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macaroon(まかろん) from fanbox
macaroon(まかろん)

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デバフについて学ぼう! 本日の講師はサキュバスです!!

 ここは魔王城。

 赤い月が浮かぶ異界。

 24時間、365日変わらぬ空を見て良い天気と言うのも、魔物が犇く魔界を平和と言うのも可笑しな話かも知れないが、今日も実に平穏で清々しいと言える。


「ふぁ〜〜〜 よく寝たっ!」


 俺の名はガダン。

 魔王ダモスの息子であり、詰まるところの次期魔王である。


「おはようございます、ガダン様」


 こいつはメイドの……ん? 誰だ???


「…オリラーネで御座います」


 そうそう、オリラーネだ。

 魔王軍幹部にして参謀(お色気担当)。

 紫色の肌に小さな羽と尻尾を持ったサキュバス種。


「……で、どうしてオリラーネが僕の…じゃなくて俺の部屋に居るんだ?」

「(ふふふ、坊っちゃまったらぁ〜 別に “僕” でもよろしいのに、格好をつけて “俺” だなんてお年頃ですのね♪)」

「…オリラーネ?」

「あ、申し訳ありません。少し考え事を……どうしてここに居るかでしたっけ? それは、“本日の講師” が私だからですよ!」

「あれ? そうだったっけ???」

「先日、きちんと申し上げた筈ですが…」

「そうか。今日は “お色気” の授業なのか……」

「…何だか残念そうですね? 私では不服ですか? ……じゃないですっ!? 何を勝手にお色気の授業にしてくれてんですかっ!」

「え、違うのか? だってオリラーネって父上んとこのお色気担当(参謀)だろ???」

「逆です。いえ、それも違いますね。ただの参謀です」

「そうだったのか!? 驚き、桃の木…」

「山椒の木っ♪」

「おおー」

「………」

「ごめん」

「いいえ、ガダン様に乗っかった私も私ですので…」

「ところでオリラーネ。真面目な話、今日は何を学ぶんだ?」

「……散々掻き回しておいてガダン様がそれを言うのですか、まぁ良いでしょう…本日学んでいただくのは “状態異常” について、“デバフ” とも呼ばれるものです!」

「ええ〜 俺はもっと力で圧倒する感じがいいんだけど〜〜〜」

「あら、ガダン様はデバフを甘く見ておいでですね?」

「当たり前だろ? デバフなんて “弱いやつ” か “卑怯なやつ” が使うもんじゃんか!」

「うーん、一概に否定も出来ませんが…だからこそです」

「どういうこと?」

「ガダン様の仰るとおり、デバフとは “弱者が強者に対抗するための手段” です。つまりはガダン様 “が” ではなく、ガダン様 “に” というケースが考えられ、そのために特化していているデバフは少なからず強者であるガダン様にも有効だと言うことです」

「え、俺にも効くのか?」

「…残念ながら……」

「それじゃ父上も危険だってことじゃないか!? 教えて差し上げないとっ!」

「お待ちくださいガダン様。当然魔王様も存じておりますし、ご心配はありません。魔王様にも、ガダン様にも有効だと言うのは、“全くの無防備な状態であるなら” に限った話です。ちゃんと学んで知識をつけ、それぞれに対処できるようになれば問題なく、魔王様はすでに学習済みですから……」

