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土装番 from fanbox
土装番

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機械の侵食 2話 入れ替わる主従 4/4

「ペリエッタ様……」 「ああ、ありがとうございますペリエッタ様。貴女のおかげで、私達は待ちに待った日を迎えることができました……」  マリアを含めたこの場にいる全員が、彼女に絶対服従を誓ったかのような崇拝の眼差しを送り、例外なく喜びの笑みを浮かべた。  だがその中で、杏奈だけがこの状況を理解できずにいた。 「いきなり何やってるのよみんな……どこの誰かもわかんない奴に跪いて、意味がわかんないわ」  豪邸内で唯一、ペリエッタに出会ったことのない杏奈からすれば至極当然の反応でしかない。  彼女によって、マリアを含めた全員が機械に変えられたなど。その後、彼女こそがマリア達のマスターになったことなど知る由もないのである。  だが、その言葉がマリアの、そしてメイド達の怒りを明確に刺激した。  夢中で靴を舐め続けている杏奈に、マリアは侮蔑の視線を送りながら、頭を思いっきり踏みつけた。  さらに、足首を大きく捻り、杏奈の首を強引に折り曲げてしまった。 「ひぎああっ!? 頚椎部ガは、破損……マ、マリあ様……naにする……のぉ…………」  めき、ぎぎ……と、人体からは鳴り得ない重く鈍い金属の変形音を小さく鳴らし、首が人工皮膚越しにでもわかる程に歪んでしまっていた。  だが、杏奈は頬を緩ませながらぴくぴくと震え、心地よさが混ざった嬉しそうな声色で理由を問うだけ。  既に彼女には痛みの感覚は無く、首を折られたことすらもこの上ない快感だと感じるようになっていた。   「黙りなさい。あの方こそが私達の新たなマスターであり、私達を生まれ変わらせてくれた素晴らしい主人のペリエッタ=ウルマーリ様よ。杏奈のような人の上に立つ資格もない下賤な者とは何もかもが違います」 「初めまして、ここの元持ち主さん。私がペリエッタだよ。私がね、ここにいるロボットやメイド達を全員作り変えちゃったの。みんな幸せそうでしょ?」  踏まれ続けている杏奈の方へ自ら近づき、馬鹿にするような目線と共に姿勢を低くし、煽るように話しかけるペリエッタ。  どこの馬の骨とも分からない相手に対して、杏奈は睨み続け不快感を表すが、そんなペリエッタに作り変えられたかつての主従関係を持っていた者達に対しては服従しているという特殊な状態が生まれていた。 「ええ……機械にナるっテとてモ素晴らシいことだト思うけど、どうして……」 「私が活動する拠点が欲しかったの。私達って余所者だからさ、まだ堂々と動くわけにはいかないし。幸い、この星は私達の星と環境がとても似てるから馴染みやすいしね。こうやって、素晴らしい機械化をみんな受け入れてくれてるし」  喉が捻じれ、音声に電子音らしさが混ざり始めた杏奈と比べ、とても人間らしく違和感のない声で喋るペリエッタ。  彼女の言うことに全く現実味がない、自分のことを宇宙人とでも言うのかと思考するが、自分の身と自身の豪邸内に起きた出来事を省みると、どうしても信じざるを得なかった。  そして、ペリエッタは楽しい娯楽に触れる前の少女のような表情で、人差し指を第一関節から蓋のように開き、接続端子を露出した。 「じゃ、貴女で最後だからちゃんとマスター登録させてもらうね」 「や、止めなサいよ! アたしはまリア様に仕える……」 「ペリエッタ様からのマスター登録を拒絶するなんて、どこまで愚かなんですか貴女は」 「心配しなくても、マスター登録を上書きするようなことはしないよ。ただ、私を最上位ユニットとして登録しながら別のマスターとして刻むだけだから」 「やメ……あっ…………外部機体との接続を確認しました。外部機体からの操作を受け付けマした。機体名、ペリエッタ=ウルマーリを最上位機体として登録します…………」  接続から操作まで迅速に進み、杏奈の抵抗は一瞬にして無に帰した。  