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アヤワスカ from fanbox
アヤワスカ

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真約・黒のマリア 最終回 『夢の中の君へ』

 世界は全て崩壊して、私を責め苦しめる為の赤黒い空間になった。


「うあぁあああああああああああああああ!!!」


 地面から伸びた黒い蔦にこの身を絡めとられて、私は苦悶の声を上げてしまった。


 悪意と欲望で出来た蔦から、ドロドロの瘴気が侵食してくるの・・・あ・・・あぁぁ・・・細胞の一つ一つが性器みたいになって・・・それを犯されるみたいな感覚が・・・あ・・・あぁぁあああっ・・・


 蔦はドクドクと脈をうち、休むことなく瘴気で私の全身を嬲り犯す。私は・・・されるがままに身をくねらせて悶える事しかできない。その姿が余計に蔦を興奮させてしまうのか・・・苦しめば苦しむほどに責めが激しくなって・・・


「あ・・・あぁぁああ・・・見ないで・・・」


 地上で私を見上げる少年・馬上君に私はそう訴えかけた。


 彼にだけは、私のこんな姿・・・イヤらしい姿を見られたくないから・・・


 彼が最後の希望。全てがむき出しの魂になって崩壊したこの世界で、彼だけが諸悪の元凶・黒薔薇漱石に立ち向かえる存在。


 だけどそんな事はどうでもいいの。この世界で、せめて彼が彼であれるように守りたい・・・のに・・・


 ドゴ!


 漱石の裏拳を受けて、馬上君が吹き飛ばされてしまう。


「馬上君!」


 私はそれを見て叫ぶことしか出来ない。守りたい人が傷つけられているのに、何も出来ない・・・


「う・・・うぁ・・・うくっ・・・漱石・・・責めるなら私だけを責めなさい・・・彼は・・・関係・・・ない・・・」


 私の言葉に、漱石は愉快そうに声を出さずに笑う。


「男同士の戦いに口を突っ込むだなんて無粋な子だ。でも娘の願いだ。半分は聞いてあげよう。」


 その言葉と共に、ブォン・・・馬上君の体が糸で引っ張られたみたいに起き上がった。それと同時に、


 ギリギリギリギリ・・・カラダ中を見えない無数の手に押さえつけられるような感覚が・・・無数の指が食い込むくらい強く締め上げられるような感覚が私を襲った・・・


「ぅぁ・・・あ・・・な・・・何が・・・あぁぁ・・・」


 蔦による責めでも、カラダに封じこめた悪魔達からの責めでもない・・・得体の知れないナニカが私を襲っている。


「ふぬ・・・ぐぎぎぎぎぎ!!!」


 眼下では馬上君がまるで見えない拘束を振りほどこうとしているみたいにもがいている。見えない力で抑えられているみたい。


 身動きできない馬上君の前に立った漱石に、黒い光球が集まっていく。奴の体にすぐに変化が起こり、右腕がグロテスクに変形していく。筋肉が大きく盛り上がり、巨大化した拳に幾つもの禍々しい拳がメキメキと生えていく。


 まさかあれで馬上君を殴る気なの・・・


 やめて・・・彼を苦しめないで・・・お願い・・・私はどうなってもいいから・・・


 私の思いを打ち砕くみたいに、漱石は禍々しい拳で、馬上君のお腹を殴った。


 ドゴォ!


 瞬間、私のお腹に衝撃が走る。内臓が揺れる、骨が軋む感覚・・・お腹に突き刺さる感覚・・・


 あぁぁ・・・その時私は理解した。これは馬上君が受けるハズだった痛みなんだって・・・お腹を殴られる痛みも、カラダを締め上げられる痛みも全て・・・ありがとう漱石・・・彼の痛みを私に与えてくれて・・・アナタは嫌がらせのつもりかもしれないけれど、私にとってはこれ以上ない展開だわ。私が苦しんでいる間は、彼を守れるんですもの・・・


「・・・っ・・・!!!」


 唇を噛みしめて必死に声を堪える。馬上君の痛みを私が受けていると知られないために。彼の心も守る為に。


「ふむ・・・声を堪えるか・・・面白い・・・ではこれならどうかな?」


 馬上君に言葉をかけるようにしながら、漱石は明らかに私に向けて話しかけている。筋肉で肥大化した腕を更迭化させ、拳は棘だらけの鉄球に変化する。


 OK。ゲームの内容は理解したわ。とてもアンフェアで、なかなか素敵に悪趣味なゲームじゃないの。


 ドゴォオ!!


 グシャバキゴキン!!


 内蔵が潰れて骨が砕かれる・・・あ・・・安心したわ・・・痛みだけじゃなくって、ダメージも・・・傷も・・・私のカラダに降りかかるのね・・・これで私は安心して痛みを我慢するだけでいいんだわ。

 

「・・・!!・・・ッ・・・!!!」


 ドゴォオ!!


 ドズン!!


 ズドン!!!!!


 何度も何度も衝撃にお腹が破壊される。破壊されたお腹は、私の中の悪魔達によってすぐに修復されてしまう。壊されるためだけに治されて、治される端から破壊されていく・・・


 何度も・・・何度も・・・


「ゥ・・・っ!」


「・・・ン・・・ぃ・・・!!!」


「く・・・ふ・・・はっ・・・ンぅっ!!!」


 この痛みを、漱石は馬上君に味合わせようとしてたのね・・・その怒りを力にして、私は必死に声を堪える。


 気の済むまで・・・飽きるまでやるといいわ・・・私は全部・・・耐えきって・・・みせる・・・か・・・ら・・・


「なるほど。私は君を少し見くびり過ぎていたようだね。」


 漱石がニヤリと嗤った。その腕の肘の部分からどす黒い炎が噴き出して、そして・・・


「私は無限にどこまでも強くなることが出来る。我慢比べは、最初から君の負けが決まっているのだよ。」


 その言葉と共に、黒い炎がジェット噴射みたいになって、スピードを増した拳が馬上君のお腹に突き刺さった!!!


