 だからこそ気になった事を二人に聞く。

 恐怖の対象でしかない巨人との関係値がそこまで出来ているなんて、二人はいつから小さくされて、ここにいるのだと。


「いつからか……うーんそうだなぁ……もう俺や優斗にはあれからどれだけ月日が経ったのか分からないが、まあ多分、俺達が学校を来なくなった日からだろうな」

「二人が学校に来なくなった日? 確か西谷が行方不明になる前だったな……えっと、留学をしたと聞いた日からか……。 す、すごいな、そんなに長く女に慰めの道具として使われていたなんて。 よ、よく今まで頑張ってこれたな」

「ああ、まじで大変だった。 家で寝ていたはずなのに、目が覚めたら俺の目の前に巨人の女がいたからな」

「懐かしいね、小さくされたばかりで右も左も分からない頃、僕達はいきなり涼子お姉ちゃんに使われたんだよね」

「そうだな……」


 ここに来てからの事を話し始める葉山と神谷。

 これまでしてきた経験を。


 話を聞くに、二人が経験してきた様々な事は、想像を絶するものばかりだった。


 淫具として気持良くできなければ、問答無用で俺達のような人間を食べてしまう巨人に使われた神谷の話。

 葉山が自分の妹や母親に、淫具として使われた話。

 そんな家族の二人に、父親が目の前で食べられた壮絶な話などを……。


「ハハ……そういや岩田が家に遊びに来た時、母さんと会った事があったな。 優しくて綺麗な母親だと昔言ってたのを覚えているが、これは本当の話なんだ」

「……信じてるさ、葉山が言ってるのは本当に経験した話だって」

「もう、今はあの母さんだって小さくされた人間の男を当たり前に食べてしまう――て、え?」


 信じると即答した言葉に驚いたのか、葉山は目を大きく開けている。


「信じてくれるのか? 俺の妹や母さんがした事を……。 兄でもあり、息子でもある俺でさえ――淫具として使ってくる話を」


 多分だが葉山は、俺がおばさんの事を良く知っているから信じてもらえないのだと思ったのだろう。

 家に遊びに行った時に、毎回お菓子を作ってくれたりして、本当に俺に優しくしてくれていたから。


 ……でも、既に小さくされてからおばさんと再会している俺は――


「……信じている。 だって、俺は前に葉山のおばさんに使われた事があるから……」

「――なっ! い、岩田が母さんに使われた⁉」


 言葉にせず、静かに頷く。

 それから俺は、葉山のおばさんと出会った、まだ調教される前の――あの日の夜の出来事を二人に話したのだった。


 おばさんに淫具として扱われた事を。

 俺や複数の人を載せた皿の上に跨り、至近距離で排泄行為をしてきた最悪な出来事の話を。

①縮小奴隷日記 14話 前編 私の奴隷

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