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氏裸 from fanbox
氏裸

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【小説】オトメ化ドリンク

「あっつ……今日の最高気温は……35度……? 暑すぎだろ……」


スマホで気象情報を確認した俺はがっくりと肩を落とした。

焼けるような熱が反射するアスファルトの道は歩いているだけでのぼせそうになってくる。

友人との待ち合わせのために駅前に向かっていたが、こうも暑いと会う前から体力がなくなってしまいそうだ。

数日前までは梅雨の影響で雨ばかりだったというのに、ここ数日は一転してカンカン照りの快晴だ。

突き刺すような熱さの直射日光は確実に俺の生命力を削っていく。

俺は堪らずペットボトルのお茶を一気にあおった。


「んっ……ぷはぁ…………やばい、もうお茶が残ってねえ……どっかで買わねえと身が持たん……」


俺は辺りを見回した。

自販機でもコンビニでもなんでもいい。

とにかく水分を取らなければ。

そんなことを考えていた俺の耳に、明るく響く女の子の声が聞こえてきた。


「新作の試供品配布を行っていまーす! 無料なので喉が渇いている方はお気軽にどうぞー!」


声の方を見ると、屋根のついた小さなブースの中から女の子が呼びかけを行っていた。

どこかの飲料メーカーのものと思われるペットボトルがいくつも並べられているその光景は、今の俺からすればまさに地獄に仏だ。

俺は汗を拭いながらブースの方に足をすすめた。


「すみません……それ、一本もらっていいですか?」


俺が声をかけると、女の子はにっこりと俺に微笑んできた。


「もちろんいいですよ! はい、どうぞ!」


女の子が俺にペットボトルを差し出してくる。

俺の目を見て笑顔で手渡してくるその姿に、思わずドキッとしてしまった。

見たところ、歳は大学生ぐらいで俺と同じぐらいに思える。

おそらくキャンペーンガールのアルバイトか何かだろう。

清潔感のあるピンク色の制服もよく似合っていて、宣伝に立つ人間としては好印象だ。

かなり美人だし、モデル事務所などから派遣されてきている可能性もあるか。

ああ、俺もこんな綺麗な子と仲良くなれたら……。


「あの……? お兄さん、大丈夫ですか?」


ぼーっと彼女に見惚れていたところに声をかけられてハッとなった。

俺は慌てて女の子からペットボトルを受け取る。

どうも暑さに頭をやられてしまっているようだ。

俺はさっさと体力回復をするべく、渡されたペットボトルのキャップを外し、中に入っている半透明の清涼飲料水をぐいっとあおった。


「…………?」


飲んだ瞬間、なんとも言えぬ味が口いっぱいに広がった。

甘いは甘いのだが、癖が強くえぐみのある味。

薬を飲んでいるようとも言われる某炭酸飲料の味が比較的近いが、個人的な意見を言わせてもらうとあまり美味しいとは思えない味だった。

俺はペットボトルに付いているラベルを見た。

薄ピンク色のラベルに赤い文字で『オトメドリンク』と書かれている。

新商品らしいがそもそもどこのメーカーのものだろうか。


「どうですか?」


ニコニコとした女の子がこちらに問いかけてくる。

俺はなんとも答えることができずにただ苦笑いをしていた。


「私も飲んだんですけど、あんまり美味しくないですよね、それ」

「え……」


女の子のあまりに正直な言葉に目が点になってしまう。

わかってて配っているのなら少し意地が悪くないだろうか。

まあ、仕事なのだから仕方ないのだろうが、それならそれでこんな正直に言ってしまうのもどうかと思う。

というか、さっきまでは暑さで冷静さを欠いていたから気づかなかったが、この道にはさっきから全然人がいないのにこんなところで宣伝していて意味はあるのか?

いくつも頭に浮かぶ疑念に、俺は訝しげな顔をするしかなかった。


「でも、大丈夫ですよ。一口飲めば効果が出ますから」

「……は?」


効果?

なんの話だろうか。

するとその瞬間、俺の心臓がドクンッと大きく跳ねた。


「……ッ!? なん、だ、これ……かはッ……!?」


頭痛。

目眩。

吐き気。

全身に広がっていく激しい悪寒に、俺は思わずペットボトルを落とし、その場に膝をついた。

先ほどまでとは違う冷や汗が額に噴き出るのを感じる。

なんだ?

何が起きてる?


「効いてきたみたいですね。オトメ化ドリンクの効果が」

「うぐぅっ……はぁっ……な、なんだって……?」


女の子が何か言っているが、聞いている余裕がない。

俺は苦しくなって胸に手を当てた。

そこで、視界に入った自分の手を見てふと疑問が湧いてくる。

俺の手はこんなに小さかっただろうか?

手だけではない。

腕もいつもより細く感じる。

それどころか、腕の肌の色がどんどん薄くなっていく。


「な、なんだこれ………………っ!? な、これっ……声が……!?」


思わず上げた声が、男のものとは思えない甲高いものに変わっている。

喉に手を触れると、そこにあったはずの喉仏がなくなっており、ただか細い首があるだけだった。

いつの間にか髪も伸びており、首を触る手にまでかかるほどになっている。

混乱する俺をよそに、体はどんどん変わっていく。

腰にくびれができて、ベルトを締めていたズボンが明らかに緩くなっている。

肩周りも徐々に華奢になっていき、丁度いいサイズだったTシャツもぶかぶかな状態だ。

その一方で、平らだった胸に二つの仄かな膨らみができているのがTシャツの上からでもわかる。


「む、胸が…………ッ!? これっ、アソコ……!?」


ズボンの下、パンツの中にある男性器が強い疼きと共に縮みあがっていく。

射精しそうなときのような焦燥感が込み上げてくるが、それも段々と下腹部に収まっていき、やがて完全に感覚が消失してしまった。


「お、俺……どうなって……」


体に渦巻いていた不快感が治まったときには、俺の体は完全に変化しきっていた。

華奢で頼りない小柄な体。

それは、まるで女のような……。


「おめでとうございます! 貴女は生まれ変わったんですよ!」


興奮した様子の女の子の声に思わず顔を上げる。

女の子はニコニコしながら、こちらに手鏡を向けていた。

反射した光の眩しさに一瞬目が眩んだが、ゆっくりと鏡の中を覗き込むと、そこにはどこか俺の面影を残した可愛らしい少女が映っていた。

ぱっちり二重の綺麗な目をまばたきさせながら困惑したような表情でこちらを見返している。

まさか、これが、俺?


