【小説】女子とイチャイチャしたい男子たち
Added 2024-02-29 14:08:03 +0000 UTC「女になって女とイチャイチャしたい」
学校からの帰り道、いつもの如く発作のように飛び出た俺の発言に、二人の友人はこれまたいつもの如くやれやれと肩をすくめていた。
「だからさあ、城山。お前そんなことばっかり言ってて虚しくないのか?」
メガネをかけた友人Aこと、沼田真也が呆れながらこちらを窘めてくる。
「いやいや、俺にはわかるぜ城山の気持ち。やっぱ彼女がほしいよな。俺もほしい」
一方、ロン毛の友人Bこと、西村清志はうんうんと頷きながら俺の肩を叩いてきた。
「彼女作るのは俺たちモテないトリオの悲願だもんな。彼女さえいればあんなことやこんなこともさせられるんだぜ? かーっ、世のモテ男共が羨ましいぜ! な、沼田」
「そういうところがモテないんだろ。つーか勝手にモテないトリオに入れんな」
沼田と西村は二人で小突き合いながら話を続けている。
が、こいつらはなにもわかってない。
「違う。俺は女になって女とイチャイチャしたいって言ったんだ」
俺の言葉に沼田と西村は顔を見合わせてため息をつく。
「……いや、だからよくわからんてそれ。つーか俺らの中で一番デカくて筋肉達磨のお前の言うセリフか?」
「流石に俺もわからん。なんで女になる必要あるわけ? 男でいいだろ別に。というか女になったらせっかく彼女できてもセックスできねえじゃん」
だめだ。
やはりこいつらは話にならない。
俺の崇高な理想に全くついてこれていない。
「いいか? よく聞け。女ってのは可愛いだろ? 俺が女になって女とイチャイチャしたら二倍可愛いわけだ。最高じゃねえか」
「いやわけわかんねえから。毎度毎度のことだけど。つーかお前が女になってもキモイだけだろ」
「俺は可愛いとかどうでもいいんだよ。俺の相棒で女をアンアン言わせたいわけよこちとら。それに女二人がいいなら男のまま女二人抱いちまえばいいだろ。あとお前の女姿とか多分普通にキモい」
「んだとゴラァ!? テメェら血祭りにしてやろうか!?」
俺が二人に殴りかかろうとしたそのとき、突然横からふっと湧いてきたかのように怪しげな人影が現れた。
いきなりの何者かの出現に俺たちはそれまでのはしゃぎっぷりを忘れたように固まってしまう。
「もし。そこのお方」
現れたのは着物姿の老婆だった。
どうやらこちらに話しかけているらしい。
「あの、なんか用っすか?」
「おなごになりたいのでしょう?」
「は?」
老婆の問いかけに思わず間の抜けた返事をしてしまった。
さっきまでの俺たちのやり取りを聞かれていたのだろうか。
身内でふざけているうちはいいが、他人に聞かれていたと思うと流石に少し恥ずかしくなってきた。
すると、老婆は懐から何かを取り出した。
ピンク色をした、香水のスプレーのような容器だ。
「こちらは、おのこをおなごに変える魔法の霧でございます」
「え、は? え……?」
いきなりの展開に頭がついていかない。
男を女に変える魔法の霧?
なんでそんな都合のいいものが?
というかこの婆さんは何者なんだ?
「な、なあ、流石に……」
「もう行こうぜ……? おい、城山」
沼田と西村は若干引きながら立ち去ろうとしている。
当然だ。
こんないきなり現れて頭のおかしなことを言う婆さんに付き合ってるべきじゃない。
だが、俺はその場から動かなかった。
「そ、それ……譲ってくれないか?」
自分でも何を言ってるんだと思ったが、それでも俺は婆さんの言うことを無視できなかった。
普通に考えれば胡散臭いとしか思えない。
だがこの婆さんの得体の知れない魔力のようなものが、逆に俺には真実味を感じさせていた。
俺の言葉に、婆さんはにっこりと笑いながら口を開く。
「五百円になります」
「金取るのかよ!」
思わずツッコんでしまった。
なんて婆さんだ。
普通こういう不思議アイテムってタダで譲ってくれるもんじゃないのかよ。
とはいえ、五百円程度なら別に痛手でもない。
払ってやろうじゃないか、それぐらい。
「おい、マジかよ……」
「城山、本気か? 五百円あればサイゼで飯食えるんだぜ?」
「うるせえ! 今ここでしか買えないものと貧乏学生の味方を比べんな!」
俺は二人にキレながら婆さんに金を払う。
すると、婆さんはその手に持っていた容器を俺に手渡してきた。
「毎度あり……」
その言葉を告げた直後、気づくと婆さんは俺たちの目の前からいなくなっていた。
「あ、あれ? 消えた?」
「なんだったんだよ、今のババアは……」
まるで集団幻覚でも見ていたかのような気分だ。
だが、俺の手には魔法の薬の容器が握られている。
ちゃんと現実なのだ。
「おい、それ大丈夫なやつか? 変なクスリでも入ってんじゃ……」
沼田が訝しげに俺の手の容器を見てくる。
まあ実際安心安全だなんて保証はどこにもないのでなんとも言えない。
「え、城山お前マジでそれどうするわけ? まさか本当に女になれるとでも思ってんのか?」
普段おちゃらけている西村も素になりながら聞いてくる。
二人揃ってそんなことばかり言われると俺まで不安になってくるじゃないか。
「あーもうお前らうるせえな。俺の好きにさせろよ」
俺はそう言って二人に背を向ける。
「あ、おい城山!」
「さっさと帰ってコイツを試す。お前ら、明日女になった俺に会っても腰抜かすなよ?」
まだ何か言いたげな様子の二人を置いて俺は家へと急いだ。
自分でも不思議なまでに、この得体の知れない薬に俺は期待していたのだ。
────────
「とは言ったものの、流石にいざ使うとなると少し不安になるな……」
家に着いて自分の部屋に入った俺は薬を前にしながら怖気付いていた。
だってあんな怪しげな婆さんから受け取ったものなんだぞ?
