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土装番 from fanbox
土装番

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擬態した侵略者を愛玩ロボットに 1話先行公開版

 現代からそう遠く離れていない、少しだけ未来の時代。地球人類は少しずつ社会や科学技術が進歩し、着実な進化を進めていた。  しかしある日、突如として地球に向けて、遥か遠い星からの侵略者が襲来した。  その者達の名前はマシール人。惑星マリエルという機械が全てを支配する星を拠点にあらゆる星々を我が物にしようとしている外星人達である。 「b00o0S0nfB0?N?0f00S0n?R0Mf0nS?Yj0???Y?0Y0?00JRM?T0o0S0?0?0?0b00nNP?0h0j0?0n0`0(我々はこの時を以て、この青き星の収奪を開始する。お前達はこれより、我々の下僕となる)」  マシール人は、全員が美しい女性や少女の姿をした女性型アンドロイドのみで構成された種族であり、地球人類にとって非常に好ましい多種多様かつ扇情的な容姿をしている者ばかりだった。  初めて地球への襲撃を行った際も、一切の衣服を纏わず人工皮膚によって覆われた裸体を晒し、様々な都市や町への無差別攻撃を実行した。  マシール人の出す声は、電子音声でありつつも地球人の喋る言語とは明らかに大きく違い、何を言っているのかも全くわからず、ただのノイズにしか聞こえない。  彼女達が地球の言語を習得するまでは誰ひとりとして意思疎通を交わすことはできず、地球上の各都市で大きな被害が引き起こされてしまったのだった。  一時的な侵攻の後、宇宙船団は各地に着陸して一旦は攻勢の目を出さなくなり、危険性こそ注視され続けているものの、一旦人類社会の平和は取り戻された。  時間が経つにつれて人々は日常を取り戻し、新たな脅威の心配をしながらもいつもの日々に戻っていった。  だが、そんな「日常」に彼女達は入り込んでいた。 「いてっ、ったくちゃんと前見て歩けよ!」 「あっ、すみません! もう、そんなにキレなくてもいいじゃな………………」  ある島国の首都にある都市のひとつ、巨大な駅が根ざし、常に人々でごった返している場所。  その駅前広場の中で、あるサラリーマンの男性が、同じくスーツ姿の女性とすれ違いざまに肩がぶつかった。  男性は舌打ちをしながら悪態をついて去り、女性はその場で謝罪の言葉を向けつつ同じように去ろうとした。  振り向きざまに、男性の態度に小さな声で文句をこぼすが、その最中、彼女の言葉は突然ぶつんと途切れ、どこか遠くを見つめてぽかんとした無表情に切り替わる。  直後、彼女の身体がびくんと一度震えた後、頭部が180度、人間ではありえない角度まで回転した。  ぱくぱくと口を動かしながら、女性は右手を先程の男性の方向へと突きつける。すると、彼女の人差し指が蓋のように開き、そこから一発の銃弾が放たれた。 「え…………?」  男性は脳天を貫かれ、血を流しながらそのまま絶命し倒れ込んだ。 「動作命令を受信しました。擬似人格の動作を停止。周囲一帯の人類殲滅を開始します」  すると、女性は先程までの普通の人間女性らしい喋りから、感情を感じられない抑揚のはっきりとした喋りに切り替わり、無表情のまま週位の人間への殺戮を開始した。 「きゃあああああああ!!!」 「あの宇宙人だ!! 宇宙人が出てきたぞ!!」 「誰か警察に連絡しろ! 早く逃げるんだよ!!」  銃声と突然の死亡者の出現に、一気にパニックに陥る民衆。女性はそれらの騒音や、時折投げつけられる石や物にもびくともせず、淡々と外部から与えられた命令を遂行するべく殺戮を開始した。 「何が起きてんのよもう一体!? こんなのどうしようもないじゃん!!」   「ねえちょっとやばいよ舞香!! 早く逃げないt…………」 「……凛子?」  なんの前触れもなく始まった異星人の攻撃に、なすすべもなく人々は逃げ惑う。  姿勢を低くしつつも走り、少しでも生き延びようと、一帯にいた人々は次々と各々の交通機関や建物へと走ろうとしていた。  だが、地球人類と全くといっていい程同じ女性姿のマシール人は、その逃げる人々の中にも紛れていた。 「うっ………………りん……こ……うそで……しょ………………」 「動作命令を受信しました。擬似人格の動作を停止。同種機体との連携を開始。周囲一帯の人類殲滅を開始します」  それまで友人や家族、恋人だった女性が、見知らぬ通りすがりの美女が、観光客が、体内に仕組まれた武器を展開し、拠点より与えられた命令に従い殺戮を実行する。  