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近況4/5 ヒーローはトリアージをするべきか?

 トリアージというのは、救急医療や災害救助など、人命救助の場で行われる優先順位の判断のことです。

 災害やテロリズムなどによりあまりに多数の傷病者が生じ、全員に医療資源が行きわたらない場合、特に重篤で緊急性を要する患者を優先的に治療し、緊急度の低い患者や明らかに蘇生する見込みのない者への対応を後回しにする。限られたリソースで最も多くの患者を助けるために最効率で対処するための判断ということです。

 医療的に見て相対的に生命の危険が少ないからといっても、傷を受けている当人にとってはどうしようもない苦しみだったりするわけで、そういう個人にとって優先度を下げられることは心情的に厳しいものですが、緊急時、どうしても施せる医療リソースが全員に行き渡らない時にはやむを得ない理性的な判断であると言えます。


 ……で。

 エンタメ作品におけるヒーローが行っているのも、悪の組織とか悪性の存在から人々を守る救助になるわけですけれどもね。その手のヒーローって単独だったり少人数チームだったりするのが普通ですし、全員に手が回らなくなることも当然あり得るわけですけれども。

 では、ヒーローは、トリアージをするべきでしょうか?



 私の感覚ではNOなんですよね。

 もちろん、トリアージ的な優先順位を付けた方が、おそらくより多くの人を救えると思います。その方が賢く、合理的で、理性的であるでしょう。でも、トリアージをしているヒーローというのは、私の信条からはちょっと許容できないんだよね。


 私は昭和時代の特撮とかヒーローアニメが好きでね。そういうのの主題歌集とかをよく聞いてたし口ずさんでいたわけです。

 そういう歌にはよく歌われているんですよ、「助けを呼べば、必ず来てくれる」。


 窮地に陥る。助けを呼ぶ。ヒーローの耳にその助けを呼ぶ声が届いて、けど「ごめん、あなたの状況は優先順位が低いから、後にするね」ってヒーローが別な人を助けに行ってしまう。

 それは……それをしてしまったら、私にとってそいつはもうヒーローじゃないな、って。


 クリスマスのサンタクロースが子供たちにとってなぜ重要なのか、という話を以前ネットで見かけたことがあります。

 単にプレゼントを貰えるからというだけじゃなくて、世界にはあなたを無償で、無条件に祝福して何か素敵なものを贈ってくれる存在、あなたを肯定してくれる存在がいるんだよという意味を、子供たちに届けるから重要なのだ、という話でした。

 ヒーローというのも同じだと思うんだ。あなたの危機に駆けつけて助けてくれる存在がいるんだっていうメッセージそのものだと思う。合理的に理性的に考えればこんな状況で誰も助けに来ないよな、っていう時にも、あきらめずに踏ん張っていればきっと誰かが助けに来てくれる、あなたの味方をしてくれる。そういう象徴的な意味を届けて勇気を与えてくれる存在でなくては、ヒーローじゃないでしょ、って思うわけです。

 まぁ現実にはそんなヒーローなんてなかなかいなくて、助けを求めても誰も来てくれないなんてこともザラにある、それは確かだけど、でも最初から諦めていたらダメだけど一縷の望みを持って踏ん張っていたら案外何とかなることもある。だからたとえヒーローがいなくてもヒーローを信じて踏ん張る事には意味があって、そのためには信じるに値するヒーローじゃなきゃいけないんだよ。



 もちろんこれは、「ヒーローはバカである」という事でもあるわけですけどね。合理的効率的理性的な判断から外れた行動をするんだから、当然の帰結です。

 でも、じゃあバカな行動を避けるようにヒーローの行動を変えればいいのか? と言われれば、絶対嫌だね、というのが私の回答ということです。助けを求める声を聞いたなら、どんなに非合理でも効率が悪くても、どんなに勝ち目がなくても、絶対来てくれるんだよ、来ちゃうんだよ、それがヒーローじゃないか。



 ルリとルナは、ヒロインという呼び方をしていますけどね。

 あんなに頼りなくて危なっかしくても、魂の在り方はヒーローなんですよ、そうであればこそ書く価値があるんだって、私はそう思ってるわけです。




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