【小説】教室の身体選別会
Added 2023-02-25 14:58:34 +0000 UTC「先生、なかなか来ないね」
「どうしたんだろ?」
朝のホームルームの時間を過ぎても担任の津山先生が来ないことにわたしたちは首を傾げていた。
津山先生は若い女性の先生で、いつもなら時間の数分前には来て軽い雑談をしてるぐらいなのだけれど、今日はチャイムから五分以上経っているのに現れる気配がない。
「今日休みだったりするのかな?」
「それだったら他の先生が来るんじゃない? というか、もう一限始まっちゃうじゃん。……あ! やばっ、課題やってなかった……里奈、ちょっとノート見せて!」
「もう……また? ちゃんと自分でやりなよー」
隣の席の麻美ちゃんとそんな他愛無い話をしていると、教室の扉が開く音が聞こえた。
やっと先生が来たと思い扉の方に顔を向けて、私たちは絶句した。
「はーい、みんな静かにしてくださいね」
津山先生の言葉が響く。
しかし、その言葉が聞こえるより前から教室は静まり返っていた。
教室の中に入ってきた津山先生が、衣服を全く身にまとっていない生まれたままの姿だったからだ。
あまりにも唐突に訪れた理解不能な状況に私たちは混乱していた。
「今日は授業は中止です。その代わり、大事な話があります」
先生は全裸のまま当たり前のように言葉を続ける。
明らかな異常事態。
にも関わらず先生の仕草はいつもと変わらない。
それがまた余計にわたしたちを混乱させた。
「や、やばくない……?」
「先生どうしちゃったの……?」
「全裸って、すげ……」
「やっぱ津山って胸でけえよな……」
教室内が次第にざわめき始める。
先生の痴態に引いている女の子や、鼻の下を伸ばしている男子たちの声でどんどん教室が騒がしくなっていく。
「ちょっと、静かにしなさい!」
先生はあくまで普通に宥めるように注意をしてくる。
けれどどう考えても普通でないその格好のせいで誰も話を聞いていない。
すると、教室にいきなり見知らぬ人物が入ってきた。
三十代ぐらいの小太りの男性だ。
顔の周りには無精髭が生えており、お世辞にも清潔感があるとは言えない。
男性は入ってくるなり、津山先生の腰に手を回しながら口を開いた。
「お前ら黙れ」
その瞬間、教室は静寂に包まれた。
男子も女子も、さっきまでのざわめきが嘘のように一瞬にしてシーンと静まり返ってしまった。
もちろん、わたしも口を閉じた。
だって、あの人の言うことは絶対だから。
「よーし、ガキどもにもちゃんと効いてるな。流石は俺の催眠だ」
男性はニヤリと笑いながらわたしたちを一瞥する。
その視線からは、まるで獲物を眺める獣のような下心を感じた。
ただ、黙れと言われた以上わたしたちは黙るだけだ。
わたし以外のクラスのみんなも真顔で直立姿勢のまま立ち尽くしている。
「ちょ、ちょっと……!? みんな、どうしちゃったの……!? ねえ、里奈……!?」
すると、何故か隣にいた麻美ちゃんが声を上げて戸惑い始めた。
麻美ちゃんはわたしの肩を揺らすけれど、男性から動いていいという許可をもらってないのでもちろんわたしは反応しない。
「ん? なんだ? 催眠が効いてねえのか? おいお前、止まれ」
「っ!? な、なにこれ……体が、すごく重く……」
男性の言葉を聞いた途端、麻美ちゃんの動きが著しく鈍くなった。
なんとか喋れてはいるけれど、その場からは一歩も動けない様子だ。
「どうやら全く効かねえわけじゃねえみたいだな。しっかし、効き目が悪い奴もいるんだな。勉強になったぜ」
「あ、あんたなんなの……!? いったい何が起こって……っ……!」
男性が麻美ちゃんの目の前までやってきて、その頬を撫でる。
麻美ちゃんは嫌悪感をあらわにしながら男性に視線を返したけれど、男性の方は全く意に介していない。
「せっかくだ、教えてやる。俺はな、ある日突然目覚めたんだ。超能力に」
「超、能力……?」
「ああ。今使ってるこれも超能力の一つ、『催眠』だ。この俺の催眠下ではあらゆる人間が俺の言うことに何の疑問も抱かなくなる。まあ、お前のような例外もいるようだが、基本的にはどんな命令でもし放題だ」
そう言うと男性は後ろにいる津山先生の方に顔を向けた。
「おいお前。オナニーしながら自己紹介しろ」
「わかりました」
津山先生はその場で足を大きく開き、左手で乳首を触りながら右手で股間を弄り始めた。
「津山幸子、27歳です。このクラス、2年C組の担任をしています。担当科目は英語です」
クチュクチュ、と水音を股間から鳴らしながら津山先生は自然な口ぶりで自己紹介を続ける。
「教師を始めて5年目ですが、まだまだ慣れない部分も多いです。ですが、小さい頃から学校の先生を目指していたので、今こうして教壇に立てることを……」
「ああ、そういうのはいい。お前、彼氏とかはいるのか?」
「はい。付き合い始めて2年目になりますね」
「それじゃあそいつとのセックスを説明しろ」
「わかりました。基本的に彼の家ですることが多いです。二人がシャワーを浴び終わったら彼のベッドの上に座りキスをして、それから徐々に体を触り合います。彼はフェラチオが好きなようなので口でちんちんを咥えてあげることが多いですね」
津山先生は普段の表情で、普段のトーンで、股間に指を挿し入れしながら自分の性事情を赤裸々に語っていく。
「挿れるときは後背位を取ることが多いです。私が彼にお尻を向けると後ろからズンズン、と激しく突いてきます。私としても奥まで突かれるこの体位が好みです」
「……とまあ、こんな感じだ。普通ならまずしないようなことも当たり前のようにしてくれる。催眠にかかった人間は俺のオモチャみてえなモンだ」
