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ムチユキ from fanbox
ムチユキ

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離魂の湯

「お疲れさまっした~~」


 いつものように現場で汗を流した後、会社に戻った長谷川淳(はせがわ あつし)は椅子にもたれながらスマホをチェックしていた。


 土建会社の若い衆の中でも陽気で、同僚みんなから好かれるタイプの淳。子犬みたいな笑顔がトレードマークの彼は、176センチで75キロの二十一歳。引き締まった筋肉を纏い、普段はヘルメットの下に隠れた茶色のソフトモヒカンが印象的だった。就職してからまだ三年ほどだが、現場で鍛えられたおかげで胸板は厚く、腹筋はくっきりと割れ、腕には血管が浮き出ている。ゲイであることをカミングアウトしていない淳は、以前は先輩である岩田力(いわた りき)に密かな想いを寄せていた──はずだった。


 高身長で、鎧のような筋肉の上にうっすらと脂肪をまとった力強い体。淳はそういった逞しい肉体を持った男性がタイプである。

 なのに、好意を抱いていたはずの力は、ずんぐりむっくりとした肥満体型。162センチの低身長に、贅肉があまりにも多すぎる体重90キロのだらしない体。二十八歳には到底見えないほど老けていて、頭髪が薄い上に白髪も多い。おまけに顔もブサイクで、汗をかいたときの体臭すら酷いものだった。


 しかしそんな醜悪な見た目に反して、力には陰気なところは一切なく、それどころか後輩たちの面倒見もいい。仕事の最中もテキパキと指示出しを正確にし、彼の行う作業自体も丁寧で、同僚や取引相手からも評判が良かった。


 今回はたまたま外見ではなく、内面に惚れこんでしまったのだろうか?


 そんな風に不思議に思っていた矢先、淳の次の恋のターゲットは、やはり同じ会社で働く、専務の酒井龍平(さかい りゅうへい)へと向いていた。酒井の見た目は五十四歳とは思えないほど若々しく、183センチの巨躯に107キロの重厚な肉体を誇り、真っ黒に日焼けしていて顔も厳つく、いかにもゲイ受けしそうな雰囲気を醸し出している。


 ただし素材は最上級だというのに、その中身は酷かった。社長の親族だという理由だけで専務というポストに就いている彼は、日頃から性別を問わず部下全員に対してのセクハラが多いは、気まぐれで現場に来たと思えば頓珍漢な指示は出すは、顧客に向かって平気で暴言を吐くはの傍若無人ぶりで、周囲の人間からは総スカンされる有様である。


 力と酒井の肉体が逆だったら良かったのにと、淳は何度も考えながらも、酒井の全裸姿を想像してはオナニーに耽り続けていた。



***


「淳、最近調子悪いって言ってたよな。穴場の良い銭湯知ってるから、一緒に行かねえか? 『離魂の湯』ってとこ。前に専務に連れて行ってもらったんだけど、なんか生まれ変わったみたいな感じになって、気持ち良かった覚えがあるんだ」


 熱はすっかり冷めてしまったものの、仕事の面でも人間的にも尊敬できる先輩からのお誘いだ。淳は二つ返事でOKした。それに銭湯に行けば、ワンチャン自分好みのマッチョ野郎の裸をおがめるかもしれない。


「いいっすよ、先輩! たまにはリフレッシュも大事っすよね!」


 スマホをポケットにしまうと急いで帰り支度を済ませ、二人して力の車に乗り込むと、目的地へと向かった。


 時間にして十五分ほど。街からそれほど離れてはいないが、穴場と言われるだけあって山間にあり、外観は古びていたものの、中に入ってみると意外にも清潔感があった。とはいえ、今どきの大衆向けの銭湯とは違って券売機は置いていないようで、入ってすぐのところにある番台で入浴料を支払うと、座っていた老人が無表情でロッカーキーを渡してきた。


「えっ、これがロッカーキー?!」


 淳は首を傾げた。通常、銭湯で渡されるロッカーキーといえば、鍵付きで手首に付けるタイプのバンド型のものが一般的だ。しかし、手渡されたのはシルバーの金属製リング。しかも直径が5センチあるかないかくらいだ。これでは手首にハメることができるのは、子供か女性くらいではないだろうか。淳が不思議そうにしていると、老人がさらに言葉を紡いだ。