どれだけ笑い合ったり楽しい日々を過ごしていたり、燃えるような肉体関係を交わしていたとしても、擬態したそのロボット達は、上位命令を優先して、プログラムに従い動き出す。  マシール人達の狡猾な術は、着実に地球人類を恐怖と共に侵食していった。  だが、それでも人間は簡単に倒れることはない。各国協力し、マシール人への対策を各々に着実に進めていっている。  そんな中、個人でもその美しい機械の女性に対抗しようという者も少しずつ出現している。  これは、そのうちの一人である、人類の存亡とは関係なしに機械の女性達を支配する術を開発した男性が、欲望のままにマシール人を狩り、玩具にしている物語である。 * * *  中心都市から少しだけ離れた、まだ都心の範囲内と言える駅から徒歩5分程度の場所にある高層マンション。  首都の景色が一望できる上階部分、その中の一室に、一際電気代が多く支払われている場所があった。  室内はいくつか最低限の家具は設置されているものの、いくつか未開封のダンボール類が目立っている。  見るからにまだ引っ越したばかりだと示す一室に暮らしているのは、一人の男性。彼は現在、携帯端末からニュースを調べつつ、外の景色を広々と写し出す眺望性を持つ巨大な窓に密着しながら外界を眺めていた。 「今日はまだ目ぼしい騒ぎは起きていないか。まあ本来その方がいいんだろうが」  彼の名前は永井亮介。自身の作成したソフトウェアやアプリの販売、その他様々な方法で生計を立てつつ、誰とも組まずにロボット達への対策を練っている者である。  マンションの高層階へやってきたのは、自分の眼で周辺一帯の状況を確認する為であり、同時に広々とした間取りの住居を確保したいと以前から考えていた。  彼は、ある個人的な目的のためにマシール人への対抗策を単身で練り上げており、その作業は今でも着実に進行していた。 「やっと光明も見えてきたしな。順調に進めば今日中には完成するはず……さて、もうそろそろ始めるか」     しばらく外と画面を眺めて溜息をついた後、亮介はリビングから作業室へと移動した。  明かりがついていない室内では、ゲーミングチェアや作業机を中心に点在する、PCや周辺機器のランプが様々な色を発して存在を主張している。  そして、明かりがついた瞬間、作業机の側に置かれた、マネキンヘッドのような女性の頭部が姿を現した。  頭部の名前はゼフィラ。過去に警察部隊によって破壊されたマシール人であり、亮介はこっそりと頭部だけを回収し持ち出していた。  赤みがかった黒のボブヘアーに、ぱっちりと開いた閉じる気配のない綺麗な瞳。  全体的に色白気味で、アイドルのように可愛らしく非常にバランス良く整った顔立ち。首元の破れた人工皮膚部分さえ隠せば、誰が見ても人間の女性だと思ってしまうだろう。  そんな彼女は、ぽかんと力なく口を開き、目を開いたまま電源を切られている。   「こいつ以外にもそろそろ欲しいからな。ゼフィラとはまた別の、ちゃんとした身体着きのを」  亮介は彼女の電子頭脳からデータを解析。そこから引き出した情報を元に、個人で彼女達へ対抗する術を自ら作り出していた。  ゼフィラという名前も、彼女に割り当てられた本来の個人名を読み取り確認したものである。 「絶対に今日中に仕上げてやるからな……」  作業開始と共に、ゼフィラの頭部にも電源が入れられる。  首の断面に無理矢理繋げられたケーブルから電源が通され、首筋の端子を通じてPCに彼女を外部端末として認識させる。  電源が入ると、ゼフィラの眼球ユニットに光が灯り、小さな電子音が喉奥のスピーカーから鳴った。 「…………■#01……電源が入力されました。登録名、ゼフィラ、起動します」  虚空を見つめながら、地球言語に修正された電子音声を、口を動かしながら喋るゼフィラ。  機械部分が露出した首の部分から、とても微小な動作音がほんのりと聞こえるが、彼女が喋っている最中に亮介は後頭部カバーを手で開き、電子頭脳を剥き出しにして動作確認を行う。  隠れていた機械音が増え、より彼女の機械らしさが増していく。 「システムチェックが終了しました。擬似人格を起動し……起動が中止されました。登録されたデバイスからのアクセスを認証します」  彼女が人間として擬態していた際の擬似人格が自動的に動作するのを止めつつ、道具としての扱いを続ける亮介。  一通りの設定や動作確認、ファイルの状態を見ていった後で、彼は気合を入れて最後の作業へと入っていった。 「これが終われば、あのロボットどもは俺の敵じゃねえ……むしろ、俺専用の奴隷にもなるんだ……ぜってえに完成させるぞ」  彼自身の目的や動機は非常に欲望に忠実なものであり、せっかく地球上のテクノロジーを超えた機械の美人女性達をただ破壊してしまうのはもったいない。