前の話 https://daigo-chokopan.fanbox.cc/posts/10119188 お題箱 https://odaibako.net/u/chokopan ============================ 胡桃は未だに箱の中に閉じ込められたままだった。ここにきてから何時間経ったのか、もう分からない。胡桃は身動きが取れない真っ暗な棺の中で、媚薬効果のある蒸気を箱の隙間から当てられ続けていた。 実際の時間では、一晩しかたっていないが、胡桃の体感時間はその数倍だった。何日間も放置されているような、そんな苦しみだった。 「んぐっ♡……っ!んっ♡……っ♡んぐっ♡」 聞こえる音は、シューーーーという蒸気の音と、胡桃が体を動かすたびになるギシギシという拘束具の音、胡桃の荒い息遣いだけ。それ以外の音は一切聞こえない。自分の声だけがこの狭い空間に響く。 棺の中で蒸された胡桃の体からは汗が噴き出し、服がぴったりと肌に張り付く。蒸し暑い密室の中、胡桃の体は発情していた。むず痒い感覚が胸や股、足の付け根に走る。胡桃の股の間の部分の布は、汗や潮、色々な体液が混ざり合った液体でびしょ濡れになっていた。 蒸されてしっとりとした肌に張り付く服が気持ち悪い。胸の先に擦れる服や股に食い込む布の刺激すらもむず痒さを増幅させるだけ。 しかし今の状況では、その痒い感覚のある場所を、自分の手で触れて慰めることもできない。その痒い感覚はどんどんと大きくなり、胡桃の心を蝕んでいく。 「んっ♡……っ♡んぐっ♡……っ♡んぐっ♡」 その場から動けない体をギシギシと揺らしながら、少しでもそのむず痒さを和らげようと、もがき続ける。 そんな彼女の耳に数時間聞いていなかった別の音が聞こえる。それは誰がかここに向かっている足音だった。その足音はどんどんと近づいてきて、棺の目の前で止まった。 「おはよう、お目覚めかな?」 「んぐっ♡んぐっ♡んぐっ♡」 胡桃は男の言葉に答えようとするが、口を覆う布によって、うめき声しか出せなかった。「ここから出してくれ」という心の中の必死に懇願を、声に出す事すら許されなかった。 「どうだい。一晩の間、媚薬の蒸気を浴び続けた気分は?」 「んぐっ♡んっ♡んっ♡」 男の問いに答える事も出来ず、胡桃は体を必死に動かす。ガタガタと振動する棺の様子をみて、男は笑いながら話を続けた。 「本当はこの目で調教具合を確認したい所なんだが、今回はこの棺のままオークションに出品される事が決まっていてね。この棺のカギを競り落とした人が、棺ごと家に持って帰って、この棺のカギを外すまで、君は出られない事になっているんだ。」 「んぐっ♡んっ♡……っ♡んぐ♡」 男の言葉に、胡桃の心が絶望に染まっていく。 「じゃあ、これからはまた別の調教をしていくから」 男がそういうと、何か鎖のような巻き上げられるような音が聞こえる。しばらくした後、胡桃は自分の体が宙に浮いているような浮遊感を感じた。天井につるされている鎖が巻き上げられ、胡桃が入っている棺が、上へと持ち上げられたようだった。 「んぐっ♡……っ!んっ♡……っ♡んぐっ♡」 そのまま少し移動し、ゆっくりと下におろされていった。何が起きるのか、外の状況が見えない胡桃は、恐怖で体を震わせる。 数秒後、胡桃の背中に冷たい何かが触れた。液体のようなぬるりとした何か。胡桃が運ばれた先は、媚薬が注がれたプールだった。 大量の媚薬が、棺の隙間から入り込んでくる。身動きが出来ない棺の中が、ピンク色の液体で満たされていく。棺の中が媚薬で満たされた事を感じ、もだえ始める胡桃。しかし棺からは一切逃げられず、その液体からのがれる術はない。 鎖は少しづつ降ろされ、最終的に完全に降ろされた。身動きが出来ない狭い棺の中で、胡桃の顔だけが丁度水面から飛び出るようになっていた。呼吸の問題はないが、全身が媚薬に包み込まれてしまっている。少し手足を動かしただけで水面が揺れ、顔にかかってしまうほどの高さに調整されていた。 「これからは体全身の調教。まぁ、オークション開催は明日。あと数十時間の辛抱だよ。」 そういうと男は、部屋から去っていった。 全身を媚薬に包まれ、身動きすら許されない。オークション開始までの数時間、胡桃の孤独の地獄が始まろうとしていた。