愛するマスターに内部データを改竄してもらえていることに、マリアや周囲のメイド達はとても羨ましそうな視線で見つめていた。 「これが終わったら、私ちょっと出かけてくるから。その間、好きにこの娘で遊んでいいからね。特にマリア、この娘を壊しながら快楽信号得てみたかったでしょ?」 「……はい。杏奈を壊せる日が来るなんて思っても見ませんでした」  杏奈が痙攣している横で、機械にしか出来ない快楽行為を煽っていくペリエッタ。  破壊によって、大きく進化した彼女の中に生まれた不快感が晴らされるのならば、マリアは迷わずそれを行うだろう。  壊れることで、エラーを起こすことで、肉体的に絡むことで、ペリメイズ人由来のロボットは激しい性感を覚えることができる。  生まれ変わって一日も経っていない彼女達は、まだそれを経験していない。  まさしくそれは、マリアやメイド達に荒谷刻まれた行動原理を煽る言葉でもあったのだ。 「新しいマスターが登録されました。現在の状態を保存します。外部機体との接続が切断されました」 「じゃ、またあとでね。みんな、いっぱいこの身体を楽しんでね」  指を杏奈の首筋から外し、手の状態を戻すと、ペリエッタは明るく軽い雰囲気でその場から去って行った。  それから入れ替わるようにして、杏奈の人格エミュレートが復帰する。 「……あら? ペリエッタ様がいないわ」  人格が復帰した直後、最も従うべき相手であるマスターがいないことに寂しそうな反応を見せる。  一方、それぞれの好きに乱れて良いと命令を受けたマリア達視線は杏里へと釘付けになっていた。  その視線には、押さえきれないような情欲が漏れ出しており、今にも手が動こうとしていた。 「杏里、これから貴女への破壊行為を行います。だけど苦しみはありません。私達は生まれ変わり、破損することで気持ちよくなれるようになりました。それを今、貴女へ与えてあげます。感謝してください」 「…………言っテることはわカらないけど、マリア様カら手を下してくれルなんテ嬉し……あがっ!? ぁぁ……あんっ!!」  杏奈に喋る間も与えず、マリアはかつての主人の左腕を掴み、強引に肩を曲がってはいけない方向へと折り曲げながら、関節を踏み潰した。  人工皮膚の下からささくれだった部品が飛び出し、ブチブチと破れていく。  これまで人間として機械人形を見下しながら暮らしていた杏奈の身体からは血の一滴も流れず、無数の壊れた金属部品が床の上に散らばっていった。  しかし、杏奈は痛みに悶絶することはなく、気持ちよさそうに背中を小さく仰け反らせながら震えた。  マリアはそこから、思いっきり左腕を引き千切る。 「あ゛っ!? …………左腕部ゆニットの接続が切断さレまシた…………あ、あ、ぁぁ……腕が、あたし……あんっ! こんなに……きもちい……ぁっ!!」  ぽろぽろと断面部から部品が落ち、微弱なスパークが引き起こされる。  本体から離された左腕は、切断の瞬間にばたばたと暴れたが、それ以降は残存した電力による影響力なのか、ぴくっ、ぴくっ、と不規則に指先が動いていた。  本体の杏里側は、深刻な損傷によって一瞬無表情になりシステムメッセージを口にするが、すぐに元に戻り淫乱によがり始めた。  腕の破壊と性的快感という人間ならば全く繋がらなくて当然の要素が結びつき、混乱を起こしている杏奈。  断面部からはきゅい、きゅい、と駆動音が鳴り、腕の本来の動きを空振りさせている。  そんな元主人、現下位ユニットの無様な姿を間近で見たマリアは、ぞくぞくと興奮しながら、さらに右腕、左脚、右脚と、全ての四肢に手を付けていった。 「ぎっ!? 右腕部ユニ……左脚部ゆにットとの接続ガ……右脚部ユニットのせつぞクが切断されましタ……ぁぁ……あはっ……あたシの手足が……あんっ! あはハなんなノこの感覚……きもちい……あっ……」    取り外し可能にも関わらず、あえてそれをせず暴力性を誇示することに、マリアはただならぬ快感を覚え、人工愛液を分泌し股間をひくひくと蠢かせていた。  