たとえば。 なんの力もないのに、誰かを助けたいと思ってしまったら、どうすればいいんだろう? なんの取り得もないのに、誰かが傷つかない未来を夢見てしまったら、どうすればいいんだろう? 願いを叶えるための力があれば、いいのかな? わたしは――。 ※ 美化委員会の活動をしていたら、帰りが遅くなった。光瀬瑠璃は早足で、薄暗い公園を通り抜けていた。 セーラー服を着た、ちょっとだけ小柄な少女だ。少し色の薄いボブカットの髪と、級友に子供っぽいとからかわれる大きめの瞳、いつも少し困ったように下がっている眉。ぱたぱたと走る様子も、どこかまだあどけなさが抜けきっていない印象を与える。 暗くなったら、この公園は通ってはいけないと両親に言われていた。瑠璃もいつもはその言いつけを守っていた。でも、今日はその両親が珍しく二人とも早く帰って来れるらしい。家族三人で食卓を囲める日はとても少なくて、だから、どうしても今日は早く帰りたかった。この公園を突っ切った方が近道だ。すぐに抜けちゃえば、大丈夫だよね。 ――悲鳴。 「……え?」 足を止め、公園の奥、森の中を見る。たしかに聞こえた、女の人の悲鳴だ。かすかにだけれど、「助けて」、という言葉も聞こえたような、気がする。 外灯の下で、瑠璃は立ち尽くした。迷った。自分が助けを求める立場になった時にどうするべきかは、両親からいろいろ聞かされていた。でも、助けを求められたら? どうするべきなんだろう。 行ったって何もできない。ただの非力な女の子だ。むしろ自分が危険な目にあうだけなのは分かりきっていて――。 ――そうでも、ない、かも。 「パパに言ったら怒られるかな」 静かに、そっと、さきほど悲鳴が聞こえた方へ、細い小道を入っていく。カバンから防犯ブザーを取り出して、いつでも鳴らせるようにしておく。 もし、さっき声を出した女の人が襲われていたなら、防犯ブザーを鳴らして投げつけて、すぐに逃げればいい。その後どうなるかは分からないけど、うまくすれば悪いことをやめさせられる。何もしないよりは、きっと、いい。 心臓がドキドキして息苦しいくらい。もちろん怖い。怖いけど、不思議なほど迷いなく、足を前へと進める。中腰で身を隠しながら、少しずつ。そんなに広い公園ではない、多分もうすぐ声の主が、見える、はず……。 「……え?」 見えた。そして瑠璃は、今度こそ完全に立ち尽くした。 スーツ姿の女性が襲われていた。髪の長い、大きい肩掛けカバンを持った女性。ただ、人間に襲われているのでは、なかった。 地面から奇妙な縄のようなものが伸びてきて、それが女性の両手に巻き付き、身動きを取れなくしている。茶色くて、異様に長い。うねうねと動いてるから、きっと生き物なんだろうけれど。 あんなの見たことない。見たことがないのに、なんだかとても邪悪で恐ろしいものだということだけは分かる。 「……ぅ、あ……」 瑠璃は……逃げ出した。少なくとも防犯ブザーでどうにかできる状況でないことだけは間違いがない。 息を切らし、木々の間を走る。右を、左を、なによりも背後を振り返りながら走る。どこから何が襲いかかってくるのか分からない中を。 息が切れて立ち止まる。膝に手をついて、呼吸を整えながら周囲をいそがしく見回す。 ようやく少し考える――あれは何だったんだろう。人をあんな風に捕らえるもの。当然思い当たるようなものなんてない。まして、こんな街中の公園にいる可能性のあるものとなればなおさらだ。 さっきの女の人はどうなったんだろう。そのことばかりが心に残る。変な動物だったとしたら、噛まれてしまったりするんだろうか。食べられちゃったり……そこまで大きな生き物には見えなかったけれど。 もやもやする。胸が苦しい。 自分には、誰かを助けられるほどの力なんて、ない。たぶん、自分の身を無事に守れたらそれだけでほめられるくらいだ。瑠璃だってそれくらいは分かっている。それなのに――助けを求めてる人に背中を向けるのは嫌だって、心が言っている。身に余る願いが、胸の中で疼いている。 誰かが傷つくのは嫌だ。 誰かが泣くのは嫌だ。 誰かが苦しむのは嫌だ。 きっと実現しない願い。それなのに消えない願い。わたしは――。 「……え?」 いつの間にか、目の前に輝く石が浮かんでいた。前かがみになった瑠璃の顔の、本当にすぐ前。 全然気づかなかいうちのことだった。手を伸ばせば届くくらい近くに、ぼんやりときれいに輝く、丸い、青白い石がふわふわと浮かんでいる。 不思議と怖さは感じない。ただ、目をそらすこともできずに、じっと見入ってしまう。今まで一度も感じたことのない感覚が、瑠璃の中で渦巻く。 「陽光、珠?」 まるで、ものごころついた時からずっと知っていたみたいに、そんな言葉が口をついて出た。この石から、何かが伝わってきたんだ。 頭の中に、次々と知らなかったはずの事が浮かんでくる。陽光珠という名前のこの石は、どこか遠い世界から来た。