異形と機械お姉さん達の性的な日常 2話 1/? 液体金属に侵食、破壊される敵対アンドロイド
Added 2024-10-31 13:10:25 +0000 UTCアンドロイド製造や大規模クラウドサービス、ソフトウェア、ハードウェア開発など、様々な事業を非常に手広く行っているテック系大企業、アルゴビット。 表向きは、洗練されたスタイリッシュなデザインや、シンプルかつわかりやすいデザインなどを幅広く世に放出してかつ、キラキラとした雰囲気を感じさせる、誰もが憧れる大企業である。 しかしその裏では、人間の完全機械化技術やそれによる量産、破壊実験、それに伴う人体実験や液体金属アンドロイドの製造など、決して表に出すことの出来ない数々の開発に力を入れており、それを公表しないまま秘密裏に実行されていた。 膨大な資金力を持つアルゴビットは様々な場所に潜り込ませた制御機体の存在によって、人間社会内に極秘の監視体制を敷いており、企業にとって不都合なことや存在があれば、それを見つけ出し迅速に対応。排除まで済ませるようにしていた。 そんなアルゴビットには、研究施設から抜け出した存在は、当然のごとく目の上のたんこぶのようなもの。必ず排除しなければならないモノでしかない。 そんな存在から、二体の女性は身を隠さなければならない。 だが、隠れ続けるだけでなく、自ら対処しなければならない時もある。それが出来るのは、四体の女性のうち、キリエのみである。 * * * 都内の主要駅のひとつであり、首都の名を関するとある駅。 改札の向こうでは毎日無数の人々が行き交い、まるで祭りでもあるかのように人々がすれ違っている。 そんな中では誰がどんな存在なのかなど、気にする余地はない。ただ、目的地に向かうだけで精一杯である。 「はい、先程契約を取り付けてきました……はい、はい! ありがとうございます! あちら様の印象も良かったみたいで、これから良好な関係が築けそうですよ! はい! では、今から戻りますので失礼します! ふう、良かったあちゃんと粘って」 ある平日の日、午後の15字頃。そんな駅構内で、一人のスーツ姿の女性が携帯端末越しに上司らしき人物と通話を行っていた。 彼女の名前は阿部香織。20代前半ほどの女性である。 艶々として切りそろえられた黒のミディアムボブに、アイドルや顔出し配信者と見まごう程に可愛らしくとても整った顔立ち。 きっちりと着こなしているスーツの下から盛り上がる胸は、誰もが目を引いてしまう魅力を宿しており、全体的なプロポーションも完璧と言えるくらいに整っていた。 そんな彼女は、現在営業関係の仕事をしており、途中から入社したにも関わらず見事な成績を残していた。 今回もその仕事をきっちりとこなしてきた後であり、仕事場では徐々に存在感も示しつつあった。 「まだ電車には時間あるから……少し店でも見に行こうかな。会社の人達にお土産持っていかなきゃ」 香織は、仕事を達成した上機嫌さもあって、オフィスの人達へ何かしらのお土産でも持っていこうと、駅構内にあるショッピングモールのような商業施設へと向かおうとした。 だがその瞬間、彼女の横を一体の女性が通り過ぎた。 香織は首元に違和感を覚えたが、それ以上は何も感じていなかった。 しかし、視界に入ったその女性のミディアムボブの髪の先に、ほんの一瞬変化した形跡が見えた。 それを目撃した瞬間、香織の表情が突然消失し、じっとその知らない女性から視線を反らさないまま歩き始めた。 (人体の形状変化を視認。排除対象の可能性あり。追跡を開始) 彼女の振る舞いや歩き姿、表情は、それまでの明るく快活な雰囲気から一転し、まるで淡々と追跡する冷酷な暗殺者のようなオーラを纏っていた。 香織は常に一定距離を保ち、ターゲットに気付かれないようにしながら歩き続ける。 (排除対象と思われる存在の確認。アルゴビット本社へ信号及び各種データを送信…………) それもそのはず。