“偽” 催眠アプリを使って夢を叶える女の子の話
Added 2024-11-01 15:00:00 +0000 UTC「あははっww」
「キモーーーっwww」
「学校にエロ本持ってくるなんてサイテーwww」
「こ、これはラノ…」
「は?」
「何が違うの?」
「…てか、文句あるわけ?」
「あ、いや、え…っと……」
「ほんっとムカつく」
「行こう、“美希(みき)” 」
「そうだね」
毎日のように俺の所へ来てまで “文句を垂れる” クラスのカーストTOP3たち。
ムカつくなら構わなければいいのに、中でもこの美希と呼ばれているリーダー格の女子が “執拗にちょっかい” を掛けてくる。
言い返したり、やり返したりなど、強く出れない俺を “良いサンドバッグ” か何かと思って、ストレス発散でもしている気でいるのだろう。
…まさか、“気を引くためにイタズラをする男児” なわけが無いのだから……。
ーーーーー
「あー、毎日毎日飽きないんか? 本当に良くやるよなぁ…」
家に帰り、誰も居ない部屋で呟く。
「俺が本気を出せばサンドバッグになるのはあっちだってのにさぁ……」
これは “本人を前にしなければイキれる隠キャ” を体現したものではなく、実際に “男がその気になれば女は勝てない” ことを述べている。
…とは言え、いっときの感情に流されて手を出してしまったら、あの暴力的なまでに高く・刺すような悲鳴をもってして誰か呼ばれ、停学もしくは退学……あるいは最悪の場合、警察沙汰になりかね無い。
「さっさとネットの世界へ潜って、傷ついた心を癒すとするかぁ………」
そう思った時である。
ピロン♪
スマホに一件の通知が入った。
「ん? めずらしいな。いや、どうせ迷惑メールか企業のメルマガだろ……ガチャの石は溜まるの嬉しいけど、こういう通知は気になっちゃって、溜まるの嫌なんだよね…」
いつの通り “送信者” と “件名” だけ確認してからゴミ箱へ…のはずが、俺は手を止める。
「『MCすたじお』…って、俺が学校で読んでたラノベ『催眠なんてあり得ないっ!? ツン100%の幼馴染みをデレさせたんだ、が?』を出してるところじゃんか……しかし、どうしてメールなんか届いたんだ??? エロゲ起動するのにユーザー登録した記憶はあるけど、新作が出るって情報も無かったと思うし…」
小説から漫画にアニメ、そしてゲームに至るまで、“MC(マインドコントロール)” ……つまりは “催眠・洗脳” に関するジャンルであれば網羅しているのが『MCスタジオ』という制作会社だ。
先出人だけがはっきりとしているが件名は空欄で、本文らしきものも見当たらない。
「URLが一つ貼ってあるだけ? 本物か???」
こうもピンポイントにユーザーを狙って送信してきている以上は “本物である可能性の方が高い” のだが、内容が不透明すぎるが故に、企業を装った偽サイトへの誘導なんかを疑うのも無理はない。
「……顧客情報が漏れたって…ことは無いか。何の目的があってエロゲユーザーに標的を向けるんだか分からないしな、少し怪しいけど…」
通販サイトなら住所やカード番号など、大切な情報が多分に存在する。
しかし登録されているのは、メールアドレスにユーザーネーム…それもニックネームのような本名でないそれに、とても価値があるとは思えない。
俺は画面をタップし、リンク先にとんだ。
「うわっ!? 何だこれ? 勝手にアプリがインストールされてる???」
アプリのダウンロードページが開かれることはあれど、“勝手に” ということはない。
「もう40%!? くそっ固まってるのか? 操作が効かないっ!!」
スマホは、進捗状況を知らせるプログレスバーが表示された状態で止まっている。
「…マジかよ」
まさか “本当にマルウェアだったとは” と嘆く。
「……あれは冗談ですやん」
頭では考えていても “現実には俺が手を上げないように” 、予想はあくまで予想であり、本気にされては困るのだ。