どうせならハーレムを形成したいという大きな性欲からくるものだった。  それ故に、美女の頭部を回収して、異星の技術や機械言語を解析するという芸当を実行してみせた。  それ程に、彼の持つ能力は高く特異的なのだ。  設置されたスピーカーのように音声を垂れ流し続ける頭部の横で、たったひとりで動く敵対者は、驚異的な集中力を発揮して、ひたすら画面と手元に意識を注ぎ込んだ。  そして、同日の夜。キーボードを力強く叩く音が鳴る。 「やった…………やったああああああああ!!!! ついに! ついに完成したぞおおおおおおおお!!!」  彼は多大なる努力と根気と欲望を燃やし、ついに創り上げた。  それは「携帯端末にもインストール可能な、対マシール人特化のハッキング&最適化アプリ」である。  擬態したロボットを相手側に認識されることなく探知し、相手に抵抗を許す時間も与えず、一定範囲内なら問答無用でハッキングし、マスター権限を上書き。  同時に異星の機械言語以外にも地球上の機械言語にも対応するように調整し、どんな機器にも接続、使用できるように自動調整する。  その結果、自分達の上位機体への連絡もままならないまま、マシール人は無理矢理亮介のものになってしまうのである。  その他様々な機能が実装されているこのアプリ。彼はこの秘密兵器とも言うべき傑作の名前を「MACKS」と命名した。  これさえあれば、突如宇宙からやってきた機械仕掛けの女達を全て我が物にできる。マシール人が侵略を開始してから常日頃から想い続けてきた深々とした欲望が、ついに形となって結実したのだった。  既に効力そのものは、ゼフィラを実験台にしたことで実証済み。あとは人々の中に紛れた偽者を捕まえるのみ。  歓喜の叫びを上げた後、亮介はそのまま眠るように倒れ込み、そのまま床でぐっすりと眠りについた。  明かりと機器の電源がついたままの部屋では、マスターが地べたで寝息をたてている最中、通電されたままのゼフィラは、人間社会に擬態し紛れ込んでいた頃の記憶データをランダムに再生され続けていた。 「今日の講義ちょっとだるいよね。単位の為とはいえさあの教授ねーねー暇? 明日ちょっと行きたいとこあるんだけどひとりだと心細くtあっぶな5分前じゃんそうなんだぁ」  かつては女子大生として擬態し続けていた彼女。一見すると20歳程の風貌だが、実際には製造されて2ヶ月程度しか経過していない。  今や首だけの彼女も、かつては擬態用の記憶データを真実の記憶だと認識し、自分が機械人形だと思いもせず、人間として動き続けていた。  そんな女性型が、今の人間社会には何体も存在する。その鉱脈を掘らない理由はない。  こうして、亮介の機械によってもたらされる酒池肉林への日々が、静かにひっそりと始まったのであった。 * * *     MACKSの完成から丸一日ほどぐっすりと眠り、大きな隙間を開けてからの夕方頃。  幸いにも、自分の住んでいる地域の周辺ではマシール人の襲撃情報はなく、擬態した機体による騒動の話も出ていなかった。  つまりそれは、人間としてひっそりと動き、混乱を起こすタイミングを計っている最中ということ。紛れ込んだ当人も、自分も人間だと思いこんで稼働している最中。  そんな無防備な状態を狙えれば、一方的に仕掛けることができる。それを実行するべく、疲れから長時間眠り続けていた亮介は、夕方前とは思えないくらいスッキリとした顔で最寄り駅まで歩いていた。 「この辺りなら、それなりの数見つけられるはずだな」  首都の主要駅からそれほど離れていない、自宅からの最寄り駅。まだ帰宅ラッシュの時間ではないが、それなりに人々の往来が始まっている。  現在多いのは制服姿の学生たち。駅前のベンチに座り、行き交う人々を観察しながら、MACKSを起動して目的の時間まで待機することにした。 「…………お、早速探し当ててるな」  すると、早速人間のフリをした機械達の存在が暴き出された。 「まだ帰るの早くない? ちょっとどっか寄ってこーよ! せっかくテスト終わったんだしさ、今日はなんか気晴らししちゃお!」  そのうちの一体は、ここから離れた高校の制服を着た少女で、人間ではないという事実を疑いたくなる程に快活な雰囲気で、一緒にいる友人とも笑顔でかつ明るく話しかけながら、自ら手を引っ張って駅周辺の街へと消えていった。 「はぁ……このあともまた接客ラッシュかぁ。学生の相手だけならマシなんだけどなあ」  またそのうちの一体は、改札すぐ側の小さなコンビニチェーンでレジの後ろに立ち、やる気のないだるそうな顔で、じっと改札の方を見つめていた。  