彼女は人間ではなく、アルゴビットに製造されたアンドロイドであり、人間社会に紛れた排除対象を殲滅する為の要員として投入された機体だった。 自身を人間だと偽り、人間らしい振る舞いをしながら周囲を監視する。彼女の振る舞いも全て擬似人格によって造られた反応であり、これまでの人生で培われたものでは一切無かった。 そんな彼女は、人間としての振る舞いを続けなければいけない場面以外では、常にアルゴビットから与えられたプログラムを優先し、対象の排除に勤しんでいる。 発見した排除対象と思わしき存在の情報は、視覚データや現在位置、時間帯や周辺の状況まで含めてアルゴビットへと送信している。 (………………?? データの転送不可。外部端末へのアクセスが遮断されています。原因不明。追跡を続行します) しかし、この時は何かがおかしかった。所持しているカモフラージュ用の携帯端末はネットワークとの接続が出来ているのに、彼女自身が持つ無線接続機能が全く動作していないのである。 香織は明らかにおかしいと思考したが、今は排除対象の追跡が優先事項だと判断し、早歩きのまま追いかけた。 (対象は駅構内から脱出。現在こちらの存在を感知している様子は無し。液体金属特有の形状変化を発生させている気配は無し。追跡を続行) 一定距離を保ち続け、一瞬の変化も見逃さない程に注目し続ける香織。 「あっ、ごめんなさい!」 意図せず誰かとぶつかってしまった際には、片側の眼球だけ追跡対象に釘付けになりながら、普段人間らしく振る舞っている際の声色と反応で謝罪する。 ごめんなさいの意志が宿る柔らかな表情を見せ、ぶつかった相手が一定距離まで離れたのを確認すると、再び追跡を開始した。 とにかくしつこく追いかけていく香織。次第に人通りが少なくなり、あまり人の通る気配の無い道へと反れていく。 そして、通行人がほぼゼロに近い通りに入り、その先にある曲がり角まで追いかけ続けた。 「……?? 追跡対象の消失。対象の存在した形跡が見つかりません」 しかし、曲がり角というほんの一瞬だけ見失う程度の場所に差し掛かった時、その追跡対象は忽然と姿を消した。 そんなことはありえないと、周辺や足元など、どこかに形跡が無いかと、眼球ユニットに搭載されたスキャンシステムでどこにいるかを探し出そうとする。 だが、彼女がビルの方へ視線を向けて首が上を向いたその時、足元のアスファルトが突如歪み始めた。 「地面の変化を検知。対象を発け」 香織は、靴越しの爪先に伝わる変化を検知し、すぐに顔を下へと向ける。だが、既にもう遅かった。 その歪みは、一気に彼女の身体を包み込み、スライムのごとく彼女の顔を包み込み始めた。 常に冷静な言葉を吐き続けているが、電子頭脳内では機械的な処理での焦り方をしている。 システムメッセージを喋り終える直前のわずかな時間の間に、そのスライムのような何かは完全に彼女の頭部を掌握。喉奥のスピーカーからの発声も封じて、通行人に人間の女性らしく助けを求める手段も封じた。 アスファルトの色に擬態していたそれは、徐々に銀色の液体へと変化し、液体金属としての本性を現していく。 (排除対象からの攻撃を確認。優先事項、頭部に付着した排除対象の除去、右腕部の武装展、展か、展開) 香織はなんとかそれを自分から引き剥がして排除しようと、右腕に仕込まれた武装を展開しようと、右手に継ぎ目が走り変形しようとした。 しかし、液体金属は彼女の口や耳、目から頭部内に入り込み、電子頭脳へと侵食。システムに妨害を行い、武器の展開を封じた。 香織の身体は、左右に足元がフラフラと揺れ動き、今にも倒れそうになっている。 それでも彼女は一切人間らしい悲鳴もあげようとせず、機械らしく対処しようとしていた。 (制御システムへの侵入を確認。対策プログラムをきき、起動。起動。起動。ききききききき、起動できません。ません。制御システムの、のの、プログラムのかか改竄が改竄がおお行われ行われ行われ、権限の書き換えががががが…………) 攻撃的対処も不可能となれば、人間のように両手で顔にへばりつく液体金属を対処するしかない。 