「ひ、酷い……」
津山先生の痴態を見て麻美ちゃんが呟く。
その声は怒りかそれとも恐怖によるものか、微かに震えていた。
「つっても別に俺はこんなことをするためにここに来たんじゃねえ。俺の目的は別にある」
「目的って……?」
「催眠はあくまで俺の超能力の一つに過ぎねえ。今日はここに別の力を試しに来たのさ。……説明するより見せた方が早えな」
そう言うと男性は麻美ちゃんに背を向け津山先生の方を向いた。
「おい、オナニーやめてこっち向け」
「はい」
津山先生は男性に言われた通り手を止めると、姿勢を正して真っ直ぐ男性の方を向いた。
男性と津山先生は見つめ合う形で立っている。
「入れ替われ」
男性がそう言った瞬間、向かい合う男性と津山先生の口から何かが飛び出した。
津山先生の口からは青白い光が、男性の口からは赤黒い光が飛び出し、交差するように真っ直ぐ突き進みお互いの口の中へと入っていった。
光が体の中に収まると二人の体がビクッと大きく震える。
「……んっ、ああ……ふぅ……」
すると、津山先生はゆらりと姿勢を崩しながら頭を掻いた。
その顔は、先ほどまでの真面目な顔つきとは違い、引き攣ったような笑みに歪んでいた。
「……あー、あー……おお、女の声だ……すげえ違和感あるな……んっ……股間が、むず痒いな……さっきまでオナニーしてたからか? 濡れるってこんな感じなのか……」
「せ、先生……?」
麻美ちゃんが不安げな様子で津山先生に声をかける。
それに対し、津山先生は喉を鳴らして笑い始める。
「クックッ……俺が先生に見えるって? まあ姿形はお前らのよく知る先生だろうさ。中身は別物になっちまったがな」
「え、そんな……まさか……」
「俺とこの先生はな、入れ替わったのさ。これが俺のもう一つの超能力、『入れ替わり』さ」
津山先生は腰に手を当て、意地の悪そうな笑みを顔に浮かべながら告げた。
その様子は先ほどまでのいつもの津山先生と比べると、まるで別人かのように思える雰囲気だった。
「こうして身体を交換しちまえば催眠で操るどころじゃねえ、本当に俺の好きなように動かせちまうってわけだ。こんな風にな。面白えだろ?」
津山先生は腰を曲げながら胸を突き出し、自分の指を舐めて物欲しげな流し目で麻美ちゃんを見つめる。
セクシーポーズのつもりだろう。
もちろん、津山先生は普段ならこんなこと絶対にしない。
「や、やめてよ、そんな……」
「お前にどう言われようと関係ねえな。この身体は今は俺の身体なんだからな。なあ、お前もそう思うだろう?」
「はい、そうですね。さっきまではその身体は私の身体でしたけど、今は入れ替わってるのであなたのものですよ」
津山先生に問いかけられた男性が津山先生のような口調で返事をする。
男性からは変わらず清潔感を感じないけれど、真面目な顔でピシッとした姿勢で立っているその姿からは多少は嫌悪感が薄れている。
「そもそもな、俺の目的は新しい身体を手に入れることなのさ。せっかく好きな身体になれる能力を手に入れたんだ。こんな不細工なおっさんの身体よりもっといい身体なんていくらでもあるだろ? とくにここみてえな未来ある若者が集う場所なら尚更だ」
津山先生は教室にいるわたしたちのことを一瞥する。
舌舐めずりしながら品定めするような視線を向けてくるその様子は、いつもの先生にはない獣のような浅ましさを感じる。
「この先生の身体も悪くねえが、どうせならより若い方がいい。お前ら学生みてえにな。つーわけで、今から俺の新しい身体の選別会を始めさせてもらうぜ。いいな、お前ら?」
「はい」
津山先生の言葉にわたしたちは声を揃えて返事をした。
麻美ちゃんだけは苦々しげな表情で津山先生を見つめている。
「よし、じゃあまず女は黒板の前、男は反対側の後ろにそれぞれ一列で並べ」
わたしたちは津山先生の指示に従い、移動を始めた。
こうして教室の中で男女に分かれて一列に並んでいると、小学生の頃のレクリエーションの時間を思い出す。
わたしたちは無駄のない動きでそれぞれずらっと並んだ。
ちなみに先ほどの男性は男子の列に並んでいる。
「おい、お前もあっちに並べ」
「くっ……」
抵抗していた麻美ちゃんも津山先生にそう言われるとわたしたちの列に加わった。
どうやら直接名指しで言われると逆らえないらしい。
「そうだな……とりあえず女子は全員その場で全裸になれ」
津山先生に言われ、わたしたちはその場で制服を脱ぐ。
全裸ということなので、下着や靴下まで全て脱ぎ捨てた。
素足で触れる教室の床は少し冷たさを感じる。
「ほう、こりゃあ壮観だな……」
津山先生は鼻の下を伸ばしながらわたしたちを眺める。
全裸の女性教師が全裸の女子生徒たちを楽しそうに眺める、不思議な光景ができあがっていた。
「やっぱりなるなら女の身体だな。顔のいい女になっちまえばいくらでもいい思いできそうだ。ちっ、俺も最初から顔のいい女に生まれてればもっと楽な人生だったろうによ」
別に女の子だって人生楽なわけじゃないんじゃないだろうかと一瞬頭の中で思ったけれど、津山先生の言うことは絶対なのでわたしは考えるのをやめた。
「まずは端から見ていくか。おいお前。自己紹介しろ。あ、自己紹介っつっても名前とスリーサイズ、経験人数と今までしたセックスの回数、あとオナニー頻度だけ教えてくれりゃあいい」
「はーい。あたしは井原紗枝。スリーサイズは83-58-82。経験人数は一人。今の彼氏だね。セックスは三回したよ。オナニーは最近だと月に一、二回ぐらいかな?」
列の一番端にいた井原さんが津山先生に答える。
