【skeb】巨根の俺が “貧乳VTuber” を煽ったら粗チンにされた話。
Added 2024-10-04 15:00:00 +0000 UTC「こんばんわっしょーい!」
そう言って配信を始める彼女の名前は、夏色 まつり(なついろ まつり)。
今をときめくVTuber界において、“ホロライブの清楚担当” にして “みんなのアイドル” と称している。
…が、実際のとことはリスナーである “まつりす” たちが疑問符を浮かべるほどに “下ネタ” が好きで よく “セクハラ” じみた発言も多く、清楚とは程遠いセンシティブガールだ。
「おまつりわっしょーい!」
「あとのまつり」
「あとのまつり」
「あとのまつり」
大好きなApex配信を終え、“エゴサ” をするのがまつりの日課。
「……『まつり』っと、どれどれ〜」
“お疲れさま” や “今日も可愛かった” といった投稿が大量に投稿され、配信直後だと言うのに切り抜きや今日の配信内容に即したイラストが上げられる。
「うんうん、いいね♪ こっちもいいね♪ この投稿にもいいね♪」
まつりが大の “エゴサ好き” として認知されているのは、関連の投稿にはすぐに “いいね” を付けるからでもある。
しかしそれを逆手に取って、この瞬間に “必ず見る” と知るアンチの活動も活発で……。
「は? “貧乳・壁・まな板ww” だって!? むかつく〜」
“つまらない” とか “男と絡むな” とかなら、嫌なら見るなで済ませられるまつりだが、こと体の…それも “胸” に関することに対してはコンプレックスを抱いており、“そうですか” とはスルーすることができないのだ。
「ブロック」
しかし次の日にも、“貧乳で勃起なんて不可能” 。
「ブロック」
その次の日も、“ボーイッシュじゃなくて、ただのボーイ” 。
「ブロック」
おそらく捨て垢なのだろうし、反応するから相手も面白がっているのだろう。
“こんなの無視すれば” という簡単な問題なのは彼女も分かっているが、コンプレックスが邪魔をして、まつりは意地になってブロックをする。
「ブロック、ブロックブロックブロック…」
意識すればするほど気になり、そんな日が続けば “大好きなエゴサ” も苦痛なだけである。
「あーっもう、我慢ならないっ!!! 開示請求よ、開示請求」
誹謗中傷として訴えを起こし、どこ誰であるかを探り出す。
いかにインターネットが匿名性の高い媒体だと雖も、これには敵わない。
開示請求の結果に炙り出された人物は、“Wall_Breaker(ウォール_ブレイカー)” 。
通称 “壁(貧乳)破壊” の名で活動する “その界隈” では有名な荒らし。
彼が活動する界隈……それは「貧乳女子」を侮蔑し、女性としての尊厳を破壊することを楽しむ界隈である。
「何よこいつ、貧乳女子を馬鹿にしてっ!! この界隈も大概ね、気持ち悪いっ!! どうせ女の子に相手されない者たちの集まりでしょ? ぶつけられるところにぶつけてるだけの弱いやつら……」
そう考えるまつりの目に、Wall_BreakerのSNSのプロフィール欄が飛び込んでくる。
「… “20cm” ……」
それはどうやら “ちんこの長さ” のようで、“女は皆、俺の巨根には勝てない” と自信満々に誇っていた。
「むかつく〜」
自分だけは上位の存在で、安全な場所から持たざる者を攻撃する。
まつりはそれが許せなかった。
「開示請求はしたけど…ただお金を奪っても気が収まらない、どうにかして復讐したい……」
そんなまつりの元に、とある啓示が降りた。
「いいこと思いついちゃった♪」
どうしてWall_Breakerがこの界隈で有名なのか、そして人気を誇っているのか。
その理由が、例の “巨根であること” なのは明らかであった。
なぜならその界隈にとってそれは、他のどんな特徴よりも価値あるものであり、圧倒的優位性の証だとされているのである。