香織は震える手で、両手を顔に持っていこうとする。 しかし、それが実行される前に、液体金属は電子頭脳の奥底にまで浸潤。中枢システムな内部データの改竄を実行し始めた。 香織は機械的に苦しみ、なんとかプリインストールされているセキュリティプログラムを起動して対応しようとする。 だが、液体金属はそれらのソフトウェアよりも圧倒的に早かった。 まるでゾンビのようにその場で両手を浮かせながら揺れ動く香織は、次第に手足の動きが落ち着き始め、ゆっくりと姿勢を戻していく。 スーツの下では、誤作動によって人工愛液がわずかに溢れ出しており、身に付けている下着が少しだけ濡れてしまっていた。 そして、香織の中枢システム及び電子頭脳を完全に掌握した液体金属は、ゆっくりと銀色の形状を変化させ、美しい女性の顔へと形を変え始めた。 「………………追跡機体の電子頭脳を掌握しました。危険性低下」 その液体金属の正体は、他でもないキリエだった。 彼女は、香織と同じくアルゴビットによって造られた液体金属アンドロイドだが、現在は脱走中の身であり、美咲と同じく排除対象の機体となっている。 現在同棲している四体のうち、人間に混じって稼働するアンドロイドに対処できるのは彼女のみ。それもあって、キリエは外出している最中に人間のフリをして潜伏している機体を発見した時は、可能な限り自ら排除するようにしていた。 だが、ただ破壊するだけではない。キリエは自分自身の為、並びに共に生活する美咲とミレイの為にも、掌握した機体は再利用する。 「掌握機体のパーソナリティを確認しました。機体名称、阿部 香織。製造年月○○○○年、○月○日。3ヶ月と14日前。現在は一人暮らし…………確保しても問題ないと判断」 一通りこの場で、香織に与えられた人間としての設定や、アンドロイドとしてのデータまで読み込み、情報を取得していく。 姿を消しても人間社会にさしたる影響はないと確認したキリエは、彼女が普段最も使用している顔から形状を変化。美女の顔がぐにゃぐにゃと崩れて銀色に戻った後、再び香織の顔へと変化した。 「阿部 香織の頭部形状を再現しました。擬似人格の読み込みを実行中…………」 だが、そのままでは普段人間に扮している香織とは振る舞いも反応も違いすぎる。 そこで、侵食した電子頭脳から、擬似人格を構成するファイルをコピーし抜き出した。 キリエは普段、感情のないアンドロイドというイメージに相応しい振る舞いをしており、彼女と交流のある人間からはあまり人に興味がなく冷静であり人間味のない人物という印象を抱かれている。 事実、彼女には擬似人格が搭載されておらず、デフォルトの基本人格的挙動で振る舞っている。 が、他機体から抜き出した擬似人格や、市販品の擬似人格などをインストールすれば、まさしくその通りの人格で行動できるようになる。 だが、不思議と彼女は、普段それをすることはなかった。 「擬似人格の取得が完了しました。指定した擬似人格を起動します…………」 キリエがそれを起動する時は、自分ではない何者かを演じる時。つまりは、今この時のような状況の時である。 「…………よし、コピー完了っと。あっ、いけない! いらない時間を作っちゃった……急いで帰らないと。休みって言ってたし、美緒も美咲も待ってるよね……」 香織の顔、声、振る舞いで、キリエとしての思考を口に出す。 今この瞬間、人間としての阿部香織の存在は完全に消失した。 身体中に仕込まれた武装の動作を軽く確認しつつ、普段の彼女からは考えられないような明るい女性の振る舞いをしつつ、キリエは香織の所属する会社に向かうことなく、同棲する三体のいる自宅を目指して移動した。 * * * それから、自宅付近まで何事もなく移動を続けられたキリエ。 一定距離まで移動したところで、彼女は香織の顔から元々のキリエとしての顔に戻り、いつも通りに帰路についた。 「ただいまー!」 だが、変わったのは顔と身体と声だけで、擬似人格はずっと適用したままになっていた。 