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【テイワットオークション】千織 前日譚

テイワットのどこかで開催されている、各国の富裕層の男達が集まる人間などが売買される、闇のオークション。また次のオークションのため、新しい商品が調達されるのだった。 夜遅く、街灯の明かりがわずかに残るフォンテーヌ。すっかり静まり返った街の中、フォンテーヌ廷の一角で、一軒だけ明かりを灯す店があった。 「千織屋」。 その名を知らぬ者はいない、稲妻出身のデザイナー、千織が営むオーダーメイドの服飾店。そして今夜も、店主である千織は、独り静かに仕事に没頭していた。黄土色の着物を身にまとい、髪をひとつにまとめた千織は、トルソーに掛けた衣装の裾を片手で持ち上げ、微調整を繰り返していく。 「……あと少し。」 細くしなやかな指が、布の流れを読むように滑っていく。その口元に、わずかな笑みが浮かんでいた。自分の仕立てている衣装が完成まであと少しだったからだ。 だがそのとき、千織の扉が開かれる。深夜なのに、鍵をかけていたはずなのに、扉は開かれた。夜の冷たい空気が、千織屋の中に入り込み、千織の指が止まる。 「……閉店時間はとっくに過ぎてるんだけど。」 千織は冷たい声で警告しながら、入口の方向を振り返った。千織の視線の先には、数名の男がいる。しかし、千織の視線はその男の中の一人が手に持っている大きな金属の器具に向けられる。 (……はさみ?) 男が持っている道具は大きなハサミだった。千織が普段仕事で使っているような、裁断用のハサミ。その大きなハサミを持った男は千織がそのハサミに視線を向けているのを確認したまま、ハサミを閉じた。 ジョキン………………と鋭い金属音が鳴った。 その瞬間、千織の瞳が揺れる。頭を強く殴られたかのように、意識が吸い取られる。 「え……?」 指の力が抜けた。握っていた裁ち鋏が手から滑り、床へと落ちる。カラン……と音を立て、頭に金属音が響いた。 「……なっ……なんで、力が……?」 千織は自分の頭と、首から下が切り離されたような感覚を感じる。 男が持っていたその大きなハサミは、意識を切り離す特別な催眠道具だった。抵抗する暇もなく突然その道具を使われた千織は、身動きが取れない状態にされてしまった。 首から下の部分が自分の意識で操作できない。自分の体のはずなのに、動かせない。まるで操り人形にされたようだった。 千織が自分の体を動かせない事に驚いていると、男の一人が口を開く。 『服従の姿勢』 「服従の姿勢?何を言っているの?私に、何をしたの?」 千織は男の言っていた言葉の意味を理解できず、聞き返す。しかし千織はその言葉の意味を自分の体で理解する事になる。 男が『服従の姿勢』と言ってから数秒後、千織の体が勝手に動き始めた。 「なっ……なにをしたの?」 まず、肩がゆっくりと引き上がり、両手が自動的に、頭の後ろへと回っていく。自分の意志ではなく、勝手に体を動かされる。 「ちょっと……やめ……なさいっ……!」 両手が後頭部で自然と絡まり、掌が組まれた。腕が張られ、背筋が強く引き起こされていく。 「ッ……ぅ、何……これ……!」 胸が、張り出した姿勢のまま固定された。両手を頭の後ろで組み、胸を強調するような恥ずかしい姿勢、普段の彼女が誰よりも見せ方に気を遣う部位が、意識に反して目立たされていく。 そして両手を組み終えた後、足がゆっくりと開き始めた。 右足と左足の膝が、外に向けて広がっていく。蟹股に開かれていく。着物の下で隠していたはずの脚の形が、布越しにも明確に浮かび上がる。 「いや……やめて……これは……ッ」 拒絶の声は漏れるが、体は止まらない。そして千織はとても無様な姿勢を取らされてしまった。 数名の男たちの前で両足をガニ股に開き、両手を頭の後ろで組む姿勢。美しさのかけらもない、恥ずかしいだけの姿勢。見た目や美しさに気を遣う彼女にとって、屈辱以外の何物でもなかった。 しかし千織はその姿勢を自分で崩す事ができない。まるで、頭と身体の神経が断絶されてしまったかのような感覚。 切り離された。それが、一番近い表現だった。 頭では怒っている。恥ずかしさに歯を食いしばっている。だが、身体はまるで従順なモデルのように、与えられた姿勢を受け入れていく。 「……私の体よ……私の……なのに、どうして……!」 声が震える。だが、両腕は組まれたまま、胸は反らされ、脚は広げられたまま。千織が完全に無力化された後、男たちは動き始める。無言のまま一人が、腰のホルダーから金属製のスプレーを取り出す。 男はそのスプレーの先端を千織の顔に突きつけ、スイッチを押す。その瞬間、ぶしゅっとピンク色の霧が噴き出し、千織の美しい顔に、容赦なく甘い霧が吹きつけられる。 「っ、ぐぅぅ……ッ、なに……この……におい……っ」 花蜜のように甘く、鼻腔の奥にこびりつくような香り。だが、同時に、薬品めいた刺激が、喉と肺を焼いていく。 逃げようにも、動けない。他の男たちもそのスプレー缶を取り出し、正面、右から、左から……三人の男が交互に、彼女の顔面に謎のピンク色の霧を噴射し続ける。髪が濡れ、頬が光り、鼻と唇の間がじっとりと濡れていく。 「や、やめなさ……っ、わたし、こんな……っ……」 両手を後ろに、両足をガニ股に開いた完全無抵抗の姿勢のまま、千織は謎の霧を吸わされ続ける。声は震え、意識が溶けそうになる。まだ千織の目は、わずかに強さを宿していた。抗う意志が、どこかに残っていた。

【テイワットオークション】千織 前日譚

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