時折溜息をつくような動作も起こしており、人間を非常に良く再現できているが、やはりとてもロボットとは、マシール人とは到底思えなかった。  他にも、いかにも感情を表に出していないダウナー系な雰囲気の女性や、笑顔でビラ配りをしている女性と、注目すればこんなにも紛れ込んでいるのかと思ってしまいそうな程に、マシール人が人間に化けていた。  その全員が例外なく、それぞれにきちんと個性のある美少女や美女ばかりだった。  これらがいずれ、外部から与えられた命令によって無感情に切り替わり、淡々と人類を殺し始めていくのだろう。それまで付き合っていた友達や家族、同僚も殺害対象と判定しながら。  そんな騒ぎが起きている時も、未だ人間だと思いこんでいる機体は、自分もそうなのに悲鳴を上げながら逃げ惑うのだろう。いずれ自分も同じことをするのに。  だが、それだけの危険な事実がわかったとしても、亮介にとってはどうでもよかった。彼はただ、マシール人を我が物にしてなんでも言うことを聞く従順な機械女のハーレムを作りたいだけである。  今ここにいるマシール人には、彼の好みのタイプはいない。そのため、現時点では適当に放置していた。  そしてしばらくの時間が経ち、帰宅ラッシュに差し掛かる。 「うわーやっぱぞろぞろ来るなー……ほんと大変だろうし、もうあの中に飛び込みたくないな……」  スーツ姿を中心に、ダムから水が放出されたように一気に改札に人が流れ込み始めた。  絶えず電子マネーの決済音が鳴り、改札を出た人々はそれぞれの目的の方向へと散っていく。  そんな人混みに対して、MACKSは何個かの反応を示していた。  確実に擬態が存在こそしているものの、現在見ている無数の人々の流れを見ると、絶対的な数はそこまで多くないように見える。 「やっぱこうなると増えてくるが、意外とそこまででもないのか、この辺りにいるのは」  ちらちらと人混みの流れを目視しつつ、亮介は画面に映る機体の情報を閲覧し始めた。  MACKSには、検知したロボットの情報を瞬時に獲得し、本人に気づかれることなくその詳細なプロフィールを閲覧できるようにする機能がある。  全身像やスリーサイズ、現在の所属や住所など、事細かに記されており、ただ接近するだけで対象の核となる情報へとたどり着けるようになっていた。  次々と値踏みするように確認し、美女や美少女ばかりが表示されるカタログを読み続けていたその時、彼の目にある一体が目に留まった。 「お……こいつが良さそうだな。俺好みだ」  眼を付けた女性の名前は小林美紀。マシール人としての名前はエレニア。都内のとある企業で働く会社員である。  容姿及び設定年齢は23歳。製造されてから半年程度。  女性の中では身長は高い方で、その雰囲気は画面内に表示されている全裸姿の三面図及び構造図でも表れている。  流麗さと艶めきを持つ、センターで分けられ綺麗な額を晒した黒のミディアムヘアーに、すっきりとした鼻筋、宝石のように輝く綺麗な瞳に薄めの唇。  まさに、美女という形容詞が相応しい非常に整った美貌を持っていた。  それでいてロケットと形容できる程に乳房は大きく、ピンク色の乳首がより、乳のハリと艶を強調している。  美しいくびれやしなやかな美脚、全体的なバランスとして非常に完璧な造形は、まさしく非人間的な人間の美しさと言えるだろう。 「こいつに決めた。さて……あっちか」     ターゲットを決めた亮介は、MACKSに搭載されたマップを起動。一度検知したロボットの現在位置がリアルタイムで更新され続け、それが誰なのかまではっきりと確認できる。  そこから、狙いをつけた小林美紀のマークをタップ。色が変わり、よりわかりやすくなったところで、早速立ち上がり追いかけ始めた。     駅前から少し離れ、少し遠くにある高層マンションやビルの圧がやや気になる人通りの少ない道にたどり着く。  亮介は、マークした美紀の背後をずっと着け歩き、目を離さないように歩いていた。  背後から見る美紀の姿は非常に魅力的で、とても様になっている歩き方や、スーツの下から張っている程よい大きさの尻が、より扇情的な雰囲気を醸し出す。  これだけの美女が全て人工物で構成されており、なおかつこれから自分のものになるというのだからたまらない。  周囲には自分達以外に誰もいない。ロボットの反応もないことから、監視されている心配もない。これはまさに絶好のチャンス。  確実に成功するはずという自信もあって、亮介は正面から彼女が自分にコントロールを奪われる姿をみたいという欲望を発露に、ハッキング前に一旦彼女を呼び止めた。 「すみません、ちょっといいですか」 「はい、なんですか?」  声をかけられた美紀は、一度足を止めてスムーズな動作で身体ごと振り向いた。  