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「陸に打ち上げられて その4」

にこい様が上げてらっしゃる【要介護鎮守府5】が公開されたので、こちらでも上げさせていただきます。

順番は前後してしまうのですが、内容としては【要介護鎮守府2】の絵を元に書かせていただいたものになります。

改めましてにこい様、その3のイラスト化ありがとうございました!


── ── ── ──



「それじゃあ、今日はよろしくね?」

「任せておいて。妙高姉さんの手伝いならいつもしてるから」


現役工作艦であり、またこの本人としてもやりたくない作業をやっているのは艦娘の明石。

今回彼女が向かうのは妙高型一番艦である妙高の部屋。

と言っても彼女達が住む自宅ではなく、今回は【艦娘用介護施設】の一室である彼女の部屋に向かうのだ。

ここは以前に明石が要介護艦娘認定された艦娘達が介護を受けたりリハビリを行うための施設であり、基本的には本人の意思のもと入居する事になっている場所だ。

勿論あまりにも肥満化が酷く一般家庭で生活できない艦娘達は強制入居させられることもあり、最近制定された【要介護艦娘認定の陸】に認定された艦娘は基本ここに入ることになっている。

【大淀】・【大和】・【加賀】・【摩耶】等数名の艦娘がこの【陸】に認定されて今ここに入居しており、明石は時折彼女達の様子を見ては太らないようにしようと心に固く誓うのである。

そんな施設であるここには要介護艦娘認定された艦娘以外にも彼女達を補助する為に認定を受けていない退役艦娘達が何人か住み込みで働いている。

今明石の目の前に居る初風もその一人だ。

昔に比べて筋肉量は多少落ちたものの未だにすらっとした体型のままであり、艦娘としてきちんと出撃も出来る状態を維持している。

まぁその体型維持はおそらくここで働いているからだろうが・・・

そんな初風を引き連れて妙高の部屋へと向かった明石は、扉をノックして中に声をかける。


「どうぞ、お入りください」


その声に明石が扉を開け、中へと入る。

広々とした個室に入った途端に目に飛び込んでくる肌色・・・というよりは妙高の腹。

ベッドの上に腰掛けている妙高だが、その体はまるでアンコ型の相撲取りを思わせるほど肉厚だった。

部屋着・・・というにはあまりにもラフで、あまりにも大きなキャミソールを着ている妙高だが、動くとめくれ上がってしまうのかそれとも暑いからか・・・腹の辺りが丸見えである。

でっぷりと前に飛び出た腹は座っていることも有ってか太ももを覆い隠すほど飛び出ており、へその辺りで二段に折り重なっている。

そんな太ももも見える範囲でも十分すぎる太さがわかり、どうやっても艤装なんてつけられないのがよく分かるだろう。

腕は二の腕が太くなりすぎて肘にも溢れた贅肉が乗っかり、関節部分が見えなくなりつつある。

胸は飛び出た腹でやや小さく見えるが、実際は片方でも頭ぐらいのサイズがあり、とても小さいとは呼べない代物である。

顔は完全に真ん丸で、立派な二重顎が浮かぶ顎と首の肉とが繋がりほぼ寸胴じみた状態である。


「今日は以前告知したように測定させてもらいますね?」

「妙高姉さん、お着替え手伝います」


とは言えそんな艦娘をもう何人も見てきた明石は特段驚く事もなく妙高に今日することを伝える。

横に居た初風が妙高の元へ駆け寄り、手にした巨大なスポブラとスパッツ、それと靴下を用意する。

施設内は基本スリッパで移動することが多いが、こういう測定する時は安全のためにゴム底の付いた病院などで言うところの【院内履き】を使うので蒸れたり靴擦れ防止に靴下が必要なのだ。

