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龍星色(元・罰印) from fanbox
龍星色(元・罰印)

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異世界融合物語(2):禁忌の思考は情動の果てに

4千字近く書いてるのにまだTSしないという、あまりにも足の遅い作品でございます。

もっとサッと書いてパッとTSさせて話を書きたいものです……。


――――――――――


 融合装置を動かす為の魔力を確認する。魔法石を電池代わりにして動かす形らしく、まだ使用可能な魔法石がはめ込まれている。問題はなさそうだ。

 体温を感じられない『神秘の双翼』四人の死体を運搬する。邪魔をする存在が入ってくる気配はないようで、多少時間はかかったが何事もなく四人分を研究室の中に運び込めた。分かっていたが、血が通うことを止めた肉体はぞっとするほど冷たく、重かった。

 四人を並べて、改めて彼女たちの冒険者タグを取り、確認する。


 エルフの魔法剣士。艶やかな金髪を伸ばし、桃色のビキニアーマーを身に着けたレーナ。

 同じくエルフの魔法剣士。輝かしい銀髪を左右でまとめ、姉と同じ形の紫のビキニアーマーを身に纏うルビナ。

 エルフの格闘家。赤い髪をたなびかせ、うっすらと筋肉の浮き出るしなやかな肉体を黒のビキニアーマーで隠すアネッサ。

 エルフの魔術師。姉と同じく赤い髪の、そしてこの中では最も重装備、だがそれでも肉体美を誇示する事を忘れない白のビキニアーマーを装備するメリッサ。


 魔狼達やバジリスクは素材として使うには怖すぎる。そもそもバジリスクは血に毒がある。俺が持ってる毒消しでは対応できない毒の強度であったら、俺も死ぬ。それだけはできなかった。

 だから『素材』は、彼女たちだけにする。

 これから彼女たちを使って、この融合装置の効果を確認するのだ。


 難点は二つ。

 一つ、死体同士の融合は上手くいくのか。こればかりはあの紙束に記述が無かったため、本当に今からやる事で追記をする形になる。

 二つ、生者と死者との融合は可能なのか。世の中には生きたまま死者の力を行使する『リッチ』という者もいるとは聞いたが、それになってしまわないか。

 どうなるかわからない。それでもやってみたい、という欲望が今の俺を突き動かしている。

 だから、やるのだ。


 何をやるのか。

 それは自分を使った、融合装置の実験。これを使って4人を融合させ、その融合体と俺とが一つになることだ。

 二つの存在の知識・記憶・能力を融合させ、新しい存在を作り出す事ができるというのなら、四人を二人に、その二人をさらに一人にして。それと俺が融合することで、『神秘の双翼』の能力すべてをものにできるかもしれない、と考えたからだ。


 わかっている。これは死者の冒涜で、禁忌の所業だ。

 それでも俺は心のどこかで力に憧れていた。冒険者になっても、死者の魂を鎮める慰霊だけしかできない。それはつまり『俺にはモンスターと戦うだけの力が無い』という事実。

 起こりえる筈のないテロリストの襲撃、凶悪犯の脱走とかを授業中に意味もなく考えた事がある。その時に華麗に犯人を取り押さえたりする自分の妄想にふけった事もある。

 異世界に召喚されて、これで自分は退屈な日々からおさらばできると考えたが、その浅薄な考えを打ち砕くように、その為の力が無い事を冒険者登録の際に突きつけられた。


 だから俺は力が欲しかった。冒険の旅に出られるような、強い力が。

 そこに降って湧いたような融合装置と、『神秘の双翼』の全滅。もしかしたらという思考が駆け巡って、親父が教えた仏道さえも蹴り飛ばして、こうして実行に移すのだ。

 もし失敗しても、それが俺の天命ならば、それはそれで諦めがつく。慰霊師として細々と身を立てる覚悟が決まるのなら、構わない。

 『神秘の双翼』の四人には、俺の為の実験台になってもらうとしよう。


 まずはレーナ・ルビナ姉妹を裸にして、融合装置に運び込む。三つあるカプセルの、融合素材を入れる用のカプセルに裸の二人の死体を入れて、蓋を閉める。

 魔法石の魔力量を確認し、問題ない事を再度確認して。震える指で融合装置のスイッチを入れる。


 ヴヴン……!