彼女の顔はまさに、アプリ内の全体図で見た通りの美貌。両胸は当然露出そのものはされていないが、スーツの下から浮き上がっている姿は、また別の色気を醸し出している。 「この辺りに○○って店があるって聞いたんですけど、知りませんか? なんかそんな雰囲気がどこにも無くて、閉店したっていう情報もないですし」  亮介は、付近にある現在休業日の店舗に関する情報を出して、とりあえずの会話の種にした。  声をかけた時は警戒していた様子の美紀だが、それを聞いて一旦表情の強張りを解き、親切に教えてあげる。 「ああ、そこでしたら今日は休業日ですよ。よく並んでますし、目立ってるんですけど」  今の所、美紀の振る舞いは喋りにさしたる違和感はない。どこからどう見ても人間の女性でしかない。  密かに衣服の下で肉棒がいきりたつ。亮介は、美紀が話している最中にも関わらず、アプリの画面を操作し、本来の目的の準備を整える。 (よし……今だ!)  そして、彼は躊躇無しに画面をタップし、美紀へのハッキングを開始した。 「じゃあ、私はこれ……で……こ、これ、……これで……で…………」  聞きたいことも聞き終えただろうし、ひとまず早く帰りたい、と擬似人格が思考し、軽く頭を下げて再度歩き出そうとしたその時、美紀の身体は振り返ろうとした最中の動作で固まった。  軽い別れの挨拶の途中で言葉も止まり、言い切ることもできずに、不自然な声を繰り返している。  先程までの自然な人間ぶりが一気に消えた。これは、MACKSのハッキングシステムが非常に有効に働いている証拠となった。 「よし……成功だ!」  美紀の様子は、みるみるうちにおかしくなっていく。 「私はこ、わ、わた、私、これ、これで、でで、ここ、ここれ、じじじじじゃあ、あ、ああああ…………」  両眼が泳ぐように震え、唇が震え、音飛びしたような音声が繰り返される。  静止したポーズで身体がぐらぐらと揺れ、少し浮いた不自然な姿勢で腕が止まり、両手指がわきわきと意味の感じられない暴れ方をしている。  制御系統に不具合でも生じたのか、右目からわずかに涙液が漏れ、口端から微量の人工唾液のしずくが伝っていた。  現在、美紀の電子頭脳内では強制的な書き換えと共に最適化が実行されており、不可逆の改竄が進められている。  それによる影響がボディにも表れ、先程までとても自然な振る舞いをしていたとは思えないような、非人間的な誤作動を起こしてしまっていたのだ。  これは、MACKSの操作上どうしても発生してしまうものであり、彼女たちは必ず、己が機械人形であるという様を曝け出すことになる。 「わた、わたし、こここれこ、こ、わた、わ、わわわ、わたしこれ、こ、わ、あ、あ、ああああ、0#@#0##1010…………」  そして、しばらくポーズを取ったまま痙攣を続けていると、断末魔のように口から人間の声の形すらない電子音を鳴らした。  すると、美紀の首は一度かくんと落ち、糸が切れたように動かなくなった。  それから5秒と経たないうちに、美紀は首を起こし、姿勢を正して亮介の前に立った。  それまで自然な表情と身振り手振りで話していた彼女とはまるでど別人になったかのように、その顔には一切の感情が見られなかった。 「…………設定の変更が完了しました。現在より個体識別名:エレニア 仮名:小林 美紀は、永井 亮介様をマスターとして稼働を開始します。当機体を呼ぶ際は、どちらの名称でも応答可能ですが、擬似人格動作中は個体識別名での反応はできませんのでご了承ください」  まるで自分を製品であるかのように喋り始めた美紀。  本来ならば、彼女がこのような立ち振る舞いや冷徹さで、いずれ街なかにいる人間を殺し始めていたのだろう。  それが今では、見ず知らずの人間に自ら隷属していることを示すように話しかけている。  亮介は、成功の喜びとこんな美女を自分の所有物に出来た悦び、二重の歓喜が内から湧き上がり、逆に言葉が出なくなってしまっていた。 「…………ほら、まずは俺の家に行くぞ」 「かしこまりました」       噴き出しそうな感情を抑えながら、亮介は初対面の相手に投げつけるように命令を与える。  美紀はそれをとても従順に受け入れ、無表情ながらも抑揚のはっきりとした喋りで答え、本来の帰宅コースから外れて亮介の背中についていった。  歩く姿勢はそれぞれ明らかに違い、先程までちょっとした揺れや疲れがあるような細かな仕草をしながら歩いていた美紀は、背筋を伸ばした綺麗な姿勢かつ等間隔で一歩一歩あるいている。  擬似人格が停止していることで、演出された人間らしさが消えた美紀を背にしながら、どんな風にして遊ぼうかと、亮介は期待に胸を膨らませていた。 * * *    自宅の高層マンションに到着し、エレベーターを使って自室前まで移動する亮介と美紀。  