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夜空さくら from fanbox
夜空さくら

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箱詰倶楽部の社長の秘話 その1

■ 箱詰倶楽部の社長は、如何にして箱詰倶楽部の社長になると至ったのか。頑なに本名を明かさない訳とは。かつての恋人とはどうなったのか。いま、彼女の秘密のベールが脱がされ――るわけではないかもしれません。彼女が箱詰倶楽部を立ち上げたのは、大体皆さんが想像している通りだと思いますーw-ウム

■ 久々に箱詰倶楽部を書いていきます。原点回帰でノーマルな箱詰めプレイを書きたいと思っています。社長の話はほとんど書いてなかったと思いますが、もしここまでの話で出た設定と矛盾するところがあったら今回の話が正史ということにしますのでよしなに0w0クワッ


■ 今回、実験的に文章の書き方というか、行間の取り方を普段とは変えてみてます。「読みやすい」か「読みにくい」かご意見いただけたら幸いです。コメントでも色々ご指摘いただけると嬉しいですーw-ペコリ

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 箱詰めについて人に聞いた時、大抵は怪訝な顔をされる。

 どういう意味か聞き返されるし、引っ越しや収納の話かと思われるのがほとんど。

 誰も趣味の話とは理解してくれないーーそういう認識でいた。


「箱詰めかぁ。あたしは興味ないけど、詰める方なら協力してあげてもいいよ」


 だから、そんなふうに返された時、私は思わず固まってしまった。

 彼女のその言い方は、明らかにそれを前提としたものだったからだ。


「……意味わかって言ってる?」

「この状況で宅配便の話をしてきたなら、それはそっちの方がおかしくない?」


 この状況、というのはベッドの中で並んで裸でいる状況のことだろう。まあ確かにそう言われてみればそうである。

 一晩体を重ねた上で、ピロトークとして切り出したのだから、知っている人ならそういう意味だと受け取って当然だ。


「でも貴女がそういうことに興味があるとは思わなかったな」

「どういう意味よ?」


 関心交じりに言われてしまい、思わずそう聞き返していた。いつもなら自分が聞かれる言葉なのに。

 私の不満を感じ取ったのか、彼女はからからと楽しげに笑う。


「ああ、ごめんごめん。別に悪い意味じゃなくてね? ほら、貴女って基本完璧じゃない。弱点らしい弱点もないし、頭もいいし、運動神経だってすごいでしょ」

「可愛げがないって言いたいの?」

「いやむしろ可愛げはあるでしょ。そうやってすぐ拗ねるところとか。子供っぽいところも山程あるし」

「……そりゃどうも」


 褒められているのか貶されているのか。

 それも含めて親しい者がする軽口なんだろうけど、なんとも落ち着かない。

 そんな私を宥めるように、彼女は私にその体を擦り寄せてきた。


「だから、箱詰めプレイみたいに、自分のすべてを人に委ねる性癖があるなんて……ってね。あるいは、だからこそ、かもしれないけれど」

「……マゾとは思ってなかった?」

「甘えたがりだし、そういう傾向はあるかなと思ってはいたけどね」


 彼女はクスクスと笑いながら、私の頭に自分の頭を擦り寄せてくる。

 それがくすぐったくて、つい避けてしまう。

 とても幸せなじゃれ合いだった。


「拗ねない拗ねない。貴女がしたいことならあたしは受け入れるわ。貴女を小さな箱に詰めてあげる」


 それはとても優しい言葉だった。

 蕩けるみたいに甘い言葉。

 それが罠だったとしても、私は彼女の提案を受け入れて何の後悔もなかった。


「お願い、ユイ。私を箱詰めにして」

「いいわよ。貴女を小さな箱に閉じ込めてあげる」


 普通とは違うかもしれないけれどーーそこには確かに愛があった。

 彼女とはその後、別れることになってしまったけれど.


