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【第1話】残虐のサド大君―マゾ奴隷に徹底調教される被虐のフィアンセ 1.大艦隊襲来

官能Hシーンは、第3話からになります。 ストーリーよりも、そちらがご希望の方は3話にお進みください。 また、まだ誤字脱字がございますが、予めご了承願います。 ********************************* 1.大艦隊襲来 大洋の真っただ中に浮かぶ8つの島からなる小さな島国、アクアマリン王国。総人口100万のこの小さな島国は、ルクソール王が国を治めている。常夏の島アクアマリン諸島は、海あり、山あり、谷あり、河ありと大自然に恵まれ、民は平和で豊かな暮らしを送っていた。 王は容姿に恵まれた5人の娘を持ち、長女の第一王女から末娘の第五王女まで王族として国務に仕えている。 この時代、大陸では大国がひしめきあい、度々大きな戦が繰り広げられているが、そのなかで、オプシディア帝国は連戦連勝を期し、世界最大の版図と人口を擁すまでに成長するに至り、最強国家として世界を制しつつあった。オプシディアの王は、ファドゥーツⅠ世と名乗り、オプシディア帝国皇帝として君臨した。人々はこの皇帝を「残虐の皇帝」と秘かに呼んで恐れていた。 アクアマリン王国の王府が置かれるアクアタウン。王府はアクアマリン諸島のなかでも最大規模の島、アクアマリン島にある。アクアタウンは南国の極楽と呼ばれるほどに美しい。椰子の木に囲まれたヴィーナス・ビーチ、淡いブルーで透き通るほどの透明度を誇るターコイズ湾、そして街の背後には緩やかな南国の緑豊かな山々がそびえ、その山麓に王の居住するパール宮殿がひっそりと建っていた。パール宮殿は、木造2階建ての西洋のキリスト教教会のような雰囲気が漂う建物でとてもお洒落だ。宮殿に少し離れて王庁各行政府の建物がある。王庁行政府の建物は木造二階建ての南国の建築様式の建物で、みな白に統一されているが、どれも行政府庁舎というには小ぶりで、この国が小国であることを表すといえる。 ダイヤモンドヘッド、ここはアクアタウンかから少し離れた小高い岬。ここからは、王府・アクアタウンを眼下に一望し、美しいビーチや山々、そして大きく広がる大洋を眺めることができる。この岬には石造りの見張り台が設置され、天候の急変、遭難、不審船などへの警戒の任に当たっている。 ある日、監視兵が海のかなたに目を走らせると水平線に無数の点が見え始めた。その点は段々と増え、帆の形がはっきりと目に映る。 「あれはなんだ?」 監視兵は緊張した趣で同僚に尋ねた。 「帆船のように見えるなぁ」 点に見えたものは帆を張るマストの上部で、徐々に無数のマストと帆が姿を現し、こちらに向かってきた。 「あれは、戦列艦だ!」 「隊長に報告!」 2人はすぐに上官に報告した。 上官は望遠鏡を水平線に向けると呟いた。 「戦列艦だな、それもかなりの数だ」 見張り台の兵達に緊張が走る。 船影はどんどんと近づき大きくなりつつあり、その数は50隻以上の大艦隊と推測される 。 監視隊長は、王府に向けて伝令を走らせるとともに、軍事的緊急を告げる赤い狼煙を上げた。すぐに頭上にもくもくと赤色の煙が上がって行く。王府兵務所は狼煙を確認すると、アクアタウン全体に鳴り響く鐘を鳴らし続けた。 「何事か?」 執務室で書類に眼を通していた王、ルクソールは宰相のスメトリブイを呼び落ち着いた声で問いかけた。 「陛下、岬の見張り台から急を告げる赤い狼煙が上がりました。兵務所は緊急時に備えて総員戦闘準備の鐘を鳴らしています」 宰相は緊迫した面持ちで王に告げた。 「見張り台の赤い狼煙ならば、戦船(いくさぶね)じゃのぉ」 王は落ち着いた様子で話す。