「このコックリングで、ロッカー開くよ。チンポの根元にハメておきな」


「は? コックリング? ちんぽの根元って……、あのチンポに?!」


 自然と視線は自身の股間へと向けられる。ジャージを穿いているため、今のサイズは記憶の中だけで推測するしかないが、確かに手首ではなくチンポの根元になら、このリングもハメられるかもしれない。とは言うものの、そんな銭湯があり得るのだろうか。頭の中が一瞬、不信感でいっぱいになった淳だったが、なぜか老人の言葉がストンと胸の中に落ちてきた。


──何を疑ってんだオレ。こういう銭湯があってもいいだろ……。


 淳は笑顔を取り戻すと、力と談笑しながら男湯へと続く暖簾をくぐっていった。




「おう、力に淳か。奇遇だな、一緒に風呂に入ろうぜ」


 脱衣所に入ると、偶然にも専務の酒井が下着であるビキニパンツを下ろしている最中だった。ボロンとまろび出た極太の肉竿。今まで淳が何度も想像してきた、酒井の雄の象徴。

 それに加えて、体は逆三角形。筋肉が厚く盛り上がり、その上には適度な脂肪。肩幅が広く、胸筋は岩のように硬く張り、腹筋の輪郭がくっきり浮かんでいる。日焼けした腕や脚も、一軒家を支える大黒柱のように力強い。そして、そんな屈強な体の上に張り付いた顔。ホームベースのような骨格に濃い髭、彫りの深い目鼻立ちが絶妙なバランスで配置されており、整っているというよりも雄々しいと形容したほうがしっくり来る。


 そんな酒井の肉体のパーツのど真ん中に堂々と鎮座するイチモツは、あり得ないほどの貫禄を漂わせており、まさに漢のシンボルだった。


「う、うぉ……♥」


 これ以上、酒井の姿を視界に収めていると、勃起してしまう。あたふたと淳が身体を反転させると、今度は力の裸体が目に飛び込んできた。


(うげっ……)


 贅肉で全身を覆われただらしない体。ブヨブヨとした脂肪が胸や腹にもたっぷりとついており、寸胴で短足。おまけに猫背で腰が曲がっている。ヘルメットを被っていない状態だと禿げあがっているのが丸わかりで、残ったわずかな毛もほぼ真っ白だ。顔はブサイクの一言。丸顔に小さい目、低くのっぺりとした鼻に分厚い唇、それに顎があまりにも弛みすぎていて首との境目が分からない。


「ん? どうした、淳。俺の顔になんかついてるか?」


 淳は慌てて首を振ると、大急ぎで服を脱ぎ始めた。尊敬する先輩なのに──。今となっては朧気だが、つい最近までは好きだったはずの力のことを、軽蔑の眼差しで見てしまう自分に嫌悪感が湧いてくる。深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、淳はゆっくりと服を脱いでいった。


 久方ぶりに大鏡でじっくりと見る、自身の全裸姿。仕事終わりはいつも疲労困憊で、湯船にも浸からず適当にシャワーで汗を流す日々が続いていたので、鏡の前でじっくりと自分の全身を確かめることもなかった。酒井ほどではないが、しっかりと鍛え上げられている筋肉。力のことを考えると、176センチの背丈は恵まれているほうだろう。腹筋も六つに割れているし、腕や太ももは筋張り、ふくらはぎも逞しい。股間にぶら下がったペニスも、仮性包茎ではあるもののサイズはそこそこ。


──う〜ん。オレの体も結構、悪くないな……。


「ほら、早く入るぞ」


 酒井に催促された淳は、慌ててコックリングをチンポの根元にハメ、ロッカーの中に脱いだ衣服を放り込んだ。冷たい金属の感触が皮膚に伝わり、竿の根元を軽く締め付ける。リングは股間にぴったりと収まると、鈍く輝いた。




 浴場内には湯けむりがモクモクと漂い、かぐわしいヒノキとほのかな硫黄の香りが鼻腔をくすぐる。中は広々としていて、設備も充実していた。乳白色の大きなミネラル温泉を中心に、様々な種類の浴槽が並んでいる。薄青い光を放つ電気風呂、毒々しさも感じさせる茶色の薬湯、強力なジェットバスなど、どれも魅力的だ。それに加えて、サウナや露天風呂まであるのだからたまらない。