同じところから、さっきの奇妙な怪物、影霊というのもやって来た。人間の気持ちのたかぶり、のようなものを食べてしまうらしい。 そして。 「力を、貸してくれるの?」 陽光珠にはとても強い力があって、影霊もやっつけられる。もともと影霊をやっつけるために生まれた石、であるらしい。瑠璃が陽光珠の力を使うことによって、影霊たちとも、戦える。つまり、さっきの女性を助けに行けるんだ……! どうして自分なの? と、ほんの少しだけ思った。でも、さっきの女の人が危ない目にあっていて、急がないと間に合わないと思ったら、迷う時間も惜しかった。できることをしないって、きっとすごく苦しいことだから。 ただ一つだけ、胸をチクリと刺す罪悪感。陽光珠に手を伸ばしながら、瑠璃はぽつりと呟く。 「パパ、ママ、ごめんね。ちょっとだけ帰りが遅くなっちゃう」 指が、石に触れる。つぎの瞬間には、瑠璃は光の中にいた。眩しすぎて何も見えないくらい強いのに、優しくて、どこか温かい光。いつの間にか地面から足が離れていて、まるで宇宙空間で浮遊してるみたいな感じ。 「……えっ、きゃっ!?」 セーラー服が、スカートが、そして下着が次々と白い光の粒子になって消えていく。少女らしい、まだどこか不安定さを残す細い身体がいきなりあらわになって、あわてて膨らみかけの胸を両手で隠した。 「……着るものを、思い描くの?」 再び、頭の中に陽光珠の意思が流れてくる。石の力を瑠璃に託すために、全身を陽光珠の力を宿した衣服で包む、らしい。見た目はどうにでも調整できるから、好きな姿を思い描け、という。 とっさに浮かべたイメージは、テレビで見た、大好きな、憧れの姿。どんな困難にも負けない、強くて、優しくて、かわいい――誰かのために戦う姿。ママには子供っぽいって笑われたけど、それでもわたしは――あんな風に、なりたい! 「――応えて、陽光珠!」 指先から腕までを包む、きれいなグローブ。足先を包む、かっこいいブーツ。フリルの揺れる、かわいいドレス。首筋をかざる、おしゃまなリボン。髪を押さえてなびく、涼やかなカチューシャ。舞い散る光の粒子が、少女の憧れを次々に形にしていく。 やがて光が去った時、公園の片隅に、まばゆいばかりのマジックドレスを纏った、陽光少女ルリが立っていた。 「うわぁ……! これ、本当にわたし……? すごい、かわいい……!」 思わずその場でくるりと回ってしまう。けれどすぐに目的を思い出したルリは、公園の奥へ視線を向けた。手の中にはいつの間にかステッキが握られていて、その先端に青白い石、陽光珠がぴったりと納まっていた。グローブごしに、ステッキの柄をぎゅっと握る。 「急にドキドキしてきちゃった。でも行かなきゃ、だよね」 意を決して駆け出す――その最初の一歩でいきなり周囲の木よりも高く体が浮き上がってしまって、目を丸くする。体が羽根みたいに軽い! 一瞬戸惑ったけど、でもでもそのおかげですぐに、さっきの女性のいる場所を見つけることができた。 やはり何か、細い管のようなものが手足に巻き付いている。尻もちをついた状態の、紺色のスーツにタイトスカートの女性は、首を激しく左右に振りながら断続的な悲鳴をあげている。その周囲を、やはり茶色い細い何かが取り囲んで、徐々に輪を狭めてきている。 どうにかしなきゃ、と思った瞬間には、頭の中に言葉が流れ込んで来ている。今まで一度も聞いたことのない言葉、なのにやっぱりずっと昔から知っていたかのように感じる。ステッキをかざして、ごく自然に舌の上にのる、呪文。 「slokk hoRc bLikk.........glo^za tviKe!」 (影を薙ぎ払え――光幕よ!) ほんのわずかの小声、それにも関わらず眼下の木々が音を立ててさざめいた。同時に、 「……すごい……!」 宝珠からほとばしり出た幾条もの光の奔流が、公園一帯の土を残らず縫い付けるような勢いで次々と突き刺さる。その光輝にわずかでも触れたそばから茶色い管状の何かは蒸発するように消えてしまう。 それほどの威力なのに、女性にはまったく影響がないようだった。 ……と、起こったこと何もかもに驚いていたら、急に視界ががくんと下がった。 「あ、わわ……っ!?」 自分が落下し始めてると気づくのに数瞬。宝珠の力に慣れないルリは、バランスを崩したまま前のめりに公園の木の枝に落ちかかって。それでもどうにか枝を掴んで、地面にそのまま衝突するのだけは免れた。 枝葉の間から顔を出すと、混乱して周囲をきょろきょろ見回している女性が、まだその場に残っている。 「今のうちに、逃げて」 どこからか聞こえてきたルリの声にびくりと震えた女性は、それでもうなずいて、住宅街の方へ早足に駆けていった。 「……ふぅ」 怖々と枝から手を放すと、ルリの足は難なく地上へと降りた。たぶん、これまでの人生でこんな高いところから飛び降りたことなんてなかったはずだけど、まるで階段を一段おりただけみたいな、軽い感触しかなくて、びっくりしてしまう。 