「くっ…これじゃ武器が握れない…!!」
突然のことに動揺しつつも、ミキツグは戦闘を続ける。
大きくなった拳での打撃、鋭くなった爪でのひっかき。
対する異形となったドラゴンは大きく息を吸い込み、炎を吐き出す。
武闘家となって以来軽くなった身体は、その大仰な予備動作からの攻撃をかわすには十分な俊敏性を持っていた。はずだった。
「僕の足がッ!!」
いつもとは大きさも重さも形も異なる足では転ばないように歩くのが精いっぱいだった。
「うわああああ!!!!」
ドラゴンの吐いた炎がミキツグを包み込む。
…
……
…熱く…ない……?
「なんだこの身体は!?!?」
ミキツグは人面ドラゴンともいうべき身体を引きずって、ドラゴンの頭部をもつ魔物に向き直る。
魔物は、軽くなった身体で一気に距離を縮め、仕上げとばかりにミキツグの顔をくわえこんだ。
「何をする…ッ!」
くわえられた口の中で、ミキツグは自分の顔の体積が増していくのを感じていた。
と同時に魔物の口も小さくなっていき、
ぺっ
吐き出されたミキツグの視界に映るのはオレンジのマズル。
「グオッ!グッグオォォ…!(こっ、これは…僕がドラゴンに…!?)」
低く、言葉にならない声。
器用な手を失い、身軽な足を失い、胴も、顔も声も失った彼が人間であったことを示すのは、その困惑の表情だけだ。
さっきまでドラゴンだったものは、まるで最初からそうであったかのように腰の武器を構え、叫ぶ。
「魔物どもは僕が倒す!!」
midoriG
2024-09-08 17:17:51 +0000 UTCmidoriG
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