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【長編】オレだけTS盗賊だってバレたら人生終了する勇者パーティー4 ~ふたなり勇者と仲間にバレずに魔王城まで出来るだろうか~

すごい気だるさを感じる。 オレはユーリの選んだダンジョンの通路を歩いている最中に、ふとそんなことを考えていた。が、おそらくデバフの一種だろうと再考する。 「シズ、どう?」 「即死系のトラップ類は少ないよ。あるとしても奥に一個か二個くらいだろうし、このまま進んでも平気かな。あ、でもオレより先には行くなよ?」 「はいはい、やっぱり盗賊のスキルって便利~」 「オレの技術も褒めろよ」 「シズも偉いわ」 「ありがと、アリア」 ポンとオレの肩を叩いて、そう慰めてくれるアリアに感謝の言葉を送りつつ、魔法の杖に腰掛けて浮遊する彼女に地面のトラップは無関係だろうと思ったのは内緒だ。 ゆっくりと地面に片膝をついて、鳴子や槍や矢の射出するトラップのワイヤーを切り、ついでにクロスボウの予備として矢を貰っていく。 クロスボウの矢って意外と高額なのよね。 オレの切実な思いなど知らないユーリは「たまにシズってケチっぽい」と小声で呟く。 「ケチっぽくて悪かったな、こちとらトラップ作りや回復薬のポーション作りにお金を使ってるんだよ…!」 「あはは、いつもありがとー」 「ポーションは専門外だし、助かってる」 二人とも視線を逸らしながらオレの愚痴に対して感謝の言葉を口にする。いい加減に回復役の仲間を加入させないと、マジでポーション切れで終わるぞ、この勇者パーティー。 そんな最悪の最期を想像してしまい、ちょっとだけイヤな気持ちになりつつ、ようやくトラップ類の無くなった通路を探り当てることに成功した。 だが、しかしだ。 このダンジョンに入って以降、オレ達は一度もモンスターに遭遇しておらず。絶対にダンジョンの奥に溢れ返っている大量のモンスターを想像し、再びイヤな気持ちになる。 「シズ、ちょっと後ろに下がって」 「っ、わかった」 いきなり、ユーリさのほほんとした雰囲気を消して勇者のみ使えるという聖剣を抜き、オレより前に移動した次の瞬間、カラフルなスライムが飛び出してきた。 通常個体のスライムは当然として。 猛毒や麻痺、幻惑を得意とする特殊個体のスライムのオンパレードにオレはドン引きしながら、ユーリの死角を移動するスライムをクロスボウの矢で狙い、射抜く。 「ユーリもシズも張り切りすぎ」 「アリアも真面目に戦ってくれ、よっ!」 スピードに特化した特殊個体のスライムを短剣で切り裂き、オレは後衛のアリアを守りつつ、大量…いや、増量しまくるスライムを指差す。 「『火よ、風と交じりて、変われ』」 アリアは面倒臭そうに火属性と風属性の混合魔法の三節の詠唱を唱えた、その時だった。ユーリはアリアの魔法を避けるため、天井に聖剣を突き立て、そのまま逆さまになる。 「吹っ飛べ、エロ生物め」 ズガンとかドゴンとかエグい音が響いたかと思えば、さっきまで通路を埋め尽くしていたスライムの群体は見るも無惨に消し飛ばされ、まともに素材も残っていなかった。 「アリア、ないすぅ~!」 「いぇ~い」 そう言ってハイタッチする二人とは裏腹にオレは「高火力の魔法をダンジョンで使うなよ」と文句を言いたくなるが、こうなった原因はオレの一言なので何も言えない。 しかし、この二人といれば魔王討伐も夢というわけじゃないし。ただ、まあ、コイツらにふたなりおちんぽが生えているのを忘れてはいけない。 絶対に普通のメスだってバレたくない。 ◆ 「アリア、ちょっと止まって」 ユーリの言葉に私とシズは動きを止めて、魔法の杖を降りる。いったい、どうしたのだろうかと彼女の視線の先に、覗きや観察に持って来いの千里眼の魔法を使ってみる。 「ピンク色のスライム?」 私も初めて見る個体だ。 どういう能力を持っているのか。 まったく見当もつかない新種のスライムにユーリも聖剣を両手で握り締め、しっかりと警戒している……けど。私の呟きが聞こえていたシズはなぜ青ざめている。 「シズ、あのスライム知ってるの?」 「い、いや、その、だな」 「出来れば教えてほしい」 「………エッチな能力です」 「「ん?」」 私とユーリの声が重なる。 しかし、私達はハッキリと聞いた。あのシズが恥ずかしそうに、あのピンク色のスライムを指差しながら「エッチな能力」と呟いた。 ──つまり、マジでエロいスキル持ち。 「ユーリ、分かってるわね」 「えぇ、もちろん」 「「あのスライムは絶対にテイムする」」 「…えぇ、うそでしょ?」 シズの困惑した呟きなんて無視して私とユーリはピンク色のスライムに突撃し、明らかにチンポを模造して作られたスライムの触手を回避していく。 私の従属を定める魔法を使えば、この程度のスライムは直ぐにテイムできる。だけど、その後の飼育はユーリとシズにも手伝ってもらう。 「よっしゃあ、ゲット!!」 思わず、ガッツポーズをしてしまった。 チラリと後ろを振り向けば唖然とした表情で私を見つめるシズ、それと私を指差したまま爆笑し、スライムの撒き散らした液体で転ぶユーリがいた。 ちっ、ちょっとだけ失敗したわね。

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