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龍星色(元・罰印) from fanbox
龍星色(元・罰印)

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異世界融合物語(1):融合の兆しは洞窟の奥で

書きたいものをがんばって書いていく形で突き進んでいこうかな、と思う次第です。

1話目ですが、まだTSはしません。ご容赦ください。


――――――――――


ビキニアーマーを着て肌もあらわな、4人の冒険者たちがいる。

双子のエルフの魔法剣士。それぞれの長い髪の毛の色から、『金の蝶』と謳われるレーナと、『銀の羽』と呼ばれるルビナ姉妹。

同じく双子のエルフの格闘家と魔術師。彼女らも赤い髪の毛から、『赤い陽炎』と名高きアネッサと、『紅の矢』の栄えあるメリッサ姉妹。


お互いに幼い頃からの知り合いで、エルフの里から飛び出て冒険者になって、刺激的な生活を送るのだという事を話し合っていたらしい。

勿論それは問題なく叶い、現在はこうして4人で『神秘の双翼』という新進気鋭のパーティを組んでいる。


前衛3人後衛1人とやや前のめりなパーティだが、全員が魔法に親和性のあるエルフであるためか、様々な局面に対応していき、冒険者を始めて一ヶ月でランクが2階級上がり、『ブロンズ』となっている。

そんな彼女たちが、ダンジョン内でモンスターたちと戦っている。


レーナとルビナが互いに身体強化魔法をかけ合い、左右からのコンビネーションで魔狼たちを追い詰めて。

雨あられと注ぐメリッサの魔法の隙間から、アネッサがバジリスクを攻め立てる。


群れと身体能力で多対一に持ち込む魔狼たちを左右から挟み、自分たちを囲ませないように動くレーナ・ルビナ姉妹。

石化の魔眼を持つバジリスクの視線を魔法で誘導し、魔眼の視界から外れるように高速移動して打撃を叩きこむアネッサ・メリッサ姉妹。

役割分担は完璧だ。互いの相手が逆であったなら、もう少し苦戦していただろう。


俺はそんな4人の戦いを、物陰から見ていた。



では俺は何者か。


俺は真行寺丈(しんぎょうじ・たける)。この異世界に召喚された、寺生まれでサブカル好きの高校1年生だ。

理由としてはなんてことのない、足下に突然できた謎の穴に落ち、気付いたらこの世界にいたのだ。


その途中で何かと出会ったわけではなく、何かを貰ったわけでもない。チートなんてありゃしないわけだ。

だが俺には……、まぁ、アレですよ。親父による荒行の結果、そこそこに霊を祓える力を持てた事で、この世界でもなんとか冒険者兼業で職にありつく事ができた。


俺が就いた職を端的に言えば、慰霊師。死者がアンデッドとして復活しないよう、魂をあの世へ送る役目を担う者だ。また、戦闘力のある慰霊師はアンデッドとの戦闘に駆り出される事もあるという。

今回はダンジョン内で、帰ってこなかった初級冒険者たちの遺品回収業務の最中だった。


ギルドから発行される冒険者証明のタグを回収し、遺骨に手を合わせて霊を送ったはいいものの、俺のにおいを嗅ぎつけてきた魔狼たちに追われ追われてダンジョンの奥へ向かってしまった。そうしたら奥にダンジョン主と思しきバジリスクまで居て、進退窮まった。

そこに運よくと言えばいいのか、魔狼たちを追って『神秘の双翼』がやってきたわけだ。


これ幸いとばかりに俺は物陰に隠れ、俺一人じゃ戦えないから、彼女たちに任せている訳だ。


* * *


「くっ! コイツ、肉が固くて打撃が通りにくい!」

「それに素早いから、火属性魔法じゃ決め手に欠けるわね……」


アネッサ・メリッサ姉妹は、バジリスク相手に苦戦している様子だった。たしかバジリスクは、日本語で言うならば毒蛇だ。蛇は全身が筋肉でできているから、触ってみたら思いのほか硬かったことを覚えている。

