XXX4Fans
シカク from fanbox
シカク

fanbox


覚醒遺伝 -1-

「野球部の顧問なんて…野球なんてやった事ないよ…」 背中を丸めて廊下を歩くのは今学期より新任教師としてこのK高校に赴任した阪上明基だ。大学を卒業して昔から先生になりたかった明基は念願の高校教師となった。だが、先生として生徒たちを導く夢見た生活はすぐに打ち砕かれる。赴任が決まった高校は偏差値があまりよくなく、荒れた迄とはいかないが不良が集まる男子校で、人気も評判も悪い。明基も最初は皆を更生させようと息巻いてたが、まさかの赴任当日、やった事も無い野球部の顧問をやってくれとの話が来た。しかも野球部は他の部活に比べてもヤンチャな生徒が多く、皆がやりたがらない担当が明基に押し付けられたのだ。沈む中、さらに担任を持った1年のクラスでは早速授業をサボる生徒がいたりして明基の心はついに折れてしまった。 1日の授業が終わった放課後。廊下を歩いていると何だか数十メートル先が騒がしい。 明基は先生として何があったのかと騒がしい集団に近付くと、その中心では早速ケンカが起こっていた。しかもケンカしているのは新入生の2人でその内の1人は明基のクラスの生徒。明基の生徒は立ってもう1人の新入生を見下していた。ケンカの決着はすでについているようだ。だが、さらに蹴りを入れようとする生徒に明基は慌てて間に入って止めようとする。だが、 「邪魔だ!でしゃばんなよっ!」 そう言われ、教え子に突き飛ばされた。 「そうだ。負けた方は罰ゲームだろ?この先公とキスしろよ。それで俺にケンカふっかけてきたことは許してやるよ」 明基の生徒は明基と苦虫を噛み潰す生徒をいい見世物にしようとニヤニヤしながら提案する。その提案に野次馬もキスコールが鳴り止まない。明基は周りにいた野次馬に捕まり、身動き取れなくなった。そして負けた生徒も悔しそうに腫らし顔を明基に近付けてその唇を奪った。 (んっ、くそっ!なんでこんな…っ) 唇がぶつかり、負けた生徒はヤケクソになったのか舌までも明基の口内に侵入させて絡める。 (うっ、血の味が…、こんなキスで勃たせちゃダメだ、勃たせちゃダメだ) 明基は呪文のように心の中で唱える。そう、明基は同性愛者。つまりゲイだ。それに気付いたのは中学生の頃。周りが女子の事で話が盛り上がり、さらにオナニーの事情を暴露する友達たちの話を聞いて自分がゲイなのだと分かった。それ以降は誰にも言わず、隠し続けている。今回、赴任する学校が男子校だとなった時も、もしかしたらという事が過ぎってしまい心が折れた一因にもなった。さらに明基はユニホームフェチでもある。昔明基がサッカー部に入部した時にアンダーとスパッツの圧着感に目覚め、その上からユニホームを着た時に勃起してしまい、周りにバレそうになったことがある。そのせいでサッカー部はすぐに辞めた。だけどそれからはスポーツユニを着る男子に目がいってしまうようになり、明基はオナニーをする時にはユニを着るのにハマってしまった。学生の頃からそんなオナニーのお陰か、耐性はだいぶついて、見たり着たりするだけでは勃起などはもうしないようになっていた。 だが、今は違う。男とキスをしている。しかも男子高校生だ。濃厚なキスはしばらく続き、唇が離れたところで明基の拘束も解放された。その瞬間、ドクンと明基の心臓が大きく高鳴る。体が火照り出してもう1回ドクンと。明基は欲情したのだと思い、これからはケンカはしないようにと必死に言葉をつむぎ出してその場から急いで離れた。周りの野次馬はヒューヒューと口笛を鳴らすが、その音さえ明基は聞こえない。トイレの個室に駆け込んで便器に座り、股間を見たがそこに膨らみは無かった。明基がこの体の熱に疑問を持つとまたドクンと。その間隔は段々短くなって鼓動が早くなる。高熱を出した時のように明基の体は熱くなり、呼吸は荒くなる。このまま男とキスをしたせいで死んでしまうのかと明基は思った。まさかゲイの自分が男とキスして死ぬなんてと思っていると、今度は段々と呼吸が安定し、何も無かったかのように体の異常は引いた。 「何だったんだ…」 そう呟いた瞬間、またドクンと鼓動が鳴る。だけどそれは明基が目覚めた事を知らせる合図。明基はその合図で自分に何が起こったのかを理解した。ニタニタと笑みを浮かべ個室を出た明基は鏡に写る自分を見る。そこには八重歯が鋭く発達し、耳の先が伸び、赤く目を輝かせる明基がいた。 吸血鬼というのは実は古代ローマ時代より存在する生き物だ。人の血を吸い永遠の命を生きる存在だが、その数は中世ヨーロッパ以降ヴァンパイアハンターに多くが狩られてからは極わずかとなった。それから吸血鬼達は隠れて暮らすようになり、人間のように生き、人間とのあいだに子供を作った。そして段々と吸血鬼の血は薄くなっていった。