いくら沼田や西村からバカだとか脳筋だとか言われてる俺でもおいそれと使えないぐらいには怪しいブツだ。
「いや、そんなリスクは百も承知。ここでやらなきゃ男じゃねえ!」
俺は意を決して容器を手に取り立ち上がった。
そして、スプレーの吹き出し口を自分に向ける。
「な、なんかドキドキしてきたな……」
緊張感に包まれながらも俺は指に力を込めてスプレーを押した。
プシュッ、とピンク色の霧が吹き出され俺にかかっていく。
仄かに甘い香りがする。
なんだかずっと嗅いでいたくなる。
そんなことを考えていると、何やら身体が痒くなってきた。
「な、なんだこれ……なんかやばいもんでも入ってたりしねえよな……?」
一瞬不安に駆られてそんなことを口にしたとき、その違和感に気づいた。
なんか今の俺の声変じゃなかったか?
なんかいつもより弱々しいというか、若干高いような……。
違和感はそれだけじゃなかった。
目の前の景色が揺らいでいる。
すぐに、自分がフラフラしているのだと気づいた。
まるで眩暈を起こしたようにクラクラとして倒れそうになる。
なんとか踏ん張って立っていようとしても、景色は揺らぐ。
いや、揺らぐというより少しずつ下に下がってきている。
「ん、あれ? え?」
ようやく気づいた。
自分の身長がみるみる低くなっていることに。
それに合わせて手足も短くなっていく。
筋肉質で逞しさを感じられた腕も足も短く、そして細くしなやかになっていく。
太くて色黒で力強いものが、細くて華奢で弱々しいものに、たちまち変化していく。
「これって、まさか……っ!? こ、声が……」
気づくと声はもう別人のように甲高くなっていた。
野太い声が、つんざくような高い声に完全に変わってしまっていた。
喉を触ると、あんなに出っ張っていた喉仏が、もうあるのかわからないほど目立たなくなっている。
それと同時に、胸元に膨らみができているのに気づいた。
胸筋ではない、柔らかな脂肪の塊が服を引っ張っている。
それはもう誰が見ても男の身体ではなくなっていた。
「そ、そんな……本当に……はぅっ!? あ、こ、股間が……!?」
股の間から強い違和感が生じ、慌てて手を添えると、そこにあったはずの大きな逸物が強い刺激を伴いながら徐々に小さくなっているのに気づいた。
「あ、あっ……なくなる……男の、大事な……なくなる……っ……」
成長した大人のサイズだったそれは、子供のようなちんちくりんなサイズへと変わり、やがて完全に触れないほどに小さくなってしまった。
代わりに股の間には一筋の割れ目ができている。
男にはない、女の器官だ。
それを認識した瞬間、頭に強烈な刺激が走った。
「あがっ!? お、俺……っ、お、れ……は、わ、た、し……わ、たし、は……」
なにかが書き変わるように、自分の内側から感情が駆け巡る。
わたしは、女の子……?
そうだ、わたしは、女の子になるんだ。
わたしは、女の子になるんだ!
強い自覚を持つと、自分の中の喜びの感情が爆発するように広がっていく。
あまりの感動に涙すら出てしまう。
「わたしは、女の子!」
そう言葉に出すと、ようやく頭の中の刺激が収まり、身体に起こっていた変化も全て収まった。
「お、終わった……の?」
何度か瞬きをしながら顔を上げる。
すると、部屋の中がいつの間にか一変していた。
その辺に読み散らかしていた少年漫画や出しっぱなしだったゲームが、ファッション誌やぬいぐるみになっている。
部屋の中の小物もピンクの可愛らしいものばかりになっていて、とても男の人の部屋とは思えない。
そんな中、隅の方に置かれていた姿見が一際気になった。
駆け寄るように姿見の前に立ったとき、息が止まった。
「……っ! か、可愛い……!」
姿見に映っていたのは、興奮気味にこちらを覗き込む可愛らしい美少女だった。
二重まぶたの大きな目。
ニキビどころか肌荒れひとつないプニプニの頬。
ショートボブに切り揃えられたサラサラの髪。
セーラー服にスカートを合わせた女子の制服。
筋肉達磨と揶揄されていた城山優一という男子の面影などどこにもない、華奢で小柄な美少女がそこにはいた。
「こ、これ……本当にわたしなの……?」