 装置が駆動音を上げて、融合を開始していく。


 レーナ・ルビナ姉妹の肉体に魔力の光が灯り、ゆっくりと分解されていく。固唾を飲んでそれを見守る事しかできない。

 レーナは金色の、ルビナは銀色の魔力光に分解されていく。二人がパイプを通っていき、中央のカプセルに二色の魔力光が注ぎ込まれ、混じり合う。

 中央のカプセルがひときわ大きな駆動音を上げて、わずかに振動していく。

 魔力光が混じり合う。混じり合う。ぐるぐると魔力光が混じり合い、白い輝きを放ち始めていくと、中央のカプセルの中で何かが形作られていく。


 すべての時間は一分にも満たないだろう。魔力光が完全に形を定め、光が収まると。中央のカプセルの中には一人の女性が倒れている。

 外見はレーナにも、ルビナにも見える。そもそも二人は双子の姉妹で外見的にも髪の色くらいしか違いがなかったため、融合した存在はどちらのようにも見えていた。

 ただ一つの違いがあるとするなら、髪の色は金でも銀でもなく、薄い白色になっているくらいだろうか。


 ……ひとまず、死体同士であっても融合が出来る事は判明したわけだ。


「……ッ」


 生唾を飲み込み、中央のカプセルの蓋を開け、姉妹の融合体に触れてみる。

 その肉体に熱はなく、脈もない。死体同士を融合させても、魂のない身体にしかならない事も判明した。

 何も書かれていない紙を探し、死体同士でも可能な事、死体同士を融合させても魂が無い事など追記をしていく。

 正直に言えば、興奮していた。こんな事になってほしいと思っていたが、まさか本当になるとは。その現実に胸が高鳴っていく。


 では次の融合を行おう。

 アネッサ・メリッサ姉妹も、レーナ・ルビナ姉妹と同様に装備を解除させて裸にし、同様に素材用のカプセルに入れる。

 融合装置のスイッチを入れて、こちらの二人も融合させる。


 アネッサ・メリッサ姉妹は赤い魔力光となって混じり合い、そうしてまた一つの融合体になった。

 やはり双子の姉妹故か、融合体はどちらのようであってどちらでもないように見える。髪の色は、こちらは二人とも真っ赤であったため、融合体の髪もまた赤い。


 さぁ、次だ。三回目の融合を行おう。


 回数を重ねるたびに、俺の中に「倫理」という壁が剥がれ落ちていく気がする。求める物を求める事に、倫理など邪魔なだけではないかという意識が芽生えてくる。

 三度目の融合装置の駆動を前にして、俺はだんだんと、期待に胸を膨らませていく。


 二組の姉妹の融合体が、中央のカプセルに生成されていく。

 その姿は、女性としての肉体的魅力に満ち、薄紅色の長い髪をして、男を一目見れば行為を抱かせそうな相貌をしている、非の打ち所がない『美女』だった。


 ……そして俺は、ここまで来てふと考える。

 俺は、『神秘の双翼』の四人を融合させて、その融合体とひとつになろうと思っていた。四人の力を効率よく一つにまとめて、俺のものにできるからだと考えて。

 そうして四人の融合体が完成した時に、興奮していた思考がふと我に返ってきた。

 俺は、女性と融合しようとしていたのか、と。


 男である俺が女の融合体とひとつになれば、どうなるのだろうか。

 慌てて俺は、融合装置の紙束を見直す。そこに男女を融合させた例示などは無いだろうか、と考えながら。


 結果だけを言うならば、それは書かれていなかった。融合装置の開発者は性別に関して頓着していなかったのかもしれない。

 となれば、俺が再度追記をするように、四人の融合体とひとつになって確かめるしかないのだと。


「ははっ、自分の身体を使った人体実験とか、シャレにならないな……」


 独り言ちながら考える。どうなるのかわからないという不安と、目の前にある融合体という現実。不安を手にしてこの場で止めるのか、もしもを考えて望んだものを得るのか。

 考える、考える。考えて考えて、考えた末に。俺は融合体を、左右のカプセルの片方に入れる事にした。


 どうなるかわからないのならば、進むしかない。俺が融合体と一つになって、確かめてみるしかないのだと。


 もう片方のカプセルの蓋を開けて、俺も服を脱ぐ。

 この場で最も怖いのは、融合装置に異物が混じりこむことだ。親父が見ていた蠅人間の映画とかを見て、その日は恐ろしくて眠れなかった記憶を唐突に思い出しながら。


 誰にも見られていない事をいいことに裸になると、興奮か、恐怖かは分からないが、男性器が強く勃起していた。

 俺が女性の融合体と融合するのなら、もしかしたらコイツともお別れになるかもしれないなと苦笑いしながら、俺は融合装置のスイッチを押した。

 融合装置が動き出した瞬間に、俺はもう片方のカプセルの中に入って蓋を閉める。


 ゆっくりとカプセルが揺れる中、俺は唾を飲み込み、恐怖心を押し殺しながら、事が進むのを待った。


 そうすると、次第に足下の感覚がふわふわとしてきて、見てみれば足先から魔力光に変っていくのが見える。

 肉体の魔力光への変化は、足下から上がっていき、次第に股間、次に腰、胸元へとあがっていく。


 心臓が高鳴る。俺はどうなるのだろうか、成功するのか、失敗するのか。

 分からない事を判明させるために、俺の欲望を満たす事ができるか知るために、興奮が止まらない。

 魔力光への変化は次第に頭まで行くと、意識がぼんやりとし始める。目覚めたらどうなるのかという、わずかな恐怖と、多大な期待を胸にして。


 俺の身体は全て魔力光に変化して、カプセルの中から消えた。


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