 私はそう信じている。






 箱詰倶楽部の社長は謎が多い。

 年末年始などの特定の期間を除けば、一日の大半を箱詰めされたまま過ごしている。

 それにも関わらず、彼女は箱詰倶楽部という組織で社長を務め、その対外業務や新しい事業展開など、多くの仕事をこなしている。


「普通に考えておかしいと思うのですが。時間だけで考えても、常人の三倍は高速で業務を消化していることになります」

「まあ、社長だからね!」

「それで納得できてしまうのが、余計におかしいんですよね……」


 箱詰倶楽部の社食にて、受付嬢真藤馬しずな・と技術部部長・技技名が会話を交わしていた。

 社食とは言うものの、会社に常駐している人数などの関係上、本格的な食堂というわけではない。

 どちらかといえば広めのキッチンであり、大型冷蔵庫などが置かれているので、食事を摂るのが楽な場所であるというだけだ。

 主にここを活用しているのは、ほぼ常駐の技術者たちなど、裏方の者であった。


「そもそも社長ってなんでこの会社を立ち上げたんでしょう?」

「というと?」

「本人も度々言ってますが、自分が箱詰めされるだけならこんな会社必要ないですよね? 社長は優秀ですし、顔立ちも整ってスタイルもよく、そういうことをしてくれる相手には事欠かないでしょう」