 三人は洗い場へと直行すると、体を洗い始めた。淳の横で、念入りに力が緩んだ体を洗い、背後で酒井がゴシゴシとガチムチの筋肉を豪快に石鹸で泡立てる。鏡を通して、背後にいる酒井の胸筋が泡の下で隆起し、まるでしごいているかのように大きな掌でチンポを綺麗にしているのが淳の目に入った。二人にバレないよう薄目を開けて、酒井の全身を盗み見る。こんな機会は滅多にない。しっかりと目に焼き付けておこう。


「うっし! それじゃ、俺は先に入ってるぞ~」


 いち早く体を洗い終えた酒井が振り返ったため、立派なモノがよりくっきりと鮮明に見えた。萎えた状態だが、それでも大きい。おまけに淫水焼けによって黒ずんでいるのを見るに、セックス経験も豊富なのだろう。そんなイチモツを見せられてしまえば、淳の妄想が一気に爆発してしまう。


──めっちゃエロい……。あんなもんケツ穴にぶっ込まれたら、ぜってー最高に決まってる!


「淳、俺らも行くぞ」


「あ、はい!」


 手早くシャワーで泡を流すと、淳も湯船に浸かるべく立ち上がった。




「くっはぁ~~、極楽極楽ぅ……。魂が抜けちまいそうなくらいキモチイイなぁ~」


 ふわりと硫黄の匂いが香る、ミルキーな湯船にざぶんと肩まで浸かると、熱い湯の温もりが筋肉のコリをほぐすように染み込んできた。全身の疲れがスーッと抜けていくのを感じる。

 淳は両掌ですくった湯でバシャバシャと顔を洗うと、大きく息を吐いて天を仰いだ。脳裏にこびりついて離れない、酒井の極上のカラダ。思い出してしまったらもうダメだ。あっという間に、淳のイチモツが鎌首をもたげてしまう。


 だが、湯が濁っているおかげで、周囲にバレることはない。勃起し放題だ。


「うおぁ〜、気持ちいいなぁ。やっぱ、久しぶりにここに来て正解だったな~」


 隣の力も気持ちよさそうに、鼻歌を歌っている。酒井はどこかと辺りを見回すと、淳の真向かいに座って目を閉じていた。頭の上にタオルを乗せている様を見ると、見た目が若々しくても中身はオッサンなのだなと実感させられる。目を瞑って上気させている酒井の顔を見ているだけでも、淳のチンポは熱くなってきた。


──いい年こいて、なんでそんなに色気たっぷりなんだよ!


 無防備な酒井に抱き着いて、さっき目にした極太のチンポで掘られたい。そんな風に淳が悶々としていると、急に肛門に何かが入り込んでくるような感覚が走った。ぬるぬるとした熱い塊が一瞬で腸壁を押し広げ、無理やり奥へ奥へと侵入してくる。ぞわぞわとした快感が背筋を駆け上がり、全身のありとあらゆる部位が血管を通じて支配されていくような錯覚に、淳は陥った。


「なっ?! なん……、ああ゛っ!! んおああ゛ぁっ……♥♥♥」


 思わず声が漏れてしまうほどの性的快感。得体のしれない何かがケツ穴をこじ開け、淳の体内を内側から蹂躙していっているというのに痛みはなく、むしろ病みつきになるような刺激が次々と送り込まれてくる。最後に、ガツンと脳みそまで乗っ取られたかのような衝撃を受けた瞬間、コックリングが根元を強く締め付け、脈打つ淳の男根が湯の中で硬く反り返った。血管が浮き上がり、先端がぱくぱくと開閉すると、勢いよく大量のザーメンが湯船に噴き出した。


 どぴゅっ、どぴゅっと連続で射精を繰り返し、淳の体が雷に撃たれたかのように激しく痙攣する。快楽の波が全身を襲い、視界が白く霞む中、湯に精液が溶け込む感触が、奇妙に心地よかった。




 白く濁った湯の中で、淳の意識は精液とともにスライム状に溶け出し、ゆらゆらとたゆたっていた。視界はぼんやりと霞みながらも、湯船の中に並ぶ二本の男根だけははっきりと映った。その中でも、一本が圧倒的に目立っていた。二十センチ近くありそうな長大な竿。極太で、血管が浮き出た表面はパンパンに張り詰めている。


(あれが欲しい……。あれをオレのものにしたい……)


 強く願った瞬間、スライム状になった淳の体が矢のように動き出した。湯の中を滑るように進み、対象のケツの谷間へと吸い寄せられる。どっしりと突き出た尻肉の間、窄まった穴を見つけると、淳は迷わずそれを無遠慮に貫いた。