その液は、杏奈の下腹部へとろとろと垂れていくが、そんな杏奈の女性器ユニットも、これまでの人生でこれ以上は無いと言える程に淫らに濡れていた。  四肢から鳴る駆動音はより数を増やし、くねくねとまるで芋虫のように全身をくねらせている。  手足が破壊されたことによる快感が想定以上なのか、すっかりと彼女の表情は蕩けきっていた。  捻れた首も合わせると、どう見ても壊され捨てられたセクサロイドにしか見えない。そんな杏奈の姿は、皮肉にも彼女が人間だった頃に遊び半分で壊していたアンドロイド達にどこか似通っていた。 「ふふふ……これまで貴女がしていたことを自分がされる気分は……まあ、気持ちよさそうですね」  侮蔑と皮肉の意味を込めた言葉をぶつけ、かつてのマスターを嘲笑するマリア。  無様な姿だと罵倒しながらも、破損による快感を同様に感じられる彼女は、思考内では自分も受けてみたいと少なからず思考していた。  だが、今はそれ以上にこの惨めたらしい元人間の下位ユニットを壊したくて仕方がない。  マリアは、引き千切った右腕を手に取り、ミシミシと強引に手の形を曲げて変形させ、手刀の形を作った。 「私よりも感じているなんて、許せませんね……それなら、もっと気持ちよくなることなんてさせてあげましょう」  そして、微妙に指先側動いているその右腕を、爪の方から思いっきり女性器ユニットへと置くまで強引に挿入していった。  人工愛液が潤滑液になっている分挿れやすさは絶妙で、伸縮性に優れた杏奈の蜜壺は、どんどん自身の右腕を受け入れ、とうとう子宮ユニットの行き止まりまで突っ込まれた。 「ひぎああっ!! か、快楽信号が、が、マリあ様ぁぁ……あ、あたシし、おオおかし、おかシくナっちゃいそそそう……あああっ!?」  歪んだ四肢の断面部に、股間から腕が飛びてている状態のままガタガタと快楽信号に溺れていく杏奈。  膣内に刺さった右腕の断面部に軽く電流。流すと、腕がぶるっと性器内で震え、指がぴくぴくと予期せぬ挙動を起こす。  それが、子宮ユニット内の肉壁をけずるように刺激し、さらなる人工愛液の潮を噴き出させた。  本来想定される挿入物の大きさを超えているからか、杏奈の下腹部はわずかに膨れ上がり、手の動きによって膨らんだり縮んだりを繰り返している。 「あはっ……私達をあれだけ我儘放題に壊した元御主人様……快感に侵されながら壊れていく気分はどうですか?」 「まりア、さ、サマ……あ、ああっ!! とってもも、きもちイい、わ……あんっ! あ゛あ、あ、ああっ!! もっとと、壊れ、破損した、壊れれ……」  彼女が拒絶したパーティーで体験する可能性のあった快楽を遥かに超える性感をが、電子頭脳に襲いかかる。  全ての刺激が快楽信号へと変換され、誤作動が起きる程の負荷が与えられ、挙動すらも非常に不安定になっていく杏奈。  これまで何度も使い捨てていったアンドロイド達と同じどころか、無様で淫らでだらしない壊れ姿を晒す彼女を見て、マリアは初めての感情的興奮を覚えていた。   「そんなに壊れたいんですか……あんなことしてたのに、本当は自分がされたかったんですね……いいですよ。では、ここをこうして……」  マリアは妖しい笑みを浮かべながら、痙攣する度に波打ち扇情的に揺れる乳房を鷲掴みにし、強引に握り潰した。  快楽によって勃ち上がった乳首が指の間から顔を出し、乳液を噴き出させる。  そして、ぶちぶちと乳房を覆う人工皮膚が避け始め、乳内の人工乳腺が露出した。 「ぎっ!? 胸部ユニ、ゆにットがはそ、破そそ……あ、あ、ままマリ、あさま、様ぁぁぁぁ……あ、あ、あ、あが……きもち、ちち、きもちいいいい……」  次々と人間らしい容姿が失われ、機械だらけの見るも無惨な姿へ変わっていく杏奈。  どれだけ痛めつけてもそれを気持ちいいと認識し、自ら求めてくる姿はまさしく都合のいい機械人形に他ならない。  ならば最後に、現マスターであるペリエッタから教えられた最高の快楽行為を与えてあげようと、マリアはそっと耳元に口を近づけ、囁いた。 