井原さんはショートカットの髪につけたヘアピンが特徴的な、うちのクラスでも目立つ方の女の子だ。
井原さんとは普段あまり話さないからよく知らないけど、結構チャラい子というイメージがある。
でも、話を聞いた感じだとあまりエッチなことには関心がない初心な子なのかもしれない。
「ほう、なるほど。いきなりなかなかのプロポーションの持ち主だな。しかも経験も少ないと。……これ、入れ替わる前にまずヤりたくなってきたな。……よし。おい、そこのお前、ちょっと来い」
「あ、はい」
津山先生は後ろに並んでいた男子の一人に声をかけた。
サッカー部の服部昌也君だ。
背が高くてカッコいいので学校内の女子から人気が高いと聞いたことがある。
津山先生は服部君と向かい合うと口を開いた。
「入れ替われ」
すると、津山先生の口から赤黒い光が、服部君の口からは深緑の光が飛び出し、それぞれ相手の口の中へと入っていった。
二人の体がビクッと震えた後、服部君がゆらりと姿勢を崩す。
「……よし、入れ替わり成功。おお、今度は男の声だ。なんか女の声に慣れちまってたからこれまた変な気分だな」
服部君はそう言うとニヤニヤ笑いながら制服を脱ぎ始めた。
学ランを脱ぎ捨て、ズボンを脱ぎパンツを下ろすと、隆々と反り勃った股間の大きなモノが目に入る。
「おいおい、なんだよ既に勃起してんじゃねえか。お前そんな興奮してたのか?」
服部君に尋ねられると、津山先生は照れくさそうに答える。
「はい、女子が全員全裸になるところ見てたらムラムラしちゃって」
「まあ、そりゃそうだろうよ。まあいい。お前は女側の列に並んどけ」
「はい」
津山先生がわたしたちの方の列に加わるのを確認すると、服部君は井原さんの方に向き直った。
「おい、さっさと挿れてえから股濡らせ」
「ん、わかった」
井原さんはそう言うと、みるみる内に顔が赤くなり、呼吸が乱れ始めた。
そして、股間からもツーっと水滴が垂れ始める。
「よし、じゃあ黒板に手え付いてこっちにケツ向けろ」
「はーい」
井原さんが黒板に手を付いて服部君にお尻を向けた直後、服部君はすぐに股間のモノで井原さんの股を貫いた。
「うお、すげえ締まる……全然使われてねえキツキツマンコじゃねえか……! ……いや、それより……なんだこいつのチンコは……!? めっちゃ敏感で、すぐ出そうだ……! やべっ、出る……うッ!!?」
服部君は数回ピストンをすると、ピクッと身体を震わせた。
そして、井原さんの股間からモノを抜くと腰が抜けたようにその場に座り込んだ。
井原さんの股の間からは白い液体が垂れている。
どうやら射精してしまったようだ。
「ふぅ……おいおい、早漏すぎるだろ……こいつもしかして童貞か? ……まあいい。とりあえずはヤれたしな。おい、お前こっち向け」
服部君は呼吸を整えながら立ち上がると、井原さんと向かい合った。
「さて、それじゃあピチピチの女子生徒の身体、楽しませてもらうとするか。……入れ替われ」
その瞬間、服部君と井原さんの口から光が飛び出す。
服部君の口からは赤黒い光、井原さんの口からは淡いピンクの光。
それぞれ飛び出した光は相手の口の中に吸い込まれ、そして二人の身体がビクッと震える。
一瞬間を置いて、井原さんがゆらりと姿勢を崩した。
「……んっ、と……入れ替われたな。おお、女の声。しっかし、他人として聞くのと自分として聞くのじゃあ声の聞こえ方も大分違うな。面白えもんだ」
井原さんはそう言いながらボリボリと頭を掻く。
その仕草は品のない男性といった感じで、チャラいけれど女の子らしい仕草の多い井原さんとは思えないものだった。
「……ん? なんか、すげえムラムラする……身体が、熱いな……ああ、そうか。さっきのセックスが不完全燃焼だったから疼いてんのか。そりゃあんな早くイかれたら満足できねえわな」
井原さんは股間を指で触ろうとして、直前でその手を止めた。
「せっかくだ。ここで俺も女のセックスを体験しとくか。相手のチンコならいくらでもあるしな。あ、お前は列に戻れ。お前みてえな早漏とやっても楽しめねえだろうからな」
「はーい」
井原さんに言われて服部君が男子の列に戻る。
それを確認すると、井原さんは男子たちに向かって問いかけた。
「おい、この中で一番セックスの経験があって早漏じゃない奴は誰だ?」
「あ、多分オレっす」
すると、男子の列の中にいた岩山君が手を挙げた。
岩山君はバレー部の男子で、プレイボーイだと陰で噂されているのを聞いたことがある。
制服を着崩したチャラい格好で、井原さんとも同じグループでよく連んでいるけれど、もちろん彼は井原さんの彼氏ではない。
「今までの彼女は三人で、結構な回数ヤってるんでセックスには自信あるっすね」
「へっ、ガキがイキリやがって……まあいい。お前にするか。おい、服脱いで床に仰向けに寝ろ」
岩山君は言われた通りに裸になるとその場に寝転んだ。
興奮しているのか、既に股間のモノは反り勃っている。
井原さんはその上に跨ると、指で自分の股を開きながらしゃがみ込んだ。
「よし、それじゃあいくぞ……うお、おおっ! す、すげえ……んっ……チンコが、マンコの中に沈み込んで……すげえ異物感だが、擦れるのが、気持ちいいな……」
井原さんは喘ぎ声を上げながら腰を上下に動かす。
教室の真ん中で裸になって交わる二人の姿を見ていると、なんだか見てはいけないものを見ているかのような気分になってくる。
「んっ、ああ、ここだな。この奥に当たると……んあっ、すげえいい……。おい、お前も動け」
「うっす」
下になっている岩山君が突き上げるような動き始め、二人の行為は激しさを増した。
