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緋赤エリオ from fanbox
緋赤エリオ

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大病したらちゃんと病院に行きなさい

うちの両親は何かと頓着が足りない時がある。


小学一年生になったばかりの頃、入学して早々にひと月以上も休学した時の話をしよう。






発熱で学校を休んだはいいものの、両親は昔ながらの『食べて寝ておけば治る』精神、あるいは『なんとかなる(なんくるないさー)主義』の人間だった。


今にして思えば、二人とも若かったと言っていいかもしれない。


それだけで片付けるには恐ろしい話にはなるのだが……──


ともかく、発熱により休学を余儀なくされた私は二週間家に閉じ込められた。


熱で食欲もなく、ご飯も思うように食べられていなかったと思う。


寝込んでいた時の記憶は朧げだから、食べていないと断言が出来ないのだけど、そう思える事柄があったのは確かだ。


母は心配する事だけは得意だったから、頭を撫でてくれたり、何か言葉を掛けてくれる事は多々あった。


けれどもそれだけだった。


二週間の発熱により弱り始めていた私に気付いたのは、当時近くに住んでいた母の妹である叔母であった。


たまたま家に遊びに来ていた叔母は私を見て「いつから熱が出てるの?」と至ってシンプルな疑問を母に投げかけた。


母はさして問題もなさそうに「そろそろ二週間くらいかな」と返したそうだが、それを聞いた叔母は「嘘でしょう!?ありえない!!」と声を荒げ、叔母と一緒に暮らしていた叔父を呼び出し、すぐに私を車に運び、緊急外来へと連れて行ってくれた。


叔父の車に乗せられ、後部座席で母の膝枕に身を預け、暗い道をぼんやり見上げていた事はハッキリと覚えている。


どこに向かっているのかもわからないまま、幾つもの信号機が通り過ぎて行くのを眺めていた。


車の中では、叔父と叔母に母が責められているような会話が繰り広げられていたように思う。


叔母の「姉ちゃんほんと、何考えてんの……」と、悲しくてたまらないと言いたげな声が耳に残っている。


子供だから、親は大好きだ。


自分の親をそういう風に責める叔父と叔母のことが、その時はあまり好きじゃなかった。


母からは二人の悪口も幾度となく聞かされていたから、私からすれば二人が悪人だった。


病院に到着した後の記憶はない。


気付けば白いベッドの上で点滴に繋がれ、じっとしていた。


その当時は珍しくも母が仕事をしていたから、日中のほとんど独りきりで過ごしていた。


時々見回りにくる看護師さんからいくつか質問されても、私は言葉を忘れたように首を縦か横に振る事しか出来なかった。


夜になると母が一緒に泊まって隣で寝てくれたが、やはりそれ以外は独りだ。


私は覚えてはいないのだが、その時、見かねた看護師さんが「お母さん、もう少し娘さんの側に居てあげてください。お菓子とか、飲み物とかもあげていいんですよ?ずっと独りで可哀想です」と母に言ったそうだ。


その話は、母が笑い話のように話してくれたから知ってるわけなのだが、今思えば5歳の私が可哀想過ぎる。


看護師さんが何故わざわざ母にそんな小言を言ったのか……。


“私が入院してから一週間以上もの間、一切のお菓子や飲み物の差し入れをせず、自分だけお弁当や飲み物を買って来ていたから”だった。


入院してるゆえに食事が出るし、その時に飲み物も出されるからと、私への差し入れは頭になかったらしい。


看護師さんに言われて初めて気付いたと、その事すら母は笑って私に話していた。


結局二週間強制入院させられ、入院中も満足に食事が出来なかった私は、相当に変貌してしまっていたらしい。


一度だけお見舞いに来てくれた祖母が病室に入るなり、入ってすぐのベッドに座る私を見て「あがい〜(あらまぁ)、しに(とても)ツンダラサガマ(可哀想な子)。だあ(どれ)、私の孫はどこね〜?」と、複数人居る他の子達へ視線をキョロキョロ。


どうやら痩せ細った自分の孫を見て知らない子だと勘違いしたようで、そのことも、母は笑いながら話していた。


それから退院してすぐ、極度の栄養失調により両手両足の爪が前兆もなく全て剥がれ落ちた。


ポロリと鱗が落ちるように指から失われた爪を見て、その時は入院していたからこうなったんだと、漠然と考えていたものだ。


後に栄養失調によるものだと知ってからは、人間は栄養が足りないと爪を失うのだと知った。


ちなみに、入学して間もない頃に友達作りに出遅れた私は、保育園を通っていないため、ますます人との距離感がわからなくなっていた。


その頃からとてつもないコミュ症が顔を覗かせていて、今だに苦い思い出となってあの頃が蘇る。


さらに、ちなみに。あと少し病院へ行くのが遅ければ私は大きな障害が残るか、最悪この世を去っていたらしい。


今生きているからこそ笑って話せるが、うちの親は本当、頓着が無さすぎて怖い。


さらに、さらにちなみな話。


父は入院期間中、一度もお見舞いには来なかった。


本人曰く、病院は苦手、らしい。


………………父さんよ。だとしてもじゃないかい??

Comments

可哀想な団長、両親の影響下で成長するのは本当に大変でしたね。

阿傑大帝

団長が愛情深い人である理由が少しわかった気がします

いしだです

親になるのに何の試験もないってこと、ある意味怖いよね。だってさー、元々責任感のない人がたまたま親になったからって、急にまともになるわけじゃないし。結局は愛が大事なんだよな。団長は…家族からもらってる愛と自分がかけてる苦労、バランス取れてる?

千影

团长异乎寻常的忍耐力原来是这么来的……世间的不幸千百万种,但在现在,希望团长能更爱自己一些,一直支持团长٩(๑•̀ω•́๑)۶

Third4


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