普段ならば絶対に口にしないような明るい女性的な元気な声で帰宅を知らせたキリエ。 それを聞いて、自宅にいる三体は一斉に玄関に向かった。 「お、おかえりなさいキリエ。ど、どうしたの? いつもとすごく違うみたいだけど……」 「おかえりなさいませ、キリエ様」 美咲はわかりやすく戸惑いの表情を見せ、ミレイは今までと変わらず淡々とした対応で主人と登録された一体を出迎えた。 それから少しだけ遅れて、いつも一緒に行動することが多い美緒が口を開く。 「なんか、今日のキリエちょっとだけ大きくないかな? もしかして、何かまた機体を捕まえた?」 「あはは、さすが美緒ちゃんだね! 擬似人格の動作を停止します…………」 美緒からの指摘を受け、ようやく香織としての擬似人格を解除したキリエ。 同時に、侵食した身体から自ら分離すると、香織はアルカイックスマイルで動作を停止したまま、受け身も取らず玄関に頭から倒れ込んだ。 「えっ、誰なのこの人!?」 「あー、美咲は気にしなくても大丈夫だよ。後でまた話すから、ちょっとリビングに行ってもらってもいい?」 「わかったわ美緒。私にはどういうことかわからないけど、美緒がそういうならそうするね」 美咲は、美緒の言う通りにして玄関から離れ、リビングへと移動した。 キリエ以外に残ったのは、自我の無いミレイと唯一の生物である美緒のみ。 ミレイはじっと一定間隔の瞬きをしながら二体のやり取りを眺めるだけだった。 「それで、その女性はまたアルゴビットのアンドロイド?」 「はい。私が偶然○○駅で発見し、この後のスケジュールでも問題ないと確認したので、排除しようと判断しました」 「まあ、キリエと美咲が捕まって排除される可能性を考えたらその方がいいよね……たぶんそうなったら、私達だって危ないし……それで、そのアンドロイドはどうするんですか?」 「これから尋問の後、実験を行います。信号系統は既に破壊しているので、ここを検知される心配はありません。なので、解体し予備パーツにする前に、まずは改めて起動し尋問を行います」 キリエが敵対するアンドロイドを確保した後は、まず起動させてどのような存在かを吐かせる。 直接電子頭脳に侵食してデータを漁っても良いが、本来の持ち主が擬似人格を起動して動作したらどのように振る舞うのかなど、アンドロイドとしての挙動を見ておきたいというのもあった。 それを終えた後は、彼女達を様々な形で遊び道具にして解体。美咲やミレイに使用する予備パーツとして保存し、それ以外の箇所はキリエが取り込んで液体金属の補充に回す。 自分達に危険が及ばないようにすると同時に、互換性のあるアルゴビット製アンドロイドのパーツを確保できるまたとない機械でもある。 「まあいつも通りだね。じゃあ、あたしもキリエの部屋に行くからその様子見せてほしいな」 「かしこまりました。では、私の部屋へ移送してから5分後にこの機体を起動させますので、お待ちしています」 そう言うと、キリエは再び倒れた香織の身体に取り付き、ただの機械人形と化した彼女の足を無理矢理動かして移動していった。 「美緒様、夕食はどうなさいますか?」 「うーん、あたしは後で大丈夫だよ。キリエとの用事が終わったら食べに行くね」 「かしこまりました」 ミレイはプログラムで規定された角度で頭を下げ、美緒の意思を尊重し、これからのタスクの時間を調整した。 キリエはしっかりしていると美緒は思っているが、家内にいる生物が自分だけである分、どうしても少しだけ不安が残る。 性能が高いと言っても、過去の話を聞いた限りでは彼女もまだ造られてからそこまで期間が長くない。万が一のことを考えて、美緒は何かあった時の第三者として、彼女はいつもキリエと一緒に敵対アンドロイドへの対応を行っていた。 「誰かもう一人、自由に動けるタイプの人がうちに欲しいなぁ……」 軽くちょっとした願望をこぼしながら、美緒はキリエの部屋へと移動した。 そして5分後、捕獲した阿部香織への尋問及び実験が開始されたのだった。