 侵入した瞬間、熱い腸壁が淳を包み込み、彼の意識が全身に広がっていく。


 まずは両脚の太い筋肉──ふくらはぎから太ももを満たし、硬く張り詰めた筋繊維を一本一本支配する。次に胴体。厚く隆起した胸板、それに深い溝がくっきりと浮かび上がった腹筋。両肩や二の腕の筋肉がググッと盛り上がると、前腕の血管がドクンドクンと脈打った。そして、ジャングルのように陰毛が密生した股間。黒々と淫水焼けした極太の男根が、淳の意志でぴくりと反応し、徐々に硬度を増していった。


 最後は頭部へと移動して、脳みそを乗っ取る番だ。淳の意識が筋肉モリモリの身体と完全に同化すると、【酒井龍平】の全神経が淳のモノとなった。


「ぶはっ! はぁ!! ハァ~~……」


 ボチャンという音とともに、頭からずれ落ちたタオルが湯の中にゆっくりと沈んでいった。口を開き、肺いっぱいに酸素を吸い込むと、低い唸り声と甘い吐息が同時に漏れた。まるで、長く水底に沈んでいたところから解放されたような、強烈な解放感。心臓がバクバクと跳ね、引いていた血の気が一気に体の隅々まで広がっていった。


 淳はフラフラと立ち上がると、ヒノキでできたベンチにどっしりと腰を下ろした。


 眼下に広がるのは、見知らぬ──いや、見覚えはあるが、確実に自分のものではない肉体だった。まず両手を広げて、まじまじと見つめる。指一本一本が太く、関節がごつごつと張り出し、掌は一回り、いや二回り以上大きい。握り拳を作れば岩のように硬く、力強さが伝わってくる。視線を胸元へと向けると、分厚い大胸筋が前に張り出していて、腹筋はくっきりと六つに割れている。

 そして、驚くべきは股間だ。湯に濡れて滴を纏った極太の男根が、股座に重々しく垂れ下がっている。つい先ほど目に焼き付けたばかりの、長さも太さも、淳がこれまで見た中で一番の肉棒だ。シルバーのコックリングが根元を締め付け、先端はまだ射精の余韻を残してわずかに開き、透明な液を垂らしている。


 ベンチに体を預けたまま、淳は両手をゆっくりと自分の胸へ這わせた。指先が触れる大胸筋は、むっちりと厚く張り詰め、黒く日焼けした肌は鋼のような硬さと弾力を併せ持っている。親指と人差し指で乳首を摘むと、鋭い快感が電流のように走り、思わず喉の奥から野太い喘ぎが漏れた。


「んあ゛っ……、はぁん……♥♥」


 艶やかで野太い、色気たっぷりのハスキーボイス。それが自分の耳へと跳ね返ってくるたび、股間の極太の男根がビクンと疼き、シルバーのコックリングに締め付けられた根元が熱く脈打つ。鈴口からは、透明な我慢汁が堰を切ったようにトロトロと糸を引き始め、玉袋の上を伝って滴り落ちた。


 少し離れた壁に掛かった鏡には、ボディービルダーさながらの肉体を持った男が、厳つい面構えを赤らめ、口の端から涎を垂らしながら、両手で自分の胸筋を乱暴に揉みしだく姿が映っている。褐色のゴツい体、太い首、男らしい顔──どれもこれもが淳が憧れ続けた、あの酒井の姿そのものだ。目の前の【酒井龍平】は、鏡に映った自分自身を舐めるように見つめながら、股間で反り返った凶暴なチンポを震わせている。


(これは夢か……? それとも本当にオレが、酒井専務の身体に……)


 今のこの状況が、現実ではないのではないかと頭をひねっていた淳の隣で、ドスンという重い音がした。木製のベンチが大きく軋み、ムワッとした熱気が、淳の右肩に当たる。視線を横にやると、そこにいたのは見覚えはまったくないが、淳の【知っている男】だった。腕から肩、胸にかけて、鮮やかな刺青がびっしりと刻まれている。角刈りの頭に、顎には刃物で斬られたような生々しい傷跡。筋肉は酒井のものよりさらにゴツく、タコのできた拳からはあからさまに暴力の匂いが漂っていた。反社会的な威圧感が、彼の全身からプンプンと立ち上っている。男がニヤリと笑うのを見て、淳は自然と口元を緩めた。