「うごぉおおお!!!」


 ついに私の口から声が漏れ出てしまった。我慢するとかしないとかの次元じゃない・・・お腹だけじゃなくて・・・背中にまで貫通した衝撃がカラダ中を滅茶苦茶に圧迫して、行き場のなくなった空気が、行き場のなくなった苦痛と共に喉を震わせ、口から洩れてしまう。


 自分がお腹を殴られるタイミングで声を上げてしまった私を、馬上君が不思議そうな顔で見上げる。


「何が起っているのか分からない・・・という顔だね馬上君。」


 漱石がニヤニヤと嗤いながら馬上君に声をかける。


 やめて・・・言わないで・・・馬上君にそんな事教えないで・・・


 苦しめるのは・・・苦しめるのは私だけにして・・・お願いだから・・・


「君が受けるハズの痛みを、我が愛娘のマリアが全て肩代わりしているんだよ。」


 漱石が高らかに言い放った。そして、変形して幾つもの鋭い爪が伸びた手で。馬上君の胴を斜めに引き裂いた。


 ザリ!!!


「っぁああああああ!!!」


 もう堪えることも出来ずに、私は苦悶の声を上げてしまう。肩口から胸を深く引き裂かれる痛みに、私はもう何も耐える事が出来ない。守りたいものがあるのに、情けなく痛みに屈してしまう。


「さて、ここで問題だ。どうしてマリアは必死に声を堪えようとしたのか分かるかい?」


 そう問いかけながら漱石は、


 ドゴォオオオオ!!!


 馬上君のお腹に・・・拳を突き刺して・・・


 うあぁぁあ・・・さらに私を追い詰めるために・・・拳をドリルみたいに回転させて・・・


「うぐぁぁあああ・・・そ・・・漱石・・・余計な事を・・・言わないで・・・」


 必死に言葉を紡ぐ私を嘲笑うように、漱石は爪を馬上君の胸に深く突き刺した。


「うあぁぁああ・・・!!!」


 ただ突き刺しているだけじゃない・・・熱を放ち、ジュウウと私の胸を焼き責める・・・うぁぁぁ・・・


「君はね、守られていたんだよ。君の心をマリアは守ろうとしたんだよ。どうだい?美しいだろう?責められて声を上げれば、君の痛みを肩代わりしているのがばれてしまう。そうなると君の心はどうなる?そう、今まさにそうなっているように、凄まじい罪悪感と無力感に苛まれるだろう。守ろうとしたモノに逆に庇われて、自分自身がたまらなくイヤになるだろう?消えてしまいたくなるだろう?」


 漱石の言葉が、馬上君の心を壊そうとする。


「馬上君・・・そいつの・・・そいつの言葉に耳を貸さないで・・・わ・・・私は・・・戦うのが宿命だから・・・だから・・・アナタが・・・罪悪感を持つことは・・・うあぁあああ・・・」


 漱石が胸に突き刺さった爪を一気におろして、私の言葉は激痛に遮られた。カラダがズタズタにされる痛みに声を上げてしまう。


 私の痛みなんて・・・どうでもいい・・・のに・・・


 パキパキパキパキ!!!


 漱石の肩や背中から何本もの腕が生えた。私を責め苦しめる為の腕が。

炎を纏う腕に電撃を纏う腕、先端が針になっている腕・チェーンソーになっている腕。巨大な口の腕・・・様々な腕が一斉に襲ってきて・・・


「はぐぅ・・・うぁ・・・あがっ・・・うあぁあああああああああ!!!!」


 炎に焼かれ電撃に責められ、針かを刺されて毒を打たれ血を吸われ、チェーンソーでズタズタに引き裂かれて、脇腹に噛みつかれて・・・


「うあぁあああああああああああああああ!!!」


 あ・・・あぁぁ・・・漱石に責められる感覚に苦しみ悶えるほどに、私に絡みつく黒い蔦の責めも激しくなっていく。カラダの中の悪魔達が興奮して、私への責めが苛烈になっていく・・・


「馬上君を見てごらんマリア」


 耳元で漱石の声がする。悍ましい両腕で馬上君の体に嵐のような暴力を振るっている漱石の声が、なぜか私のすぐそば耳元で囁きかけている。


 ピシ・・・ピシピシ・・・


 あ・・・あぁぁ・・・彼の体に・・・ヒビが入っていく。


「分かるかいマリア。今の彼はね、君を守れなかったことによる絶望、無力感に苛まれて、自分自身を否定しているのだよ。さっきまで彼は自分自身のイメージによって強くなっていた。そんな彼が、自分自身を否定したらどうなるか、じっくり楽しむこととしようじゃないか。」


 漱石の声が、あぁぁ・・・恐ろしい事実を紡いでいく。


「そ・・・そんなの・・・どうして・・・うあぁぁ・・・あぁあああ・・・」


「君は彼を守る為に、必死に声を堪えようとして・・・出来なかった。君は痛みに敗北したのだよマリア。故に彼の心が、魂が崩壊するのも、当然の帰結と理解したまえ!!!」


 ピシピシピシピシ!!!!


 馬上君のヒビが広がっていく・・・


「だ・・・ダメ!馬上君!!!」


 私は叫んだ。


 けど・・・馬上君のヒビは広がっていって・・・


 もうダメ!!そう思った瞬間、



「こ・・・このぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」



 突然彼は叫んだ。



 馬上君は強かった。私が思うよりもずっと。


 一つも諦めてなんていなかった。

 馬上君の体は光を放ち、金色になった髪が逆立った。


 そして、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


 見えない戒めを振りほどいて、パンチを放った。


 それは漱石の禍々しく巨大な腕を砕き、そして、


 ドゴーーーーン!!!


 彼を・・・私達を苦しめていた漱石の頭を殴り飛ばした!!!


