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サキュモスハンター(侵攻編)【34】【脱兎のごとく……】

サキュモスハンター(侵攻編)【34】【脱兎のごとく……】【4276文字】 【第29話選択肢より】 https://abnormal-create.fanbox.cc/posts/10474381  【選択肢】 ・イサネの手を引き急制動をかける。 「危ない!」  リットは己の直感に従い、背後に下がる動作を無理やり押しとどめ、イサネの手を掴んだ。 イサネもリットと同様に後ろに飛びのいていた。  正しい。  本来ならば敵が不意に現れた場合、距離を取るのが正しい行為だった。  むしろ、熟練したものであればあるほど、咄嗟にそう動くだろう。  イサネは、リットの動きの意味を咄嗟に理解して、身体に制動をかけた。  二人は、地面を転がるように後ろへ転んだ。 「あら、勘のいい子ね」  完全に体の動きが止まり、背後を振り返る。  そこには、巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされていた。  建物と建物の間をつなぐように渡された蜘蛛の糸がリットの退路を完全にふさいでいたのだ。  もしも、あのまま背後に飛んでいれば、完全に身動きが取れなくなっていただろう。   「ふふ、そのまま捕まっていれば、優しくあなたたちのことを可愛がってあげたのに♡」 「あいにくと、サキュモスにかわいがってもらう趣味はないので」 「威勢のいい子♡」  強がっては見せるも、かなり厳しいことには変わりない。  冷や汗がスッと頬を伝った。  イサネがどういう顔をしているか分からないが、同じ直感を共有していた。 “こいつには、勝てない” 相性が悪いのは、言わずもがな。 彼女の接近に気が付けなかった。それだけで、格付けが済んでしまったのだ。 そのうえ、罠を設置されるだけ隙を与えていた。 逆に言えば、このクイーンはいつでも背後からリットたちを襲えたのである。 にも関わらず、それをしなかった。 彼女は、遊んでいるのだ。  仲間が倒されたことなど気にしていない。ただリットたちを弄ぶ絶対的な強者。 「じゃあ、捕まってくれないなら……♡」  リットは剣を構えた。  イサネは槍を構える。  臨戦態勢を整えた。腹を括る。  息を吐く。眼光を鋭く、蜘蛛の女王を射抜かんばかりに。  イサネもそれに付き合ってくれた。腰を落とし、いつでも女王の腹を穿てるように。 「……」 「……」  二人の間に、沈黙の言葉が交わされる。  決意を固めた戦士の表情を見て、蜘蛛の女王は、笑みを浮かべご満悦の表情だ。 自身の虫腹に釣り下がった複乳から糸を吐き出し、それを手に絡め、まるで水でも払うように、両手を振るった。  瞬間、空中に無数の細かな蜘蛛の巣が形成され、リットとイサネに向かって前面包囲網の攻撃が飛んできた。 「無理やり捕まえるだけね♡さぁ、あなたたちの全力、見せてみなさい!」 「「――ッ!!」」  飛来する蜘蛛の格子網。 二人は、動き出す。  リットは、右に。  イサネは、左に。  離れるように、地面を蹴り、脱兎の如く最速の離脱を試みた。 「え⁉え!うそ、逃げるの?」  武器を構え、一戦交えるという雰囲気がそこにはあった。  逃げるそぶりなどみせていない。  沈黙の中でリットとイサネは、“撤退”という戦いに全力をつぎ込んだのだ。 「馬鹿にして……」  空気がピリついた。  蜘蛛の女王が放つ怒りの感情が、空気を揺らしているようだった。  だが、これで片方だけは生き残れる。  今、リットとイサネが協力しても彼女には勝てないと判断した。  ならば、即座に離脱することを考えるのは自然な流れだ。  しかし、それを相手に察しさせてはならない。 (うまくいった)  リットは、これでイサネが逃げられると思った。  