島国を異国が攻めるのは海路より他はない。 「恐らくは。見張り台から間もなく伝令が到着するかと存じます」 「うむ、港と浜の警戒は怠ることなきように」 「はい、かしこまりました」 その時、執務室に近衛兵長がドタバタと慌ただしく入ってきた。 「陛下、失礼します。岬の見張り台伝令からの報告をお伝えします。」 「つづけよ」 王は頷くと、近衛兵長に促した。 「艦隊規模50隻以上、進路アクアタウン。艦隊旗はブラックシープを確認」 近衛兵長は緊迫した声で報告を終えた。 宰相がつぶやく。 「50隻以上、ブラックシープ。。。」 ブラックシープ旗は、大陸の覇権国家オプシディア帝国艦隊旗として知られる。なぜ、この小さな島国にオプシディア帝国の大艦隊が攻め寄せてくるのか。この小さな島国には、軍艦と呼べるような代物はなく、戦力差は圧倒的でその勝敗の結果は容易に想像できた。 「兵にこちらからは一切手だしをせぬように伝えよ」 王は宰相に伝えると、宮殿の謁見の間に移動し、玉座に座し指揮を執った。 アクアタウンの港、浜などの要所には、歩兵が配置に付き、王府は物々しい雰囲気に包まれ、普段の平穏な南国の日常は失われている。街中商店の軒先の道には人々があふれ、ざわついた不穏な空気にが漂い、人々に不安の表情が蔓延しつつあった。 ―― この小さな島国に軍艦とはなんとも物騒なことじゃ。そこまでしてここで何を得る? 玉座に座した王は頬杖をつきながら、心のなかでささやいた。 宮殿の背後に高くそびえるココヌイ山の中腹、その深い森にうっすらと建つ、木造建築の南神殿修練所で、神官長老で指南役である老婆ウラシェと、王の第3王女(第3娘)エリルが神官術の修練を重ねていた。 南神殿修練所の近くを流れる小さな滝の付近で修練を続ける2人。 「土(ど)・火(か)・木(もく)・金(こん)・水(すい)の紋により、風と雷鳴を轟かせよ」 樹の杖を持った背が低く、質素な衣服をまとった白髪の老婆は、第三王女であるエリルに命じる。 エリルは腰までの長さの甘栗色のロングストレートに、前髪は眉毛まで隠すきれいなストレートにとても似合う面長の輪郭で顔立ちは大人びた雰囲気で整い、誰もが見惚れるであろうことは容易に想像できる。姉たちは、その美しさからアクアマリンの至宝と呼ばれているが、エリルは美しさとともに、全身から男性をそそる女の艶やかさが強く滲み出て、男性達の関心を集めていた。 「はい」 「ホーミンホーミン・・・・」 エリルが呪文を唱え始めると、周囲の風が強まり、雷鳴が轟いてきた。 ピカッ ドドーン 大きな音ともに、 稲光が走り 南神殿修練所の赤い薄瓦屋根を貫いた。 バキ! という音ともに屋根に直径30㎝ほどの穴が開く。 「あちゃー、やっちゃった。」 エリルは、両手を顔に当て恥ずかしそうにつぶやいた。 どうしてうまくいかない。ちゃんと呪文はあっていたはず、水のパワーと、土のパワーのバランスが悪かった?いえいえ、ちゃんとコントロールできてた! でもでも。これで何度目の失敗なのよ~。これでは・・・・・ 「うははは、エリルまたやったか。」 老婆ウラシェは声をあげてエリルの呪術を笑っていた。その顔は自分の子供を愛すような優しい顔をしている。ウラシェはこの国で最高位の呪術・法術者であり、王国唯一の神官長及び指南役である。王族は全てウラシェから呪術を伝授される習わしになっている。 老婆ウラシェは特にエリルに目をかけ、慈しみ。まるで母のような母性愛で接していた。エリルは王族のなかでもずば抜けた呪術を運用でき、いずれウラシェを超えるのは明らかだったからだ。しかし、これはまだウラシェのみしか知らない事実。ウラシェだけの秘密だった。 「婆(ばば)様、なんかわたし、全然才能なんですけどーーー」 エリルは落ち込んだ様子でうなだれる。 「そんなもんじゃよ。