俺は焦ってお風呂場を出た。
本当にこのまま体が女体化してしまうのだろうか。下着と一緒に入っていた取説のカードを今一度読み返す。
『あなたの奥底にある、自然な女性らしさを引き出します。ご自身でその効果を実感してください』
よく見ると、そう書いてある文末に小さなQRコードがついていた。荷物が届いたときは興奮して気が付かなかったのだろう。
ベッドの上にあるスマホを手に取り、カメラを起動し、QRコードを読み取る。
そこには詳細な説明がしっかりと書かれていた。
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・1週間ほどで効果を実感できます
効果には個人差がありますが、着用開始から4〜7日目にかけて、皮膚の弾力性の変化、乳腺の発達、体脂肪や骨格の再配置などが顕著に現れます。
・最低でも1か月は毎日必ず着用してください
この期間に中断すると、ホルモンバランスの崩壊、性自認の乖離、自己認識障害などの深刻な後遺症が残ることがあります。
・下着は直接肌に触れるように装着し、就寝時も着用を継続してください
成分が皮膚から微細浸透するように特殊繊維が使われており、体温と圧力によってその効果が活性化します。
・食事や生活習慣に制限はありませんが、なるべくストレスを避け、リラックスした環境でご使用ください
・ホルモン剤やサプリとの併用は絶対に避けてください
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思わずぞくりと背筋が震えた。つまりは今、中断してしまうと体にダメージを負ってしまうということだ。最低でも1か月は、この性別矯正下着を着用し続けるしかないのだ。
◆
頭の中がぐるぐると巡り、正常な判断ができない。とりあえずブラとショーツは再度着用しなければ……。
ショーツを手に取り、脚を通す。元々、体毛は薄いほうだったが、気づけばすね毛は“うぶ毛”ぐらいの細さになっていた。筋肉量も減っている。ふくらはぎは柔らかなカーブを描くようになっていた。
胸が膨らんだことにより、乳首がブラの生地に擦れる。チリチリと電気が走るような感覚が全身を駆け巡る。恥ずかしい。こんなの、俺じゃない。なのに、鏡の中の「女の子」は、俺をじっと見つめ返してくる。その視線に、胸の奥が熱くなる。
ツンッと主張する乳首に触れてみる。指先がその弾力性のある突起に触れる。
「!?……」電流が全身を走ったような感覚に頭がクラッとした。
「何これ……」と呟きながら、俺は自分の体を確かめるように手を這わせていく。
恥ずかしくて、顔が熱くなる。それでもやめられない。やめることができない……。自分の手が自分の体をいじっていく。
羞恥心が俺を支配していた。俺は男だ。こんな体になることは明らかに異常……。でも、鏡の中の俺は、自慰行為に震える一人の女性となっていた。
胸を荒々しく揉むように触れると、吐息が溢れ、膝が震えた。気持ちいい。気持ちよすぎる。
理性がどこかに溶けていく。俺はベッドに倒れ込み、自分の体を抱くように手を動かし始めた。初めて味わう感覚だった。
女の快感は、こんなにも深く広いのか……。体が勝手に反応して、頭の中が白くなる。指が自然と下に伸びる。本来男性としてあるべきモノは手の人差し指ぐらいのサイズになってしまっている。
下着越しに指を這わせる。それだけなのに、それだけなのに、頭が真っ白になる感覚。じんわりと先っぽが湿り気を帯びてくる。
俺は自分を抑えきれず、ショーツの中に手を滑り込ませた。ヌルッとした感触に指が震えた。「ハァ……ッ」と息が漏れる。
先っぽから出た粘液と自分の手が混ざり、ヌチャヌチャと粘着質な音が部屋に響く。体中の血液が股間に集中する感覚。指が、まだ微妙に残るカリ部分に触れるたび、ビクンッと体が跳ね、甘いしびれが全身を駆け巡る。「あっ……んんっ……!」声が抑えきれず、シーツをギュッと握りしめる。快感の波が押し寄せ、頭が真っ白になる。絶頂が近づくたび、腰が勝手に動き、グチュグチュと卑猥な音が加速する。
そして、ついにその瞬間が来た。
「ああっ……!」
叫び声とともに、体がビクビクッと痙攣し、熱く白い液体が飛び散る。頭が真っ白になり、まるで魂が抜けるような快感に溺れる。男のときとは比べ物にならないぐらい、敏感になった体。
冷静になって考える。このまま股間のチ〇コは無くなってしまうのだろうか?
だけど……俺はもう男に戻れないかもしれない。戻らなくてもいいのかもしれない……。この下着が俺の心まで変えたのか、それとも俺がずっとこうなりたかったのか。
でも、その答えを探す前に、また股間に手を伸ばしたくなる衝動が湧いてくる。小さいながらもしっかりと硬くなるその感触に、すでに体が疼き始めていた――。
【3章へつづく…】
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胸は日ごとにふくらみを増し、いつしか両手でそっと包まなければ重みを感じるほどになった。股間の名残はゆるやかに後退し、指先で触れれば、かすかに割れ目のような感触がそこに現れ始めていた。けれど、たとえどんな変化が訪れようと、取説に記された期日までは決して中断できない――。
そして着用から1か月。鏡に映るその姿は、もはや少年っぽさの名残を一片たりとも残していなかった。細くなった顎、柔らかな肌、丸みを帯びた腰。すべてが“女の子”の輪郭へと、完璧に書き換えられていた……。