正直、あの責めは拷問とは呼べない程にヌルかった。
だから、俺は「ヌルイ」と正直に言った。
刺激が弱すぎます...は違うな...、痛みが無さ過ぎます!と言うべきだろうか...。
なんだか、淡い甘美な感覚に支配されそうだ。
女獄卒にムチで叩かれているこの状況に、なんだか心の奥がザワザワして思考が上手く纏まらない。
「というか、是非、お香さんにお願いしたいですッ!」
!!?
俺は今、なんてことを口走ったんだ?
自分から出た言葉に驚愕する。
言ってから、途轍もない自己嫌悪に陥る。
つい口が滑ってしまったとは言え、お香さんは俺に幻滅するだろう。
俺は項垂れた。どこまでもどこまでも気分が落ちていきそうだ。
地獄よりももっと深い闇に…。
「いいわ。そこまで言われてしまっては主任として黙ってはいられないもの」
えっ!?
俺は顔を上げる。
お香さんの顔は怒りの感情なのか、侮蔑の感情なのかわからない真剣な表情だった。
「じゃあ、この子に例の衣装を着せて吊るしてちょうだい」
言うが早いか、周囲の女獄卒たちにあっという間に服を脱がされ、ボクシング選手のようなスタイルに着替えさせられ、どこからともなく登場したサンドバッグに吊るされ、ガッチリ固定される。
程なくして、ボクサースタイルのお香さんがやってくる。
両手にはピンクのボクシンググローブに紫色タートルネックのブラ。そして丈の短いボクサーショーツ。下にはストッキングかタイツを履いているのか脚が艶めかしく光を反射している。
両手に嵌めたボクシンググローブの感触を確かめるように、俺を威圧するように目の前で打ち鳴らす。
「以前から考えていたのだけれど…」と語りながらリズミカルにステップを踏み始めるお香さん。
近頃、女性獄卒の割合が増える衆合地獄において、女性が拷問に参加する機会も増えていた。
獄卒の主な仕事である呵責と拷問、それを物理的に行使するための筋力トレーニングと、日々の生活に欠かせない健康と美容のためのエクササイズ。
これらを一度に行うことが出来るのが「サンドバッグ拷問」と、いうのだ。
「唐瓜ちゃん、私を煽ったこと…後悔してね♪」
これから、ボコボコにされるというのに俺は目の前のお香姐さんの華麗なステップとパンチのフォームに見惚れていた。
「綺麗d…うごッ!!?」
ドムッ!!と最初の一発が俺の腹に着弾する。
かなりのめり込みだが、やはり女性のパンチだなと思う。
我慢できない痛さではない。
「あら?余裕そうね。じゃあ、遠慮なくレベルアップしなくちゃ♪」
俺の表情を読み取り、お香さんはギアを上げ風を切るほどに凄まじいスピードのパンチを放ち始める。
まるで大きなハンマーで腹を叩き潰されているような衝撃に下半身が熱くなるのがわかった。
普段、姉貴のボディーブローを不意打ちで喰らったことがあるがそんなのは比ではない。あれも苦しくてしばらくは立ち上がれないが、これは苦しくても逃げ場がなく背中には冷たい革の感触。
内臓が重たいサンドバッグとグローブ越しのお香さんの固い拳に押しつぶされ行き場を失う。
ぐちゅり…グチュり…。
僅かな隙間を求め蠢く胃や腸の感触が嫌でもわかる。
と、同時に下腹部の切なさが一気に増してくる。
「おごぉぇ゛ッ…❤」
俺はたまらず、呻き、涎を垂らす。
朝ごはんが出そうだったが、幸い何も出なかった。
「あらあら、だらしないわね。これでも咥えてなさい」
お香さんは器用にボクシンググローブで傍らに用意されていたマウスピースを掴み俺の口内に捻じ込む。
「あなたの中身、全部出すまで終わらないから」
そう吐き捨てるお香姐さんはとても嬉しそうに見えた。
そこで俺の怒張は更に張り詰める。
俺の噴き出す汗と涎で、お香さん自身の汗で、艶めかしく肌やグローブ、衣装はテカリ、光の反射を増していく。
アッパー気味で入るパンチによってサンドバックは大きく後方へ揺れる。
戻ってくる反動でもう一度、パンチが勢い良く入る。
そんなことの繰り返し。
何分、何時間続いたのかわからない。
よく耐えたと思う。
終わりは突然やってくる。
お香さんが俺の耳に届くか届かないかくらいの声で囁く。
「どう?怖い?苦しい?痛い? それとも…」
「キモチイイ?」
憧れの人の色っぽい問いかけと同時に
だらしなく弛緩した駄肉を打つ音が聞こえた…気がした。
鳩尾に完璧に入ったらしく、激しい嘔吐感の他に体中へ電流が流れるような未知の衝撃が襲ってくる。
ゾクゾクゾクッ!!!?
やばいやばいやばい...!
お香さんにドMだってバレちゃうじゃんッ!
(注:もうとっくにバレてます)
ビチャ!ビュルッ!ビチャッ!ビュルッ…!
ビクッンビクンッ♥
あまりの気持ち良さの衝撃に呆けていると、ふと、幼馴染で同期の茄子が目が合う。
なぜだかめっちゃ良い笑顔を向けられており、自分の置かれている状況に気が付く。
俺の唐瓜は完全に暴発し完全にアウトな状態になってる。
もう、消えてなくなりたい…。
そこからは記憶が曖昧だ…。
ど助兵衛熟女団たちに介抱してもらい、着替えた気がする。
鬼灯さまと茄子と何か話した気もする。
ただ、帰り際に
「唐瓜ちゃん、良かったらまた協力してくれるかしら?」
お香さんに耳元で囁かれたことだけはハッキリ覚えている。
次の実験の機会は一体いつになるのだろう。
俺の邪な期待はもう芽吹いてしまっている。
END.