「99%……100%…あ、インストールが終わった」
結局、俺はただ待つことしか出来なかった。
「…目に波紋?」
アプリのアイコンは、ぼんやりと紫色をした背景に波紋が浮かび、中心に目ん玉が添えられている。
「…名前は……えっ!?」
スマホに続いて、今度は俺がフリーズした。
「…まさか偽物じゃ……無かったのか?」
アプリの名は『あぷりずMC』。
俺がフリーズし、疑問に感じたのは、決して “ず('s)” の使い方が変だという理由からでは無い。
「これって『MCすたじお』にそっくりじゃないか?」
順番の前後はあれど、“MC×ひらがな” という名前の付け方が同じだったためである。
我ながら単純だと思うが、視線然り…意識然り……人とは案外 “誘導しやすい生き物” で、知っているモノには簡単に心を許してしまう。
今この瞬間もそうで、俺の中にあったはずの警戒心は消えて無くなった。
「ああ、きっと間違えて送信ボタンでも押してしまったんだな」
こうなってしまえば早く、あとは自分に都合が良くなるような言い訳を考えるだけだ。
送信前に確認のポップが…。
送信されているのが俺だけ……。
すぐに訂正のメールが来ない………。
なんて言った感じの、ちょっとやそっとの矛盾が目に入ることはない。
むしろ “俺だけが” と優越感に浸り、ほんの火遊び感覚で “危険だと分かっていても” 冒険したくなるものである。
「インストールされちまったんだ。せっかくだし開いてみるか…」
アプリを起動した途端、黄色と黒の縞々模様が画面を埋める。
「うおっ!? 目が、目がぁ〜〜〜!!!」
某大佐の如きリアクションを取るのは、日本人の…いや、オタクの性である。
「……じゃなくて、“注意書き” か…」
どうやら初回起動時の説明および注意事項を見逃さないよう、警戒色が使われていたらしい。
効果抜群…ではなく、効果覿面……俺の反応からしてみても、非常に効果的だ。
「…なになに……『① 何度でも利用可能ですが、② 対象は一人だけ、③ 一度使用すると、以降は同一の人物にしか使えません(効果はありません)』か。………は?」
あたかも “知ってるだろ” と圧を感じさせるが、ここには “一番大切な説明が抜けていた” 。
「…これ、“催眠アプリ” なんだよな? 信じるかは別として……」
見方を変えれば、“後から言ってないぞ” と責任逃れをされそうな。
“そっちが勝手に勘違いしただけだ” とでもハシゴを外されそうな。
もしかすれば、“〇〇” と伏字にされることを見越しての、敢えて “名前を出してはいけないあの人” 的な扱いなのか。
「意外と設定が細いようだけど、流石に “ジョークグッズ” ってことでおk?」
仮に俺が考える通りだとして、いったい何の役に立つのか。
「う〜ん、でもそうなると……小学生の時にやった “この紋所が目に入らぬか” みたいな感じで、友達に見せて “オラ!催眠!” ごっこができるくらいしか思いつかんな…」
実に馬鹿馬鹿しいが、ジョークとしては一級品かも知れない。
画面の文字を一通り読んだ俺は、“次へ” をタップし進む。
『日頃の鬱憤を晴らすチャンスですっ! パワハラ上司に “学校のいじめっ子” 、隣の奥さんからアイドルまで、あなたの言う通り・好き放題に出来るんですっ!! 後悔はさせません、“騙された” と思って是非っ!!!』
「………(確かに “どうにか見返してやりたい、いつかは復讐してやりたい” と考えていたけれども……不確実で、一度きりのチャンス…試すにも試せず、失敗すれば目も当てられない)フィクションとノンフィクションの区別もつかないで、“催眠アプリ” を信じる妄想オタクとして一生コケにされるんだろなぁ……」
しかし、“今と大して変わらないじゃないか” と言われれば “ぐうの音も出ず” 。
ましてや “現状が大事か” と問われれば “全くそんな事はない” 。
それよか “チャレンジして失う怖さ” よりも “得られるモノの方が遥かに価値がある” 。
