【小説】ノットラレビデオレター
Added 2022-04-21 13:06:56 +0000 UTC今日は星乃さんとデートだ。
まさか凡庸で目立った特徴もない僕が、クラスでも才色兼備として崇められている彼女とデートできるなんて思ってもみなかった。
もしかしたら僕はとんでもないスーパーラッキー野郎なのかもしれない。
彼女との待ち合わせ場所である駅前で、僕は約束の数十分前からただひたすら待ち続けていた。
緊張で体はガチガチだけど、たしかな高揚感が胸の中にある。
「米田君」
すると、透き通った綺麗な声が僕の名前を呼んだ。
思わず振り返ると、そこには待ち焦がれていた彼女がいた。
背中に広がる絹のように艶やかな長い黒髪。
繊細でしなやかな肌白い手。
まだどこか少女らしさを感じる細い首筋。
春先らしい白いニットのトップスにベージュのロングスカートを合わせた清楚な雰囲気の服装。
僕は思わずその姿に見惚れてしまった。
「ごめんなさい、待ったかしら?」
長い髪を耳にかけながら、彼女は僕に声をかけてきた。
集合時間はまだなのに先に着いていた僕に気をつかうなんて、真面目な彼女らしい。
「いやいや、全然大丈夫! 僕もついさっき来たところだから!」
咄嗟にめちゃくちゃ嘘をついてしまったけど、まあ多分星乃さんには気づかれていないだろう。
「それじゃあ行きましょうか」
「あ、うん、そうだね」
歩き出す星乃さんに僕も続く。
星乃さんはうちの学校の生徒会長であり、僕は副会長を務めている。
この半年近く、彼女と色々行事を執り行ってきたからか、少しずつ彼女が僕のことを頼りにしてくれるようになった気がする。
そして、先日の文化祭の日に思いきって『付き合ってください!』と告白をしたところ、彼女は『構わないわ。私たち、付き合いましょう』とだけ言って、僕との交際を承諾してくれた。
正直、今でも夢なんじゃないかと思っている。
僕は歩きながら彼女の横顔を覗いた。
星乃さんのクールな雰囲気には、他人を寄せ付けないオーラのようなものを感じる。
表情もあまり変わらないのでなにを考えているかもよくわからない。
彼女はどうして僕と付き合ってくれると言ったのだろう。
未だにそんなことを考えてしまう。
「米田君、私の顔に何かついてるかしら?」
僕が顔をじーっと見ていることに気づいた星乃さんがこちらに問いかけてきた。
「え!? あ、ええっと、なんでもないんだ、ごめん……」
「そう。ならいいのだけど」
彼女はそれだけ言うとまた前を向く。
僕は安心するのと同時に、どこか居心地の悪さを感じていた。
なんだか、さっきから間がもたない。
今日会ってからまだまともな会話一つしていない気がする。
普段はもっと普通に話せているのに、初デートの緊張感に飲まれているせいか全然思ったように話せない。
僕は自分の情けなさに肩を落とした。
「着いたわね。まずはチケットを買わないと」
星乃さんの言葉に顔を上げると、いつの間にか目的地の映画館に到着していた。
まず最初の予定は映画鑑賞だ。
昨日までどこに行くべきか色々悩んでいたのだけど、こんなに間がもたないなら結果的に映画を選んだのは正解だったかもしれない。
券売機の前で僕が二人分のチケット代を出そうとすると、星乃さんはそれを制止してきた。
「米田君、自分の分ぐらい自分で払うわ」
「え、いいよ。今日は僕が誘ったんだし、映画代ぐらい僕が持つよ」
「いいえ、それでは平等じゃないわ。私たちは対等な関係なのだから、こういう貸し借りを作るようなことは避けるべきよ」
そう言うと星乃さんは、財布から自分のチケット代を出して僕に手渡してくる。
星乃さんはやはりどこまでも真面目なのだということを改めて実感できた。
彼女のこういうところは素直に尊敬できるし、こういう彼女だからこそ好きになったのだ。
僕は彼女からお金を受け取り、二枚のチケットを購入した。
その後、シアターの中に入り二人で映画を見たのだが……。
「……ええっと、その、まあまあ面白かったね」
「そうね」
僕たちは微妙な空気感で映画館から出てきた。
今日見た映画は、話題の洋画。
普段からあまり映画を見ない僕が適当に選んだものだ。
まあ話題になっているのだから少なくともつまらなくはないだろうと思っていたのだが。
「……ごめん、あれ、続きものだったんだね……」
「そうだったみたいね」
星乃さんは澄ました顔で淡々と返事をしてくる。
完全に失敗した。
まさかシリーズものの映画の二作目を選んでしまっていたなんて、全く気が付かなかった。
なんでタイトルに2ってついてないんだ、これじゃ知らない人は続きだって気づけないだろ!
僕は身勝手で理不尽な怒りを製作者に向けながら、自分のダメダメ具合を実感してさらに落ち込んでいた。
ああ、もう本当に最悪だ。
結局話も盛り上がらないし、とても気まずい。
星乃さんも、怒っているんじゃないだろうか。
チラッと顔を見てもそのクールな表情からは上手く感情を読み取れない。
「米田君、お腹空いてないかしら?」
すると、急に星乃さんが言葉をかけてきた。
「え? まあ、そうだね。そろそろお昼だし」
「それじゃあそこのお店で何か食べましょう」
星乃さんは、近くのファミレスに足早に向かっていく。
僕も後に続いて店に入った。
とりあえず適当に注文を済ませると、星乃さんが言葉をかけてきた。
「さっきの映画、面白かったわね」
「えっ」
急に話を戻され、僕は答えに窮した。
そんな僕の様子に気づいてか、星乃さんは首を傾げている。
「米田君は面白くなかったのかしら?」
「いや、まあ面白かったけど……続きものだったからちょっとわかりにくいところもあったかなって……」
「そうね。前の作品を見るのも面白そう。楽しみがひとつ増えたわ」
星乃さんの言葉に、僕は拍子抜けしてしまう。
もしかして、意外と気に入ったのか?