これは直接には触れてこなかった彼らが、ネットや創作物から得た知識から由来されるもので……実際にはどうであるかの現実に即していないとしても…分かりやすく巨根を、“女性たちを屈服させるための力の象徴” だと信じさせて来た結果なのだ。
Wall_Breakerは “巨根を持つ男” として自分を売り出し、自身のアイデンティティであると誇示している。
「…あれを使い物のならない、“不能” の物にしてしまえば……」
まつりは、さっそく行動を開始する。
開示請求を盾にして呼び出すのも一つの手だが、それは返ってまつり自身の退路を塞ぎかねない。
この時点ではもう、裁判など起こすつもりなど毛頭ないのだけれども、それでも保険を用意しておくことは大事だ。
そこでまつりは、捨て垢ではなくWall_Breaker本人のアカウントに直接メッセージを送ることにした。
『初めまして…いいえ、いつもご苦労様。かな? あなたがずっと、私のことを攻撃しているのは知ってるわ。そんなあなたに提案があるのだけれど、実際に試してみるのはどう? 私が貧乳でも楽しませられるって証明してあげるよ?』
感情的にではなく冷静に、必要な事実と事項だけを伝える。
その上で相手が乗って来やすいように、こちらも自信ありげに無垢な少女を装う。
「我ながら完璧っ♪」
少ししてメッセージが届く。
『まさか特定されるとは思っても無かったし、それに笑かす才能はあるんだな。貧乳が俺を楽しませる? 俺はゲイじゃないぞ? 俺の巨根に興味があるだけだろ? はははっ面白い、その能力がちょっとでも胸にいけば……なんて今さら言っても仕方ないか…まぁ、そこまで言うならいいだろう。誘いに応じてやるよ』
まつりとは打って変わって高圧的で、上からの態度を取っている。
「「 釣れた 」」
しかし “互いに” 思うところは同じで、彼もまた、相手が接触してくるのを待っていたのだ。
『3日後の夜。〇〇ホテル、503号室で会いましょう』
『分かった。頑張って胸でも揉んで、少しでも大きくして来てくれよ?』
最後まで煽るような言葉を放つWall_Breaker。
「ほんっとむかつくぅ〜 今に見てなさいっ! 笑えなくしてあげるんだからっ!!」
ーーーーー
約束の日、指定された場所は繁華街に位置する一軒のビジネスホテル。
一足先に着いたのはまつり。
「…これとこれ、それからこれも……」
今日の日のために用意した “道具” を並べ、Wall_Breakerを待つ。
「……ここで間違いないな…」
スマートフォンでメッセージを確認し、ここがそのホテルであると確かめるとエントランスを通り抜けて部屋へ。
「…501、502……503、この部屋だな?」
コンコンコン、ガチャリ。
ドアのノックし、中へと入る。
「ようこそ、夏色まつりよ」
「…Wall_Breakerだ」
「ええ、よろしくね」
「…ああ、実に “楽しみ” だ」
彼の目線の先、肩を露出したオレンジ基調の服の “胸元” 。
本来なら女性のそこにあるはずの膨らみに目を向けて言った。
「(…失礼なヤツ。顔見て話しなさいってか、まつりの胸を見てるって丸わかりよっ!)」
見ている側はバレてないと思っていることも多いのだが、案外見られている側は気が付いているもので、Wall_Breakerの視線が胸にいっている事はすぐに分かる。
「…そんなに気になるの? あんなに馬鹿にしてたのにぃ〜???」
「テレビなんかの映像で見るのと実際に見るのとでは違うって言ったりするけど、いやぁ本当に無いんだなって…」
「(クソがっ! …けど、そんなことを言えるのも今のうちよ。まつりは寛大だから許してあげる。いくらでも言っておきなさい、それが最後になるんだからっ!!)悪かったわね、貧乳で。けれども、いつまで強がっていられるのかな?」
「いつまで? いつまでもだろ???」
「これを見てもそう言える?」
まつりは自身の裏に並べた道具を披露する。
「何だ? それは…まさか使って欲しいおもちゃでも持参したのか???」