公園の木々が風にざわめく。周囲を見回したけれど、あの茶色い何かは見当たらない。さっきの女性も、うまく逃げられた、と思う。 胸がどきどきしてる。でも、自然と口元がほころんでしまう。 「わたし……できたんだ、よね?」 こんなわたしでも、誰かを助けられたんだ。テレビで見たあの子みたいに……! 握っていたステッキを思わず胸に抱きしめた。うまく言葉にできない気持ちがあふれて、その場で何度か飛び跳ねてしまった。 それで、元に戻るにはどうするんだろうと思ったところで――地面が割れた。 「ひゃっ!?」 急に地面から飛び出してきた茶色い何かが、またたく間に両腕に巻き付いてステッキを叩き落してしまう。 さっきの、細長い生き物みたいな何か。まだ残ってたんだ、と理解したところで、全身に水をかけられたみたいになった。力いっぱい腕を引いても、身体をもがかせても逃れられない。 《なんだお前、ちょっと俺の爪の先を焼いただけで、もう倒した気になってたのかよ》 正面の茂みの中から、何かが現れた。 「ひ……っ!?」 そのグロテスクな見た目だけで、ルリを縮み上がらせるには十分だった。シルエットだけは人に似ている、けれどそれだけ。全身を茶色と白のカサカサの表面に覆われた、頭部が傘のように広がった異様な怪物だった。顔らしい部分もあるが、まるで汚れた壁のシミみたいにぼんやりとしていて判然としない。 こんな異形が出てくると思っていなかったルリは、もう瞳に涙を溜めて、青ざめた顔で相手を見つめている。 「何……? 誰?」 《誰はねぇだろ、誰は。お前さんがさっき攻撃した相手だよ。陽光珠、ってやつか、厄介なモンの力借りてやがるから様子見してたが、なんだお前、影霊見るのも初めてかよ》 言いながら近づいてくる。今や明確に怯えているルリを楽しそうに睥睨すると、影霊はあるかないかもはっきりしない口元を、ゆっくり持ち上げた。 《じゃ、影霊に捕まったらどんな目にあうか、体験するのも初めてってわけだな》 新たに二本、ルリの両腕を拘束しているのと同じ細長い何かが、顔の前に突き出される。思わずまじまじと見つめて、ようやくそれが何なのかに気づいた。キノコだ――マツタケみたいな形の、キノコ。 「……あなたは、キノコのオバケ、なの?」 影霊は答えない。そして同時に、突き付けられたキノコの先端から、細かい粉みたいなものが大量に噴き出して、ルリの顔を直撃した。 「わっ、ひゃあっ! けほっ、けほっ!」 思い切り吸い込んでしまって咳き込む。そして、その咳がおさまった頃にはもう―― 「……え? な、に……あたま、ふわふわって……」 頬にうっすらと朱がさし始め、瞳もトロンと潤んでくる。先ほどまで、必死に身をひねって触手を引き剥がそうとしていた力も淡雪のように霧散して、逆に両腕を吊るされるような状態になっていた。 何が起こったのか分からない。ただ全身がじんわりと熱い。いつの間にか、少女の肌にもうっすらと汗がにじんでくるほどになっていた。 そして、くすぐったいような、もどかしいような感覚が下半身に滞留して、太ももをもじもじと擦り合わせてしまう。 「あ……ぁ……やだ、これ……」 夜、寝る時に、ベッドの中で――こんな風に足の間の、おしっこが出るあたりがむずむずして、たまらなくなって指でこすってしまう事があった。それが何なのか分からなくて、でもじりじり火で炙られるみたいに胸が苦しくて、不思議に思っていた。あの時と同じ、変な感じが、いま急に湧き上がって来る。 でも、こんな……家の外で、誰かの前でそんな気分になったことなんて、なかったのに。 それが何なのか分からないルリに、どうしたらいいのかなんて、まして分かるわけがない。混乱するルリを意地悪い目で眺めていた影霊が、指をすっと上から下へ動かすと――連動するように、キノコ触手が陽光少女の胸元へにじりよって、マジックドレスを下へとずり下ろしてしまう。 「ひゃっ!? な、何するの……!」 さすがに恥ずかしくて顔を赤らめた。隠したいけど、両腕に巻き付いた触手が離れない。 ルリの胸の膨らみは、同学年の女子たちと比べてもほんの少し控えめなくらい。自分の小さな手にも収まってしまうくらいの、けれどようやく膨らみ始めた柔らかな隆起だった。水滴を落とせば陶磁器のように跳ね返すだろう、きめの細かい肌。その膨らみの慎ましい頂点に、桜色の愛らしい蕾がわずかに震えている。 ルリはますます混乱して、ただ自分の胸元と影霊とを、交互に見ることしかできない。 目の前のこんな恐ろしい怪物が、胸の布だけを剥ぎとる意味が分からなかった。なんでこんなに恥ずかしい気持ちになるのかも分からない。小学校の頃、男子たちがふざけて女子の着替えを覗こうとして、おっぱい見られちゃった友達がすごい怒ってて……きっとひどい事なんだろうなと、思って。でも、結局ルリには、あまり関係のないことにしか見えなくて、遠巻きに眺めているだけだった……のに。 