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土装番 from fanbox
土装番

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誰でも使えるセックスドール 1話先行公開版

 現代よりも少しだけ未来の時代。  人類の幾年にも渡る機械技術の積み重ねは、様々な他学問を取り込み新たな進化を遂げ、人体の一部を機械へと置き換える技術を作り上げた。  失われた四肢や、視力を取り戻す機械の眼球、人工の声帯と、それらは医療方面にて多大なる影響を及ぼし、沢山の人々を救ってきた。  だが、世の中には必ずと言っていい程、いつの時代も表には曝け出されない裏の技術が存在する。  そしてそれを利用するのも、利用されるのも、真っ当な人間とは決して限らない。  いつ、どこから、その裏の部分が手を伸ばしてくるのかも、知ってしまうかも、誰にもわからないのである。  これは、何も知らずに日々を過ごしながら、見知らぬ誰かに使われ続ける、ある「一体」の話。 * * *  とある島国の首都、東陽。その中の無数にある巨大都市の一つ、新行。  中心に添えられた、大型ショッピングモールと見まごうような駅を囲うように、数え切れない程に沢山の店舗やビルが立ち並んでいる。  その中の一つである、ビル五階分の店舗を構える大手本屋にて、ある女性が働いていた。 「この本がどこにあるかわかりませんか? コーナーをくまなく探したんですけど見当たらなくて。検索もしたんですけどかねえ」 「少々お待ち下さい。今、在庫を調べますね。えっと……申し訳ありません。どうやらつい先程売り切れてしまったみたいで、入れ違いになったようですね」  彼女の名前は西坂愛香。この本屋に勤めて二年程になる、現在23歳の女性である。  本というイメージがどこか似合うような、艶良くサラサラとした、黒の中央分けミディアムヘアー。年齢相応のシュっとした大人の魅力を帯び、落ち着いた中にも芯の強さを感じさせるような美しい顔立ち。  目立たないゆったりとした色の制服でありながらも、はっきりとラインとして浮き出る程に大きな乳房に、そんな地味目な服の魅力を引き上げるボディライン。  身長こそ平均よりやや上だが、それよりも長身だと印象付けるような美脚と、まさに店頭に置かれた雑誌類や写真集に載っているアイドルや女優に勝るとも劣らない美人だった。 「その本でしたらこちらですね」 「あら本当。意外と見つからないものねぇ…がありがと店員さん」 「ありがとうございましたー! 最近先輩、すごい頑張ってますよねぇ」 「えっ、そう? いつも通りにはしてるんだけど」  客足がようやく落ち着き、後輩の咲子が愛香に話しかけてくる。  明るめのブラウンのボブヘアーに、可愛らしい顔立ち。愛香と並んでも見劣りしないボディラインを持つ彼女は、二人揃うとまさしく絵になる同僚だった。 「……まあ確かに、最近結構調子良いのよね。キッカケになるようなことに覚えはないんだけど」  咲子が言っていた通り、ここしばらくの愛香は非常によく働き、よく動いていた。  客への対応は迅速かつ礼節丁寧で、記憶力も良く、一度見れば本の場所もわかるようになっている。  身体も、不思議と以前より軽くなり、いつでもスムーズに動けるようになっていた。  本の束を持ち運ぶ際にも、姿勢や手の支えが以前よりしっかりしており、どんな重量でも気軽に持っていけるとさえ錯覚するような身軽さを持っていた。 「引っ越したからじゃないですか? ほら、愛香さん違うマンションに住むようになったって言ってましたし、気分転換で力が引き出されたとか」 「ああ〜……そういえば。やっぱり気持ちが切り替わるって、結構いい影響出るのかも」  愛香はつい最近、元々住んでいたマンションから急遽引っ越し、新居に住み始めたばかりだった。  二日程の有給をいきなり取った後、それまで何も、そんな気配を醸し出していなかったにも関わらず、引っ越したという話が同僚や上司達の耳に突然入ってきた。  