「星乃さんは、その……怒ったりはしてないの?」
「怒る? 私が? どうして?」
星乃さんはなにを言っているのか分からないと言った様子で聞いてくる。
「なんていうかその……今日は緊張してて上手く話もできてなかったし、映画選びもあんまり良くなかったし……星乃さんを全然楽しませてあげられてないんじゃないかって……」
僕が俯きながら呟く。
改めて思い返すと不甲斐なさすぎて泣きそうになる。
すると星乃さんは、いつものクールな表情のまま告げる。
「どうも私は自分の気持ちを人に伝えるのが下手みたいね」
「え……?」
星乃さんはコーヒーを一口飲むと、落ち着いた様子で言葉を続けた。
「私は今日すごく楽しんでいるわ。きっと、貴方が思っているよりね」
「そ、そうなの?」
「ええ。だいたい、上手く話せていないのは貴方だけのせいではないわ。私も、今日はとても緊張していたの」
星乃さんが、緊張?
いつだって物怖じせずにみんなの前に立っていた星乃さんでも緊張することがあるというのは、かなり驚きだ。
星乃さんはそのまま淡々と言葉を続ける。
「好きな人との初めてのデートだもの。当然よ」
「え!? す、好きな人って……」
初めてのはっきりとした好意の言葉に僕は顔を赤くしてたじろいでしまった。
すると、その戸惑いを含んだ僕の反応を見た星乃さんは、少し不満げに僕の顔を見てくる。
「……米田君、そこからわかっていなかったの? ……貴方、私が好きでもない人となんとなくで付き合うような女だと思っていたのかしら?」
「そ、そんなことはないけど……でも……」
「……そうね、これは私の落ち度だわ。もっと早くに言葉にするべきだった。反省するわ」
星乃さんの言葉に、僕は少し笑みをこぼしてしまった。
やはり星乃さんは真面目な人だ。
少し堅物で、真面目すぎなところもある。
でも、そこが彼女の素晴らしいところだ。
なら僕は、彼女の苦手な感情表現をちゃんと受け取る努力をしなければならない。
「星乃さん、ごめん。僕も、これからはちゃんと星乃さんの気持ち、受け取れるように頑張るよ」
「ありがとう、米田君」
星乃さんは嬉しそうに微笑んだ。
それは今日見た中では、一番の笑顔だった。
その後、僕たちはご飯を食べ終え席を立った。
僕が財布を取り出すと、星乃さんも当然とばかりに財布を取り出す。
「米田君、ここの会計は……」
「割り勘、だよね」
「ええ、勿論。私たちは対等な関係だから」
僕たちは笑い合いながら手を繋ぎレジへと向かった。
────────
ファミレスを出てからは、それまでの気まずい雰囲気を払拭する勢いでデートを満喫した。
星乃さんの気持ちもわかり、なんだか吹っ切れたおかげかいつも以上に楽しく会話することができた。
心なしか、星乃さんもいつもより楽しそうだ。
「米田君、今日は楽しかったわ」
「僕も楽しかったよ。ありがとう、星乃さん」
日が暮れ始めた頃、僕たちは駅前まで戻ってきた。
今日はここで解散だ。
当然だけど、この後に変なことをしたりなんてことは全く考えていない。
僕たちは健全な関係なんだ。
邪な考えを彼女に抱くのは失礼だと言えるだろう。
「それじゃあ……あら?」
それまで穏やかに話していた星乃さんが、急に鋭い目つきである場所を見つめ始めた。
なんだろうと思い視線の先を見ると、そこには中学生ぐらいの女の子を囲む男二人組がいた。
「結構可愛いじゃん。なあ、今日はこいつで遊ばねえか?」
「そうだな……いや、流石にガキすぎねえか? 俺はもう少し発育のいい身体の方が好みだ」
男たちは女の子の前で下世話な会話をしている。
なんだ、あれは?
筋肉質の屈強な男たちは明らかに女の子に怖がられている。
どう見ても知り合いではないだろうし、ナンパかなにかだろうか?
いずれにしてもあまり穏やかではなさそうだ。
「米田君、ごめんなさい。ちょっと待っててもらえるかしら」
「え? あ、星乃さん、ちょっと!?」
星乃さんはカツカツと足を進めて男二人組へと近づいていく。
あの様子、一見いつもと変わらないけれど、僕には星乃さんが怒っているようにしか見えなかった。
「こういうまだ性に興味もねえようなガキで遊ぶのが楽しいんじゃねえか。穢していく感じがたまんねえよ」
「なんだよロリコンだったのかお前? まあそうだな、穢れを知らない清純そうな女はたしかに乗っ取り甲斐が……」
「貴方たち、何をしているの?」
星乃さんが、二人の男に声をかける。
男たちは呆気に取られた様子で星乃さんの方に振り返った。
「なんだこいつ? お前知り合いか?」
「いや、知らねえよ。誰だ?」
「私が誰かなんてどうでもいいわ。それより貴方たち、二人がかりで女の子に寄ってたかって、恥ずかしくないのかしら?」
「あ? なんだてめえ」
星乃さんは男たちに対して全く怯まず、堂々と言葉を告げる。
「そうやって相手を怖がらせて自分の思い通りにしようとする、貴方たちみたいな人がいるから世の男性が悪く言われるのよ。少しは自分たちの行いを恥なさい」
「ちっ、うぜえ女だな。いきなり説教か? 何様のつもりで……」
「おい待て。この女、よく見れば結構悪くねえぞ? それにいかにも清純って感じで、穢し甲斐がありそうじゃねえか」
「なるほど、たしかに。こいつは楽しくなりそうだな」
すると、男たちは星乃さんの方を見て舌舐めずりをし始めた。
まずい、このままじゃ星乃さんがなにをされるかわからない……!