キノコ触手が、やはり粉っぽい何かを噴き出しながら、ルリの胸に近づいて先端を押し付けてくる。桜色の突起は粉をなすりつけられて……そのうち、だんだんと痺れるような、熱いような、たまらない感じが胸の尖端で疼き始めて……。 「んぁ……んっ! ふぁぁ……おっぱい、変な感じがするの……あぁ、んぅぅ……あンっ!」 わけのわからぬまま、甘い声を漏らしてしまう陽光少女。こんな奇妙なモノに触れられるのなんて嫌なはずなのに、体の内側で未知の感覚が弾けるたびに身体が勝手に跳ねてしまって、自分から乳首を突き出して触手に押し付けるみたいになってしまう。 《くへへへ。俺様の胞子はキくぜぇ? ちょいと吸い込んだだけで、どんなお堅い女もアヘり倒すってシロモノだ。陽光珠に選ばれたってお嬢ちゃんは、さてどうかなぁ?》 影霊の言葉も、ルリにはほとんど届いていない。ただ虚ろな瞳を揺らして、戸惑っているだけだった。何が起こってるのか考えなきゃ、どうにかしなきゃと焦るそばから、頭の中が知らない感覚にかき回されてドロドロに蕩けていく。そうして、敵に弄ばれるままに可憐な喘ぎ声を漏らす愛玩人形へと変えられていく……。 キノコ触手の胞子をまぶされた少女の乳果は、既にはしたなくピンと勃って恥ずかしい自己主張を始めてしまっている。なんでそんな風になってるのかルリには分からない。ものすごく寒い日に、おっぱいの先っぽが膨らむことはあったけど……こんな、ちょっと触っただけで飛び上がりそうになるほどジンジン疼いて敏感になった事なんて、初めて、で…… 「ふあぁぁぁぁ……んぅぅっ! やめ、てぇ……なんで、おっぱいばっかり、つんつんってするの……? んあぁ、あ、あぁ……あンっ! やだ、やだぁ……わたし、赤ちゃんみたいな声、出しちゃってる……変だよ、恥ずかしいよぉ……!」 耳まで赤くなって必死に首を振る。そんな宝珠の使者の顔を、異形の顔がニヤニヤしながら覗き込む。 《分かんねぇか? 感じてるんだよお前は。胸いじられただけで感じてる、スケベなヘンタイなんだよ》 「うぅぅ……んぁ、あぁ……やだ……そんなのやだよぉ……」 《なにが「やだよぉ」だ、ほら、もうパンツまで濡らしてるんだぜお前》 新たに寄って来た触手が、無造作にスカートをめくりあげる。晒された純白の下着には、既に水気がしたたるほどのシミができている。 異様に長いキノコが下着越しに湿った布地を一撫でする、それだけで。 「ひああぁぁぁっ! んぁ、あっ、ひゃうぅぅぅぅっ!?」 不慣れな官能に襲われて、少女は全身を反らして哭いた。固く閉じた恥丘を軽く擦られただけなのに、総身を震わせるほどの刺激が走ったのだ。 「なんでっ、なんでそんなとこ擦るのぉっ!? はぅ、んぁ、んぅぅっ! こんなのおかしい、おかしいよぉ……っ」 自分の身体から、自分の知らない感覚が強制的にどんどん掘り出されていく――予備知識の何もないルリにとって、紛れもない恐怖だった。なす術もなく異形の触手に全身をまさぐられて、駆け出し魔法少女の初めての戦いが恥辱に塗れていく。 《まだまだこれからだぜ、お嬢ちゃん》 指の太さほどの触手が素早く下着にからみつき、あっという間に足首までずり下げてしまっても、両手が拘束されているルリには何もできない。そして、ルリとその両親以外、誰の目にも触れたことのなかった恥裂が、影霊の前に晒されてしまっていた。ほんのりと産毛の生えた、初々しい秘部の膨らみ――けれどそんな事に躊躇や慈悲を見せる相手ではない。触手によって無遠慮に縦すじが割り広げられ、愛蜜に湿ったサーモンピンクのヒダが、空気に触れる。 「あっ……っ、はひ、いぃぃぃっ! そこ、そこ触っちゃだめ……! 変なの、変な感じが、どんどん大っきくなっちゃう……!」 まだ、広げられた秘裂粘膜には空気しか触れていない。それなのに、まるで熱い何かをギュッと押し付けられたみたいで。 背中を弓なりに反らせてビクンビクンと震えるルリは、貝口のすぐそばまで迫って来ている太いキノコ触手に気づかなかった。ひくひく小刻みにわななくワレメに触れる寸前まで来た触手の先端から――粉状の黄色い胞子が、一息に噴きつけられた。 「ぃ、ひっ……!? うぁっ、あっ、あぁぁぁああぁぁぁぁあぁあぁぁっ!! 熱いぃっ、おまたっ、熱いのぉっ! かひぃっ、かひゃああぁぁぁぁぁぁっ!」 粉まみれにされた肉割れから、一度、二度、小さな水しぶきがほとばしり出て地面を濡らした。刺激に敏感なヒダ粘膜とはいえ、ただ触れただけで軽い絶頂を招いてしまうほどの凶悪媚毒。 しかしもちろん、ただ胞子を噴きつけるだけで責めが終わるはずもない。むしろこんなものはただの準備に過ぎない。左右両側から、エノキ茸のような細いキノコ触手がさらに何本も迫って来て、痙攣する恥裂のヒダの上でぐねぐねと蠢き始める。媚毒胞子を、細かなヒダのさらに奥へすり込むかのように。 