 すごい馬上君。アイツを・・・漱石を倒すなんて。


 それは一筋の希望が絶望を切り裂いた瞬間だった。


 もうこれで大丈夫・・・


 ・・・そう思えたのは、ほんの一瞬の事だった。


「ほう、なかなかあの少年もやるじゃないか。」


 また私の耳元で、漱石の声がする。耳元で漱石は囁いた後に、ふーっと息を吹きかけた。


「んぁっ・・・」


「私はね、この空間を作り上げる全ての欲望の支配者。ここではどんなことも、私が望むがままに出来るのだよ。」


 漱石の手が私の胸を愛撫する。


「いや・・・あぁん・・・」


 私を戒めているのはドクドクと脈打つ黒い蔦なのに、まるで、漱石の腕の中に抱かれているような感覚が・・・


「いやぁぁん・・・」


 漱石の腕の中で『私』が悶える。首筋を舐められて、胸の先端を弄られて恥辱に悶えている。


「っぁぁあああん・・・」


 また別の『私』が四つん這いになって、お尻を漱石に引っぱたかれている。


 ・・・いや・・・なにこれ・・・何が起ってるの?


 次々と現れる無数の『私』が、次々と現れる無数の漱石に凌辱されている。


「んくっ・・・はぁん・・・あぁぁあああ・・・」


 無数の『私』が受ける責めが、私にも襲い掛かって来る。視覚も聴覚も嗅覚も感情すらも全部知覚してしまって、それだけで頭がおかしくなってしまいそうになる。


「はぁぁん・・・」


「ぃぁぁ・・・ぁぁぁ・・・」


「やっ・・・やめ・・・あぁぁん・・・」


 無数の『私』達がイヤらしい声を上げる。クネクネと艶めかしく悶えながら、されるがままに喘いでいる。


 あぁぁ・・・私・・・あんなにエッチな顔をして・・・いや・・・いやぁぁ・・・


「こ・・・こんなの・・・耐えられ・・・あぁぁ・・・だめぇ!!!」


「マリア・・・あぁぁマリア・・・快楽を苦痛に感じる君には、凌辱に満ちたこの淫獄はたまらなく苦しいだろう?でもマリア、この地獄には終わりは無いんだよ。永遠の時を苦しみ悶えたまえ!!!」


 漱石の声が私を抉る。それはきっと現実になるのね・・・


 あ・・・あぁぁ・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


「な・・・何が起ってるんだ・・・な・・・何をしてるんですか?」


 無数の私が無数の漱石に凌辱される様子を見て、馬上君が放心したような声を上げる。


「見ての通りだよ。」


 あぁぁ・・・私の両胸を大きな口に変化させた手で咀嚼する漱石が、馬上君に応える。深々と牙が突き刺さり、デロリとした舌で・・・あぁぁぁ・・・胸の先端に汚い唾液を塗りたくるの・・・


「んやぁぁ・・・あぁぁあん・・・」


「無限のマリアを無限の私が犯しているのだよ。」


 そう言ったのは、スライム状になった体に私を取りこもうとしている漱石。ネットリとスライムが私に絡みつき、ジュルジュルと肌の上で蠢きながら私を呑み込んでいく・・・


「はぅ・・・あぁぁあん・・・わ・・・私は・・・大丈夫だから・・・あぁぁあん・・・」


 スライムに取りこまれながら、私は必死に馬上君に訴えかける。


「もう一つ教えてやろう。この無限のマリアが受ける責め苦は、全て余すことなくホラ、あそこに囚われている彼女のオリジナルに叩き込まれるのだ。」


 昆虫のように変形し、グロテスクな産卵管でわたしを犯す漱石の言葉に、馬上君が蔦に囚われている私を見上げる。


「ひぐぅ・・・あぁあ・・・はぁあああん・・・」


 馬上君の視線が、私のカラダに突き刺さってしまう。あぁぁ・・・君にだけには、私のこんな姿見られたくなかったのに・・・


「お・・・おねがい・・・逃げ・・・逃げて・・・あぁああああ・・・」


 子宮に無数の卵を産みつけられる感覚に、言葉が遮られてしまう。


 何がどうなろうと、馬上君だけは守りたいのに・・・


「全く、この空間のどこに逃げ場があるというのだろうね。」


 三つの頭・長い三つの首の漱石が、私の両耳をジュルジュルと音を立てて舐めしゃぶる。ジュルジュルジュバチュパ・・・イヤらしい音に、耳の中を犯されてしまう・・・


「ほら、君も欲望を解放するといい。この子を抱きたいのだろう?」


 あぁぁ・・・首筋をネトォオオと舐められて、顎を反らせて身をくねらせてしまう。馬上君が見ているのに・・・


「いやぁあああああ・・・」


 馬上君の視線に妖しい熱がこもるのが分る。漱石みたいに化け物になって、私を滅茶苦茶にしたいっていう欲望が視線を通して伝わってくる。


 ごめんね馬上君・・・私のせいだね・・・


 私が弱いから・・・君も欲望に呑まれてしまうんだね・・・


 そう思ったのに、


「マリアさん、嫌がっているじゃないですか・・・」


 馬上君の口から、力強い言葉が飛びだした。


「なぜやせ我慢をするのだね?」


 漱石の言葉に、


「やせ我慢しますよ。するに決まっているじゃないですか・・・だって・・・」


 馬上君が何かを言いよどむ。


「だって?だってなんだと言うんだね?」


 漱石は彼に詰問しながら、私への責めを止めない。お尻を、秘部を、胸を好き放題にされながら身悶える私に、馬上君のいやらしい視線がからみつく。


 だけど・・・


「だって・・・マリアさんを愛しているから!!!」


 馬上君は叫んだ。



 その言葉に、一瞬の静寂が訪れた。



 漱石達は責める手を休め、私は・・・私は彼の言葉を頭で理解するのに必死だった。


 なんで?あ・・・愛してるって・・・この状況でそんな事を言うなんて・・・私・・・みっともなく犯されて、ふしだらに喘いでいるのに・・・そんな・・・何を・・・え?・・・それはその・・・そういう事なの?


