【小説】カッパと尻子玉
Added 2021-08-25 13:56:01 +0000 UTC「暑い……暇……あー……」
畳の床に寝そべりながら私は呟いた。
夏休みということで家族と共に祖父母の家へとやってきたものの、山に囲まれた田舎では特にすることもないのでこうやってただ寝っ転がるしかない。
妹の皐月はお菓子を買ってもらえるからという理由でおじいちゃんの買い物について行ったけど、こんなことなら私も一緒に行けばよかった。
「もう、弥生! だらしないわよ!」
私の頭上で仁王立ちしているお母さんの叱責を受けて、私は体を起こした。
しかしながらすることがないのは相変わらずなので、私は不満をあらわにしながらお母さんの方へ顔を向けた。
「お母さん、暇すぎて死にそうなんだけど」
「え? それじゃあ居間でテレビでも見たら?」
「こんな時間じゃ面白い番組なんてやってないよ。そもそもここ見れるチャンネル少ないし」
さらに言うなら、この家にはWi-Fiもないのでスマホで動画を見ることもままならない。
これだから田舎は好きじゃない。
「はぁ……それなら散歩でもしてきたら? 今日は風もあって外でも過ごしやすいわよ?」
「うーん……」
たしかにこのエアコンもない蒸した室内でじっとしているよりはいくらかマシに思える。
私は立ち上がり軽く伸びをすると、外に出かけるために着替えをした。
涼しげな薄い生地の水色ワンピースと麦わら帽子。
これなら外でもそんなに暑くないだろう。
「もうすぐお昼だからそれまでには帰ってくるのよ。あんまり遠くまでは行かないでね」
「はいはい、わかってまーす」
私はお母さんに適当に返事をすると、玄関に置いてあった虫除けスプレーを体に吹きかけてから外に出た。
太陽の光がとても眩しいけれど、こうやって全身に光を浴びるのもたまには悪くない。
「あれ? 弥生ちゃん、お出かけかい?」
すると、外で作業をしていたおばあちゃんが声をかけてきた。
「うん、ちょっと散歩してくる。そこら辺をぐるっと歩いてくるつもり」
「そうかい。子供は外で動いてる方がええからね。……あ、でも山の中の川にはあまり近づいちゃいかんよ」
おばあちゃんは優しい顔で笑いながらも諭すように私に言ってきた。
「川? どうして?」
「この近くの川にはね、河童が出るっていう言い伝えがあるんよ。弥生ちゃんみたいなめんこい子を連れて行っちまう」
「へ、へえ……カッパ……」
私は苦笑いを浮かべてしまった。
この令和になってカッパが出るなんて言われても笑い話にもならない。
まあ好意的に解釈するなら、川に落ちたりしたら危ないというのを小さい子供向けに言い換えた話なのだろう。
私、一応もう高校生なんだけどな……。
「……ま、まあ気をつけるよ。それじゃ行ってくるね」
私は話を切り上げ歩き出した。
家の周辺にはまだ他の家もあったりしたけど、少し山の方に歩いていくと、すぐに周りは木ばかりになってしまった。
でも、木陰は陽の光が遮られて涼しい空間になっていて、颯爽と吹く風も相まってとても心地いい。
田舎は好きじゃないけど、こういう空気は嫌いじゃない。
そのまま道なりにまっすぐ歩いていると、大きくうねった道の先に開けた場所が見えてきた。
よく見るとそこは川になっており、水の流れる音も聞こえてくる。
手前は浅瀬になっているけど、奥の方は底が深そうだ。
川の周りには柵なども付いていないので、これは確かにあんまり近づくと危ないかもしれない。
「やんちゃな子供が勝手に入らないようにああいう話をしてるのかな? 私まで子供扱いっていうのはちょっと納得できないけど」
私はその場にしゃがみ込み川の方を眺めた。
川の水は透き通るように綺麗で、泳いでる魚の姿までよく見える。
都会ではまず見ることができないのどかな景色に、私はなんだか心が洗われるように感じた。
しかし、そこでいきなり周囲の空気が変わった。
「…………?」
雲に覆われて陽が隠れてしまい、辺りが少し暗くなる。
それと同時に生温かい嫌な風が吹き、背筋に寒気が走った。
なんだろう急に……。
さっきまであんなに清々しかったというのに、それが嘘みたいにどんよりとした空気が辺りを包んでいた。
山の気候は変わりやすいなんて言うけど、ここまで急に変わるのはなんとも薄気味悪さを感じる。
早いけど、そろそろ帰った方がいいかもしれない。
そんなことを考えていると、突然川から、バシャアッ! という大きな飛沫の音が聞こえてきた。
私はびっくりして思わずその場に立ち上がった。
「え!? な、なに!?」
まるで大きな生き物が川から上がってきたかのような音。
辺りを見回してみたけれど、生き物の姿は確認できない。
いきなりの出来事に心臓がバクバクと鳴っている。
こんな山の中にいる生き物として、まず想像できるのは、熊、とか……。
「ま、まさかね……こんな、民家も近いところに熊なんているわけ……」
私は自分を納得させるように呟いた。
脇をじっとりとした嫌な汗が濡らしている。
大丈夫、きっと大丈夫。
そう心の中で自分に言い聞かせた次の瞬間、道のへりから、ビシャッ、という音を鳴らして何かが這い上がってきた。
「きゃあっ!?」
飛び上がりそうになりながら音の方を見る。
そこにいたのは、熊ではなかった。
二本の足で立つ、人のような姿。
しかし、それが身につけているボロボロの布の間から見える肌は不気味な緑色をしており、とても人間には見えない。
特徴的なのは、薄べったいクチバシのような口。
甲羅のようになっていて硬そうな背中。
そして、髪に覆われた中で頂点だけ皿が置いてあるかのようにツルツルな頭。
その異様な姿は、まさに。
「……か、カッパ……?」
漫画や昔話に出てくる妖怪、カッパそのものだった。
カッパはびしょびしょに濡れた全身から水滴を垂らしながら、その場に立って私の方を見ている。
こちらをじっと見つめる濁った瞳にはとても理性というものを感じられない。
化け物。
そう呼ぶ以外にないその生き物が、こちらに一歩足を進めてきた。
「グエッ!」
「ひっ……!?」
カッパの威嚇するような鳴き声に、私は言葉にならない悲鳴を上げた。
体は縮み上がり、膝がガクガクと震えている。
こんな、意味のわからない化け物がいるなんて聞いてない。
確かにおばあちゃんはカッパに気をつけろと言っていたけど、本当に出てくるなんて普通は思わないじゃない。
私は体を震わせながら、少しずつ後ずさった。