「やらずに過ごしても、やって失敗しても同じ。どうせ卒業 “まで” 続く…いや、“しか” 続かないんだから、“やらずに後悔するより、やって後悔するべき” だな……とすればやっぱり対象は “美希” か?」
一人だけなら “リーダー格” を狙うのが定石。
それを足掛かりに他の女子を詰めることも出来るかも知れないし、そうでなくとも集団が瓦解すれば御の字で、俺の学園生活に平穏が訪れるのだ。
「明るい未来を想像するだけで楽しくなってきたっ!! …けど、そんな明日に備えて……zzZZZ」
ーーーーー
「こんなところに呼び出して何の用なの???」
次の日の放課後、俺は旧校舎へ美希を誘い出すことに成功した。
「さ、サボれる場所を探してたから…ここなんかどうかなぁって……」
「はぁ? 汚いしカビ臭いしで最悪なんですけど??? それとも何? オタクくんが掃除でもしてくれるわけ???」
“一人であっても” 、普段通り強気な美希。
「………(取り巻きも一緒に来られたら…と思ったが、一先ずは安心だな。もしもダメだったら色々と終わるが、今だって終わってるようなもの……な、なんとかなれーーーーッ!!!)これを見ろっ! 催眠だっ!! 服を脱げっ!!!」
「あ"あ"?」
「えっ!?(やっぱり効いてないじゃ無いかっ!?)」
“反射的に” 威圧的な返しを “してしまう” 美希。
「(やべっ)」
…けれどもすぐに “催眠だ” と気付き……
「ワカリマシタ、フクヲヌギマス」
次の瞬間 “わざとらしいカタコトで、感情や意識のこもっていない素ぶりを見せ” 、三角タイに手をかける。
しゅるっと擦れる音がして、はらりと床に落ちる。
……ジジジジ…バサっ。
脇のファスナーを上げ、それからセーラー服の上を “脱ぎ” 、地面に捨てた。
「………(おいおい、下着は白に決まってるだろっ! 黒の下着とかエロ…じゃなくて、校則違反だぞっ!!……でもなく、俺の命令に従ってるっ!? こいつは本物だ。驚かせやがって)」
目の前で起きていることが信じられず、混乱気味の俺をよそ目に、続けて美希は腰へと手をやる。
「(…ごくり……)」
もう少し恥じらいを持ってくれてもと思うが、ストリップショーのような焦らしもなく淡々と進む。
ドサっ。
緩んだスカートは自由落下する。
手を後ろに回し、ブラホックを外し、ショーツも下す。
後に残すは靴下のみと言ったところで俺は声を出した。
「す、ストップ」
その場でピタリと止まり、靴下に手を触れたまま前屈みで動かない。
「(ああ、ストップだから止まったのか)脱ぐのを止めて姿勢を正せ。あ、そうだ。意識だけは元に戻るが、体のコントールはそのまま」
もはや定番中の定番シチュエーションである。
「…ん、あれ? 意識が飛んでいたような……っ!? 何で裸なんだっ! つか、動けないっ!!」
「いいねぇ♪ そうそう、その感じ、堪んないなぁ♪♪」
「おい、お前っ、何をした? 知ってるんだろ???」
「教えてあげても良いけど……」
「早く教えろっ!!!」
「…ああもう、うるさいなぁ。状況も、立場も分かってない雌には躾が必要か? ほら、しゃがめよ」
「あ"? 躾だ??? 誰がしゃがむかって…うそっ!? 体が勝手に……」
「まずは、その減らない “口から” だな。咥えろ」
「くそっ誰に向かってそんな口、お"っ"!?」
ジュボっ、ジュボっ、ジュボっ。
ジュルジュルジュル。
ジュポっ。
「うぉっ! 気持ち良すぎて出るっ!!」
「(え、もう出るのっ? オタクくんまじ早漏…)」
「うっ!!! 飲めっ」
ゴクゴクゴク。
「ちゃんと飲めたか開けて見せろ」
「あ〜〜〜っ///(ちょっ、これ恥ずかしい///)」
「…よし。そうだなぁ、人から何か貰ったら言うことがあるだろ?」
「ご、ご馳走様でしたっ♡」
「そうか、“ご馳走” か。気に入ったならまた恵んでやるよww」