「持って来たってことは合ってるけど、使う相手を間違えてるよ。これを見なさい…ほら、“男性用” でしょ?」
まつりの指差す先にあるのは、金属製の “貞操帯” と呼ばれる代物。
今でこそ拘束具のような使われ方をするが、その名の通り “着物の帯のように腰のあたりで固定し、貞操を外部から守るため” の物であって、決してこれからやろうとしていることは間違いである。
「男性用の貞操帯だって? 初めて見たな…で、どうして俺が黙ってそれを付けると思ってるんだ?」
「君、“貧乳では楽しめない” って言ったでしょ?」
「事実を言っただけだが?」
「まつりは今日、それが事実でないと証明するためのゲームを用意したの。貞操帯はそれに必要で…付けないって言うなら、負けを認めて逃げたってことでいいかしら?」
一枚上手のまつり。
そのように言われてしまえば、Wall_Breakerは承諾するしかない。
「…ふん、いいだろう……しかし “ゲーム” と言ったな?」
「そうね」
「一体どのような? 俺がそれを受けるメリットはあるのか?」
「もちろん説明するけど、その前に貞操帯を付けて貰えるかな?」
「おいおい、普通は説明の方が先だろ?」
「何? 怖いの? まつりは君が下に見ている貧乳だよ? どんなゲームでも勝てるじゃないの?」
捲し立てられるWall_Breaker。
「ちっ分かったよ。付ければいいんだろ?」
ズボンを脱ぎ、貞操帯を手に取る。
「えーっと、こうか? …おい、これサイズ間違ってねぇか???」
「そんなことないよ? まつりを見て勃起してないなら入るはずなんだけどなぁ〜」
実際にはそんなことはなく、この貞操帯のちんこを納める部分の大きさはおよそ3cm。
どれだけ萎えていたとしても、元が20cmの巨根がここまで縮むとは思えない。
「まだかなぁ〜?」
「くそっ…初めてで手間取ってるだけだ……」
「そう? 手伝ってあげようかと思ったんだけど?」
並べられた道具の中から次に取りだしたのは、“氷水” の入った保冷ボックス。
「まつり、寒いと縮まるって聞いたけど?」
悪い笑顔を浮かべて言うまつり。
「あっ/// 冷たいっ/// やめっ/// らめーーーーっ/////」
情けない声を上げ、Wall_Breakerの巨根は封じられた。
「…お、俺のちんこが……」
「うんっ♪ いい感じ、これでゲームが終わるまで逃げられないね?」
「最初から逃げるつもりなんて…」
「あっそ…」
目的の一つを達成し、興味なさそうな返事をするまつり。
「ああ、そう言えば君のメリットだけど……勝てばまつりを好きにしていいよ〜」
「!?」
「…だけど負けた時は……ううん、別に何もしなくていいや」
「俺は構わないが、お前は…」
「(…だってその時にはもう、罰を受けた後なんだから……)…で、次はゲームの内容ね……」
そのまま話を続けるまつり。
「ここに、山のように積まれた鍵があるでしょ? そのうちのどれかが “本物の鍵” で、あとは全て偽物の鍵…」
「なるほど。そいつを次々に試していって、時間内に正解を引けたら勝ちってか?」
「そう焦らずに、落ち着いて最後まで聞きなさいよ……君が言うゲームの内容じゃ、数分と保たずに終わっちゃってつまらないでしょ?」
「そうかも知れないが…」
「それに、貧乳の素晴らしさを証明できないんじゃ意味がない」
「………(…貧乳の素晴らしさを証明するゲームとは一体……)」
「鍵の正否を試せるのは一日につき一回だけ…」
「ちょっと待ってくれ、それじゃあ何日かかるんだっ!」
「うーん、鍵は全部で100本あるからぁ〜 長くても100日かな?」
いとも簡単に恐ろしいことを言い放つまつり。
「ひゃ、100日だって!? その間ずっと貞操帯を付けたままってことなのか?」
「別に100日経たずとも、正解の鍵を引きさえすれば今日にだって取ることも可能だよ?」
「それはそうだが…」
どちらも可能性であって…今日の場合も、100日の場合もある……それだけは事実。
「さっそく一本目の鍵を試してみる?」
