ゴブリンレポート 〜 ゴブリンの生態および正体について 〜
Added 2024-10-25 15:00:00 +0000 UTC【ゴブリンについて】 著者:ポーラ・キャンベル
『ゴブリン』という種を知っているだろうか。
“彼ら” は『小鬼』と表現されることもあるくらいに小柄で、肌の色は緑色をしており、二足で歩き、道具を扱う。
また、言語と呼べるほどのそれは持たないが、“ギャギャッ” という音による意思疎通と簡単なコミュニケーション能力を備え、集団を作るなどの社会性もある。
“小” の文字からも想像できるように、私たち人間で言うところの “子どもっぽい” 生き物だとしても差し支えなく、“イタズラ好き” でも知られている魔物だ。
「 “彼ら” は… 」
そのように書いたのには理由があり、ゴブリンという種は “雄しか存在しない” 。
…では、どのようにして種の存続をしているのか。
その答えはこうで、「彼らは “他生物種の雌を使った無性生殖” で子孫を増やす」とされている。
ゴブリンの特質した点の一つして、「いかなる種の雌であっても孕ますことが可能」だと挙げられる。
ただし、ここで言う “孕ます” とは “見た目が妊娠にそっくりなため” そのように言っているに過ぎず、正確には言い表してはいない。
なぜならゴブリンは、単なる “母体” …もしくは着床する苗 “床” として雌を利用しているだけだからである。
もしも本当に孕ましているならば、“有性生殖” ということになり、雌の遺伝子を半分継承する。
そうなれば血は薄くなり、ゴブリン種の存続が危ぶまれる。
つまりゴブリンは “単為生殖に近く” 、雌に “産ませる” のであって、“孕ませる” のとはちょっとばかし異なるのだが、それでも “孕ます” としたのは便宜上その方が分かりやすいためだ。
ーーー
さて、ゴブリンについて少しは知ることが出来ただろうか?
…であれば、とある疑問が浮かんでいるはず……
そう、「母体となる他生物種の雌はどこから?」という疑問である。
まさか “自分からゴブリンの子を産むという雌など存在するわけがない” のは言うもおろかなことで、彼らの主な手段は “略奪” だとされている。
この略奪行為には “雌を奪う” とは異なるもう一つの要素が含まれており、“子どもっぽい” と前述したように “ただ楽しいから” といった本能的欲求の表れでもある。
略奪した雌は “繁殖用の孕み袋” や “肉の盾” として使われる。
また、その他の略奪品のうち “雄は不要とされ、食用に加工” または “サンドバッグであったり、ボールであってりの遊び道具” となるのが一般的で、残された武具などはゴブリンが身につけて利用する場合もある。
ただし加工肉の調理に火を用いたり、武具を直して再利用したりといった行動は確認されていない。
ーーー
このように狡猾で、原始的だが、一切の文化が無いとも言えないのだ。
彼 “ら” としているように、ゴブリンは単体では弱く、それを補うために “集団” を形成していることが多い。
そんな集団の特徴として挙げられるのは、土や木を用いて家を作るようなことはせず、洞窟などの天然の場所を住み処とし、“明確なヒエラルキーが存在する階級社会の中で暮らしている事” であろう。
階級の指標となるのは分かりやすく “力” であり、強力な個体がヒエラルキーの頂点に立つ。
…とは言え、単純な力のみが……ともいかないのが面白く、知恵をつけ、戦術・戦略で優る個体が上位に居る場合も存在し、突き詰めればそれも “力” とされるのである。
実は、ゴブリンとは『小鬼』と表される者たちだけでない。
進化か、変化か、変異か、亜種か。
その辺りはよく分かっていないが、最も一般的なゴブリンが『小鬼』というだけで、現時点で確認されている種類は全部で4つ。
それらはまんま階級に当て嵌めることができ、“ゴブリンの様態” で区別される。
上から順に…『王小鬼(キング・ゴブリン)』『呪術師小鬼(シャーマン・ゴブリン)』『大小鬼(ホブ・ゴブリン)』……そして最後に『小鬼(ゴブリン)』と並ぶ。
キング・ゴブリンは、その名の通り “一番強く、集団を率いるリーダー” 。
シャーマン・ゴブリンは、“骨などを用いて呪術的なことをしたり、雌を襲う時などに統率したりする” 異質な存在。
ホブ・ゴブリンは『大小鬼』と、“ゴブリンより大きい個体” 。
ゴブリンは“それ以外” の、再三説明してきた者たち。
ただし彼らを、“純粋な仲間意識を持ち合わせた種” と捉えるのは尚早で、略奪品などを巡って争ったりもするし、その際に平気で殺したりもするのだ。
あくまで個では弱いから、それを数で補うための集団に過ぎないのである。
本能による行動が強く、危険と分かれば逃げもする。
学習もするし、集団行動が可能なくらいにはコミュニケーションも取れる。
「知的でなくとも知性はあり、知能は高くない」
これがゴブリンに対する私の総評だ。
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…と、まぁ前置きはこの辺にして……。
私は、ポーラ・キャンベル。
ん?
