オーバーオーバー
Added 2021-11-28 15:27:37 +0000 UTCこちらもskeb様にてご依頼頂きました、「及川雫が地球を押しつぶすまで肥満化する」です。
ご依頼ありがとうございました。
── ── ── ──
『気分はどうだ?』
「んー・・・特に問題ないですねー」
ぐいぐいと体を動かしながら、及川雫がそう答える。
彼女自身の目には辺り一面真っ白い空間が広がっているが、実際に彼女がいる場所は全く違う。
彼女の周りをビニール袋のような物が覆っており、その中に一人ポツンと立っている。
雫自身の格好もおかしな格好で、ラバースーツの様な全身を覆うスーツとHMDをつける姿はさながら近未来のSF映画にでも出てきそうな格好だ。
雫のアイドルとしては超弩級の胸もくっきりと浮かび上がり、その様子がどこかエロティックなのだが雫自身は余り気にした様子はないようだ。
『うんうん、いい調子だな』
そんな雫を見ながら一人納得した様子で頷くのは彼女の担当プロデューサーで、雫の居る部屋から壁を一枚隔てた部屋でモニター越しに見ているのだ。
「これで色々体験出来るんですよねー?」
『晶葉が言うにはな。様々なシチュエーションでライブの練習が出来るって言ってたぞ』
そう、今雫達はやっているのはライブの練習・・・それもバーチャル空間での練習なのだ。
というのも、この池袋晶葉が作った装置(まだ名前はない)は様々な条件を設定するとその条件の通りにHMDを通してアイドルの視界に様々な情景を映し出すことが出来るのだ。
更に周りのビニールに空気を入れたりそれを引っ張ったりすることで擬似的に『まとわりつく感覚』というのを再現出来る。
これによりバラエティ番組でよくある『柔らかい壁に体当たりする』や、『不安定な足場での運動』などのシチュエーションにも対応しているのだ。
『とりあえず試しに映像を出すぞ?』
「わかりましたー!」
プロデューサーがそう言って機材をいじり始めると、雫の視界も変化し始める。
軽いノイズが走ったかと思えば、次の瞬間には雫の目の前には特大のステージが映し出されていた。
誰もが憧れるあの大舞台が目の前に広がり、更に辺りの町並みも太陽さえも再現された世界に雫は思わず感嘆の声を上げる。
「うわぁー!」
『どうした!?何か有ったか!?』
「あ、いえ!本物みたいでスゴイなーって・・・」
『そ、そうか・・・その辺は色々晶葉も頑張って演算してくれてるらしいからかなり本物に近いと豪語してたぞ』
プロデューサーの言葉に雫はなるほどと納得する。
確かにコレならばそう言うだけの出来だと言えるだろう。
『さて・・・それじゃあそろそろ練習を始めようか』
「はいー!」
返事をし、早速ダンスの練習をする雫。
予め振り付けデータを入れた3Dモデルが雫の横に並び、振り付けや立ち位置を確認しながら色々と動きを見る。
因みに本当の雫は勿論あのラバースーツ状のものを着ているのだが、雫の視界ではライブで着る衣装を着ているように見える。
更に擬似的な感覚をラバースーツが伝えているのか、フリルや袖が揺れて体が多少引っ張られるような感覚までも再現されているのだ。
『どうだ?感覚は掴めそうか?』
「はい。でも・・・」
『ん?』
「あ、いえ・・・横の子達は動きやすそうだなーって」
雫はちらりと3Dモデルの方を見ながらそういう。
元になったのは渋谷凛と島村卯月なのだが、どちらも雫程豊満な体をしているとは言い難い。
自分の胸が嫌いなわけじゃないが、それでもやっぱりダンスのしやすさは違うだろうなーと感じる雫。
『そうだな・・・減らすことは出来ないが、体型を増やすことは出来るぞ?』
そんな雫にプロデューサーがそう伝え、機材をいじり始める。
すると雫の横に立っていた2体のモデルが徐々に膨らみ・・・いや太るように変化していく。
「うわぁ!?なんですかこれー?」
『何でもデータ採取用に作った機能らしいな。体を大きくしたりして建物の荷重シミュレーションをしたとかどうとか・・・