そう言いながら鏡に触れると、鏡の中のわたしもこちらに手を伸ばしてくる。
すごい、この可愛い女の子が本当にわたしなんだ。
夢みたいだった。
自分にはずっと無縁なのだと思っていた可愛いという言葉が、今の自分にはこれ以上ないほどに合っている。
それが堪らなく嬉しい。
「えへへ……わたし、可愛いなぁ……あれ? そういえば、なんでわたし、自分のことわたしって言ってるんだろ? さっきまでこうじゃなかったよね? なんか、それ以外も変わっているような……」
さっきまでの自分とは喋り方も考え方も変わってしまっているような気がした。
でも、可愛くなかった自分が可愛くなったことを思うとそんなことは大して気にならなかった。
きっと頭の中まで可愛くなったというだけのことだろう。
「はぁ……すごい……こんなに、可愛い女の子になれちゃうなんて……んっ、はぁ……ちゅ……」
興奮したわたしは思わず鏡に映る自分にキスをしてしまった。
唇は鏡に触れるだけだけど、鏡に映ったわたしも恍惚とした顔でこちらにキスをしようとしていて、それを見るだけでわたしの興奮はより高まった。
「んっ……はぁ、はぁっ……わたし、我慢できないかも……」
わたしはスカートの下に手を伸ばした。
余計なものがなくなってスッキリとしたそこを、下着の上から優しく撫でていく。
「……あっ、ここ、触ると……気持ちいい……」
仄かに湿り気を帯びたそこを、割れ目に沿って何度も撫でる。
じわりじわりとわたしの中で快感が大きくなっていく。
女の子にしかできないオナニー。
それを今わたしはしてるんだ。
そう思うとどんどん興奮してきて、パンツはどんどん濡れていく。
「わたし、女の子として気持ちよくなっちゃう……もっと、もっとほしい……」
そうしているうちに、わたしは割れ目の上の方にある部分に指が近づくと特にもどかしいような切ないような気分になることに気づいた。
「そっか、ここにあるんだ……女の子が気持ちよくなれるところ……クリトリス……」
男の人にはない敏感な場所。
触ったらどうなるんだろう。
ただそれだけがわたしの頭を支配していた。
わたしは割れ目に沿って動かす指に力を込めて、クリトリスをそのまま押し込んだ。
「んんッ!? あっ、あッ、あああぁッ!!?」
ビクビクッ、と身体が大きく震えた。
そのまま力が抜けたようにガクッと膝から崩れ落ちて床に倒れ込んでしまった。
一瞬、目の前が真っ白になった。
糸で吊り上げられたみたいにピンと伸ばされた身体を突き抜けるように刺激が駆け抜けて、なにが起きたのか全くわからなかった。
乱れた呼吸を整えながら姿見の方を見る。
そこには床に倒れ込んで顔を赤くしながら満足げに緩んだ笑顔を浮かべているわたしの姿が映っている。
「……えへへ……わたし、イッちゃった……」
女の子の絶頂。
その初めての体験は、わたしにとって至福のひとときだった。
今までの人生全てがちっぽけに思えてしまうほどに、わたしは今の自分の可愛さに、女の子の快感に、ただ酔いしれていた。
────────
グッドモーニング、エブリワン。
俺の名前は西村清志。
どこにでもいる冴えない男子高校生だ。
今日も朝から教室の隅で友人たちとだべっているよ。
俺の右にいる冴えないメガネは友人の沼田真也。
そして、俺の左にいるのは……。
「沼田くん、西村くん、おはよ!」
冴えない筋肉達磨の城山優一……などではなく、俺たちには似つかわしくない絶世の美少女だった。
「え、え? 待って。君、もしかして……」
「わたし? 城山に決まってるじゃない。もう、なに? 君、なんて他人行儀で、西村くんったら」
美少女ははにかみながらクスクスと笑っている。
すげえ可愛い。
「……いや、いやいやいや、おかしいって。え、城山? 嘘だろ、城山!? お前あの城山優一!?」
「うん、そうだよ。あ、でももう男の子じゃないから、これからは城山優って呼んで。可愛いでしょ? 優って名前、わたし気に入ってるんだ」
俺と沼田は顔を見合わせる。
なにがどうしてこうなった。
確かに昨日変なババアから城山が女になる薬とかいう謎のアイテムを受け取っていた。
それがまさか、本当に……?