「こっちが何もできないのをいいことに好き勝手しやがって …ご馳走? 本心なわけないだろっ/// ……体が自由になったら覚えておけよっ!」
「ははっ体が自由に? そんな日は二度と来ないよ。君は今日から俺のモノ。“俺の” なんだから好きに扱って良いよな? 君じゃ他人すぎるし、たしか名前は…美希だったか?」
「私がお前のだとっ♡ それと軽々しく名前で呼ぶなっ///」
「でもそれは、“今日までの清算を済ませた後の話” 。美希、謝罪しろ」
「私は何も悪いことなんて、だから謝罪……ハイ、タダイマ “ジュンビ” イタシマス…」
「(準備?)」
そう言うと、散らばった制服を綺麗に畳み始める。
それが終わると、カバンを漁り学生証を取り出す。
「(そこまでの指示はしてないけど?)」
どこからかスタンドを用意しスマホをセットすると、カメラアプリを起動して録画を開始した。
「(手際がいいな)」
美希は靴下だけのほぼ全裸な状態で、学生証が上に置かれた制服の横に正座している。
「(これ、進〇ゼミで習ったやつだっ!)」
※ 〇研ゼミで習うことは絶対にありません。
「ミキはオタク様に多大なるご迷惑と…」
「あーそういう御託は良いんだよ」
「ごめんなさいっ! “何でも” するから許してくださいっ!!」
「ん? 今 “何でも” って???(それだよっ! グッジョブ!!)」
美希の土下座と言質、それにこれが本人である証拠の学生証。
その全て収まった究極の映像が完成した。
「もう逆らえないなぁ?」
「あ、ああ……(っ♡♡♡)」
「(正直 “命令以上の行動” で驚く点もあるが、これは “保険” に使える。このアプリの仕様を理解しているわけでもないから、距離で解けるとか、時間で解けるとか、何かの拍子で突然…なんて事もないとは言えない。基本は催眠で言うこと聞かせれば問題ないけど、実に “便利な” のが手に入ったな……あとで見返してシコろうっと)」
二重の意味で “便利な” 映像を手に入れ、ご満悦の俺は調子に乗った。
「美希、今日から俺の “彼女” になれ」
自分のことを散々苦しめてきた相手を “下働きの奴隷” や “肉便器などの性奴隷” にせず、そこはせめて “セフレだろ?” という場面なのに “彼女” を選択したのは、俺が “童貞を拗らせたオタクくん” だからである。
ぐへへな展開も良いが、うふふな展開も悪くない。
クラスのカーストTOP、オタクに優しいギャル、高嶺の花のヒロイン。
そんな美希と付き合うなんて、正にアニメや漫画などの創作の世界。
真に望むのはハーレムだが、からかい以外で女子と無縁の俺には高望みだと弁えている。
これが催眠だとしても、純に女の子と関係を持てる機会は他にないのだ。
「はいぃぃ♡ 美希わぁ、今日からオタクくんの彼女になりましゅぅ♡♡ 嬉しいっ♡♡♡」
「(……随分とあっさり…)まぁ、これが催眠の力か」
「…催眠? ……なるほど、そういうことだったのね???」
うっかりと口に出してしまうが、催眠状態の美希には今更どうすることもできないので、“ネタバラシ” と俺は隠さずに話す。
この時の俺は、実に滑稽で…さも勝ち誇ったように……己を中心に世界が回っているとでも思い、息巻いていたのだろう。
「これさ」
「『あぷりずMC』?」
「原理も “経緯も” 良く分からんが、“催眠アプリ” ってやつだよ」
「ふーん」
「おや、冷静なんだね? てっきりスマホを奪うために暴れたり、誰か助けを呼ぶために喚いたりするもんだと思っていたけど…」
「どうせしても、催眠で止めるだけでしょ?」
「事前に “したくても出来ないように催眠をかけた” と言った方が正しいんだけど、動けなかったり声が出なかったりで “やろう” とは出来るはずだから、その素ぶりも見せないのは落ち着いてるなぁって…」
「(…そうだった。あれは暗示で、私は覚えてないんだった……無理だと分かってる前提で反応しちゃったじゃん!)」
ーーー
私の名前は美希。
名前に負けず、クラスでも一番の “美” 女。
もう知ってる?
