秀知院学園高等部「図書室」───。 ワタシこと鴻上を含めたTS系転生者、ほぼ全員が石上優の事を気に入っており、あわよくば彼女になってやるのも悪くないのでは?と考えている。 前世の経験を活かし、なんとかデートに誘える者もいれば、どうすれば良いのか分からず、ヘッタクソに石上君を誘惑する者もいる。 ちなみにワタシは後者である。 「鴻上先輩、どうしたんですか?」 「あーっ、うん」 ワタシの体調を心配してくれる石上君を見上げる。やっぱり外見も声も内面もドストライクすぎて、彼の近くにいるだけでドキドキしてしまう。 そんなことを考えながら、ワタシに嫉妬の眼差しを向ける同胞から中指を立てられつつ、お前らもヘッタクソながらもアピれば良いだろうと切実に思う。 「いやね。ワタシは如何に石上君を篭絡し、彼氏にすれば良いのかを考えているんだけど。キミ的にはオッパイの大きい女の子は嫌いかな?」 「おぱッ………ごほん、僕も男なので、あんまり、そういう事は言わない方が良いですよ」 「それもそうね。ごめん」 「い、いえ、いいっす」 チラチラとワタシのオッパイを盗み見る石上君の視線には気づいているけれど。まあ、好きな男の子にそういう風に思って貰えるのは嬉しいね。 ふと面白い事を思い付いたワタシは人の気配に意識を集中しながら真横に座っている石上君に近付き、徐に彼の右手を掴んで、そのまま───。 「んっ♡」 ムギュウウゥゥッ♡とバスト107を誇る自慢のオッパイに彼の右手を押し付け、しっかりとワタシのオッパイの感触を堪能してもらう。 「それじゃあね」 「………」 そう言ってワタシは呆然と自分の右手を見つめる石上君を残して、ゆっくりと図書室を退室し、のんびりと帰ろうかと思ったところを同胞に捕まった。 なにかな、恋愛弱者たちよ! ◆ 鴻上のヤツめ、なんて卑怯な真似を。 いくら元の性別が男だったからとはいえフランクにオッパイに触らせるのは流石にズルすぎるぞ。 こ、こうなったらオレも鴻上みたいに石上にオッパイを触らせるべきか?いや、ウ~ン、でもなあ、石上にビッチとか思われたくないんだよな。 「右手がどうかしたのか?」 「えっ、あ、ああ、いや」 鴻上のオッパイを触ったのは知ってるけど。それとなく聞けば、石上は顔を少し赤くしながら視線を逸らす。ふっ、そりゃあオレのオッパイは鴻上よりデカいからな! なんとバスト116センチだぜ。 「ムッ、教えろよ。友達だろぉ~」 「ちょ、作間さん!?」 「さん付けなし、同い年じゃんか」 ムギュッ♡と石上の左腕に抱き付き、オレの身長に合わせるように座らせながら、オッパイで石上の左腕を挟んだまま、出来る限りフランクに話を聞き続ける。 なんかムカつく視線を感じ、ビシッ!と石上には見えないように中指を立てつつ、奥手で全く石上と進展できずにいる仲間を挑発してやる。 「作間、近いッ」 「んえっ、あ、ごめん」 「うっ、此方もわるい」 やばっ、顔良すぎる♡ オレは石上の左腕を離して、ちょー間近にいる石上の顔を、たぶん潤んだ瞳で切なそうに見つめているんだろう。いわゆるメス顔ってヤツだろう、鴻上が言ってたし。 あ、だめだこれ♡ 「しゅきっ♡」 「えっ」 オレの呟いた一言に驚く石上。そこで、ようやく自分の口走ってしまったことを理解し、オレは顔を真っ赤にしながら「こ、今度は普通に言うから」とだけ言い残し、そそくさと逃げるのだった。 その途中で鴻上を含めた仲間に捕まり、あれは協定違反とか何とか言われ、放課後にケーキバイキングに立ち寄ることが決定した。 ふ、太るうぅ…。 ◆ 鴻上も作間もやる気あるわね。 そんなことを考えながらプールの授業で、ぼんやりとプールに浮かんだまま動かない石上に近付き、ちょこんと頭だけ水面に出しておく。 「石上君、どうしたのよ。なんか上の空だけど」 「いや、悪い。浅居には言いにくい」 その一言にムッとした私は徐に立ち上がり、辛うじて水面に鎖骨が浮く程度の身長を駆使して、上半身が水面を飛び出すようにジャンプした。 「グフッ!?な、なんだ、よ……」 いきなり腹部に打撃を受けた石上君は慌てて自分のお腹を見る。しかし、そこにあるのは私の鴻上にも作間にも劣らないと自負するオッパイが乗っているだけ。 「友達なんだから話してよ、ね?」 「こ、こればっかりは相談できないんだよ!」 そう私は石上君に告げる。 しかし、なにかと葛藤するように彼は目を瞑り、徐に鼻と口を塞いだかと思えば、ゆっくりとプールの中に沈んでいき、そのまま逃げられる。 くっ、やはり股間にオッパイを押しつけるべきだったか。そんなことを考えながらプールサイドを見ると「よく耐えたぞ、石上」や「お前は紳士だよ、石上」なんて称えられていた。 えぇ、なして?