「ふふふ、すっかり可愛らしくなっちゃいましたね」

「……な、なんだよこれっ!? どうなって……」


あまりにも現実離れした事態に俺は思わず取り乱してしまう。

だってそうだろう。

変な飲み物を飲んだら体が女になってしまったなんて、そんな馬鹿な話が信じられるわけがない。

しかし、現実の話として俺の体は女に変わっており、その証拠にさっきから出る声は完全に高い女の声だ。


「貴女はオトメ化ドリンクの効果で理想の女の子になったんですよ」

「オトメ化……ドリンク……?」


俺の落としたペットボトルを拾い上げながら、女の子は語りかけてくる。

妖しげな微笑みを浮かべている様子には、何か薄ら寒いものを感じる。


「このドリンクを飲んだ人間は、自分の理想とする女の子になることができるんですよ。深層心理でその人が思っている理想の女の子の姿に、ね?」


俺が、理想の女の子になった?

確かに鏡に映る少女はとても可愛らしい。

その小柄で華奢な姿は守ってあげたくなるような庇護欲をそそられるし、こんな子と付き合いたいと俺も思う。

だが、それは俺が男ならばの話だ。

俺自身が女になってしまっては意味がない。


「俺はこんな、女になりたいなんて思ってない! 今すぐ元に戻してくれ!」


俺は立ち上がり、目の前の女の子に詰め寄った。

さっきまで俺の方が背が高かったというのに、今は相手を見上げる形になってしまっており、少し屈辱を感じる。

こんな小柄な少女に詰め寄られたところで迫力がないためか、女の子は余裕の表情でこちらを見下ろしている。


「本当にそう思ってるんですか? 女の子の体より男の方がいいと?」

「当たり前だ! 早く男に戻せ!」

「ふふふ……嘘ばっかり……」


そう言うと、急に女の子が俺のことを抱き寄せてきた。

ふわりと漂ういい香りに思わずドキッとしてしまう。


「女の子の体って、とってもいいんですよ? 柔らかくて触り心地がいいし……それに、とーっても気持ちいい……」

「ひゃっ!?」


女の子が俺のTシャツの中に手を入れて、肌を直接触ってきた。

いきなりのことに変な声をあげてしまったが、彼女の手はとてもヒンヤリとしていて、暑く火照った体には少し気持ちいい。

女の子はそのまま俺の背中を撫でるように手を這わせてきて、なんだか体がムズムズしてくる。


「女の子の肌って、スベスベで柔らかくていいですよね。ほら、貴女も触ってみてください」


俺の手を取った彼女はTシャツを捲って俺の腹に当ててくる。

元の体にあった腹筋はほとんど失われており、ぷにぷにとした柔らかい肌がそこにあった。

俺は自分の体に触れているだけのはずなのに、さっきから心臓が高鳴って落ち着かない。

変な汗が止まらず、Tシャツに水滴の跡を作っている。


「ここは日に当たって暑いですね。ブースの中に入ってください」


俺は彼女に手を引かれるまま、屋根のついたブースの内側に連れて行かれた。

冷たい風の出る小型の扇風機が置かれていて、さっきよりは大分マシに思える。


「その服、汗でビショビショですし、脱いじゃいましょうか」


すると、女の子はいきなり俺のTシャツを脱がしてきた。


「ちょ……何して……!?」

「いいじゃないですか、ほらほら」


抵抗しようとしても全然体に力が入らず、なされるがままになってしまう。

これは力が入らないと言うより、そもそも力が全然ないのかもしれない。

こんな華奢な体では、女の子相手ですらとても力が及ばないということに俺は愕然とした。


「ふふふ、可愛らしいお胸ですね」


Tシャツを脱がされた俺は上半身裸の状態になってしまった。

俺は咄嗟に両手で自分の胸を隠す。


「大丈夫ですよ、私以外誰も見てませんから。……ふふふ、そうしていると本当に女の子みたいですね」

「っ……!」


なんだ、この感じは。

さっきから自分が女になってしまったことを自覚させられるたびにドキドキしてしまう。

俺は、男だ。

こんな、自分が女になっていることに心地良さなんて、感じるわけが……。


「そんな隠してないで……胸、触ってみてください。気持ちいいですよ? ほら」

「……んッ……!?」


女の子が俺の胸を揉んでくる。

自分の胸に脂肪の塊が付いていて、それが女の子に揉まれている。

男だった頃には絶対に体験できなかった感覚に、俺の心臓の鼓動はどんどん強くなっていく。


「あら? 乳首が勃ってきましたね。興奮してきましたか?」

「ち、ちが……」

「ふふふ、気にしなくていいのに。乳首も、こうやって摘むと気持ちいいですよ?」

「んひゃあっ!?」


女の子に乳首を摘まれた瞬間、強い電流のような刺激が体を突き抜け、思わず悲鳴をあげてしまった。

なんだ今のは……。

まだ胸の先端からじんわりと広がる感覚に、俺の心はすっかり囚われてしまった。


「貴女も触ってください。自分の手で、じっくりと。とーっても気持ちいいですから」

「あ、ああ……」


微かに赤くなったその乳首を、俺は親指と人差し指でぎゅっとつねった。


「んきゅぅッ! んっ、ああっ……んっくぅ……!」


再び体を突き抜ける電流。

その刺激に夢中になった俺は狂ったように自分の乳首を弄り続けた。

気持ちいい。

気持ちいい。

乳首が、すごく気持ちいい。


「女の子の、乳首オナニー……気持ちいいですよね。ね? いいでしょう? 女の子の体」

「んっ、んんッ! んはあっ、これ、すごく、いいっ……!」


断続的に体を駆ける快感に、俺の頭はとろけきっていた。

熱に浮かされたように、ただ一つの思考に侵された俺はひたすら指を動かし続けた。