 沈黙を破ったのは、漱石の冷たい言葉だった。


「愛・・・か・・・ふむ、君には期待したのだが、そんな陳腐でありふれた感情が答えなのか。」


 そして


 ドンドンドン!!!!


 馬上君の周囲に黒い壁が出現して、


 そして彼はそのまま黒い箱に閉じ込められてしまった。


「馬上君!!!」


 私の叫びに、


「「「つまるところ彼もそこらに転がる凡夫と変わりなかったわけだ。残念だ。実に残念だ。さぁ彼の事なんて忘れて、お楽しみを続けようじゃないか!!!」」」


 漱石達が口をそろえてそんな事を言い放つ。


「ふ・・・ふざけないで・・・馬上君の事が怖くなって閉じ込めたくせに・・・臆病者!・・・アンタなんか、私が戦った悪魔の中で一番弱いわ!!!」


 その言葉に、


「なるほど。それでは最弱の私に犯される君は、さしずめ世界の性奴隷というワケだ。」


 そう言って漱石は様々な形状のイチモツを・・・ズリュウ!!!私の秘部に挿入したの・・・


「はぅぁ・・・あぁぁああああああああ!!!!」


 犯されるだけの雌となってしまった私の口から、屈服の声が出てしまう。


「全体がGスポットに膣を同時に犯される気分はどうだい?」


「巨大なペニス。触手のペニスに機械のペニス・・・どのペニスが一番好きかな?」


 同時に無数の子宮を抉り犯される性感に、私はあっけなく呑み込まれてしまう。あ・・・あぁぁ・・・女として生まれたこの身が恨めしい・・・こんな奴に・・・こんな風に敗北してしまうなんて・・・


「はぅ!んぁ!あくっ・・・はぁぁん・・・」


 弄ばれている・・・あぁぁ・・・玩具にされている・・・


 悔しい・・・悔しいのに・・・何も出来なくて・・・


「あはぁああああああん!!!」


 淫らに身をくねらせ、憎い凌辱者を愉しませてしまう。


「出すぞマリア!出すぞ!!!」


「や・・・やめ・・・んあぁああああああああ!!!!」


 あぁぁぁ・・・私の無数の子宮に、ドクドクと汚らわしいモノが注がれていく・・・私の女性の象徴が・・・穢されていく・・・


「ぃぁ・・・あぁぁ・・・」


「休んでいる暇はないぞ。もっとだ。もっと貶めてやる!!」


 欲望を吐き出した漱石たちのイチモツが・・・あぁぁ・・・またムクムクと大きく硬くなって・・・


「ひぅっ!・・・あぁぁあっ・・・そんな・・・も・・・もう・・・あぁぁああああああああ!!!!」


 何度も・・・何度も犯されて・・・


 私は


 あぁぁぁ・・・


 終わりのない凌辱地獄へと、私は堕ちていく・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


「どうだマリア・・・君のカラダを知り尽くした私の責めは・・・」


「そうか・・・そんなに胸がいいか・・・」


「時間は無限にあるんだ。たっぷりその胸を可愛がってあげるよ。」


 漱石たちが、私を言葉で責め嬲る。


「んくっ・・・胸ばかり・・・そんな・・・あぁあああああああっっ・・・」


 散々中に出された後、休む間もなく始まった壮絶な胸への責め。そのしつこい凌辱に私は、


「あがっ・・・あぁぁああ・・・うあぁぁあああああ・・・」


 カラダが折れそうなくらい、この身を仰け反らせて悶え喘いでしまう。


「マリアは乳首を快楽で責められるのと・・・」


 ニュルン・・・ジュルジュル・・・


 スライムに、触手に胸の先端を犯される。ヒクヒク蠢く果実が舐められしゃぶられ、粘液が塗りこまれていく。


「ひあ・・・あぁぁん・・・んうぁああ・・・」


 私のカラダがガクガクと震える。


「痛みで罰せられるのと、どっちが好きかね?」


 ザク!!バシン!!!