「力先輩……。すごい身体になっちゃいましたね」


 淳の隣に座ったのは、紛れもなく【岩田力】の精神が入った肉体だった。どこからどう見ても、ヤクザらしき風貌の男にしか見えない。だが、直感的に淳も力も、お互いの立場が理解できた。力は鼻で笑い、太い腕を淳の肩に回してきた。


「この俺の精神が、ヤクザの肉体に入っちまうなんてなぁ……最悪だが……」


 言いながら力は、自分の刺青だらけの胸を、ムニムニと艶めかしい手つきで揉みしだいた。


「最高の気分だぜ♥」


 そして、視線をガチムチの身体になった淳の方へと向ける。


「って言うか、今のお前の身体……元の俺の身体じゃねえかよ!!」


 力の目が、驚いたように見開かれた。


「その身体! こないだ酒井専務にここへ連れてこられた時に、盗まれちまったんだよなあ……。あのオッサン、俺の筋肉に目ぇつけてわざとここに連れ込んで、入れ替えやがったんだ」


 今自分が操っている肉体が、元々は力のものだったことを知って、淳は複雑な心境になった。嬉しい反面、尊敬する先輩の身体を乗っ取ってしまったことに申し訳なさを覚える。そんな淳の表情で察したのか、力が笑顔を見せた。


「なんだよ淳、俺の身体になったこと気にしてんのか? 悪いのはこんなところにお前を連れてきた俺だし、諸悪の根源はあのクソホモデブ専務なんだからよ、お前が罪悪感抱く必要はねえって。それにな……、可愛い後輩のお前が俺の身体を使ってくれんなら、俺も嬉しいぜ♥」


 硬く反り返った力のイチモツが淳のモノと擦れ合い、二人の唇が重なった。唾液が混ざり合う濃厚なディープキス。舌を絡ませ合うたび、股間の肉棒がびくびくと反応し、混ざり合った先走りが地面に落ちて小さな音を立てる。唇が離れると、二人の顔はどちらも蕩け切っていた。

 淳の頭の中はパニックを起こしていた。力はノンケだったはずだ。男ばかりの同僚たちとの会話でも、風俗の女の話や、AV女優の話をしているのを耳にすることが多かった。なのに、なぜこうも簡単に、男同士での口づけを交わしたのか。


 しかしその疑問は、一瞬で霧散した。周囲では肉体が別人のものになってしまった男たちが、入れ替わった影響で興奮し、欲情してセックスにおよんでいたのだ。浴場内は、異常な熱気に包まれていた。湯船の縁に腰掛けた男たちが、隣の男の肩を乱暴に掴み、強引に引き寄せて舌を絡める。露天風呂では、複数の巨漢が体育大生らしき若い男たちの尻の谷間に、チンポを突っ込んで激しく盛っている。

 喘ぎ声と肉がぶつかる湿った音が、湯気の立ち込める空間に響き渡る。誰もが肉体の入れ替わりによっておかしくなり、理性のタガが外れたように互いの体を貪っていた。新しい肉体を手に入れた喜びと、自分の肉体を他人に奪われた喪失感が、ただひたすらに猛烈な性欲へと変換されているらしい。


 淳の極太の男根はすでに硬く反り返り、先端から透明な汁を垂らしている。力の股間も凶暴なくらいに勃起し、血管が浮き出た竿がびくびくと脈打っていた。二人は無言で近づき、淳が力の刺青の入った胸筋に手を伸ばしかけたその時──。


「りき……、あつしぃ……♥」


 セクシーだが、どこか粘つくような、不快な声が割り込んできた。




 振り返ると、そこに立っていたのは紛れもなく、【長谷川淳】の元の肉体だった。引き締まった胸板、くっきりと刻まれた腹筋、子犬のような顔立ち。しかしその表情は、いつもの陽気な淳とはまるで別人。薄い唇をへの字に曲げ、上目遣いで申し訳なさそうにしている彼のその内に入っているのは、明らかに酒井龍平の精神だった。酒井は、淳の肉体を動かし、ゆっくりと近づいてきた。シルバーのコックリングが根元を締め付ける男根はすでに半勃起し、先端を濡らして、露を垂らしている。


「うへへ……。お前らの肉体を勝手に俺のモノにして、本当に悪かったと思ってる……」


 慚愧に堪えないといった様子を垣間見せた酒井だったが、自分の──いや、【長谷川淳】の張りのある胸板をじわじわと撫で下ろすと、乳首をコリコリと弄った。若さ溢れる肉体が、唐突な行為にビクリと反応し、喉から甘い吐息が漏れる。


「うはぁ゛っ♥ ……お前らのプリップリのマッチョボディーは、ほんっと~~に最高だ♥♥ デブでチビだった俺が、こんな恵まれた肉体をたっぷりと堪能できること、心の底から感謝だなぁっ♥♥」


 その瞬間、淳の中で怒りが爆発した。


(この野郎……、オレの体を無理やり乗っ取っておいて……!!)


