XXX4Fans
犬魔人 from patreon
犬魔人

patreon


宝鹿族

宝鹿族

  ユク大陸の大森林奥地に棲まう少数部族。

  長らく鹿の獣人の亜種だと思われていたが、近年の研究で精霊に近い種族であることが判明した。

  彼女たちは警戒心が強く、外の人間と交流を好まない。

  しかし、野蛮な民族では決してなく、外の者に見られていることが分かると、ただただ不快な顔をして立ち去っていくのみだ。

 そして、宝鹿族の由来ともなった翠緑色に光り輝く宝石が、彼女たちが立ち去ったあとに残されている。

 川辺にいくつも転がるこの宝石が、彼女たちからの贈り物なのかどうかは長らく議論が続いていた。

 不快さを全面に貼り付けた彼女たちの表情からは、贈り物をしているようには到底見えない。

 かといって、宝石を持ち去られることに対して怒る様子もない。

 宝石目当てにトレジャーハンターがやってくることもあったが、彼女たちは宝石を守ろうとする様子もなく、いくら持っていかれてもまったくの無関心であった。

 その宝石は市場に流れるやいなや、莫大な価格で取引されるほどの人気を博した。

 宝石はただ美しいだけではなく、不思議な性質も持っており、暗闇の中で淡く輝き水に浮かぶほど軽い。

 そればかりか、強い魔力まで帯びており、術師用の装飾品や魔道具の素材としても重宝された。

 しかし、この翠緑色の宝石は大森林のどこを探しても見つけることができず、彼女たちが立ち去った場所にのみ存在していた。

 密猟者が宝鹿族の所有する宝石を大量に入手するため、彼女たちの一人を人質に取って脅し取ろうとしたことがあった。

 が、彼女たちの戦闘力は王国冒険者ギルドに当てはめるとS級に相当し、密猟団数百人の全滅とともに彼女たちに手を出すものはいなくなった。

 彼女たちの謎が明らかになったのは、ごくごく最近の話である。

 宝鹿族と辛抱強く交流を試み続けたある学者の論文が発表され、その謎のすべてが書き記されていた。

 宝鹿族の残す宝石は、精霊種に近い彼女たちにとって、代謝物のようなものに当たるらしい。

 生きた魔力炉と言っても良い精霊種でありながら、半受肉しているが故に体内に溜まりすぎた膨大な魔力はときに毒となる。

 故に彼女たちは魔力を結晶化させ、定期的に体外へ排出しているのだ。

 彼女たちがしばしば川で発見され、宝石も同時に見つかるのは、彼女たちが体についた垢を落とすように宝石を洗い流していたからだそうだ。

 彼女たちにとって宝石が何ら価値がないのも当然である。

 余談だが、中でも特に大きいものは人間で言うところの排泄物に当たる。

 つまり、彼女たちが不快そうにしていたのは、風呂や便所を除かれた挙げ句、出したものを嬉しそうに持って帰っている様子を見せつけられたからである。

 この論文を読んだ者たちは総じて『そりゃ不快な顔にもなるわ。自分のう●こを喜んで持ち帰るんだもの』と苦笑いを浮かべるしかなかった。

宝鹿族

Related Creators