どこかで見た名前だって?
ほほう、覚えているとは殊勝だね!
先のレポートの著者にして、ゴブリン研究の第一人者。
……なんて言っても、後に続く者が居ないから一も二も無いに等しく、変わり者として知られているんだけどね…。
そんな私がいま居るのは、王都にある中でも最大のアカデミー。
最先端の研究がなされ、あらゆる最新の情報が集まる場所だ。
そこに新設されたのが、私を長とした “ゴブリン研究室” 。
長であり、研究室もあるのだが…… “後に続く者が居ない” と言ったのに加えて、“私が第一人者” でもあることからも察しがつくように、先行した研究者は居なく…専攻する者も居ない。
現状一人だけの研究室である。
まぁ誰が好き好んでこのような “緑の化け物” を調べるのか。
もっと未知の鉱石や、それこそ魔術の研究など、綺麗で神秘的な学問の世界を選ぶのが自然の摂理であり、それを誰が糾弾できようか、いや不可能である。
そんなこんなでゴブリンの研究は進んでおらず、ブルーオーシャンと言っていい。
では、どうしてこの細い分野の研究所が新設されたのか。
それはここが、“全てを知る国” だからであろう。
正式名称を『全知国』と言い、この世すべての事柄を記録してきた “学術国家” 。
そのプライドとメンツのために、“知らない” は許されぬというわけである。
これは、国家の威信をかけた “学問の奨励および誘致” の一環なのだ。
…さて、研究室が置かれたここは “アカデミー” であるからして、広義での学校の形を取っており、研究者の他に “学生” が存在する。
学生は決まって研究室などのゼミに属し、研究者を助けながらの学生生活を送り、その成果を発表して卒業する。
私のまとめた【ゴブリンについて】が唯一の学術書とされるくらいには資料も少なく、専門的な研究をする上において大変なことは否めない。
しかし裏を返せば、どんな些細なことであっても新発見で、簡単なこと一つとっても研究成果となり得る。
その卒業のし易さたるや、およそこれ目当ての馬鹿ばっかが……では無くて、新設の研究室はやはり良く見えるのか人気を博すことも往々にしてあり…晴れて我が研究室にも、若干名の学生が在籍している。
ーーー
「ポーラ女史の研究によれば、雌であってもゴブリンと接触するのは危険なのでは?」
「目の前に居るのだから “女史” なんて面倒な呼び方をする必要は無いわよ? 先生でも、教授でも…ミスでも……」
「へぇ、ポーラ先生って結婚してなかったんだ〜」
「 “ミス” キャロル、何か問題でも?」
「い、いえ、無いです!!」
「…ごほん。アイシャさんがした質問の回答に話を戻しますが、危険は何事にもついてきます。ましてや新たな知見を得ようと冒険をするわけですから避けられるものではありません。この研究室を志望するに当たっては注意書きを読み、“同意” したと思いますが……」
「「「 ………。」」」
「(……この感じ、読まずに同意書へサインしたな…)」
同意書の内容を簡単に記すと以下の通りである。
◼︎ゴブリンの生態を知るため、“雌になること” 。
◼︎ゴブリンの生殖を知るため、“子を孕むこと” 。
◼︎ゴブリン研究における “一切の損害を請求しない” 。
それに付随して、いくつかの注意事項や決まり事も伝えられており……。
◼︎ゴブリンとの接触が不可能な男性は、研究室に所属することが認められない。
◼︎研究の妨げとなるため、事前に処女を喪失しておくこと。
その他にも細かい点はいくつかあるが……彼女らは “これを読んでいない” ということだ。
「(…同意書は国に送っちゃったからなぁ……)」
ゴブリン研究が国を挙げたプロジェクトである以上に、このアカデミーがそもそも国管轄なため、同意は即ち国ないし王への宣誓を意味し……守らなければ “死” を意味する。
「(……もう遅いわね…)」
「ところで先生、研究対象である “実際のゴブリン” は何処に居るのですか?」