彼女の視線を背中で感じる。  標的はおそらくリットのほうだ。  振り返らない。  そのまま、逃げ続ける。建物あいだの裏路地に飛び込み、気配から離れるように道を進んだ。  振り返る必要はなかった。  女王の足音が聞こえてきたからだ。虫の足が地面を踏み砕く音が。 (これなら……)  そう思ったのもつかの間だった。  突然、音が消えた。 (なんだ。音が……)  気配は……ある。  だが、彼女の巨体から聞こえてくるはずの音が聞こえなくなった。  走りながら耳を澄ます。  自身の足音を意識から除去し、聞こえる音を絞っていく。 (どこだ……) 一瞬だけ、布擦れる、あるいはサッという音だけが聞こえてきた。 (上!) 「ッ!」  即座に、路地裏の家屋の中へ窓を突き破り飛び込んだ。  その刹那のあと、路地裏は一気に降り注いだ大量の糸に呑み込まれていた。 「なるほど……」  音がしないはずだった。  彼女は、自身の糸で張った足場の上を、移動していたのだ。  その足取りはまるで暗殺者の如く。  リットは、誰もいない裏路地の家の二階より飛び出し、蜘蛛の糸のかかっていない場所へ壁を蹴って方向を変え、着地した。 「やっぱり、この程度じゃ、捕まえられませんよね♡まぁ、その方が、後々の楽しみも増すというものですし♡」  不穏な一言を残し、彼女はまた闇に身を隠す。   (もう、糸の足音は覚えた。なら、逃げ切れるか……)  余裕を感じたのか、ふと、そんなことを思ってしまった。  思考が麻痺している。  なぜだ。分からなかった。  何か、おかしい。違和感を感じている。  蜘蛛の女王からの何かの攻撃か、あるいは……。 「あぁ、そんな~、そっちは……」  蜘蛛の女王の悲しげな声が聞こえてきた。 (なんだ、どうしたんだ……)  そう思っていながら、裏路地から大通りへ抜け出た。 「な!」  そこには、人、人、人が……廃人となりながら、いたるところに転がっていた。 「あれあれぇ~♡まだ、粋のいいのがいたにゃ~♡てっきりこの子が最後だと思っていたにゃ~♡」 「た……♡おうえ、んか……♡ぁ、ぁ、……♡」 「バイル隊長!」  バイル隊長。  その勇猛な大剣使いは、見るものを虜にするほど洗練されており、何度も手合わせをお願いした仲だった。  リットはまだバイル隊長に一度も勝ったことがない。  そんな隊長が……。 「はぁ……♡ぁぁ……♡くぅ……♡ぁぁ……♡」 「もう、武器もまともに、持てないかにゃ~♡たぁ~ぷり弱らせてあげましたから♡ほら、ほら、倒れたら、みんなとおんなじに、してあげるにゃ♡」  バイル隊長が自慢の大剣を地に刺し、サキュモスから攻撃にまったく反応できず、ただそこで攻撃を受け続けている。  彼女の九本の尻尾が鞭のようにしなり、彼を打っていた。  九本の尻尾を持つ……猫のサキュモスだ。  とがった耳が頭の上から生え、猫のように肉球の並んだ両手。獣毛に覆われた部分は手足と尻尾のみ。胸と股間部も完全に露出させた淫猥な姿。  そして、蜘蛛の女王とも蜂の女王とも引けを取らない巨体。  彼女も女王なのだろう。  そんな相手にのこり一人で挑んでいたであろうバイル隊長の服は、すでに淫気で完全に破壊されていた。  残っているのは、一撃ごとに淫気によるダメージを受け続ける大剣のみだった。 「うふふ♡みん~な、この尻尾の餌食になったにゃ♡隊長さんも、そうなりたいにゃ?うふ、その勃起したオチンチンが何よりの証拠にゃ♡」 「私は……はぁ……♡まけぇ……♡んんん――!!」 「はいはい、もういいにゃ♡新しいおもちゃが来たから、隊長さんは、ご退場にゃ♡」  尻尾の一本が彼の頭からズボッと先端で咥え込んだ。  他の尻尾も同様に先端には、女陰のような割れ目があり、紅を塗る前の唇のようも見えた。  隊長の頭から咥えこんだ尻尾が、どんどん彼の体を呑み込んでいく。 