 淳は一歩踏み込み、酒井──かつての自身の肉体の肩を鷲掴みにした。筋肉隆々の腕で力を込めると、簡単に押し倒せた。酒井は抵抗もせず、濡れた地面に仰向けに倒れ、脚を広げた。


「はぁ……はぁ……。そうだ、いいぞぉ! そのまま来てくれ……♥」


 気が付くと、淳は怒りと興奮に任せ、極太の男根を酒井のケツの谷間に押し当てていた。目の前にいるのは、さっきまでの自分の姿をした男。決してナルシストではない淳だったが、なぜか怒りの感情がすべて性欲へと塗り替えられ、抑えきれなかった。ヌルリと先端が肛門に触れ、わずかに抵抗を感じた後──、淳の腰が一気に前へと動いた。


「んあ゛ぁっ!! 【リキ】せんぱ~~いっ♥♥」


 酒井の口から、甲高い喘ぎ声が上がる。しかも、【長谷川淳】に成り切ってだ!


 淳は腰を激しく振り、奥深くまで抉るようにピストンを繰り返した。腸壁に熱く締め付けられるたび、怒りの感情がますます性的快感へと置き替えられていく。【岩田力】の体がビクビクと痙攣し、腹筋が収縮するたびに胸筋が波打つ。二人の性行為を目にしながらも、性欲に打ち勝とうと耐えていた力も、とうとう我慢しきれずに立ち上がった。


「酒井専務! あんたが……、俺の身体を盗んだ張本人なんだよなぁ!!」


 酒井の頭部を掴み、ピアス付きの凶暴なチンポを、口に無理やり押し込む。


「んぶおぅっ……!」


 涙目になりながらも、酒井は舌を絡めて口内へと入ってきた異物をしゃぶりつくした。淳がさらに腰を打ち付け、力は酒井の口内をめちゃくちゃに犯しまくる。勇猛な雄二人が酒井を挟み、二本の男根が酒井の上と下の口を交互に襲い続ける。酒井は悦びに震え、白目を剥きながら、完全に雄マラの虜となっていた。



 酒井は濡れた地面の上で四つん這いになり、息を荒げていた。淳の極太の男根が、容赦なく彼の肛門を抉ってくる。


「んあぁっ……! は、はぁ゛っ……♥♥」


 若い【長谷川淳】による喘ぎは、普段の会話で紡がれるような陽気な響きとはまるで違い、喉の奥から絞り出されたかのように甘く蕩けている。腸壁を太い亀頭が押し広げ、灼熱の竿が根元までずぶずぶと沈み込むたび、若々しい青年の体はビクリと跳ね、チンポの先からは幾度もドロッとした液体が飛び出していた。


(ああ……、これだ……。これを待っていたんだよぉ……♥)


 激しい悦びに、酒井の全身がぶるりと震えた。


 酒井龍平という男は、自分という存在を心の底から嫌っていた。鏡を見るたびに、贅肉で弛んだ腹、薄くなった頭髪、皺だらけの肌が目に入る。自己嫌悪に苛まれる日々だった彼は、若い頃から『強い男』に憧れていた。同じ職場で働く部下たち。特に【岩田力】のような、元柔道部員のガチムチ体型に、魅力を感じていた。力がヘルメットを脱いで汗を拭う姿、匂いのこもった作業着の下でうごめく分厚い筋肉、男らしく厳めしい顔。バイセクシャルの酒井はそれをたびたび盗み見ては、夜な夜なその姿を思い浮かべながら自慰に耽った。


 そして、【長谷川淳】もまた良い。陽気で子犬のような笑顔に、ほどよく肉が付いて引き締まった胸筋。くっきりと浮かぶ腹筋、張りのある太もも。五十代に足を踏み入れた酒井にとって、親子ほど年の離れた淳は、若いというだけで羨望の的となっていた。