「……お、お願い……ち、近づかないで……」
通じるかわからないけど、私はカッパの方に呟く。
別に私は何もする気はない。
ここにはただ散歩に来ただけなのだから、見逃してくれたら何も見なかったことにして家に帰る。
だから、お願いだから、こっちに来ないで……。
「グエェッ!」
次の瞬間、カッパは奇声を上げて私の方に駆けてきた。
「い、いやああぁっ!?」
私は反射的に後ろを向いて全力疾走しようと足に力を込めた。
完全にパニック状態で、ただ本能的にこの恐怖から逃れようと必死だった。
しかし。
「グエ……」
振り向いた目の前に、もう一匹カッパが立っていた。
「きゃああぁっ!?」
私は腰を抜かしてその場に倒れ込んでしまった。
あまりの恐怖にもう立つこともできない。
尻もちをついた状態のまま震えていると、二匹のカッパが私のことを見下ろしてくる。
「グエッ!」
「グエェッ!」
カッパたちは、そのびしょびしょに濡れた手で私の体に触れてきた。
ぬちゃっ、とした嫌な感触が私の肌に伝わってくる。
ゾクゾクッと背中に悪寒が走り、私はカッパを振り払おうと手足を振り回した。
「い、いやぁっ! 離してっ!」
しかし、二匹がかりで抑えられている状態ではとても敵わず、私は両手両足を掴まれ抱え上げられてしまった。
カッパそのまま私を抱えて川の中に足を踏み入れていく。
私は半狂乱になりながら叫び続けた。
「いやっ! いやあっ! 誰かぁっ! たすけ……っ、ごぼっ……」
やがて私の体は完全に水に浸かってしまい、息をすることもできなくなってしまった。
このままじゃ、溺れちゃう……。
苦しい……。
だれか、たす、け……。
────────
「グエッ!」
「グエェッ!」
「グエーッ!」
……耳をつんざくたくさんの奇声に私は目を覚ました。
波打つ水の感覚が肌に伝わってくる。
どうやら私は浅瀬に寝かされているようだ。
と、そこで私は状況を思い出した。
そうだ……私、カッパにさらわれて、それで……。
「グエッ!」
頭上から奇声が聞こえ、私はビクッと震えてしまった。
恐る恐る体を起こして辺りを見回すと、私を取り囲むように数匹のカッパが並んでこちらを見ている。
この世のものとは思えない化け物がぞろぞろ並んでいるその光景に、私は声を上げることもできない。
そこでふと、私はあることに気づいた。
あのカッパたち、みんな胸に膨らみがある。
中には身につけているボロボロの布が破れて胸元の乳房が見えているものもいる。
それにあのボロボロの布、なんだかよく見ると女性モノの衣服にも見える。
メスのカッパが女性から衣服を盗んで着ている……ってことなのだろうか。
すると、カッパのうちの一匹が私の前に立ち塞がった。
「グエーッ!」
私の前に立ったカッパは大きな奇声を上げると、膝に手を添えて腰を落とし片足を高く上げてから地面に踏み落とす動作をし始めた。
まるでお相撲さんが四股を踏んでいるかのような動きだ。
「グエッ!」
「グエェッ!」
すると周りのカッパたちが囃し立てるように私の方へ向かって奇声を上げてきた。
「な、なんなの……?」
わけもわからず怯えていると、私は後ろから近づいてきたカッパに体を引っ張り上げられ、無理やり立たされてしまった。
私が立ち上がったのを確認すると、私の目の前に立つカッパを残して、他のカッパたちは私たちから距離を取り始めた。
よく見ると、私たちの周りには小石が円状に並べられていて、私と目の前のカッパの間にも小石で二本の線が引かれている。
これ……もしかして土俵?
「……まさか、私に相撲を取れってこと……?」
私の目の前のカッパは線の前に手をついてしゃがみ込んでいる。
どうやら本当に私と相撲を取るつもりらしい。
相撲なんて、生まれてこの方やったことがない。
けれど、こんな状況で何もせず帰してもらえるとも思えない以上やるしかない。
私は仕方なく目の前のカッパを真似して線の前にしゃがみ込んだ。
私がしゃがんだのを確認すると、遠巻きにいたカッパの一匹が行司をするかのように一歩前に出て手を伸ばした。
「グエー……グエッ!」
行司のカッパが手を振り上げた瞬間、目の前のカッパはすごいスピードで私に突っ込んできた。
勢いよく両手でがっしりと腰を掴まれた私は、倒れそうになりながらもなんとかその場に踏みとどまり、相手のカッパを掴み返した。
「ぐっ……なんて、力……」
カッパと密着で掴み合いながら、私は必死で両足に力を入れて堪えた。
カッパの体はびしょびしょに濡れている上にヌメっとしていて、掴んでいる手が滑りそうになる。
それに加えて泥くさい臭いがカッパの体や身につけている布から漂っており、あまりずっと密着していたくない。
ふと前を見たとき、カッパと目が合った。
力を込めた必死の形相をしているが、その顔はどこか人間の女性を思わせる風貌をしていた。
さっきまで化け物だと思っていた生き物のその綺麗な顔に、私は何故だか酷く動揺してしまった。
「グエェーッ!」
次の瞬間、カッパに力強く投げられ私の視界は一回転した。
ボチャンッ! と大きな飛沫を上げながら、私は地面に倒れ込む。
「い、痛い……」
「グエーッ!」
私を倒したカッパは大きな声を上げて喜んでいる。
私は強く打ちつけた腰をさすりながらカッパの方を見上げた。
こんな、力も強くない女子高生に勝ってそんなに嬉しいのだろうか。
正直相撲の勝敗なんて私にはどうでもいいので終わったのならさっさと帰してほしい。
そんなことを考えていると、先ほどまで遠巻きにこちらを見ていたカッパたちがいつの間にか私を取り囲んでいた。
全員が濁った瞳で私のことを見下ろしている。
「な、なに……? なんなの……?」
私がそう呟いた次の瞬間、カッパたちはいきなり私の体を抑えつけてきた。
「きゃあっ!? な、なに!? 離してっ!」
私は地面にうつ伏せに倒れさせられると、膝をついた状態で腰だけ浮かせられた。
お尻だけを上に向けて突き上げるような体勢だ。
恥ずかしい格好で抑えつけられてしまい、私は顔を赤くなるのを感じた。
なんとか逃れようともがいてみたものの、カッパたちの力はとても強く、私にはどうすることもできなかった。
すると、先ほど相撲を取ったカッパが私の方に近づいてきた。
私のお尻の前にしゃがみ込み、その濁った瞳で私のお尻をじーっと見つめている。
私は恐怖のあまりただ震えることしかできなかった。
いったい、これからなにをされるの……?