「父上も通った道と言うわけだなっ!」

「そうですね(…魔王様も登られた階段……)」

「なら仕方ない。そのデバフの授業とやらを始めようじゃないか!」

「やる気になっていただけて嬉しいです♪ それではこちらの映像をご覧ください」


ーーーーー


『ただのスライムか。ここは魔力を温存して…えいっ! やっ!! はぁぁぁああっ!!!』


「オリラーネ、この映像は何だ?」

「これは “シャドウアイ” に記録された映像です」


 目玉に羽が生えたような形をした蝙蝠型の魔物。

 サキュバス種の眷属的存在で、オリラーネの部下たちである。

 見たものを “リアルタイム” または “記録” し、別の場所に飛ばすことが出来る優れ(魔)物。


「それは知ってる。そうじゃなくて、この人間は一体何をしているんだ?」


 映像に映る人間のメスは、魔王軍の下っ端も下っ端の魔物であるスライムと対峙しており……。


「木の杖で殴っていますね」

「スライムに対して “物理” って、頭でもおかしいのか?」


 スライムを相手に油断し、舐め切っている様子の人間。

 スライムとは、その体の99%が水であり、それを魔力で形作っているに過ぎず……。


「あの状態のスライムは全ての衝撃を吸収する…と言うより、受け流すと言った方が正しくて……」


 つまり、人間のメスがスライムに行なっている攻撃は意味を成していないのだ。


「…その通りです。スライムを倒すなら “魔法攻撃一択” ……けれどもそれは、ガダン様がスライムの性質を理解しているから考えつくことなのです」

「あっ!」

「ふふっ、デバフを学ぶことの大切さを分かって貰えましたか?」

「うんっ!!」

「(坊っちゃまは本当に可愛らしいのですからっ♪)」

「…でもさオリラーネ?」

「はい、何でしょう?」

「デバフの大切さについてはもう分かったからさ、他のやつ無いの? ただ叩くだけで、変わり映えのしない映像を見ててもつまんないよ(ぐ〜〜〜っ)。それにスライム見てるとお腹が空いて来ちゃったし…あいつら、凍らせるとシャリシャリして美味しいんだよな〜」

「そんなことをするのは魔王様とガダン様くらいのもので……」

「そうなのっ!? ソーダ味で美味いんだぞ?」

「へぇ、案外見た目通りの味なんですね……まぁそれはそれとして、ガダン様の言う通りデバフに関する映像に切り替え…」

「おいっ、オリラーネっ! スライムがっ!?」


 それは突然に起こった。

 “これでトドメよ!” と言わんばかり勢いで、スライムを殴った時のことである。

 もう一度言うと、スライムは全くもってノーダメージなわけだが、人間のメスが “弱っている” と勘違いをしたのはスライムがぷるぷると震え出したからだ。


 何十回、何百回と与えられた振動がスライムの中で反響しただけに過ぎなかった。

 しかし引き金となったのは例の “トドメの一撃” であり、まさに “最後の決め手” 。

 これを受けたスライムの様子が変化したのだ。


「そんなに大きな声を出して、どうしたと言うのですかガダン様?」

「いや、だからさ。スライムが…」


 オリラーネが目を離した一瞬のうちに、人間のメスが “黒く、焦げたように” 変わっている。

 そして傍らには、水色ではなく黄色の……それも “電気を纏った” スライムが飛び跳ねていた。


「おや? これは珍しい。あのスライム、“進化” してますね!」

「スライムが進化するなんて聞いたことないぞ?」

「まぁご存知無いのも仕方ありません。私たちのような上位種は、生まれながらにしてこの状態ですから縁のない話。しかしスライムやゴブリンなどの下級の魔物は、進化もとい変化することで強くなるのです」

「じゃあ四天王のゴブリンキングも元はただのゴブリンだったのか?」

「その通りです。しかし私もこうして進化を見たのは数えるくらいで、それくらい稀なことですからガダン様は運がいいですね!」


 そんなガダンに対して、運がないのは人間のメスである。


「…して、ガダン様。進化したと言うことは、これからが見ものですよっ♪」


 見た目こそ黒焦げだが息はあり、かろうじて生きている。

 しかしながらそれもまた、実に “運がない” 。

 “運も実力のうち” と言うが、これは慢心して実力を発揮しなかった結果なのだから言い得て妙である。

 そして少しでも運が味方してくれていたら、こうはならなかったかも知れないし、安らかに眠れたかも知れない。


 …だが残念なことに、運は敵であるガダンに味方したのだ。


 暗く、辺りに誰もいない洞窟。

 叫んでも助けなどは来ず、身動きも碌に取れなくなった状況。

 謂わば人間のメスとスライムの密室空間。


(※ シャドウアイも居るよっ!)


 何も起きないはずがなく……。


「あっ! 人間のメスが逃げるぞっ!! …でも、なんだか様子がおかしい???」

「お気づきになりましたか。あれは “麻痺” ……そうです。デバフでございます♪」

「おっ! きたきたデバフっ!!」

「…強い衝撃をくらって発生した “体の痺れ” や、植物・魔物が放つ粉などによる “神経の麻痺” 。今回のように、電気が流れることで起こる “マヒ” ……」

「…シビれ? ……まひ???」

「はい。種類は多岐に渡りますが、どれも一貫して “行動力の低下” を引き起こします」

「動きづらくなるってことだな!」

「ええ、その通りです。どんなに強くても動かなければただの的ですし、抵抗できなければ好き放題されるだけで…かくゆう私の “魅了” も似たようなものですから、やりたい放題っ♡♡♡ ……」