中には理由を聞くものもいたが、いつ聞いても「気分」や「引っ越ししたくなった」という大雑把な答えしか返ってこなかった。  それからは住所変更なども申し込みも順調にかつしっかりと行われたが、結局は誰もその理由を知ることはなかった。  節々に違和感は覚えたものの、同僚達はそういうものだと受け取り、自然とその話題はフェードアウトしていった。 「なるほど……だとしたら、引っ越し成功だったかも。しっかり動けるならその方がいいしね」 「まったく。私もそれくらいできたらなぁー」 「頑張れば咲子だっていけるって。こういうのってやっぱり気持ちの問題……?」 「ん、どうしたんです愛香さん」  咲子との雑談に花開かせていた途中、愛香の視界に、見た目五十代程と思われるスーツ姿の男性の姿が写り込んだ。  雰囲気こそはよく来る一般的な人々と変わりはないが、その人物は普通の客に比べて、やや周辺を警戒するような素振りが目立っていた。 「……咲子さん、警察に通報する準備しておいて」 「えっ、あっはい」  咲子は指示を受けて、受付側にある電話をいつでも取れるように意識を向ける。  その間に愛香は、いつでも該当客の行動が見えるような位置に移動しつつ、何も気づいていないような振る舞いで仕事に戻った。 「…………よし、バレてないな」  スーツ姿の男性は、立ち読みでカモフラージュしつつ、店員二人の姿を警戒する。  一旦はこちらの方を見ていたが、どうやらバレていない。そもそも位置的にもわかるわけがない。なぜなら、到底自分の細かな行動がわかるような距離ではないからだ。  そう思いながら、男性は絶好のタイミングを見計らい、一冊、二冊、三冊と懐に仕舞っていった。  そして、頃合いだと、立ち読みを止めて、まるで気になる内容は確かめ終わったとばかりに店を出ようとした。  だがその時、彼の手を愛香が掴んだ。 「おっと、少々お待ち下さい。お客様、何か会計忘れがありませんか?」 「っ……! 何を言っているんだ。気になった本があった立ち読みしていただけだ」 「すみません。スーツの中に文庫本を入れたように見えましたので。ご協力お願いします」 「失礼なやつだ!!」  あくまで丁寧な対応で引き止める愛香。  だが、男性は逆上し、怒りのままに手を払い頬を叩こうとした。  遠くからその様子を見ていた咲子は、思わず目をそらしたが、愛香は動じることなく、まるで簡単なことのようにそれを受け止めた。 「ぐっ! いででで!」 「お客様、暴力はおやめ下さい。本当に何も取っていないのでしたら謝罪します。協力していただけますね?」  受け止めた手を握り返し、握力で仕返しをしつつ、あくまで穏便に応対した。  先に手を出したのだから、正当性はこちらにあるとばかりにしっかりと抑え込み、愛香は男を事務所へと連れて行った。  トラブルがありつつもそれを乗り越え、退勤時間となった頃。  咲子はポロっと、事務所にて今日の話題を蒸し返していく。 「今日はすごかったですね……まさかあそこまで食い下がるとは思ってなかったですもん」 「ね……これを機に態度も含めてやったこと改めてほしいけど、そうはならないんでしょうね」 「でも、愛香さんとってもかっこよかったです! あんなに毅然と万引き犯に詰め寄って、しかも反撃も仕返して……もしかして、昔柔道とか武道習ってました?」 「そういうのではないけど……なんだか、身体が反応して、意外と上手いことやり返せたというか、偶然よ偶然!」   「はぁ……美人でかっこいいって罪だなあ……私も、愛香さんみたいになれたらいいのに」 「そこまでじゃないって……それを言うなら、咲子さんの方が可愛くて魅力的でしょ」 「そんなこと! でもまあ、愛香さんに言ってもらえるのは嬉しいというか、いやーもうなんて言えばいいんだろ。とにかく愛香さんはすごい美人ってことで!」 「もう、なにそれ」  大いに会話が盛り上がり、なんだかんだで総合的にプラスに終わったかもしれないと感じた愛香。  しかし、二人はその会話の中でも、愛香が万引き犯に気づいたとき、視力が正常だったとしても、認識するにはおかしい距離だということには気づくことはなかった。 * * * 「今日も終わったぁ……色々あったなぁ」  その日の夜。