「グエッ」
私のお尻を見つめていたカッパは乱暴に私が着ていたワンピースの裾を捲ると、その下に履いていた下着を思い切り引きちぎった。
私のお尻を外に露出させると、次にカッパは私のお尻の穴の上に手を添えてきた。
私は、全身に鳥肌が立つのを感じた。
「……え、やだ、やだやだっ! やめてっ、そこはっ……!」
なにをされるか察した私は咄嗟に懇願した。
しかし、そんな言葉は通じておらず。
「グエッ!」
「あぐっ!? あ、ああッ……!」
カッパは私のお尻の穴の中に指を突っ込んできた。
いや、指だけじゃない。
お尻の穴を少しずつ広げるようにしながら手を全て挿れようとしている。
「がッ、ああッ、やめ゛っ……ああ゛ッ……!」
お尻から伝わってくるとてつもない異物感。
普段トイレに行くときに感じる、お尻の穴をなにかが通る感覚に近いけれど、出ていくのではなく入っていくその未知の感覚に、私は思わず唸り声を上げてしまった。
じゅぷ……という音を鳴らしながら、カッパの手がどんどんとお尻の中に挿入されていく。
そのヌメっとした肌が潤滑油のような効果を持っているのか、痛みはほとんどない。
けれど、そのせいで私は痛みに泣き叫ぶこともできず、ただお尻から生じる激しい異物感にのみ襲われ続け狂った獣のように喘ぐことしかできなかった。
「グエ……」
ついにカッパはすっぽりとその腕までもを挿入してしまった。
でこぼことした手の部分が通過したためか、さっきよりは幾分かマシな状態になったものの、カッパの手がまるまる入ったお腹の奥には未だ異物感が残っている。
「ああ゛……はあっ……は、はやく……その手、抜い…………ぐッ!? あがあッ!?」
次の瞬間、これまでとは比べ物にならないほどの衝撃が私の体を駆け抜けた。
触れられてはならないところを触られた。
そんな感覚。
だめだ、これだけは絶対だめだ……!
「あッ、ああ゛ッ!? やめ゛でぇッ! それは、取らないでぇッ!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を振り乱しながら私は子供のように大声を上げた。
見えないけれど、感覚でわかる。
カッパは今、私のお尻の中にあるなにかを握りしめて、手を引き抜こうとしている。
でも、それだけは取られてはいけないと私の本能が告げている。
「グエッ!」
「グエーッ!」
急に周りのカッパたちが囃し立てるように騒ぎ始めた。
その瞬間が訪れるのを心待ちにしてるかのように。
声援を受けて私のお尻に手を挿入れたカッパは険しい顔をしながら少しずつ力を込めて手を引き抜いていく。
私は必死に抵抗しようとしたけれど、既に大きく広がった私のお尻の穴は、カッパの腕を簡単に逃していってしまう。
そしてついにそれを握りしめたカッパの手が、穴の手前までやってきてしまった。
最後の一踏ん張りとばかりにカッパが手に力を入れた。
「グエェーッ!」
その瞬間、体を電流が貫くように衝撃が駆け抜け、私は人間とは思えないような咆哮を上げてしまった。
「おごぉッ!? お゛ッ、お゛あ゛あああぁぁあぁぁッ!!?」
じゅぽんッ、と小気味いい音と共にカッパの手がすっぽ抜ける。
それと同時に、私の目の前は真っ暗になった。
いや、真っ暗になっただけじゃない。
全身の体の感覚が、一瞬で消失してしまった。
な、なにこれ!?
なにが起きてるの!?
慌てて体を動かそうとしても、手足の感覚は全く存在せず、声を出すこともできない。
しかしその一方で、なにかに自分を握りしめられているような異様な感覚だけがずっと続いていた。
私は今、どうなっているの?
すると、視界がぼんやりと少しずつ明るくなってきた。
音も同様に少しずつ聴こえてくる。
相変わらず手足の感覚は戻らないけれど、なにが起こっているかの判断はできそうだった。
「グエッ!」
「グエーッ!」
カッパたちが私のことを見上げてはしゃいでいる。
……見上げる?
さっきまで地面に倒れていたのにどうしてこんな状況に?
よく見ると、どうやらカッパが私を持ち上げているようだった。
しかし、カッパは何故か片手で私を軽々と持ち上げており、まるでカッパたちが急に巨大化してしまったみたいだ。
いや、違う。
カッパが大きくなったんじゃなくて、私が小さくなっているんだ。
その証拠に、カッパの足元に転がる石まで大きく見える。
と、そこで私は気づいてしまった。
カッパの足元に転がっている人影。
全身の力が抜けたように無表情で地面に倒れ伏している、水色のワンピースを着た少女。
ぽっかりと穴の開いたお尻をこちらに向けているその人物は。
「グエッ」
カッパが私を少女に近づけた。
その少女は間違いなく、私だった。
精気を失った目を半開きにさせて倒れているその様は、まるで抜け殻のようだ。
いや、事実そうなのだろう。
体から私が抜けてしまったせいで、今あの体は空っぽになってしまっている。
それじゃあ、私は今どうなっているの?