静かな教室に、パンッパンッと肌のぶつかり合う音が響き渡る。
「ああ、そこ、いい……んっ、やべっ、なんか来る……これ、イキそうなのかっ……? あっ、んんっ、ダメだっ、ガマンできねえっ、んっあッ、あああぁッ!!!」
井原さんは叫び声を上げると共に身体を震わせて大きくのけ反った。
ビクンッビクンッ、と何度も身体を震わせながら井原さんは岩山君の胸の上に倒れ込む。
「んっ、あっ……これが、女の感覚か……すげえわ、んっ……まだ、イッたのが収まんねえ……最高じゃねえか……」
楽しそうに感想漏らす井原さんに対して、列に並ぶ麻美ちゃんがポツリと呟いた。
「最悪……」
────────
「この身体はなかなかよかったが、すぐに決めちまうものも勿体ねえ。他の身体も堪能させてもらうぜ」
井原さんはその辺に落ちていた女子の制服で股間の精液を拭いながらそう言うと、また列の端に近づいていく。
「よし、じゃあ次はお前。自己紹介しろ。さっきのこいつと同じようにな」
「はい。私は東城文乃と言います。スリーサイズは75-56-80です。経験人数は0人。今まで誰とも付き合ったことがありませんし、セックスはもちろんしたことがないです。オナニーも今までの人生で二回ほどしかしていません」
長い黒髪が似合う清楚な女の子の東城さんが自己紹介をする。
東城さんは真面目な優等生でうちのクラスの学級委員長だ。
井原さんとは違う形でうちのクラスでは目立っている。
「なるほど、清楚系の処女か。こういう女も悪くねえな。よし、さっそくその身体貰うとするか。入れ替われ」
その瞬間、井原さんの口から飛び出した赤黒い光と東城さんの口から飛び出した透き通るような綺麗な青い光が交差して、お互いの口の中へと入っていく。
ビクッと震えた後、姿勢を崩した東城さんが髪をかき上げた。
「……髪が長えってのは変な感覚だな。正直ちょっと鬱陶しいぜ。んっ、あー、あー……さっきよりも声が高えな。違和感が強いが、これはこれで悪くねえ」
東城さんが喉に手を当てながら反対の手で自分の胸を揉んでいる。
もし彼女を知る人間がこんな姿を見たら自分の目を疑ってしまうことだろう。
「しっかし、この俺が清楚な女子とはな。クックッ……俺から一番かけ離れた人間じゃねえか。だが、それでも今は俺の身体だ。悪いが好きに開発させてもらうぜ」
東城さんはニヤリと笑うと男子たちの列の方へ歩き出した。
「おい、さっきのお前。またそこに寝転がれ」
「うーっす」
先ほど井原さんと行為をしていた岩山君が、再び教室の真ん中に仰向けで寝転がる。
東城さんは長い髪を揺らしながらその上に跨ると、さっきの井原さんのように指で自分の股を開いた。
「さて、こいつはどれぐらい気持ちいいんだろうな。楽しみだぜ……」
反り勃った岩山君のモノを、東城さんは自分の股間で飲み込んでいく。
けれど、全てを飲み込む前に東城さんの動きが止まった。
「っ、くっ……い、痛え……なんだこれ……股が、引き裂かれたみたいに……な、なんだよ、処女ってこんな痛えのか……!?」
東城さんの顔が苦痛に歪む。
経験のない身体でろくに準備もせずに挿れてしまったのだから当然だと思う。
東城さんの股間から垂れる赤い水滴がその痛々しさを物語っている。
「やべえ……痛すぎて動けねえ……。くそっ、抜くのも無理だ、これ以上動いたらマジでやばい……かくなる上は……」
東城さんは岩山君の顔を見つめながら口を開いた。
「い、入れ替われ……!」
すると、東城さんの口からは赤黒い光が、岩山君の口からは赤茶色の光が飛び出し、それぞれお互いの口の中へと入っていった。
二人は繋がった姿勢のままビクッと身体を震わせる。
少し間を置いてから、岩山君が大きく溜め息をついた。
「ふう……やばかったぜ。処女の身体でヤるのも考えものだな。……しっかし、すげえキツマンだなこれ。めちゃくちゃ締めつけてきやがる」
岩山君は薄ら笑いを浮かべながら上に跨る東城さんを見つめた。
「処女は自分がなるより食った方が楽しいかもな。おい、お前はどんな気分だ?」
岩山君に問いかけられた東城さんは、少し苦しそうな顔をしながら口を開いた。
「う、うーん、そっすね……思ってた数倍は痛いっす。今までの彼女全員処女だったんすけど、ちょっと申し訳なくなってきたかも。これから処女とヤるときは優しくすることにしますわ」
「そうかよ。ま、女になっちまえばもう処女にチンコ突っ込むこともねえだろうが、な!」
岩山君は両手で東城さんの腰を掴むと突き上げるように腰を動かした。
何度も、何度も。
肌と肌がぶつかり合う度に、東城さんの顔が苦しそうなものになり、いつの間にかその目には涙が溢れている。
「へっ、イキリヤリチン野郎がいいザマだな。オラ、中に出すぞ! 受け取れ……うッ!!」
岩山君はひときわ強く腰を打ちつけた。
ピクッと身体を震わせた後、力が抜けたように動きが止まる。
やがてゆっくりと股間を引き抜くと、東城さんの股間からは赤と白の混じった水滴が流れ出ていた。
「ふう、出した出した。気持ちよかったぜ、お前のマンコ」
「……っ、んっ……うっす……」
東城さんはまだ痛いのか、股間を手で押さえながらその場に蹲っている。
立ち上がった岩山君は、今度は井原さんの前まで歩いてきた。
「おい、お前のだったあの身体のせいでひでえ目にあったぞ。どうしてくれんだ」
「……すみませんでした」
井原さんは真面目な顔で岩山君に深々と頭を下げている。
東城さんの身体のことで井原さんが謝るのもなんだか変な話だ。
「罰としてお前は俺がいいって言うまでオナニーしてろ。いつ誰に身体を奪われてもいいようにちゃんと感度上げとけ」