愛香は新居であるマンションへと帰宅し、一日の回想をしながら玄関でぐんと背筋を伸ばしていた。  室内は非常に整理整頓されており、引っ越しに際して物品類は大きく数を減らしスッキリとしている。  専用のカードキーを使用するオートロック式のドアで、以前住んでいたマンションとは全然違うが、それもすぐに慣れた。  まだまだ生活感の薄い空間だが、徐々に色々と模様替えをしていこうと、彼女は思っていた。 「結構良い感じだなあ、新しい家。広いし新しいし、いたれりつくせりって感じで……」  以前から住んでいた場所も悪くなかったが、ここはそれよりも格段に良い。ずっとここでも良いような気さえしてくる。  少々職場からは離れているが、交通の便は非常に良いし、利便性は充分という他ない。 「我ながら良い物件見つけたなあ……あれ、私、家なんて探してたっ…………」    これだけの掘り出し物を見つけられたのは運が良い以外にない。  そう考えた直後、愛香はそもそも、自分は引っ越しの住居なんて探していただろうかという思考が割り込んだ。  が、愛香の思考は突如中断し、二秒程度の沈黙と固まった表情の後、すぐに動き出した。 「さてと、ちょっと休んだらお風呂入ろっと」  まるで直前までの言動が綺麗サッパリ無くなったかのような、不自然さの見られる振る舞いをして、愛香はリビングのソファに座り込んだ。  リビングや寝室には、ベッドやソファなど、多種多様な家具や雑貨が取り揃えられているが、これらは元々彼女の所有物ではない。この部屋に最初から、完全な新品として設置されている物である。  愛香はそれを、何の疑問も抱かず、まるで最初から自分のものだったかのように受け入れていた。  壁掛けのモニターの電源を入れ、暇潰しに動画サイトの新着動画から、お気に入りの配信者の新作を垂れ流す。 「今度どこか行こうかなー……そうだ、少し遠出でもしよっかな。それで移動前に書店に行って……」  一人の時間を使って、いったいどんなことをしようか。どんな風に過ごそうか。何かしたいな。  そんなことをぼんやりと思いつつ、入浴する気分になるまでの時間を使っていたその時、彼女の耳を疑う音が玄関から聞こえてきた。 「えっ、なんで鍵が……?」  オートロック式であるはずの鍵が、外から解錠されたのだ。  鍵の閉め忘れなんてまずありえない。そもそも同じカードキーを持っている人物のほうがもっとありえない。  管理会社か大家が、何かしらの報告の為に開けたのだろうか。それとも勘違いからの通報からか。  だとしても、何も言わずに開けてくる時点で非常識極まりない。  愛香の視線と意識が、一気に玄関へ集中する。  そして、ドアが開けられてすぐに、強い音の足音が聞こえてきた。 「へえ、かなり良い部屋だな。ここで好きにしていいってのか」  それから耳に入ってくる、聞いたこともない男性の声。  ゆっくりと一歩ずつ距離が縮まり、恐怖と警戒心が渦巻く。  予想外の事態から間もなく、その男はリビングへと足を踏み入れた。 「だ、誰なの貴方!? なんで私の家に……」 「おっ、お前か。画像で見た通り、マジでエロい美人だな」  隠しつつ携帯端末を触り、通報しようと操作をしながら、男に一体誰なのかと問う。  しかし男性は、まるで対話する気もないと言うかのごとく、じっくりと愛香の美しい姿を品定めしていた。 「誰かって聞いてるの!! 知りもしない人が、なんで私の家のカードキーを……」 「マジで何も知らないように振る舞ってんのか。へえ……本当に変わんのか? これ……本当にこれ言うだけで大丈夫なんだろうな……」  恐怖を抱きながら直球でぶつける疑問と、対話すらしていない意味深な独り言が交錯し合う。  何言っているのかもわからないし、まともに話が通じる様子もない。  もう我慢出来ないと、愛香は大声で威嚇するように言葉をぶつけつつ、それをカモフラージュにして通報しようとした。 「いい加減返事しなさい!! 一体誰かって聞いてるの!!」 「操作コード・095142」   「そもそもなんで鍵開けられてるの!? 