ラバーフェイスの裏側②
Added 2025-06-10 12:03:44 +0000 UTC■ 全身ラバーに包まれて仕事が出来る素敵な店員募集に応募した主人公は、ラバーフェイスの特別なラバースーツに魅入られてしまいます。これは、そんな彼女のお仕事記録です。
■ 股間の穴はともかく、口の中までラバーで覆ってしまうと大変な弊害が生まれるとは思いますが(特に唾液とか)……なんかこう上手くやってるということでーw-ペコリ
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当然ながらラバーで出来ている全頭マスクは、中身が入っていない状態だと萎んだ風船のように見えた。
だけど、ちゃんと人の顔にフィットするように作られているのは見ればわかる。
よく見ると僅かに顔の形が浮かび上がっていて、単なる丸い袋というわけではないからだ。
そのことを示すように、面接を担当してくれた女の人が全頭ラバーを広げて見せてくれた。
そうすると、人の皮みたいな形になっていることがよりよくわかるようになる。
色は黒だし、耳のあたりはのっぺりしていたから、人の皮そのものでないことは明らかではあったけど。
「耳の辺りは小型イヤホンが埋め込まれた耳栓構造になっているわ。周りの音はほとんど聞こえないから、気を付けてね」
そう説明があったとおり、全頭マスクの内側はちょっと複雑な形に盛り上がっていた。
盛り上がっているかと思えば凹んでいるところもあり、耳が潰されることなくその中に収まるようになっているようだ。
「ちなみに、お客様側の全頭ラバーも同様の構造となってるから、お互いの声は全く聞こえないと言っていいわね」
(へぇ……徹底してるわね……)
顔や身元を明らかにしなくて済むのはありがたい話だ。
こっちはもちろん、相手も知られたくないことはあるだろうし、匿名性の高さはかなりのものがあると思う。
私は全頭マスクを受け取り、被るつもりでそのマスクの内側を広げてみる。
目の部分が少しだけ薄くなっていて、うっすらと光が抜けていた。
(……そういえば、目はほとんど見えないんだったっけ?)
基本自分からどうこうするというよりは、相手に任せるという話だった。
安全上はどうかわからないけれど、相手に任せて自分は何も考えなくていいというのは、私のようなぐうたらにはいい話だ。
そう考えながら、私は全頭マスクを頭に被せていく。
「んっ……!」
割としっかり頭に密着してくる。
でも内側には僅かに潤滑油が塗布されているのか、顔と強く擦れて痛くなったりすることはなかった。
(これ……結構タイトね……!)
頭にピッタリ密着してくるのがわかる。
髪型などもわからなくさせる目的なんだから、当然ともいえたけど、割と息苦しくはあった。
そもそも口のあたりにも穴がなく、あるのは鼻の穴に当たる部分に小さな穴がある程度。着用に苦労するのはある意味当然だった。
なんとか頭を覆い、あとは微調整――というところで面接官さんが手を貸してくれる。
『少し触るわね』
耳の辺りから機械越しの声が聞こえて来て、少しびっくりした。
(そういえば、イヤホンが埋め込まれてるとか言ってたわね……)
面接官さんの手が、私の頭を撫でるように擦って来て、ただでさえ密着している全頭マスクの中から空気が抜け、さらにぴったり張り付いてくる。
その上、耳全体が全頭マスクの内側にある凹凸に嵌め込まれるように固定される。
(……! すごい、全然音が聞こえないというか……ものすごく静かになった……!)