「あ、あぁぁっ、くひっ、ぃぃぃぃいいいぃぃっ! そこやだぁ、弄らないでぇ! 変なのっ、変になっちゃうぅっ、びくびくって止まらないのぉ! はひゃああっ! あたまの中、なんども、チカチカってするのぉ……っ!」 《それが気持ちいいって事なんだよお嬢ちゃん。お前、俺みたいな化物に触られて、気持ちよくってヨガってるんだぜ》 「気持ち、いい……? んぁっ、はぅぅンっ! やだ、やめてぇ……おかしいよ……だって、気持ちいいのが、苦しいの……刺激強すぎて……!」 快感の波をかぶって、呼吸を落ち着かせる暇もなくさらに激感を上乗せされる、まぎれもない苦悶だ。気持ちよさだったとしても、ルリの気力と体力を削り取る、悪意ある責め。そして抵抗を封じられた陽光少女は、一方的にその責めを受けて消耗していくしかない。 しかもその責めは、際限なくエスカレートしていくのだ。 「いひっ、んいぃぃぃぃっ!?」 嬌声のトーンが一段階上がったのは、極細キノコ触手が秘裂の上端でぷっくりと膨らみ始めていた花芯に触れたからだった。 夜中、むずむずして一人でワレメを撫で回した時も、その突起だけは刺激が強くなりすぎて、触らないようにしていた。けれど異形の凌辱者にそんな遠慮があるはずもない。 心臓の鼓動に合わせて、ずくん、ずくんと疼き震える淫突起にまとわりついた極細触手たちが、上から下から、右から左からと突つき回し――そして。 「やっ、だめぇっ、そこは……そこ弄ったら、もっと変になっちゃうから……ひゃっ!? あひぃっ、あっ、きゃうぅぅぅっ!!」 嬌声というよりは悲鳴だった。 捏ねまわされ圧迫された、その圧力に負けて、しこり勃ったクリトリスがとうとう包皮から弾き出されてしまったのだ。薄桃色の肉真珠は、無理やり押し出された衝撃すべてを快感電流に変換して、憐れな拘束陽光少女の神経を灼いた。 両腕を拘束されたまま、腰を前後に激しく跳ねさせて、小ぶりな胸が天を向くほど上体を反らせて泣き悶える。激しい息遣い。 「……はぁ、はぁ……んぁっ、うぅ、ンっ! ……あ、はぁ……」 淫核包皮を剥きあげたところで、触手の責めはいったん止まっている。それでも、呼吸を乱して激感の余韻に溺れていたルリが、涙を浮かせた目を開くまでに1分以上を要した。 恐る恐る、少女は自分の秘部に視線を落とす。 おしっこする穴の少し上に、小さな膨らみがあるのは何となく知っていた。けれどこんな風に包皮の外へ出せることさえ知らなかったルリだ。今、その小さな突起はこれまで一度も見たことがないほど大きくなっていて。 そしてその周りを、大小交えたキノコ触手が、合図を待つ猟犬みたいに取り囲んでいて。 「ぅ、あ……やだ、やめてぇ……その、お豆みたいなの、触っちゃダメ……! そこ、敏感すぎるから……!」 《そう言われたら、じっくり弄ってやるしかないようなぁ? 俺様の胞子をたっぷりなすりつけてやるぜ》 「やめ……それだけは許してぇ!」 思わず懇願してしまう。媚毒胞子の効き目はもう嫌と言うほど味わっているのだ、そんなものが、既にたまらないほど疼いてルリを悩ませている敏感突起に触れてしまったら……! 《そら、泣き喚け! 俺ら影霊にちょっかい出したこと、存分に後悔しろ!》 再び噴き出した胞子が、無防備な花芯を直撃した。既にしっとりと湿っていた肉真珠をコーティングするようにまとわりついた細かな粉が、たちまち表面から内部へと媚毒効果を侵食させ……。 「くぁ、あ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!! あっ、かはっ、うああぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁっ! 熱いっ、熱いぃっ! お豆熱くて溶けひゃうのぉ! んいぃぃぃっ、かひゃあぁぁぁぁぁっ!!」 少しでもクリトリスから胞子を振り落とそうとするかのように、何度も腰を前後に振る拘束陽光少女。それがあまりにも恥ずかしい腰振りダンスになってしまっている事に気づく余裕もない。愛らしい魔法少女ドレスのフリルを揺らしながら剥き出しのワレメを前へ前へと突き出し、愛蜜をまき散らす姿は淫靡を極めていた。 そして、そんな風に自ら突き出すなど、弄ってくださいと弱点を差し出しているようなもの。ヒクヒクと震える過敏突起へと、大きなキノコ触手がなおも胞子を噴きながら突進し、ぐりぐりと圧し潰していく。 「か、ひっ……ひあ、あぁ、~~~~~~~~~~~~~っ!!」 声にならない悲鳴と共に、悶え、悶え、悶える。どれほど身をよじってももがいても、か弱い淫核を嬲る触手から逃れられない。 なす術もなく、強制的に、望まぬ快感の極みへと押し上げられていく――。 「はひっ、ひぃンっ! なに、か、来る……びくびくの大っきいのが、来ちゃうの……! 待って、ルリのからだ壊れちゃうぅ! うあぁ、あくぅぅっ!」 《それがイくってことだ。