通報し………………」  意味深な単語と、数字列を愛香に向けて口にしたその時、彼女の怒号は突然ぶった切られたように止まり、恐怖を含んだ表情から一気に無表情に切り替わった。  それから数秒の沈黙が続いた後、愛香はゆっくりと立ち上がり、緊急通報サービスの操作など全く行われていない画面の携帯端末を手元から溢した。  そして、直立不動の姿勢へと変わり、男性の顔をじっと見ると、愛香はようやく口を開いた。 「操作コードを受諾しました。登録されたユーザーを認識しました。一時的に操作権限を譲渡。セクサロイドモードを起動します」  その口から発された言葉は、先程まで恐怖を覚えていた彼女から出るには到底似つかわしくないものだった。  受付係のように抑揚のはっきりとした、感情を一切感じられない、とても機械的で淀みのない台詞。  内容も、まるで自分が機械であるかのような言葉ばかりで、日常内で一度も行ったことのないようなものばかり。  それを男性の前でペラペラと喋り続けた後、愛香の視線は、その不法侵入者の目を真っ直ぐと捉えた。 「お待ちしておりました、片桐太一様。本日はセックスドールである私、西坂 愛香を利用して頂き誠にありがとうございます」  顔を見ても誰だかわからなかった口ぶりだったにも関わらず、一度相手側から口に出されていない名前を迷いなく喋った愛香。  その言葉に、太一は口角を上げた。 「へえ……本当にこんなに変わるんだな」 「太一様はセックスドールの御利用は初めてということですが、簡易的に説明をお聞きになりますか?」 「せっかくだから聞こうじゃねえか。つうかお前、本当に人間なのか?」 「かしこまりました。正確には私は元人間であり、私、西坂 愛香の素体を加工し、作り変えた存在です。その為、記憶も全て引き継ぎ、容姿も素体のそれをそのままに、より美しく魅力的にブラッシュアップしております。私には現在、生身である箇所は一切存在しませんので、自由に部品交換や修復も可能です」  彼女の言う通り、西坂愛香は元人間だった。謎の組織が彼女のことをセクサロイドへと改造してしまったのだった。  ここ最近、自身の身体に感じていた調子の良さも、記憶力の向上も、職場で万引き犯に対して一方的に対抗できたのも、完全機械化された電子頭脳による効率的な行動処理と、人間以上の能力を知らず識らずのうちに享受していたに過ぎない。  引っ越しも、彼女を改造した謎の組織が実行させた。最低限の荷物以外は全て廃棄し、人格データを改竄して自らの意思でそれらを捨てたかのように認識させたのだ。  現在住んでいるマンションの一室は、セクサロイドである彼女を利用する為の専用部屋でしかないのである。    「セクサロイドだからそうなんだろうけどさ、いくら膣内に出してもいいんだろ?」 「はい。私の女性器ユニットは、素体時の女性器を忠実に再現しつつ、性機能を向上させた物となっております。付属した子宮ユニットは、私の子宮を再現しつつ、伸縮性を確保し、精液タンクとしての役割を担う器官となりますので、ご自由に射精してください。他にも、私に実装されている機能を説明しましょうか?」 「いやもういい。そこまで聞いたらもうヤリたくて我慢できねえよ……」  太一は説明の間に興奮が止まらなくなり、自ら全裸になっていった。  それを見た愛香は、無表情を保ったまま、瞳の奥の絞りを収縮させつつ、私服に手を付けた。 「かしこまりました。では、これより性行為の準備を行います。しばらくお待ち下さい」  知らない男の前で、てきぱきとスムーズに衣服を脱ぎ捨てていく愛香。  その極上の裸体はどんな異性にも見せたことがなく、こうして晒すのは人間時代を含めても、彼女にとっては今日が初めてである。  見た目こそ人間だった頃とほぼ同じで、より容姿が洗練されている。  どこにも機械人形らしい要素は見えないが、しっかりと目を凝らしつつ間近で見つめると、うっすらと着脱可能を示す継ぎ目が各所に見受けられた。  ハリのある大きな乳房を正面に向け、展示品のように良い姿勢で、生まれたままの姿を曝け出した後、愛香は手も動かさず、嬌声も上げずに女性器ユニットを数度ひくひくと蠢かせる。  