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今回の講座では前回の講座に引き続き、キャラクターイラストの一枚絵を描く上で最も根幹となるラフを描く上で重要な、構図の考え方について解説していきます。この講座では、私が設定した項目を順番に理解していくことで自然と構図についての理解が深まるように構成されています。前回の講座ではどのように人体を正確に描写していくかに焦点を当てて解説しましたが、今回の講座ではどのようにしてよりキャラクターを魅力的に表現していくかについて焦点を当てていきます。よく「構図をどうやって考えればいいのか分からない」と質問を受けるのですが、構図には画力は関係なく、理論がメインです。高い画力で人体を上手く描くのも勿論重要ですが、イラストの基本であり、またよりキャラクターを魅力的に魅せるために必要なテーマを扱うこの講座をぜひ活用していただければと思います。
【注意事項】
全ての講座に言える注意事項です。講座には私の個人的な観点も含まれるため、必ずしも正しいとは言えません。定説・理論が存在しない場合もあり、私の個人的な価値観が反映されている部分もある為、ある程度の誤差や例外、間違った部分があると思います。そのことを考慮していただき、寛大な心でご覧下さい。ただ、私の講座は完璧ではないかもしれませんが、経験上のものであることは確かなので、参考になると思った部分は吸収し、皆様の今後のイラスト活動に活かしていただければと思います。
参考資料;vision、スカルプターのための美術解剖学
目次;
1.構図とは
2.キャラのアングル(アイレベル)を決定する
3.ラインとシェイプを意識して視線誘導をさせる
┣3-1.三分割法を活用する
┣3-2.コントラポストを取り入れる
┣3-3.S字を取り入れる
┣3-4.サイレントキラーに注意する
└3-5.タンジェントにならないように意識する
4.より魅力的になる方法を検討する
5.まとめ
構図と一言で言っても、ラインで捉えるだとかシェイプを意識するだとか、黄金比やら視線誘導やらと多くの要素を含んでいます。言葉は聞いたことはあるし一応調べたりはしたけれどいまいちそれらを理解しきれていない人が多いのは、関連付けを行わずにバラバラに記憶してしまっているため、上手く自分のイラストに取り込めていないからではないかと思います。なので今回は基礎編として、最も重要な要素のみを簡潔に解説していきます。従って、色や明度といった色塗りの段階に関するテクニックは今回は取り扱わず、あくまでもキャラクターイラストのラフを完成させる際のポイントになります。また、私がよく使用しているすぐ実践できるテクニックも紹介していきます。
さて、本題に入ります。キャラクターをより引き立てるにはどうしたらいいのか、どうすれば自分の伝えたいメッセージがより効果的に伝わるのかという問題を解決するのが構図です。また、イラストを見た人が一瞬で絵の情報を読み取れ、視覚的に退屈ではなく、感情を動かすことができるようなものが良い構図だと考えます。構図には前回の講座のような純粋な絵を描く能力よりも、原理を理解して多様な選択肢から決断する能力が大切です。逆に言えば、まだ自分の思うように描ける画力がない人でも工夫できる点が多くあるのが構図です。では早速構図決定における要素を解説していきます。
まずはキャラのアングルを決定させるところからスタートです。カメラで写真を撮るときにどういうアングルでキャラクターを撮ったら最も魅力的になるか、自分が表現したいものを見る人に伝えられるかを考えると良いです。初めは魚眼レンズや広角レンズといったものは考慮せず、アイレベルの観点から選択していくと良いしょう。アイレベルについての解説と私なりの印象やイメージは以下の通りです。キャラやイラストのシチュエーションによってアングルを決定してみてください。
①アイレベルがキャラクターの真横の場合
一番基本的でよく使われる構図です。背景を描く場合もパースが複雑にならないため、初心者の人でも描きやすいです。
この構図を使用するシチュエーションの例は、キャラクターと対等な目線で見てもらいたい時、キャラクターの立ち絵、集合絵などでよく使われます。
②アイレベルがキャラクターより上の場合(俯瞰)
女の子のキャラクターイラストでよく使われる構図です。俯瞰(ふかん)と呼ばれています。俯瞰の構図は、イラストを見る人がキャラクターを見下ろすシチュエーションになるため、見ている方が優位な立場になります。従って、キャラクターをか弱く、儚い印象にしたいときに使うと効果的です。また、この構図が特に女の子のキャラクターを引き立たせるもう一つの理由としては、顔のパーツに関係があります。これはFANBOXの一番初めの講座である「誰でも可愛い顔が描けるようになるラフの描き方」で「パーツが顔の下の方にギュッと寄せてデフォルメすると二次元イラストでは可愛く見える」と述べているように、俯瞰で描く事によってよりそれが強調されるからです。また、顎の長さは年齢とともに長くなっていきますが(赤ちゃんから大人になるにつれて顎の骨が成長し長くなっていく)、俯瞰で描く事によって顎が短く見え、より幼く可愛く表現できます。
この構図を使用するシチュエーションの例は、俗に言う彼氏目線のようなキャラクターとデートしているような場面など、キャラクターよりもイラストを見る人が優位な状況で使われます。