よく覚えとけよ、これから嫌ってほどたくさん味わうんだからなぁ、くへへっ》 媚毒に冒された花芯を圧迫するキノコ触手が、頭を振るように左右に蠢いてさらに揉み潰してくる。淫核表面に噴きつけられた胞子の粉は水分を得た状態で転がされて粒状になり、触手の動きに合わせて複雑に敏感表皮を転がりまわってさらなる刺激を与えてくる。 耐えられるはずがなかった。今まで触ることすら躊躇っていた急所を加虐的に嬲られて、どうしようもなく追い込まれた限界の果てで。 「もうダメ、ダメぇ! はぅンっ、んあぁっ、あはあぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 まともな性知識も経験もない身体に襲い掛かる、破滅的なオルガスム。ただただ翻弄されるだけの敗北陽光少女は、髪を振り乱し涙を散らして、悲痛な嬌声を公園中に響き渡らせた。 触手が離れる。キノコ状のその表面には、ルリが放ったばかりの粘ついた愛蜜もべったりと付着していた。 「うぁ、あ……ん、ぁ、かはっ……ひぐっ、うぅぅぅ……」 なおも残り続ける絶頂余韻に身体を不規則に震わせながら、こぼした涙で頬を濡らすルリ。全力疾走した直後のような激しい呼吸に胸を揺らしつつ、それでも、これで終わったのではないかというわずかな希望を心に浮かべている。 もちろん、これで終わりなはずがないのに。 「……はぅ、うぅ……ぃ、ひぃっ!? うそ、まだするの……? そんな、やだ、わたしほんとにダメになっちゃう……!」 《ダメにしてやるんだよ。とことんなぁ。お前だって俺のかわいい触手を焼き払ってダメにしてくれただろ? 自分だけダメにされないなんて都合の良い話はないよなぁ? えぇ? くひっ、くははははは》 這い寄ってきたのは、極細のエノキ茸のような触手。その先端は小さな烏帽子状の傘になっている。触手たちは、その傘の縁の部分を少女の淫核にあてて、次々と掻きむしり始めたのだった。右から左へ、上から下へ、左から右へ、下から上へ、あらゆる方向から次々と。 「ひあっ、うああぁぁっ、かひぃンっ! そんな、お豆、カリカリって引っ掻かないでぇ! まだビクビクって続いてるのにぃっ、またきちゃう、きちゃうよぉっ! くぁっ、あぁぁっ! あンっ、はひゃあぁっ!!」 シリコンよりも柔らかい極細キノコ触手の傘が、無数に殺到して、爪のようにクリトリス側面を擦り上げる。敏感突起を集中的に責め立てる快感拷問に、泣きながら首を振りたくるルリ。生まれて初めて剥き上げられたばかりの秘芯が、いきなり異形触手の苛烈な責めに晒されているのだ。自慰もはっきりと知らなかった初心少女に耐えられるはずもなく、ただ泣き叫び続けることしかできない。 そして、再びの限界。 「あっあぁぁっ、んっ、あっ、ふああぁぁぁぁっ! お豆ぇっ、お豆壊れ……かひゅっ!? あぎぃっ、んひぃぃっ、ひぁっ、ひぐぅぅぅぅぅぅンっ!!」 壊れたように痙攣を繰り返し、胞子まみれの恥裂から潮をしぶかせてイき狂う。涙と涎でぐしゃぐしゃになった顔を歪めて、ただ腰を突き出して喘ぐだけの絶頂人形に堕とされた陽光少女は、息も絶え絶えになりながら全身をのけ反らせた。 その様子をせせら笑いながら見つめている影霊が、目を細める。 《おいおい、俺様に戦いを挑んできたくせに、その程度でへばってもらっちゃ困るなぁ。本番はこれからだってことくらい分かるだろ?》 「……ぅ、あ……ほん、ばん……?」 《おや、ご存じないと。じゃあしょうがねぇな、俺様がたっぷり教えてやるよ……くひひ》 ひときわ太いキノコ触手が、少女の膣口にあてがわれる。既に弄り回され快感を覚えさせられた秘裂は半ば開き、はしたなく肉ヒダをはみださせて震えている。そこへ、触手の先端がゆっくりと、ゆっくりと沈んでいく。 《わかるか? 今からこの太いのが、お前の中に入るんだぜ》 「なに、それ……? そんな、ムリだよ……!」 《無理かどうか、試してみようじゃねぇの。ま、無理だったとしても構わず突っ込むんだけどなぁ! くひゃひゃひゃひゃ!!》 「うそ……まって、待ってよ……!」 《さぁ、一生に一度の記念すべき瞬間だ、たっぷり味わいなぁ!》 真っすぐに、躊躇なく。無垢な膣肉を押し分けて、媚毒胞子にまみれた触手が突き進んでくる。両手を拘束されたルリには、止める方法などなく。 ブツッ、という何かが千切れる音を、まるで耳もとで聞いたように感じた。 続いて下腹部にじわりと広がってくる、焼けつくような、痛み。 「ひぎっ!? ひあっ、あぁぁぁぁぁっ! いたっ、痛いぃっ! やめてぇ、酷いことしないでぇ!」 下腹部を巨大なモノで圧迫される息苦しさ、痛み、痛み、早くも膣内に浸み込み始めた媚毒胞子のじわりとした熱さ、痛み、苦しさ、遣る瀬ない、切なさ、怖さ、不安、怯え、そして――痛み。 視線を下げれば、自分の太ももに一すじ、赤い液体が垂れていて。痛みと血が、本能的な恐怖を心に巻き起こす。