お腹の弱いギャルと友達のいない僕 第一話 差分小説
Added 2024-12-03 16:47:34 +0000 UTCこちらの作品は「お腹の弱いギャルと友達のいない僕」の第1話差分小説です。
本編を読んでいない方はぜひ本編を読んでからお楽しみください。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23533398
夕暮れに染まる帰り道。学校帰りに何か甘いものが欲しくなった私は、ふらりと近所のコンビニへ立ち寄った。今日は疲れたし、少しだけ自分にご褒美をあげてもいいっしょ――そんな軽い気持ちだ。
「あ、これ美味しそう」
ショーケースの中に並ぶスイーツを眺め、チョコクリームの乗った菓子パンに手を伸ばした。そのとき、少しだけお腹が重く感じる。けれど気にしない。今日はお腹の中のものを出し切ってしまったのでとにかく甘いものを摂取したい。
レジで会計を済ませたあと、袋を受け取りながら、ふと店内を見回す。帰宅途中の高校生や、夕食の買い物をする主婦がいる。
その瞬間だった。
ギュルルルル……!
「……っ!」
お腹の奥で鈍い痛みが走り、全身に冷たい汗が吹き出した。瞬時に状況を理解する。――まずい。完全にきた。
私は手に持っていた袋をきつく握りしめながら、店内の奥にあるトイレの方向へ目を向ける。幸い、コンビニには利用客用のトイレが設置されている。それがせめてもの救いだった。
「……お願い、空いてて」
心の中で祈りつつ、急ぎ足で向かう。しかし、無情にもトイレの扉を開けることはできない状態だった。
『使用中』
「……え?」
信じたくなかった。だが現実だった。中からはかすかに水の流れる音が聞こえ、誰かが利用しているのは明らかだった。
どうしよう。外に出て別のトイレを探す? でもこの状態でどこまで持つのか分からない――。
お腹を押さえながら、思わずその場でしゃがみ込む。冷や汗が頬を伝い、頭の中がぐるぐると混乱する。誰かがトイレから出てくれるのを待つしかない。だが、時間との勝負だ。
早く……早く出て……!お腹痛い。お腹超痛いの!
声には出せないまま、必死で耐える。ここで限界を迎えるわけにはいかない――。
店内を歩く人々が私に目を留めることはない。幸い、トイレ前のこの場所はあまり目立たない。だけど、周囲の気配がいつもよりも大きく感じる。
ギュルッ、ギュルル……!
「……っつ!」
痛みがさらに強くなり、思わず壁に手をついた。そのとき、中の人が鍵を開ける音が聞こえた。
「ごめんなさい……!」
小走りで出てきた中年女性とすれ違いざま、私は個室の中へと滑り込むように入る。
鍵をガチャリとかけた瞬間、もう限界だった。スカートを慌ててたくし上げながら便座に座ると、全身から力が抜けていく。
ブシャァァァ……!
便器の中に響く音。恥ずかしさなんてとうに忘れ、ただ身体の訴えに応えることしかできない。
「はぁ……はぁ……」
ビュッブチュ!ビビュッ!ビュルルルルルルルル!
「お腹痛い。止まんない。超苦しい……」
ビュッブチュ!ビチィッブビュッ!
数分が過ぎ、ようやくお腹の波が収まり始めたころには、疲労感で全身がぐったりとしていた。
私はペーパーホルダーの上に置いていた菓子パンの袋を見つめ、心の中で静かに反省する。欲望に負けた結果がこれだ――。まだ食べてすらいないのにお腹また壊しちゃうなんて。大人しく家帰っとけば、安心してトイレできた……。
「……最悪だよ……」
誰に聞かせるわけでもなく、呟いてからそっと目を閉じた。トイレの中で聞こえる無音の空間が、少しだけ心を落ち着かせてくれる。
帰って早く休もう。そう決意して、私は手早く身支度を整えた。
外に出ると、先ほどとは違う空気が流れていた。夜の帳が降り始め、冷たい風が肌を撫でる。
歩き出した足取りは少しだけ重かったが、それでも家が近づくにつれ、どこかホッとする自分がいた。