もっと、気持ちよくなりたい。

心臓はドクンッドクンッと周りにも聞こえそうなほどに高鳴り今にも破裂してしまいそうだった。


「いい顔ですね。ほら、見てください。これが今の貴女ですよ」


女の子がこちらに鏡を向けてくる。

上気して頬を赤く染め、あまりの気持ちよさに目に涙を浮かべたその顔は非常に扇情的で、それが自分であるということが何よりも俺を興奮させた。

快感に完全に支配されきった俺は、目前まで迫った絶頂に向けて自らの気持ちを高めていく。

俺、イきたいっ……。

女の子の体で、イッちゃいたいっ……!


「んっ、あッ! んんっ、んはぁっ、あッ、あぁッ、んんああぁッ!!!」


最後にぎゅっ乳首を握りしめた瞬間、体が一気に強ばり、特大の快感が突き抜けた。

お腹の下の大事なところが強く疼いて、ガクガクと体が震えてしまう。

やがて力が抜けて倒れそうになっていたところを、目の前の彼女が支えてきた。


「お疲れ様です。気持ちよかったですか?」

「んっ……はあっ、はぁ……」


とにかく呼吸を整えるのに必死で、彼女の言葉は耳に入ってこなかった。

そこでふと我に帰り、自分がとんでもないことをしてしまったことに気づく。


「……わ、わたし、なにして………………って、え……?」


わたし?

今、わたしは自分のことをわたしと言った?

いや、声に出してない頭の中まで、わたしは自分のことをわたしと呼んでいる。

な、なにこれ?

どうなってるの?


「完全に身も心も女の子になれたみたいですね」

「み、身も心もって……どういうことですか……?」


わたしが尋ねると、お姉さんは優しげな顔で微笑みながら言葉を返してくる。


「女の子の体になったあと、自分が女の子になったことを受け入れると、体だけでなく心まで自分の理想の女の子になれるんです。今の貴女は誰がどう見ても女の子ですよ」

「そ、そんな……」


今のわたしは、わたしが想像する理想の女の子ってこと?

そんなの、わたしは望んでいない。

わたしは男の人なのだから、女の子になってしまうわけにはいかないのだ。


「お、お願いです! 元に戻してください!」


わたしは涙目になりながらお姉さんに懇願した。

彼女は困ったような顔をしながらこちらを見返してくる。


「戻りたいって、どうしてそんな嘘を言うんですか? 貴女がそうなったということは、貴女自信が女の子になったことを受け入れたということなんですよ? もっと素直になってください」

「で、でも、わたしは……」

「その透き通った綺麗な肌も、さらさらとした長い髪も、愛らしいその顔も、女の子になれたからあるんですよ? 男に戻ってしまったら全てなくしてしまう。それでもいいんですか?」

「っ!」


わたしは息を呑んだ。

わたしのこの女の子らしい体。

華奢で、小柄で、弱々しくて、でもとても綺麗で可愛らしくて、理想の女の子の体。

これを、手放してしまって本当にいいのだろうか?


「やめましょうよ、もう。貴女は可愛い女の子なんですから。ほら、そんな似合わないズボンも脱いでください。貴女が着たいのはこういう服でしょう?」


お姉さんがわたしに服を差し出してくる。

彼女が着ているのと同じピンク色をしたワイシャツとスカート。

そして、女性用の下着。


「あ、ああ……」


着たい。

あれを着て、もっと女の子らしくなりたい。

そんな気持ちが、胸の中を占める。

そうだ。

男に戻りたいなんていうのは嘘だ。

女の子になってしまったことが恥ずかしくて、それを受け入れてしまっていることを誤魔化したくてあんなことを言ったけれど、本当は女の子みたいに可愛らしくなりたいと、心が願っていた。

わたしは彼女から服を受け取り、身につける。

初めて着る女の子の服。

けれど、この服こそがわたしらしい服であると思えてならなかった。


「ふふふ……そのスカート、よく似合ってますよ」

「ほ、本当ですか……!」


お姉さんに褒められ、わたしの心は大きな喜びに包まれた。

女の子らしい格好をして、それを他人に褒められるのが、こんなに気持ちいいだなんて知らなかった。

わたし、女の子になれて、とても嬉しい。


「それじゃあ、最後の仕上げをしましょうね」

「……最後の仕上げ?」

「はい。貴女はまだ完全に女の子になっていません。一つだけ、まだ男の頃のままなものがあるんです」


わたしが、男のまま?

なんだろう。

そのせいで女の子になれないのならそんなのは要らない。

早く捨ててしまって完全に女の子になりたい。


「貴女、名前はなんて言うんですか?」

「……名前、ですか? わたしは、大崎慎也です」


わたしが自分の名前を言うと、お姉さんは苦笑いを浮かべていた。


「その名前は、貴女が男の頃の名前ですよね? だったらそれは捨ててしまわないと。これからの貴女の名前は、大崎志乃です。志乃、それが貴女の名前になるんですよ。わかりましたか? 志乃ちゃん」

「ッ! は、はいっ! わたし、志乃……そっか、わたし、これからは慎也じゃなくて志乃なんだ……」


大崎志乃。

女の子らしくとても可愛いらしい名前を与えられたことで、わたしは完全に女の子になることができた。

それを自覚した途端、体の内側から快感が湧き起こって恍惚とした気分になってきた。

お腹の下の、股の間にある大事なところが、また疼いている。

ずっと感じていた不思議な感覚。

あれは、女の子になれたことを実感する度に幸福感を得ていたんだ。

嬉しい……。

わたし、女の子になれて、志乃になれて本当に嬉しい……!