そのとき、水面に反射してカッパの姿が映った。
本当なら私も映り込む場所には何故かカッパしか映っていない。
いや、違う。
カッパが手に握りしめているモノ。
水色に輝く球状の物体。
あれが、私?
にわかには信じがたいけれど、この状況を見るにそうとしか思えない。
そこで私はカッパにまつわる話を思い出した。
カッパは人間のお尻から尻子玉というものを抜き取ってしまうという話だ。
尻子玉を抜かれた人間は魂を抜かれた廃人のようになってしまうらしい。
ということは、今私は魂を尻子玉という形で抜き取られてしまっているのかもしれない。
「グエッ」
私を握りしめていたカッパは近くの岩場の上に私を置いた。
やはりというか、この状態では私は自分で身動き一つ取ることができない。
あの空っぽになった体に入ることができれば元に戻れるのかもしれないけれど、誰かの助けを借りなければそれも難しい。
こんな無抵抗な状況ではなにをされるかもわからない。
どうにかして元に戻る方法を考えないと、このままじゃ……!
そんなことを考えていると、カッパたちが抜け殻となった私の体に群がり始めた。
ちょっと、その体になにするつもり……!?
「グエ……ゲエッ、グ、オエェッ!」
さっき私から尻子玉を抜き取ったカッパが急に苦しみ始めると、なにかを口から吐き出した。
ぼちゃん、と音を立てて水に落ちたそれは、黄緑色に濁った球状の物体。
あれも、尻子玉……なの?
カッパはそのまま自分が吐き出した尻子玉を拾い上げると、私の体のお尻の前に近づけた。
……ちょっと待って。
今、私の魂が尻子玉になっているなら、あの尻子玉もなにかの魂のはず。
それがもし空っぽになっている私の体に入ってしまったら……。
恐ろしい想像が私の脳裏をよぎっている間に、カッパが手に持った尻子玉をぽっかりと開いた私の体のお尻の穴にあてがっていた。
やめて、それは……!
「グエッ、グエッ!」
カッパは嘲笑うように喉を鳴らしながら、尻子玉をお尻の穴に突っ込んだ。
その瞬間、ビクンッ、と私の体が大きくのけ反った。
その体勢のままガクガクと震えると、やがてその目をカッ、と大きく見開いた。
そして両手を地面につけ、ゆらりとその場に立ち上がった。
そんな、まさか……。
顔を起こした私の体は、目の前のカッパの方を向くと口を開いた。
「……グエッ!」
さっきまで他のカッパたちが上げていた奇声。
それが経った今、私の口から放たれた。
それだけで、なにが起こったのか察するには十分だった。
私の体が、カッパに乗っ取られてしまった……。
「グエッ!」
「グエーッ!」
カッパたちは私の体と手を取り合って喜び始めた。
私の体が、私の意思とは関係なく動いている。
それも、あんな理性もないような化け物の魂に操られて。
見た目はワンピース姿の普通の少女なのに、その気味の悪い動きや口から飛び出す奇声は明らかに普通の人間からかけ離れていた。
どうして、こんなことに……。
私の心は深い絶望に襲われた。
「グエェ……」
すると、カッパのうちの一匹が自分の履いているスカートを捲り上げた。
そこにあったのは、その女性らしい体には不釣り合いな、大きくそそり立つ男性器だった。
えっ!?
あのカッパたち、メスじゃなかったの!?
……いや、体の他の部分は間違いなく女性だ。
女性の体に、男性器を生やしている。
人間とは違うのだから、そういうものなのかもしれないけど、でも……。
困惑しながら見ていると、そのカッパは後ろから私の体の腰を掴み、その勃起した男性器を私のお尻の穴に向けて押し付けていた。
な、なにしてるの……まさか……。
「グエェッ!」
カッパは大きく叫ぶと、男性器を私の体のお尻に突き挿した。
「グ、グエエェ……ッ!」
私の体は甲高い声で、艶めかしい嬌声を上げる。
そのままカッパは腰を前後に振って、私の体に男性器を押し付け続けた。
い、いやああああぁっ!!