明石が部屋の隅で測定の準備をする間に妙高が初風の力を借りて着替えていく。

妙高の汗でどこか湿っぽいキャミソールを脱がせ、自身の頭ほどもある巨大な胸にスポブラを被せていく初風。

太い足をスパッツの穴に通し、垂れた腹を持ち上げつつ時折妙高自身に体を動かしてもらいながら腰のあたりまで持ち上げる。

そこまでしてから初風は近くに置いてある椅子に腰掛け、妙高の足を持ち上げる。

太く重く、ふくらはぎですら自分の太ももどころか腰よりも太い妙高の足の先に靴下をつけ、太すぎる足首に上げていく。

現在の妙高は一人で靴下を履けないため、どこかに出かけたりする時はこうして初風に色々と手伝ってもらう事が多く初風も慣れたものである。


「ふぅ、ふぅ・・・いつもごめんなさいね?この重い体に付き合わせちゃって」

「いいんですよ♪妙高姉さんにはお世話になりましたから。次は私の番です」


もう片方の足に靴下をつけてくれる初風に妙高がそんな言葉をかける。

この少ない運動ですら汗が出ており、息も乱れてきている妙高に初風はなんでも無いと笑って答えて続きを行っていく。


「今度美味しいお菓子の作り方教えてあげるからね」

「期待してます」


そんなやり取りを聞きつつ、設置が完了した明石は『そのお菓子でこれ以上太ったり、初風も太ったりしないと良いけどなぁ・・・』等と考えるのだった。



「10m18.95秒・・・補足事項:杖ありっと。

 うーん・・・やっぱりこの状態だと参のままですね」

「体重は一応下回ってますが・・・」

「そのお腹周りで艤装がつけられるなら良いですけど、つけられます?」

「・・・ごめんなさい」


ドッタンバッタン大騒ぎしながらの測定を終え、明石がそう告げると妙高は不服そうにする。

元々戦うという使命を持つ艦娘にとって作戦に参加できるかどうかのラインである【要介護艦娘認定の弐】と【参】では大きな差があるのだ。

とはいえ日常生活で自分で着替えすら出来ず、艤装がどうやってもつけられない体をしている妙高が【弐】となるのは無理な話である。

明石の言葉にシュンッとした妙高に、明石がフォローついでに話をする。


「とはいえ妙高さんが妙高型の皆さんの中では一番マシなんですよね・・・羽黒さんは肆、那智さんは伍・・・そして足柄さんは陸ですからね」


どちらかと言えば戦いが苦手──あるいは早く終わって欲しいと願っていた──羽黒は退役が許可されるとすぐに退役し、そこからはゆったりとしすぎていたため気づけば【肆】に。

那智はしばらく続けていたが他の妙高型三人が退役したらそれに合わせて退役、同時に緊張の糸が切れたのかそれまでの分を味わうかのように食っちゃ寝食っちゃ寝を繰り返して【伍】に認定。

そして足柄は戦時中は飢えた狼などと言っていたのが嘘のように燃え尽き、見かねた妙高の「趣味でも持ったらどうかしら?」という言葉に触れて何故か料理・・・それもとんかつを極めようとし始める。