「志乃ちゃん。貴女にも、本当は女の子になりたいと思っている男の人を女の子に変えてあげるのを手伝ってほしいんですけど、いいですか?」

「は、はいっ! わたしでよければ!」


この嬉しさ、他の人にも教えてあげたい。

女の子になるのは本当に素晴らしいことなんだって、みんなにも教えてあげたい。

わたしは高揚感を覚えながらお姉さんの手を取った。




────────




「やっべえ、完全に遅刻だよ……大崎の奴、怒るだろうなあ……」


友人との待ち合わせ時間が過ぎたことを確認した俺は頭を抱えながら駅前に向かっていた。

言い訳をさせてもらうなら、全てこの暑さが悪い。

こんな人を殺しかねないレベルの直射日光を浴びながら外を歩くなんていう拷問を甘んじて受け入れるのはマゾヒストのすることだ。

俺はただ、この暑さを避けるためにギリギリまでエアコンのガンガンに効いた部屋でダラダラしていたに過ぎない。


「……なんて言ったら、キレるに決まってるよなあ。あいつ結構短気だし、この暑さも加わってさらに大激怒になりそうだ……」


この暑さの中、外で一人待たされている友人を思うと流石に申し訳なくなってきたので、俺は少し急ぎ気味に駅前を目指した。

しかし、そうなると体力の消費はより激しくなり、数分後にはもうバテそうだった。


「……あちぃー……。み、みず……」


急いで家を出たせいで飲み物の用意など全くない。

このまま歩き続けたら脱水症状でぶっ倒れそうだ。

そんなことを考えていると、道の先から女の子の声が聞こえてきた。


「し、新作の試供品配布を行ってまーす! 無料なので、喉が渇いている方は、お、お気軽にどうぞー!」


たどたどしい声を上げて女の子が呼びかけを行っている。

声の方を見ると、そこには涼しげな屋根付きのブースがあり、大量のペットボトルが並べられていた。

グッドタイミングだ。

俺は神に感謝をしながら声の方へ向かった。


「すいませーん、そのペットボトル一本もらってもいいっすか?」


俺はブースの中にいる女の子に声をかけた。

中には二人の若い女の子がいた。

一人はモデルのような体型の美人な女の子。

歳はだいたい大学生ぐらいだろう。

溌剌とした明るい表情をしていて、見ているだけでこっちも元気をもらえそうな気がしてくる。

もう一人は髪の長い小柄な女の子。

こっちの子は高校生ぐらいに見える。

やや自信なさげな顔をしているところを見るに、先ほどまでの声かけはこっちの子がしていたのだろう。


「は、はいっ、いいですよ…………って、あっ……! 神田……さん……!」


俺と顔を合わせるなり、高校生ぐらいの子は目を丸くして俺の名字を呼んできた。

突然のことにこっちも面食らってしまう。


「え? 俺のこと知ってんの? どこかで会ったっけ?」

「えっ、えっと……その……」


俺の反応に困ったような顔をする高校生ぐらいの子。

胸の前で手をもじもじとさせる様子がなんとも可愛らしい。

しかし、この子に会ったことは多分ないと思うのだが。

こんな可愛い子と知り合いになっていたら流石に忘れるわけがない。

どこかで見たことがあるような気もしないではないのだが、俺の記憶には引っかからなかった。


「うーん、思い出せねえな……君、名前は?」

「わ、わたしは……大崎、志乃……です……」

「大崎って……も、もしかして、大崎慎也の妹!?」


俺は驚きのあまり大きな声を上げてしまった。

言われてみるとどこか大崎の奴の面影がある。


「まさかこんなところで知り合いの妹に会うなんて、すごい偶然だな。しかし、あいつにこんな可愛い妹さんがいたなんて初耳だぞ」

「ふふ、可愛いですって。よかったですね、志乃ちゃん」

「あ、ありがとう、ございます……」


志乃ちゃんは顔を真っ赤にして照れていた。

あまり褒められ慣れていないのか、その反応はとても初々しくていい。


「あ、あの! これ、良かったらどうぞ!」


志乃ちゃんが俺にペットボトルを手渡してくる。

そういえば、俺は渇いた喉を潤すためにここに寄ったのだった。

思わぬ出会いに気を取られたせいで当初の目的を忘れるところだった。


「お、ありがとう。いやあ、ちょうど喉が渇いてて本当に助かったよ」


俺は貰ったペットボトルの蓋を開け、中身を一気にあおった。

ゴクゴクと飲んだ瞬間、そのなんとも言えない味に、少し顔をしかめてしまう。


「……ぷはぁっ……これ、なかなか独特な味がするな」


俺の言葉に目の前の二人は苦笑いをしていた。

きっと二人ともこれを飲んだのだろう。

新商品らしいがあまり売れなさそうというのが俺の感想だ。


「志乃ちゃん。彼、飲みましたよ」

「はい。これで、神田さんもわたしと同じように……」


すると、二人は何やら楽しそうに笑い始めた。

なんだ?

俺がこれを飲んだことが何か関係あるのか?

頭の上に疑問符が浮かんだその次の瞬間、俺の体に強い衝撃が走った。


「んぐッ!? こ、これ……なん……がはっ!」


急激に体調が悪化していき、呼吸が乱れていく。

頭は割れるように痛くなり、胃の中からは何かがのたうち回っているかのような強い異物感を感じる。

そのまま全身に悪寒が広がっていき、耐えられなくなった俺は地面に膝をついた。


「はぁっ、はあっ……うぐっ……」

「志乃ちゃん、見てください。どんどん変わっていきますよ」

「わあ……本当ですね、すごいです……」


俺を見下ろしながら二人が何か言っている。

いったい何が起きているんだ?