私は発狂しそうだった。
カッパに乗っ取られた私の体が、汚らしいカッパとセックスをしている。
それも、お尻の穴を使って。
「グッ、グエッ、グッ、ングッ……グエェッ!」
奇声を上げて喘ぎ続ける私の体。
舌を出して涎を垂らし、緩んだ顔で頬を赤く染めている。
とてもじゃないが直視していられない。
しかし、私は身動きを取ることができず、視界を逸らすことさえできないので、この悪夢のような光景をずっと見せつけられていた。
「グエッ、グエッ、グ……ングッ!? ンブッ、ジュプッ!」
喘ぎ声を上げていた私の口に、突然別のカッパの男性器が突っ込まれた。
前と後ろで二匹に犯されている状況だ。
しかし、そんな状況にも関わらず私の体はまるで悦んでいるかのように口と腰を自ら動かしていた。
やがて、その動きも激しいものに変わっていっく。
お尻からはパンッ、パンッと肌同士がぶつかり合う音がし、口元からはジュプッ、ジュパッという唾液混じりの男性器に吸い付く下品な音が鳴り響いていた。
理性のかけらもない、ただ性欲を貪る獣のようなセックス。
いや、最早セックスとも言えない交尾がそこでは繰り広げられていた。
もう、早く、終わらせて……。
「グエッ、グエェッ! ングエェッ!」
「グエーッ! グエッ、グ、グアッ、グアアァッ!」
前と後ろから男性器を挿していたカッパたちが一際大きな奇声を上げると、ビクビクッと震えながら男性器を深く挿し込んだ。
どうやらやっと射精に至ったらしい。
お尻と口に深く男性器を挿し込まれた私の体は手足をジタバタさせてもがいている。
やがて二匹のカッパがそれぞれ男性器を引き抜くと、私の体はその場に倒れ込んだ。
「ゲホッ、ゴホッ……グ、グエェ……」
お尻と口からカッパの出した精液を垂らしながらも、どこか満足げな表情で横になっている。
するとそのとき、私の体に異変が起きた。
肌の色が、少しずつ緑色に変色し始めたのだ。
え……これって……。
「グエェ……グエッ、グエェ……」
私の体は、両手で自分の体を抱きしめながら喘ぎ悶えている。
まるで快感に震えるかのように。
その間にも、どんどん変色は進んでいき、とうとう全身が緑色になってしまった。
けれど、変化はそれだけじゃなかった。
背中が少しずつ膨らんでいき、ワンピースを突き破って大きな甲羅ができあがっていく。
手足の指の間には水掻きのような薄い膜が広がり、唇は薄く広がって前に伸びていきクチバシのようになっていく。
そして、頭の頂点の髪の毛だけがパラパラと抜け落ち、ツルツルとした皿のようになってしまった。
変化がおさまると、私の体はその場に立ち上がった。
その姿は、誰がどう見ても人ならざる妖怪……カッパそのものだった。
「グエーッ!」
カッパになった私の体が、嬉しそうな顔で他のカッパたちと抱き合っている。
ボロボロになったワンピースをはだけさせているその姿は、周りにいるボロボロの女性モノの衣服を身につけているカッパたちと全く違いが見受けられない。
今ようやくわかった。
ここにいるカッパたちは元々カッパだったわけじゃない。
尻子玉を抜かれてカッパにされてしまっただけで、元はみんな人間の女性だったんだ。
この人たちはみんなあの緑色に濁ったカッパの尻子玉を入れられてしまったせいで、カッパになってしまったに違いない。
でも、それならこの人たちの元の尻子玉はどこへいってしまったんだろう。
みんなが元は人間だったなら、人間の魂の篭った尻子玉がどこかにあるはずだ。
少なくともこの近くにそれらしきものは全く見当たらないけど……。
すると、カッパになった私の体が、こちらに近づいてきた。
「グエェ……」
私のことを見下ろしながら嘲笑うような表情を浮かべると、私を握りしめて高く持ち上げた。
そして、なんと私の方へ顔を向けて大きく口を開けた。
ま、まさか、私を食べる気……!?
あまりにも恐ろしい想像が頭をよぎり思わず取り乱しそうになったところで、私はあることを思い出した。
そういえば、私の体に入れられた尻子玉はカッパの口から吐き出されていた。
もしあれが、私と同じようにカッパに食べられた尻子玉だったとしたら?
極限状態にも関わらず、私の頭は何故か冴え渡り高速で思考を続けていた。
もし私に入れられた尻子玉が、元は人間のものだったとしたら?
もし人間の尻子玉がカッパの体内で熟成され緑色の濁ったものへと変質してしまうのだとしたら?
私も、これから同じ運命を辿ることに……。
「グエッ」
手が離され、私は落下を始めた。
大きく開かれた私の体の……カッパの口へ、一直線に落ちていく。
……やだ。
いやだっ!
私、あんな風に……カッパになんてなりたくないっ!
しかし、そんな願いも虚しく、私はカッパの口の中という深い闇の中へとゆっくりと落ちていった。
喉の奥へ、ごくりと嚥下されたところで私の意識は途切れた。
────────
目が覚めると、私は二本の足で地面に立っていた。
両手足の感覚も普通にあり、さっきまでの尻子玉の状態とは違って確かに自分の肉体があることが実感できる。
ただし、私は自分の意思で体を動かすことができなかった。
「グエッ、グエッ!」
私の喉が、勝手に奇声を発する。
どうやら私は体に戻ったものの、体を動かすことができるのは私ではなく、先にお尻から体に入っていたカッパの方らしい。
おそらくこうしてカッパの体内に私を入れることで内側からカッパに染めてしまうつもりなのだろう。
なんとかして自分を保たないと……。
しかし、カッパになってしまった私の体は元の状態と比べて違和感が強い。
全身に粘性の液体が塗られてるような気がして気持ち悪いし、背中に大きな甲羅があるのも重心のバランスがおかしく感じる。
頭のてっぺんは髪がないせいでスースーしているし、柔らかかった唇が固いクチバシになってしまっているのも全く慣れない。
この体でずっといたら、精神をやられておかしくなってしまうかもしれない。
私はそうなるまいと心の中で気をしっかりと持った。
「グエェ……」
すると、私の体はいきなり自分の股間を弄り始めた。
その瞬間、今まで感じたこともない不思議な感触が股間から私に伝わってきた。
なに……今の……。
変なもどかしいような焦燥感と共に、股間に熱が集中していくのを感じる。
やがてそれは、ワンピースの上からでもわかるほどにその存在感を主張し始めた。
テントを張っているかのようにビンビンに勃つ一本の棒。
そうだ、カッパには男性器が生えていた。
私の体もカッパになってしまったのなら、股間には当然、同じように男性器が生えているわけで。
「グエェッ、ンッ……グエェ……」
私の体は、ワンピースの上から男性器を手でこねくり回していた。
頭の部分の膨らんでいるところを重点的に、両手でクニクニと弄んでいる。
なに、これ……。
変な感覚がずっと股間から響いてきて、口からは自然と喘ぎ声が漏れている。
私が自分の意思で声を出しているわけじゃないのに、嬌声を上げるたびに気持ちのいい感覚に囚われそうになっていた。
いや、ダメだ。
こんなのを気持ちいいなんて思ってしまったら。
「グッ、ングゥ……ンッ、グエ、グエェッ!」
やがて我慢できなくなったのか、私の体はワンピースの裾をまくり右手で男性器を直に握りしめた。
その瞬間、迸るような快感が私を襲った。
水に濡れた冷たい手が、なんとも気持ちいい。
私の体はそのまま男性器を扱いていく。
ヌメヌメの手が擦れるたびに強い快感が生じて、意識が股間に持っていかれてしまう。
やばい、これ、気持ちよすぎる……。
「グエッ、ングッ、グアッ、アア゛ッ、グエェッ、グエェッ!」
私の体は抑えようともせずに奇声を上げ続ける。
野生動物のような声を上げるのは開放感が強くてとても気持ちいい。
心臓の鼓動はどんどん強くなっていき、呼吸も荒くなっていく。
ヌチャヌチャと音を鳴らしながら動かされる手もそのスピードをどんどん上げていき、ついに股間になにかが込み上げてきた。
……出したい。
出したい出したい出したいっ!