「はい、わかりました」
井原さんは岩山君に言われた通り真面目な顔で自分の股間を弄り始める。
先ほど行為を終えたばかりで身体が敏感になっているせいか、ピクッ、ピクッと小刻みに身体が震えている。
「ん? 待てよ。どうせこれから全員見てくんだ。入れ替わったときすぐにセックスできるようにいまから準備させとくか。おい、女は全員俺がいいって言うまでオナニーしてろ」
「はい」
岩山君の命令を受けてわたしたちはオナニーを始める。
どういうオナニーをしろとは言われていないので、わたしは普段しているように左手で乳首を摘みながらクリトリスを弄ることにした。
「んっ……」
だんだん呼吸が乱れ、吐息が漏れてしまう。
それはわたしだけでなく、列のあちこちから喘ぎ声が漏れ聞こえていた。
「ああ、それと男ども。お前らも全員服脱いどけ。いちいち脱がすのも面倒だ」
「はい」
岩山君に言われて男子たちも全員服を脱いで全裸になった。
今この教室では全裸でオナニーをする女子たちと全裸になった男子たちがそれぞれ向かい合うようにしてずらりと並んでいる。
見られて少し恥ずかしいという気持ちもあるけれど、岩山君の言うことは絶対なので特に気にせずオナニーを続ける。
わたしたちのことを見ている男子たちは、元が女の子だった服部君たちも含めて全員が勃起していた。
────────
「んー、こいつはCランクだな。感度も悪いし、そもそも顔が好みじゃねえ」
おしゃべり好きの眼鏡の女の子、坪井さんが自分の身体を見下ろしながら呟く。
あの男性がこの教室に来てから数時間が経った。
気づけばもうクラスの半数以上が他の人と入れ替わっている。
「今んとこAランクは三人だが、もうちょっと欲しいところだな」
いつの間にかランク付けも始まっており、顔・スタイル・感度の三つの要素を満たしている女子がAランクとされて新しい身体候補になれるようだ。
「よし、次行くか。お前、自己紹介しろ」
坪井さんがわたしの目の前にやってきた。
わたしはオナニーの手を止め、姿勢を正して口を開いた。
「わたしは新見里奈です。スリーサイズは72-52-78です。経験人数は0です。セックスの経験はないですが、オナニーは大好きなので毎日しています」
わたしは今まで誰にも話したことがない秘密をみんなに聞こえるぐらいの大きな声で暴露した。
誰かに話すことは一生ないだろうと思っていたけれど、坪井さんに聞かれたなら言うしかない。
「ほう、処女のオナニー好きか。面白えな。スタイルは一見未発達なガキっぽいが、全体で見るとバランスは整ってる。悪くねえ」
坪井さんが興味深いといった様子でわたしのことを観察してくる。
どうやら彼女に好印象を与えたようだ。
「ま、処女だっつうんなら先に一回ヤっとかねえとな。おい、お前ちょっと来い」
「……はい」
坪井さんは後ろを向くと男子の列に並ぶ一人に声をかけた。
うちのクラスでは比較的身長の低い小柄で中性的な男子、三谷君だ。
真面目で大人しいけれど、頭がいい上に優しい性格をしているので密かに女子人気が高い。
部活は将棋部に入っているというのを前に本人から聞いたことがある。
「入れ替われ」
すると、坪井さんの口からは赤黒い光が、三谷君の口からは輝く青緑色の光がそれぞれ飛び出し、相手の口の中へと収まっていった。
二人の身体が一瞬ビクッと震えると、やがて三谷君は慣れた様子で軽く伸びをしながらこちらに近づいてくる。
「よし、それじゃ股開いてそこの机の上に座れ」
三谷君らしからぬ乱暴な言葉遣いで命令され、わたしは言われた通り開脚しながら机の上に座る。
わたしの股間は先ほどまでずっと続けていたオナニーの影響で既にグショグショに濡れそぼっていた。
「挿れるぞ……」
かわいい顔をした裸の三谷君が目の前に迫り、なんだか少しドキドキしてしまう。
わたしのそんな気持ちを気にする素振りもなく、三谷君は股間のモノをわたしの中に深々と突き挿した。
「んっ……」
「うお、な、なんだこりゃ……!? す、すげえ……マンコの中が、チンコに絡みつくようにうねって……なんて名器だ……!」
三谷君は夢中になって腰を動かし始めた。
わたしの方はというと、挿れた瞬間こそ痛みがあったものの、すぐに気持ちよさにかき消された。
今までずっと続けてきたオナニーのおかげだろうか。
「すげえ、これ、すぐにイキそうだ……ん? なんだ、お前も気持ちよさそうじゃねえか。痛くねえのか?」
「はい、んっ……あんまり、痛くないみたいです……あっ……」
「へえ、そりゃよかったじゃねえか。くっ……やべ、もう出る……うッ……!!」
その瞬間、わたしの中に入った三谷君のモノがビクンッと大きく脈打った。
三谷君はわたしに腰を打ちつけたまま静かに震えており、中に入ったモノがドクドクと脈打つ感覚が直に伝わってくる。
きっと膣内に射精したのだろう。
わたしは初めての中出しの感覚をじっくりと味わっていた。
「ふぅ、すげえよかった……。んっ……まだイけそうだな、この身体。おい、お前まだイッてないよな?」
「んっ……はい。気持ちいいですけど、まだ……」
「そうか、それなら……」
三谷君はわたしと繋がったままわたしの顔をまっすぐに見つめてきた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「入れ替われ」
────────
ビクッと身体震えるのを感じた。
一瞬目の前が歪んだように見えたけれど、すぐに視界がはっきりしてくる。
わたしの目の前には、わたしがいた。
髪型はボブカットで、少し小柄で、子供っぽい体型の女の子。
いつも鏡の中でしか見ることのない人が、そこにいた。