 爪に、鞭に胸の先端が甚振られる。硬く起立する蕾に突き刺さり、的確に打ち据えられていく。


「あぐっ・・・いぁっ・・・っぁ!!!」


 痛みを与えられているのに、私の唇から漏れる悲鳴に甘い響きが混じってしまう。


「これは愚問だったな。君の乳首はもう何をされても悦んでしまう、ふしだらな奴隷だものな。」


「世界を守る為だとか言っておきながら、負けて悪魔に乳首を開発されるために戦っていたのだろう?」


 言葉が私を責め嬲る。


「ち・・・違っ・・・私は・・・あぁぁあああ・・・」


 私の一人の胸に、透明のガラスが押し付けられる。胸の先端が押しつぶされる。


「んぁぁぁん・・・はぅ・・・ぁぁぁああん・・・」


 胸を押しつぶしたガラスをグリグリと動かされ、それに合わせるように私はヌラヌラと艶めかしく蠢いてしまう。


「そんなに淫らに悶えて、馬上君も見ているというのに・・・」


 その言葉に、心臓がドキンと高鳴ってしまう。


「見てる?・・・そんな・・・いやぁ・・・見ないで・・・」


「それは無理というモノだよ。彼の魂に強制的に見せつけているのだからな。そのエロティックな姿も、甘い声も・・・あ、そうだ。折角だから匂いも味わってもらおうか。」


 漱石達がそう言って私達の腋や股間に顔を埋め、フンフンと匂いを貪り吸い始める


「いやぁ・・・嗅がないで・・・お願い・・・見ないで・・・やめて・・・あぁぁああ・・・」


 あ・・・あぁぁ・・・嗅がれてる・・・匂いが・・・あぁぁ・・・そんな・・・いやぁぁ・・・


「なんてイヤらしい・・・なんてイヤらしい匂いなんだマリア・・・イヤらしい匂いが止めどなく溢れてくるぞ。」


「そ・・・そんなこと・・・いわないで・・・あっ・・・やめ・・・おねがい・・・あぁぁぁぁ・・・」


 匂いを貪られるのがこんなにイヤらしいなんて・・・あぁぁ・・・こんなの・・・舐められるよりもずっと恥ずかしいっ・・・あぁああ・・・


「「「んはぁああああああああああん・・・」」」


 匂いを嗅がれて・・・全ての私が一斉に絶頂してしまう。


 あぁぁぁ・・・無数の私の絶頂が一気に押し寄せてきて、脳みそが焼ききれそうになる。焼き切れそうになっているのに、漱石たちはまだ私の香りを貪って・・・


「ひぅっ・・・はぅ・・・あはぁぁん・・・うぁぁあああ・・・」


 そして・・・また・・・


「「「ひあぁああああああああああん・・・」」」


 匂いを貪られて・・・あぁぁぁ・・・匂いを貪られるだけで、二度目の絶頂してしまう・・・


「ひぐっ・・・うぁ・・・あぁぁぁぁあ・・・」


 あぁぁ・・・羞恥が性感を生んで、私のカラダをまた絶頂へ導いてしまう・・・さっき昇りつめたばかりなのに・・・また・・・


「「「いぁぁああああああああああ・・・」」」


 匂いを嗅がれるだけで・・・何度も絶頂してしまうの・・・


「んぁぅ・・・ぁぁぁぁぁぁ・・・」


「また絶頂したのか・・・やれやれ・・・イヤらしい子だ。」


 一人の漱石がそう言って、私の、くったりとした一人の私の胸の先端を・・・ち・・・乳首を・・・指で無造作に弾いた。


 それだけなのに・・・


「んはぁぁああああああああああああん・・・」


 目の前が真っ白になるほどの悦虐が走って・・・腰がガクガク震えて、胸で絶頂してしまって・・・そして・・・


「いや・・・あぁぁあああああ・・・」


 胸絶頂した私は・・・胸からイヤらしいミルクを噴き出してしまったの・・・


「驚いた。こんな芸当も隠していたとは・・・ではせっかくなので頂くとしようかね。」


 漱石達は一斉に私達の胸にむしゃぶりつき、そして胸絶頂をする私達からミルクをチュウチュウと音を立てて吸い始めた・・・


「あぁぁああ・・・んぁぁ・・・あぁぁああ・・・」


 チュパ・・・チュパチュパ・・・


 あぁぁ・・・吸われてる・・・私のミルクが・・・あぁぁああ・・・


 も・・・もうミルクなんて出したくないのに・・・出したくないのに止まらないの。


 ミルクが出る度に胸で絶頂し、絶頂する度にミルクが出てしまう。


 終わらないミルクアクメ・・・数えきれないくらいの『私』が叩き込まれる全てのミルクアクメが、私の小さな膨らみに襲い掛かる。


「んくぁ・・・う“ぁ“ぁ“・・・あ“ぁ“ぁ“・・・」


 狂ったように性の信号を送り続ける私の胸・・・こんなに滅茶苦茶にされたら・・・あぁぁ・・・壊れてしまう・・・あぁぁ・・・壊れてしまいそうなのに・・・壊れることも出来ないで・・・


 ダメ・・・私・・・もう・・・ダメになる・・・


「た・・・たすけ・・・て・・・」


 気が付いたら私はそう口にしていた。口にしてしまっていた。


 もう救いなんて・・・あるはずも無いのに・・・


 その時、



 カッ!!!


 一つの尊い精神が光を放った。


 上手く言語化出来ないけれど、それを確かに魂に感じた。



 それから馬上君を閉じ込めていた黒い箱が爆発して、


 そして光の柱が上がった。


 光の柱の中に馬上君の姿を見た次の瞬間、彼が叫んだ。


「馬上流星拳!!!!」


 それは笑ってしまうくらい子供じみた言葉だった。でも、力強い言葉と共に、彼の拳からまばゆい光が


 正義の光が放たれた!!!


 そして・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 まばゆさに閉じた目を開くと、赤黒い世界が切り拓かれていた。目もくらむような青い空が広がっていた。無数の漱石達も、漱石に造られた無数の私達も消え去っていた。


 ただ、穏やかな風が吹いていた。


「馬上君・・・」


 私は彼の腕に抱かれていた。これが物語の終わりなら、とても素敵なハッピーエンドだと思った。


 ふと、突然自分が一糸まとわぬ姿だという事に気が付いてしまった。裸で男の人の腕に抱かれている・・・悪魔に散々この身を汚されてきたけれど、なんだか恥ずかしくなってしまったの。


「あの・・・あんまり見ないで・・・」


 見ないでって言ったのに、馬上君の視線が私の胸に注がれる。


「いや・・・」


 腕でとっさに胸を隠した時、馬上君の顔色が変わった。


「馬上君?」


 最初胸を隠したことで怒らせちゃったのかと思った。でも様子がおかしい。ブツブツと


「違う違う違う・・・」


 と呟いている。


 それが苦しそうで、見ていて辛くて悲しくて、胸が引き裂かれそうな気がした時、


「お前は誰だ!!!」


 馬上君が叫んで、そして腕に抱いていた私を投げ捨てるようにしてどこかへと走り去った。


「馬上君!!」


 穏やかに吹いていた風が、チリチリとした熱気を孕んでいく。澄み切った青空が、また赤黒く染まっていく。


 世界が再び悪意に染まっていく・・・


 いや、これは怒り・・・激しい怒りと悲しみに包まれていく。


 気が付いたら私は荒れ果てた校舎の教室にいた。一糸まとわぬ姿だったのに、いつの間にかセーラー服を着ていた。

 何が起っているのか分からないけれど、悪魔との戦いの中で似たようなことは何度もあった。悪魔が持つ『闇の世界』に取りこまれた時の感覚に酷似していた。


 イヤな予感に、心臓がバクンバクンと高鳴っていた。


 ガラガラガラ!!!