「…それよりも、貧乳の素晴らしさを証明する方法が知りたい……」
「もし偽物の鍵だったら、まつりをオカズに勃起してもらうわ。鍵は回した時点で一度ロックされ、勃起するまでは取れない……取れないと、次の鍵は試せないでしょ?」
「…じゃあどうすれば?」
「その貞操帯には圧力を感知する機能が備わっているから、勃起したのが分かればロックが解除されて鍵も取れるようになる……つまり、貧乳で勃起をしないとゲームは終了。次の日になっても鍵を使うことはできないわ」
「それのどこが罰で、証明になるんだ?」
「ん?(聞き間違いかなぁ? バカにしている貧乳で勃起するのが罰じゃないなんて…そんなわけ、ないよね?)……君からしたら屈辱的なんじゃないのかい?」
「あ、ああ。とても屈辱的だよっ!」
「(そうだよね? 良かった)…それにだ。正解の鍵を引けなければそれだけ貞操帯を付ける期間も、貧乳で勃起する機会も増えることになり……100日目には、貧乳でしか興奮できなくなるのっ♪♪」
「なっ!?」
「このゲームは “貧乳好きになるゲーム” 。どう? 怖いでしょ???」
「…それは恐ろしいな……」
「今さら怖気付いても遅いけどねっ♪♪」
まつりの言う通りで、すでに貞操帯を付けたWall_Breakerに逃げ道はない。
一応、貧乳で勃起しなくて済む方法もあるにはあるが、それは貞操帯と一生を共にすることを意味し、いずれにしても遅いと言うのは正しかった。
「これ以上まつりから説明する事はないけど、質問はある? 無いなら今日の鍵を選んでちょうだい?」
鍵の山から、無言で一つを手に取るWall_Breaker。
「それでいいのね?」
「見分けもつかないんだ、どれを選んだって同じだろ?」
…カチ、ガチャリ。
「…ハズレみたいね?」
「そのようだな…」
鍵を差し込んで回すが、貞操帯が外れることはなく、事前の説明通り抜けなくなる。
「……で、罰ゲームだったか?」
「そうよ!」
「…ただ見抜きをしろとは言わないよな?」
「どういうこと?」
「何もしてくれないんじゃ、貧乳でも巨乳でも関係ないじゃないか。貧乳の素晴らしさって言うなら、何かサービスがあってもいいんじゃないか?」
「何でまつりが…それはゲームに勝っての報酬でしょう?」
しかし、Wall_Breakerは食い下がらない。
「俺だって性的サービスを要求しようとは考えてない、そこまで横暴じゃないさ」
「それじゃあ、まつりに何をしろって言うの?」
「貶してくれればいいさ」
「…は? 正気???」
「貧乳で勃起させらるなんて稀有な体験してるんだ。貧乳少女に言葉責めをされるのも乙だと思ってな。胸もそうだが、“何も無い” よりマシだろ?」
胸とかけた煽りを入れるWall_Breaker。
当然それを許せないまつりは、挑発と分かっても乗っかった。
「これで性癖を拗らせても文句言わないでよね?」
「 “その心配はない” 」
「むっかーーーっ!!」
まつりは激怒する。
けれども、Wall_Breakerが言った意味を “履き違えた” 怒り。
“お前には出来ない” からその心配がないのではない。
“すでにそうである” からその心配はないのである。
まつりが誘い出したと思われたゲーム。
その始まりはWall_Breakerによる貧乳弄りであって、きっかけがどちらであったかは言うまでもない。
“釣れた” と、接触を心待ちにしていたのは “お互い” であったはずだ。
無差別に貧乳女子を攻撃したのは、まつりのように仕返しをしてやりたいという人物を探してのこと。
最初から、Wall_Breakerの目的は “貧乳に言葉責めと調教をされること” だったのである。
「…詰っても、蹴ってもいいぞ?」
「随分と自信があるみたいね?」
責められるのは自分であると言うのに、Wall_Breakerは具体的な内容を発する。
まつりは気づかないが、そうする事でまつりを誘導しているのだ。
「いいわ、そうしてあげるっ!!」
ゲシっ、ゲシゲシっ!