「………(やっぱり脳内ピンクのお色気担当じゃん!)…オリラーネ、漏れてるよ……」

「失敬、失敬」


 一応、きちんと座学らしいことをするガダンとオリラーネ。

 そうこうしているうちに映像の向こう側では、ことが起き始めようとしていた。


 “ビクっ! ビクっ!” と跳ねるのは、スライムではなく人間のメス。


 人の体と電気は相性が良く、相性が悪い。

 人の体はほとんどが水分でできており、電気を通しやすい。

 人の体は常に電気信号を流すことで体を動かしており、電気の通しやすさはそれに一役買っていると言えよう。


 しかし同時に、体中に張り巡らされた血液とよばれる水路は、まるで回路のように電気を流す。


 焦げたように黒くなったのは電気が流れたからで、その影響で体は言うことを気かず麻痺状態。

 そんな人間のメスに対して、バチバチと威嚇でもするみたく、あるいは格好の獲物を前にパキパキと指の骨でも鳴らすかの如く、体に纏った電気を放電しながらスライムが這い寄る。


 どうにか逃げようとするが、麻痺した体では立ち上がることは叶わない。

 必死になって、後ろも顧みず一心不乱に匍匐前進をする人間のメス。


 けれどもスライムの進む速度の方が上で、次第に距離は縮んでいき、ついには足元へと辿り着かれる。

 足先からふくらはぎ、太もも…お尻に、背中……。


 触れただけでも痺れを引き起こすスライムが体を這えば、当然その部分は敏感に反応してしまうし、感覚が麻痺すれば自然と…。


「うわっ!? きったね!!」


 “色々なモノが漏れ出てくる” 。

 

「…どうですか? ガダン様。麻痺とは……感覚を奪い、尊厳も奪うのですよ♪」


 そうは言っても、命を天秤に掛ければ一時の恥など気にしてはいられず……いや、もしかすれば人間のメスは “漏らしたことに気づいてすらいない” のかも知れないが…下半身を汚物でドロドロにしながら逃げている。