僕は慌てて星乃さんと男たちの間に割って入った。
「あ、あの! 手荒なことをするようなら警察呼びますよ!?」
「なんだこのヒョロガリは。カレシくんか?」
「なんだよ男持ちかよ。ま、それはそれで面白そうか」
そう言うと男たちは、僕たちの方を見てニヤニヤしながらその場を立ち去っていった。
力が抜けて、僕は思わずその場にへたり込んでしまう。
「……な、なんとかなった……のか?」
「米田君、大丈夫?」
「う、うん。星乃さんはなにもされてない?」
「ええ、私は大丈夫よ。貴女は? あの男たちに妙なことはされてないかしら?」
「は、はい。あの、助けてくれて、ありがとうございました」
女の子は涙を目に浮かべながら、何度も僕たちに頭を下げた。
よっぽど怖かったのだろう。
まあ、なにもなくて本当によかった。
女の子が駅の方に駆けていくのを見届けた後、僕は改めて星乃さんに言葉をかけた。
「……正直生きた心地がしなかったよ。星乃さんがなにかされたらどうしようって、気が気じゃなかった」
「ごめんなさい、心配かけて。でも、放っておくわけにもいかなかったから」
「うん、そうだね。ただできれば、あんまり無茶はしないでほしいな……」
あの男たちがあっさりいなくなってくれたからよかったものを、一歩間違えばどうなっていたか。
……しかし、なんであの男たちは急に立ち去ったのだろうか?
僕なんか軽く捻り上げられそうな屈強な男たちだったのに。
僕は少しだけ胸の内に嫌な何かを感じながら、星乃さんと別れて帰路についた。
────────
俺には特殊な力がある。
自分の身体から魂だけ抜け出ることができる、いわゆる幽体離脱というやつだ。
この力のすごいところは、魂の状態で他人の身体に憑依することでその身体の主導権を乗っ取ることができるところにある。
どんな人間だろうと憑依されれば俺の思うがままだが、やはり乗っ取る上で一番面白いのは女だ。
他人には簡単に見せない身体を、俺だけが思う存分堪能できるという状況は何ものにも代え難い。
『おっ、いたいた』
俺は幽体となって街を飛び回り、今日のターゲットを見つけた。
長い黒髪の女。
恐らく高校生ぐらいだろう。
清楚系JKの見本みたいな奴が、日の暮れた住宅街を一人で歩いている。
こいつはさっき、生意気にも俺たちに説教しようとしてきやがった。
全く、本当に馬鹿な女だ。
わざわざ、俺たちの目に止まるようなことをしてくるなんて。
一人で歩いているところを見ると、さっきのカレシくんとは既に別れているようだ。
まあ、その方がこちらとしては好都合だが。
『じゃ、邪魔するぜ』
俺は澄ました顔をして歩いている女の口の中へ、自分の幽体を滑り込ませる。
すると。
「……んぐッ!?」
女の顔がいきなり苦悶に歪む。
クールぶった女の余裕が崩れるこの瞬間も、俺にとってはご褒美だ。
「がっ、ごぼっ……」
身体の中へ潜り込んでいく俺を拒むように、女が咳き込む。
しかし、今の俺は実態のない幽体だ。
そんなものはなんの意味もない。
「おぇっ……なにが、おき……げほッ……」
異常事態に困惑した顔を浮かべながら、女は嗚咽を漏らす。
次第に顔が青くなっていき、身体がビクビクと痙攣し始めた。
俺の幽体が女の身体の中へと入り込むたびに、ビクンッ、ビクンッと脈打っている。
口の中から俺の幽体がこの女の身体全身へと広がっていく。
女は額に大粒の汗を浮かべ、顔は涙と涎と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。
夕方に見た毅然とした態度と比べると、何とも無様だ。
『こうなれば、もうこの身体は俺のもんだ』
俺は完全に女の身体に入り込むと、幽体を身体に馴染ませた。
自分の身体を女の身体に重ねるイメージ。
女の身体に、自分を深く沈み込ませるイメージ。
そうすることで、俺は完全に身体に同調することができる。
やがて、限界が来たように女の目がぐるんと回り、女は白目を剥き出しにしたまま意識を失った。
最後に抵抗するように身体がピクっと震えたが、すぐに力尽きたようにぐったりとなってその場に倒れ伏した。
よし、準備完了だ。
そう心の中で唱えた瞬間、俺の意識が一瞬途切れた。
……徐々に、頭の中がはっきりとしてくる。
気怠い感覚と共に、さっきまでの身軽な幽体とは違うしっかりとした実体の感覚が戻ってくる。
パチっと目を開く。
身体は全身汗まみれで、顔も色んな液体でビショビショだ。
俺は適当に服で顔を拭う。
「……あー、んっ、んっ……」
俺は軽く喉を鳴らす。
喉から響くのはいつもの俺の低い声ではなく、まだ若い女の声。
喉に手を触れると、そこには喉仏が感じられず、か細い首があるだけだ。
触れた手自体も、白いスベスベの肌で、元の俺のゴツゴツとした筋肉質な手とはかけ離れている。
俺は立ち上がり、服についた汚れを叩く。
着ているのは、女物のひらひらした服だ。
それはもちろん、さっきまであの女が着ていた服。
俺はニヤリと笑みに顔を歪ませた。
「……憑依成功だ、くくっ……」
清楚さを感じさせる透き通った声を使って、俺はドスの効いた言葉を呟いた。
そこでふと、落としたカバンからこぼれた手鏡が目に入った。
俺はそれを拾い上げて覗き見る。
映っているのは、軽薄そうな笑みを浮かべた女の姿。