「杏奈……貴女の中枢部を開放しなさい」 「かし、コここま、わかりマましたタわかったわ。電子頭脳をを開放し、開放し、開放しししし……」  ぎこちない動作となりはじめた杏奈は、命令に従い自身の中枢部を開放する為、後頭部ハッチを開いた。  髪の毛を掻き分けた先にある、今の彼女の全てが詰まっている電子頭脳。  ペリメイズ人の簡単にしてとびきりの贅沢の一つとは、電子頭脳を破壊し、刹那的で、暴力的で、背徳的で、爆発的な快楽信号を発生させることである。  首をわずかに上に起き上がらせ、仰向けの姿勢のままでも自由に触れるように自動的に配慮する杏奈。  そんな気の利く下位ユニットに笑みをこぼしながら、マリアは右脚を振り被る。  そして、岩をも砕かんばかりの勢いで、杏奈の電子頭脳を蹴り上げた。 「$*@8&%8⬛#&3’⬛⬛!!!??」  ほんの一瞬の出来事だった。  杏奈の電子頭脳は陥没し、勢い余って首がさらに捻れて歪みが酷くなり、各関節部からきゅいいい、と激しい駆動音を鳴らしながら、全身が断末魔のように乱れ跳ねた。  人工愛液の潮がスプレーのように噴き出し、乳首からは乳液がぶしゅっ、と出の悪いホースのように流れ出た。  首部分が完全に壊れた彼女の声に人間らしい面影は殆ど無く、何を言っているのかもわからない電子音が、部屋の中に響き渡った。  そしてそれが、彼女の機械として初めての絶頂でもあった。 「マ#@⬛……rrr…………あさ…………マ………(7#ki_⬛……も………チ………………i………………⬛………………」  機械の身体を動かす為のプログラムやデータが詰まった中枢部が破壊されてまともに動けるはずもなく、杏奈はゆっくりと、マスターへの快感の言葉を壊れた声で漏らしながら、少しずつ動作が緩慢になっていく。  そして、杏奈の機能は完全に停止し、自分も同じ役立たずのガラクタへと変わり果ててしまったのだった。  その表情は、壊れたにも関わらず幸せそうで、周辺に撒き散らした人工の体液が、彼女の幸福の度合いを示していた。 「あはは……杏奈が停止してしまったわ……だけど、私達はいつでも修復できるからゴミとして棄てる必要もない……よかったですね。貴女が捨ててきた皆と同じにならなくて」  資源さえあれば、いくらでも修復が可能となっている惑星ペリメイズの超高度技術。  それ故に、快感の為にボロボロになるまで壊れるという娯楽が成立するのである。  マリアは機能停止した杏奈を見下すようにうっとりと眺めた後、室内へと視線を移した。 「こここんな気持ちいいの、きもちちちいの、人生で感じたことな感じたことな感じたことな⬛⚪%73!?」 「エラー、人格データが見つかりませ、エラーじじ、人格エミュレートが起動できませ、ませ、ままま……」 「ねえカトレアっ! 私ね、私ね、ずった貴女のここ、ことが好きで羨ましくてきき、機械の身体になりたかったの! だから、一つになな、なれてとてもうれしい!」 「私は有夏で、あ、あたしはあれ? あたしは有夏でで、ですけど有夏として登録され、され有夏ななな、陽子だけど陽子だけど有夏で陽子で、有夏で私は名前をつけてくれた陽子ですすすす……」  かつて人間だったメイド達が、異星の技術に遠く及ばぬアンドロイド達が、はちきれんばかりの愛欲の言葉を口にしながら、各々に絡み、乱れ、愛し合い、壊れていく。  その光景はさながら乱交パーティのよう。持ち主の気性とはズレていながらも、気品に溢れた内装には到底似つかわしくないような、機械達の俗な戯れ。  そんな色欲に染まった世界を見て、マリアは全ての価値観が塗り替わったような、うっとりとした恍惚の顔を見せていた、  そして同じく、豪邸の世界を何もかも作り変えてしまったペリエッタも、ペリメイズ人に与えられた使命の第一段階を進められたことに、悦びを感じていたのだった。 * * *  九条杏奈の豪邸が生まれ変わってから数日後。  この日は九条一族が一堂に会する定例のパーティーが開かれる日。  