「……んんっ……おお、なんだこれっ……めちゃくちゃ感度いいじゃねえか……! つーか、痛みもほとんどねえし、本当に処女だったのか?」
目の前のわたし……いや、もうわたしじゃないんだから彼女、里奈ちゃんは悦びに溢れたように口元を笑みで歪ませた。
頬を紅潮させて、引き攣ったように歯茎を見せるその笑い方は、少なくともわたしは今まで鏡で見たことはない。
「おい、セックス再開だ。お前も腰動かせ」
「は、はい」
里奈ちゃんに命令されてわたしはとりあえず腰を前後に動かしてみた。
男の子の腰の動かし方なんてわからないのでさっきまでの三谷君の動きを見様見真似でやってみる。
すると、わたしの股間に付いているモノがピクリと震えた。
今まで存在しなかった器官から伝わる刺激に、わたしは軽く戸惑っていた。
「んっ、いいぞ。そうだ、その調子……あっ……やべえな、この身体、めちゃくちゃいい……」
だんだんと慣れてきたわたしはリズミカルにパンパンッと腰を動かす。
引いて、突き出して、と動きを繰り返す度に股間の先端から蕩けるような快感が流れ込んできて、夢中になってしまう。
これが、男の子の快感。
里奈ちゃんの中の感覚。
すごい、こんなモノがわたしに付いてるなんて。
こんな気持ちいい名器が、わたしに付いてたなんて。
「やべえ、もうイクッ……あっ、ああっ……」
里奈ちゃんがわたしに抱きついてきた。
身体がビクッ、ビクッと震えているのが伝わってくる。
わたしの方も限界に近い。
股間の先端から、何かが出そう。
「んっ、あっあッ、んんんッ!!!」
「……うッ……」
里奈ちゃんの身体大きく震えてギュッとわたしを抱きしめた瞬間、わたしは股間から何かを吐き出してしまった。
熱い感覚と共にホースのようにモノを通って里奈ちゃんの膣内に液体が飛び出る。
ああ、これが射精……。
すごく、気持ちいい……。
「……はぁ、はぁ……おいおい、すげえなこの身体。今日一番の快感だったぞ。こりゃ文句なしのAランクだな」
ぬりゅん、と里奈ちゃんがわたしの股間のモノを引き抜く。
里奈ちゃんの股間からはわたしの出した精子が垂れていた。
「今のところこいつが次の俺の身体の最有力候補だな。あ、お前はもう列に戻れ」
「はい」
わたしは里奈ちゃんに言われて列に戻った。
もちろん、今のわたしは男の子なので男子の列にだ。
「いや、しかしマジで気持ちいいなこの身体。普段どんだけオナニーしてんだ? まだ全然疼きが収まらねえ……せっかくだ、もう少し味わうか。おい、お前来い」
里奈ちゃんはわたしの隣に立っていたラグビー部の高島君に声をかけた。
高島君は筋骨隆々の大男で、わたしよりもうんと背が高い。
里奈ちゃんと並んだ姿はとても同級生に見えないぐらいだ。
「お前力強そうだし、ちょっと俺を抱えてみろ」
「うす」
すると、高島君は里奈ちゃんを抱っこするように軽々と持ち上げてしまった。
流石はラグビー部だ。
「おお、いいぞ。それじゃ一旦そこの机の上に下ろせ。そんでもってチンコ挿れろ」
高島君は言われた通り里奈ちゃんを机の上に下ろすと、股間のモノを里奈ちゃんの股間にあてがった。
高島君のモノはクラスの中でも特に大きく、今のわたしのモノとは比べ物にならないぐらいのサイズ感だ。
そんな大きな高島君のモノが、ゆっくりと里奈ちゃんの中に入っていく。
「んっ、くっ……流石にデカすぎるか……? いや、でもこれ……中が満たされて……あっ、気持ちいい……」
里奈ちゃんは一瞬苦しげな顔をしたけれどすぐに快感に蕩け始めた。
「おい……そのまま俺を抱え上げながら腰動かせ……」
「うす」
高島君は股間を里奈ちゃんに挿したまま両手でしっかりと抱え込んだ。
そして、抱っこするように持ち上げながら、揺らすように腰を動かし始める。
いわゆる、駅弁の体勢だ。
「あっ、あッ! すげえっ、これっ、超いいっ! あっ、んッ!」
今までわたしが聞いたこともないような激しい嬌声を上げながら里奈ちゃんが悶えている。
不思議な気分だった。
今までわたしの身体だった里奈ちゃんが高島君と駅弁で交わっているのを第三者の目でわたしは眺めている。
わたしが里奈ちゃんだった頃、高島君とはそれほど話したことがない。
そんな里奈ちゃんと高島君が全裸で絡み合っていることもまたわたしを変な気分にさせた。
気づけば、もう今日だけで二回も射精しているというのにこの身体はまた強く勃起していた。
────────
あれからまた数時間が経った。
何度も何度も入れ替わりが行われ、遂にはクラスのほぼ全員が他人と身体を入れ替えていた。
最後の一人、麻美ちゃんを残して。
「ふぅ……さて、残すところお前だけだが……」
「……」
麻美ちゃんは黙ったまま目の前に立つ久世さんを睨みつけている。
久世さんはフルートの上手な吹奏楽部の女の子で、いつも上品な雰囲気を漂わせている。
でも、今は普段の様子からは想像もつかないほどに品のない荒々しさを感じる雰囲気をしていた。
「何か俺に言いたいことでもあるか?」
「ないよ、別に……んっ……今更あんたに何言っても無駄だってわかってるから……」
麻美ちゃんは諦めを感じる投げやりな言葉を吐き捨てた。
もちろん、未だに命令されたオナニーは続けているので、なんとも格好がつかない。
「それじゃあ、一応聞かせてもらうぜ。自己紹介しろ」
「あたしは倉敷麻美。スリーサイズは……82-58-85……。け、経験人数は、一人……中学のとき、先輩と一回だけ……。お、オナニーは、週に一、二回……」
麻美ちゃんはオナニーの手を止め、顔を真っ赤にしながら自分の秘め事を語った。