すると、挿入をスムーズに行わせる為の人工愛液が分泌され、膣内を濡らし、太ももを透明のしずくが垂れ下がっていった。 「お待たせしました、太一様。使用中、セックスドールはお客様のご自由に扱って頂いて構いません。気の向くままにセックスを行うも、暴力的な行為を行うも構いません」  ひたすら性玩具として扱おうが、破壊しようが、全てユーザーの自由。  何をされても文句の言わないセクサロイドとしての宣言を口にした直後、愛香は床の上に思いっきり押し倒された。  後頭部に小さく衝撃が伝わるが、愛香は痛いという一言すら出さず、無表情のまま、眼球だけで太一を捉え続けた。 「言われなくても、使い倒してやるよ……」  目の前の一級品とも言うべき女体に我慢の限界を迎えた太一は、固く勃ち上がった肉棒を容赦なく挿入し、両腕を掴みつつ腰を振り始めた。 「ありがとうございます、太一様。私の膣内は、お客様の動作に最適化され、膣内動作を調節致します。太一様が身体を動かさずとも、女性器ユニットの動作のみでセックスは可能ですので、ご自由にお使いください」  相手を思いやる気など一切感じられない強引な腰使いに、愛香は嫌がるような声を一つとして漏らさず、全身をぐらぐらと揺らされた。  髪や乳房を揺らし、身体のブレに合わせて、常に視線を太一に合わせる。  同時に、卑猥な音が鳴る股間部では、相手が心地よく攻められるように、微妙に腰を動かしつつ、快感を引き出すように膣肉のみでマッサージを与えた。  愛香自身は処女であり、一度も性行為などしたことはないが、身体を殆ど動かしていないのにまるで極上の娼婦のようなテクニックを実行する。  それらも全て、セクサロイドに改造された際に組み込まれた、プログラムによるものだった。  性器があまりにも具合が良く、調子を上げた太一は、湧き上がった欲望のままに愛香にくっつき、強引なキスをした。 「キスをしていただきありがとうございます。私の口内では、円滑なキスを行う為の人工唾液が排出されていますが、要望により、フレーバー付きの人工唾液に変更することも可能です。今回は初回利用ですので、デフォルトである無味無臭の人工唾液となります。ご了承ください」  唇が塞がれ、強引に舌を絡ませられながらも、それに対応して舌を動かしつつ、喉奥に備わったスピーカーから、丁寧な案内音声を発する愛香。  完全な機械となった愛香には、人間だった頃のような代謝機能は当然備わっておらず、定期的に人工体液を補充する必要がある。  外部から注入される液体ならばなんでもいいので、人体からジュースを排出するような背徳的な行為も実現可能となる。  彼女の身体はまさしく、人間に遊ばれるために、徹底的に存在を改竄されていた。   「こんな具合し、キスも上手いし……たまんねえ……!」 「ありがとうございます。男性器の状態変化を確認。子宮口を開放します」  相手の発言には細かく反応し、使われる側だという認識を崩さずに、セクサロイドとしてのお礼を喋る愛香。  そして、組み込まれたテクニックに従い、間もなく太一が絶頂を迎えようとしたところで、愛香は子宮ユニットに精液を受け止める準備を整えた。  そして、太一が息を激しくしながら、欲望のままに精を吐き出すと、包み込んだ膣肉でがっちりと男性器を固定し、人間には無い吸引機能で、一滴残らず放出された精液を吸い出した。  表面からでは殆どわからないが、愛香の下腹部はその動作に合わせて、ほんの少しだけうねりを起こしている。  精液の放出が止まったのを膣内のセンサーで確認すると、膣肉の固定を解いた。   「射精を確認しました。ありがとうございます、太一様。セックスドールとして、私は幸せです」  感情を感じられないお礼の言葉に、発生した快楽信号の度合いに合わせて、身体をびくっ、びくっ、と無表情のまま震わせる愛香。  人間的ではないそのアンバランスさが、どこか不気味さを思わせるが、彼女の非常に優れた容姿と底知れない性的魅力の前では全く気にならなかった。 「はぁ……はぁ……最高だなセクサロイド……こんなもんが世にあるなんて、今でも信じらんねえよ……」 「太一様、使用時間はまだ残っていますが、どうされますか? 