「ご自慢の巨根も、こうなってしまえば役立たずねっ!!」
貞操帯ごと足蹴にするまつり。
「おおっ♡♡ うっ…」
「変な声出して、まさかもう感じてるの?」
ゲシゲシっ、ゲシゲシっ!!
「お"っ"♡♡♡」
「うそっ、本当に感じてんじゃん」
それを証明するのは、鍵穴スルリと抜け落ちた偽物の鍵。
勃起して、ちんこが膨らんだ圧を感知することでのみ外れる仕様の鍵が外れたのだから、そう言う事である。
「……まつり引くんだけど…」
そんな言葉すらもWall_Breakerには効果覿面。
「うおぉっ!? いってぇ…」
制限のかかった檻の中でちんこが苦しいと悲鳴を上げる。
…とは言え、猫でも、流体でもないちんこが抜け出せることはない。
「見るも無惨ね…まつりはもう帰るわ。まだゲームを続けるなら、また明日ここに来なさい」
そう言い残して、ホテルの一室を後にするまつり。
「これがあと何日も続くのか……っ♡♡♡」
こうしてゲームの幕が開けたのだった。
ーーーーー
「あら、来たのね…」
「どういうことだ?」
「いやぁ〜 あんなに強がってたくせに醜態を晒して、よく来れたなぁって♪♪」
「貞操帯を付けてるんだから仕方ないだろう?」
目論見がバレるわけにはいかないと、Wall_Breakerは取り繕う。
「そうね、貞操帯…じゃあ今日もゲームの続きをしましょうか。鍵はそのボックスに入れたから……」
分かりやすいように詰まれていた鍵の山は、都合上ボックスへと移されたようだ。
「…これにしよう」
「そう、正解の鍵だと良いわね」
「???」
まつりの口から予想だにしない言葉が発せられ、Wall_Breakerは疑問符を浮かべる。
「(…… “良い” だって? そんなわけがないだろう…)」
選んだのが正解の鍵だとしたらゲームは終わってしまうのだ。
2日目にして、貧乳の素晴らしさを証明することを諦めた。
もしくは、ゲームに飽きたとでも言うのだろうか。
そうで無いとすれば、ゲームが終わることをまつりが “良い” とするのは不自然である。
それにもしそんなことになったとしたら、それはWall_Breakerにとっても “良くない” ことで……せっかく手に入れた貧乳に責められる機会を失うことになる。
…だからこその “良いわけがない” 。
「残り99本もあるんだろう? どうせこれも偽物さ…」
“終わって欲しくない” と言う気持ちが前面に出た発言。
「ええ、“きっと偽物” ね…」
先ほどとは正反対の、期待を感じさせない言葉。
いや、先ほどの “良いわね” も “good” ではなく “hope” だとすれば、それは “諦めを含んだ” 期待の意味。
“きっと” と言い切るその裏に隠されたまつりの本心は……。
…カチ、ガチャリ。
それが明かされる前に事は進む。
「 “やっぱり” 偽物だったのね?」
「… “残念だが” そのようだ……」
互いが互いの思惑を交差させ、巧みに言葉を紡ぎ出す。
「 “また明日ゲームへ挑戦するため” に、頼むよ」
「懲りない人だねっ!」
ゲシっ!