この子はフィーナ。
同様に “抜けている部分” もあるが、他の学生よりはマシで、研究に対しての熱を感じる。
「ゴブリンならずっとその “箱庭” に居るわよ」
スイッチを押すと、目の前のスモークガラスが透明に変わる。
「これは “箱庭” と呼ばれる、いわゆる実験施設ね。ゴブリンが住んでいる洞窟に森、それから水場に草原などの自然環境を “人工的に” 作り上げた場所で……国の本気度が伺えるわ…」
「す、すごい。敷地に対して研究室が狭いと思ってたけど、こんな大きなものが隠されていたなんて!!」
「…でも、こんな小さな窓から観察するのは効率悪くないですか?」
「ミス・キャロル? 何を言ってるの??? ムツゴ・ロウの愛称で知られる、かの有名な動物研究家も “自らで触れ合い、戯れる中での共棲” を呼びかけているように、私も研究対象を理解するには、それが一番だと考えているわ。つまり同意書にもあったように、私 “たち” は箱庭に入り、彼らと交流をするのよ。一般的にフィールドワークと呼ばれる正しい手法ね」
「……ここに入るのですか… “接触” って言っても、てっきり檻を挟んで対面くらいのものだと……」
「まぁ安心してください。私だって犯されるために行くのではなく、あくまで研究のためにであって、“いくつもの保険” を用意してあります。“損害” というのも、擦り傷や痣を想定してますし、命を落とす心配は無用です」
「…保険って?」
「例えばゴブリン用の毒であったり、眠り薬であったり……箱庭内では常に私たちのバイタルがチェックされ、危険域に入ると自動で箱庭全体に散布されるようセットされていますし…無性生殖だと知られていますが、万が一に備えて避妊薬も事前に飲んで置きます」
「…てかそうだった。ゴブリンの子を孕むんだった……彼に何て言い訳しようかぁ…」
「は? …いえ、すみません。アイシャさんは彼氏をお持ちで?」
「ええ、そうですけど?」
「……そうですか。いいえ、別に深い意味はないのですが…そうですか。じゃなくて、無性生殖と言ったようにゴブリンの子を産み落としてもアイシャさんの血が含まれているわけではありませんし、我々が認知する必要もないですので、これを浮気と捉えるのであれば彼氏さんに問題ありかと思います。これは至ってまじめな研究であって、申請な実証実験なのですよ!」
「は、はぁ。彼にもそう伝えます…」
ビーッ! ビーーーッ!!
突如、アラートが鳴り始める。
「残念ながらその時間は無さそうなので、事後報告ということでよろしくお願いします!」
「えっ!?」
「この音は、箱庭に連れてくる際に凍結させたゴブリンが目覚めたのを知らせるもので、彼らはこれから雌を探すと考えられます。そのタイミングで接触するのが一番ですから、急ぎましょう!!」
こうして、ポーラ女史とアイシャ、キャロル、フィーナ3名の学生による “ゴブリン研究” が幕を開けるのであった。
ーーーーー
目の前には固く、頑丈そうな扉が存在する。
「まずは “網膜” 。それから “指紋” と “声帯” 。最後に “番号” をっと……」
ポーラが、何重にも掛けられたロックを開ける。
これを安全に開けられるのはポーラだけであり、バイト〇ロのように学生がイタズラで扉を開くことは出来ない仕組みだ。
しかしすぐ隣が箱庭ではなく、扉の向こうには小部屋があり、奥にもう一枚の扉が見えた。
決して壊されることはないと自慢の扉だが、念には念にと二重の構造を取っており、もしも一枚でも壊されれば直ちに通知が送られるようになっている。
ポーラがまとめた文献にもあったように、ゴブリンは人を襲う “可能性があり” 、男性も存在する王国に放たれたら一大事なのだ。
「生態系や文化を壊してはいけないから何も持ち込まないように。荷物は外に置いてね。そっちの扉を閉めるわよ。消毒をするから目を瞑って。はい、避妊薬。この扉の先が箱庭、開けるわよ……」