こうすることで万が一の事故防止に繋がる・・・とかなんとか』
「へー・・・」
晶葉によるシミュレーション。
これはつまるところ建物の耐久テストなどにも応用できるということなのだが・・・どうにも二人にはピンと来てないようだ。
横でぽっちゃり体型になった状態で踊る3Dモデルを見て、ふと雫が呟く。
「これ、私にも適応出来るのかな?」
『ん?なんだやってみたいのか?』
「ほんの少し・・・」
太った体とはどうなるのか。
既に十分な荷物を持っている雫ではあるが、ちょっとした知的好奇心が盛り上がりそんな事をつい言ってしまう。
プロデューサーは少し考えた後、なら試してみるか?と雫に問いかける。
雫はせっかくだからとそれをお願いし、それを聞いたプロデューサーが早速機材を弄る。
するとどんどん雫の体が重くなる感覚が彼女に加わっていく。
更に、彼女の視界では元々見えていた巨乳、そしてその下の腹が徐々にせり上がって溢れていく様子がリアルタイムで反映されていくのだ。
「う、うわわ・・・」
スーツに搭載された重力を反映させる機能、そして周りのビニールにい空気が送り込まれ雫を囲むように形作っていく。
それはまるで雫を空気の脂肪が覆い隠すようにもプロデューサーには見えた。
「これ面白いですねー!普段と感覚が全然違いますー!」
そう言いながら腕を動かしたり歩いたりしてみる雫。
擬似的とはいえ体重は既に倍近い程のシュミレーションになっているのだが、普段から農作業をしている雫にとっては普通に動けるようだ。
「プロデューサーさん、もっと増やしてみてくださいー!」
『いいのか?』
「はーい!いっそ限界までやってみてくださいー!」
その言葉にプロデューサーも悪ノリをし、機材のメモリを最大にする。
しかし、そこに一つの誤算が有った。
今回雫が体験しているプログラムはあくまでも仮の物であり、まだ完成品ではないのだ。
それはつまり、調整のためにあえて限界を仕込んでない部分があるということでもあり、それがよりによって体型変化の部分だったのだ。
今の状況でメモリを最大にするというのは、つまるところ雫の居るバーチャル空間では際限なく太っていくということである。
そうとは知らない二人はどんどん風船のように太っていく雫の様子を見ながら笑い合っている。
二人が異変を感じたのは雫の体が200kgを超えた辺りからだ。
「・・・これどこまで大きくなるんです?」
『・・・さぁ』
まずめったに見ないサイズの肥満体型。
数秒でそこまで到達して、それでも雫の体型が変わる速度に衰えはない。
「プロデューサーさん、流石にもういいです」
『だな。止めるか・・・』
そう言って機材を動かし、雫の体重増加を止めようとするプロデューサー。
だがこういう時に限って機材が壊れるのはお約束である。
『だ、駄目だ・・・機材が止まらない!!』
「ええ!?」
プロデューサーが弄っても、雫の体型変化は止まらない。
むしろどんどん加速していくかの様にも見える。
「な、なら機械を止めちゃえば・・・」
『それこそ駄目だ!今雫の周りはビニールで覆われているんだぞ!?下手に止めたらそれこそ怪我のもとに繋がりかねない!!』
「そんな・・・」
『流石にもう少しすれば止まるはずだから、それまで待っていてくれ。俺は一応晶葉に連絡を取るから』
そう、雫の視界では自分の体がどんどん太っていく様に見えているのだが、実際には彼女のスーツと一緒にまとわりついたビニールが彼女の脂肪の様に見えているだけだ。
下手に機械を止め、そのバルーンが制御を失ってしまったら・・・嫌な圧迫のされ方をして雫が怪我をおうかもしれない。
そうしたプロデューサーの判断に雫も従い、彼女はどんどん膨らむ体をバーチャルとはいえ己の目でしっかりと見る羽目になるのだった。
・
・
・
「ふぅ・・・ふぅ・・・プロデューサーさん・・・まだですか?」
『す、すまない・・・晶葉に繋がらないんだ・・・』
数十分後、雫の視界は既に肉にあふれていた。