 乱暴にドアが開かれた。そこに頭がどす黒い渦図巻きになっている・・・体中のあちこちが渦巻きになっている悪魔がそこにいた。


 馬上君だった。


 姿は変わっていても分かる。それは馬上君だった。


 馬上君が悪魔になってしまっていた。


「漱石・・・アナタの仕業ね!!」


 私は叫んだ。


「とんでもない。これは彼の中に元々眠っていたモノだよ。私はそれが起きるのを少しばかり手伝ってあげただけさ。」


 渦巻きの顔から、漱石の声がした。


「許さない・・・」


「許さなければどうする?私はもうすぐ全て消える。コイツを残してね・・・あ、そうだ一つだけ伝えようか・・・最初はね、彼の欲情を煽ろうとしたんだよ。そしたらしぶとい抵抗にあってね・・・それほど君の事を大事に思っていたらしい・・・」


 その言葉に、心が凍り付く。どうしようもない絶望に呑み込まれそうになる。


「さぁ、エクソシストマリアが討伐する最後の悪魔だ。名前は・・・そうさな・・・アーロンとでも・・・黙れ!!!」


 漱石の声を遮って、馬上君の声が叫んだ。


「馬上君?」


 私の声に、


「うるせぇ!!!」


 馬上君が叫んで、そして渦巻きの顔から炎が噴き出した。


「うあぁあああああああ・・・」


―――燃やしてやる・・・全部全部塵になるまで燃やしてやる・・・―――


 激しい怒りが・・・憎悪が炎となって私を焼き尽くそうとする。


「あぅ・・・ぁぁあああああ・・・」


 馬上君は・・・こんな気持ちを抱えて・・・それでも正しくあろうとしていたのね・・・だから・・・私も・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


「はぁ・・・はぁ・・・うぅぅ・・・」


 憎悪の炎がようやく収まった。馬上君は火傷一つ付いていない私に驚いているみたい。


「馬上君・・・辛いよね・・・私は大丈夫だから・・・全部ぶつけて・・・」


 私は両腕を広げた。馬上君の中の苦しみを、全部受け止めてあげたかった。


「畜生!舐めやがって!!!」


 渦巻きの頭から大きな氷塊が飛び出してきた。


 ドゴォオ!!!


 氷塊が私の胸にぶつかって、そのまま吹き飛ばされてしまう。黒板と氷塊に挟まれて、冷気と衝撃とでカラダがズタボロにされてしまう。


「あぐ・・・あ・・・あぁぁ・・・あぁぁ・・・」


 氷塊が砕け散り、周囲に凍てつく冷気が立ち込める。


 酷いいじめで凍えた馬上君の心・・・その悲しみに芯から凍り付きそうになる。


「あ・・・うぁ・・・私は・・・大丈夫だから・・・」


 ガタガタと震えながら、私は一歩一歩馬上君に歩み寄ろうとする。


「来るんじゃねぇ!!!」


 馬上君が鋭い爪で宙を引搔く。斬撃が刃となって飛び、私のお腹を切り刻む。


「あぐっ・・・」


 こんな痛み・・・馬上君はきっともっと深く傷つきながら、それでも正しくあろうとしたから・・・私は・・・止まるわけにはいかないの・・・


「畜生畜生畜生畜生!!!俺を馬鹿にするなぁあああああああ!!!!!」


 二撃三撃四撃・・・次々と放たれる斬撃が私の脚を腕を胴を切り刻む。


 だけど・・・それでも・・・私は・・・全てを受け止めようと・・・


 バン!!


 私の周囲に無数の目と口が現れた。視線は針の様に突き刺さり、口から放たれる言葉は鋭利な刃物となってズタズタに切り裂いてくる。


「う“ぁ“っ・・・あがぁぁああああ!!!」


 あぁぁあ・・さらに視線と言葉が蛇の様に纏わりついて、猛毒になって私のカラダと心を侵食していく・・・


「あ・・・あぁぁ・・・うあぁぁあああああ・・・!!!!」


 こんな仕打ちを受けて・・・こんな苦しい目にあって・・・それでも君は・・・


「ま・・・まかみ・・・くん・・・」


 私は必死に手を伸ばそうとした。もうこれ以上君が一人ぼっちにならないように。


「こっちに来るなぁあああああああ!!!!!」


 炎が、氷塊が、斬撃が滅茶苦茶に飛んでくる。


「うぁ・・・あぁぁ・・・・ぁああああああああっっっ!!!」


 全部受けとめてあげる。君の怒りも悲しみも苦しみも欲望だって全部・・・


 炎がカラダを焼き尽くし氷塊が胸を押しつぶし、斬撃が全身を抉り削っていく。


「あぐっ・・・んあぁ・・・うあぁああああ・・・!!!」


 カラダが粉々になってしまいそうな責め苦。でも馬上君は・・・君はずっとこれを・・・


「やっぱり・・・思った通り・・・馬上君は強いね。こんな苦しみを抱えていながら・・・それでも・・・それでも強くなろうとしたんだから・・・」


 やっと手が届いた・・・私は馬上君の顔を撫でながら微笑んだ。


 その時、


―――そんなにこの男の事が好きなのか?―――


 私のカラダの中で、悪魔がニタリと嗤った。


―――だったら、コッチに引き入れてやるよ―――


 私の胸から悪魔の声がする。


「いや・・・止めて・・・彼は・・・彼は連れて行かないで・・・」


 私はそう言って、腕で胸を庇い馬上君に背を向けた。


―――ダメだ・・・悪魔が安々と願いを聞き入れると思うのか―――


 グン!


 私のカラダがコマの様に回転し、胸を突き出したような姿勢で馬上君の方に向き直った。


「いや・・・あぁぁああ・・・」


 ズボ!