一刻を争うと、ポーラは急ぎ支度を整え、それから奥の扉の認証を済ます。
扉が開き、緑の草原が広がる。
「うわぁ〜 まるで外 “みたい” 」
「天井の空も “リアル” ね」
「ええ、ゴブリンも “ここが箱庭だ” とは思って居ないでしょう」
初めての箱庭に、思い思いの感想を述べる学生たち。
それを他所目に、ポーラはキョロキョロと辺りを観察する。
「まだ痕跡は無い。ここまでは来ていないようだから、森の方へ進みましょうか」
ポーラたちが森へと入ってから程なくした後、キャロルが声を上げた。
「あ! ゴブリンだ!!」
「アイシャ、初めて見たよ〜」
「私もです」
「皆さん、慌てず、ゴブリンに従って」
「ギャギャッ♪」
獲物(ポーラたち)を見つけ、飛び跳ねながら喜ぶゴブリン。
「ギャッ!!」
「痛っ!?」
近づくや否や、手に持った棍棒で叩いてくる。
「先生? ゴブリンは雌を大切にするんじゃなかったのですか???」
「…そのはずなのだけど……きっと確かめているのよ、抵抗してはダメ」
何か隠している物が無いか、本当に反抗する気が無いか。
それらを調べるかのように叩き、様子を伺う。
「キキッ♪」
満足したようで、棍棒を手放すゴブリン。
「…え、棍棒を捨てた?」
たとえ満足をしたとしても、捨てる必要があるかと問われれば否である。
もしもその必要が生まれるとすれば、それは別の道具を使うためであって……。
「縄っ!? どこから???」
手を縛られ、4人数珠繋ぎに拘束される。
まるで連行中の捕虜さながらの見た目をしており、これが雌として扱いなのかと疑いたくなる。
「こんな器用に、それも道具の特性を理解して使えるなんて新発見だわ!」
そんな状況なのに、ポーラは嬉しそうだった。
「ギャギャギャッ!」
縄を引っ張られ、突っ張るように歩き出す。
「ちょ、早いっ!!」
そうキャロルが言葉を発する。
しかしゴブリンは耳を貸す素振りを見せない。
…まぁゴブリンに人の言葉が通じていないからではあるのだが、おそらく伝わっていたとしても要求が受け入れられることはなかったのだろう。
「ギャッ! ギャッ!」
なぜなら遅れる私たちを気遣うどころか。
むしろ急かすように、無理やり引く手を強めるくらいだからなのだ。
「キャロルさん、頑張って…」
ポーラは励ますことしか出来ず、少し申し訳なさそうであった。
ーーー
しばらく歩くと、ゴブリンの住処だと思われる洞窟が現れた。
そのまま連れられた状態で中へと進む。
「…ひとまず、侵入成功って感じかな?」
「…でも、何処に向かっているんですかね?」
「…確かに、“本能的” と言うわりに襲っては来ない……」
「…私、てっきり森で出会った途端に一発やられるものだと覚悟してたよ〜」
会話をしている間にどうやら目的地へ着いたらしく、4人を引く縄が弛む。
洞窟の最奥、群れの主である “ゴブリン・キング” が座する場所。
「ギャ"ー"ー"ー"ッ"!!!」
先ほどまでとは比べ物にならないほど大きな唸り声が響く。
ここが洞窟内で、反響しやすい環境であることを除いたとしても余りある迫力をしており、彼が “王” だと示していた。
「…言い方はあれだが、私たちは王への献上品というわけか……」
「なるほど。手を出されなかったのも、入念にチェックされたのも納得ですね!!」
「……いや待て、納得とかしてる場合じゃないだろ。“アレ” を見てみろよ、マズいだろっ!」
進んで服を着る習慣のないゴブリンは基本的に丸出しである。
「…でっかぁ///」
「ゴブリン(小鬼)なら平気だと思えたけど、キングは無理だって。壊れて使いもんにならなくなっちまうよっ!」
ゴブリンに対しては人間を保てていても、キング・ゴブリンを前にすれば子犬同然の私たち。
中でも一際キャンキャン吠えたアイシャが目に止まったのか、指を差される。
「(…さすがは彼氏持ちか……)」
一瞬よぎったポーラの思考は的外れであるが、アイシャがキングに選ばれたことは確かであった。