昨日と同様に股間の貞操帯を蹴る。
「おうっ♡♡♡」
「小学生未満のゴミチンポ」
「っ♡♡♡」
「触らなくても大きくなるって便利だね〜」
「んんっ♡♡♡」
ゲシゲシっ!!
言葉で責められ、足で蹴られる。
貞操帯越しに伝わる振動を使って勃起し、鍵が床に落ちる。
「…また明日……」
ーーーーー
そうして3日、4日とゲームは続き、およそ1週間が経った。
Wall_Breakerの様子は相変わらずと言った感じで、まつりからの一方的な責めを受けている。
「(…この感じは何?)」
いくら貞操帯を付けていると言っても、大人の男を相手にまつりは力で勝つことは不可能で、いつ何時Wall_Breakerが暴走しだすかも分からなく、性的なものではなくとも殴るなどの単純な暴力を振るわれる可能性を拭うことはできない。
だからこそ一向にその素ぶりを見せず、全てを受け入れている状況には “違和感” を覚え、彼が本当にネットで誹謗中傷をしていた、あのWall_Breakerと同一人物なのか疑いたくなるくらいであった。
そう怪訝に感じながらも、“所謂ネット弁慶で、リアルの彼はこんなもんだ” と自分を納得させたまつりは、今日もWall_Breakerの調教に勤しむ。
最初こそは “ただただ気持ち悪い” という思いが先行していたまつりも、今では “キモいのはそれとして楽しい” と変化し、日々の配信活動で溜まったストレスの捌け口としていた。
“巨根❌ → 粗ちん”
“無能ちんこ”
“雑魚ちん”
……。
マジックで落書きをされたり、写真を撮られたり…徐々にまつりの行為はエスカレートしていく。
「じゃーんっ♪ 今日はリスナーから貰った “エアガン” を持ってきたよ〜 まつりの好きなApexに出てくるフラットラインって言う武器にそっくりな見た目で〜 ちゃんと弾も出るのっ♪♪」
Wall_Breakerに向けて構え、引き金を引く。
バっバっバっバっバっ!!!
「まつり、ゲームならエイム良い方なんだけど…実際には難しいね〜」
そう言いながらも、着実にWall_Breakerの股間や乳首などを狙って弾を発射する。
「もう弾切れかぁ〜 …って、鍵が取れてるなら早く言ってよ」
すでに勃起し、これ以上まつりからの責めを受ける必要がないと言うのに、Wall_Breakerは黙って弾を体に受け続けていた。
「鍵っ? 本当だ、気づかなかったよ…」
「ふーん、終わったならまつり帰るね」
Wall_Breakerは誤魔化し、この日もゲームを終える。
ーーーーー
「ごきげんよう、まさか “99日” も続けることになると思わなかったわ」
「…俺が逃げ出すとでも?」
「それもあるけど、まつりが途中で飽きるんじゃないかってね」
「…そうならなくて良かったよ」
それはWall_Breakerの、本心からの言葉である。
「…まぁ、あなたにとってはそうよね……」
「ああ、貞操帯があるからな」
これはWall_Breakerの、偽りの言葉である。
「…本当にそれが理由なの?」
「………。」
まつりはそれに “気づいていた” 。
「そう、否定しないんだね?」
「今更だろ? …しかしなぜ、それを “最終日の前日” に言うんだ???」
鍵は全部で100本あって、今日は99日目だから、残る鍵は2本のはず……。
ここで正解の鍵を引けばゲームは終わるが、Wall_Breakerの中からその可能性は消えており、最後日まで行われる気になっていた。
むしろ今日も正解の鍵を引けない確固たる自信があった。
「君も薄々気づいてるんでしょ?」
「あり得ない話じゃないが、確率としては低すぎるからな…」
「「 このボックスに正解の鍵は入っていない 」」