「いや、でもこうはならないだろ!」
「つーか、城山だっていうならその喋り方はなんなんだよ。もっと普通に男っぽく喋ってただろあいつ」
「あ、これ? これは気づいたらこうなってたの。可愛い女の子になるならこう喋るのが自然だからかな?」
「いや、そんなの信じられるかよ……さては、知り合いの女子と組んで俺たちにドッキリ仕掛けようとかそういう魂胆なんだろ?」
沼田は疑り深く自称城山の美少女を睨んでいる。
すると、俺たちの後ろを通りかかったクラスメイトがこちらに声をかけてきた。
「城山さんおはよー」
「うん、おはよう」
「おっす城山ちゃん。今日もかわいいねー」
「えへへ、ありがとう」
「…………」
何故だか知らんが周りの奴らはみんなこの子のことを城山だと認識しているようだ。
自称城山は勝ち誇ったように沼田を見る。
「ね? わたしは城山で間違いないでしょ」
「いや、そんなわけ……つーかなんでみんなはなにも気にしてないんだよ!?」
「なんか、昨日からわたしは生まれたときからずっと女の子だったってことに変わってるみたい。この世界そのものが変わっちゃった、みたいな?」
「は? じゃあなんで俺と西村はそうなってないんだよ!?」
「うーん、昨日わたしが薬をもらったときに一緒にいたからかな? まあ、そんなことどうでもいいじゃない。わたしは可愛い女の子。それでいいでしょ?」
自称城山はにこりと俺たちに笑いかけてくる。
沼田はまだ何か言いたげな様子だったが、俺はそれを抑えて前に出た。
「城山、俺は信じるぜ。お前が城山だって」
「本当!? 西村くん、ありがとう!」
「ああ……だから城山、これからも友達として、仲良くしようぜ」
そう言いながら俺は自称城山の腰に手を回した。
「えっ!? ちょ、西村くん!?」
「城山、俺とお前の仲だもんな。これぐらい普通だよな。俺、前からずっと女子とイチャイチャしたかったんだよ。お前ならわかってくれるよな?」
身を捩らせようとする自称城山の腕を握り動けないようにしながら抱き寄せる。
正直言ってこいつが城山だろうがそうでなかろうがどうでもいい。
こんだけ可愛い女子が向こうから来てくれるというなら、それをありがたーく受け入れるのが男というもんだろう。
「ちょ、西村くん、離して……」
「城山ぁ、お前本当に可愛いなぁ……なあ、俺の彼女にならねえか? 俺たちずっと仲良かったし、お前が女になったんてんなら、裸の付き合いだってありなんじゃ……」
「いやっ!」
すると、自称城山は力強く俺を突き飛ばしてきた。
といっても女の非力な力なのでちょっと軽く仰け反るくらいのものだったが。
自称城山は嫌悪に塗れた顔でこちらを睨みつけていた。
「西村くん、わたし昨日も言ったよね? わたしは女の子になって女の子とイチャイチャしたいんだって。だから、悪いけど男の子の西村くんとは付き合えない」
「はあ? なんだよそれ。女になったんなら男とイチャイチャしたいと思えよ。それが自然なんだからさ。女とイチャイチャしたいとかそんなのどうせ一時の気の迷いじゃん。本当は男に抱かれるのが女の幸せなんだってお前だってわかるだろ? だからさ、ほら、俺と付き合おうぜ? お試し感覚でさ。先っちょだけ。先っちょだけでいいからさ、本当に」
俺はあくまで態度を変えずに再度自称城山はに近づく。
すると、自称城山はため息をつきながら懐からなにかを取り出した。
「そんなこと言う人には……こうだよ!」
手に握られていたのは、昨日城山が受け取っていた薬のスプレーだった。
プシュッ、とそれが俺に吹きかけられる。
「うわっ!? いきなりなにすんだ!?」
ピンク色の霧に包まれ、俺は思わず目を閉じた。
そのままバランスを崩した俺は後ろに尻餅をついてしまった。
「いてっ!?」
「お、おい……大丈夫か、西、む……ら……?」
こちらを気にかけてきた沼田の声が、徐々に驚愕を含んだものに変わっていく。
なんだ?
沼田はなにを驚いているんだ?
「なんだよ、沼田……ん? なんだ、声が……おかし……ッ!?」
自分の身体を見て、俺もまた驚愕していた。
手足が、みるみる縮まっていくではないか。
それだけでなく、まるで女みたいな細いものに変わっていて、俺は目の前の光景が信じられなかった。
「な、なんだよこれ……って、この声、完全に女……!?」
僅か数秒の間に俺の声も身体も、女らしく染まっていってしまった。
そして、最後とばかりに股間に強い刺激を感じた。
「これっ……!? やばいっ、それは駄目だって……俺の、相棒、が……」
手を伸ばしたときにはもう遅かった。
俺の股間の相棒は、もうどこにも存在していなかった。
「そ、そんな……んぐっ!? あ、頭が……」
直後、いきなり雷に打たれたみたいに頭が痛くなってきた。
俺の中から、俺が塗りつぶされていく。
「俺、お、れぇ……あ、あっ……あ、た、し……は、あた、し……?」
あたし、もう男じゃない?
あたし、女の子になっちゃった?
そんな疑問が徐々に確信に変わっていく。
あたし、女の子なんだ。
「あたしは、女の子……」
そう呟いた瞬間、頭の痛みが治った。
フラフラになりながらなんとか立ち上がると、沼田が震えながらこちらを見ていた。
「お、お前……だ、誰だ!?」
まるで泣きそうな顔でそんなことを言われてもこちらが困惑してしまう。
あたしが誰かなんて、そんなの……。