「事業規模じゃないとできないこともあるし、そんなに不思議には感じないけど?」

「……そうでしょうか」


 技技名にあっさり返され、しずなは言葉をのみこむ。

 そんな彼女に、技技名はカラカラと笑って見せた。


「そんなに深く考えても仕方ないよ! なにせ社長だからね! 色んな人に箱詰めの気持ちよさを知って貰いたいとか、そういう理由だと思うよ!」

『そのとーり!』

「はぁ、そうですか……って、社長。聞いてたんですか」


 しずなは呆れの強い顔で声がした方向を見やる。

 そこには壁に設置された金属製のハッチがあり、そのハッチが左右に開いて、その奥を露わにする。

 まるで決戦兵器でも出てくるのかと思ってしまうカタパルトのようなものが展開され、そのレールを伝って一つの箱が現れた。

 その箱は二人が食事を取っている食卓の傍まで来ると、その側面に人の顔を浮かび上がらせる。

 それはいま技技名としずなが話題にしていた、箱詰倶楽部の社長の顔だった。


『部屋間の移動は楽でいいわね、これ。でもちょっと振動が無さすぎるかも。もうちょっと運ばれてる感が欲しいわ』

「ふむふむなるほど! 滑らかに移動できるようにしすぎたかぁ。じゃあちょっと調整してみるね!」


 改善点をメモする技技名。

 しずなは滑らかに移動できるならその方が良いのではないかとツッコミかけたが、それが醍醐味と言われそうだったため、言葉を飲み込んだ。

 箱詰めされるのが大好きな社長の趣味に、口を出すのは野暮だと考えたためである。

 今日も今日とて、箱詰めされながら仕事をしている社長なのである。

 働き始めた頃は驚きや呆れもあったが、今となっては大して騒ぐようなことでもない。


「それで、箱詰めを布教するのが会社を立ち上げた目的なんですか?」

『そうね。三割くらいかしら』

「残り七割は趣味ですか?」

『そうそう! ……って、それだけじゃないわよ! 失敬な!』

「他に理由があるんですか?」

『なんでそんなに意外そうなの!? 私だって考えてるんだからねっ。それはねーー』


 社長が言葉を続けようとするのと、箱の側面に映し出されている社長の顔が停止するのは同時だった。

 突然の停止に、しずなは首を傾げる。


「社長?」

『ーーただいま、反応することができません。時間を置いて話しかけてください』


 急に事務的な反応になった社長の様子を見て、しずなは技技名の方を見やる。

 技術的なことは彼女に聞いたほうが早いからだ。

 故障ならすぐ直してもらわなければならないところだったが、技技名は落ち着いた様子で食後のお茶を飲んでいる。


「周期的に激しい責めパターンが起きるようになっているのさ! その間はAI社長が応対するよ!」

「大丈夫なんですか、それ?」

「大丈夫大丈夫! AI社長に決定権はなくて、メッセージを受け取るだけだから!」

「……それ、ビデオメッセージというか、音声メッセージでいいのでは……?」


 単にメッセージを受け取るだけなら、むしろ意味のない話である。

 しずなの冷静な指摘を受けた技技名は、一瞬真顔になる。


「……このレベルの話には、しずなにはついてこれないか……」

「カッコつけて誤魔化さないでください。単に過剰な機能にしちゃっただけでしょう」

「い、一応、簡単な受け答えくらいならできるよ! ねえ社長!」

『はい、そうですね。簡単な質問なら社長としてお答えできます』

「もはやこの問答がすでに本来な社長から逸脱してませんか……?」


 淡々と告げてくる社長の声に違和感を覚えながら、しずなはツッコミを入れるのだった。

 技技名は目を逸らしながら、言い訳するように呟く。


「だって社長ってば秘密主義なんだもん……」

「それは間違いないですね。私いまだに社長の本名知りませんよ」

「しずなも知らないの? 業務的に知ってるものかと」

「普通は知りたくなくても知ることになると思うんですが……社長、プライベートに関してはほんとに鉄壁ですから」

「医者なら知ってそうだけどなー」

「知ってるわよ。カルテに必要だし」


 いつの間にやってきていたのか、倶楽部専属で働いている女医の雷麗寺ひなが答えた。

 その彼女の言葉にしずなはやはりと納得しつつ、呟く。


「それを言うなら、荷物とか受け取ることもありますけど、箱詰倶楽部社長宛としか書いてないんですよね」

「徹底してるねぇ」

「そんなに隠したい名前なんでしょうか?」

「どうかしら。私が見る限り普通の名前だと思うけど」

「単に秘密にしてみたほうが面白いとかそういう理由なんじゃない?」


 技技名の言葉は投げやりなものだったが、案外真理を言い当てているようにしずなには、感じられた。

 ひなが食事をとったあとの皿を片付けながら二人に向けて言う。


「あの人のいうことを気にしてても仕方ないわ。仕事に戻りましょう」

「ちょっと待って 食べるの早すぎ! 体に良くないでしょ!」

「大丈夫、私は医者だから」

「そういう問題ですかね……?」


 そんな言葉を交わし合いながら、三人はそれぞれ仕事に戻り始める。

 定位置である受付に戻ってきたしずなは、そこでふと気づいた。


「……倶楽部を始めた残りの理由、聞きそびれましたね……」


 また機会があれば聞けばいいだろう。

 そう考えた彼女は、黙々と自分の仕事に取り掛かるのだった。





 早速箱が用意され、私の目の前に広げられていた。

 大きなそれはいわゆるスーツケースというもので、人一人が楽に入れる大きさをしていた。


「とりあえず一番大きなやつを持ってきたわよ」

「そうじゃないのよねぇ……!」


 私は思わずそう言ってしまっていた。

 確かに箱に入るという意味で言えば、大きい方がいいだろう。入るだけなら、大きい方が入りやすいに決まっている。

 でも、箱詰めプレイに置いて、余裕で入れてしまうようでは、箱詰めの甲斐がなかった。


「もっとギリギリを攻めたいの。スカスカじゃ、詰められてる感が薄れちゃうじゃない?」

「あら。そんなにギリギリじゃ、遊べないんじゃない?」


 どうやらユイは箱詰めされただけで完成するとは思っていないようだった。

 箱詰めされて、そのうえで何かする、という認識のようだ。


「それは箱詰めというより、監禁というか、拘束プレイじゃない?」

「でもそれだって箱詰めだし……詰める方も楽しそうじゃない?」


 彼女はそう反論してくる。

 堂々と宣言されると、そうな気もしてくるのだから不思議なものだ。

 私の趣味に付き合わせている関係上、彼女も楽しんでくれるならそれに越したこともないような気もする。


「んー……そうかも、しれないけど」

「良かった。箱詰め以外の要素を加えるのは邪道とか言われなくて」


 にこやかに告げながら、彼女はそのスーツケースを開く。

 その中には、私の想像以上にたくさんの道具が詰め込まれていた。


「ゆ、ユイ?」

「これ全部身につけてもらおうと思って。これくらいの大きさは必要だと思ったのよ」


 私が想像していた以上にーー彼女はこのプレイに乗り気だったのだ。



つづく

Comments

ありがとうございます! ガンガン書き進めていきたいと思います!

夜空さくら

훌륭합니다. 아주 좋은 이야기 입니다.

goremz

お待たせしました……! 今回のお話は原点回帰で、極普通の箱詰めになる予定です!0w0クワッ! 超技術とか特殊な箱詰めは現代視点で入れようかなとw 続きも頑張ります!

夜空さくら

待ってました〜 ありがとうございます 箱詰倶楽部の作品好きなので嬉しいです 社長が箱のまま登場するの面白いですね 続きも楽しみにしています

まい


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