まるで愛人でも連れ込んだかのように自宅へ引き込むと、早速リビングの方へと引き入れた。 「そこでまずは服を全部脱いで待ってろ」 「かしこまりました」  命令を与え、亮介は一旦リビングから離れ作業室の方へ向かう。  美紀は与えられた命令に従い、先程までの人間社会での振る舞いとして当然のように着こなしていたスーツを自ら丁寧に脱ぎ始めた。  その頃、亮介は刃物や工具、ブルーシートなどの道具類を引っ張り出し、ある作業の為の準備を進めていた。  一通りの道具を取り出し、作業室から出てリビングの入口まで向かった時、彼の目に全裸姿の美紀の姿が入ってきた。  マスターからの命令通りに、彼女は今、目から下の体毛一本すら生えていない、光を肌が弾くような美しくも扇情的な女体を晒している。  一人で待っている時でも何か独り言を喋ったり携帯端末に手を出すわけでもなく、直立不動の姿勢で首を真っ直ぐに固定し、何もない壁の方を見つめ続けていた。  そんな彼女の営みが感じられない姿が目に入った直後、美紀は首だけを動かしてリビングの入口を向き、無表情のまま亮介の姿を捉えた。  その動作はまるで監視ロボットのよう。一瞬だけ心臓に圧を感じたが、亮介は彼女に目だけで追われつつも、とりあえず持ってきた道具類を床に置き、ブルーシートを広げた。 「ここまでエロい女が家にいるってやっぱ落ち着かないな……あんなかわいい首だけでも割とどきどきしたのに」 「どうしましたか? 亮介様」   「いやなんでもない。美紀、まずはブルーシートの上に仰向けになれ」 「かしこまりました」  じっとマスターを視線で追うだけで自ら何か発言することもなく、美紀は命令通りにブルーシートを背にして仰向けになった。  豊かな両乳房がハリを保ったまま天井を向き、まさに超高級ラブドールのような色気を放っている。 「そりゃそうではあるけど、ほんときちんと命令通りに動いてくれるな」 「私達は基本人格状態の際には、タスクを与えられた状態でなければ自律的に行動することはありません。現在、亮介様からの行動命令は与えられておりませんので、待機状態を継続しています」  亮介が擬似人格時の彼女と話したのは、足止めする為の呼びかけの時くらいだが、今の彼女からは個として動いているような雰囲気は感じられない。  まさに、人間女性のフリをした都合のいい機械兵。擬似人格でなければ、本当にただの下級ロボットでしかないのだろう。  自立した成人女性の風貌から、そのような道具らしい存在感が、より劣情を催させる。  亮介はキレ味の良いメスを手に取り、仰向けの美紀に向けた。 「ま、そうでいてくれたほうが俺にも都合がいいけどな。とりあえずまあ……首と四肢と上半身下半身、それに女性器ユニットと……ああもう、外せるとこは全部外せ」 「かしこまりました」  美紀は刃物を向けられても何一つ怯えるような仕草や表情も起こさず、新しい命令を従順に受け入れた。  すると、美紀の身体の各部に、それまで目を凝らしてよく見ないとわからなかった程にうっすらとした継ぎ目が走った。  そして、彼女の身体は、首、両腕、上半身、下半身、両脚、女性器ユニット、着脱音と共にそれぞれいとも簡単に分かれ、まるでバラバラ死体のような姿に変貌した。  離れた四肢がブルーシートの上にころんと転がり、支えもないままぐったりと倒れているが、無線によって繋がり続けているからか、何事もなかったかのように動作を続けていた。  仰向けの状態からではわかりにくいが、彼女の後頭部も扉の如く左右に分かれ、金属の電子頭脳が曝け出されている。  それまでどこからどう見ても肉体のそれにしか見えなかった彼女の身体は、断面の機械部分を惜しげもなく曝け出し、血の通っていない機械人形であることを露わにした。 「こうしてみないとわからないくらいだし、やっぱ信じられないよな……ここまで見た目生身みたいに精巧に造られてるって。さて、あとはこうして……」  人間のフリをした異星の人形の痴態を晒し、悦に浸りながら、亮介はメスを彼女の下腹部に伸ばし、人工皮膚に刃を入れる。  接続面から一直線に引き切り、女性器ユニットが入っていた股間の穴まで到達すると、切断部に指を滑り込ませ、左右に思いっきり皮膚を開いた。  人工皮膚の下から露わになる、金属骨格や体液タンク、他にも兵装への変形機構や弾倉など、現在の地球技術では不可能な構造の代物が、柔肌で覆われた女体の下に隠されていた。 「すごいな……身体の方はこうなってるのか。構造図だけでもびっくりするけど、直で見るとまたすごいな」  中身が露出されても、それぞれのパーツが分離されても、美紀の動作が止まることはなく、むしろ機械的な動作音を平然と鳴らしている。  