「ギャギャ!!」
「ギッ!」
指示と返事が交わされ、縄を引かれたアイシャがキングの目の前に差し出される。
「うぐっ(嘘でしょ!? よりによって私なの???)」
布の服が、紙切れみたいに破かれる。
目に涙を浮かべながらポーラの方へ顔を向けるアイシャからは、“…先生、大丈夫なんですよね?” と訴えかけられていると分かるが、縛られた……いや、縛られていなくとも…手も足も出すことは叶わない。
「グギッ! グオォォオオオン!!!」
「あ"っ"!? がががががっ!?!?!?」
まさに一突き。
「ばばばばぶb……」
アイシャは失神し、泡を吹く。
「……な、なんてこと…」
ポーラの口から漏れる言葉からは、“想定を超えている” と感じさせるには十分なくらいに感情が乗っている。
「…や、いや、助けてっ!!」
フィーナはパニックを起こして逃げ出そうとするが、もちろん縄が阻害する。
体勢を崩して倒れる音を聞き、ゴブリンがフィーナに気づく。
「ギャッ!」
「お願い、こっちに来ないでっ!!」
それは届かぬ願い。
むしろ反抗的な雌には、躾けが待っている。
「うっ…かはっ……ごめんなさいっ…もうやめて……」
言葉で何と言おうとも意味をなさないが、フィーナにそれを理解できる余裕はない。
「ギャギャッ! ギギギギッ!!!」
執拗に叩き、“弱らせる” 。
強さがヒエラルキーの基準であるゴブリンにとって、これが上下関係を分かられる方法であり、それは雌に対しても適用される。
「………」
疲弊し、声も出せないくらいに弱まった頃、ようやくゴブリンの手が止まった。
「ギャーーーーッ♪」
勝ち誇るゴブリンは、“格付け完了” とでも言っているように思えた。
ーーー
アイシャとフィーナの姿を見て、“行動を起こせ” とは無理が過ぎる。
当然ながらポーラとキャロルは萎縮し、従順な雌になるしか無かった。
「(…平気よ、ポーラ。いずれ安全装置が働くわ……)」
自分に言い聞かせて、鼓舞をする。
「ギギギ、ギャーーース!!」
“異なる声” が聞こえ、見た先には居たのは “ゴブリン・シャーマン” であった。
手にしているのは棍棒では無く、獣の頭蓋骨が付いた…杖であろうか。
「ギギ、ギャギャ、ギッ、ギャギャギャッ」
「(…何やら呪文のようなものを唱えている?)」
シャーマンの鳴き声に反応して、それも “熱を帯びたように” 赤い光を放つ。
「…先生、あれは何です?」
キャロルが問う。
「おそらくだけど…しかし “こんな習慣” があるなんて知らなかった……」
言葉を濁すポーラだが、予想される事はあるらしく。
「私が答えなくても…今に分かるわ……」
その上で、諦めていた。
「ギャーーースッ!!!」
シャーマンが、すぐ側まで距離を詰める。
「キャロルさん、舌を噛まないよう食いしばりなさい」
次の瞬間、例の杖が臀部に押し当てられる。
「あつ"ん"ん"ん"〜"〜"〜"っ"!!!」
“熱を帯びた” は、“ように” でも何でもなく、実際に “赤熱” 。
キャロルが目をひん剥いて苦悶する中、肉の焼けた香ばしい匂いがポーラを襲う。
「(…やっぱり、これは “戦利品” として、“群れの雌” としての証を付けているんだわ……)」
この期に及んでも調査を続けるのは、研究者の性なのか。
…たぶん違う。
そうでもしていないと、正気を保てないのである。
「……次は、私の番だ…」
シャーマンが踵を返し、こちらを向く。
手にしている杖はまだ赤く光っており、それに照らされたシャーマンの顔も赤味を帯びる。
ただでさえ恐ろしい顔が、さらに怖さを増す。
楽しくて笑顔を浮かべるシャーマンの表情も、ポーラには悪魔が微笑んでいるようにしか映らない。
「あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"っ"っ"っ"っ"づづづ(…じょろじょろじょろ……)」
彼らの所有物である証が刻まれたのと同時に、ポーラは失禁した。
