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【短編】八雲藍は冴えないオッサンの式神になる。

幻想郷・人里にて──。 妖怪の賢者「八雲紫」の式神にして最高位に存在する九尾の妖狐「八雲藍」はいつもの普段着ではなく、ムチムチと肉付きの良い身体を強調する全身タイツを身に付けて人里を歩いて──いや、みっともなく地面を這っていた。 その理由は至ってシンプルだ。 彼女は八雲紫の式神を廃業し、人里の住人や妖怪に嫌われる冴えないオッサンの式神になったのだ。最初の頃は「きっも何かの間違いだ」と人々は言っていたけれど。 だんだんと過激に変化していく八雲藍の衣装にウワサは真実であり、この妖怪は冴えないオッサンに負け、みっともなく生き恥を晒す存在に成り果てたのだと誰もが失笑し、彼女の姿を見るたびに嘲った。 しかし、実際は違う。 八雲藍は冴えないオッサンの悪行を裁き、人里の平和を守ろうとしたが、大事な己の式神を人質に取られてしまうという失態を犯し、自分の式神を守るためにオッサンの式神になったのだ。 (くそッ、妖力さえ封じられていなければ容易く弾ける契約だというのに…!なぜ私がこの様に穢らわしいオッサンを背負い、地面を這わなければいけないんだ!?) そう八雲藍は内心で怒りを露にするものの。 主従の契約を交わす際、笑顔の強制および絶対服従の契約を結んでしまった挙げ句、自信の誇りであり自慢の尻尾を一本になるまで妖力を封じられている。 ピタリと彼女は動きを止める。 そこは人里の中心部に近く、人通りも多い賑やかな場所だ。冴えないオッサンは彼女を無理やり立ち上がらせ、ボソボソと彼女の耳元で何かを呟いた。 「コンッ!」 いきなり大きな声を張り上げ、八雲藍は両手をキツネの形に変えて、がに股でバンザイのポーズを取っていた。 「コンッ!コンッ!コンッ!」 ユッサユッサ♡ユッサユッサ♡と人間より発育も良く男の視線を集めてしまう巨乳を揺らして、八雲藍は「コンッ!コンッ!」とキツネの鳴き声を真似てダンスを披露し始める。 彼女の顔は真っ赤に染まり、よく人混みを見れば彼女の知人や友人も見ており、明らかに軽蔑の眼差しを浮かべ、彼女を睨んでいる。 どれだけ違うと叫びたくても声に出せるのは「コンッ!」という言葉だけ。とうとう鼻水や涙、ヨダレを垂らしながら八雲藍は「コンッ!コンッ!コンッ!」と叫ぶようになってしまう。 こうして八雲藍は妖怪の賢者の式神を解雇され、自分の式神にも見捨てられ、人里の名物『泣き虫のクソザコ妖怪』として地位も尊厳も奪われ、毎日のように人里で情けない踊りを踊らされるのであった。

【短編】八雲藍は冴えないオッサンの式神になる。

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