③アイレベルがキャラクターより下の場合(あおり)
キャラクターに見下ろされているような構図です。あおりと呼ばれています。シチュエーションが限定されるため、①と②に比べると使う頻度は少なくなりますが、あおり構図を使うことでより効果的に表現できる場合もあります。例えば、キャラクターが自分より大きい時に見上げるような構図にすることで、キャラクターを大きく、高い地位であるように感じさせることができます。そうすることによって、パワーや畏敬の念といった感情を見る人に感じさせることができるので、迫力のあるキャラクターや凶暴なキャラクターを描くとき、緊張するシーンやドラマチックな状況に向いています。
この構図を使用するシチュエーションの例は、キャラクターが人を馬鹿にしていたり、見下したり、ドン引きしていたりといった状況や(メスガキが主体のシチュエーションでよくありますよね...)、巨大な敵に立ち向かう主人公のような状況といった、イラストを見る人よりもキャラクターが優位な状況で使われます。
キャラクター自体は同じでも、キャラクターを見るアングルを意識した上でキャラクターとの距離感や大きさを検討していくとイメージしやすくなり、様々なシチュエーションのアイディアが具体的に思いつくようになっていくのでぜひアングルを意識してラフを考えてみてください。
構図の骨組みとなるものがラインであり、さらにさまざまな単純化されたシェイプ(三角形、四角形、円など)を組み合わせることによってイラストは構成されています。四角いキャンバス中でどのようにラインの方向を意識し、配置し、太さや筆圧、強弱を決定するのか、またシェイプをどのように単純化・明確化してイラストを構成していくのかというのには経験も必要です。ですが、すぐに実践できるラインやシェイプの考え方もあるので、それらを6つの項目に分けて解説していきます。
【3-1.三分割法を活用する】
三分割法とは以下の画像のようにキャンバスを縦横三分割にして、線の交点や線上、もしくはその付近に強調したいものや魅せたいものを配置する方法です。また、一番上の横ラインには一番目がいきやすいので、私はよくこの位置にキャラの顔を描くことが多いです。これは写真を撮る時にも活用できる非常に簡単な方法なので、ぜひ取り入れてみてください。
【3-2.コントラポストを取り入れる】
コントラポストとは、腰と脚が肩と頭とは違う方向に曲がり、全身が縦軸上でよれている姿勢を表す単語です。簡潔にいうと、右肩と左肩を結んだ直線と、右腰と左腰を結んだ直線がどこかで交わるような姿勢のことです。逆に、直立不動(棒立ち)や左右対称のポーズだと、退屈に見えてしまうことがあります。キャラクターが単調に見えることを防ぎ、よりポーズに躍動感が出せるため、ぜひ取り入れてほしい技法です。※実例は次の章で紹介します。
【3-3.S字を取り入れる】
S字とは、ポーズを形作る流れをS字を使って流動的にイメージしたり補助線を引くことで、人体の輪郭や曲線を美しく表現することができる便利な手法です。これも②のコントラポストと同様の効果を出せるため、構図が単調に見える際にはS字を取り入れることで改善していきましょう。※実例は次の章で紹介します。
【3-4.サイレントキラーに注意する】
人体の重要な要素は、十分離れたところからみても識別できる必要があるため、キャラクターをシルエットとして表示した際に体の各部位が分かりにくかったり、どのような構図なのか識別できない場合は構図を見直した方が良いです。特に下の画像(雷夏。作)のような立ち絵イラストの場合はシルエットがはっきりしているととても見やすいです。
【3-5.タンジェントにならないように意識する】
こちらはPalmie (Twitter: @palmie_oekaki)さんの画像がとても分かりやすいのでご確認ください。タンジェントとはシェイプ同士が接している状態のことで、タンジェントの状態になっているとシェイプの形がとらえにくくなってしまいます。それを防ぐにはシェイプ同士を離れさせるor重ねることで距離感を分かりやすくさせます。そうすることで、より情報がイラストを見る人へ伝わりやすくなります。もちろん全てのシェイプに対してタンジェントを防ぐことは不可能ですが、避けれる部分は改善してイラストをより良くしていきましょう。
では、前章で紹介した技法の具体例を画像付きで紹介していきます。また、前章までに紹介されていない気をつけたポイントや、より魅力的になるように考えたポイントなども書き込んでいるので合わせてご確認ください。
今回の講座では構図に取り入れたい考え方や実際に私が意識しているポイントを紹介してきました。改めてイラストには画力だけでなく、構図を考える上での視点や知識が大切であることをお伝えしたいと思います。今回紹介してきた理論や技法はとても基本的でシンプルなものですが、すぐに実践できるものも多くあるので、ぜひ意識しながら取り入れてみてください。構図はラフを起こしていく上でのイラストの基礎であり、ここからがスタートです。今後の講座で配色によるキャラクターの魅せ方やより高度な技術を使う魅せ方も紹介していく予定ですので、ぜひまずはこの基本編をマスターし、イラストを制作する上での基盤にしていただければと思います。
でゅら*
2022-12-18 15:55:20 +0000 UTC