歯を食いしばって涙を次々と流す姿は完全に年相応の少女のそれで、凛々しく華やかな魔法少女の面影は見られない。愛らしいドレスをまとっているのが、かえって痛々しいほどだ。 その様子を離れた位置から眺める影霊が、さらに嗜虐的な笑みを強めた。 《こんなのはどうだ?》 不意に――ルリの両腕を拘束していた触手が、離れた。 だが身動きは取れない。両足の間の地面から突き出した太いキノコ触手が膣穴深くまで挿入されたまま、微動だにしない。高くせり上がった触手で体を持ち上げられ、爪先立ちでどうにか体を支えているのだ。そんな状態で跳び上がることもできない。 周りに掴まれるようなものもない。全体重が、か弱い少女穴に潜り込んだ一本の触手にかかってしまう。あわてて両手で触手を握り少しでも身体を支えようとするが、不自然な体勢ではほとんど効果はない。 陽光珠の加護を受けているとはいえ、少女の華奢な身体にはあまりにも過酷な責め。 「か、はっ……あぅ、ぅぅっ……! や、だぁ……おなか、苦し……いた、いぃ……っ、ひぅ、あ、んぅぅ……っ」 前かがみになって全身を支える、その瞳から涙が何粒も、何粒も落ちる。下腹を圧迫された息苦しさから口を大きく開けて、肺から逃げていく空気を取り戻そうと喘ぐ。 絡みつきも、巻きつきもしていない、たった一本の触手によって完全に行動を縛られ、身動きできず苦悶に震える陽光少女。耐えきれず身じろぎすれば、膣奥のさらに奥まで届いている触手先端の感触まではっきり知覚できてしまう。 苦悶するルリのそばへ、余裕ぶった影霊が近づいてくる。とっさに手を伸ばして掴まろうとするが、男は意地悪く身をかわすだけだ。 《つらいか? 苦しいか?》 「ん、ぁ……くふぅぅ、はう、うぅぅぅ……っ」 《けど、苦しいだけじゃねぇな? 俺様の媚毒胞子が、お前のメス穴に浸透し続けてるからなぁ? 苦しいのに、感じるだろ?》 「んぐっ、うあぁ……あ、ぁ……ふああぁぁぁ……っ」 《味わえ、味わえ。そいつが被虐の味だ。蹂躙されるほど体が熱くなって、もっと欲しいと求めちまうのさ。心とは裏腹に、身体は虐めてほしくて、たまらないほど疼き出す。どうだ? つらいのに、苦しいのに、もっと虐めてほしいだろ? そうだ……この味なしじゃいられないカラダにしてやるぜ》 ルリは、影霊の言葉をほとんど聞いていない。聞く余裕もないほどの、触手の存在感と圧迫感だ。 けれどその瞳はとろんと溶けるように濁りはじめ、頬も鮮やかな朱に染まりはじめている。破瓜の血を太ももに付着させたまま、異形の責めに表情を蕩けさせる淫靡な姿を晒してしまう初陣魔法少女。 そして、さらなる責めが動き出す――極太触手が、わずかに押し下がった。狭い蜜穴を埋め尽くしていた先端部が半分ほど引き抜かれ、膣内に空間ができる。けれどもちろん、そのままで済むはずもなく。 ドチュンっ! 「……っ、あ、はっ……うあ、あぁっ、ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」 強烈な突き上げが、ルリの蜜穴を一気に貫いた。もはや爪先すら地面から離れるほどの一撃で宙に浮く、陰惨な少女の串刺し。さらに、 ドチュンっ! ドチュンっ! ドチュンっ! 「くあぁぁっ! あっ、くひぃぃぃっ! ひぎっ、ひっ、ひゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 ボーリングマシンのように、一定のリズムで膣穴を穿ち、突き、えぐる触手ピストンの連打。どこにも身体を支える拠りどころのないまま、一撃一撃を為す術なく子宮口で受け止めるしかない。両手で下腹を押さえ、一突きごとに上半身を鞭のように波打たせ、跳ねまわる髪を整える余裕もなく泣き叫び、泣いても喚いても止まらず、落涙、叫喚、悶絶を繰り返して狂乱する敗北陽光少女。 華奢な身体を壊しかねないほど残酷な責めに晒されているのに、ルリの吐息は徐々に熱を帯び、声には甘い響きが混じり、苦痛以外の感覚が体の中で燻り始める。 影霊の媚毒によって無理やり引き出された異常快感だ。しかし正常を知らないうちに引き込まれたルリには何も分からない。ただ翻弄され狂態を演じるばかりだった。そんな状態ももう長くは続かない、体力の限界が近い――。 「あっ、はぐぅっ、んひっ、かひゃあぁぁ! もう、やめ……ひぐぅぅンっ! こんなのムリっ、ムリだよぉ……お腹破けひゃうのぉ!」 《そう言いながら感じてるんだろ? 触手咥えこんだ穴がヒクヒク痙攣してるぜぇ? ほら、さっきのと同じのが、来てるだろ?》 「分かんないっ、分かんないよぉ! かひっ、きゃふぅぅっ! ほんとにムリなのっ、ルリ死んじゃうよぉ! 太いの抜いてっ、抜いてぇっ!」 《くひひっ、締め付け具合で分かんだよ、そろそろイきそうだってのがな。さぁ、さぁ、そろそろだな? そろそろだろ? 今度は、イくときにちゃんとイくって言えよ!》 ドヂュンッッッ! とどめの一撃。