おしっこ我慢において、尿を膀胱に貯める量を増やす、尿を膀胱に送る量を増やす、という両方の意味を持つ「利尿」について説明しよう。
主に「腎臓の機能」の話です。
重要な話の中で統計力学の概念もあります。
(少し論文に近い形式で書いてます、苦手な人は注意)
私もそうなのですが「利尿」について…… 特に「利尿剤・利尿薬」について、誤解していたので、それを整理しようと思った次第です。
あと、おしっこ我慢配信などで水を大量に飲む人を多く見かけるようになったので それに対する注意喚起をしたいというところです。
言葉の意味を辞書で引いてみました。
言葉を理解するのに辞書を引くのは重要です。
概ね、辞書には必要最低限の言語量で別の用語を以てその単語を表現する文章が書かれています。
「利尿」の意味は「尿をよく出るようにすること。」つまり、膀胱内の尿を増やす、膀胱内の尿を減らさない、などの要素を満たすものはすべて「利尿」という言葉を当てられます。
先ほどの辞書引いた時の意味から「利尿薬」の効果を考えてみましょう。
「尿をよく出るようにする薬」
で「尿をよく出るようにする」という部分で尿を作る臓器である腎臓に作用する薬だなぁっていうところまでは合ってました。
で、こういう勘違いをしました。
普通に論理を読み解くと上記になる思います。がこの論理になることが間違いでした。
そもそもの話、腎臓の機能を大きく勘違いしていたんですよ。
結論を申し上げますとこうです。
つまりですね、利尿薬には「尿を増やす」という作用は無いのですよ。
尿を増やすのではなくてですね、尿を減らさないという風に作用していたのですね。
というのを後述していきます。
そもそも腎臓ってどんな臓器なの?ってところからですね。
濾過、再吸収という二つの機能があります。
主にこんな感じです。
小難しい言葉が多いですが、軽く説明します。
限外濾過とは、大きい分子を通さない穴を通して小さい分子を分離する事です。
大きい分子とはタンパク質(赤血球や白血球など)が該当します。
再吸収とは、濾過された原尿に含まれる身体に必要な要素を血液中に取り込むことです。
グルコースや電解質(ナトリウムやカリウムなど)は濾過の過程で必ず原尿に混入してしまうので血液中に回収する必要があります。これを回収する機能が尿細管に備わっています。
原尿について。
原尿とは、糸球体を通じて腎小体に送られた濾過された直後の液体を指します。
原尿の成分は大半が水や電解質、グルコース、尿素、尿酸、クレアチニンなどです。
下表はWikipediaからの引用です。
膀胱に1~2Lの尿を送るまでに180Lの原尿が濾過されます。
つまり、179Lほどの原尿中の水は血液中に回収されています。
原尿中の水は主に浸透圧によって再吸収されるものが大半です。
原尿中の電解質が血液中に吸収された時に血液中の電解質の濃度が上がるため、血液中に水が移動していきます。
利尿薬は主に尿細管での再吸収を抑制させるように働きかけます。
利尿薬には「原尿を増やす効果は無いです」。
主に遠位尿細管、集合管における電解質の再吸収を抑制して、原尿中の浸透圧を高く保つ事で血液中に移動する水の量を減らした結果、膀胱に送る尿の量が増えます。
主に4つに分類されます。
基本的には複数の薬を併用します。
・浸透圧利尿薬
・ループ利尿薬
・チアジド系利尿薬
・カリウム保持性利尿薬
浸透圧利尿薬
原尿の浸透圧を高くすることで原尿中の水が血液に再吸収されるのを阻害する。
ループ利尿薬
遠位尿細管のヘンレループの太上行脚におけるナトリウムイオンの再吸収を抑制する。
原尿中のナトリウムイオンが減少しなくなるため、原尿の浸透圧が高くなり、水が血液に再吸収されにくくなる。
チアジド系利尿薬
遠位尿細管においてナトリウムイオンの再吸収を抑制する。
原尿中のナトリウムイオンが減少しなくなるため、原尿の浸透圧が高くなり、水が血液に再吸収されにくくなる。
副作用が人命に関わるため、健康体に対して医者の指示以外での服用は危険です。
カリウム保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)
遠位尿細管においてアルドステロンに拮抗してナトリウムイオンと再吸収を抑制する。
尿細管におけるカリウムイオンの再吸収を促進する。
※アルドステロン(抗利尿ホルモン)は腎臓の皮質で分泌される。
ナトリウムイオンの再吸収を促進し、水の再吸収を促進する。
膀胱内圧が高まると分泌量が増加する。
つまり、アルドステロンに拮抗するという事は膀胱内圧の増加による
膀胱へ送る尿量を減らす働きを阻害することになる。
主に下記の3つが有名です。
・水
・カリウム
・カフェイン
水
血圧を上昇させる事で原尿の時間当たりの生成量を増加させる。