これがあの説教を垂れていた女と同一人物だと思うと笑いが込み上げてくる。
「くくくっ、はっはっは! こいつ、俺らのことを蔑んだ目で見てやがったが、それが今やその蔑んだ対象に乗っ取られちまうとは、どんな気分だ? ええ、おい?」
俺は鏡に向かって問いかける。
顔はあの真面目そうな女なのに、表情はいつもの俺のもの。
そのギャップがなんとも唆る。
「いいねえ、興奮するじゃねえか。やっぱ乗っ取るならこういう女だな。穢れを知らなそうな清純な女が俺に操られてると思うだけで……堪んねえよ」
俺は身体を撫でまわした。
自分の全身をいやらしい手つきで触っていく。
そうすると、股の奥が熱を帯びてもどかしい感覚が湧いてきた。
「……あいつも待ってるだろうが、その前に少し楽しませてもらうか」
俺は薄暗い路地の奥へと入っていった。
周りに誰もいないことを確認し、俺はスカートを下ろす。
露わになった下半身を夜風が撫でる。
「なんだ? この地味な白パンは。カレシくんとデートだったんじゃねえのか? つーか、よく考えたらこいつらヤらずに解散したのか。おいおい、なっさけねえ野郎だなあのヒョロガリ」
綺麗な女の声でそう呟きながら、俺はパンツも脱ぎ捨てた。
そして、股間の割れ目に手を添わせる。
「あー、このマンコの感覚、堪んねえな……んっ……」
この女の秘部である、マンコを指で弄る。
この女自身の手でこうしてマンコを弄ぶこの征服感、何度味わっても素晴らしい。
「しかし、この感じ、あんまり弄ってなさそうだな。いかにも清純って雰囲気だったしオナニーは全然ってか? まあ、その方がやり甲斐があるってもんよ……んっ、あっ……」
微妙に感度の良くない自身の身体に対して呟く。
この手の女の身体は全然開発がされていない。
だったら、俺が進めてやるまでだ。
俺は一番敏感な部分、クリトリスを軽く指でつねった。
「んふうっ! ああ、いいねえ、まずはここから、重点的に……んあっ、んっ……」
ジンジンとした強い刺激が身体を駆け抜ける。
普段触ってなくても、ここなら強引に身体に刺激を与えることができる。
無理やり身体に快感を教え込ませるにはちょうどいい性感帯だ。
「んっ、ああっ! いい、いいぞ、身体が、昂って……んっ!」
徐々に身体が熱っていく。
穢れを知らなかった生娘の身体が、少しずつ自分自身の手によって快感を覚えていく。
快感を求める手の動きに応えるように、脳内では快楽物質が大量に分泌されていることだろう。
身体はすっかり出来あがろうとしていた。
「おらっ、イけッ、くッ、んッ、イッ……ちまえぇッ……!!」
俺は身体に命令した。
この身体は俺の支配下にある。
もう、この快感を受け入れることを止められない。
やがて、快感に耐えきれなくなった身体が、大きく跳ねた。
「んっ、あ、ああッ! イクッ、んあッ、んっくううぅッ!!!」
ビクンッ、ビクンッ、と激しく身体が震える。
頭の中が真っ白になる勢いで、脳内が快楽に染まる。
無理やり与えられ続けた快感に、この身体が屈した証だった。
その瞬間、俺の頭の中で『私』の情報が溢れだす。
名前は星乃紗織。
高校三年生で、学校では生徒会長をしている。
どんなときでも正しくあろうと心がけており、曲がったことが嫌いで、間違った行為を目撃したら相手が誰だろうと止めるべきだと考えている。
普段からそうした態度をとっているためか、周りからは少しだけ怖がられているような気がする。
恐らく私が自分の感情を表現するのが苦手なことも影響しているだろう。
ただ、そうした私の考えを理解してくれている人もいる。
生徒会副会長の米田君だ。
彼はいつも私のことを考えてくれていて、生徒会の職務上でも私のことを支え続けてくれている。
そうした中で私は彼に好意を抱くようになった。
そして先日、彼は私に告白をしてくれた。
私は二つ返事でOKを出したつもりだったのだけれど、今日の話を聞くとどうやらその気持ちはうまく伝わってなかったようだ。
やはり私は自分の感情を表現するのが下手らしい。
今後はもっと思ったことをちゃんと口に出していくべきなのかもしれない。
それにしても、あの女の子に言い寄っていた男二人組は最低だった。
下卑た会話を目の前で続け、その威圧感で女の子を怖がらせて、ああいう男が私は一番嫌いだ。
もっと、世の男性が米田君のような人ばかりならいいのに……。
と、そこで私は一旦思考を止めた。
「ああ、なるほど。これが私なのね……」
私は髪をかき上げながら淡々と呟く。
さっきまでのような下衆の笑みは浮かべない。
いつものようにあまり感情を表に出さないまま、私は腕を組んだ。
これが、私の……いえ、正確に言うなら『俺』の力の更なる効果。
他人の身体に憑依した状態で絶頂することにより、その身体の全てを受け入れることができる。
記憶、性格、価値観といった、その人間の内面を構成するもの全てを取り込み、その人物に完全になりきることができる。
今の私は、完全な星乃紗織だと言えるだろう。
「理解できたわ、私のことが。やはり彼、米田君と私は付き合っていたのね。しかし、惜しいことをしたわね。健全な関係なんかにこだわらないで今日のうちにホテルにでも連れていっていれば、私の処女がもらえたのに」
淡々と呟きながら服を着直す。
私はいずれ彼に処女を捧げる気でいた。