 私の胸から無数の腕が突き出てきて、そして馬上君を掴むと一気に私の中に引き釣り込んだ。


「うぁ・・・あぁぁぁ・・・あぁぁああ・・・」


 馬上君が私の中に取りこまれたことで、彼が作りだした闇の空間が壊れていく。ピシピシピシと空間にヒビが入って・・・そのヒビの向こうから、無数の悪魔の瞳が私を見つめていた・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


・・・私を責め立て続ける私の中の地獄・・・極寒に灼熱、腐肉で出来た空間に悍ましい蟲の大群がひしめく空間・・・およそ想像できる限りの悍ましい空間が、同時に存在する地獄の真ん中で悶える私を、馬上君が見ている。


 視線を・・・あぁぁ・・・感じてしまう。


「いやぁぁ・・・見ないで・・・あぁぁああ・・・」


 こんな姿・・・見て欲しくないのに・・・蛇に蛙にナメクジに蜘蛛に、鞭に触手に機械に粘液に・・・ありとあらゆるモノに、ありとあらゆる責めを受けながら、クネクネと身悶える私の姿を、彼にだけは見て欲しくなかった。彼にだけは、知られたくなかったのに・・・


―――さて、君も君だけの地獄を作って、彼女を味わうがいい―――


 悪魔が馬上君に囁いている。


「俺だけの地獄?」


―――そうよ。アナタがしたいことやりたいこと、全部思うがままに出来るのよ―――


 また別の悪魔が、馬上君をそそのかしている。


「俺がしたいこと・・・」


 馬上君が呟きながら歩いてくる。


「そんな・・・あぁぁ・・・アナタまで・・・」


 身も心も悪魔になった馬上君が・・・私を値踏みするように見つめている。


「俺がしたいことが何でもできる・・・それは本当に何でもできるんだな?」


―――悪魔は嘘はつかねぇぜ。なんでもと言ったら何でもだ。どんな事でもお望みのままだ―――


 馬上君と親しげに悪魔が会話している。


「なら、俺の望むことは破壊だな。」


 あぁぁ・・・馬上君は完全に、欲望に呑まれてしまったのね・・・


―――破壊ですか・・・そいつはいいですな・・・―――


 私は・・・どんな事をされても構わない・・・でも・・・あんなに強くあろうとした馬上君が・・・君が・・・悪魔になってしまったことが悲しいの。


 だただた悲しいの・・・


「ごめんね・・・馬上君・・・アナタを・・・守れなかった・・・」


 私が涙をこぼした時、


「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


 馬上君が叫んで、


 ブォン!!!


 巨大化した腕をその場でグルンと振った。


 ドゴォオオオオ!!!!


 彼に纏わりついていた悪魔達が殴り飛ばされる。


 全ての私も、そして悪魔達も一瞬何が起ったのか理解できなかった。


 彼は破壊を望むと言った。


 それは、欲望のままに私を破壊し続けることだと思ったのに・・・


「破壊してやる!マリアさんを苦しめるモノ全て破壊してやる!!!!!!!」


 馬上君が叫んだ。叫びながら、悪魔達を滅茶苦茶に破壊し始めた。


 私は何も分かっていなかった。彼の事なんて、何一つ分かっていなかった。


 馬上君は・・・悪魔にその身を堕としながらも、それでも正しくあろうとしているんだ。


 私を守ろうとしてくれているんだ。


 そんなの・・・もういいのに・・・


 君からは、もう十分すぎるほど貰ったのに・・・


―――なんだコイツは!!!―――


―――おい!誰だコイツを引き入れた奴は!!―――


 悪魔達は最初こそ混乱していたけれど、すぐに破壊者・馬上君へ激しい攻撃を開始する。炎・氷・毒・鉄・酸・・・ありとあらゆるモノが彼を傷つけていく。


「うがぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 だけど馬上君は止まらない。どんなに傷ついても、ボロボロになっても、私を責め苦しめる悪魔を全て破壊するまで止まらない。


「もうやめて馬上君・・・もういいの!!!」


 私は叫んだ。もう彼に私の為に傷ついて欲しくなかった。


 それなのに、


「誰だ!誰だマリアさんを泣かせるのは。マリアさんを悲しませるのは!!!!」


 馬上君はもう、腕も脚も残っていなかった。代わりに破壊衝動を具現化したような轟々と燃え上がる手足のようなモノが生えていた。胴体のあちこちから武器が生え、それが飛び交い悪魔を切り刻んでいた。


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


 馬上君の咆哮が、私の中の地獄に響いた。


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 悪魔が全て消え去った私の中の世界。私自身の血潮の音が、まるで寄せては返す波の音のように聞こえる。


 私の膝を枕にして、馬上君が横になっている。高校生の男の子だった時の馬上君に戻っていた。優しい笑顔。でも魂を摩耗させすぎた彼は、バキバキにひび割れていて、今にも砕け散ってしまいそうだった。


「馬鹿ね・・・」


 私は囁いた。


「格好つけたかったんですよ・・・こう見えても僕・・・男なので・・・」


 私の声に、馬上君はそう答えた。


 本当に馬鹿なんだから・・・そう言う代わりに、私は微笑んだ。


「マリアさん・・・僕は・・・死ぬんですね・・・」


 その問いに、一瞬言葉に詰まったけれど、


「そうね。」


 とだけ返した。


 それ以上は言葉に出来ずに、私は彼の頭をそっと優しく撫でてあげた。


 その時、私はふと思った。漱石がそうしたように、馬上君がそうであったように、この世界では強くイメージしたことが叶うのならば・・・私は彼を救えるんじゃないかって。

 思い浮かべていたのは、最強の悪魔、ルシファーとの戦いだった。彼女は戦いの最中、『やれば出来るモノね。』と言いながら自身の力、『祝福』と『命令』を駆使して世界を創世していた

