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夜空さくら from fanbox
夜空さくら

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繰り返し転移する俺/私は成り上がりを夢見る 盗賊団という飢えた獣たち

■ あらすじ:とある普通の男子高生・降永貴志は、夜寝る度に女性として異世界に転移していた。夢とも思えるその現象だったが、その世界で貴志は山賊を生業とする極悪人に見つかってしまっていた。人を犯すも殺すも躊躇わないその極悪人に、幾度となく犯され、殺されてしまう貴志。死ぬ度に同じところからやり直しになってしまう。最悪の状況から逃れるため、貴志はその男に『都合のいい女』として媚び、その世界での成り上がりを目指すのだった。

■ TSものの醍醐味である、『女の子の身体を楽しむ』ことが状況的に出来ない貴志くん。さらに、男なのに女の武器を使わなければならないという状況。実際陥ったら、普通の男子であればあるほど、途方に暮れてしまいそうですーw-ウム 貴志くんは果たして……?

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 女となった俺が初遭遇する相手としては、最悪の極みである盗賊団の頭・ゴル。

 そのゴルから問われた「お前は誰だ?」という問いに対し、俺は落ち着いて応える。

「それが……その、わからないんです」

「あ゛あ゛?」

「あそこに放り込まれた時に頭を打ったみたいで! 名前も何も思い出せないんです!」

 ゴルが不機嫌そうな声を発するのを受け、急いで言葉を重ねる。

 我ながらめちゃくちゃな話だとは思うけれど、そうとしか言えない。

 貴族のようなものはこの世界にも存在するみたいなのだが、俺にはそれがどういう存在かわからない。

 そうするとゴルは「嘘を吐いた」と思って俺を殺しに来る。

 一思いに殺されるだけならまだいいけれど、口に出すのもおぞましいことをされた上で死ぬこともあるので、下手なことは言えない。

 このループが一番厄介なのは、ゲームみたいにある程度選択肢で結果がかわるわけじゃないということだ。

 全く同じことを言っても、ちょっとした声の調子や言い方ひとつで全然違う結果になってしまう。

 ゴルとの会話は何度か行っているけれど、そういう流れで殺されたことは結構頻繁にあった。

 一番刺激しない会話の流れを選択したつもりだけど、果たして今回はどうなるか。

 思わず生唾を呑み込みながら、上目遣いにゴルの反応を窺った。

 ゴルはぼりぼりと頭を掻いている。

「……ちっ。まあいい。どうでもいいか。あそこにあんな格好で放り込まれてたってことは、大した身分でもないだろ」

 奉仕させておいてからそこを気にするのもどうかとは思うのだが、ゴルも一応俺が貴族とかそういうお偉いさんの関係者である可能性は考える様子だった。

 今のところゴル以上の武力に出くわしたことはないのだけど、そんなゴルでもなんでもかんでも好き勝手出来るというわけではないのだ。

「それじゃあ、これからお前は俺の奴隷だ。わかったな?」

「……はい。こ、殺さないでください……」

 頷くしかない。そして、頭を下げてゴルに命乞いをする。

 ゴルの前で正座していたから、その状態で頭を下げると土下座になってしまう。おまけに服も着せられていないから、惨めさはより一層強い。

 けれど、死にたくないという気持ちは本物だったし、痛いのも苦しいのも嫌なのは事実なので、体も声もいい具合に震えた。

 にやついたゴルの声が頭の上から降って来る。

「ふん……まあ大人しく俺に従ってれば、殺しはしねえよ。せいぜい頑張るんだな」

 下げていた頭の上にゴルの足裏が乗せられたみたいだ。

 額が地面に擦り付けられて痛い。ゴルが本気を出せば俺の頭部はスイカみたいに弾けてしまうだろう。実際にされたことがあるからわかる。

「……っ」

 恐怖に体が震える。ぶるぶると震える体に連動して、自分の胸がプルプル震えているのがわかる。

 自分でいうのもなんだけど、さぞゴルにとってはそそる姿なんだろう。

 ゴルの足裏が俺の頭の上から退けられる。