「あたしは西村に決まってるでしょ? ……って、あれ? なんかおかしいような……」
「ふふっ、ほら、これ見て」
すると、自称城山がこちらに手鏡を向けてきた。
そこには、長い髪を二つに結んだツインテールの少し気が強そうな美少女が映っていた。
「……え? これ、もしかしてあたし……?」
「うん。すっごく可愛くなったね、西村くん」
あたしは思わず自称城山から鏡を奪い取って覗き込んでしまった。
あたしが笑顔になると、鏡の中の美少女も笑顔になる。
あたしが睨みつけると、鏡の中の美少女も睨みつけてくる。
どう見ても、そこに映っている美少女はあたしだった。
「う、ウソ……あたし、本当に女の子になっちゃったの……? そんな、信じられないわ……でも、これ……」
戸惑いが自分の中にあるのは間違いなかったけど、それと同時に妙な感情も存在していた。
この可愛らしい美少女が自分であるというのが堪らなく嬉しかった。
「でも、まさかこんなに可愛くなっちゃうなんて、予想外だったなあ……まあ、わたしもこんなに可愛くなれたんだし、おかしなことでもないよね」
「あ、それじゃあ、あなた本当に城山なの?」
「もう、やっぱり信じてなかったんだ? でも、これでわかったでしょ?」
城山はちょっぴりイタズラっぽい顔で笑いかけてきた。
その顔は、やっぱりすごく可愛い。
女の子になった今でもその気持ちは変わらなかった。
見ているだけでドキドキしてしまう。
「西村くん、顔赤いよ? どうしたの?」
「だ、だって、城山がすっごく可愛いから……」
あたしがそう言うと城山はすごく嬉しそうな顔で目を輝かせていた。
「……ねえ、西村くん。さっきわたしと付き合いたいって言ってたけど、まだそう思ってる?」
「え? それは、うん……まだ、思ってる」
「女の子は男の子とイチャイチャしたいって思うのが自然なのに? 女の子は男の子に抱かれるのが幸せなのに?」
「そ、それは……」
確かにさっきはそう言った。
でも、女の子になってしまった今のあたしからすれば、なんて身勝手なことを言っていたのだろうと思う。
「……あたし、女の子になったけれど、女の子とイチャイチャしたいって、思ってる……」
「そっか。わたしと一緒だね、えへへ」
そう言うと城山はあたしの手を取った。
可愛い女の子が、あたしの手を取ってこちらを見つめてくれている。
ああ、なんだかとっても幸せ……。
「お、おい、お前ら……」
すると、横から水を刺すように男の声が聞こえた。
顔を向けると、そちらには居た堪れないような顔をした沼田が立っていた。
そういえばこいつもいたんだった。
「なによ、沼田。あたしたち今のいいところだったんだけど」
「いや、そんな……えぇ……?」
沼田はどうしたらいいかわからないといった様子で狼狽えている。
だったら話しかけないでほしいんだけど。
「うーん……あ、そうだ! 西村くん、ちょっと来て!」
「え、城山!?」
城山はあたしの手を取ったまま駆け出した。
そしてそのまま教室を飛び出していく。
「ちょっと、どこ行くのよ!? もうすぐ授業始まるわよ!?」
「ちょっとくらいサボったって平気だよ、あははっ!」
わけがわからなかったけど、可愛い女の子と二人で授業をサボるというシチュエーションに、あたしはドキドキしていた。
きっと城山も同じことを思っているのだと思う。
チャイムが鳴り響く中、静かになっていく廊下を二人で駆け抜けていく。
あたしの中には、今まで存在していなかった青春という二文字が色濃く浮き上がっていた。
────────
「屋上?」
「うん、そう。前にクラスの人が鍵開いてるって話してたの聞いて、来てみたいって思ってたんだ」
城山が扉を開くと、青空が広がる屋上の光景が目に入ってくる。
少し肌寒いけど、太陽の光でポカポカして心地いい。
「二人きりになるにはちょうどいい場所でしょ?」
「え? それってどういう……っ!?」
城山はいきなりあたしの唇に自分の口を当ててきた。
あまりに突然のことに頭の中が真っ白になる。
「……えへへ、わたしのファーストキス」
「え、は、え?」
フリーズしていた頭が徐々働き始める。
あたし、今キスされた?
というか、なんだこの子、めちゃくちゃ可愛すぎるんだけど。
本当にこの子あの城山だったの?
「西村くんのくちびる、すごく柔らかいんだね」
「っ……!」
そう言って自分の唇に手を触れる城山は可愛いのと同時に少しいやらしくも見えた。
ああ、どんどんこの子が愛おしく思えてしまう。
「ねえ、西村くん、もっと、しよ?」
そう言いながらこちらに顔を近づけてくる城山。
でも、あたしはそれを一旦制した。
「ちょ、ちょっと待って……」
「……? どうしたの? 西村くん」
「その西村くんって呼び方、なんか男みたいでやだ」
何故だかわからないけれど男のように扱われるのが我慢ならない。
心の中まで女の子になってしまったからなのだろうか。
いずれにしても、目の前のこの子にだけはそう呼ばれるのは嫌だった。
「あ、ごめんね。西村さん……じゃ、なんか余所余所しいね。下の名前で呼ぶのがいいかな?」
「下の名前……あれ、そういえばあたしの下の名前……」
西村清志というのは男の名前だ。
あたしはもう男じゃないんだからこんな名前はもう名乗りたくない。
「生徒手帳見てみて」