 私には彼女の力を使う事は出来ないけれど、イメージしたことが叶うこの世界なら、やれば出来るはず・・・


「ねぇ馬上君、死んだら、どんな天国に行きたい?」


 私は馬上君に問いかけた。彼の魂を、彼が望む世界で穏やかに暮らせるようにしたかったから。彼の為の世界を創世してあげようと思ったから。


「そうですね・・・一人は寂しいから・・・沢山の人がいるところがいいな・・・みんな僕と同じだとつまらないから・・・ちゃんと喧嘩できるように、色んな人がいるといいな・・・それから・・・それから・・・」


 馬上君はポツポツと話してくれた。彼が行きたい世界の事を。出来るだけ詳しく、丁寧に話してくれた。


 楽しいことや、嬉しいことばかりではない。イヤな人も、汚いものもある。冷たい雨が降る日も、容赦ない日差しが降り注ぐこともある。

 でも、だから、ふとした暖かいモノや、涼しい場所に癒される。辛いことを乗り越えようと頑張ったり、悲しい思いをしている人に寄り添えたりできる世界・・・


「ねぇ馬上君・・・君の言う天国って・・・君が生きたかつての世界そのものみたいだね。」


 私の言葉に、


「うん。そうみたいだね。」


 少し照れくさそうに頷いた。


「あんなに辛い思いも、苦しい思いもしたのに、それでもあの世界が好きだったんだね。」


「うん。僕はね、マリアさん・・・アナタと出会えたあの世界が、アナタと出会えたというだけで、好きだったみたいだ。」


 私が必死に守ろうとした世界を、馬上君も愛してくれた。それだけで、全てが報われた。


「ありがとう馬上君・・・私もね、君と出会えたあの世界が、君と出会えたというだけで、大好きだよ。」


 馬上君の魂が、ついに彼の体から離れるのが分かった。私はその魂を、私が創世した世界・・・手のひらの上で光を放つ宇宙へと導いた。


「ねぇ馬上君・・・君はね、私が創世した世界・・・これまでと全く同じ世界で目覚めるの。」


 馬上君の魂に語り掛ける。


「何もかも元通りの世界で、何事もなく1999年の七の月を迎えるわ。一か月もしたらきっと、ノストラダムスの予言が外れちゃったね・・・みたいなことを皆話すのかしらね。」


 私の声が届くまで、彼に語り掛け続けた。


「馬上君・・・君はね、これからもきっと、辛いことや、悲しいことや、耐えられないくらい悔しいことに沢山あうでしょう・・・でもね、馬上君は強いから・・・だから・・・」


 だから・・・私は、それから、ね、そのね、えっと、私自身の一番のお願いを、彼に託したの。


「幸せになってね・・・」


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 私の中の世界で、馬上君を見送った丁度その頃、現実の私は無数の悪魔にとり囲まれていた。


 見渡す限りの大地も世界も、ビッシリと悪魔達で埋め尽くされていた。


 漱石が配下にした魂・・・馬上君が吹き飛ばした悪意なんて、この世界に集まったそれのごく一部にも過ぎなかった。


 世界中の悪意・・・この世界に『意志』が最初に生まれてから生じた全ての欲望が、悪魔となって私を取り囲んでいた。


 むき出しの欲望が、セーラー服姿の私のお尻や胸に注がれていた。


「なるほど・・・分かったわ・・・私はここでアナタ達に嬲られ続けるのね・・・」


 そうすることで馬上君のいる・・・私がかつてそこにいた世界が守られるのなら、随分と安い買い物じゃない。


「でもね・・・悪いけど、大人しくやられるような女じゃないの。」


 ポケットから取り出した聖水で剣を作って、そして悪魔達の群れに飛び込んで・・・


 ・・・・・・・・・そこから先は、あぁぁ・・・語るのも悍ましい記憶・・・無限の悪魔達に敵うハズも無くて・・・すぐに揉みくちゃにされて・・・全部奪われて、全部犯されたの。


 イメージしたことが実現する世界。その中で悪魔達の望むように作り変えられた世界で、望むように作り変えられた私は・・・あぁぁぁ・・・悪魔達の望むがままに苦しむことしか出来なくて・・・


 それでも私は抗い続けた。魂で抗い続けた。抗うだけ苦しみが増すだけと知りながら、その姿が悪魔達を悦ばせてしまうと知りながら・・・私は抗い続けて・・・


 苦しみ続けて・・・


 気の遠くなる時間苦しみ続けて・・・


 永遠の時を悶え続けて・・・


 そして




 柔らかい風が頬を撫でた。


 揺れるカーテン。差し込む夕日。


 運動部の掛け声と、吹奏楽部が練習する音・・・


 そこはかつて私がいた懐かしい世界の、学校の教室に似ていた。


 私の目の前に、男の人が立っていた。ビックリしたような表情で私を見つめていた。


 彼が馬上君だとすぐに分かった。おじさんになっていたけれど、私にはすぐに分かった。


 私は永遠の時を過ごしたけれど、馬上君は何歳になったのかな?この世界では、何年の月日が流れたのかな。


 きっと色んな事があったのね。辛いことも、悲しいことも、苦しいことも、全部投げ出したくなることも、耐えられないほど理不尽なことも・・・


 でも君は、その全部を受け止めて、それでも正しくあろうと、前を向いて生きて来たんだね。


 私には分かるよ。すぐに分かったよ。


 胸がいっぱいになる。


 伝えたい言葉は幾千も幾万もあるのに、いざ声に出そうとするとのどでつっかえたみたいになってしまう。


 あぁぁ・・・これは夢なのかしら・・・壮絶な責め苦に曝され続けた私が見ている、一瞬の儚い・・・けれどもとても幸せな夢なのかしら・・・


 馬上君の口が動こうとした。


 彼が何か言おうとしている。


 だけど、その愛おしい声を聞いたら、


 夢が覚めてしまうような


 そんな気がしたので、


 私はそっと微笑んで、


 それから



 それからね



 唇にそっと指を押し当てたの。



                   完

 

真約・黒のマリア 最終回 『夢の中の君へ』

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