呪術者に王道などないんじゃ。気長に打ち込んでいけばいい」 ウラシェは優しく言うと、エリルの頭を撫でた。 ―― 17歳にしてこの才覚とは逆に恐れ入るわ。 ウラシェは「ふっ」と笑った。 南神殿修練所の祭祀場月見櫓に行くと、街から鐘の音がわずかに響いてきた。 「なにかしら?」 不審に思いながら街の方角を見ると、街から外れた小高い岬であるダイヤモンドヘッドの見張り台から、緊急事態を告げる狼煙が上がっていた。そして、海には軍艦である帆船の戦列艦が無数に停泊しているのが見える。その帆船の戦列艦はどれも大型艦で、1隻に大砲を120門ほど搭載できる最新鋭艦だった。 「婆(ばば)様!」 エリルはウラシェに悲痛な声で叫んだ。 「招かねざる客じゃな。あの戦船(いくさぶね)から戦意は感じられんが、なにか思惑があって来られたようじゃな」 ウラシェは、エリルの横に並ぶとそっと呟いた。 ************* オプシディア帝国艦隊旗艦・ヴィクトリー。この帆船式戦列艦は、オプシディア帝国が誇る最新鋭戦闘艦で140の砲門を備える超弩級戦艦であった。アクアマリン王国を目前とした艦隊全艦は、オプシディア帝国艦隊の風習となっている歓迎旗と音楽を鳴らし、総員アクアマリン王国に向けて敬礼をして、礼節を尽くす姿勢を見せた。 「提督、間もなくターコイズ湾に入ります。」 「そうか、事前の連絡もなく、これだけの大艦隊で訪れたら砲艦外交以外のなにものでもないな」 提督のツァルバニトゥは部下に苦笑いした。 「おっしゃるとおりで・・・」 下士官はうなずいた。 ―― しかし、この国の国防はどうなっておるのだ。普通の国なら、領海近くに警備船かなにかがパトロールしておるはずだが。ここまで無防備とは。。。提督は唖然としていた。 事前の提督の計画では、領海付近のパトロール船に国王謁見の意志を伝えるつもりであったが、首都のアクアマリンがあるターコイズ湾まできてしまった。 「こちらも、無警戒でここまで深入りしてしまったな」 念には念の警戒と行動が必要な軍隊であるにもかかわらず、 一国の大艦隊としてはいささか軽率な行動ともいえた。 下士官はその意味に気づかない様子で 「はぁ」 と間の抜けた返事を返した。 ターコイズ湾の真ん中で停泊すると、港から小型漁船ほどの船がこちらに向かってくる。衛兵らしき人物が認められることから、王国の軍隊の船であろう。その船は静かに戦列艦・ヴィクトリーに横づけすると、いかにも南国風の軍服を着た軍人と高官が乗船してきた。 提督のツァルバニトゥは宰相代理を呼び、高官を提督執務室に通す。 「オプシディア帝国宰相代理のダムと申します。艦隊提督のツァルバニトゥと申します。」 「アクアマリン王国宰相代理のリペックと申します。アクアマリン王国王府守備隊長のオルコスと申します」 4人は丁寧に挨拶を交わし、ツァルバニトゥが案内したテーブル席に腰かけた。さすがは、オプシディア帝国が誇る最新鋭旗艦だけあり、船尾にある提督室はホールのように広く、グランドピアノが置かれ、船尾面はガラス張りの造りになっている。 「まず、大変な無礼をお詫び申し上げます。なんのお伝えもなく、大船団で訪れましたことをご容赦ください」 話を切り出すと、帝国宰相代理のダムは王国に対して大艦隊を派遣したことを詫びた。権威と威厳を大切にづる大帝国の官僚らしく、品格のある物静かな言い方だった。通常の外交では事前に伝達するのが国際的なマナーであるにもかかわらず、現に帝国は慇懃無礼にも大艦隊を無通告で派遣してきているのだ。 「これだけの船がくるのは穏やかな話ではございませんな」 アクアマリン王国王府宰相代理は警戒心を露にしながら、相手に理由を質した。海戦に用いる戦列艦はおろか、まともな軍事力を持たない国に大艦隊を派遣してきたのはなぜか、その理由がサッパリわからなかったからだ。 