薄くなっても永遠とまではいかずとも長命で人間よりかは優れた能力を持ってはいるが。だけどここ近年では吸血鬼という自覚すら無くその生涯を終える者いる。自分の正体に気付く事も出来なければ、その特殊な能力も長命も得ることは出来ない。 そんなある意味絶滅危惧種とも言える存在に阪上明基は他人の血を摂取し、吸血鬼として目覚めた。しかも祖先からの隔世遺伝で阪上明基は純血種として覚醒。体内に流れる血は一気に沸騰し、半端な血から純粋な吸血鬼としての血が流れ始める。何百年ぶりかの純血種の誕生だった。 明基は八重歯と耳、目を少し前の自分が人間だった頃のように戻し擬態する。上手く出来たことに笑っていると、トイレに1人の生徒が入ってきた。 「男とキスして頭おかしくなりました?」 明基に声を掛けたのは榎本真弥。この学校で初めて天才が入学したと言われている人物だ。中学全国模試トップ10入りを果たした事がある秀才がなぜこんな偏差値の低い学校に来ているのか。 中学3年生だった彼の志望校はもちろん偏差値が1番高いと言われている高校だった。だが試験当日、高熱による体調不良で試験が受けれなかった。振替日という救済措置もあったのだが、その日も高熱が出てしまい、今度は無理矢理体を動かして試験を受けたが、その実力が発揮されるはずもなく不合格。不貞腐れた真弥は近場のしかも馬鹿が行く所と言われる高校へと敢えて進学した。中途半端にそれなりの偏差値の学校に行くプライドが許さず、落ちる所まで自ら落ちていった。そして髪を染め、ピアスを空けて中学時代からは想像出来ないほど見た目は変わった。だが人の噂というのはどこから伝わるのか、入学初日から真弥のことは学校に広まっていた。真弥の性格はどちらかと言うと悪い方だ。中学時代はいい子を演じていた真弥だが、受験に失敗してからは本性を隠す事をせず、基本的に人を見下す態度を取るようになっていった。なので自分をからかう生徒は鍛えた体とその知能でひたすら黙らせていった。 見た目がチャラい秀才は明基を嘲笑いながらトイレに入ってきた。先ほどの光景を見ていたのだろ。明基は一瞬その言葉にイラッとしたが、すぐにクラスの教え子である榎本真弥だと分かり笑みが零れる。明基は自分の力を試すのにピッタリの実験体だと思いすぐに行動する。 「榎本、先生にそんな事言っちゃダメだろ?」 そう言って明基は真弥に声を掛けると真弥は振り返って明基を方を見る。その瞬間、明基の目が赤く光る。その赤い目と目があった真弥は顔から生気が無くなり、ボッーとした状態になる。 「謝ってくれないか?」 「はい。馬鹿にしたことを言ってしまってすみませんでした」 吸血鬼の能力である催眠がきちんと効いた事に満足した明基は次の実験に。 「そのままじっとしてろよ」 「はい」 明基は真弥の後ろに回り込むとその首を傾けてそのまま首筋に噛み付いた。伸びた八重歯は皮膚を容易く破って深く突き刺さる。 「あぁ…」 だが、噛み付かれても真弥に痛がる様子はなく、むしろ気持ち良さそうな反応をしていた。 それは血を吸うときに明基が皮膚の中に唾液を入れたせいだ。それは特別な唾液で体に強い陶酔感を覚えさせる効果がある。そのまま血を飲み終えると最後に明基自身の血液を1滴体内へと流し込み真弥の首筋から離れた。首筋にはキレイな赤い2点の噛み跡が残る。 「ごちそうさまでした。吸血鬼になったから血が美味くなったと思ったけどそこまで美味しくはないな。不味くもないけど。でもなんか元気は出てきた。活力が湧いてきたって感じかな。さてと」 満足気な表情を浮かべる明基は真弥の正面に戻る。 「どうだ?血を飲まれた感想は」 その問いに真弥はうっとりと明基を見つめながら答える。 「はい、俺の主。すごい気持ちよかったです。そして俺の血を飲んで下さってとても光栄です。ありがとうございます。吸血鬼様の奴隷になれてとても幸せです…」 真弥は先程との態度とは違い、その表情は明基に心酔しきっている。吸血鬼の血を与えられた真弥は明基の奴隷となり、明基に服従することが悦びとなった。そして真弥も明基と同様に男好きとなり、その性癖も変えられユニフェチとなった。真弥はその変化に歓びの感情しかない。その反応に明基もホッとする。 (上手くいってよかった。自分が変わって半信半疑だったけど本当に俺吸血鬼になったんだな。だけど噛んだだけじゃなくて血も与えないといけないのはめんどくさいな。血を与え過ぎるとそいつも眷属として吸血鬼になるしその反動で結構疲れるらしいし。でもまあ吸血鬼として目覚めれた事自体すげぇことだな。このまま思い付いた計画進めていくか) 「榎本。これからは俺の頭脳として色々と働いてもらう。身体能力は上がったが頭までは良くなってないからな。まずはこの学校での評価を上げるために野球部を支配する。そこでマネージャーとしてサポートしてくれ」 「はい。喜んで」


Related Creators