辺り一面見えるのは自分の肉・・・贅肉となった体だけだ。
体を動かそうにも肉が重く、干渉し合って動かせない・・・いや、実際にはビニールがまとわりついているのが、雫はそんな気持ちだった。
プロデューサーの見ている機材にはそんな雫の様子が映し出されていた。
肉塊・・・そう表現するのが妥当だろう。
バーチャル世界の雫はまさに肉の塊だった。
一体どこからが腹で、どこからが背中で、どこからが胸なのかわからない様子の体。
かろうじて指先があるからわかる手と足はそのほぼ全てが肉に飲まれている。
これでは全く動かすことが出来ないだろう。
目や鼻や口があるからかろうじて顔だとわかる場所はほぼ全てが肉に埋もれ、全てと一体化した肉に埋もれている。
未だその肉量を増やし続けるその体は、いつの間にか会場すべてを飲み込み、既に街の大半をもその肉の下敷きへと変えた。
もはやここまで来ると肉の島とでも言うべきサイズだろうか・・・だが未だに雫の成長は止まることを知らないかのように進んでいく。
「や、やっぱり機械を止めて・・・は・・・?」
まとわりつくビニールで圧迫されて話しにくいのか、どこかくぐもった声でプロデューサーに話しかける雫。
だがプロデューサーから見れば今止めるほうがよっぽど危険なのだ。
今雫の周りにあるビニールは空気でパンパンに膨れている。
もしコレが少しでも破裂すれば・・・
そう考えると、プロデューサーは緊急停止を押せなかった。
『・・・すまない、もう少しだけ待ってくれ』
そう悔しそうに言うプロデューサーに、雫は何も言えなかった。
・
・
・
「ふぅー・・・ふぅー・・・ふぅー・・・」
雫の荒い息が辺りに響く。
彼女の視界では、既に周りは一面肌色に染まっていた。
更に数十分、肥満化開始から数時間経ち、雫の体はどこまでも広がっていた。
プロデューサーが仮にカメラを操作し、雫の様子を遠くから眺めればわかっただろう。
雫の体は既に日本を飲み込み、太平洋をも押しつぶし、その体の殆どで北半球を押しつぶしていたのだから。
肉の塊。
いや、肉の大陸とでも言うべきだろうか?
どこを持っても肉しか掴めないそんな体。
身じろぎ一つでとんでもない質量が連動して動き、それだけで地震が起きるようなそんな体で、雫はただただ呼吸をするだけだった。
むしろそれ以外のことは何一つ出来ないと言っても良い。
実際、現実の雫もほとんど同じ様な状況なのだから。
まとわりついた空気の贅肉がリアルでも雫を覆い尽くし、その体の重さを再現した分の重さや圧迫さが襲いかかっているのだから。
まさにリアルとバーチャルの境界線が非常に曖昧になっていると言っても過言ではない。
そしてそんな様子を見ながら今か今かと晶葉に連絡を何度も取るプロデューサー。
そして雫がいよいよ限界かと思った瞬間──
【シミュレーションの限界値に達しました。コレ以上の重量はシミュレーション上での再現が不可能となります。
シミュレーションのリセットを開始します】
そんな電子音声が流れた後、急激に雫の体が軽くなった。
いや、正確には雫の周りにあったビニールから空気が抜け、スーツの制御も変わったのだ。
バーチャル世界の雫の視点では、一瞬強い光が光ったかと思えば目の前には最初に有った真っ白い部屋があるだけ。
そしてすぐに体の重さも消え去り、先程までのがまるで夢だったかのように思えるのだ。
「・・・助かりましたー」
『だな・・・』
二人して深くため息をつく雫たち。
雫はさっきまで出来なかった分その場に座り込むと、HMDを外して天を仰ぐのだった。
その後、なんとか繋がった晶葉に色々聞きながら雫の様子を確認し、それでもなお不安だったからと病院へとかかった雫。
幸い体の異常は何もなく、プロデューサーも良かったと一安心する。
・・・そう、体の異常は何もなかった。
「・・・あのお肉に包まれる感覚、悪くなかった・・・かな?」
だが、一人の少女がその性癖を歪ませたことに気付くのは、本人以外誰も居ないのだった。