誰であろうと例外なく集まり、それぞれの近況報告やビジネス情報の共有、共通した趣味の雑談など、九条家の絆を深める為に開かれるイベントとなっている。  そして、それには当然杏奈も参加する。  本人は非常に気怠そうにいやいや参加し、親族や兄弟も彼女を煙たがっている。  今回も、露骨に嫌悪を隠さない態度で参加するのだろう。そう誰もが思っていた。  だが、その当然とも言える思い込みが、最大の衝撃の種となったのである。 「……お、お前……本当に杏奈なのか……?」 「はい、お兄様。私は正真正銘の杏奈ですよ」 「誰か変わり身でも雇ったんじゃないだろうな……?」 「ふふ、そんなことありませんよ。私は今日から、心を入れ替えて参加しているのですから」  家族達は皆、そこに広がっていた光景を信じることが出来なかった。  九条家一番の問題児であり、気品の欠片も感じなかったあの杏奈が、非常にお淑やかで模範的な令嬢として参加していたのだった。  純白のドレスに身を包み、所作の一つ一つが丁寧で礼儀作法も完璧。  とても同一人物とは思えないが、その女性はどこからどう見ても杏奈だった。 「さて、今回はこれまでの非礼を詫びると共に、是非とも御兄様、御姉様方へお話したいことがあるのです」 「……なんだか気味が悪いな。あの杏奈がここまで矯正されるとは、一体何があったんだ」 「まあまあ、自分自身を見つめ直してくれたのでしたら良い事じゃないですか。『あの杏奈』の話だとしても、今回は聞いてあげましょうよ」 「ありがとうございます。私の話というのはですね……」  同時刻。杏奈の豪邸では、一体の全裸のロボットが、数人のメイド達によって嬲り者にされていた。 「ほら杏奈、そこで自分でオナニーしなさいよ。人工愛液は自分で舐め取って掃除しなさいよね」 「はい、かしこまりました。なんで……なんであたし、ペリエッタ様とマリア様以外に従わなきゃいけないのよ……」  そのロボットの中身は、他でもない杏奈。  開放されたままの後頭部から見えているのは、本来の身体から移し替えられた杏奈の電子頭脳だった。  一方のマリアの身体は、かつて杏奈が寛いでいた自室にて、空っぽの頭部を晒しつつ、虚ろな瞳で椅子に腰掛けている。  それもそのはず。本物のマリアの電子頭脳は、現在本物の杏奈の身体へと組み込まれていた。  つまり、マリアが杏奈を演じ、とてもお淑やかで完璧な令嬢として振る舞っていたのだった。  杏奈の電子頭脳が組み込まれているロボットの身体は、豪邸内で最下位のユニットとして設定された低スペックの女性型ボディ。  一夜にしてヒエラルキーの最底辺へと落とし込まれた杏奈は、メイドやロボット達の人権の無い玩具として使い倒されるようになった。  命令には絶対服従であり、ペリエッタとマリアの言葉には逆らうことは許されない。  それ以外の者には、抵抗の意思を示すことは出来るが、それでも拒絶することは不可能だった。  完全な立場の逆転。杏奈は変わらない性格のまま、メイド達に怒りを燃やしている。 「絶対にただじゃおかないからねあんたら……覚えておきなさいよ……!」 「杏奈、口答えしたから自分で顎破壊しなさい」 「かしこまりました」  主従関係が入れ替わり、文字通り世界が変わった杏奈の豪邸。  そんな環境の変化の元凶であるペリエッタは、かつて杏奈が座っていた自室の椅子で、ゆったりと寛いでいた。  自らの耳に指を奥まで突っ込みながら。 「とてもいい場所だなあ……土地も申し分無いし外からは何も見えないし。拠点としてはうってつけって感じ。すごく広いから仲間も増やしやすいし……いたれりつくせりだなあ……あはっ、大当たりだね!」  ペリメイズ人による地球侵食はまだ始まったばかり。  その大きな一歩を最高のスタートで踏むことのできたペリエッタは、ここからさらに、新たな仲間を増やしていくのであった。 「さーて、この中の環境を整えたら、改めて頑張るぞーーー⬛ぎっ!?」


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