「このままぶち犯してえが……さすがに今日は疲れた。寝る」

 そう言い残すと、ゴルはベッドの上に寝転がって大いびきをかき始めた。

 毎度のことだが寝つきがよすぎてちょっと羨ましい。

 ひとまず第一段階はクリア出来たようだ。

 顔をあげた俺は、ゴルから出来る限り離れたところに移動して、体育座りの体勢で体を小さくして息を潜める。

 ゴルが寝たからといって油断してはいけない。

 逃げようと入り口に向かうと、ドアを開けた段階で気づかれて殺される。

 部屋の中のものを漁ろうとしても同じだ。次のループに備えて情報を集めるという手もないわけではないけれど、ろくな情報が得られないのはすでにわかっている。

 寝ているゴルに襲い掛かるのはもっとダメ。あっさり返り討ちにあって死ぬ方が――まあ結局死ぬんだけど――マシな目に遭わされる。

 この状況では、ひとまず大人しくしておいて、明日以降に望みを繋ぐのが賢い選択だった。

(はぁ……)

 ゴルを起こさないよう、心の中で溜息を吐く。

 せっかくそこそこの容姿の女性に変化しているというのに、それを楽しむ余裕はほとんどない。

 下手なものを持ち込もうとすればすぐにゴルに奪われてしまうし、内容によっては激昂させてしまうのでよくない。

 自分の性的な魅力を増す道具しか持ち込めないというのは、なんとも物悲しいことだ。

(ナイフとか持ち込んでも、この世界の奴って並みの刃じゃ傷つけられないんだよなぁ……)

 完全に油断しているときならまだしも、普通に警戒されているときはものすごく体を強化しているから、歯ならぬ刃が立たないのだ。

(とりあえず、自分に出来ることを増やしていかないと……)

 そう思いながら、朝まで待ちが確定している暇な現状に辟易する。

 さっさと寝てしまいたいところだけど、裸で今後も行く末も不安定となると、不安ばかりが膨れ上がって中々寝付けない。

 俺は膝を抱えて体育座りをしている自分の体に意識を巡らせた。

 床に接しているお尻と足裏からは、それなりに柔らかい絨毯の感触が伝わって来ている。

 ゴルの使っているこの部屋はこの砦の中で一番いい部屋なので、内装は結構凝っているのだ。

 おかげで腰を降ろしていてもお尻が冷たくなったりすることがない。

 ただ、裸のお尻にチクチクとした絨毯の感触が伝わって来るのが、何とも言えない感覚だった。

(ん……っ、うわ、こんなに反応して……っ)

 女の子の身体だからなのか、それとも単にこの身体が敏感なだけなのか、いずれにしてもこの身体になってからすごく刺激を感じるようになっていた。

(……もっといい人と遭遇出来ればなぁ)

 そうすれば、もっと色々楽しめただろうに。

 そんな悔しさを感じつつ、俺は自分の体に両手を這わせた。

 最初に触れたのは、やはり胸に備わっている二つの厚い脂肪だ。

 男性の時にはない二つの膨らみが、自分の手の動きに合わせてぐにぐにと形を変える。

「……っ」

 強い快感が胸に生じて、思わず呻いてしまう。

 幸い声はそんなに大きくならなかったのか、ゴルはいびきをかいて寝ている。

 そんなゴルの様子を視界の端で窺いつつも、俺は自分の胸を揉むように刺激した。

 じわじわと快感が広がって、気持ちよくなる。

(ふ、ぅ……っ。ん……っ、くぅ……)

 これまでのループ上、ゴルに大人しく従っていれば、ひとまずの危機は回避できる。

 ゴルが『自分の奴隷』だと認識しているうちは、他の盗賊どもも俺に無体なことは出来ない。

 下手に手を出そうものならリアルに首が飛ぶ。

 つまりこれで多少の安全は確保できたのだけど、だからといっていうことをただ聞いてるだけでもよくない。

 なぜかというと、数週間後にこの盗賊団は壊滅してしまうからだ。

 その際、俺は高い確率で巻き添えを食って死ぬ。

 ゴルの近くでいきなり爆発が起きて、魔力で体を守ることが出来ない俺はあっさり死んでしまうのである。

 とりあえずゴルに取り入ることで安全は確保できたけれど、今度はそのせいで死ぬという。

 このまま何もしなければ、そんな何とも皮肉な結果が待っている。

 だから俺は、うまいことゴル以外の人間に取り入って、この盗賊団を脱出しなければならない。

(色仕掛けとかさぁ……男の俺にはキツイってマジで……)

