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にゃんす from fanbox
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強制ログアウト もう一つ その1

俺が趣味でやっているMMORPGゲームは精神をゲーム上に投影させ、実際の現実世界と変わらない感覚で生活することが出来るゲームだ。 ゲーム内で走れば疲れるし、攻撃をもらえば痛い。そんなリアルさを売りにしたゲームにはもう一つの楽しみ方がある。 「今日もクエストクリアを祝して、乾杯!」 「はは、乾杯!」 俺の手にある酒やテーブルに並べられた料理の数々、これらはゲーム内通貨で実際に買うことが出来るもので、ここにある以外にも様々な国、地域の物が揃っている。 痛みや疲れを感じるという事は、味や酔いも感じるという事だ。各個人の関わりが多様化する現在、こんな形での関わり方もあるのだ。 「なぁテロス、今日使った魔法は最近追加された奴だったな、もう取ったのか?」 「あぁ、エフェクトが好みでね、居ても立ってもいられなかったよ。」 俺と杯を交わしているのはテロス、同じギルドに所属する魔術師で、比較的新人である俺の世話役をしてくれていた。 その時からやけに馬が合い、こうして騒ぎ合う仲になった。 「そうは言うけどねケイモン、君も装備を一新したようだね?」 「武器を変えたら前の装備と雰囲気が合わなくてな、いっそ見直しも兼ねて変えてみたんだ。」 紹介が遅れたが俺はケイモン、ゲーム自体は最近始めたが、元来の凝り性のおかげで今ではギルド内でも上位プレイヤーに数えられている。 「うんうん・・・相変わらずセンスが良いね、僕も今度見繕ってもらおうかな。」 「いや、俺が見繕う必要もないだろ。お前にファンもついているらしいじゃないか、それはファッション含めての事だと思うぞ?」 「ふむ、そういうものかな。」 何を隠そうこのテロス、ギルド内外問わずファンが多く、野良クエストに参加した日には周りに女性プレイヤーが人だかりを作る。 優男とでもいうのだろうか、中性的なイケメンといった風体で、スタイリッシュにまとめられた装備は絵画に描かれた人物かと思うほどだ。 「そういうものだぞ・・・おっと、酒が無いな、どうする?」 「それじゃあ・・・もう一杯飲もうか、君は?」 「そうだな、もらうとしよう。」 ゲームのメニュー画面を開き二人分の酒を購入、空いたグラスがパッと光って中身が補充された。 クエストそっちのけで酒浸りになるプレイヤーも多いと聞くが、それもこの気軽さを思えば納得だ。 俺が新しい酒に口を付けようとしたところ、テロスはグラスをこちらに向ける。 「よぅし、今度は互いの成果を祝って・・・」 「ん・・おぉ、乾杯。」 「ふふふ・・・乾杯。」 それからしばらく二人で飲んで食べてで時間を過ごしていると、突然の警告メッセージに遮られた。 それに目を通すと、ゲームの障害でメンテナンスに入るため、全プレイヤーがログアウトされるという通知だった。 「なんだ、今日はここまでか・・・」 「うん、そういう事なら仕方ないよね・・・今日はお疲れ様。」 「あぁ、お疲れ。」 俺とテロスの飲みかけのグラスをコツンと当てて残りの酒を飲み切った。 そのグラスを置いた辺りでこちらを見ていた団長が手を振っている。 こちらが手を振り返すのを確認したかしないかくらいで団長はログアウトしていき、こちらに表示されていたログアウトまでのカウントダウンもゼロになる。 強制的に行われるログアウトの処理、視界はヘッドデバイスの画面へと変わった。メンテナンス中とだけ表示されている。 「この手のメンテナンスは時間がかかるからな・・・ん?」 少しの文句を言いつつヘッドデバイスを外すが、自分の声に何か違和感があった。そしてデバイスを外して見えた景色に混乱する。 俺の家には和室は無かったはずなのに、ここは和室だ。低い机にパソコンを中心として様々な機器が繋げられている。 そして声だ、明らかに高い。 「あー、あー・・・なんだ、どういう事なんだ・・・」 何度確認しても声は高い、部屋は違う。よく見れば着ている服も違う、それに手も指が細い。 何かないかとあたりを見回すと、部屋の隅に姿見鏡を見つけた。そこで自分の姿を確認すると、そこに見慣れた自分の姿はない。 映し出されているのはスレンダーな女性、ロングTシャツとジーンズというシンプルな姿。それ故に女性だという事が一目でわかる。うっすらとだが膨らんだ胸、盛り上がりの無い股間。 これは夢ではないかと触ってみるが、確かに胸は柔らかいし股間には何もない。 そして今、鏡に映る女性は誰なんだ、覚えがない。 俺は確かに俺であるはずなのに、身体がそっくりそのまま違う人間になってしまったかのようだ。 「おいおい、コレはどういう事なんだ・・・?」


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