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⑨ しばりしばられ 11

その⑧ → https://nobe.fanbox.cc/posts/4208655


__時刻は少しだけ遡る__


「ここに光姫さんたちが…?」


「えぇ、間違いないと思うわ。」


縄原はスマートフォンを操作し、私たちに画面を見せてきた。


「沙希ちゃんたちを乗せたハイエースがここに入っていく姿がばっちり映ってるわ。」


縄原のスマートフォンには光姫さんたちを誘拐したのと同じナンバープレートのハイエースが映っていた。


「こんなところに監禁されてるの…」


「郊外だし誘拐して閉じ込めておくにはもってこいよね。」


縄原はスマホをポケットの中にしまい、前を向いた。

縄原の視線の先には廃れた漁師小屋。ここは郊外の海岸だった。漁を営んでいる者は物流が整備されている中心街に近い海岸を本拠地としていた。そのためこの郊外の海岸には地元の漁師でもあまり立ち寄ることはなかった。


「警察とか呼んだほうが良いんじゃない?」


私は縄原に尋ねた。


「妹ちゃんは人攫い屋の本質を考えたほうが良いわよ。」


「本質?」


「私はともかく、一般的な誘拐犯の目的はなんだと思う?」


「えっと…お金……とか?」


「そう。つまりこのままだと沙希ちゃんたちはお金持ちの変態さんに買われてしまうわけ。」


「なるほど…。」


「そしてここは海の近く。」


「そうか…船…!」


「その通り。夜明けの頃には海外にでも運ばれちゃうかもね。」


縄原の分析は的確だった。警察を呼んでも間に合うかは分からない。それなら私たちが救出したほうが早いかもしれない。


「ここにいることがわかったなら早速沙希さんたちを救出しにいきましょう!」


お姉ちゃんは自慢のクナイを構え、その漁師小屋へ突撃しようとした。


「待ちなさい。」


そんなお姉ちゃんの手を縄原がぎゅっと握りしめて静止させた。


「…ふぇ……?」


縄原の突然の行動にお姉ちゃんも唖然としていた。縄原はお姉ちゃんを手繰り寄せ、やれやれといった面持ちで続けた。


「敵さんの情報もないのに無謀に突撃してたらすぐに捕まっちゃうわよ。」


「た、たしかに……」


「監視カメラの映像を見る限り複数台のハイエースがこの漁師小屋に出入りしてるわ。かなり大規模な組織と考えた方が良さそうね。」


「そんな…さっき貴女が私を止めてくれなかったら……」


「あっさりと捕まってギチギチに縛られていたでしょうね。」


縄原は淡々と続けた。お姉ちゃんは自分の縛られた姿を想像したのか冷や汗を流していた。

かくいう私も縄原の助言がなければお姉ちゃんと一緒に侵入して捕まっていたと思う。悪い人に囲まれて人質を取られて…抵抗することもなく縛られる。後ろ手に縛られて…股縄を通されて…光姫さんの前でローター責めされて………。


「………///」


「本当に変態さんなのね、妹ちゃん。」


「な…ち、ちがう!」


縄原がニヤニヤしながらこちらを見てきた。この人は私の心の中まで読めるのだろうか。本当に油断できない。


「それで…どうやってみなさんを救い出すのですか?」


お姉ちゃんが縄原に尋ねた。話が逸れてくれて助かった。


「そうねぇ。とりあえず貴女たちを縛らせてもらうわ。」


縄原は麻縄の束を取り出して私たちに見せつけてきた。


「っ……!やっぱり私たちを嵌めるつもり…!」


私は即座に戦闘体制をとる。


「そうそう焦らないで。貴女たちを縛るのは侵入するためよ。」


「つまり、組織の内部に入り込むために誘拐されてきた女の子に成りすますと?」


「さすがお姉ちゃん、理解が早いわね。」


縄原はお姉ちゃんの頭を撫でながら言った。


「ぇ……ありがとう…ございます…。」


私は縄原なんかに主導権を取られないようにするために口を開いた。


「それなら……。でも縛られていたらいざという時に戦えないよ。」


「それなら大丈夫。縄抜けしやすいように縛ってあげるから。」


「縄抜けしやすい縛りって…そんなのできるの?」


「百聞は一見に如かずよ。」


「え…?」


縄原は縄を構えて術を放った。


「“緊縛の術”」


ギチィ…


「ぁん…」


「ひゃう…!」


私たちは一瞬にして後手縛りを施された。くノ一の私たちが対応できない速さで縄原は私たちを縛り上げた。この人はどこまで実力を隠しているのだろう。

って…そんなことより……。


「縄原……流石にキツいよ……っん…!」


縄原の縛りはシンプルながらも私たちの身体に食い込んでいた。そして股縄も施されていたため下腹部がとても熱い…。


「大丈夫よ。縄抜けしてみなさい。」


「う、うん…。んしょ…」


「縄抜けは苦手なんですけど……よっ…」


私たちは縄抜けに取り掛かった。するとすぐに結び目の一つが解けた。


「あれ…これなら…」


「縄抜けできそうです…!」


私たちは一気に縄抜けを進めた。すると少し悪戯な笑顔を浮かべた縄原がお姉ちゃんに対して口を開いた。


「さすが優秀なくノ一ね。もう結び目を解いちゃうなんて。」


「えっへんなのです。日々の鍛錬のおかげです!…って…きゃぁ…!」


お姉ちゃんが調子に乗った次の瞬間、足を滑らせてその場に転んだ。そしてその反動で縄が絡まり逆海老縛りのように身動きが取れなくなってしまった。


「芸術のようなドジっぷりねぇ。」


「うぅ…恥ずかしいです……。」


「まぁ、そんなところも可愛らしいのだけどね。」


「ふぇ…可愛い……?っ…ん……股縄が…」


縄原の言葉に動揺したお姉ちゃんはさらに股縄にも縄が絡まり、強く食い込んでいた。


「まったく…お姉ちゃんのドジには困ったものだよ。」


私はお姉ちゃんの醜態を他所に縄抜けを続けた。


「あら、妹ちゃんはもう少しね。」


「ふん、舐めないでよね。」


すると縄原は私も耳元で小さく呟いた。


「(もっと股縄を食い込ませてあげたほうが良かったかしら?)」


「ばっ……!何言って……ってうわぁぁ!」


ギュゥ…


「ぁん…食い込むのダメぇ……」


「うふふ、姉妹揃ってドジっ子ねぇ」


縄原に妨害されたせいで私もお姉ちゃんと同じように縄が絡まり逆海老縛りになってしまった。先ほどよりも股縄が食い込み気持ちいい…。い、いやとても苦しい!


「ほら、肩の力を抜いて。」


「う、うん。」


「わ、分かりました。」


私たちは縄原の助言通りに縄抜けを試みた。


ハラリ…


「と、解けた!」


「やりました!」


私たちは初めて(?)縄抜けを成功させた。

縄原は解けた縄を拾いながら口を開いた。


「やればできるじゃない。それじゃあもう一度縛るわね。」


「うん!早く縛って!」


「お願いします!縛ってください!」


私とお姉ちゃんは両手を後ろに組んで縄原に懇願した。


「本当に可愛いわね、貴女たち姉妹は。」


そして私たちは縄原によって縛られた。



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