 訳も分からず女になった上、女の武器を最大限活かさなければ先がないという。

 何とも意地悪な状況だった。

 とりあえずこの身体自体にはだいぶ慣れて来ているし、現実の方で少しずつ体の具合を整えたことで、この身体はそこそこ価値のある体になっている。

 あとは恥や躊躇いを捨て去って、うまく男を垂らし込めばいい。

 それがめちゃくちゃ難しいのだけど――この世界を渡っていくためには、そうするしかなかった。

 部屋の隅で丸まったまま、目を閉じて眠りにつく。

 どうか今回はゴルの寝起きが悪くありませんように、と祈りながら。



 寝たことで一度元の世界に戻った俺は、一日普通に生活を送り、その日の晩また眠りについて自分が女になっている世界に戻って来た。

 ゴルはまだいびきをかいているが、かなり時間が経ったことは何となくわかる。

(か、体が……っ、かたい……っ)

 こっちでは変な体勢で寝ていたのだから当然だけど、体がガチガチに硬くなっていた。

 悲鳴をあげそうになるのを必死に堪え、どうにか体を動かして解す。

 そうしているうちに、ゴルがおもむろに起き上がった。

 俺はゴルを刺激しないよう、ゆっくりと姿勢を変え、土下座一歩手前の平身低頭の姿勢でゴルの動きを待つ。

 ゴルは大きな欠伸をして――ようやく俺の方を見た。

「あ……? あー。そうか」

 俺の存在を忘れていたのだろう。一瞬怪訝そうな顔をしていた。

「腹減ったな……おい、飯食いに行くぞ」

 そういって部屋から出ていくゴルについていく。

 食堂に移動するのだ。

「……はいっ!」

 元の世界では普通に食べられたけれど、この世界ではまだ何も口にしていない。

 ゴルが飯の話をしたことで、意識してしまい、お腹がぐるぐる鳴きそうになる。

 幸いというべきか、変なものを食わせる趣味はないようだ。

 奴隷だから残飯みたいなものしか食べさせてもらえないが、一応ちゃんと食事は与えられる。

 パン一つに中身のほとんどないスープという、何とも物悲しい食事だが、普通に食べられるだけマシだった。

 食堂には盗賊団の下っ端たちが何人もいて、ほぼ裸の俺に対してジロジロと視線を向けてくる。

 ゴルの奴隷になっているから、手を出してくるような身の程知らずの者はいないけれど、それでも視線はチクチク刺さる。

(くそぅ……あんま見てくんなよ……っ)

 そう言ってやりたいし、声に出して抗議もしたいが、下手なことを言ったり態度に出したりすると、下っ端たちがゴルに俺を犯させてくれと頼み始めるので出来ない。

 ゴルは大して思い入れのない状態だと、俺なんてどうなっても構わない道具の一つくらいにしか思っていないから、普通に輪姦させられる。

 そうならないよう、俺は周りを刺激しないようにしつつ、体を丸めてパンをもそもそと食べた。

 元の世界に比べると、同じパンとは思えないくらい硬い。温いスープに浸して柔らかくしてようやく食べられるレベルの酷いパンだ。

 それでも食べられるだけありがたいのでしっかりと噛んで腹に入れる。

 ゴルはそんな俺の傍で、やたらと油の乗った肉をバリバリと食っていた。

 骨ごとバキバキかみ砕いているのは怖すぎるが。

 たぶんその辺にも魔力による強化の影響はあるのだと思う。

 その気になれば簡単に俺の身体なんて潰せてしまう重機が傍で動いているみたいで、とても怖い。

 食べた気がほとんどしないまま、とりあえず朝食をとり終えた。

「さて……と。お前、ついて来い」

 満腹になるまで肉を貪り食ったゴルが、立ち上がって俺を食堂から連れ出す。

 ゴルが向かった先は、様々な道具が山積みにされた倉庫らしきところだった。

「そのままじゃつまらねえからな……確かこの辺にいいもんが……」

 乱暴に箱の中を引っ繰り返し、目的の物を探し始めるゴル。

 ゴルが何を探しているのか俺は知っている。出来れば止めたいところだが、ゴルのやることに文句を言えば命がないので何も言えない。

 俺が内心やきもきしている間に、ゴルは目的の物を見つけてしまった。


 ゴルが手に取ったものは――怪しげな文様が刻み込まれた、武骨な首輪だった。



つづく


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