彼が真面目な交際を望んでいることはわかっていたから今日は普通に別れたけれど、いずれ彼とそういうことをする日がきっと来るだろうとそう思っていた。
でも『俺』が憑依してしまった以上、その可能性はもう失われた。
「さて、それじゃああの最低な男の元に向かうとしましょう」
私はそう呟くと、誰がどう見ても星乃紗織だと思わせる表情、姿勢、歩き方をして、家とは真逆の方向へと歩みを進めた。
────────
「あいつ遅えな。なにやってんだ?」
オレは自宅であいつがやってくるのを待っていた。
あいつというのはオレの悪友のことだ。
あいつには幽体離脱という不思議な力があり、その力を使って他人の身体を乗っ取ることができるらしい。
あいつは基本的に女の身体を乗っ取ることを趣味にしている。
乗っ取った女の身体でセックスするのが特に好きなのだそうだ。
それでもって相手は誰でもいいっていうんで、オレはそのご相伴にあずからせてもらってるというわけだ。
今日も乗っ取る相手を探して街を適当にぶらぶらし、ちょうど良さそうな女を見つけた。
その後、幽体離脱をして乗っ取りに成功したらうちに来るという約束をあいつとしていたのだが……。
「まったく、いつまで待たせんだあの野郎」
するとそのとき、インターホンが鳴った。
モニターを確認すると、夕方会った黒髪の女が玄関の前に佇んでいる。
『私よ。開けて』
女がそう告げるのを確認したオレは、玄関の扉を開いた。
女はクールな澄ました表情でこちらを見ている。
「待たせたわね。中に入れてちょうだい」
その女の態度を見て、オレは察した。
「なんだよお前。もう記憶見てんのか?」
「ええ。待ちきれなかったから」
女は無愛想なその表情を崩さず、ずかずかと部屋の中へと入っていく。
あいつは乗っ取った身体でイクと、その身体の記憶や性格まで乗っ取り、完全にその身体の持ち主になりきることができるらしい。
別になりきらないこともできるらしいのだが、本人曰く、こちらの方が興奮するとのことだ。
まあ、オレも乗っ取られた女の性格でヤらせてもらった方が断然興奮できるし当然文句はない。
「どこで乗っ取ったんだ? 家か?」
「いえ、住宅街の路上よ。まだ帰り途中だったから」
「ってことは路上でオナニーしたのか?」
「ええ、人気の少ない路地裏で。スカートとパンツを脱いでクリトリスを弄ったのだけど、ああいう野外オナニーも結構興奮するわね」
生真面目そうな女がその雰囲気を保ったまま変態行動を当たり前のように話している。
このギャップありまくりな言動がまたいい感じだ。
「それじゃ、自己紹介してもらおうか」
「星乃紗織よ。高校生。学校では生徒会長をしてるわ」
「へえ、生徒会長様か。よろしくな、紗織」
オレに名前を呼ばれても、女は返事もせず黙ったままオレの部屋のベッドに腰をかけた。
かなり不機嫌そうだ。
こいつ本来の性格が垣間見えるが、こんな態度でも結局この後オレとヤることになるのだから面白い。
「ところで今日一緒にいたあのヒョロガリは誰だ?」
「私の交際相手の米田君よ」
「ふーん、やっぱカレシだったか。どこまでヤったんだ?」
「今日初めてのデートで手を繋いだわ。キスはまだしてない」
「ぷっ、なんだそりゃ。こんないい女捕まえて手繋いだだけかよ。とんだ腰抜けだな」
オレはそう言いながら沙織の横に腰を下ろし、胸を鷲掴みした。
紗織も特に抵抗せず、されるがままにしている。
「どれ、じゃあファーストキスもらっちまうか」
「好きにしなさい。本当は米田君とするつもりだったし、貴方なんかとするなんて吐き気がするほど嫌だけど……んっ、ちゅ……」
オレは喋っている紗織の口を自分の口で塞いだ。
オレが舌を口の中に捩じ込むと、紗織も舌を絡ませてくる。
辿々しく下手くそなキスだが、それがかえって生娘であることを強調してくれて興奮する。
キスをしながら紗織の胸を揉むと、身体がピクっと震えて感じているのがわかる。
「じゅるっ、れろ……ぷはっ、どうだ? 初めてのキスは」
「……最悪の気分よ。心底軽蔑している貴方とファーストキスをしてしまったなんて」
「その割には自分からオレの舌に吸いついてきたじゃねえか。本当はオレとのキスで興奮してんだろ?」
「そうね。貴方のような屈強な男に圧倒されるって思ったら股間が濡れてきたの。自分でも気づいてなかったけれど、私ってもしかしてマゾヒストなのかしら」
オレを軽蔑してると言いながら自らの性壁をオレに暴露してくる紗織。
なんとも倒錯的だ。
「それじゃあ、お望み通りにしてやるか」
オレはベッドの上に紗織を押し倒すと、両手で力強く胸を揉みしだいた。
その顔は少し苦しそうだが、同時に頬を染めて快感を覚えているようにも見えた。
「どうだ、気持ちいいか? おい紗織、どうなんだ」
「んっ、あっ……こんな乱暴にされてるのに、私、感じてるみたいだわ。スカートを捲ってみなさい、下着が濡れてるはずだから」
言われた通りスカートを捲ると、下着は既にびしょびしょになっていた。
もう完全に出来上がっているようだ。
「なんだよ、マジでマゾじゃねえか。生意気な口効いて説教かましてきたくせに、実は無理やり胸揉まれて感じるマゾだったなんてお前のカレシが聞いたらどう思うだろうな」
「んっ、彼は優しいから、きっとどんな私でも受け入れて、んあっ……くれる、はずよ……あっ……」