 そんな折、『離魂の湯』の噂を耳にし、酒井は歓喜した。自分好みの肉体を、自由に乗っ取れる。酒井が最初に狙ったのは、やはり前々から焦がれていた【岩田力】だった。

 先輩風を吹かせて力を強引に銭湯へと誘い、彼と入れ替わりを果たした瞬間、酒井は他人の肉体を奪ったという初めての体験による混乱と興奮で、あり得ないほど激しく勃起した。鏡に映るのは、ガチムチの肉体を持った自分。これまで酒井が心の奥に溜め込んでいた劣等感、嫉妬心、欲望が、一気に溢れ出る。ズル剥けの【岩田力】の肉棒が、好きに使ってくれと言わんばかりに、酒井の眼前でギンギンに漲っていた。


 力の肉体を手に入れた酒井はその後、幾度もハッテン場に通ってはノンケの【岩田力】のガチムチボディーを使い、チビでデブだとこれまで酒井のことを馬鹿にしてきたホモたちの汚いケツの穴を、巨根で壊れるくらいまで凌辱しまくって、これまでの鬱憤を晴らした。


 すっかり、自分以外の肉体で行うセックスの虜になってしまった酒井。もっともっと【入れ替わり】を体験し、別の肉体を使って性欲を発散したい──。

 そう思っていた矢先、幸運にも酒井は淳とこの銭湯で出会うことができた。今日という日が、酒井にとって待ち遠しかった。【長谷川淳】のうら若い肉体を乗っ取り、荒々しい【岩田力】とはまた違うセックスに明け暮れてやろう。


「んあ゛ぁっ♥ 【リキ】先輩ッ♥♥ 先輩のおチンポで、もっとオレのケツマンコを犯してくださいぃぃっ!!!」


 予定通り、淳の肉体が酒井の手中に収まった。淳の身体で、【長谷川淳】に成り切って【岩田力】の名を呼ぶたび、酒井の脳髄を沸騰するような陶酔感が襲う。


(淳も男が好きで、俺と同じで力のことが好きだったなんて──、魂と肉体の相性抜群じゃねえか!! 【オレ】のケツマンコ、力先輩のデカマラでもっと突かれたい♥)


 酒井の思考と、淳の肉体が完璧に融合する。愛する先輩にケツ穴を突かれ、瞳を潤ませる後輩を目の当たりにした淳もまた、自分が【岩田力】になってしまったかのような錯覚に陥って、酒井を責め立てていた。


「おい、【淳】! お前のケツがこんなに卑猥だったとはなぁ!? もっとケツ掘ってほしいんだろ!! このケツマンコに、【俺】のチンポの味を教え込んでやるよ♥♥」


 ガチムチの体が躍動し、分厚い尻が波打つ。力強いピストンが続き、酒井の肛門がぐちゃぐちゃに掻き回され、悦びに満ちた喘ぎが響く。


「んお゛ぉぉっ♥♥ ああ゛っ……先輩のチンポ、最高すぎますぅっ!! オレ、【力】先輩のオナホになるぅぅっ♥♥」


 淳の体が痙攣し、絶頂へと駆け上がっていく。酒井もまた、【長谷川淳】の身体で快感を覚えながら、精悍な顔に恍惚とした表情を浮かべた。



***


「ぬおぉぉっ! 若い身体サイコーだぁ♥♥ 出しても出しても、キンタマん中の精子が減りやしねえ!」


「男のケツの穴なんか汚いだけだと思ってたが、なかなかどうして……。嫁のガバマンに比べたら、キツキツで最高だぜ♥♥♥」


 湯けむり漂う『離魂の湯』の浴場内では、若々しい益荒男たちが興奮した様子で顔を紅潮させ、白髪交じりのガチデブ中年たちの肛門や口に、次々と男根を突っ込んでは精を放ち続けていた。好色そうな親父が鼻の穴を大きく開きながら目を白黒させ、荒っぽい青年に上と下の口を激しく犯されながらも白濁液を取り込む様は、まるで人間オナホそのものだった。


 『離魂の湯』で淳が肉体の入れ替わりなどという不思議な現象を体験してから、二週間が過ぎていた。職場では、誰一人として、彼ら三人に起きた異変に気づいていない。


 淳は【岩田力】の姿で彼に成り切ってナルシストオナニーを繰り返し、力はヤクザの肉体で乱暴に女性たちを抱きまくり、酒井は【長谷川淳】の身体で屈強な野郎どもに犯されたおした。しかし魂が肉体へと馴染んでくると、次第に虚無感を覚えるようになっていた。どうしても満たされない。