耳全体が緩く覆われていて、周りの音が全体的に遠くなっている。
イヤホン越しの音や声ははっきり聞こえるけど、それ以外の音は全然聞こえなさそうだ。
それに視界もかなり暗くなっている。
全頭マスクは瞼に貼り付いて来ているわけではなく、僅かに隙間があるようで、瞬きは問題なく出来る。睫毛がちょっと触れているような気がするくらいの隙間だけど。
濃いスモークのかかった眼鏡でも掛けているみたいな感じで、周りはハッキリとは見えない。
程よい厚みの布越しに見ているようなもので、光の強弱くらいはちゃんとわかる。
そこに何かがあるのはわかるけど、詳細はわからないという感じで、人の顔の判別なんてもちろん出来ない。
(相手側はもう少し薄めだっていうけれど……そもそもラバーで全身覆われているわけだしね……)
これをお互いに身につけていれば、確かにお互いのことはほとんどわからないだろう。
思った以上の遮音性や視界の制限度合いに感心していると、首周りが少し息苦しくなる。
ラバースーツの首の部分と、全頭マスクの端が重なったからのようだ。
真綿で首を絞められている、みたいな表現があるけれど、感覚的にはまさにそんな感じだった。
呼吸ができないほどではないけれど、確かな圧迫感は感じている、みたいな。
『いまから熱で溶着するけど、脱ぐときは普通に破って脱がせるから安心してね』
そう断りがあった後、首回りに熱を感じた。ドライヤーの温風くらいの熱だと思う。
ただ、ラバーに覆われているのにこの熱の感覚だから、実際はもっと熱いのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、首回りの圧迫感がなくなっていることに気付く。
『はい、これで大丈夫。すぐ冷えて固まるけど、なるべく触らないでね』
首に伸ばしかけていた手を慌てて降ろす私。
そうしているうちに首に感じていた熱が消え、息苦しさや違和感は完全に消えてなくなっていた。
(いや……ほんと、すごい技術よね……じっとしてると、裸でいるみたいな……)
それを意識してしまい、ドキドキと心臓が高鳴るのを感じる。
裸ではないと頭ではわかっているけど、それでも恥ずかしく感じてしまう。
もじもじしていると、面接官さんが次に使うものを持ってきてくれたみたいだった。
『次は口の中ね。下にしたみたいに口の中にフィットするようにするから、口を開けてみて』
まさか口の中まで型を取るような形で装着するとは思ってなかった。
間違って喉の方まで覆われてしまったら窒息してしまうんじゃないだろうか。
少し不安に思ったけれど、ここまで来て今更拒否することも出来そうにない。
私は覚悟を決めて、口を大きく開く。
(……そもそも全頭マスクがぴっちり張り付いているから、口が開けられないんじゃない?)
そう思った通り、私が口を開こうとしても、顔にぴっちり張り付いている全頭マスクで顎が動かない。
頑張って口を開こうとしても、張り付いた全頭マスクがミチミチと音を立てるだけだ。
『温風を当てるから、そのまま力を入れ続けてて』
「んぐ……っ」
言われた通りに力を入れ続ける。
すると、口周りが熱くなり始めた。首回りに当てたみたいな熱を加えているらしい。
唇は一番熱を感じやすいところなのでちょっと熱く感じたけど、少しずつ全頭マスクの生地が伸び始めて、口が開いていく。
そしたら、その口の中に何かが突き入れられてくるのを感じた。
「んがっ……!?」
股間の穴にそうしたみたいに、棒状のものが突っ込まれているみたいだった。
ただし、ただの棒でないことは明らかで、口の中の形に合わせて膨らんでいる。
反射的にそれを舌で押し返すと、舌がその何かに呑み込まれるみたいに沈んでしまう。
「んぅっ!?」
『あ、舌にもラバーが密着するからそのつもりでね』
(先に言ってよ!)
そう思ってしまう間にも、口の中にどんどんラバーが広がっていく。
『いまのうちにこっちも済ませちゃいましょう。じっとして、動かないでね』
面接官さんがそう呟いたかと思うと、頭をしっかり掴まれて固定された。
そしてその上で、私の鼻の穴の片方に何かが差し込まれてくる。
少し熱い細い棒みたいなものが私の鼻の奥まで入り込んでくる。
どうやら鼻の周りのラバーを鼻の穴の中に引き込んでいるみたいだった。
その結果、私の鼻の穴はそこそこ深いところまでラバーに覆われてしまう。
(そ、そこまで徹底するの……!?)
どうせ小さな穴しか空いていないんだし、する必要があるとも思えないけれど、もう片方の鼻の穴も同様の処置がされ、私は鼻の穴の中までラバーで覆われてしまった。
そうしている間に、口の中の方も終わったみたいで、口の中をぴっちり満たしていた物がゆっくりと萎んで、そして外に抜けていく。
ただ、それがなくなっても口の中に貼り付いたラバーはそのままだった。
「ん……ん、ぅ……」
口で息をしようとしても、口の中に大量の詰め物をしているような感じがして出来ない。
ちゃんと舌は動くのだけど、ラバーに包まれた状態で舌が動くというのはとても奇妙な感覚だった。
(ん……これって、唾とかどうなってるの……? なんか、普通に喉は鳴らせるけど……?)