ーーー
その後、アイシャとフィーナにも証は刻まれたが……言葉を選ばないのであれば、アイシャを除いた私たち3人は “払い下げられた” 。
フィーナとキャロルは “ホブ・ゴブリン” に与えられ、ポーラは一番下のゴブリン(小鬼)の相手を一気に引き受けているのだ。
「でっかぁ🩵🩵🩵 フィーって呼んでっ🩵🩵🩵」
あれからすっかりフィーナは従順になり、言葉を理解できなくとも伝える “癖” も付いてしまった。
「おんっ💛💛💛 おんっ💛💛💛 おんっ💛💛💛 おんっ💛💛💛」
キャロルもホブ・ゴブリンのデカマラに夢中のようである。
そんな、かく言うポーラは “…私はここでも売れ残りなの……” と傷心気味にも見えるが……。
「前にっ💚 後ろにっ💚💚 二穴最高っ💚💚💚 両手に花ならぬ、両手にちんぽ〜〜〜💚💚💚 ほら、口が空いてるわよ〜💚💚💚 おぶぅっ💚💚💚(引くて数多? ハーレム状態??? たくさんのゴブリンに求められて嬉しいぃぃいいい💚💚💚)」
…とても幸せそうであった。
因みにアイシャはと言うと……。
「 “あんなの” を好きだったなんて信じられないっ!! 旦那様っ❤️❤️❤️ と比べるのも烏滸がましいくらいに弱くて、“小さい” 男……何がって? “ナニが” よ!! アイシャは旦那様のオナホですからっ❤️❤️❤️ いつでも、どこでも使ってくださいっ❤️❤️❤️」
…といった感じで、キング専用の雌としての役割を全うしている。
ーーーーー
ここで犯され、雌になり、生活して、“分かったこと” がいくつかある。
あまり時間を要するのも “ご主人様” に申し訳ないので、この場はその内の一つを紹介するにとどまるが、それはゴブリンの精液には “中毒性” と “催淫効果” があるということだ。
経口であったり、鼻からの匂いであったり、もちろん女性器であったり、接種の方法は多岐に渡るが、いずれの場合も母胎を汚染していき、終いには全身へと広がる。
中でも経口接種……分かりやすく言うと “精飲” 行為は、消化器官からの吸収も同時に起こるため汚染のスピードが早いのに加えて “味覚の変化” も見られ、より精飲を求めるようになり、加速度的に進行する。
また、鼻などの呼吸器においては酸素と共に成分が “脳へ” と送られ、雌から正常な判断を奪うことも確認した。
そして女性器…つまり、生殖活動にも繋がることであるが……ゴブリンを孕み、出産した雌には “母性本能” が芽生える。
これは本当に驚くべきことであるが、もしも子を取り上げようものなら鬼の形相で襲い掛かられ、およそ同種の生物を殺めることにも躊躇はしないだろう。
これが私たちの “最後のレポート(記録)” であり、私たちは “卒業” する。
ーーーーー
「あっ❤️ すみませんっ❤️❤️ ただいま準備しますのでっ❤️❤️❤️」
ゴブリンは数が物を言う種である。
そのため、どんな種族であっても孕み袋に利用し、一度にたくさんの子を孕ますだけでなく、出産・成長にかかる時間も短く進化した。
数日もしない内に辺りはゴブリンで溢れ、“箱庭では手狭な状態” になる。
「おほぉぉぉぉぉおおおおん💚💚💚」
新種の “ゴブリン・ライダー” を背中に乗せ、進軍を告げる音を鳴らす。
「「 おんっ💛🩵💛 おんっ🩵💛🩵 おんっ💛🩵💛 おんっ🩵💛🩵 」」
その後ろには尻太鼓を叩かれながら四つん這いで歩く鼓笛隊が続き、最後尾で指揮を取るのは “キングのデカマラを納めたチンポケース” 兼 “肉壁のオナホ妻” 。
「旦那様のためにっ❤️❤️❤️ “扉を開ける” のよっ❤️❤️❤️」
「はいぃぃいいい💚💚💚」
いかに堅牢な城壁も、城門を開いてしまえば容易に通行可能だ。
鍵となる存在のポーラは、ゴブリンが所有しており、これで通知が送られることはない。
……ポーラ・キャンベル…認証完了。
「開きましたぁ💚💚💚」
数千、数万のゴブリンが放たれる。
全知国は、一日にして崩壊した。