「我が国の皇帝・ファドゥーツⅠ世からルクソール陛下に親書を携えて参りました。是非とも謁見をお許ししただきたい」 帝国宰相代理のダムは国王への謁見を願い出た。アクアマリン王国宰相代理のリペックは、「帝国は大艦隊で押し寄せ偉容を見せつける艦砲外交の慇懃無礼さを謝るつもりもないのか」と内心不機嫌になりつつも、即刻王室に伝える旨を伝達し、しばらくの時間をもらった。 *************** パール宮殿謁見の間で玉座に深く座したルクソール王は宰相から親書を携えた使節団来訪の報告を黙って聞いていた。この王国の全土を一瞬にして占領できるほどの戦力を携えてきた使節団に王は不審を抱いていた。とはいえ、相手は最強国家であるオプシディア帝国だ。そうそう無碍にはできかねる状況におかれているのは間違いない。 「で、そのほかの目的は?」 「親書を携えてきたという以外は。。。。敵意はないようでございます。」 宰相もこの状態に困惑した。 「まぁ、よいか。使節団を丁重にもてなし、明日に謁見を執り行う。使節団には宴を、艦隊の兵士諸氏には豊かな食べ物を贈り、これをよく労うように」 王はこのように伝えると宮殿の執務室に戻っていった。使節団達は上陸すると、迎賓館に招待され宴が執り行われた。常夏の島の海の幸、山の幸、川の幸を存分に楽しんだ。また、艦隊の兵士達には、王室女性たちが作ったお弁当と葡萄酒が配られ、王国からの歓迎の意が示されていた。 翌日、パール宮殿謁見の間において、皇帝特命全権大使が率いる使節団が正式に国王を訪問し、親書を渡した。 「これははるばる遠い海路を経てようこそお越しくださった。国を代表して歓迎いたしますぞ」 国王は玉座から定型の社交辞令を告げると、にこやかな顔をして歓迎の意を示した。使節団は膝をつき、王の言葉をいただくと、親書を宰相のスメトリブイが持つ小さな台に丁寧に置いた。宰相はその台を王の前に持ち、王はそれを謁見し再び台に戻した。 「これにて、謁見の儀を滞りなく執り行いました」 宰相が告げると謁見の儀は終了した。 使節団は「夏の間」に移動し、王族との歓談を行う。実際にこの歓談が外交上の交渉の場となる。この国の王は堅苦しく振舞うよりも砕けた家族的な雰囲気を好むことから、宴も打ち解けた雰囲気になっていた。夏の間では王族、王府の閣僚、使節団たちとの歓談が盛り上がりつつあった。帝国宰相代理のダムは外交交渉の場を設け、折衝するつもりであったが、王が堅苦しい雰囲気を好まないこと、この場の雰囲気が非常によいことを考慮して、国王に今回の訪問の本当の趣旨をこの場で語ることを決意していた。 「親書にもあったが、改めて伺う。そなた達の訪問は?」 王はワインを飲みながら帝国宰相代理のダムに気さくに語りかけてきた。機嫌は悪くないようだ。 「はぁ、親書にもございましたように、是非とも王女エリル様との婚儀をご容赦いただきたく参りました」 宰相代理は声を潜め王に告げると、どのような返事が返ってくるのかと王の反応を待った。 「うちの娘がほしいのか?」 「はい、皇帝のお望みにございます」 急に普通の父親に戻った顔に、戸惑いつつも宰相代理はエリルとの婚儀の話をつづけた。 ルクソール王はやれやれという顔をして、宰相代理を見つめるとワインを飲みながら、呟く。 「これで、12回目にるな。結婚の話がきたのはのぉ。。。。」 「はぁ」 「こんな大勢で大挙してきたのははじめてだがの。これまで、11人ほど娘が欲しいといってきた王族がおるんじゃよ」 他者に先を越されてしまったあせりからか、宰相代理の口元がワナワナと震える。 「それで、お嬢様のご婚儀は?」 宰相代理はあまり突飛な話にいつも流暢な社交スタイルは崩れ、王女を娘などと口走っていた。 