血中のイオン濃度を低下させ、尿細管および膀胱からの水の再吸収を抑制する。
血中に取り込まれた水は体内で形を変える事無く維持され、尿または汗としてすべて排泄される。
カリウム
血中のナトリウムイオンの尿中排泄を促進する。
原尿中のナトリウムイオンの再吸収を抑制する。
利尿薬に似た作用がありますが、血液内にある内から作用している。
血中に留まらず、細胞内に取り込まる。
細胞に取り込まれなかった分は尿中に含まれて排泄される。
カフェイン
血圧を上昇させる事で原尿の時間当たりの生成量を増加させる。
水よりも血圧を上昇させる効果が高い。
不眠症などを起こすカフェイン中毒になるため、おしっこ我慢のために飲むのは避けた方が良いです。
また、短時間で大量の飲水と合わせて摂取すると高血圧によるリスクが高くなります。
※高血圧のリスクには脳血管の損傷や心臓発作などがあります。
利尿において、最も摂取するべき成分は水です。
これは他の利尿成分や利尿薬よりも遥かに優先されます。
時間の概念を除いた場合、質量保存則が適用されます。
200mLの水を飲んだ場合は 尿が200mL排出されます。
1000mLの水を飲んだ場合は 尿が1000mL排出されます。
ただし、200mLしか水を飲んでいない場合に 尿が1000mL排出される事はありません。
この関係は閉じた空間への流入および流出として見る事ができるので、統計力学の概念も適用できます。
統計力学の概念では「質量保存則」に「時間の概念」を追加します。
これはある計測からの推定値です。(血中水に関しては計測結果を伴わなかったため、仮定値)
水を飲んでから2時間後には飲んだ量の約50%程度(計算簡略化のための仮定値)が尿として排出されます。
膀胱の標準貯蔵量は 15歳以下で約300~500mL 成人で400~800mL です。
成人の場合では、1Lの水を飲んだ2時間後には膀胱の貯蔵量の限界まで尿が貯まる可能性があります。3Lも飲めば貴婦人膀胱 (標準よりも多く尿を貯蔵できる) に該当する人でも尿の貯蔵量が限界突破します。
おしっこを我慢させるだけならば利尿薬なしでも水だけで充分な結果が得られます。
※参考:水負荷試験の測定値
次のケースが考えられます。
・水を充分な量を飲ませる事ができる雰囲気ではない
・おしっこ我慢状態までの展開を早くしたい
・尿意の波を引かせたくない
水を充分な量を飲ませる事ができる雰囲気ではない
日常生活の隅でおしっこ我慢をさせたいなぁという時、大体の場合で数Lなんて単位で飲料を飲みません。その数少ない飲料に混ぜる事で想定外の尿意を感じさせるというものになります。
おしっこ我慢状態までの展開を早くしたい
ただただシンプルに膀胱が空の状態から短い時間でフルチャージしてやろうという時です。何時間もかけて準備するよりも確実に尿意をコントロールできるため、拘束できる口実ができる直前に仕込む事で速やかにおしっこ我慢状態に移行させられます。そのため、拘束する前に尿意の発散をさせられるという失敗が無くなります。
尿意の波を引かせたくない
ここまでくると日常生活の範囲ではないです。確実におしっこ我慢をさせてやろうという強い意志があります。
尿意が引く要因である抗利尿ホルモンを利尿薬によって抑制する事で緩む事ない尿意を味合わせる事ができます。
少なからず脱水症状を発症します。
水を飲んでいないから尿を作らない。とはならず、足りない分の水を血液や細胞から かき集めてきます。
それでも十分な量の尿量に至らない可能性が高いです。
おしっこ我慢を する にも させる にも気を付けるべき事があります。
それは血中電解質の濃度です。
これが高くなりすぎたり低くなりすぎたりすると人命に関わります。
おしっこ我慢大会において死亡事故がありました。
有名なものだと「水中毒」というものがあります。主に低ナトリウム血症を指します。
尿中にナトリウムが多く排出された影響で血中のナトリウム濃度が下がってしまう事で起こります。
また、消化器が水で むくむ事で生命維持に必要な栄養素を取り込めなくなります。
純水ではなく経口補水液のような塩分と糖分を含んだ飲料が好ましいです。
なお、塩辛など塩分が高すぎるものを摂取すると血中ナトリウム濃度が高くなり、利尿効果が下がります。おしっこ我慢においては最適解どころか逆効果なので気を付けましょう。
利尿薬は腎臓の能力を下げる事で尿の量を減らさない事で実質増やしている。
尿の量を増やすキーワードは浸透圧。
尿量の基本は質量保存則。水を飲んだ量だけ尿として出る。
余談
Q.利尿薬って一般人が入手できるの?
A.できます。
高血圧、心不全、生活習慣性糖尿病、腎不全などの治療において処方薬として出される事があります。