完全にルリの身体は宙に浮き、そして、破滅的な衝撃と激感を叩き込まれた細い肢体が、極限の緊張にピンと張りつめた。 「ぁ、ひっ……うぁ、あっ、イくぅ、イっくぅぅっ、かひゃ、ぁ……っ、~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!」 とうてい受け止めきれない快感と苦悶の爆発に、自分の身体を抱いて全身を躍りくねらせ絶叫する。上体を弓なりに反らせ、舌先を空へ向けて突き出し無惨な敗北絶頂姿を晒した純真魔法少女は、汗と涙と散らしながら首を振りたくり悶え尽くした。 《俺様もそろそろ限界だぜ、そら、食らえよ!》 「……っ!! ひ、ぁ……!? 熱っ、なにっ、中で、何か熱いの出てぇ……!!」 触手先端から、媚毒胞子の混ざった大量白濁が噴き出し、か細い少女膣を逆流して地面へとまき散らされる。スプリンクラーのように広がってたちまち周囲を濡らしつくした。 物理的な衝撃に加えて白濁粘液の熱さまでが、これまで誰も触れたことのなかった少女聖域を汚し尽くし――とうの昔に感覚の許容量を超えていたルリに、今度こそ限界をもたらした。 「う、ぁ……ひぐ、ぅぅ……」 半ば以上白目を剥いて、力の抜けた上半身をだらりと後ろへ垂れ下げて断続的にビクビクと震える。愛らしい魔法少女の衣装をまとっているからこそ、その様子はあまりにも無惨だった。 そして――刃の一閃。 《なっ……っ!?》 巨大な弧が疾った。影霊の男がとっさに飛びすさった次の瞬間、ルリを貫いていた触手は、鮮やかな斬り口を残して両断されている。 倒れかかったルリを抱き留め、ゆっくりと地面に寝かせたのは、同じ年ごろの少女。けれど細められた鋭い視線は、若年らしい頼りなさをまったく感じさせない。 「……」 無言で立ち上がる。黒のパーカーに、デニムのショートパンツという動きやすいラフな格好。すらりと伸びた足は細いが、引き締まり、いつでも地を蹴るべく張りつめている。短い黒いソックスに、軽い印象のスニーカー。 ツインテールにまとめられた、目映いほどの金色の髪はしなやかに揺れ、この陰惨な凌辱の場においてはますます目を引く。 そして、服装になんの特別さもないからこそ、その手に握られている長大な大きさの鎌が、異様だった。少女の身長よりも長い柄に、肩幅よりも大きい刃。剣呑な武器なのにどこか清冽さを感じさせるのは、鎌全体に宿る淡い輝きのせいだ。特に刃部分は仄かな虹色で、透かしてその向こう側まで見えるところから金属ではない、何か特殊なエネルギーで出来ているらしかった。 《チッ、宝珠の使者がまだいるだと!》 影霊の判断は早かった。周囲の細い触手たちを大鎌の少女へとけしかけて、自らは木々の間へ素早く身をひるがえしたのだ。 一閃、巨大な刃が再び弧を描き触手たちを斬り払った時には、敵の姿はまったく消えていた。 わずかに息を吐き、構えていた武器を下ろして――ようやくツインテールの少女は、ルリを見下ろした。 「……さっきの影霊、人の形をしてた。私は初めて見たの――あれが何なのか、あなた知ってる? あなたも宝珠に力を借りた戦士なんでしょ?」 鋭い声で問いかける。けれど返答はなかった。 ルリは地面に横たわったまま体を丸めて、嗚咽を漏らしながら泣き続けている。片手で下腹部を押さえ、もう片方の手で顔を覆って。愛らしい白い魔法少女のドレスが泥だらけになるのを構う余裕もなく、自分を助けてくれた相手に意識を向ける余裕さえなく。ただ、初めてその身に受けた暴力に打ちのめされて、ひたすら泣き続けていた。 待っていても答えは得られないと判断した大鎌の少女は、地を蹴ろうとして、しかしもう一度ルリを見た。残虐に汚されたその衣装を。 「その服、あなたが望んで選んだのよね」 やはり答えはない。 「……憧れだけで、人助けなんてしない方がいいよ。いつかは傷ついて、けれど誰もその埋め合わせなんてしてくれない。あなたが夢見たような、キラキラしたものなんて、どこにも無いから……もっとも、もう遅いかも知れないけど」 最後にそう付け加えたのは、横たわる魔法少女の太ももに、赤い血がこびり付いているのに気付いた……気付いてしまったからだった。 持っていた大鎌の先端を、ゆっくりとルリの腹部へかざす。淡い光を放ったのは、刃の根元部分にはめ込まれた石――ルリの陽光珠に似た、大きな石だ。青白い光に照らされたそばから、穢れた白濁が蒸発して消えていく――ルリの身体の中まで、沁みとおるようだった。 影霊の汚濁を浄化する、宝珠の力――けれど身体に負わされた傷は、まして心に残ってしまった傷は容易に癒せないのを、鎌の持ち主は知っていた。表情を歪めたツインテールの少女は、振り払うように視線を外して、そのまま影霊を追って木々の間へと消えていった。 後に残されたのは、ルリ一人。暗い公園の地面の上で、いつまでも泣き続けていた。
フリック
2022-05-28 01:43:17 +0000 UTC