苦しさに悶えながら俺はただ混乱していた。

地面を見ながら必死に吐き気を堪えていると、視界の端に髪の毛がチラついた。

……え?

なんでこんなに髪が長いんだ?

俺は髪に手を触れた。

たしかにこの長い髪は自分の頭から伸びている。

しかも、黒かったはずなのに何故か茶髪になっている。


「なんだよ、これ………………っ!? な、なんだこの声!?」


気づくと自分の声もおかしくなっていた。

声変わりを終えた後の低い声だったはずのものが、いつの間にか生娘のような高い声になっている。

これ、もしかして……。


「すごいです……もうほとんど女の子に……」


間違いない。

俺の体が、女に変わっていっている……!

男らしくガタイの良かった体格が、少しずつ縮んでいく。

濃い毛の生え揃った筋肉質の腕は、毛の一本すら生えないか細く弱々しいものになっていく。

短パンの裾から見える濃いすね毛も一本残らず抜け落ち、太ましいふくらはぎはカモシカのようにすらっとした足に変わる。

腰回りはどんどん括れていき、それとは対照的に尻には柔らかい脂肪がついていく。

尻だけでなく、胸にも脂肪が集まる。

シャツの胸元が少しずつキツくなっていき、やがて胸に押し上げられてボタンが弾け飛んでしまった。

俺の体はもう殆どが女のものになっており、残されたのはこんな状況にも関わらず勃起して自分が男であることを主張しているチンコのみだった。

しかし、そのチンコもどんどん縮んでしまっていき、その存在を失っていく。


「うっ、ああっ……俺の、チンコが

……うっ!」


もうすぐなくなってしまうというのに、俺のチンコからはとてつもない快感がもたらされ、俺はパンツの中で最後の射精をしてしまった。

その瞬間、俺のチンコの感覚は完全に失われ、体の不快感も同時に治った。


「ううっ……終わった、のか……?」


俺はよろめきながらも立ち上がると自分の体を見た。

さっきまでよりも明らかに体が小さくなっていて、シャツと短パンがぶかぶかになっている。

そのくせ胸と尻だけはパンパンに張っていて元の体型との違いが明確だった。


「おめでとうございます! これで貴女も女の子の仲間入りですね!」


志乃ちゃんの隣にいた女子大生が、こちらに手鏡を向けながら告げてくる。

鏡の中に映っているのは、茶髪に吊り目のギャルっぽい雰囲気の少女。

これが、今の俺なのか?


「神田さん、とっても可愛いですよ」

「お、おいっ! なんなんだよこれ!? なんで俺が女に……」

「貴女はオトメ化ドリンクの効果で理想の女の子になったんですよ」


女子大生がウキウキとした様子でこちらを見てくる。

オトメ化ドリンク……?

さっきの変な味の水か?

あれのせいで俺の体がこんなことになったって言うのか。


「神田さんは、そういう女の子が理想の姿なんですね」

「り、理想って……」


確かにこういうちょっと遊びを覚えてそうな女子高生は好みだが、だからと言って俺自身がそういう女になりたいなんて俺は思っていない。


「も、元に戻してくれよ! 俺は男としてこういう女の子と遊びたいって思ってるだけで……」

「貴女もそういう嘘をつくんですね。ほら、こっちにきてください」


すると、女子大生が俺の手を引いてブースの中に連れ込んだ。

振り解こうとしたが力が入らずなされるがままになってしまう。


「女の子の体のいいところ、教えてあげますね」


そう言うと、女子大生は俺の短パンの中に手を突っ込んできた。


「んひゃっ!?」


下着として履いていたトランクスの中にある股の間を触られた瞬間、俺は飛び跳ねそうになった。

鋭い快感が体を駆け抜け、思わず甲高い悲鳴をあげしまう。


「女の子のクリトリス。男の人のおちんちんなんかよりずーっと敏感で気持ちいいですよ?」


そのまま女子大生は俺の股を弄ってくる。

優しい手つきでクニクニと指を押し当てられ、俺はビクビクと震えながら悶絶してしまう。


「んっ、ああっ……そんな、いじられると……んあっ!」

「ふふふ、可愛い喘ぎ声ですね。どうせ誰もいませんし、我慢しないでもっと声を出しても大丈夫ですよ」

「あっ、んっ……ふうっ、んんッ!」


俺……女の体で、クリトリスを触られて女みたいな声出して喘いでるのか。

男の体ではあり得ないこの状況は、いつの間にか俺を興奮させる材料になっていた。

さっきまで男に戻りたいと思っていたはずなのに、女の子のような喘ぎ声をあげることに気持ちよさを感じている。

これ、すごく心地いい……。


「あっという間にぐちょぐちょですね。これならすぐイッちゃいそう」

「んっ、くうっ……あっ、それっ、もっとぉ……!」


気づくと俺は目の前の女子大生の腕にしがみついて自ら腰を動かしていた。

もっと気持ちよくなりたい。

ここを、もっと弄ってほしい。


「んっ……神田さん、気持ちよさそう……わたしも、気持ちよくなりたい……あっ……」


女子大生の後ろを見ると、志乃ちゃんも自分の股間に手を突っ込んでオナニーをしている。

ピクピク震えながらこちらを見つめていて、その視線がさらに俺を昂らせた。

俺が、女の子になって感じてるところを見られてる。

やばい、これ、めちゃくちゃ興奮して、もうイッちゃいそう……。

俺、女の子の体でイッちゃう……!


「んんッ、もう、イッひゃ、んくうッ!? んっ、あっ、んひゃああぁッ!!!」


体が痙攣するようにビクビクッと大きく震える。

それに合わせて、股間からピシャッと液体が吹き出した。

これ、潮を吹いちゃってる?