「にゃはは♡幸せでちゅにゃぁ~♡み~んな、この中で精気全部搾られたにゃ~♡隊長さんも、たっぷり味わうにゃよ♡」 「ン゙ン゙ン゙ン゙ン゙――‼」  くぐもった絶叫が尻尾の中から聞こえるが、そんなことは構わず、尻尾がドンドン彼を呑み込んでいく。  尻尾の輪郭が一部だけ膨らむ。  猫の細い尻尾のなかを滑るように、輪郭が移動していった。  そして、途中でその輪郭が、小さくなっていく。  移動するふくらみが小さくなり、彼女の尻尾の根元に近づくにつれて縮小していき、そして、根本の部分で……。 「はい、ごっくん♡にゃはは♡」  尻尾の中を移動していたはずの隊長の体を表す輪郭がなくなった。 「た、隊長は……隊長をどうした!」  リットは叫んでいた。 「あにゃ?あぁ、大丈夫にゃよ♡ちっちゃくしただけにゃ♡他の子たちも、はい、この通り♡」  そういうと、猫のサキュモスは8本の尻尾を大通りの真ん中に突き出すと、それぞれの尻尾が卵を産むように根元からだんだんと丸みを帯びて、先端に向かっていく。  その先端から、人が吐き出され始めた。  まるで排泄物でも出すように、べちゃべちゃと吐き出される、人、人、人。 「あへぇ……♡あえぇ……♡」 「あえぇ……♡もぉだえぇ……♡」 「ぁぇぇ……♡ぇぇ……♡」  むごい。  全員、ピンクの粘液で全身を汚しながら、完全に理性がトんでいた。  廃棄塚に捨てられる光景そのものが、目の前で作り出された。  皆、快楽で蕩けたアヘアヘ廃人に変えられてしまっている。  その数およそ30人以上。 「みんな、本当に幸せそうにゃ~♡その上、なかなかにおいしい精気だったにゃ♡」  嫣然とした笑みを浮かべ、舌なめずりをするサキュモス。 「今、おなかの中にいるのは、隊長さんだけにゃ♡独り占めできて、うれしくてイきっぱなしになってるにゃ♡モンキュモスのおなかの中は天国にゃよ♡」 「あぁ~、こっちに来ちゃいましたか……モンちゃんの縄張りまで……」  すると、背後に蜘蛛の女王が、無音で立っていた。  後ろを振り返る。  蜘蛛の女王は、リットを見ていなかった。 「モンちゃん、この子私のなんだけど……」 「えぇ~、な~に?モンの縄張りに入ってきたものは、全部モンのものにゃよ」 「はぁ……やっぱりですか……」 「なに?文句でもあるにゃ?ヌルちゃんが?」 「いいえ、ここは、あなたに従います。あなたと取り合っても勝てる気がしないので……じゃあ、ボク、せいぜい頑張りなさい♡私は、もう一人の女の子をもらうとするから♡」  リットは慌てて、彼女を制止しようしたが……。 「どこ、見てるにゃ?」  振り返ると、相当な距離が離れていたはずのサキュモスが、目の前に立っていた。  一瞬だった。  一瞬で距離を詰められる。 「モンキュモスクイーンと戦うにゃか?それとも……♡」  一瞬で距離を詰めたサキュモスの体から蒸気が落ちるように桃色の臭気が大地へ流れ落ちていた。 「モンキュモスのフェロ“モン”で、みんなみたいに堕ちるかにゃ♡」 「ぁぐぅ……♡ぁ……♡」  流れ落ちる大量のフェロモン。  一息吸っただけで理性が浮かぶように、トんでしまう。  イサネのいっていた毒のサキュモスの話が頭をよぎった。 「にゃは♡吸っちゃったにゃ?」  慌てて口と鼻を塞いだが、すでに時遅し。  視界が変わる。  まるで見るものすべてが新鮮に感じられるほど、彼女の体が魅力的に映った。  溺れたい。その巨体に。その生々しい肉感的な体へと。  欲望が一気に溢れだしてくる。 (だめ、だぁ……♡)  しかし、その誘惑、フェロモンと、目の前に置かれた物理的な肉欲の化身を……。 【選択肢】 ・見つめてしまう。 https://abnormal-create.fanbox.cc/posts/10638868 ・即座に、飛びのく。


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