射精っ、射精射精射精っ!
私、射精したいっ!
「グエェッ! グウッ! グッ、アア゛ッ、グッ、グエェエエーッ」
大きな叫び声と共に、私は思い切り射精した。
ビューッ! と男性器の先端から勢いよく精液が飛び出していき、川の中へ飛び散っていく。
その瞬間、私は自分の中からなにかが失われていくのを感じた。
まるで、精液と共に私の人間性が流れ出ていってしまうかのように。
あ……これ、ダメだ、私が、私じゃなくなっ……。
……あれ?
私、今なにを考えてたんだっけ。
そもそも私って誰だっけ。
わからない。
なにもわからない。
でも、気持ちいいからいっか。
私は、ただ射精の快感に酔いしれることだけに意識を向けた。
────────
……私は今、川で泳いでいる。
私の意思でではないけど。
昔は自分の意思で体を動かしていたような気がするけど、今は体が勝手に動いてくれる。
なんでかはわからない。
別にどうでもいいけど。
すると、川の端にある道をなにかが歩いているのが見えた。
私の体はそれにそっと近づいていく。
「お姉ちゃーん? いるー? ……もう、どこまで行っちゃったの? お昼もとっくに過ぎてるのに……。というか、なんでわたしがこんなとこまで探しに来なきゃいけないの? まったくもう……」
ニンゲンだ。
ニンゲンの子供が歩いている。
私の体は川から上がるとそのニンゲンに近づいた。
「え? ……ひいっ!? な、なに!? なんなのこの……か、カッパ……!?」
ニンゲンは腰を抜かしてその場に尻もちをついてしまい、怯えた表情でこちらを見ている。
私の体はニンゲンの目の前まで歩いていった。
「い、いやぁっ! 来ないでっ! ……って、え……? お、お姉ちゃん……?」
ニンゲンの様子が急に変わった。
なにか喋っているけど、ニンゲンの言葉なんてわからない。
わかったところで別にどうでもいいけど。
私の体はニンゲンの体を抱え上がると川に飛び込んだ。
ニンゲンは苦しそうにもがいているけど、私たち河童は川の中でも自由に泳げる。
そのまま私の体はニンゲンを引っ張って仲間たちのところへ移動した。
仲間たちの集まるいつもの場所へ到着すると、私の体は土俵の上へニンゲンを放り投げた。
「グエッ!」
「グエーッ!」
運び込まれたニンゲンを見て、仲間たちは嬉しそうにはしゃぎ始めた。
河童は相撲が好きだ。
自分がするのも好きだし見るのも好きだ。
特にニンゲンの女や子供と相撲を取ると、自分の力が周りに示せて気持ちいい。
すると、ニンゲンが目を覚ました。
「げほっ……こ、ここは……ひっ!? か、カッパがいっぱい……」
ニンゲンが起きたことを確認した私の体は、土俵の上で四股を踏んだ。
気合十分のようだ。
「お、お姉ちゃん……? お姉ちゃんなの……? ど、どうしちゃったのその姿!? なんでそんな、カッパみたいな……」
「グエッ?」
ニンゲンがこちらになにか言ってきている。
ごちゃごちゃとうるさい。
そんなのいいからさっさと相撲を取ってほしい。
「グエッ!」
「グエーッ!」
「わ、ちょっと、なに!?」
周りの仲間たちに囃し立てられ、ニンゲンは立ち上がった。
それに合わせて、私の体はかがみ込んで立ち合いの準備を始める。
行事役の仲間が前に出てきて、いよいよ準備万端だ。
「グエー……グエッ!」
合図がされた瞬間、私の体は猛スピードで目の前のニンゲンに突進した。
張り手で思い切りニンゲンの胸元を押すと、ニンゲンは呆気なく仰向けに倒れてしまった。
「きゃあっ!? いったぁ……」
「グエッ!」
私の体は勝利の喜びに両手を掲げた。
仲間たちも私の体の勝利を祝福してくれている。
「なんなの、もう……」
倒れたまま涙目になっているニンゲンを仲間たちが囲んでいく。
負けたニンゲンは私たちの仲間に入れて強くしてやらなきゃいけない。
そのためにまずはニンゲンの尻子玉を抜いてやらないと。
「な、なにするの!? 離してよっ!」
暴れるニンゲンを仲間たちが抑えつける。
私の体は尻を突き出すニンゲンに近づき、邪魔な布を破いた。
「や、やめてよっ! お姉ちゃんなんでしょ!? わたしだよっ! 皐月だよっ!? なんでこんなことするの!? 正気に戻ってよっ! ……って、な、なにしようとしてるの……ま、まさか……」
私の体は、ニンゲンの尻の穴に手を突っ込んだ。
「おごッ!? お、おお゛ッ……!?」
私の体は手をどんどん尻の奥へと潜り込ませていく。
そして、ニンゲンの尻の奥深くにある尻子玉を手に掴んだ。
「んぎぃッ!? だ、ダメっ、それっ、は、あがぁッ!?」
尻子玉を手に握りしめたまま、私の体は思い切り手を引き抜く。
「グエェーッ!」
「ああ゛ッ!? だッ、だめ゛ッ、が、あがあああぁぁあぁぁッ!!?」
じゅぽんっ、と音が鳴り、尻子玉を握った手がニンゲンの尻からすっぽ抜けた。
尻子玉の抜けたニンゲンはフヌケのようにぐったりしている。
私の体が尻子玉を掲げると仲間たちもそれを見上げていた。
透き通った薄桃色の、汚らしい尻子玉だ。
私たち河童のものとは大違い。
私の体は尻子玉を岩場の上に置くと、急にえずき始めた。
なんだろう、すごく気持ち悪い……。
なにか吐いちゃいそう……。
「グエ……ゲエッ、グ、オエェッ!」
吐き気を抑えきれず、私の体がそれを吐き出した瞬間、急に体の感覚がなくなった。
あれ?