「わっ……ふふふ、よっぽど気持ちよかったんですね」


弄られている手ごとトランクスも短パンも全てビショビショにしてしまい、嫌悪感に襲われる。

いくら気持ちよかったとはいえ、外でこんなことになっちゃうなんて……。


「ううっ、あたし、こんな………………ん……? あたし……? あたしは、俺じゃ……?」


自分の口から出てきた言葉に困惑してしまう。

あたしは自分のことを俺って言ってたはずなのに、自然とあたしと言ってしまう。

それどころか自分を俺と呼ぶことに違和感しか感じない。


「これで貴女は身も心も理想の女の子です。よかったですね」

「身も心も……?」


あたし、心の中まで理想の女の子になっちゃったの?

そ、そんなの困る!


「ちょ、ちょっと待ってよ! あたし、こんな風に女の子になりたいなんて言ってないんだけど!」

「言っていなかったとしても、貴女は本当はそうなることを望んでいるんですよ。心まで女の子になれたということは貴女自身が女の子であることを受け入れているということなんですから」


あたしが、本当は女の子になることを受け入れている?

そんなわけない、と言いたいところだけど、あたしの心の中には今の女の子になった状況にドキドキしている部分もたしかにあった。


「女の子の体、気持ちよかったでしょう? 女の子でいると、心地いいでしょう? 自分の気持ちに正直になってください」


自分の気持ちに、正直に……。

あたしは、本当はどうしたいんだろうか?

たわわに実った二つの胸。

柔らかい肌に茶色に染めた長い髪。

それらに手を触れると、心臓がドクン、ドクンと高鳴っていき、あたしの心は強く昂る。


「早く女の子になっちゃおう? 自分が女の子だって認めたら、すっごく幸せになれちゃうんだよ」


志乃が幸せそうな顔をしてあたしの方に寄ってくる。

そういえば志乃もあの水を飲んだような反応をしていた。

まさか、志乃は。


「あんた、もしかして大崎慎也!?」

「ふふ、今はもう大崎志乃だけどね」


顔を赤くして少し照れ臭そうにしている志乃。

なんでだろう、自分が女の子だと自覚して女の子の格好をしている志乃のことがとても羨ましく思える。

あたしも……。


「貴女が欲しいのはこれでしょう? そんな男物の服なんて早く脱いでください」


女子大生のお姉さんがあたしにピンク色のシャツとスカート、そして下着を手渡してくる。

そう、これだ。

今のあたしが着るべき服は。

あたしはビショビショになった男物の短パンとトランクスを脱ぎ捨てると、わき目も振らずにお姉さんから受け取った服を着込んだ。


「よく似合ってますよ。とっても可愛らしいです」

「ほ、本当!? えへへ……」


どこか心許なく感じるスカートが、今のあたしにはとても馴染んでいるように感じる。

あたし、女の子として、女の子の格好ができてる……!

すごく、嬉しい……!


「貴女も最後の仕上げをしましょう。貴女、名前はなんで言うんですか?」

「あたし? あたしは、神田雅也……」


そう名乗ったところで、自分の名前に強い違和感を覚えた。

この名前、全然女の子っぽくない。

あたしも志乃みたいに女の子らしい名前がいい……。


「そんな顔をしないでください。貴女にも男のものではない、女の子としての名前をあげます。貴女の名前は、神田マリア。これからはマリアが貴女の名前になるんですよ。どうですか? マリアちゃん」

「ッ……! そ、それ……すごくいい……! あたし、マリア! あたしは、神田マリア!」


神田マリア。

その名前を自分で名乗った瞬間、あたしは完全に女の子になれたような気がして、とてつもない幸福感に包まれた。

あたし、今すごく幸せ……!