興奮の気持ちを静かに発露しながら、今度はメスをそれぞれの腕へ向け、皮膚を切り裂いた。  金属骨格や、指の発射口へ繋がる装填機構、その他ケーブルやまだ発揮されていない機能を備えているであろう電子部品など、異星のテクノロジーが細い腕の中には詰め込まれていた。 「……とりあえずこんなもんか。そんでこれを……」  一通りの分解作業を終えると、亮介は立ち上がり美紀の姿を見下す。  彼女の姿は今や見るも無残で、表情はいまだ何も問題なさそうな無表情でも、各部バラバラになった身体や人間らしい柔肌を裂かれた姿は、非人間性をより強く強調させていた。  そんな機械人形の姿を、彼は携帯端末内臓のカメラを用いて撮影。静止画以外にも。可能な限り自室の情報が入らないような角度で動画も撮影。そして、それをある場所へと送信した。 「これでよし。これでもう俺のもんのはずだ」  その宛先は、政府が設けている異星人情報受付係と、美紀が現在勤めている会社の受付係。  マシール人の目撃情報、または正体を暴き破壊したという報告を受付係へ送信すると、すぐに事実確認を含めて対象がマークされるようになる。  証拠写真や信頼できる証言が無ければ基本取り扱われないが、亮介は彼女を分解した写真を添付した上で、匿名性をしっかりと被せつつ送信した。  これにより行われるその後の処置や調査はどうでもよく、彼女が突然行方不明になったという理由付けは完了する。  住まいの契約もこれで解除され、晴れて美紀は完全に亮介のものとなるのである。 「そんじゃあ…………まあ、実用的だって証明できただけでも充分だし、これも直さないとなんないしな……これだけで遊ぶか」  人間としての居場所を失い、亮介の所有物となった美紀。  とりあえず今日はインスタントに彼女を楽しんでみたい、おもいっきり使い倒すのはこれからだと思いながら、彼はシートの上に転がったままの女性器ユニットを手に取りながら、下半身を曝け出した。 「というか、なんでこんなもん着いてんだ……人間殺そうとしてんだろうに」  女性器ユニットの姿は、彼の予想よりも生々しかった。  外性器の先には膣内を再現するかのようなピンク色の肉筒が備わっており、その周囲に股間の穴から伸びるいくつかのケーブルが繋がっている。  肉筒の先には、卵巣が無い子宮のような袋が付属しており、形状からいつでも取り外しできるように見えた。  樹脂肉に隠れた接続口や、秘肉に隠れた排出口程度しか機械らしい部分はなく、ぱっと見では生身と言われてもおかしくないような姿だった。 「私達の女性器ユニットは、目標設定された惑星の生物からDNA情報を採取する為に使用されます。精液を採取し、私達の拠点へと運搬後、それらを記録保存。解析の後に生物としての脆弱性を……」  自分の性器の用途を惜しげもなく解説していく美紀。  会社員としての面影はそこにはなく、紛れもなく彼女は異星人の先兵だということがよくわかった。  ならばそれを存分に使ってやろうと、亮介はぎゅっと肉筒部分である膣ユニットを握りながら、左手で陰核部分を刺激し始めた。 「現在その用途は、当機体が亮介様にマスター登録されたことで無効化され…………快楽信号が発生しています」  性感帯となる箇所を弄られた瞬間、無線だけで繋がっているバラバラな各部がびくんと震え始めた。  より色濃く反応しているのは下半身で、機械的な駆動音を断面や関節部から鳴らしつつ、腰を浮かせながら女性器ユニットを脈動させた。  ぽっかり空いた股間の穴から伸びるケーブルを通して、人工愛液が膣内や割れ目を濡らしていく。  室内の光を反射する艶めきが生じたところで、亮介は早速固くなった肉棒を勢いよく奥まで挿入していった。  挿れられた直後、美紀は快感を感じているとは思えない無表情のまま膣肉を操作し、バイブのような極小の振動音を出しつつ肉棒を咥えてマッサージし始めた。 「マジかこれ……! ここまで……うっ…………」 「私達には、対象生物の精液を効率的に採取する為のプログラムが組まれております。それぞれの生物のサイズや生殖器官の動作に合わせ、より快感を与えられるように設定されています」  膣ユニットが上下に伸縮を繰り返し、何度も子宮口でキスをしながら、内側でも膣肉がうねり、擦り、包み込む。  まるで非常に良くできた極上の性玩具。その予想以上の性能に、亮介は彼女達がセクサロイドとして生まれたとしか思えなかった。  女性器部分だけで非常に満足感のある美紀という機械人形。だが、まだまだ楽しめる余地はある。  亮介はここで携帯端末を手に取り、ここで敢えて擬似人格を起動させた。 「女性器ユニットの機能としては、命令を受信しました。