「生徒手帳?」
言われた通りポケットの中の生徒手帳を取り出すと、そこには『西村清美』と書かれていた。
「あ、変わってる……」
「身体が女の子に変わるのと一緒に色々なものが変わっちゃうみたい。わたしのときもそうだったから」
そういえば着ている制服もいつの間にか女子の制服に変わっている。
さっき城山は自分が生まれたときから女の子だったことになっていたって言ってたし、あたしもそうなっているのだろう。
「これからは、『清美ちゃん』って呼べばいいかな?」
「あ、うん……」
なんだか改めてそう呼ばれると少し照れてしまう。
そっか、あたしこれからは清美なんだ……。
「ねえ、清美ちゃん、わたしのことも、これからは『優』って呼んでほしいな」
「う、うん……優」
「えへへ、清美ちゃん……」
名前を呼び合いながら見つめ合ったあたしたちはそのまま再びキスをした。
今度は触れるだけじゃなく、舌も絡めるような熱いキスだった。
キスなんて初めてで、どうすればいいかわからなかったけど、あたしも優も、お互いを求めるので必死だった。
「んちゅ、んっ、むぅ……」
「あむっ、ちゅっ、んっ……」
舌と舌が触れ合うと、まるで痺れるような快感が内側から湧いてくる。
このまま溶けてしまうんじゃないかと思えるほどに絡み続ける。
そのとき、カチッとお互いの歯がぶつかってしまった。
「あ……ご、ごめん……」
「ううん、わたしも……」
恥ずかしい気持ちで二人して黙り込んでしまう。
優は顔を赤くしながら俯いている。
あんなに積極的だったのにまだどこか初々しいところもあって、それが余計に可愛く見える。
「……ねえ、優」
「……なあに? 清美ちゃん」
「もっと、触りたい……」
「……わたしも、同じこと考えてた」
あたしたちは身を寄せ合う。
冷たい風が吹く中、お互いの体温が心地いい。
「清美ちゃんの胸の音、すごいドキドキしてるね」
「優だって、すごいドキドキしてるじゃない」
「えへへ……」
あたしたちはそのまま制服の上からお互いの胸を触り合っていた。
優の胸は大きくて柔らかくて、すごく女の子らしい。
ずっと揉んでいたくなる。
「……清美ちゃん、あんまり胸大きくないね」
「……ちょっと」
あたしが不機嫌そうに睨むと、優は笑いながら誤魔化した。
「あ、あはは、ごめん、なんでもない。それより、胸だけじゃなくて、こっちも触りたいな……」
そう言いながら優はあたしのスカートの中に手を伸ばした。
「あ、そこは……んひゃっ!?」
「どう? すごいでしょ、女の子の大事な場所」
優の細い指が優しく撫でただけで、背筋にゾクゾクとした快感が走った。
今まで感じたこともない感覚に腰が抜けそうになってしまう。
「清美ちゃん、大丈夫? ほら、清美ちゃんもわたしのここ、触って……」
優があたしの手を自分のスカートの中に潜り込ませた。
湿ったパンツの上からそこを撫でると、優の身体がピクピク震える。
「んっ、あっ……そう、そこ……きもち、いい……よ……」
あたしたちはお互いの身体を支えにしながら相手のスカートの中を撫で合った。
やがてどちらからともなく指の動きを激しくし始めた。
邪魔なパンツをずらして直接そこに指を伸ばして。
「んっ、優っ、そこ、いいの……んあっ!」
「清美ちゃんも、すごく、んっ、いいよ……んんっ!」
お互いにしたからクチュクチュといやらしい音を鳴らしていた。
女の子って気持ちよくなると濡れるって本当だったんだ。
そんなことを漠然と思いながらあたしは快感に浸る。
身体の中の気持ちよさが高まっていき、あと少しで限界に達してしまいそうな気がする。
ふと顔を上げると、優も切なそうな表情でこちらを見つめていた。
「清美ちゃん、いっしょに、イこうっ?」
「うん、うんっ、優っ!」
あたしは我慢できなくなったその気持ちのまま、指を激しく動かした。
あたしが指を動かせば動かすほど、優の指もまた激しく動く。
全身に込み上げる快感に、ついに耐えきれなくなる。
「あっ、アッ、イクッ、あああぁッ!!?」
「んっ、あっ、んんッ、んんんぅッ!!?」
あたしと優はほぼ同時に身体を震わせた。
身体が強張って、頭の中がチカチカする。
直後、フラッと体勢を崩したあたしは優と一緒に倒れ込んでしまった。
「んっ、あっ……ふぅ、ふぅ……ご、ごめん……」
「はぁっ、はぁ……んっ……えへへ、気持ちよかったね」
優はこちらに笑いかけていた。
その顔は心から幸せを感じている表情だった。
それを見ているだけであたしの中にも暖かい気持ちが湧いてきた。
そっか、これが本当の幸せな気持ちなんだ。
今まで感じたこともなかった感情に、感極まって少し泣きそうになってしまう。
「清美ちゃん……」
優があたしの名前を呼びながら頬にキスをしてきた。
それに対して、あたしもまたキスを返す。
幸せな心地の余韻に浸りながら、あたしたちは優しく微笑み合っていた。
──────────
なにが、どうしてこうなった。
「清美ちゃん、はい、あーん」
「あむ……美味しい! それじゃああたしもお返しに……はい、あーん」
俺の目の前で美少女たちが弁当のおかずを食べさせ合っている。
こいつらは俺の友人で城山と西村……だったはずだ。
二人とも、男、だったはずだ。
少なくともつい数時間前まで西村は男だった。
それが、どうして今こんなことになっている?