「……二人もいれば今日の成果としては十分かな。さて、志乃ちゃん、マリアちゃん。私、一回事務所に戻ろうと思うんですけど、二人にも来てもらってもいいですか?」


お姉さんの言葉にあたしと志乃は目を合わせる。


「ふふふ、大丈夫ですよ。悪いようにはしませんから」


お姉さんの悪戯っぽい微笑みに、あたしは何故だか胸が高鳴るのを感じていた。

このままお姉さんについていったら、きっともう戻って来れなくなってしまう。

でも、その先にあるものにどうしようもなく惹かれてしまったあたしたちは、二人揃って静かに頷くのだった。




────────




「ふうっ……ああ、気持ちいい……」


わたしはシャワーを浴びながら呟いた。

ここはお姉さんの事務所がある建物の一室。

事務所の上の階は寮のようになっているのか普通の居住スペースがついていた。

その中にあるシャワールームでわたしは今、体を洗っている。

さっきまで汗でベトベトだった体を流すことができてとても心地いい。


「さて、そろそろ上がらないと……」


わたしはバスタオルで体をさっとを拭き、髪をドライヤーで乾かすと、下着姿のままリビングへと戻った。


「あ、志乃おかえりー」


リビングでは、先にシャワーを浴び終えていたマリアちゃんがソファの上で寝転がっていた。


「あれ? お姉さんは?」

「ん? なんか事務所に用事があるからって行っちゃった。適当に待っててって」

「そっか」


と、そこでわたしはマリアちゃんの服装に気づいた。

白いミニスカートに黒い肩出しのトップスを着ていて、とてもお洒落だ。


「マリアちゃん、その服どうしたの?」

「これ? そこのクローゼットに入ってた。お姉さんが好きなの着ていいって」


マリアちゃんに言われてクローゼットを開いてみる。

すると、その中には色とりどりのお洋服がたくさんかけられていた。


「わあっ……すごい……」

「せっかくだから志乃も好きなの着なよ」

「う、うん」


フリルのついたガーリー系のものや、モノトーンの落ち着いたもの、露出多めのセクシーなものなど、様々なお洋服が並んでいて迷ってしまう。


「あ、これなんていいかも……」


わたしはノースリーブの白いワンピースを取り出した。

今の季節的にも丁度いい涼しげなこの服を、わたしはとても気に入った。


「うんしょ、と……どうかな?」

「いいじゃん、可愛いよ」

「っ! そ、そうかな? あはは……」


ワンピースを着た姿を褒められ、少し舞いあがってしまう。

胸の内から幸福感が湧いてきて、お腹の下がきゅんきゅん疼くのを感じる。


「ほら、見てみて」


マリアちゃんが指差す先には大きな姿見が置かれていた。

そこには、露出の高いギャルファッションに身を包んだマリアちゃんと、白いワンピースを着てこちらを見ているわたしの姿があった。

可愛らしい二人の少女にドキドキする気持ちと、その二人が元々男だったわたしたちであるというドキドキが重なり、心臓の鼓動がどんどん強くなっていく。

それに呼応するように、鏡に映ったわたしの顔も赤みを帯び始めていた。

ああ、わたしたち、本当に女の子なんだ。


「志乃、今ドキドキしてるでしょ?」

「え? う、うん……」


返事をしながらマリアちゃんの方を見ると、彼女も頬を紅潮させていた。


「あたしも、今すごくドキドキしてる。だって、こんな可愛い女の子たちが、今のあたしたちなんだよ?」

「うん……わたしも、同じこと思ってた」


マリアちゃんと目が合う。

瞳をうるうるとさせてこちらを見てくるその顔から、わたしは目を離せなくなってしまった。

すごく、綺麗……。


「志乃……」

「マリアちゃん……」


マリアちゃんがこちらに顔を近づけてくる。

それに応えるように、わたしも目を閉じて顔を近づけた。

わたしたち二人の口が重なる。

その唇はとても柔らかくて、触れ合っているだけで心地いい。

ふわりと、シャンプーの香りがした。

これはわたしたちの香りだ。

今のわたしたちの、女の子の香り。


「ああ、志乃……んっ、ちゅ……」


マリアちゃんが、わたしの口に吸い付いてくる。

さっきの優しげな触れ合いとは違う、少し強引な大人のキス。

口の中に舌を入れてきて、わたしの舌と絡ませてくる。

わたし、女の子になって、女の子になったマリアちゃんとキスしちゃってる……。


「んむっ、ちゅる……えろぉ……ひの……」

「んっ、れろ……あむ……んっ、マリアちゃ……れろ……」


舌の先がチロチロと触れるたびに痺れるような快感が広がる。

いつの間にかマリアちゃんがわたしの頭をがっちりと掴んでわたしの口を吸い尽くそうとしている。

わたしも、マリアちゃんを求めるようにその体に両手でしがみついた。


「んっ、んっ……ぷはぁ……志乃……あたし、すごくきもちいぃ……」

「うん、わたしもぉ……」


とろんと蕩けた顔でこちらを見てくるマリアちゃんを見ていたら、お腹の下の股の間にある、女の子の大事なところがどんどん疼いていく。

快感に震えながら悶えていると、マリアちゃんがわたしをソファの上に押し倒してきた。


「もう、我慢できないっ……志乃のここ、あたしが弄ってあげるから、志乃もやってぇ……!」

「うん……うんっ!」


マリアちゃんはわたしの上にお尻を向けると、わたしのワンピースをめくって下着の中に手を入れてきた。

既にできあがっていたわたしのそこに、マリアちゃんはそっと指を挿れてくる。


「んあっ! それっ、いい……わたしも、きもちよくしてあげるねっ……」


わたしはマリアちゃんの下着を下ろした。

マリアちゃんの股は愛液で濡れそぼっておりピクピクと震えている。

わたしは、マリアちゃんの柔らかい太ももを掴みながらその滴る愛液をぺろりと舌で舐めた。


「んひゃあっ!? 志乃、舐め……んっ! すごっ、きもちいいっ……!」


マリアちゃんは大きく喘ぐと、わたしの股の間に顔を近づけてきた。

股の中に指を挿れたまま、マリアちゃんはわたしのクリトリスをぺろぺろと舐めてくる。


「んんッ!? れろぉ……んっく……まりあひゃん……ほれ、ふごく、いいよぉ……んっ……」

「んっ、ちゅっ……んんっ、んあっ! ひのも、もっろ、やっれぇ……んんっ……」


ふと横に置いてある姿見が目に入る。

鏡の中で、わたしたちがシックスナインの格好でお互いの股間にしゃぶりついている。

女の子同士のエッチ。

今のわたしたちにしかできないこと。

ただそこにある現実が、どうしようもなくわたしを興奮させ、絶頂へ向けてどんどん体を昂らせていく。


「まりあひゃん、いい、いいよぉっ! わらひ、ひあわせぇ……んちゅっ……」

「んっ、ちゅ……ぷはっ、あたしも、幸せぇっ……女の子、すごくいいっ……んっ、れろ……」


わたしたちは、女の子としての幸福感が満ちるのを感じながら、ひたすらに快感を貪った。

体が女の子として満たされることで感じる心地よさ。

そして、心が女の子として満たされることで感じる心地よさ。

二つの心地よさが合わさってわたしの中の快感はついに限界に届こうとしていた。

わたし、もうイッちゃうっ……!