結果大量にとんかつを作ってはそれを食べる生活がはじまり、見る見る内にブクブクと太っていったのである。

・・・なお、そのとんかつが他の妙高型を太らせる原因の一端でもあったりする。

現在彼女はこの施設で介護を受けなければ殆ど自力で動けないレベルであり、折角磨いた料理の腕もかたなしである。


「それにこのまま痩せられればいずれは弐になれますから!頑張ってください!」

「私もお手伝いしますから」

「・・・そうですね、頑張ります!」


明石と初風の二人に励まされ、妙高はグッと手に力を入れて答える。

その拍子に体が大きく揺れ、暴れ回った腹の贅肉が大きく波を起こしているのを、二人はあえてスルーして部屋を後にするのだった。



「・・・あれ?」

「なんか騒がしい?」


妙高の測定を終え、一度機材を片付けに行こうかと廊下を歩いていた二人のセンサーに妙な物音が届く。

少し強めの口調と、時折起きるドスン、ドスンという音。

はて?と思った二人が物音のする部屋へとつくと、ノックもせずにガラリと扉を開けた。


「どうかしました?」

「あ、明石に初風。丁度良かった!」


部屋に入った明石と初風を見て安心した顔をするのは白露型2番艦の時雨であり、彼女は初風と同じ補助役の艦娘だ。

そんな時雨の横にあるベッドに居るのは扶桑型2番艦の山城だが・・・彼女は【要介護艦娘認定の伍】という特大サイズに成長している艦娘だ。

先程会った妙高ですら痩せて見える体格であり、横幅は妙高の倍近くあるまさに肉塊である。

ベッドの上に横たわり、その分肉が垂れて横に流れ、もう少し太ったらベッドからその肉がはみ出すのは容易に想像がつくだろう。

妙高同様に着替えが楽なキャミソールを着ているものの最大サイズのそれですら今の山城の体を覆うには足りず、巨大な腹の大半は丸見えになっている。

そんな腹は足首の辺りまで届くほどに垂れており、へその穴はおそらく山城本人からは見えない程遠くにあるだろう。

足は膝と尻との境目が肉で覆われてわからないほどであり、腕も先程の妙高よりもずっと太いためついに二の腕が振り袖のようになっている。

片方で赤ん坊一人分はありそうな胸はだらしなく横に垂れており、谷間が完全に開けた状態となっている。

首はすでに顎肉で埋まり、口元まで圧迫するように盛り上がった頬の肉が山城の呼吸に合わせてぷくぷくと膨れたりしている。


「山城が扶桑のところに行きたいってだだをコネてるんだ」

「良いでしょ・・・ハァァ・・・フゥゥゥ・・・!!姉様に会いたいだけよ・・・!!」


何かに付けて姉と一緒に居たがる山城だが、二人してここに入れられてからは互いに個室なこともあってか顔を合わせる機会が少なくなった。

そのためこうして扶桑のところに行きたいとよく言うのだが・・・


「ちょっと・・・ふぅぅ、ふぅぅ・・・隣の、部屋に行くだけ・・・じゃない!!

 リハビリ、がてら・・・姉様のところに行くんだから時雨手伝いなさいッ・・・!」


息を切らし、腹の厚みと自分の重さで全然上がらない上半身を無理やりあげようとする山城に、時雨がベッドに付いた柵によりかかりながら話す。


「確かに隣だけど・・・そんな状態で行けるの?」

「隣に行くぐらい・・・一人でも歩けるわ・・・!」

「でもなぁ・・・行けたとしても扶桑だって山城の3倍はあるし、部屋に入れるかな・・・」


そう、実は山城は起き上がったりするのは難しいが一応一人で歩行することは出来る。

その際汗が滝のように流れるし、体を大きく左右に動かす関係で他人とすれ違うのが難しいなどの難点はあるが・・・一応は可能であるし、10mのタイムも【要介護艦娘認定の肆】の範囲内のタイムだ。

だが体重が300kgを越しており、実際の認定は伍となっているのである。

そんな山城が扶桑になかなか会えない理由。

それは扶桑の方にも問題がある。

なにせ彼女は1t近い体重を誇る、この施設でも最も重い【要介護艦娘認定の陸】の艦娘だからである。

彼女達に割り振られた部屋はかなりの広さを誇るのだが、そんな部屋でもほぼ扶桑一人で埋まっているという時点で察するべきだろう。

戦後退役した二人だが、山城の甘やかしが扶桑をどんどん肥らせ、気づけば彼女は自力で歩くどころか1mmだって腹の肉を浮かすことすらできなくなっていた。

今も部屋いっぱいにその肉を広げており、彼女の世話は艦娘4人以上で行うこととなっている程である。

そんな部屋に今の山城が行っても入れるわけがなく、こうして二人はあまり顔を合わせることができなくなったのだ。


「良いから・・・手伝いなさい!!」

「あー待った待った!!そんな状態じゃ会うに会えませんって!!」


このままでは山城が暴れそうだと感じた明石が声をかける。

ただでさえ300kg以上ある物体が艦娘の力でドタバタ暴れればベッドや周りの設備にどれぐらいの被害が出ることか・・・

そう感じた明石は一つコホンと咳払いをし、山城に提案を持ちかける。


「わかりました!直接ではないにしろ会えるようにしますから!!」

「どうやって?」

「ビデオ通話が出来るようにモニターとマイクとスピーカーを2つの部屋に設置します。これならお互いに行き来しなくても会えますから!!

 その分今まで以上にリハビリを頑張ってもらいますからね?」

「・・・わかったわよ。けど早めにしてよね?」

「わかってますって!時雨、初風もちょっと手伝ってくれる?」

「了解」

「ん、了解」


仕方ないと言わんばかりの山城を背にしつつ、部屋を出る三人。


「ああ・・・また残業になりそう・・・ああ、いっそ私も本当に退役してここのお世話になろうかなぁ・・・!!」


この事が広まれば自分の部屋にも姉妹と会話できる設備をつけろと他の艦娘達に言われるのは目に見えている。

とは言えそれでリハビリをする気になれば御の字ではあるが・・・その作業が誰に集中するかは自明の理である。

明石は設備の発注や、それをどうつけるかなどの計算等々・・・これから自分がやらなければ行けない作業の量を考えて落ち込むのだった。



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