それに対し、久世さんは興味なさげに頷いていた。
「ふうん、ありきたりだな。まあいい。早速やっちまうか。入れ替われ」
流れ作業のように久世さんが唱えると、二人の口から光が飛び出した。
久世さんの口からは赤黒い光。
麻美ちゃんの口からは明るい黄色の光。
それぞれが向かい合う相手の口の中へと入っていく。
ビクッと二人の身体が震えると、麻美ちゃんは慣れた手付きで胸と股間を触り始めた。
「乳首は普通。マンコの方も……んっ……特別感度はよくねえな」
「ああ……あたしの身体が……」
久世さんは苦々しい表情で目の前の麻美ちゃんを見ている。
一方麻美ちゃんは自分の身体を弄っているけれど、その様子はどこかつまらなそうだった。
「まあ、Bランクだな。悪くもないが良くもない。この教室のちょうど平均値ってとこか」
「悪かったね、平均値で……」
久世さんは眉間に皺を寄せながら麻美ちゃんを睨みつける。
これまた普段の久世さんとは思えないような態度だ。
「そんな顔すんなよ。俺の中ではもう次の身体が決まってたんでな。この身体になったのも一応確認するだけの消化試合みたいなもんだったのさ」
「消化試合で身体入れ替えられるこっちは堪ったもんじゃないんだけど……いらないんならさっさと返してよ」
溜め息をつく久世さんに、麻美ちゃんはニヤリと笑いながら顔を向ける。
「まあ落ち着けよ。実はな、俺は今機嫌がいいんだ。そこで、お前に一つだけ施しをしてやろうと思う」
「は……? なにそれ?」
「お前、この中になりたい奴いるか? もしいるなら好きな奴にならせてやるよ」
「え……」
麻美ちゃんに提案され、久世さんは戸惑いの表情を浮かべた。
「な、なんでそんなこと……」
「俺の催眠がちゃんと効かなかったのはお前が初めてだからな。ま、そのご褒美だとでも思え」
「ご褒美って……」
久世さん困惑を隠せないでいる。
その様子にはなんだか、らしくない動揺を感じる。
「で? お前は誰になりたいんだ?」
「それは……っ……あたしは、誰にもなりたくない」
久世さんは誤魔化すように麻美ちゃんから視線をずらした。
当然、そんな言葉に納得していない麻美ちゃんは久世さんに問いかける。
「おい、本当のことを言え。お前がなりたいのは誰だ?」
「っ……! あたしがなりたいのは、三谷君……」
久世さんの口から出たのは三谷君の名前だった。
って、三谷君はわたしじゃないか。
「三谷君ってのはどいつだ?」
「男子の列の、右から六番目に立ってる……」
「ああ、こいつか」
麻美ちゃんがわたしの目の前にやってくる。
そうか、麻美ちゃんはわたしになりたいのか。
「なんでこいつがいいんだ?」
「三谷君のこと、前から気になってたんだけど、なかなか仲良くなれなくて……もしあたしが三谷君になっちゃえば、そんなの悩む必要もなくなるんじゃないかって、今ふと思っちゃって……」
「ふうん、なるほどね。ま、いいぜ。こいつにさせてやるよ」
麻美ちゃんはわたしの目を見つめがら口を開いた。
「入れ替われ」
その瞬間、わたしの視界が大きく歪んだ。
ビクッと身体震えたのに気づいたときには、目の前の景色が大きく変わっていた。
今わたしの目の前にいるのは小柄で中性的な男の子、三谷君だ。
先ほどまでわたしだった三谷君が目の前にいるということは、またわたしは入れ替わったということだ。
つまり、今のわたしは麻美ちゃんということになる。
「よし、そんじゃあお前こっち向け」
「ん……」
久世さんはモジモジと恥ずかしそうにしながら三谷君の方を向いた。
お互いが真正面に向き合うと、三谷君が口を開く。
「入れ替われ」
すると、三谷君の口から赤黒い光が、久世さんの口からは明るい黄色の光が、それぞれ飛び出して目の前の相手の口の中へと入っていく。
ビクッと二人の身体が震えると、やがて三谷君はワナワナと自分の両手を眺めた。
「あ、あたし、三谷君になっちゃった……? わっ、声が、男の子になってる……」
顔を少し赤くしながら自分の身体を両手で抱きしめる三谷君。
興奮しているのか、その股間は少し勃起している。
「クックッ……良かったな。さて、それじゃあそろそろ俺も本命の身体になるとするか」
そう言うと久世さんは女子の列に並んでいる一人の女の子の前までやってきた。
その女の子は里奈ちゃんだ。
「えっ、ちょ、ちょっと! あんたの本命って、里奈なの!?」
「ああ。今日なった身体の中ではこいつが最高だった。この身体こそ、次の俺の身体にふさわしい」
久世さんは里奈ちゃんを見ながら舌舐めずりしている。
その様子を見た三谷君が慌てて久世さんの腕を掴む。
「ダメっ! 里奈はあたしの親友なの! あんたなんかにはあげないんだから!」
「はあ? 知るか。お前にはその身体をくれてやったんだからこれ以上文句言うなよ」
「あたしから頼んだわけじゃないじゃん! とにかく、里奈の身体を持ってくのは許さないからね!」
三谷君は必死に久世さんの腕を掴んで抵抗しようとしている。
やがて、不愉快そうに溜め息をついた久世さんは冷たく吐き捨てた。
「お前黙れ」
「っ……!? ……、……! ……っ……、……!?」
すると、三谷君は急に黙り込んでしまった。
何かを伝えようと口をパクパク動かしているけれど、声は全く出ていない。
「お前邪魔だから列に戻ってオナニーでもしてろ」
「……! ……、……!」
三谷君は言われた通り男子の列に戻ると、勃起した股間のモノを右手でシコシコと擦り始める。
それを見て満足げな顔をした久世さんは里奈ちゃんの方に向き直り口を開いた。
「入れ替われ」
瞬間、二人の口から光が飛び出す。