「まりあひゃ、わらひっ、イッ……んんッ!? んあっ、あっあッ、んひゃああぁあぁぁッ!!!」

「あらひも、イッひゃ……んッ、ああっ、ふうッ、んっくうぅうううぅッ!!!」


わたしたちは二人同時に、大きく震えた。

体に勝手に力が入り、足を宙に上げて指先までピンと伸ばしてしまう。

マリアちゃんもわたしの上で背中を反らして仰け反っている。

やがて力が抜けたのか、マリアちゃんはわたしの上にもたれかかってきた。

わたしは息を整えながらマリアちゃんに声をかける。


「はあっ、はぁっ……マリアちゃん……きもち、よかったね……」

「ふぅっ……んっ……そう、だね……」


マリアちゃんは体の向きを変え、わたしの頭の方に顔を向けるとわたしに抱きついてきた。


「えへへ……女の子って気持ちいいね、志乃」


甘えるようにわたしに擦り寄ってくるマリアちゃんがとても可愛く見える。

わたしもマリアちゃんの背中に手を回し、頬を擦り合わせた。


「うん、わたし、女の子になれて本当によかった」

「もう、志乃は可愛いなぁ……」


わたしたちが二人でイチャイチャとくっついていると、部屋の扉が開いた。


「戻りました。ふふ、随分お楽しみだったみたいですね」


扉の方を見ると、微笑ましいものを見たかのような表情をしたお姉さんがこちらを見ていた。

わたしはなんだか気恥ずかしくなってしまい、体を起こしてちょこんとソファの上に座った。

わたしが離れたのを名残惜しそうにしていたマリアちゃんも、わたしの隣に座り込む。


「お邪魔してすみません、貴女たちのこれからについてのお話がしたくて」


お姉さんは、わたしたちと向かい合うように椅子に腰をかけると口を開いた。


「貴女たち、ここに住みませんか?」

「ここに?」

「住む?」


突然の話にわたしとマリアちゃんは頭に疑問符を浮かべながらお姉さんに問い返した。


「はい。二人とも、その姿ではもう家には帰れないでしょう? ですからここに住んでもらうのが一番手っ取り早いと思うんです。ここの寮には私も住んでますけど、不便は特にないですよ」


お姉さんがとても魅力的な提案をしてくる。

住む場所を与えてくれるなら、わたしたちとしてはありがたいことこの上ないけれど……。


「その代わりと言ってはなんなんですけど、二人には私の仕事の手伝いをしてほしいんです。志乃ちゃんにはもう言いましたけど、オトメ化ドリンクを女の子になりたい男の人たちに配って女の子にしてあげるのに協力してほしいんです。それさえしてもらえればここにあるものも含めて全て自由にしていいですよ。もちろん、働いてくれた分にはお給料も出ます」


全てって、この2LDKの部屋も、クローゼットにあるお洋服も全部わたしたちの自由ということ?

その上で給料を貰うこともできるなんて、こんなに上手い話があっていいのだろうか。


「それってこの部屋をあたしと志乃で好きにして良いってこと? そんないい話なら、あたしは喜んでやるよ。志乃もいいよね?」

「うん、もちろん。マリアちゃん、男の人を女の子に変えてあげるのってとっても楽しいんだよ。女の子の喜びを知ってもらえるのは、見てるだけでもすっごく幸せな気分になれるんだから」

「それじゃあ昼は外で男を女の子にしてあげて、夜はこの部屋で志乃と一緒にイチャイチャエッチなことして……やば、あたしめっちゃ楽しみになってきた!」

「え、エッチって……もう、マリアちゃんったら……」


わたしはマリアちゃんの開けっ広げな言い方に思わず顔を赤くしてしまう。

引っ込み思案な性格になってしまったわたしと違ってマリアちゃんは性に解放的な性格になったようだけれど、そういうところもちょっと可愛いと思う。


「ふふふ、それじゃあ志乃ちゃん、マリアちゃん、これからよろしくお願いしますね」

「はいっ!」

「うんっ!」


お姉さんの言葉にわたしたちは力強く頷いた。

これから始まる女の子としての新しい生活。

それを考えるだけで、わたしの女の子の大事なところはきゅんきゅんと疼くのだった。




────────




「し、新作の試供品配布を行ってまーす! む、無料なので、喉が渇いている方は、お、お気軽にどうぞー!」


翌日、わたしたちは設営されたブースの中から呼びかけを行なっていた。

今日も昨日に引き続き猛暑日で、外を歩く人たちはみんな死にそうな顔をしている。

その人たちに向けて必死で声かけをしているのだけれど、なかなか見向きしてもらえない。


「志乃、声が小さいよ。それに自信なさげだし、もっとハキハキと言わないと」

「ま、マリアちゃん、そんなこと言ったって……」


呆れた様子のマリアちゃんにわたしはタジタジになってしまう。

外で大きな声で呼びかけなんて、わたしには簡単にはできない。

つい緊張してつっかえてしまうし、言っている内に恥ずかしくなってしまう。


「男だった頃はもっと自分に自信あったみたいだったのに、すっかり弱々しい女の子になっちゃって」

「い、言わないでよ、前のことなんて……今はわたしが本当のわたしなんだから……」

「ごめんごめん、志乃はそういう性格の方が可愛いよ」


唇を尖らせるわたしの頭をマリアちゃんが撫でてくる。

こういう調子のいいところ、マリアちゃんは前から変わらない。

わたしとマリアちゃんの関係はすっかり変わってしまった……というより、もう前とは別人同士の関係になってしまったけれど、今の方が前よりもずっと仲良しになれた気がする。


「……マリアちゃん、わたし、今のわたしになれてよかったって思うよ」

「あたしだってそう思うよ。おかげでこんな可愛い志乃とイチャラブできるし!」


マリアちゃんがわたしに抱きついてくる。

少し暑苦しいけど、悪い気はしない。

ふわりと漂ういい香り。

わたしたちの関係は、きっとこれが正解なんだ。

そんなことを考えていると、男の人が一人こちらに近づいてきた。


「あの……すみません、それ、貰ってもいいですか?」


汗でびっしょりとTシャツを湿らせた小太り気味の眼鏡の男の人。

はっきり言ってあまり容姿のいい人ではないけれど、オトメ化ドリンクならばこんな人でも理想の女の子になることができる。

わたしが、この人を理想の女の子に変えてあげないと。

わたしはにっこりと微笑みながらペットボトルを男の人に差し出した。

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jennyjones97


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