冒険者登録をするにあたってモンスター辞典を見た時、毒も持っているという話で、下手に斬ったりすれば毒の血が飛び散るという。


「レーナ! ルビナ! 解毒魔法は使えたわよね!」

「当然!」

「勿論!」

「それなら……、スイッチ!」


メリッサは魔狼たちを相手にしている二人に声をかけて、視線を絡める。

そして、『スイッチ』の言葉を切っ掛けに、互いの相手を交換した。

すなわち、アネッサ・メリッサ姉妹は魔狼たちを、レーナ・ルビナ姉妹はバジリスクを狙い始めたのだ。

多少のダメージは覚悟の上、という戦法だろうか。


その間、冒険者ランクが『ストーン』の俺は何をできるわけもなく、固唾を飲んで見守る事しかできない。


「赤き血よ、紅に染まる焔の精よ。我が声に応え力を与えたまえ! 『火炎散弾-スプリットフレイム-』!」


多数の敵を相手取る事になったメリッサは、複数の火炎弾を放つ。魔狼の過半数が当たり、わずかな数が避けて、火炎弾が岩壁に当たった。

そして俺は、岩壁の方を見て気付く。


……さらに奥がある?


元々ここは炭鉱として、もはや目的の鉱石が見つからないと判断された廃坑道がダンジョンになったものだという。

これ以上奥があるとは思えなかったが、しかしそれ以上に何かが隠されていたのだろう。

岩壁に開いた穴を見て、俺はせめても、4人の戦闘の邪魔にならないようさらに奥に身を隠すことにした。


するとそこには、まるで研究所のようなものが存在していた。

多数のフラスコやガラス瓶、そこに詰まった謎の薬品、本棚には多量の、まばらに纏められた紙束が収められている。

何を研究していたのかは分からないが、そこでは確かに「何か」を研究していたようだ。


そして、その研究室の一番奥にあるのは、ひときわ大きな機材だ。

人やモンスターが入りそうなカプセルが二つ。その間にもう一つ、大きなカプセルが存在している。

何かどこかで見たような気がすると思い、その確信を得るために近くにある紙束を手に取った。


一番上に纏められていた紙束に、図解と、どうすればいいかが描かれていて、すぐに分かった。


融合装置。

二つのカプセルに人間やモンスターを入れて起動させることで、二つの存在の知識・記憶・能力を融合させ、新しい存在を作り出す事ができるという。


ともすれば人の倫理を犯すような、とんでもない代物だった。


ページをめくり、この融合装置の扱い方を学ぶ。不思議と手が止まらなかった。


1つ。2つの存在を融合して1つの存在に作り替える。

2つ。融合体は素材元の知識・記憶・能力を全て兼ね備えている。

3つ。融合体の意識は素材元の意識が混じり合って存在する。

4つ。ただし片方が死体の場合は、生きている側の意識のみとなる。


大まかに分ければこの4つだ。ここを拠点としていた存在は、何人もの人間やモンスターを素材にして、色んなバケモノを作っては処分していたらしい。

そしてある日を境に、ぱたりと記述が止まっていた。

奥の方には寝室らしきものがあり、そこに行けば、すでに白骨となっている死体が存在していた。

老衰か何かかは知らないが、この部屋の主はすでに死んでいたのだ。


念のため、手を合わせ、念仏をあげて魂をあの世に送る。

これでこの白骨が、スケルトンになって動き出すことはない筈だ。


同時に、融合装置の扱い方と、ここの主と思しき存在の慰霊を済ませる間に、随分と時間を使ってしまった。果たして『神秘の双翼』はどうなっているのか、一度戦場に戻って確認する必要があった。


* * *


そして戻ってみれば、そこには死体しか残っていなかった。

魔狼達とバジリスク、だけではない。『神秘の双翼』4人の死体が倒れていた。


……恐らく、恐らくだ。先ほど戦う相手を変更していたのだが、そこで何かが間違ってしまったのかもしれない。

変更をしていなければ、時間をかけていたかもしれないが勝てていた可能性だってあったはずだ。

もちろん俺は戦いを直接見ていたわけではない。もしかしたら実力は拮抗していて、あのまま戦っていたら負けていた可能性だってあっただろう。

勝つ可能性だって、同時にあったはずだ。


けれどそれは、もはや仮定の話でしかない。どんな経緯であれ、冒険者パーティ『神秘の双翼』は、ここに全滅した。

死んだものを生き返らせる魔法もアイテムも、伝説級の代物で。ランクが『ストーン』の俺や『ブロンズ』の彼女たちでは遠い噂話でしか聞くことはない。


少しばかり苦々しいものを感じつつ、俺は手を合わせ、念仏をあげて彼女たちとモンスターの慰霊を済ませる。

……本来ならば、そこで終わらせておくべきだった。


本当に。

仏道に身を置いた者に鍛えられた者としては、恥ずかしいことかもしれないが。


俺は先ほどの部屋にあった融合装置に、心を囚われていた。


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