突然どうしたって?
いやぁ、オタクくんが “ネタバラシ” とかしてるから〜
私 “も” と思って!
時間もあれだし、三行で説明すると……
◼︎ これは催眠では無くかかったフリで、本当は元からオタクくんのことが好き。
◼︎ 少し暴力的な性格と周りからの目線や自分の立場からどうすればいいか分からず、好きな子をいじめる子どものようになっていた。
◼︎ “偽” の催眠アプリを送ったのはもちろん私で、晴れてオタクくんの女になるという夢を叶えたというわけ。
…だから、オタクくんが “忘れるように” と仕込んだ暗示もバッチリ聞いて覚えていたし、反応ミスちゃったんだよね。
それにしても “オタクくんが呼んでる本を調べて、引っ掛かるように誘導し、私に使うよう仕向ける” のは大変だったなぁ〜って、感慨に耽ってる場合じゃないわ!
向こうへ戻らなきゃ!!
ーーー
「…気が動転して逆に何も出来なかったと言うか……」
「ま、別にどうだって良いんだけどね。それよりも明日からどうするかだよな〜」
「…何のこと?」
「彼女になったんだ」
「…彼女っ/// ……に “した” の間違いでしょ?」
「同じだろ?」
「違うわよ!」
「「( カップルっぽい )」」
「…こんなに綺麗なアクセサリーを手に入れたんだし、見せびらかしたいが……」
「(綺麗って///)私をアクセサリー扱い?」
「それに学校でイチャコラもしたいけど……」
「(イチャコラって///)そんなの100%怪しまれるわよ?」
「怪しまれるくらいで済めば良いで、通報されるかも……」
「(……それは困るけれども…)当然の流れね!」
「彼女なんだから、美希は俺を庇えよな!!」
「催眠で嫌々よ…それに、“さっきの映像” も……」
「そうだっ! その手があった!! 誰も催眠なんて非科学的な存在を信じないし、考えないはず…」
「(いの一番に飛びついて、私に催眠をかけようとした人の発言とは思えないわ)」
「美希の意思だってことにすれば、クラスメイトも教師も警察も、それに取り巻きだって手を出せない!!!」
「もしかしてあれを流すんじゃないよね?」
「まさか、そんなことをしたら返って何が起こるか分かったもんじゃない。危険すぎるだろ?」
「(良かったぁ〜 オタクくん以外に裸を見られるのは勘弁だしぃ〜〜〜)そ、そうね。流石に “脅されてるのでは” と、大人も動くでしょうし……でも、それならどうするつもりなの?」
「単純な話さ。明日、朝礼のときにでもクラスメイトの前で宣言してもらうだけで構わないよ」
「(簡単に言ってくれちゃって、それって自らでこれまでの人生にピリオドを打つってことなのよ? カーストTOPの私が、WORSTのオタクくんと付き合うなんて…っ♡♡♡)…分かったわ、けれど責任は取ってよね?」
「…責任?」
ーーーーー 次の日、朝の会にて。
美希は有る事無い事、あーだこーだ、無い事有る事、あーだこーだ、無い事無い事、あーだこーだ…と、教壇に立っておよそ10分間にも及ぶスピーチをしている。
「(……催眠ってすごいな…)」
そんな感想が出てくる程度には、催眠の影響とは思えないような “俺を褒め、好きだと豪語する言葉が次々に出てくる” のだ。
「(こんなにたくさん、一朝一夕で思いつくものなのか?)」
こうして大量の理由づけをした後に、最後の締めとしてこれまで以上に力を込めて言い放つ。
「美希はオタクくんと結婚することになったので、誰であっても今後一切の手出しを許しませんっ!」
「(ちょっと待って!? そこまで言ってないってっ!!!)」
「てへぺろ(・ω<)」
この日、美希は “既成事実” を作ることに成功するのであった。