使用時間及び、私のバッテリー残量がゼロになるまで使用可能です」 「そんなの決まってんだろ。一回だけで終わるなんて勿体ねえからな……俺の気が済むまで犯してやるよ」 「ありがとうございます、太一様。存分に私、西坂 愛香をご使用ください」  彼女の股間からはとろとろと人工愛液のしずくが垂れ、床に淫靡な水たまりを作っていく。  機械的な色気が溢れ出すセクサロイドを前に、太一の欲望は留まることを知らなかった。  そしてこの後何時間も、太一は一体の元人間に溜め込んだ性欲を何度も撃ち込んだ。  愛香はそれを従順かつ無感情に受け止め続け、セクサロイドとしての役目を全うしたのだった。 * * *  二時間ほど経過し、ひたすら絡み合い続けて満足した太一は、軽く備え付けのシャワーを浴びた後、身なりを整えて帰宅の準備を終えた。 「本日は私、セックスドール・西坂 愛香をご利用頂き誠にありがとうございました。ご満足いただけましたか?」  愛香は、セックスを終えたばかりの全裸姿のまま、両手を前に置き、主人を見送るメイドロボットのような姿勢で、去っていくお客様の前に立っていた。 「ああ、セクサロイドがこんなにもいいものなんてな。まあ、人間使ってるから当然か」 「ありがとうございます。胸部の使用が少ない傾向でしたが、ご不満がありましたか? 私の乳房は素体のサイズや柔らかさを完璧に再現した上で、体内の乳液タンクと接続されております。乳頭部から擬似的な母乳として、補充された液体を放出することが可能です」 「それを先に言ってくれよ……知ってたら吸いたかったのに」 「申し訳ありません。今後の参考にさせて頂きます」  愛香に実装されたシステムは、注がれた精液量や、性機能として設定された各部の使用頻度、破損に関係なくどれだけ身体を扱われたか、対話内容なカメラに写った表情など、様々な評価基準を総合して、客からの満足度を演算する、  セクサロイドとしての起動は今日が初めてだったのもあって、まだまだデータの蓄積が足りない彼女は、必要な意見も逐一聞き入れ、無線通信で自身を改造した者達へとそれを送信した。 「まあ、次に使うときは存分に使わせてもらうよ。本当に柔らかかったし。ゴムも使わずこんな美人ロボットを好きにできるなら、いくら払っても構わないさ」  そう言って、太一は部屋を後にした。 「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしています」  愛香は、玄関のドアが閉じきり、利用者の現在位置が一定距離へ離れるまで、プログラムされた角度を保ちながら頭を下げ続けた。  そして、静寂が流れる中でゆっくりと頭を上げると、愛香は誰もいない部屋で、独り言のようにシステムメッセージを喋り始める。 「セックスドールプログラムが終了しました。室内清掃後、筐体洗浄を実行します」  本来の愛香としての人格データが動いていない現在は、処女を失ったという事象にも全く気にする素振りもない。  使われた人形は、室内の清掃後に体表面や機体内を洗浄する必要がある。  その後充電に入るが、その頃にはもう朝を迎えているだろう。  だが、機械人形となった彼女には、人間のルーティンなど当てはまらない。  表向きは人間のフリをして社会に溶け込み、裏では元人間のセクサロイドとして、彼女の顧客を、自身の全てを以て満足させる。  用意された箱庭で管理されながら、愛香は一部の者しか知らない常識を超えた機械人形として、初めての稼働を果たしたのであった。

Comments

他者が室内に入ること自体がそもそもありえないので、自宅内でそれが発生した際には、当人が通報してるように感じていてもでたらめな操作するように設定されてますね。 あのまま放置してると、どこにも繋がってない通話に向かって喋り続けたりします。

土装番

人間の名残を箱庭で演じてる機械人形、とても良い… 緊急通報を行う仕草はしても実行出来ない辺り、そういうプレイも想定されてるんだろうなって。

リドル


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