里奈ちゃんの口から飛び出したのは濃いオレンジの光。
これは元々ラグビー部の高島君の中にあったものだ。
そして、久世さんの口からは赤黒い光が。
今日何度も見たその光は、再び里奈ちゃんの口の中へと入っていく。
元々わたしだったはずの、里奈ちゃんの中へ。
光がお互いの口の中へと入ると、二人の身体がビクッと震えた。
「……クックッ……。ああ、やっぱりこの身体だ。この身体が特にいい」
ゆっくりと口を開いたのは里奈ちゃんだった。
ゆらりと身体を揺らしながら、自然な手つきで自分の身体を触っていく。
「今日から俺は『新見里奈』だ。これが俺の新しい名前になるんだから、ちゃんと覚えねえとな」
里奈ちゃんはそう言いながら目の前に脱いだ自分の制服を着込んでいく。
改めて見ると、その姿はわたしが普段鏡で見ている姿そのものだった。
わたしだったはずの里奈ちゃんが他人としてそこに立っている。
不思議な感覚だ。
「そんじゃ、俺は帰らせてもらうぜ。おっと、その前に、最後の命令をしておくか」
里奈ちゃんは教室の扉に手をかけながらこちらに振り返る。
「俺が教室を出たらお前らは服を着て普段の生活に戻れ。ただし、するのは身体に適した生活だ。身体に合った性格になって身体に合った行動をしろ。変に話が拗れると後々面倒だからな。あと、今日ここであったことは絶対に口外するなよ。以上だ」
そう言うと、里奈ちゃんは扉を開け、一人で教室から出て行った。
────────
あの男が教室にやってきてから数日が経った。
学校では不審者侵入事件として少し騒ぎになったけど、最近は一応落ち着いてきた。
あの男は通報されて駆けつけた警察に逮捕された。
もちろん、あの男の中身が入れ替わった津山先生だと言うのは誰も話していない。
口外しないように言われているから。
「井原さん、あなたこの前のアンケート用紙まだ出してないようだけど、いつになったら出してくれるのかしら?」
「あ、ごめーん東城さん。書くの忘れてた。もうちょい待ってくんない?」
「もう、仕方ないわね……」
あたしの席の前の方で東城さんと井原が話しているのが聞こえる。
相変わらず東城さんは真面目なしっかり者だし、井原はいつもふざけているチャラいヤツだ。
もっとも、そんな真面目な東城さんの中身はクラス一番のチャラ男の岩山だし、今もふざけている井原の中身は真面目だった東城さんなのだけど。
この二人だけじゃない。
うちのクラスの人間は全員元々とは違う身体になっている。
担任の津山先生の中身はサッカー部の服部君だし、お喋り好きの坪井さんの中身は大人しい男子の三谷君だし、フルート奏者の久世さんの中身はラグビー部男子の高島だ。
そして、あたしこと倉敷麻美も、本当は倉敷麻美ではない。
あの日身体を入れ替えられてから皆一言も文句を言わず他人としての人生を送っている。
そういう命令を受けたからだ。
ただ一人を除いて。
「ねえ……あの、く、倉敷さん……ちょっといい?」
「あ、三谷君……」
中性的な顔をした大人しい男子の三谷君が声をかけてきた。
最近三谷君はあたしに声をかけてくることが多い。
そして、その話の内容は大体いつも同じだ。
「やっぱり、こんな状況はおかしいよ……僕たちは、入れ替わっているのに……」
「もう、またその話? 入れ替わりなんてあるわけないでしょ?」
三谷君はこの狂った状況をなんとかしようと周りの人間、特にあたしに訴えかけてくるのだ。
それに対してあたしは邪険にするような反応しかできない。
だってあたしたちはあの日あったことを話してはいけないのだから。
「本当なんだよ。僕は元々君……倉敷さんだったんだ……くそっ、こんな他人行儀に言いたくないのに……それに、君だって本当は新見さんだったんだよ」
三谷君はこのようにあの日のことを思い出させようとあたしたちに語りかけてくるが、残念ながらその行為に意味はない。
だってあたしたちはみんな入れ替わったことを覚えているし自覚もしている。
その上で無かったことにしているだけなのだから。
「あたしが里奈なわけないじゃん。それに、里奈は……いなくなっちゃったし……」
あたしは俯きながら告げる。
里奈はあの日以来学校に来ていない。
今どこで何をしているのか、誰も知らない。
元々はあたしの身体だったわけだし、あたしとしても里奈は親友なので寂しい気持ちがあるけれど、これも仕方のないことなのだ。
里奈はあの人の新しい身体になったのだから、あたしにどうこう言う権利はない。
「だから、探すんだよ! 新見さんを探して、僕たちを元に戻すんだ!」
「……もう、いいかな? 今はあんまり、里奈の話したくないから……」
「あ、倉敷さん……」
流石にちょっと鬱陶しくなってきたのであたしは三谷君から顔を背けた。
三谷君のことは気になっていたけれど、こんな風に話をする仲になりたいとは思っていなかった。
あたしはもっと普通の話がしたいのだけれど。
するとそのとき、授業のチャイムが鳴り響いた。
教室の中には英語教師の津山先生が入ってくる。
「はーい、授業の時間ですよ。みんな席に着いて」
三谷君はまだ何か言いたげな顔をしていたけれど観念したように席に着いた。
どうせ無駄なんだから諦めればいいのに。
あたしはそんなことを思いながら教科書を開いた。
恐らく教室の中の全員が同じことを思っているだろう。
生まれたときとは違う他人の身体で。
今日もまた、普段通りの生活が続く。
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続きを期待してます!
anfia
2023-02-28 03:58:21 +0000 UTC