鼻の穴を覆ったラバーに空いた穴から、普通に呼吸は出来る。
フシュー、フシューと鳴っている音が少々気になった。
『相手もほぼ同じ状態だから、呼吸音は相手にほとんど聞こえないわ』
呼吸を頻繁にしたことで呼吸音を気にしていることに気付かれたのか、面接官さんがそういってくれた。
(しかし……口の方も中々すごい感覚ね……なにこれ)
私はそう思わざるを得ない。パクパクと口を開け閉め出来る上、それでどこかが緩んだりしている様子もない。
ラバーに覆われた舌で歯の状態を確認してみると、歯の方もラバーに覆われているみたいで、普段とは全く違う感覚が返って来た。
まるで自分の体がラバーに置き換わってしまったみたいな、変な感覚。
(非日常な感覚としてはこの上ないわね……)
そう思いながら口の中をもごもごさせていると、目の前に人影が現れた。
どうやら面接官さんが私の目の前に回り込んで来たみたいだ。
『うん、不備もなし……これで良さそうね。それじゃあプレイルームに移動するから、私の腕に掴まって。段差はないから普通に歩いて大丈夫よ』
面接官さんの肘の辺りを掴まされた。
(確か目が見えない人が誘導される時にここを掴むといいんだっけ……?)
いまの私は目が全く見えていないわけではないけれど、足元もろくに見えない状態に違いはなかったのでありがたかった。
そうやって面接官さんに連れられて、私は部屋を移動する。
その部屋はシンプルな作りで調度品の類はほとんど置かれていない。
一部箱っぽいものが見えたけれど、明確にあるとわかるのはベッドくらいのものだった。
殺風景な部屋の中央に立たされた私。
面接官さんが私から離れていく。
『それじゃあ、ここからはお客さんが導く通りに動けばいいから。事前の審査で変な人は弾かれているけれど、もし万が一横暴な行為を働く人がいても、見張りがすぐ気づいて助けにくるから安心して。パニックになって暴れたりするとそっちの方が危ないから、冷静にね』
それは事前の話でも説明を受けていた。
見張りがいるということは、要はプレイしているところを全て見られるということでもある。
ちょっと恥ずかしいような気もするけれど、全身ラバーに覆われていて個人の判別なんて出来ないし、安全には変えられない。
頷いて応えると、それを確認した面接官さんは部屋から出て行ったみたいだった。
イヤホンの電源は落とされたらしく、僅かな音も聞こえない。
ドクン、ドクン、と自分自身の心臓の鼓動の音が聞こえてくるみたいだ。
(……ふー、どんな人がくるのかしら)
緊張を解すため、私はそう思考を飛ばす。
もちろん、実際にはどんな人が来たところで、ほとんど区別は出来ないに違いない。
いまの私がそうであるように、普段の自分とはかけ離れた姿となるからだ。
(そもそも……私自身、こんなにスタイルよくないし……)
悲しいことだけど、私自身は決してスタイルがいいとは言えない。
太っているわけではない。むしろ痩せすぎなくらいだ。
細いといえば聞こえはいいけれど、実際にはあって欲しいところに肉がないという感覚だった。
そんな体つきのはずなのに、いまの私の体は非常にいいスタイルに纏まっている。
手足も、腰も、胸すらも、誰もが理想と思う程度には整えられていた。
足りないところに盛る方向はともかく、不要な部分を抜く方向でもきちんと調整されているのがすごい。
特に腰の辺りはきちんといい具合になるように締め付けられていて、惚れ惚れするくらいだ。
(黒い見た目だからあれだけど……もしも色とか自由に出来たら、もっとすごいんじゃ……?)
服を着てウィッグとかを着けたら、私だとはわからなくなりそうだし、普通に街を歩く程度ならだれにも気づかれなさそう。
そういうのも面白そうだなと思いながら、自分の体を触って確かめてみていると、部屋の一角で動きがあった。
はっきりとは見えないけれど、ドアが開いて誰かが部屋の中に入って来たみたいだった。
慌てて私は自分の体を触っていた手を降ろし、心臓が激しく高鳴るのを感じながら、その人が近づいてくるのを待った。
つづく