私、どうなったの?
少し経つと、徐々に視界が映るようになった。
私、川の中に落ちてる。
水面に意識を向けると、緑色に濁った綺麗な尻子玉が映っていた。
そっか、私、体から出ちゃったんだ。
あれ、でも私の尻子玉ってこんな色だったっけ?
そんなことを考えていると、私の体が私のことを持ち上げてきた。
そして、私をぽっかりと開いたニンゲンの尻の穴の中へ思い切りねじ込んだ。
その瞬間、全身の感覚が私に戻った。
爪先から頭のてっぺんまで全て感覚ある。
それだけじゃない。
少しずつその体が、私の意思で動いているのだ。
しかし、体の方はまるで拒絶するかのようにビクンッビクンッとのたうち回って私に抵抗してきた。
お前はもう私の体なんだ、言う通りにしろ!
そう強く念じると、体の震えはおさまった。
私はゆっくりとその場に立ち上がる。
これが、私の体……。
自分の意思で動く、私の体なんだ。
その実感が湧いてくると、私は感極まって大声を上げてしまった。
「グエェッ!」
仲間たちと同じ鳴き声。
これを自分の意思で出すことができて私は感動した。
私の様子を見ていた仲間たちが私の方に寄ってくる。
仲間たちも私と喜びを分かち合ってくれているようだ。
私の体の仲間も、私の方に寄ってきた。
……いや、あれはもう私の体じゃない。
私の体というのは、今のこの体のことだ。
私……わたしをこの体にしてくれたあの仲間は、わたしにとって親のような存在だ。
わたしは親と手を合わせた。
と、そこで気づく。
わたしだけ他の仲間と肌の色が違う。
一人だけ体がニンゲンのままで、河童である他のみんなと違うというのはなんだか寂しい。
「グエェ……」
すると、親がわたしの後ろに回り、尻になにかを押し付けてきた。
それは、股間に生えた大きく立派なチンポだった。
なにをしようとしてるのか、わたしは本能的に理解した。
「グエッ!」
親に奉仕するのは娘の役目だ。
わたしは自分の腰についている布をたくし上げ尻を露出させた。
ふりふりと腰を揺らして誘うと、親はわたしの尻の穴へ、勃起したチンポを一気に突っ込んできた。
「ングッ!? グ、グエェッ!」
チンポが尻へ挿入された瞬間、わたしはとてつもない快感に包まれた。
すごいっ!
尻が、チンポに突き上げられて気持ちいいっ!
「グエッ、グエェッ! グ、グアッ、アガァッ、ングエェッ!」
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいいっ!
かつてないほどに強い快感に、わたしは何度も声を上げた。
声を上げれば上げるほど気持ちよくなる。
自分の意思でこうやって快感に喘ぐことがこんなに気持ちいいだなんて知らなかった。
わたしにこの自由に動く体をくれた親には感謝してもしきれない。
「グエッ、グエェッ!」
親も気持ちよさそうな蕩けた表情でわたしの尻にチンポを押しつけている。
ああ、すごく嬉しい。
わたし、親と一緒に気持ちよくなれてるんだ。
親の腰の動きがどんどん早くなっていく。
パンッパンッ、とリズムよく尻が親の腰とぶつかり、尻に伝わる快感の衝撃はその激しさを増していった。
「ングッ、アグッ、ンガアッ! グエッ、グエェッ! ングッ、ングエェッ!」
「グエェッ! グエェーッ!」
わたしが叫ぶと、親も一緒に叫んで共鳴してくれる。
親は、舌を前に突き出して口の周りを涎でぐちょぐちょにしていた。
なんて気持ちよさそうなんだろう。
わたしも、もっと気持ちよくなりたいっ!
もっと、もっと、もっと!
親の動きに合わせてわたしも腰を大きく動かす。
そして、ついにわたしと親は限界に達しようとしていた。
「ンッ、グ、グエッ、グエェアアア゛ァッ!!!」
親が大きな声を上げわたしに強くチンポを押しつけた。
その瞬間、チンポがビクビクッと震えザーメンをわたしの尻の中に放出した。
ああ、出てる、わたしの中に、ザーメンが……。
「ングッ、ングアァッ、アッ、グエェ……」
じんわりとザーメンが体の中に染み込んでいくのを感じながら、わたしはその場に倒れ込んだ。
気持ちよかった……。
本当に気持ちよかった……。
快感の余韻を感じている間も、まだ尻の穴がヒクヒクとしていた。
そのまま横になっていると、いつの間にか自分の体に変化が起こり始めていた。
肌の色は仲間たちと同じ綺麗な緑になり、背中には立派な甲羅ができあがっている。
頭の邪魔な毛が抜け落ちて皿が形成され、股間からは逞しいチンポが生えてきた。
この体は、もうニンゲンなんかじゃない。
みんなと同じ、美しい河童の体なんだ。
わたしは立ち上がり思い切り叫んだ。
「グエェーッ!」
歓喜の叫び。
今度こそわたしはみんなと同じ河童になれた。
わたしは喜びのあまり親に抱きついた。
わたしより少し大きい親は、わたしのこと抱きしめ返してくれた。
感動で目からは涙がこぼれそうだった。
と、そのときわたしは完全に河童になれたことで自分の使命を理解した。
そうだ、今度はわたしが親にならないと……。
わたしは岩場の上に置かれた薄桃色の汚らしい尻子玉を掴み上げた。
このニンゲンだった尻子玉を、わたしが立派な河童にしてあげないといけない。
わたしは口を大きく開き、尻子玉を飲み込んだ。
すると、わたしの頭の中に変な声が響いてきた。
(ううっ……どうなってるの……わたし、食べられちゃったの……?)
これは、尻子玉の声?