「はっ、こんなところで喘いでる変態女でも受け入れてくれるってか? そりゃ随分優しいカレシくんじゃねえか」
と、そんなことを話しているうちにオレはいいことを思いついた。
「なあ、ちょっと面白えこと考えたんだが、いいか?」
「はぁっ……んっ……なにかしら」
紗織が息を整えながら身体を起こす。
オレは紗織に小さな声で耳打ちした。
紗織はそれを聞くと、相変わらず無愛想な表情のままゆっくりと頷いた。
─────────
僕と星乃さんとの初デートの翌日。
彼女は学校を休んでいた。
体調管理も普段からしっかりしている彼女が学校を休むなんて非常に珍しい。
「星乃さん、どうしたんだろう……」
心配なのは、昨日別れてから連絡が全く取れないことだ。
メッセージを送ってもなんの反応もない。
もしかして、返信もできないほどに具合が悪いのだろうか。
それとも、病院に入院しなきゃいけないような酷い怪我をしてしまったとか。
考えれば考えるほどに悪い想像が浮かんできて、気が気でない。
「ああ、星乃さん、本当にどうしちゃったんだ?」
結局そのまま彼女から返信も来ないまま夜になってしまった。
自分の部屋で椅子に座りながらスマホを眺める。
画面に映っているのは僕が星乃さんに送ったメッセージ。
せめて元気なのかどうかだけでも知りたい。
そんな気持ちを抱えたまま画面を見ていると、次の瞬間、彼女からのメッセージが届いた。
「っ!」
僕はスマホに顔を近づけてメッセージを読んだ。
星乃:返信が遅れてごめんなさい。
僕は安堵の気持ちでほっと息を吐きながら、彼女に返事をした。
米田:星乃さん大丈夫?具合悪いの?学校休んでたから心配だったんだよ
すると、少ししてから返事が来た。
星乃:米田君にこれを見てほしいの。
彼女からのメッセージの後には動画が貼られていた。
いったいなんの動画だろうか。
僕は言われるがまま動画を再生した。
すると、画面にはベッドに腰をかける星乃さんが映っていた。
それを見て、僕は少し違和感を覚えた。
これは、どこで撮っているんだろう?
部屋の中はかなり散らかっていて、ベッドもシーツがかなり皺くちゃであまり清潔には感じられない。
まるで独身男性が住む部屋のようで、とても星乃さんの部屋とは思えない。
『米田君、見てるかしら?』
画面の中の星乃さんが、こちらに言葉をかけてくる。
僕は、なにか嫌な予感がするのを感じた。
『米田君に話があるの。実は今の私、本当は私じゃないのよ』
星乃さんは意味のわからないことを口にした。
いったい、なんの話だ?
『憑依ってわかるかしら。幽霊とかが人に取り憑く状態。今私はその状態にあるの。といっても別に私は幽霊じゃないわ。幽体離脱ができるだけの普通の生きた人間よ』
これはなにかのドッキリだろうか。
そうでないなら星乃さんがこんな意味不明な話をするわけがない。
『昨日会った男たちを覚えてる? あの、女の子に言い寄っていた最低な男二人組。私はあの内の片方なの』
口の中がカラカラに渇いている。
息が、上手くできない。
『つまり何が言いたいかというと、貴方の大切な彼女は最低な男に乗っ取られてしまっているってことよ。どう? 米田君、見てくれてるかしら? 貴方の彼女、乗っ取られて身体を好き放題されてるわよ』
星乃さんが自分の胸を揉み始める。
普段の彼女なら絶対にしないその行動から、僕は目を離せない。
『不思議に思ってるかしら? なんで米田君のことがわかるのか、とか、どうしてここまで私になりすませるのか、とか。これは私の力でね、乗っ取った身体を使って絶頂を迎えることで記憶や性格まで取り込むことができるの。あ、絶頂ってわかる? イクってことよ。私、貴方の彼女の身体でオナニーしてイッたの。帰り道の途中、路上で下着を脱いで野外オナニーをしたのだけれど、とても気持ちよかったわ』
星乃さんは話をしながら胸を揉み続けている。
目の前の状況に理解が追いつかない。
いや、理解を拒絶してしまう。
『見て、米田君。このスカートの下。私の性器よ。おまんこって言った方がわかりやすいかしら? 昨日ここにあるクリトリスをこうして弄ったら……んっ……とても気持ちよくて、イッちゃったの。私ったら今まで全然弄ったことなかったのよ。こんなに気持ちいいのに、本当に勿体無いわよね……あっ……んっ……』
星乃さんが淫らな声を上げる。
僕は思わず生唾を飲み込んだ。
『んっ、ふぅ……こうして触ってるだけでも気持ちいいのだけれど、今日はもっと気持ちいいことをしようと思うの。さ、来なさい』
すると、画面外から一人の男が現れた。
『昨日貴方が会った男二人の内のもう片方よ。ここは彼の家なの。今からここで彼と性行為、セックスをしようと思うわ』
『イエーイ! 米田君見てるー? 今から君の彼女の身体とセックスしちゃいまーす!』
屈強な男が軽薄そうな笑みを浮かべながら星乃さんの肩を抱き寄せこちらにピースをする。
『米田君、実は私、処女なの。米田君以外の人と付き合ったことはないし、当然他の人間に身体を許す気なんかない。私、いつかきっと貴方と初体験をすることになるだろうと、そう思っていたわ。昨日までは、ね』
星乃さんはそう言うと男とキスをし始めた。
舌を絡ませ、水音を響かせる深いキスを。