「……なによ、沼田。そんな物欲しそうな目でこっち見て」
「沼田くんもお腹空いたの? お弁当食べたら?」
「そんなことが言いたいんじゃないんだよ俺は! なんなんだよお前ら! 当たり前のように女になった自分を受け入れやがって! おかしいだろこんなの!」
俺の主張に対して、城山も西村もなに言ってんだコイツというような表情で顔を見合わせている。
「おかしいって言っても……女の子になっちゃったんだから仕方ないよね」
「そうよ。いまさらなに言ってんのかしら」
「いやいや、おかしいだろ!? だいたい西村! お前男のまま女抱きてえとか言ってたじゃねえか! なに満足そうにしてんだ!」
西村は呆れたような、哀れむような顔でこちらを見てくる。
「別に。あたしはただ女の子と仲良くしたかったの。女の子になって、別に男である必要がなかったって気づいただけよ。だから、あたしは今幸せなの。……というか、なにをさっきからそんなに怒ってるわけ? ま、おおかた自分だけハブにされて寂しいんでしょうけど」
「違うよ清美ちゃん。沼田くんはね、女の子とのイチャイチャに自分だけ混ぜてもらえないのが腹立たしいんだよ。沼田くん、ムッツリスケベだから」
突き刺すような言葉が目の前の美少女たちから飛び出す。
それに対して俺はなにも言い返せなかった。
……図星だった。
「まあ、あたしも知ってたけど。いっつもあたしたちの前で冷静ぶってたけど、内心では自分だって女の子とイチャイチャしたいのバレバレだったから」
「ぐっ……!」
「コンプレックスの裏返しだよね。沼田くんは他人の性欲にケチをつけることでしか自分の性欲を抑えられなかったんだよ」
「うぐぅっ……!」
グサグサと言葉が刺さる。
俺のライフは既にゼロだ。
「わかったよ! その通りだよ! 俺だって女とイチャイチャしたかったんだよ! お前らだけずりいよ! 俺も混ぜろよ!」
「うわっ、身も蓋もない本音が飛び出たわね……」
「うーん、でも沼田くん男の子でしょ? わたしたち男の子とはイチャイチャしたくないから」
「じゃあ俺も女になったら混ぜるんだな!? だったら城山! お前あの薬俺にも貸せよ!」
「え? でも……」
「いいからとっとと出せ!」
理不尽にキレる俺に気圧され、城山はあのピンク色の容器を取り出した。
俺はそれ奪い取る。
「いいか!? 見てろよ!? 俺も美少女になってやるからな!」
ドン引きして黙り込んでいる二人を横目に俺は自分にスプレーを噴射した。
ピンク色の霧が俺の周りを包んでいく。
その直後、突然全身に違和感が生じ始めた。
手、足、肩、腰、頭、あちらこちらでなにかが変わっていくのがわかる。
今朝西村の身体が女に変わっていったように、俺の身体も女に変わっていっているようだ。
数秒経つと、もう見下ろした自分の身体は見慣れた男のものではなくなっていた。
骨張っていた身体が、柔らかそうな脂肪の多いものになっていて、ほとんど女にしか見えない。
股間がキュッとなるような感覚がしたと思うと、そこにあった存在感が失われていく。
どうやら男の象徴もなくなってしまったようだ。
すると、今度は急に頭に電流が駆け巡った。
「あがっ……お、れ、は……ウ、チ……」
ウチって、男だったんだっけ?
あれ?
なんか、よくわかんなくなってきた。
ウチは、たしか……。
「ウチは、女の子だよねー?」
そう言った瞬間、頭の中がハッキリとしてきた。
あれ?
変化は終わった?
「うわ! 沼田くんすごい! 可愛いね!」
「沼田でもこんな美少女になれるのね。あの薬がすごいってことかしら」
二人がウチの方を見ながらワイワイ話している。
ウチはどうなったのか確認したくて二人に近寄った。
「ねーねー、ウチ、どうなったー?」
「はい、こんな感じになったよ」
鏡を向けられてその中を覗き込むと、ゆるふわカールの髪をした垢抜けた美少女がこちらを見ていた。
「わっ、すごーい! これがウチ!? めちゃくちゃ美少女じゃーん!」
ピースをしたりいろんなポーズをしてみると、鏡の中のウチもバッチリ決まっていた。
女の子になるのって、思ってたよりいい感じかも。
でも、今はそれより大事なことがある。
「ほら、ウチも美少女になれたよー! だからウチもイチャイチャにまーぜて!」
ウチは二人に抱きつこうとした。
けれど、二人はそれをやんわりと押し退けてきた。
「ごめんね、沼田くん。わたし、沼田くんが女の子になったらイチャイチャするなんて一言も言ってないから……」
「へ?」
「あたし、気づいたのよ。あたしがイチャイチャしたいのは優っていうただ一人の女の子なんだって。だから女の子なら誰でもいいわけじゃないのよ」
「わたしも、清美ちゃんと一緒にいるのが一番の幸せだから、他の子とは、そんなにイチャイチャとかしたくないかな」
いきなりハシゴを外されてウチは呆然としていた。
「え、えー!? そんなのってないよ! ゆーゆーもきよみんも、ひっどーい! ウチ、なんのために女の子になったわけ!?」
「ゆーゆー、きよみんって……」
「ま、まあ沼田くんも可愛くなれてよかったね!」
「ちっともよくないよー! ウチだって女の子とイチャイチャしたいのにー! うわーん!」
ウチはそのまま教室を飛び出した。
結局、こんなに可愛くなれたって女の子とイチャイチャできないなら意味ないじゃん。
最悪なんだけど!
泣きながら廊下を走っていたら、その勢いのまま誰かにぶつかってしまった。
「きゃっ!?」
「うわっ! なんだ、誰だ!? 廊下走ってんのは!?」
「げっ……」
ぶつかった相手は体育教師の横川だった。
生徒指導もしていて、こういうときに会うと非常に面倒なやつだ。
「沼田! 昼休みとはいえ、廊下は走るな!」
「はーい、ごめんなさーい」
「なんだその態度は! お前全然反省してないだろ!」
謝ってさっさと立ち去ろうと思っていたのに、逃がしてくれないようだ。
一度怒りだすとガミガミ怒鳴ってくる上にねちっこく説教を続けるからこうなったらコイツは本当に生徒から嫌われている。
というか、さっきから怒りながらウチの胸見てない?