「まぁ、互いによければそれでよろしかろうて。。。」 そういうと妻である妃に「エリルがほしいそうだ」とワインを飲みながら笑いニコニコ語りかけた。 「まぁ、素敵なお話しですこと。でも、エリルちゃんはずいぶん男勝りな気質で気性が激しから大丈夫かしら。。。。」 妃はにこやかに笑いながら、宰相代理に話しかけてくる。宰相代理はエリルの伝聞を心の中で思い起こす。容姿端麗にして聡明、運動神経も抜群な文武両道、慈しみ深く謙虚な性格。確かそうだったはずだ。 「エリル。エリル、こっちに来なさい」 王はワインで頬を染めながら、ずいぶんとご機嫌の様子で、エリルを呼ぶ。エリル? まさかこの宴にエリル嬢が同席している? 宰相代理はいつもと違うアットホームな外交の雰囲気と、酒の酔いも手伝って混乱に拍車をかけていた。 「なーにぃ~、お父さーーん」 甘えた声を出した若い女性が宰相代理のダムの横に立っている。女性というよりもまだ少女だった。チャイナドレスのように体にフィットするシンプルな白いドレスを着用し、スレンダーなスタイルに大きさの程よいバスト。バストから腰にかけての女性らしい美しい曲線。手足は長く、その色白から脚線が美しく見える。これほどまでなら、なにがなんでも自分の妃にと思うだろう。ダムはその美しさ、可憐さ、無邪気さ、無垢さ、身のこなしなどで一目で気に入った。いや、気に入ったというよりもファンになったのだ。何がなんでも帝国の妃に、ダムは強く心に言い聞かせた。 「ああ、エリル。オプシディア帝国皇帝がお前を嫁にほしいそうだ」 王は片手で持つワイングラスをくるくる揺らしながら、中身のワインをまわし、そのワインを口に運ぶ。 「ん? なんですって?」 「嫁にほしいんだと。オプシディア帝国皇帝がだよ」 宴は完全に中流階級の家族会話の雰囲気になってしまっており、王と王女間の会話もまた同じくパパと娘の会話になっていた。周りの使節団のメンバーも王族の感じも変わらない状況だ。それにみんな心から楽しそうだ。 「ん? なんでわたし。なんで、なんで、私なの? 姉貴いるじゃん」 酒の酔いも手伝って素になっている王女。 唐突な話に驚くエリルの困惑したその顔はなんとも美しく、かわいらしさがにじみ出ている。宰相はエリルを直接くどくことにした。通常の外交上の宴では絶対に許されないし、できないことであったが、ここではそれができた。 「エリル様、オプシディア帝国宰相代理のダムと申します。是非とも、エリル様に帝国妃としてお越しいただきたく、」 「やだ」 「はぁ? しかし、我が帝国は、エリル様のために莫大な財宝を船団に乗せてお持ち致しました」 「ムリムリ」 エリルは手をヒラヒラさせて取り合わない。しかし、その冷たい反応を示すその顔でも十分に男を魅惑した。 「あの大艦隊は財宝が詰め込まれていたのか」。さぞかし重要な宝物を遠路から持ってきたのだろう。王は大艦隊の意味を納得した。ここまでして無碍に返せば、この宰相代理のほか、使節団の面目は丸つぶれになるだろう。最悪の場合は極刑を課せられるかもしれない。アクアマリンのために犠牲者を出すのは、この国の望むところではない。 「エリル、まぁ、そこまでお前を気に入ってくれたのだ。一度お会いしてきてはどーだ。お断りするなら、ちゃんと礼節を尽くして皇帝陛下にお詫びしてきなさい」 王はエリルに命じた。 「うそぉ、なんでそうなるの。なんなのそれ!」 苦悶の表情を浮かべ泣き叫ぶ少女。この少女が苦悶の表情をなによりも美しいと、ダムは感じた。 「ダム殿、お持ちいただいた財宝はどうぞお持ち帰りください。我が国には海の宝、山の宝、河の宝などなど宝には恵まれておるのでな。。。。」

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