「やはりか」
「…やっぱりね」
二人が同時に発したのは同じ内容の言葉で、Wall_Breakerは “正解の鍵が入ってないこと” を確認し、まつりは “Wall_Breakerが気づいていたこと” を確認する。
「まつりだってバカじゃないから、君がそれを承知でゲームを続けてると気づいたよ」
「…それで? 俺の質問の答えにはなっていないぞ???」
「なんで今日ネタバラシをしたかだっけ?」
「そうだ。正解の鍵を引けないんじゃ、今日ゲームが終わることはないだろ? 明日また……」
「ううん。今日が最後だからだよ? ほら、ボックスの中の鍵は “一つだけ” でしょ???」
「それはそうだが、それでは計算が合わない。それが最後の鍵なら、それは正解の鍵なのか?」
二つあって然るべき鍵が一つしかないことに混乱するWall_Breakerに、まつりが問う。
「…試してみる?」
鍵を受け取り、貞操帯の鍵穴へと向けるが、震える手が邪魔をして上手く入らず、床に落としてしまう。
「あははっ緊張してるの? まつりが手伝ってあげるよ♪」
ひょいと鍵を拾い上げると、そのまま差し込み……。
「…回すね?」
そう言って、まつりは鍵を…。
カチ、ガチャリ。
それは何十回と聞いた音。
ロックがかかり、鍵の固定される音。
「正解の鍵は別の場所にあるんだろ? で、明日になったらそれを入れてボックスを持ってくるんだっ! そうだ、そうに違いないっ!! ほら、明日のために早く勃起させてくれっ!!!」
パニック気味に声を上げ、都合のよい解釈をするWall_Breakerに対し、まつりは無慈悲にも真実を告げる。
「…残念だけど……最初に会ったあの日、ホテルのトイレに流しちゃったのっ♪♪」
「…うそ、だよな?」
「ほんとだよ?」
「…じゃあこの貞操帯は?」
「そのままだねっ♪♪」
「…そ、そんな……」
ショックのあまり怒る気にもならないのか、それともこの結末を噛み締めてるのか。
「せめて最後に、勃起させてくれ…」
「嫌よ」
どうにか立ち直ろうとするその願いも却下される。
「勃起をさせるのはゲームを続けるため。その必要も無くなったんだから、まつりが勃起させてあげるわけないでしょ?」
約3ヶ月、毎日会っていたのだから勘違いしても仕方ないのかも知れないが、Wall_Breakerとまつりは恋人でもなんでもない。
この二人の奇妙な関係は、ゲームと共に終わるのだ。
「もう会うことは無いでしょうね、ばいば〜いっ♪」
ーーーーー
まつりが消えた後のホテルの一室で、Wall_Breakerが独りつぶやく。
「…これで……終わりなのか?」
その問いに答える者は誰もいない。
「…俺は騙し合いに負けたのか……」
最初の一回だけだが、チャンスはあった。
今思えば、まつりが “その鍵で良いか” を聞いたのもその時だけだった。
「…きちんと選んでおけば良かったのかもな……」
あの後でトイレに流されたのなら、まつりがそう出来たように鍵の山から正解の鍵を見分ける方法が何かあったはずなのだ。
「…俺はこのまま一生、貞操帯を付けた人生なのか……」
いくら貧乳に言葉責めをされることを望み、調教されたがっていたとしても、最後には解放される前提で考えていた。
これは単なるゲームであり、100本の鍵の中に正解の鍵が存在する。
たとえ最後の一本まで引けなかったとしても、いつかは必ず正解の鍵を手に出来るはずだったのだ。
その考えが浅はかだったと後悔をしても、鍵が流されたのは100日も前の話なのだから遅すぎる。
もうこうなってしまっては、自慢の巨根もお粗末なだけで、新たに貧乳を笑うことも叶わない。
夏色 まつり風に言えばそう、“後の祭り” である。
〜 完 〜