『ちゅるっ、あむっ、れろっ……ぷはっ、実はね、キスも初めてだったの。いつか貴方に捧げようと思っていたファーストキス、この男に奪られてしまったわ。ねえ、米田君、今どんな気分かしら?』
星乃さんはいつものクールな表情をしたままこちらに問いかけてくる。
いつもの星乃さんと同じその表情は、けれども僅かに頬を赤く染めており、いつもよりずっと淫らに見えた。
『きっと、とても辛いでしょうね。貴方は私のことを大切に思ってくれていたから。そんな貴方のことを考えると、私も辛い気持ちになるわ。でもね、それが逆に私を興奮させるの。私、こんな気持ちになればなるほど興奮する酷いマゾヒストだったみたい』
星乃さんはそう言うと男の口にむしゃぶりつく。
さっきよりも何倍も激しくキスを交わす二人。
そのまま男は星乃さんを押し倒した。
『じゅるっ、ちゅっ、んっ……はぁっ……それじゃあ、そろそろ始めようかしら』
『ああ、待ちわびたぜ。おっとその前に』
男はカメラを手に取ると、星乃さんに向けて構えた。
画面はベッドの上に横たわる星乃さんを俯瞰的に映した構図になる。
『米田君、私がこの最低な男に処女を散らされるところ、しっかり見ててね』
そして、星乃さんの股間に充てがわれた男の股間の棒が、星乃さんを貫いた。
『んっ、くうっ……いた、い……これが、処女を失う痛み、なのね……んっ……』
『おお、キツキツじゃねえか。紗織、お前の膣内、すげえいいぞ……』
『そう、それはよかったわ……あっ……』
カメラが、股間の接合部のアップになる。
星乃さんの股からは血が滲んでいる。
それは、彼女がついさっきまで処女だったことを意味していた。
『おら、動くぞ紗織』
『ちょっと、まっ……いたっ……はげ、しいっ……んっ、あっ!』
星乃さんが苦しそうに顔を歪める。
けれど、頬を赤くして上気するその様子は、どこか悦んでいるようにも見えた。
『あっ、あっ! 私、乱暴にされて、感じてっ……んあっ!』
『おらっ、もっと激しくすんぞ、紗織!』
パンッ、パンッ、と二人の肌がぶつかり合う音が響く。
再び接合部がアップになると、星乃さんの股間が男の棒をしっかりと咥えこんでいる様子がはっきりと映された。
『米田君っ、見てっ、見てっ! 私、貴方じゃない人のおちんぽ入れられてあえいでるのっ! こんな、最低な男に乱暴にされてよろこんじゃうマゾヒストなのっ!』
星乃さんが口の端から涎を溢しながら叫ぶ。
『紗織、そろそろイクぞっ……膣内に出すからなっ!』
『出してっ! 米田君以外の人の精子っ! なかにだしてぇっ!』
男が股間をぐっと星乃さんに押し付ける。
その瞬間、二人の体がビクッと震えた。
『おっ、イクッ、おッ、おおッ!!!』
『あっあっ、んあッ、イクゥッ!!!』
大きく体を震わせると、やがて力が抜けたように星乃さんはぐったりとした。
男が棒を引き抜くと、星乃さんの股間からはドロリと白い液体が流れ出る。
『はぁっ、ふぅっ……んっ……米田君、見てるかしら? 私、中出しされてしまったわ……んっ……』
流し目でこちらを見てくる星乃さん。
その表情は、今日見た中で一番淫らに思えた。
その後も映像は続く。
『あっ、あっ! すごいわっ、後ろから、んっ、突かれるとっ、あんっ、深いところに当たってっ、んあっ! きもち、いいっ!』
後背位の映像。
『ほら、見えるかしら? こうして私が上に乗って腰を動かすと……んっ……おっぱいが上下に揺れてエッチでしょう?』
騎乗位の映像。
『じゅぽっ、ジュルッ、んむっ、あむっ、ちゅっ、ジュルッ……』
『おお、いいぞ紗織、お前の口ん中、最高だ……』
フェラチオの映像。
『あーん、みえるはひら? わらひのふひのなは。……んっく。……ふぅ。これが精子……ザーメンの味なのね。苦くて不味いけれど、少しクセになりそうだわ』
精飲の映像。
『おらっ、まだ出すぞ、受け取れっ……!』
『あっ、あんっ! 出してっ、もっと! んあっ、ああッ!!!』
男の背中に両手足を絡めて抱きつく正常位の映像。
星乃さんは、映像の中で何度も男とまぐわった。
その映像は全部で数時間にも及んだ。
『ふぅ……そういや確認してなかったが、今日は大丈夫な日か?』
『んっ……安全日ではないわ。こんなに膣内に出されたら、もしかしたらできてしまうかもしれないわね……んっ……』
『ははっ、そうかよ。それじゃあダメ押しの一発出しとくか』
男が最後とばかりに星乃さんに股間を押し付ける。
疲れ切った様子の星乃さんはただされるがままだ。
『ああ、また中に、出てる……んっ……』
星乃さんはもう全身ぐちゃぐちゃだ。
全裸の状態に体中体液まみれ。
汗と愛液と男の精液でドロドロになっている。
自慢の長い黒髪も乱れに乱れ、白い液体で汚れている。
『あっ、まだビクビクしてる……ほら見て。ヤりすぎておまんこがガバガバになってしまったわ。奥から精液が溢れて止まらないもの』
棒を引き抜かれた星乃さんの性器はビクビクと震えたまま閉じなくなっており、どろりと白い液体が滴り続けている。
『ねえ米田君。もし私が妊娠してしまったら、子供を育ててくれるかしら? 貴方は優しいからきっと一緒に育ててくれるわよね』
最後に星乃さんが微笑みながらそう告げると、映像は終わった。
「………………あ…………」
喉から音が漏れる。
それが自分の声だと気づくのに少し時間がかかった。