 本当の絶頂は、あの『離魂の湯』で他人と肉体を交換した直後の、熱に浮かされたような、魂が震えるような交わりだけだった。


「お前たち、今日あたりどうだ?」


 休憩室で、酒井が唇を舐めながら囁いた。若々しく精悍な顔が、欲望でだらしなく緩む。淳と力は罪悪感に苛まれながらも、即座に頷いていた。もう、抗えやしない。【入れ替わり】というインモラルな事象に、二人はすっかり魅了されてしまっていた。


 脱衣所でシルバーのコックリングを根元にハメた瞬間、三人の男根が疼いた。『離魂の湯』では常連用のコックリングが販売されており、それを購入しておけば、他人と肉体が入れ替わった後も本来の自分の肉体を覚えていられる。

 淳は、今の肉体を手放したくなかったので湯船には浸らず、ベンチに腰掛け、事が起きるのを静かに待った。力と酒井は、主湯の湯船にゆっくりと身を沈めた。熱い湯が筋肉を包み、湯気が立ち込める中で、二人は目当ての男たちを見定める。


 折よく、浴場の扉が開き、マッチョな若者たちがドヤドヤと複数入ってきた。五人、六人……、最終的には周辺が汗臭い匂いで覆われるほどの人数で、浴場内が満たされた。筋肉は隆々、水をはじく艶やかな皮膚を持ち、胸筋は厚く盛り上がっていて、腕や脚も太く筋が浮き出ている。いずれも精悍で活力に満ち、男らしいフェロモンをプンプンと放っていた。全身がパンダのようにツートンカラーになっているところを見るに、おそらく彼らは、近所の有名大学のラグビー部員たちだろう。自分たちの肉体に自信を持っているようで、他の客に見せつけるかのように、惜しげもなくその美しく鍛えられた身体をさらしている。


 ラガーマンたちは体を洗い終えると、一人また一人と湯船の中へ入っていった。他の客たちに迷惑をかけないよう配慮して、芋の子を洗うような状態になって湯に浸かる。その一団の対面には、彼らに負けないくらい真っ黒に日焼けした中年土方たちが陣取り、ニヤニヤと若い男たちの裸体を眺めていた。


 土方たちの正体は皆、淳の同僚だ。彼らにはすでに酒井が説明をしているので、他人の肉体を好きに乗っ取れることは周知済みである。あっという間に射精を終え、好みのラガーマンたちのガチムチボディーを奪い取った親父どもは、入れ替わった相手とのセックスを存分に楽しみ始めた。


(これからは同僚全員の見た目が、オレの好みになるわけか……。毎日が楽しみだぜ♥)


 淳は興奮と期待で胸を高鳴らせながら、さっきまで力が操っていたヤクザ風の姿をした男と舌を絡めた。


(了)



以下、差分イラストです







離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯 離魂の湯

Comments

Leoさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします! 土方親父たちは若くなって毎日バリバリ仕事をこなして、夜は性欲満タンでセックスしまくりで最高! 逆に、大学生ラガーマンたちはオッサンの身体になって、練習中にぎっくり腰になったりしてるんだろうなとか考えたら可哀そうになります(笑) 身体を乗っ取るのは、早い者勝ち。身体から追い出されたあとに、誰の身体にも向かわない人は優先的に自分の肉体を乗っ取った相手の身体の中へ。その相手の身体の中に他の誰かが先に入っていたら、残った人の身体の中に強制的に入れられます。なので、男に興味のないノンケの人ほど行動が遅くなり、誰も入りたがらない残り物の残念な身体になってしまう確率が高くなるという感じです。

ムチユキ

あけましておめでとう&更新お疲れ様です! ムチユキさん今年もよろしくお願いします! 温泉いいね! 自由に気に入った体を選んで変えることも素晴らしい! 作業場で若々しいラグビー選手の体で働いてる中年土方たちの場面を想像したら、興奮になります! そういえば、一つの体に複数の人が欲しい時、先手取った人の物になるのかな?それと、もし体から追い出されたまで気に入った体が見つからなかったら、勝手に誰かさんの体に入らせてたんかな?

黒竜Leo


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