目が覚めた瞬間、胸の先に妙な感覚が残っているのに気づいた。
昨晩、乳首をいじり続けて眠ったせいだ。
――いや、正しく言うなら、「眠りに落ちるまで」やめられなかった。
布団の中、モコモコの可愛らしいパジャマを着たまま、無意識に指先が乳首へ伸びてしまい、何度もつまんで、何度もさすって……。
(はぁ……ほんとに、僕……どうしちゃったんだろ……)
両方の乳首は今もじんじんしていて、まだブラジャーをつけていないのに布が触れたような違和感がある。
それがいやにリアルで、昨夜の恥辱を思い出させる。
◆
洗面台で顔を洗い、寝ぐせで跳ねた髪を整えてからリビングへ。
朝食は、昨日のうちに買っておいた食パンとインスタントコーヒー。
いつもと同じはずなのに――着ているパジャマが“女物”なだけで、すべてが違って感じる。
口に入れたトーストの味さえ、どこか薄っぺらく感じてしまう。
食べ終えてパジャマを脱ぐと、昨日の夜に瑠衣から渡された袋が目に入った。
中に入っているのは、今日つけていくための下着。
「……また、これ……」
今日は淡いミントグリーンのブラとショーツ。
パステル調で、いかにも清楚で女の子らしい。
昨日の真っ赤な下着とはまた違った恥ずかしさがあるが、もちろん抵抗はできない。
肌に当てた瞬間、昨日の赤い跡にブラのカップが重なって、思わず息が詰まった。
柔らかい布が一晩中弄り続けて敏感になっている乳首を包み込む感触。
ショーツを履くと、股間がぎゅっと押さえつけられ、情けなく勃っているペニスが収まりきらずに苦しい。
「……い、いかないと……」
シャツとスラックスを着て外に出る。
ミントグリーンは下からうっすら透けている。
電車の中で女性たちの視線が全部、自分の胸や腰に刺さっている気がして、手が震えた。
◆
会社に着くと、すぐに千尋と目が合った。
「あっ、おはようございます!」
笑顔でそう言ってくれる。
一瞬、安心しかけたのに――千尋の視線がふと僕の胸へと落ちた。
(や、やば……見られてる……!?)
ほんの数秒、でもはっきり確認された。
そして千尋は、何事もなかったかのように、さらににこっと笑ってくれた。
その笑顔が逆に怖い。
全部分かってて、わざと黙ってるんだ――そう直感してしまった。
◆
午前中の業務は、極力人目を避けるようにして過ごした。
見積り書作成やデータ入力に集中しても、胸元に常に下着が触れているのを意識してしまう。
座るたび、立つたびに、乳首が小さく擦れて“自分が女物を着ている”ことを思い知らされる。
昼休み。
今日も、あの三人から呼び出しがかかった。
ドキドキしながら資料室へ向かうと、瑠衣・真帆・茜が揃って待っていた。
茜が少し残念そうに口を開いた。
「私も昨日、一緒にお買い物行きたかったなぁ」
その声には悔しさがにじんでいて、でもそれがまた僕を追い詰める。
次に瑠衣が、わざと何でもないことのように尋ねた。
「ところで、昨日の夜……ちゃんとやった? 乳首オナニー」
心臓が跳ねる。
真帆と茜も、じっとこちらを見つめてくる。
逃げ場なんてない。
「……はい。言われた通り……女装して、鏡を見ながら……乳首だけをさすって……」
声が震える。顔が熱い。
「……恥ずかしいのに……イケナイことしてるみたいで……少しだけ、興奮して……でも……最後まで、いけなくて……苦しかったです」
しばし沈黙。
三人の目線が絡み合い、次の瞬間――瑠衣がにっこり笑った。
「そうだよね、そんなもの。うん、よく頑張ったじゃない。でも最初は普通、なにも感じない事が多いんだけど……。レンくん今までも乳首をいじりながらオナニーしてたんじゃない?」
「そ、そんな事ないです!」
「ふふっ、必死に否定して……可愛い」
◆
その気、唐突に瑠衣は小さな袋を差し出した。
「でもね、もっとちゃんと効率よく慣れてもらわないと。だからレンくんに、いいものを持ってきたよ」
袋の中から出てきたのは、小さなクリップだった。
洗濯ばさみを小さくしたような形。
先端は柔らかくなっているけれど、挟まれたら痛いのは間違いない。
「今日から、毎日これを両方の乳首につけて。10分間だけでいい。最初は痛いと思うけど、そのうち慣れてくるから」
「えっ……そ、それは……」
「大丈夫。慣れたら気持ちよくなるよ。とりあえずは……そうだなぁ、1週間ぐらい続けようか」
瑠衣の目は本気で、逃げられない。
◆
その日の業務は、ずっとクリップのことばかり考えて過ごした。
定時が来るのを心待ちにしていたはずなのに、帰り道は足が重い。
鞄の中にある小袋の存在が、胸を圧迫してくる。
帰宅して食事を取り、シャワーを浴びる。今晩もモコモコの部屋着に着替えを済ませる。
そして袋からクリップを取り出した。小さな金属の光沢が、妙にいやらしく見える。
「……やるしか、ない……」
恐る恐る、右の乳首を挟む。
「っ……あっ! い、痛っ……!」
鋭い痛みが胸に走り、思わず声を漏らす。
すぐに左も挟むと、両胸がじんじんと脈打つように痛む。
数分ごとに向きを変えないと耐えられない。
10分が、とてつもなく長く感じた。
時計の針がようやく進んだのを確認し、クリップを外す。
「……っ、はぁ、はぁ……」
赤く跡のついた乳首を、そっと指でなぞる。
すると、さっきまで痛かった場所なのに、驚くほど敏感になっている。
「な、にこれ……」
ちょっと擦るだけで、びりっと快感が広がり、全身が震えた。
昨日よりもずっと……いや、比べものにならないくらい気持ちいい。
頭がぼうっとして、呼吸が荒くなる。
けれど……
アソコはギンギンに勃っているのに、触ることは許されない。
ただ、乳首だけを責め続けて、責め続けて――。
「っ、あ、あぁ……だめ……!」
どれだけ弄っても、チンコに触る事が許されない。
身体だけが女の快感に近づいていく。
結局、射精はできないまま。先っぽから我慢汁がいやらしく、切なく垂れていた。
熱く火照った胸を抱えて、ベッドに倒れ込む。
羞恥と快感に囚われながら、僕はまた眠りに落ちていった。
【12章へつづく…】
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