わたしの体内に入ったことでその声がわたしに伝わっているみたいだ。
さっきまでと違ってなにを言っているのかなんとなく意味がわかる。
(わたし……わたしの体に戻ったの……? ……ダメだ、自分じゃ動かせない……)
当たり前だ。
この体は河童となったわたしの体なのだから。
もうお前の……ニンゲンの体ではない。
早くこの尻子玉も、立派な河童にしてあげよう。
そう思ったわたしは股間のチンポに手を伸ばした。
(こ、この……カッパの分際で、わたしの体を勝手に……このバケモノ! あんたが動かしてるんでしょ!? わたしに体を返しなさ……んひゃあっ!?)
「グエェッ!」
チンポに触れた瞬間、快感に喘ぐわたしの声と尻子玉の声が重なった。
わたしが気持ちよくなると尻子玉も気持ちよくなるみたいだ。
それならもっと気持ちよくしてあげよう。
わたしは右手でチンポの竿、左手で亀頭を触りこねくり回した。
(んんっ、あ、ああっ! そ、それだめ、きもち、よすぎてぇ……んあっ!)
「グエェ……ンッ、グエェ……」
粘性をまとった河童の肌はヌメっとしていてとても気持ちいい。
触っているだけでどんどん気持ちよくなっていく。
みるみるうちにチンポは硬く大きくなっていき、すぐにビンビンに勃起した状態になった。
(う、ウソ……わたしの体に、こんな……ああ、でも、もっと触ってほしい……指で、シュッて擦ってほしい……)
尻子玉の声に応えるようにわたしは右手でチンポを握りしめ上下にシコり始めた。
ヌチャッヌチャッ、という音を立てて擦り上げられるチンポからは少しずつ我慢汁が漏れ始めている。
「グエェッ、グエェッ……ング、アアッ! グエッ、グエエッ!」
気持ちいい……。
すごく気持ちいい。
チンポをシコるのがこんなに気持ちいいだなんて。
尻の穴にチンポを突っ込まれるのも気持ちよかったけど、こっちも甲乙つけがたいほどに気持ちいい。
気持ちよさを求めるあまり、チンポをシコる手がどんどん早くなってしまう。
そしてついに、チンポがビクビクと震え始めた。
もう出しちゃいそうだ。
(ああっ、出したい出したいっ! 射精っ! 射精したいよぉっ!)
尻子玉はすっかりザーメンを出す気満々だ。
それもそのはず。
この手コキオナニーは気持ちよくなればなるほどニンゲンの心をザーメンに変えてしまう。
ニンゲンの心を失っていく尻子玉は、もっと気持ちよくなることしか考えられなくなる。
そして、ザーメンを出してしまえば、この尻子玉もわたしたち河童の仲間入りだ。
さあ、お前のニンゲンとしての心、わたしがザーメンとして射精してあげるっ!
「グエッ! グウッ……グッ、アア゛ッ、グッ、グエェエエーッ」
わたしは思い切り叫んでチンポからザーメンを射精した。
ビューッ、とすごい勢いでニンゲンの心入りザーメンが飛び散っていく。
ああ、最高っ。
最っ高に気持ちいいっ!
わたしは体を震わせて快感に悶えた。
(ああっ、あああぁあぁッ!! すごいっ、きもちいいっ! ……あ、あれ……? わたしの中から、なにか、なくなって……あれ、わたしって……なんだったっけ……)
尻子玉もわたしの中で快感に震えながらニンゲンの心を失っていた。
よしよし。
これからお前はわたしの娘としてちゃんと立派な河童にしてあげるからね。
わたしは自分の腹を優しくそっと撫でた。
────────
「グエェッ! グエェーッ!」
「ングッ、グエッ、グエェッ!」
わたしは自分の娘となった仲間の尻にチンポを突っ込んでいた。
まだニンゲンの体をしているが、わたしが河童のザーメンを注いであげれば、この娘も正真正銘の河童になれる。
この娘の体は、さっきわたしが見つけてきたニンゲンのものだ。
まるでなにかを探しているかのような動きをしながら川の周りを歩いているところを連れてきた。
わたしよりもだいぶ体が大きいが、わたしが河童にしてあげているのだからこいつはわたしの娘なのだ。
わたしの体内で熟成された尻子玉はすっかり河童に染まりきり、ニンゲンの体に入った後もこうやってわたしに突かれて河童のように喘ぎ散らしている。
「グエェッ、ングッ、グエェーッ!」
わたしは腰を強く娘の尻に打ちつけ、ザーメンを射精した。
ああ、やはり射精は気持ちいい。
そのままわたしがチンポを引き抜くと、娘はビクビク震えながらその場に倒れ込んだ。
するとすぐに娘の体に変化が訪れ、あっという間にわたしたちと同じような河童の姿へと変わった。
立ち上がった娘が喜びに震えながら声を上げる。
「グエェッ!」
わたしはすぐに娘に駆け寄った。
娘の立派な成長を見届けて、わたしも親として嬉しい。
すると、わたしの親もわたしたちに近寄ってきて、わたしと娘に抱きついてきた。
親子三代での抱擁はわたしをとても温かい気持ちにさせた。
ふと水面を見ると、わたしたちの姿が反射して映っていた。
三人の中では、娘が一番背が高く、次にわたしの親が大きくて、一番小さいのがわたしだった。
これだと体格差でそのうち娘に相撲で負けてしまうかもしれないな、となんだか少し気恥ずかしい気持ちになった。
ふとそのとき、わたしたち三人はどこか顔が似てるように感じた。
河童の親子は別に見た目が似るわけじゃないのになぜだろうか。
それに、三人で抱き合っていると、不思議と懐かしい気持ちになってくる。
まあ、どうでもいいか、そんなことは。
わたしたちは河童の親子。
その事実があればそれ以外はどうでもいい。
「グエッ!」
「グエッ、グエッ」
「グエーッ」
わたしたちは鳴き声をあげて共鳴した。
これからの河童としての生活。
親や娘にチンポを挿れて挿れられ、気持ちよくなってすごす。
そんな最高の日々が、わたしたちを待っているのだ。