 背中を通過したスライムは、そのまま首を上って頭の後ろへと移動し、“耳” や “鼻” ……そして “口” などの穴という穴へと侵入する。


 そこまで来てようやく事態に気がつき、溺れるような感覚の中でジタバタと手足を動かして踠くが、本人が思っている以上に手足は動いてはいない。

 …まぁこの場合、やはり “動かせていない” と言うのが正しい。

 しかしこの小さな抵抗さえも、スライムが人間のメスの体に入り切ったタイミングで “完全に止んだ” 。


 静寂に包まれる中で、仰向けに横たわる人間のメスの体。


「…死んだのか?」

「……どうでしょう?」


 ガダンとオリラーネが言うが直後、人間のメスの体が大きく跳ねる。


『カラダ! カラダ! ニクノカラダ!』


 立ち上がって言葉を発するが、目の焦点は定まっておらず、体も全体的に力が抜けていてダランとしている。

 覇気がない…いや、生気が感じられない。


『ナカマフヤス! ナカマウム!』


 はしゃぐように言葉を発し、それと連動するように “口からはスライムが溢れ出る” 。

 それを気にする様子が見られないどころか、両手を使って服を破き始めた。


『コレ、イラナイ! ジャマ! ジャマ!』


 瞬く間に服だった物が布切れへと変わり、辺りに散乱する。

 最後に残った白い布も、一切の躊躇なく破かれ、地面へと放り投げられる。

 そして、その代わりと言って良いのか。

 口からこぼれ落ちたスライムを地面から掬い上げると、あろうことか自身の秘部へと近づけた。


「なぁオリラーネ、あのメスは狂ってしまったのか?」

「う〜ん、そうですねぇ。何と言えば良いのでしょうか。あれはもう “人間のメスではありません” ね!」

「そうなのかっ!?」

「ええ、その証拠に……」


 秘部に当れられたスライムは、何の抵抗も受けずに中へと入っていく。

 しばらくしてボコボコっとお腹が膨らみ、まるで子を孕んだ妊婦のようである。


『ナカマ! ナカマ!! ナカマ!!!』


 次の瞬間、入ったよりも遥かに大量のスライムが放出された。


「すっごい勢いだな…にしても、あんなに居たっけ?」

「お腹の中で増えたのですっ♡♡♡ あ〜神秘ですね〜〜〜♡♡♡ 美しい、美しすぎて濡れてしまいますっ♡♡♡」

「後半は何を言ってるのか俺には分からないから、オリラーネがいつもしている発作だとして……」

「(…坊っちゃま。辛辣ですね、悲しいです……)」

「増えたってのは、人間のメスとスライムが生殖したということなのか!?」

「 “人間 × スライム” = “スライム娘” が誕生しないことも無いですが、この場合は人間のメスの体を母体…いわゆる “苗床” としてスライムを生み出した感じですね。つまり、先ほど “その証拠に” と申し上げたのは……この体はすでにスライムに乗っ取られ、ただスライムを生産するだけの肉に成り果てたのが分かったからです」


 そんな話をしている間も映像の中では、肉の体を手にしたスライムがはしゃいでいる。


「アハ! アハハ!! アハハハ!!! フヤスノ、タノシイッ♪ フヤスノ、キモチイイィ♡」


 入れては出して、出しては入れてを繰り返す。

 一面がスライムで埋もれ、いつしかスライムの海が出来上がり、人間のメスの体が見えなくなったところで映像も終了した。


ーーーーー


「ガダン様、素晴らしい映像でしたねっ♡♡♡」

 “恐ろしい” ではなく “素晴らしい” 。


「うん。勉強になったし、もっと知っておく必要があると感じたよ!」

「ふふっそうですか、スライム姦についてもっと知りたいのですね?」

「…いや、デバフの話だけど……」

「………。麻痺の他にも…」


 少しの間を置いて、オリラーネは何事も無かったかのように話し出した。


「例えば “混乱” ですが…」

「仲間を同士で戦わせるんだな!」

「いいえ、“襲い” 合わせるのですっ♡♡♡」

「(ん? 何が違うんだ???)」


「また、“毒” の場合は……」

「弱ったところを倒す?」

「惜しいですね、解毒を餌に “襲う” のですっ♡♡♡」

「(え、また襲うのか!?)」


「そして “睡眠” は、夢の中でも、現実でも………」

「分かったぞっ! 襲うんだなっ!!」

「正解ですっ♪ よく分かりましたね?」

「(オリラーネの答えが “襲う” 一辺倒だったのもあるけど…)ゲームに精神を取られた状態の女の子が、ゲームの中では違法パッチを使われて襲われたり…外では意識を失っている間に襲われるってのを……」

「なんですか、そのエロ同人みたいな展開はっ!? …と言いますか、ガダン様はどこでそんな知識を?(何も知らないと思っていたけど、意外と進んでいるのか???)」

「エロ同人? ってのは何のことだかさっぱりだけど、俺が話したことは “父上の部屋にあった書物” に書いてあったことで……まさかデバフに関するものだったとはな! あの時の俺には理解できなかったが、今なら大切そうにしまってあった理由もよく分かる。非常に重要な…」

「はははは…そのくらいで勘弁してあげてください……(魔王様にそんな趣味が…図らずして知ってしまい非常に気まずいですね。次に会った時どうしましょうか……)」


 (くしゅん。…風邪でも引いたか?)


 思いもよらぬところからの飛び火で、知らぬ間に火傷を負う魔王であった。


「…そうか? それにしても、デバフとは奥が深いな! さっそく試してくるっ!!」

「あ、待って…」


 オリラーネが静止するよりも早く、ガダンは部屋を飛び出した。


「…って、行ってしまいました。最後は私の魅了デバフで実技と洒落込みたかったのですが……まぁ、外で走り回る方が好きなお年頃ですし、仕方ありませんか。ここまで “見せられた” だけでも、デュフフ♡ デュフフフ♡♡ 成長が楽しみですねっ♡♡♡」


 授業と称してオラリーネは、性知識の無いガダンにHな映像を見せてニヤニヤと悦に浸っていたのである。


「食いつくように見ているガダン様の姿、ゾクゾクしちゃいましたぁ♡♡♡ …とは言え、デバフを学ぶことが必要なのは本当ですし、これも勉学のためですから……さて、一仕事終えたわけだし、早く部屋に帰って “シャドウアイで隠し撮りした坊っちゃま” をオカズにオナニーしよ〜っと♡♡♡」


 …ここは魔王城。

 ……赤い月が浮かぶ異界。

 ………今日も平和な一日が終わった。


〜 完 〜



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