自分が自分じゃなくなったかのような浮遊感と酩酊感。
僕はそのときになってようやく自分がズボンの中に手を突っ込んでいることに気づいた。
パンツの中は生ぬるい液体でドロドロになっている。
僕は、射精していた。
他人に体を乗っ取られ、淫らに振る舞い続ける星乃さんを見て、射精したのだ。
「……あ、ああ……………」
体が震える。
心がぐちゃぐちゃになった僕は、なにも考えることができないまま、ただそうして呆然としているばかりだった。
────────
あれから随分と時間が経った。
星乃さんはあの日から学校に来なくなった。
後になって先生から、彼女は自主退学したのだと知らされた。
今は連絡先も変えてしまったようで、もう彼女の行方を知る方法もない。
それから僕は、二度と彼女に会うことはなかった。
夜、自室にやってきた僕は椅子に座ってスマホを取り出した。
あの日彼女を失い、僕は抜け殻のようになってしまった。
なにもかもが嫌になり、全てを投げ出して無気力な毎日を過ごしている。
そんな僕にもただ一つだけ残っているものがある。
この動画だ。
『米田君、見てるかしら?』
映像の中の星乃さんが僕に向かって告げる。
最低な男に乗っ取られてしまっている、僕の大切な人。
それを見て、僕は股間の棒を激しく勃起させた。
「はあっ、はあっ……星乃さん……」
股間の棒を握りしめながら僕は食い入るように画面を凝視する。
『どう? 米田君、見てくれてるかしら? 貴方の彼女、乗っ取られて身体を好き放題されてるわよ』
僕の大切な星乃さんが、乗っ取られて胸を揉んでいる。
『見て、米田君。このスカートの下。私の性器よ。おまんこって言った方がわかりやすいかしら? 昨日ここにあるクリトリスをこうして弄ったら……んっ……』
あの真面目で清楚だった星乃さんが、乗っ取られてクリトリスを弄っている。
「あ、ああっ、星乃さん……」
僕は気づくと目に涙を浮かべていた。
ボロボロと涙をこぼしながら、僕は股間の棒を扱く。
どうやら僕は、大切な彼女が好き放題弄ばれているところを見て興奮する変態だったらしい。
元々こういう素養があったのか、あの一件で性癖が歪んでしまったのか、それはわからない。
でも、あれから僕は毎日欠かさずこの動画を見て抜いていた。
『ちゅるっ、あむっ、れろっ……』
男とディープキスをする星乃さん。
いつか僕とするはずだったファーストキスは、ただこの動画の中で見るだけのものになってしまっていた。
今となっては、僕に彼女の唇の柔らかさを知る術はない。
『米田君、私がこの最低な男に処女を散らされるところ、しっかり見ててね』
映像の中の星乃さんがこちらに向かって告げる。
この瞬間までは僕のために星乃さんが守ってくれていた処女が、次の瞬間、この日会ったばかりの軽薄そうな男に奪われる。
彼女が、どんどん穢されていく。
「星乃さん……星乃さんっ……ううっ……」
それを見ていると、僕の手の動きはどんどん速くなっていく。
激しい情動が僕の中で爆発しそうなほどに大きく広がる。
『出してっ! 米田君以外の人の精子っ! なかにだしてぇっ!』
星乃さんが映像の中で男に射精をせがんだ瞬間、僕は果てた。
「うっ……あっ、はぁっ……」
ビュッと股間からは飛び出た精液がティッシュに飛び散る。
そこからはみ出た液体が、少しだけスマホの画面にかかった。
画面に映る星乃さんに僕の精液がかかったように見える。
でも、僕の精子は彼女には届かない。
あの日、映像を見終わってから、一度だけ彼女からの連絡があった。
一枚の写真が送られてきたのだ。
それは妊娠検査薬の写真だった。
結果は陽性だった。
星乃さんは、あの男の子供を妊娠したらしい。
「……ふぅ……」
全身から力が抜けて、脱力する。
もうなにもかもどうでもいい。
乗っ取られ性壁に目覚めた僕は、きっとこれからもこの動画でオナニーを続けるだけだろう。
すると、いきなり部屋のドアがノックされた。
慌ててティッシュを捨ててドアを開けると、母親が立っていた。
「……母さん、なに? 僕、忙しいんだけど」
「ねえ、夏美からなにか聞いてない? あの子まだ帰ってこないのよ」
「夏美?」
夏美というのは僕の妹だ。
この時間は普段ならもう家にいるはずだけど。
「もう、どこほっつき歩いてるのよ。夕ご飯要らないのかしら……」
母親はそう言うと自分の部屋へと戻っていく。
夏美のやつ、どうしたのだろう。
一応確認してみようとメッセージアプリを起動すると、その瞬間夏美からメッセージが届いた。
夏美:お兄ちゃんにこれを見てほしいの
メッセージの後には動画が貼られていた。
不意に感じる既視感。
そんな、まさか。
心臓の動悸が激しくなるのを感じながら、僕は動画を再生した。
『いえーい、お兄ちゃん見てるー? 実はわたしね、本当はわたしじゃないんです! お兄ちゃんならなに言ってるかわかるよね? わたしが、私……星乃紗織だったときも見せてあげたもの。ね? 米田君』
夏美が、妖しく微笑む。
何度も見たあの動画のベッドに腰をかけて。
『わたし、今度はこの身体を乗っ取っちゃいましたー! ということで、今からこの身体を好き放題しちゃうから、見ててね? お兄ちゃん』
こちらに言葉をかける夏美の姿を見て、さっき射精したばかりの僕の股間は痛いぐらいにいきり立って勃起していた。