擬似人格を起動します…………あんっ! あっ! な、なに!? ああんっ!!」  それまで冷静に自分の機能を解説し続けていたが、美紀としての擬似人格が起動した瞬間、分離した上半身や下半身をよじらせ、離れた四肢も関節部や手指の動作に魂がこもり始めた。  頬を赤らめ、それで上げていなかった喘ぎ声を出し、人間らしい色気を醸し出し始めたが、当の美紀は、いきなり襲いかかってきたとてつもない肉体的快感に困惑するしかなかった。 「気持ちよくて、あんっ! どうなっ……身体がうまく動かな……えっ、な、なにこれ、わ、私のか、あっ、身体、き、機械、私のか、からだ……」  未知なる性感に振り回され、どこか膣内の締め付けにも本来の性行為のような感触が宿り始めたその時、美紀の視界に、己の身体の一部が写り込んだ。  なぜかうまく動かない身体に、自分の動かしている通りに動いている、断面が金属で皮膚も切り裂かれている身体。  擬似人格時の美紀には、己が機械であるという自覚がなく、自分を常に人間だと思いこんでいる。  造られた人格という認識もなく、完全に一人の人間として設定されているため、自分自身が機械だという証拠が目の前に表れると、必然的に擬似人格の動作に大きな支障が発生してしまう。 「違うわ……私、機械じゃなくて、あっ、私、お母さんもお父さんもちゃんといて、子供の頃から………………擬似人格の動作に致命的なエラーを検知しました。セーフティシステムに基づき、擬似人格を停止しました」  それでは、仮に不慮の事態で本来の中身が曝け出された際に自律稼働が出来なくなってしまう。その為、擬態稼働するマシール人には、予期せぬ不具合が発生した際に負荷を軽減する意味合いも含めて自動的に擬似人格を停止し、通常人格による稼働が行えるようにプログラムされていた。 「申し訳ありません、亮介様。擬似人格にエラーが生じてしまいました。通常人格による動作を再開します」  擬似人格が停止すると同時に、露骨に膣内動作の感触が大きく変化し、機械的かつ人間的でない効率さを感じる気持ちよさへと変化した。  それはそれで非常に快感で、現在とても愉しんでいるが、亮介は一方で彼女の遊べる箇所がまたひとつ見つかったとも感じていた。    「男性器の状態変化を感知しました。射精に備え女性器ユニットの挙動を調整します」  自身に組み込まれた行動原理、搭載された機能の利用、マスターが求めているであろう行為。それらを総合して、女性器ユニットのみによる性行為を継続する美紀。  膣肉のピストン動作を加速させ、外性器部分でがっちりと肉棒を掴むように咥え、子宮口と亀頭の先端をくっつける。  女性器ユニット全体がひとりでに振動し、より性玩具としての印象を強めていく。 「うっ……やっぱすげえ高性能だな……うっ…………っ……!」  そして、極上の性体験を提供させられ続けた亮介は、異星人に造られた人形の性器によって絶頂に達し、されるがままに、かつ一切の容赦もなく射精した。 「射精を感知しました。人工愛液を注入し、子宮ユニットへの保管を実行します」  びくん、びくん、と女性器ユニット単体を震わせながら、バラバラの身体も小さな痙攣を見せる。  淡々としたシステムメッセージを喋ると、子宮ユニットは空いたスペースを埋めるように精液を一滴残らず吸引し、マスターの欲望の塊を一身に受け入れた。  吸引が終了したと判断すると、彼女の膣肉は弛緩し男性器の拘束を解いた。 「当機体を使用していただきありがとうございます、マスター。続けて性行為を行いますか?」 「ふう…………いや、今日はいい。結構満足したし」  想定された用途を終了し、床に転がる女性器ユニット。  ぴくっ、ぴくっ、と時折のたうち回るように痙攣しており、快楽信号を処理している最中であると示している。 「かしこまりました。現在各部ユニットが接続されていない為、保管された精液の処理ができません。接続してください」  湧き上がる性欲を吐き出し、アプリの動作も確認でき、非常に満足できる一日となった亮介。  システムメッセージによる要求を無視しながら、亮介は思った。これを使えば、まさに理想のハーレムを作り出せる。  まだまだ手を加えられるところも、調整も、改竄も、そのような余地はいくらでもある。  大多数にとっては人類の脅威となる存在が、この時をもって、彼にとってはただの思い通りになる性玩具と化した。 「…………さて、まだまだやりたいことたくさんあるからな。こいつで好きに遊ばせてもらうぜ」  こうして、誰も知らないところで、異星の技術によって造られた女性型人形狩りが、一人の欲望によって始まったのだった。


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