なんか女子からやたら嫌われてると思ってたけどこういうセクハラ紛いのことまでしてのか。
より最悪だこりゃ。
「沼田! お前聞いてるのか!?」
「はいはい、聞いてますーって……あ、そうだ!」
ウチは自分の手にあのスプレーを握ったままだったことに気づいた。
それをすかさず横川に向ける。
「ん? なんだそれは」
「せんせーも可愛くなりましょー?」
プシュッと吹きかけると横川は困惑しながら仰け反った。
「うわっ、な、なんだ、これ……ケホッ……ん? な、なんだ、身体が、おかしい……こ、声まで……」
すると、みるみるうちに横川の身体が変化していく。
ムキムキだった体育教師のおっさんが萎んでいくように小さくなっていく。
腕の筋肉は一気に失われてヒョロヒョロの女の子の腕になり、太ましかった足もぽきりと折れてしまいそうなほどに弱々しい女の子の足になっている。
元の大きかった体格からは想像もつかないほどに背が低くなっていき、ついにはウチよりも小さくなってしまった。
けれど胸はそれと対照的に膨らんでいて、まさしくロリ巨乳って感じだ。
「うぐっ、あ、頭が……あ、わ……わ、たし、は……女、なんです、か……?」
変化の終わった横川が顔を上げる。
そこにあったのは成人しているとは思えないほど小柄で弱っちそうなロリ女教師の姿だった。
「な、なんですかこれー!? 私、なんで女の子になっちゃってるんですかー!?」
涙目になりながら慌てている横川はとっても可愛らしかった。
ウチ好みの美少女だ。
あの横川ですらこんなに可愛くなるなんてこの薬すごい。
「ぬ、沼田さんがやったんですかー!? 元に戻してくださいよ!」
「えー? いやですよー。せっかくそんなに可愛くなったんだから、ちょっと遊びましょうよー、せーんせ?」
ウチは横川の胸を揉みしだいた。
「ひゃわぁっ!? や、やめてくださいー!?」
「せんせーのおっぱいすっごい柔らかーい。こんな可愛い顔してすごいですねー」
「そ、そんなこと、言わないで……んひゃっ!?」
まだ自分が女の子になったことが受け入れられないのか、顔を真っ赤にしながら目を逸らしている。
あ、なんかゾクゾクしてきた。
「こっちも触っちゃおっと」
「んひぃっ!? そ、そこ……女の子になったばかりの……んんッ!?」
タイトスカートの中のおまんこに指を伸ばして弄ると、横川はいい声で鳴き始めた。
これすごい。
女の子になったばかりの子を鳴かせるの、最高にゾクゾクする。
「ほら、せんせー、イッちゃっていいですよー。女の子の初イキ、楽しんじゃってくださいねー」
「あ、あっ! 私、イッちゃいますぅ、あッ、ああぁッ!!?」
ビクビクッと身体を震わせた横川は、クタッとその場に倒れ込むと動かなくなってしまった。
どうやらあまりの気持ちよさに失神してしまったらしい。
「もー、せんせーったらだらしないなー」
そんなことを言いながらもウチは大満足の心境だった。
ずっと女の子とイチャイチャしたいって思ってたけど、ウチが本当にやりたいことがなんだったのか、わかった気がしてきた。
────────
「……ねえ、ちょっといいかしら?」
「んー? どったの、きよみん?」
「うちの学校って共学だったわよね?」
「んー、そうだったねー」
「じゃあ、なんでうちのクラスには女子しかいないのよ!?」
「あははー、なんででしょー」
「とぼけるんじゃないわよ、沼田!」
あれから数日が経った。
わたしと清美ちゃんは相変わらず仲良くイチャイチャしてるんだけど、わたしたちに混ぜてもらえなかった真奈ちゃんが暴走してしまったせいで学校の状況が大きく変わっていた。
「まあまあ、清美ちゃん、落ち着いて、ね?」
「でも優! こいつの行動は流石に目に余るわ!」
「えー、なにがいけないのー? みんな可愛く気持ちよくなれてるんだから問題ないでしょー? ね、紘子ちゃん、未来ちゃん」
真奈ちゃんに声をかけられた女の子たちは顔を赤くして俯いている。
あの子たちは元々男の子だった。
けれどいつの間にわたしたちと同じ美少女になっていた。
あの子たちだけじゃない。
うちのクラスの男の子たちは一人残らず美少女になってしまった。
最近は隣のクラスもほとんど女の子になっているし、うちの学校全体が女子校のようになってしまうのも時間の問題かもしれない。
「女の子になって女の子とイチャイチャするのって最高でしょー? だからウチがしてるのはいいことなの。きよみんだって、最初はゆーゆーに勝手に女の子にされたけど今は幸せでしょー?」
「うっ、それは、まあ……」
あらら、清美ちゃん反論できなくなっちゃった。
負けを認めたように清美ちゃんはこちらに泣きついてきた。
「優、あいつこのまま放っといて大丈夫かしら……?」
「うーん、大丈夫じゃない? やっぱり女の子になるって幸せなことだし」
「もう、優までそんなこと言う……」
清美ちゃんは少し呆れているけれど、でも清美ちゃんだって本当はわかっているから強く反論しないのだ。
女の子になって女の子とイチャイチャするのって素晴らしい。
わたしの崇高な理想が、ようやくいろんな人に受け入れられたみたいで、わたしは少し誇らしかった。
それに、正直なことを言うとわたしにはもう他の人たちのことなんてどうでもよかった。
だって、わたしにとって一番大事なのは……。
「清美ちゃん」
「ん? どうしたの優」
「大好きだよ」
「……!」
清美ちゃんは顔を真っ赤にして目を逸らした。