オレの名前は沢木恭介───。 そう、オレは沢木恭介なのだ。 あの不朽のエロ名作『対魔忍アサギ』に登場する主人公かつメインヒロインの井河アサギと婚約し、結婚間際に抜け忍・朧に肉体の乗っ取り被害を受け、そのまま死亡するキャラクターだ。 「(もっと他にも良いヤツはあっただろ。いや、オレも栄えある一作目に登場するわけだし。少しだけ身体を鍛えておけば問題ないだろ)」 なによりオレの幼馴染みは可愛いのだ。 おそらく時系列的に考えれば『対魔忍アサギZERO』軸の世界観だ。ふつうに制服姿のアサギも可愛いし、まだ朧も裏切っている予兆もない。 ほんの少しだけ警戒していればオレに被害は来ないはず。まあ、アサギには大量のハレンチ極まりない被害が降り注ぐのは分かっているけど。 敢えて黙っておこう。 ◆ 「恭介、おはよう!」 「ああ、おはよう。アサギ」 ぷるるんっ、と。ワイシャツの生地を押し上げ、その存在感を遺憾無く示す豊満なバストを歩く度に揺らす黒髪の美少女───井河アサギは、ごく当たり前のようにオレの腕に絡みつき、自然体のまま抱き付いてきた。 ムニュッ♡とオレの左腕をすごい弾力性と柔軟性を兼ね備えた彼女の乳房が挟み込み、わざとらしくオレを見上げるアサギの視線に耐えきれず、オレは少し顔を背ける。 クソ、美人すぎるぞアサギ…! 「ね、今日も恭介の家に行っていい?」 「……良いよ、いつでも来な」 スルリとオレの股間をなぞり、じっとりと熱を帯びた瞳を向ける彼女に逆らえるわけもなく、オレはゴクリと生唾を飲みつつ、彼女の要求に答えた。 男は黙って受け入れる。 とくに美少女のお誘いを断る理由は無いし、なによりアサギの豊満でハレンチすぎる身体を堪能できるのだ。もはや悔いも残らずに昇天できるな。 いや、死にたいけれども。 そんなことを考えながら『忍術』の発現しないオレは、ごくごく平穏に対魔忍アサギの主夫になる生活を夢見て、なんとか今日も生きている。